国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年4月19日 【行政改革に関する特別委員会】

北橋委員 
これは、御案内のとおり、随意契約に関する資料でございます。随意契約というのは、これは国民にはなかなかなじみが余りないかもしれませんので、この委員会におきまして、これだけの資料は、中央省庁における近年の随意契約の実態の調査の資料であります。まだ出ていない官庁もあります。

 これは、民主党の議員が再三にわたり委員会で、国民の税金を大事にするために、随意契約の実態が余りにも放置されている、一つの官庁で九割以上も相みつもとっていない、こんなことが許されるのかと、再三にわたる質疑によりまして、委員長に御裁定をいただきまして、委員会の資料要求、実質国政調査権の発動という形で、業務繁忙の中を霞が関の皆さん方に協力して出していただいたものであります。

 これは、国民が非常に大きな関心を持っておりますので、私は、地方公務員の問題をもっと議論してもいいんですけれども、まずこれをやらせていただきたいと思います。

 まず、民主党の提出者にお伺いしたいと思います。

 随意契約、どこに問題点があると考えるのでしょうか。そして、きのうやっと間に合わせるように出てきた資料が大半でございますので、分析も大変だと思いますけれども、この随意契約の驚くべき実態に対してどういう総括をされているか。まず、あわせてお伺いしたいと思います。

武正委員 
北橋委員にお答えをいたします。

 この随意契約、総理も先ほど来、随意契約に、必要なければ競争入札だ、こういうことを言っておられます。

 そもそも会計法では、一般競争入札が原則である、こううたっているわけでございます。国民の皆様にも、随意契約というのはちょっと難しい言葉だなというふうに思われると思うのですが、要は、競争にしないで、それこそ、ある一社あるいは一団体、そこともう契約を結ぶ。そのときに、競争にしていないので、その価格が適正な価格なのかどうか、この判断が、果たしてだれがするのか、適正なそうした価格になっているのか、これが大変疑わしく思われるのが随意契約の一つ仕組みになっております。

 そこで今、北橋委員から、それこそその机の上に積み上げている資料でございます、この資料は、もともとは、昨年十一月でございましたでしょうか、情報公開請求に基づいて、環境省、きょう環境大臣お見えでございましょうか、環境省に対して、五百万円以上の本省発注全契約に占める随意契約の割合、これを情報公開請求したというのが事の発端でございます。

 それにより、報道で、環境省全発注五百万円以上、九三%が随意契約である、しかも、その二千七百件を超える件数すべてにわたって相見積もりをとっていない、こういったことがわかったものですから、この間、委員会では、財務大臣、農水大臣、厚労大臣、それぞれお伺いをしますと、それぞれ随意契約の高い比率を述べられ、また、相みつは一切とっていない、こういう答えもありまして、それではということで、全省庁同じように資料を求め、昨日出していただいたところでございます。

 その分析をいたしますと、平成十六年度に限ってでございますが、全省庁の中では、やはり平均八割、随意契約比率でございます。その八割のうち四割は公益法人、独立行政法人ということでございます。既に民主党の要求に基づいて、千七十八法人、二千六百四人の天下りの団体、ここに六兆円のお金が流れている。こうしたお金と人の流れ、それに介在するのが実はこの随意契約ではないのかということでございます。

 政府のさまざまな理由も出していただきましたが、この一社しか、この一団体しかできないんだ、こういった理由がずらずら並びます。本来随意契約は、やはりバリュー・フォー・マネーでありますので、本当にその団体そしてまた企業でなければできないのか、それをどうやって見きわめるのか、それがないまま随意契約が続いている、これが実態でございます。


北橋委員 
残念ながら、納税者の皆様に対して、会計法令からすると違反ではないか、極めて問題があるのではないかと再三指摘された案件につきまして率直な反省の言葉がないというのは、私は国民の皆様がどう聞かれたかと思います。

 民主党の提出者にお伺いしたいと思います。

 政府の本音は今の答弁に出ていると思うんですね。それに対して、民主党は具体的にこの行革法案に対してどのように改革したいと思っていらっしゃるか、その柱をお伺いしたいと思います。

武正委員 
北橋委員にお答えをいたします。

 会計法の原則は、有利な価格による契約締結、これは随意契約であろうとも同じでございます。いかに政府が随意契約で、一社しかない、一団体しかないと言われようとも、どれだけ有利な価格で契約を締結する努力をされているのか、これがまず基本で問われなければならないというふうに思います。

 その上で、民主党案は三点、改革案を持っております。

 それは、まず、一般競争入札の例外というものの基準を厳格にしよう。あわせて、特に官僚OB、天下りがどうしてもこの随意契約と密接なかかわりがある、こういう疑念が晴れませんので、官僚OB就職営利企業入札参加の基準はやはり厳格であるべし。あわせて、官僚OBによる出身官庁への情報提供要請などを禁止する、これが二点目でございます。そして三点目は、既に財務大臣からも御答弁がありますが、独法、独立行政法人あるいは公益法人、ここにも一般競争入札原則、これを徹底する。

 以上、三点でございます。


大島(敦)委員 
続きまして、今回の行政改革の法案の審議で、橋本行革を見てみますと、橋本行革のときに政府の仕事の切り分けというのをしているかと思います。一つは、企画あるいは政策的な仕事、そしてそれ以外の実施の仕事というのは独立行政法人に任せるということで、独立行政法人がその後数多くできたかと思います。

 今、独立行政法人を見ますと、独立行政法人の理事長、これは大臣が決めることになっています。そしてその理事長が各理事の皆さんを決める。目標管理、その独立行政法人の経営目標も大臣が決め、そしてそれを評価する、省内に設ける、役所の中に設ける評価委員会も大臣が決めることになっております。もちろん、竹中大臣にもしも質問するとすれば、そうじゃない、総務省の中にも各役所がやった評価を評価する機関があるということなんですけれども、すべてが要は官による評価かなと考えておりまして、独立行政法人のガバナンス、わかりやすく言うと組織内での規律をどのようにしていくかにつきまして、民主党のお考えを聞かせていただければ幸いでございます。

武正委員 
大島委員にお答えをいたします。

 今、政府は次々に独立行政法人をつくっておられます。これからできてまいりますのが、郵便貯金・簡易保険保有機構も独法でございます。既に日本高速道路保有・債務返済機構も独立行政法人でございます。

 本来は、イギリスのエージェンシーを見習って制度設計された独立行政法人、国でやらなければならないけれども民間に任せてはなかなかできない、でもやはり効率性を追求するため民間の方をトップに公募でやろうじゃないか、こういったことで始まったわけなんですが、実はこの五年間、政府が進めてきた国家公務員八十万人を三十万人に減らす過程でこの独法が定数減の隠れみのに使われた。とりわけ各省庁にそのことを認めさせるために、各独立行政法人のトップあるいは役員にいわゆる退職公務員の出向を認めた。その結果、大学の教授などを含めると八二%のトップが退職公務員であるというのが今の独法の現状でございます。やはり、イギリスのエージェンシーと比較すると、その権限と責任、あるいは国会への報告、大臣と独法の長とのすみ分け、これが大変あいまいな存在と化しております。

 また、先ほどの評価委員については、その評価委員の四五%が各省庁の審議会の委員を兼務していて、各省庁からそうした報酬をもらっている人が果たして独立性のある評価が適正にできるのか、こうしたところも甚だ疑わしいわけでございます。

 あわせて、今、独立行政法人、平成十六年度で三兆三千億円の税金、公金が使われております。そのうち一兆円が人件費でございます。身分を非国家公務員化しても、相変わらず人件費は税金から出ているのでございます。

 あわせて付言をさせていただきますと、先ほど来、二割削減のお話が出ております。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構、その総人件費八十四億円のうち十七億円が非常勤職員でございます。政府の総人件費にはこの非常勤職員が入っておりません。

 民主党は、さまざまな形でこの総人件費改革を非常勤職員も含めてやる、これも選択肢の一つであることを付言して、お答えとさせていただきます。

 ありがとうございました。
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