国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年4月28日 【外務委員会】

武正委員 
民主党、武正公一でございます。質疑を行わせていただきます。

 本日は資料を、委員長、理事会のお許しを得て、お配りをさせていただいております。また、総務省からも副大臣にお見えをいただいておりますので、まずは、お手元資料、地方税法四百八条に基づきまして、「市町村長は、固定資産評価員又は固定資産評価補助員に当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少くとも一回実地に調査させなければならない。」この法律にのっとりまして、石垣市役所におきましては、尖閣諸島、これの実地調査、この要望がありということが、今回一月に当外務委員会が沖縄に視察に行きました折、直接市長から陳情がありました。

 お手元の二ページ、三ページ目は、石垣市からの外務委員長あての要請書でありまして、特に、やはり尖閣諸島の領有権、これを中国、台湾が主張している、こういった中で格段の御配慮をお願いします、こういった文章もあるわけですが、固定資産税を所管する総務省として、この石垣市役所あるいは石垣市長の要望、これは法律にのっとって当然のことというふうに認識をされるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

山崎副大臣 
総務副大臣の山崎でございます。

 今委員お尋ねの点でございますけれども、当省の所管する地方税法の関係で申し上げれば、同法におきましては、固定資産税の課税について、その固定資産の状況を実地調査する旨が御指摘のように規定されているところでございますので、この固定資産税の課税に当たっては、いわゆる地方税法の考え方に基づいて実地調査を行うということにつきましては、同法にのっとった行為であるというふうに私どもは認識しております。

武正委員 
麻生外務大臣におかれましては、総務大臣をお務めになられておりますので、この点は大変お詳しいと思うんですね。

 先ほど触れましたように、外務委員会の視察で、直接、石垣市長から、やはり課税をしなければならない首長として現地に調査に赴きたいと。ましてや、ことしは評価がえ、三年に一度のそういう年でありましたので、三月三十一日までに評価額を確定しなきゃいけない、これが地方税法四百十条でも決められている。そういった中での要請でありましたが、もう三月末は過ぎてしまっておりますが、こうした要望を外務委員会としても受けてまいりました。

 今、所管の総務副大臣からは、法律にのっとった行為であるということでございますが、この石垣市長あるいは市役所として現地調査を行うといったことについての御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 
この点につきましては、尖閣四島、四つ島がありますので尖閣四島というんですが、御存じのように、これはもともと私有地であります。平成九年に、四島の所有者から、たしか、国の機関を除き上陸等を認めない、また、第三者による権利侵害行為に対して厳重な対処を求める旨の要請というものが国に行われております。五年後の平成十四年の四月に、政府が、今のあれに応じて、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持を図るということを目的として、尖閣四島のうち、久場島を除く三島につきましては、所有者から賃借というものを開始いたしております。この所有者の意向を踏まえまして、いわゆる賃借の目的に照らしまして、原則として上陸は認めないという方針をとってきております。

 したがって、今、上陸を認めるかどうかについて、土地の所有者の意向とか、また政府の賃借目的などを踏まえて検討していく必要があろうと思いますので、これは、認めないということを政府で決めた以上、固定資産税の査察に、指定に入る、ちょっと待てという話になろうと思いますので、これはよく政府の中同士の調整というか検討が必要というようになろうと存じます。

武正委員 
要請があって、そうした認めないということでありましたが、先ほど総務副大臣が言われたように、法律にのっとった行為をそれぞれの首長は精励される、それに待ったをかける政府というのはいかがなものかという今の御所見だったというふうに伺いますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 総務副大臣、どうぞお引き取りいただきたいと思います。

 そこで、お手元に、先ほどお話がございましたグアムへの移転経費、四ページ目に、政府がおつくりいただいた防衛庁作成資料、これをお配りさせていただいておりますが、まず、百二・七億ドルの五九%日本側負担、これでまとまったことについて、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

 というのは、外務大臣、以前、五割を切りたい、こういうような発言もされておりました。ちなみに、この表を見ていただくと、効率化というのはちょっとよくわからないんですね。四・二億ドル安くなりますよというのに、何でここに出ているのかな。この四・二億ドルと、融資ですか、これを合わせた十・五億ドル。そしてまた、米国側負担の道路、何で米国側負担の道路まで総費用に入ってくるのかな。例えば、この二十・五億ドルを除きますと、八十二・二億ドル。これで日本側負担六十・九億ドルを割ると、当初米側が要求していた七五%、ほぼそれに近い。結局、米側主張の日本側負担四分の三というのをそのままのんだことになっているんじゃないのか、こういった指摘もあるわけですが、以上二点、外務大臣の御所見を伺います。

麻生国務大臣 
まず、どういう所見を持っておられるかと言われれば、基本的には、沖縄の負担の軽減というのがやはり非常に大きな要素を持っておりますので、私どもとしては、政府としては、なるべく早く、沖縄に在住の米軍並びに軍属というものが沖縄の地から移転するというのが最も望ましい。そのためには、ある程度の経費を負担して移転をしてもらうことを考えないと、このままずっと、移転をすることは決まったけれども、十五年かかります、二十年かかりますと言われると、それはちょっと私どもとしては、沖縄のことを考えますとさようなわけにいかないから、なるべく早く移転ということで、早期実現というものをやるという観点に立ちますと、それなりの意義があったんだと思っております。

 傍ら、今、そのときに当たってその内容を詰めていくと、内容の詰めの方は施設庁の方に聞いていただかぬとよくわからぬところですが、私どもの感じとしては、少なくとも過去に例がありませんから、どれくらいが落ち着く相場観だと言われると、正直言って経験がありませんから、だれもないので、全然わからぬというのが正直なところだったと思います。

 そこで、話をするときに、真水がなくちゃ全然話にならぬでしょうから、私どもとしては、真水で三分の一、そちらも三分の一、残り三分の一はローンということにしないと、アメリカの方も、議会に対して、何で沖縄から出ていかなきゃいかぬのだというような話になると、また話が込み入るので、そちらの方の言い分もといえば、やはり三分の一ずつで、最後の残った三分の一がローンかなというような相場観だけは確かに提示したことは事実です。それに基づいて、あと、いろいろ額賀長官が苦労されて、その三分の一、三十三・幾つになるんでしょうけれども、そこのところが、上限が二十八になったといえば、その点は、ポイント五ぐらい下がったということにもなろうと思いますし、アメリカ側の方としても、その分が、これでいくと四十一になったというような考え方もありますでしょう。

 いろいろ後になって考えれば、それでも、おまえ、五割を切りたいと言ったけれども五割じゃないじゃないかという言い方もあるでしょうし、いや、そうおっしゃいますけれども、ここはローンですから、返ってくるお金ですからという言い方もできますでしょう。その意味でいえば、双方いろいろ、向こうも議会を抱え、こちらも議会、国民を抱えておる民主主義国家同士の話し合いですから、双方百点をとれるはずはないんですけれども、そういう意味ではそこそこのところで落ち着いたのではないかというようなのが、感想はどうかと言われれば、そういうのが、今持っております感想であります。

武正委員 
五割をということについてはお答えいただけなかったんですけれども、先ほど来、沖縄の負担軽減を第一に、こう言っておられますが、これまでこの外務委員会では、沖縄の負担軽減と抑止力の維持はイコールである、この二つを同時並行でやられるというふうに言ってこられたので、それは改めて、変わらないということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 
はい。基本的には、負担の軽減と抑止力の維持という少々二律背反する部分を維持するという本来の目的は、これで、基本的なところでは達している、目的に向かって、その方向で走っておると思っております。

武正委員 
であれば、沖縄の負担軽減で急がなければいけないからこの過分な費用負担はというところは、やはりこれまでの説明からいうといかがなものかなというふうに私は思うわけでございます。

 そこで、先ほどのこの表なんですけれども、いろいろちょっと数字を見てまいりますと、例えば百二・七億ドルから十億ドルを引きますと、道路の分ですね、大体六六%になってくるわけですね。

 それから、ちょうどこれは三月の末ぐらいですか、海兵隊施設七十五億九千万ドル、海軍、空軍施設九・四億ドル、基地以外の施設九・八億ドル超、自衛隊隊舎三億ドル、合計九十八・一億ドル、日本側の負担はそのうち七五%だよと、約百億ドルの内訳が表となって随分出たときがありました。

 これと、今のお手元の防衛庁作成資料を比べますと、日本側の負担の財政支出のところで、三月末よりも十二・三億ドル減りました。それから基地内インフラは二・七億ドル減りました。合計日本側の負担は十五億ドル減ったわけです。百億ドルで七十五・九億ドルだよと言っていたときよりも十五億ドル今回減ったわけですね。ただ、自衛隊の隊舎は今回抜けております、三億ドル。

 ただ、米国側の負担の財政支出が三月末の九・四億ドルより二十二・四億ドルふえているんですね。ですから、この二十二・四億ドルをこの百二・七億ドルから引いて、八十・三億ドルで日本側の六十・九億ドルを割りますと、やはりこれはまた七五・八%、こういった比率になるわけです。ここが、結局、日本側の負担割合というのは当初から変わらないんじゃないかなという疑念の一つでもございます。

 そこで、防衛庁副長官、この当初出ておりました自衛隊の三億ドル、自衛隊隊舎の整備のためというのが今回抜け落ちているんですが、そもそもこの三億ドル、自衛隊隊舎というんですか、この整備、これは一体何だったのか。それから、先ほども質問がありましたが、真水部分二十八億ドル、それから出資十五億ドル、そして融資十七・九億ドル、これについて、やはり国民への説明責任の上から法律を国会に提出すべきと考えますが、その必要があると考えているかどうか、あるいは提出する意向はあるのか。以上三点、防衛副長官に伺います。

木村副長官 
自衛隊隊舎のお話ですが、何か一部報道にもあったようでありますが、我々、あくまでも移転のための協議を続けてきたわけでありますから、自衛隊の隊舎は移転のためだとは思っておりませんので、今まで、今回のこの合意で、隊舎ということについては含まれておりません。

 それから、これからどうするんだということでありますが、先ほども御質問にもお答えしたんですが、最終合意に向けて、今、それこそ最終局面を迎える努力をしているわけでありますので、それを意識しながらも、今後、具体的に調整していく中で、政府内できちっと考えながら、その法的措置も必要かどうかも含めて詰めていく方針だ、そういう考え方で対応していきたいと思っております。

武正委員 
グアム移転経費に関係ないんだというその隊舎三億ドルということなんですが、では、グアム移転経費に関係ないとすれば、三月まで報道されていた自衛隊の隊舎というのは、一体どこにつくる三億ドルということでこうして報道されていたんでしょうか。

木村副長官 
その報道そのものがどういう趣旨で報道したのかも、逆に私たち知らないというか承知していないということでありますので、何を根拠にどういうことで報道されたのか、我々は承知しておりません。

武正委員
そうしますと、日米審議官級協議なり昨年十月合意以来の協議の中で、その自衛隊隊舎を、このグアム移転経費にかかわるところに報道されているわけですから、例えばグアムに自衛隊隊舎をつくるとか、わかりません、何かそういうような隊舎をつくるというような話というのはされていたんでしょうか、あったんでしょうか。

木村副長官 
まだ最終合意しておりませんので、一つ一つの個々の項目について、協議については、これまでも大変委員の皆さんからおしかりも時にいただいておりますが、協議事項を随時どうであった、こうであるということは、なかなか相手側もあることですから差し控えたいと思いますが、ただ、御理解いただきたいのは、自衛隊の隊舎をつくるということは今回の合意には全く含んでおりません。

武正委員 
合意には含んでいないけれども、先ほどの話では、グアムに自衛隊の隊舎をつくるという可能性も残しながら話をしてきたというか、そういう話も上っていたんでしょうか、この協議の中では。

木村副長官 
大変恐縮ですが、そういう協議内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 
否定をされないということで、自衛隊の隊舎がこれからグアムにつくられる可能性があるということだというふうに理解をいたしました。こうした点も、大変、グアムへ移転する経費を、先ほど沖縄の負担軽減ということでありましたが、一体なぜグアムに自衛隊の隊舎が必要なのか、こういったところも含めてきちっと説明をしていただきたいと思います。

 そこで、先ほども同僚委員から話がありましたこの二百六十億ドルの話でありますが、防衛庁は、これからきちんと精査していかないと積算できないけれども、事務次官はグアム移転経費以外に二兆円かかるという講演をしていることは認めたということでありますが、このことを外務大臣としてどのように受けとめられるでしょうか。そしてまた、審議官級協議で、これは外務省、防衛庁両方が一緒にやっているんですが、こういったグアム移転経費以外に、例えば二兆円かかるとか、二百六十億ドルであるとか、あるいは事務次官が認めたようなそんな二兆円の話というのはしてきたんでしょうか。いかがでしょうか。

塩崎副大臣 
これにつきましては、午前中からずっといろいろ先生方からお話がありまして、もうお聞きかと思いますけれども、今回は在日米軍の兵力態勢の全体の再編をワンパッケージでやるということであります。そういった関係で、各関係省庁一緒になって鋭意検討して、そしてアメリカ側との話し合いをしているわけでありまして、現時点ではいまだ確定をしているわけではないということは防衛庁の方からもお話があったとおりで、先ほど来の二百六十億ドルということについては、このローレス副次官の発言についても、外務省としてもコメントする立場にはないのかなというふうに思っております。

武正委員 
私が聞いたのは、日米審議官級協議で、グアム移転費以外も当然協議の中で、幾らぐらいかかるかと。だって、協議の中では、さまざまなそういった移転とか国内の移動とか、あるいは座間への第一軍団とかやっているわけですよね。その中で、やはりコストについては、当然協議の中で上っているんですかということです。

塩崎副大臣 
先ほど申し上げましたように、ワンパッケージで全体をやっているわけでありますので、さまざまな協議をしているわけでありまして、今最終的な打ち合わせをワシントンでやっているところでございます。

 したがいまして、協議の内容についてはコメントをするのは差し控えさせていただきたい、このように思います。

武正委員 
いや、私は、事務次官も二兆円と言って、ローレスも二百六十億ドルと言っているんだから、当然そういうコストについての協議もこの半年間やってきたんでしょうと言っているんですから、それについてノーコメントというのは、余りにもちょっと残念ですよね。いかがでしょうか。

塩崎副大臣 
いや、さっき申し上げたように、あらゆることをワンパッケージでお話をしているわけですから、その言外に読み取っていただきたいことを込めたつもりでありますので、当然わかっていただいているものだと思っておりました。

武正委員
伊吹特別委員長は、ちゃんと議事録に残せというふうにこの間も行革特で言われておりますので、ぜひ言外ではなくて、きちっと御答弁をいただきたいと思います。もう協議をしているということで理解をいたしました。

 そこで、防衛庁、もう一回お伺いをしたいんですが、この米軍再編に伴う国内の米軍施設、例えば新規整備あるいは自衛隊との共同使用に伴う施設整備などは当然日本側の負担ということがローレス副次官からは出ているんですが、このような理解でよろしいんでしょうか。

木村副長官 
協議中でございますので、ここで確定的なことをお答えすることはなかなか困難であることを御理解いただきたいと思いますが、ただ、一般論としては、日本国内において米軍施設の建設を行う場合、アメリカみずからの経費負担で行うものと、日本側が日米地位協定に基づき建設し、その上で米軍に提供するものがあるわけであります。

 例えば、自衛隊との共同使用に伴う施設整備のうち、自衛隊の所要に基づき必要になるものにつきましては日本側が負担するものと思っておりますし、いずれにしましても、今最終局面というか、最終合意へ向けての協議中でありまして、現在において確定的なことはお答えするのは差し控えたいと思いますが、その経費負担の問題も含めて、今後とも政府内で、関係省庁連絡をとり合って臨んでいきたい、こう考えております。

武正委員 
大平外務大臣が昭和四十八年三月十三日、大平答弁ということで、これはもう累次予算委員会で取り上げられてきた答弁でありますが、代替、新規なしの運用指針ということで、「地位協定第二十四条の解釈につきましては、」中略「その運用につき、原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する所存であります。」と。これが大平答弁として、この間予算委員会でも議論の一つ、政府側の見解として使われてきたところ。

 あわせて、施設・区域の提供に当たって、我が国政府として、安保条約の目的達成との関係、我が国の財政負担との関係、社会的、経済的影響などを総合的に勘案の上、個々の事案に即して提供すべきものを決定するのであり、具体的には毎年度予算の承認を得た上で提供するのであるから、無制限な提供というような概念には当たらないと。毎年度予算の承認を得た上で提供するのであるから、こういったことで、国内での施設整備について、政府は予算委員会などの答弁、それこそ国会審議で述べてこられているわけですね。

 ですから、この巨額な、六十・九億ドル、ましてやプラス二百億ドル、これは、これまでの政府の見解の、毎年度の予算の承認を得た上で提供するのであるからをはるかに超えている額でありまして、私は、先ほどまだ検討中と言いましたが、当然法律も出さなきゃいけないし、それから、もちろん米側の二百六十億ドルというのはとんでもない金額でありますから、それこそ途方もない金額でありますから、これからきちっと精査をするときに、まず今までの政府の見解というものを超えている今回の米軍再編に伴う額である、こういったことを指摘したいと思うわけでございます。

 そこで、これは前からちょっと伺っているんですが、座間への米陸軍第一軍団司令部の移転。これは必ずしも米陸軍第一軍団全部が来るんじゃないよ、こういうふうに言っておられますけれども、これに伴う費用負担というのは、防衛庁として、やはり日本側が地位協定からいって負担すべきものというふうに考えておられますでしょうか。防衛庁、いかがでしょうか。

木村副長官 
在日米軍の司令部を、例えば近代化にかかわる、いわゆる改修というような形など、あるいは今お話があった点、御指摘の点は、米側が負担することになると思います。

武正委員 
米側が負担するということで今確認をいたしましたが、これまで在日米陸軍の司令部機能の強化というような報道があったんですが、最近の政府資料では、在日米陸軍司令部の改編というような形で、ちょっとトーンダウンをしているんですね。私は、その司令部機能が強化ということである分は、今回の米軍再編に伴って日本における在日米軍機能をよりアップしていくことについての費用まで日本側が負担するというのは、やはり安保条約あるいは日米地位協定の逸脱ではないかということを指摘したかったので、今取り上げたわけであります。

 在日米陸軍、座間への移転については、米側の負担ということで理解をいたしました。

 そこで、実は光熱水料の話も、この間思いやり予算のときに、本来あれはもう見直しなんだということだったんですけれども、今回盛り込まれませんでした。これは、二十四条一項で合衆国が負担することが当然ということに光熱水料が含まれていながら、思いやり予算で日本側が負担することになっているということでありまして、私は、本当はここで改正すべきだったのを延ばした理由というのは、これから日本側の負担が過重になってくるときに、いや、思いやり予算も削りますよということのために実はこの三月の改定から外したんではないのかということをあえて指摘をさせていただきます。

 そこで、次は韓国外務次官の発言、調査中止と海底韓国名、六月国際会議提案は無関係、こういったことが出ておりました。

 先ほどもありましたように、柳次官は、そんなことはない、発言はそんなことないと外務省は言っておりますが、国会での発言は、海洋調査と地名変更問題を関連づけているのは日本側であり、我々は受け入れられないと言明した、こういうことでありますね。これ、そごはないというのが、先ほども外務省、お答えをいただいてしまっておりますが、このことは本当は副大臣に聞きたかったんですけれども、副大臣も一日から訪韓をされるので、ぜひ、やはり訪韓をされてきちっとこの点、指摘をしていただきたい。

 大洋水深総図指導委員会、これが、六月二十一日に開かれる海底地形名称に関する小委員会、日本側はあくまで、今回三十五年ぶりの調査、これは韓国側の提案ということを受けて慌てて調査をしてきたわけでありますが、この間の外務次官同士で本当にそのことが、日本側調査、今回の調査ですね、この六月までの調査はとりあえず中止をした。谷内次官も言っていますね、とりあえず中止をしたんだと。

 だから、ここのあいまいなところをぜひ詰めてきていただいて、そして、共同調査というのは私はどうかなと思うんですね。日本側としてももう本当に三十五年ぶりで、さっき外務大臣、自信があったからと言いますが、海保に聞きますと、昔の調査というのは、何かおもりを落として深さをはかったとか、非常に原始的なやり方で、今の近代的な調査というのがやはり必要だと私は思います。

 そういう意味では、副大臣にはこの訪韓に当たって決意をお聞きしたいというふうに思いますが、この調査があくまでも必要なんだということをきちっと韓国側にもアピールすべきだし、そして、何をか言わんやは外務次官同士の合意、この再確認、これをきちっとやっていただきたい。御決意を伺います。

塩崎副大臣 
一日から二日間韓国に行ってまいることをきのう最終決定いたしましたが、今先生がおっしゃったように、つい一週間前、金曜日、土曜日、二十一、二十二日に、谷内事務次官と柳明桓、先方の外務通商部の第一次官との間で精力的な話し合いをして、一定の合意に達したということでございます。

 したがいまして、両サイドの努力でできた合意につきまして改めて確認をし、一番大事なことは、未来志向で日韓関係を構築していく、友好関係を構築していく、そして冷静に、法律にのっとって物事を解決していく、こういうことを確認してくるのがまず第一のことだと思っております。したがって、それは今おっしゃったとおり、そのような決意で行ってまいりたいと思います。

 外務次官の発言ということで、今御質問がありました。もう既に答弁をしていると思いますが、その一週間前に合意したことは、この六月の会議では韓国の名称の提案を行わないということを日本側が理解をし、確認をしてきた。そのときに先方も、今後必要な準備を経て適切な時期に推進するという立場だということを言っているわけでありまして、実は今回の発言についても、こちらからも確認を改めていたしましたが、それと同じことを言っているんだということで確認できております。

 また、潘基文長官も、二十六日の定例記者ブリーフィングにおいて、この報道についてやはり聞かれたわけでありますけれども、先般の協議を踏まえて、柳次官と同様の立場を改めて確認をしているというふうに私たちは承知をしているところでございます。

武正委員 
冷静にといっても、ああいう大統領の発言があるところに行くわけですから、私は、副大臣は余り冷静にと言わないで、外務大臣もいるわけですから、副大臣はやはり日本の主張をがんがんと言ってほしい。

 このことをお願いする上で、外務大臣、最後、こういった海洋調査、太平洋の方をやっているようですが、日本海は非常におくれているようなんです。私はやはり、政府としてこの海洋調査、海洋法条約の期限もありますので、急いでやるべしというのが一点と、それから日本海呼称問題、以前、航空会社の機内誌に関する調査は外務省にやってもらったんですが、航空会社に日本海の単独表記を申し入れるよう訓令しているんですが、やっていない大使館も実はあったんです。そういったその後の経過をぜひこれは報告をいただきたいというふうに思いますので、一点目は質問、二点目はお願い、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
では、まず一点目の方。

 保安庁とこの話をするときに、緊急ではありましたけれども、いろいろ話をしたんです。確かに太平洋側の方は進んでいるんですが、日本海側の方は、簡単なことを言えば、こっち側の方が大事だったものだから、どうしたってこっちに行った。向こうの方は海が荒いものだから、調査の船を出す時間がえらく限られている等々もあっておくれていたことも事実です。

 ただし、過去やってありますから別に何ということはなかったんですが、今、御存じのように、船でこうやっていくとずっと下の地図が出てくるという魚探の技術を使ったすごいものになっています。今の技術できちんともう一回やり直す必要があるというのは私も正しいと思いますので、そういった形で、少なくとも保安庁の測量船というものがそこに入ってやるというのは、別にこれは、向こうもやっておるわけですから、こっちも同じようにやって何がというのが正直なところだと思います。

 私どもとしては、データというものをきちんきちんと知らせてやっていかなきゃいかぬということだと思っておりますし、事実、そういった、向こうは六月に出されると言われるから、では私らの方もそれに対応すると言った途端に話が込み入りましたので、正直、出さないなら、うちは何も今すぐしなきゃいかぬというわけではないからということで、武正さんの言葉をかりれば、先延ばしで決着したではないかと言われれば、そういう形になっておろうと思いますので、今後とも、これは五月から話を開始することになっておりますので、今の話は、一番目の方はそういうことです。

 二番目の方は、全在外公館に対して訓令を発出、各国マスコミ、地図出版会社、航空会社、国際機関の文書、地図において日本海以外の呼称を使用しているものがあった場合、日本海という呼称の正当性を説明するとともに、日本海単独表記とするように申し入れを行わせております。日本海という呼称は、十九世紀初頭のヨーロッパにおいて定着していることは既にもう地図で裏づけられておりますので、今後ともこういった形でさらに進めていきたいと思っております。

武正委員 
私は、申し入れた結果を、特に航空会社の、外務省としてまとめて御報告をいただきたいというお願いでございます。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
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