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■国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録 |
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2006/6/2
【外務委員会】「国際組織犯罪防止条約」議事録 |
○武正委員 民主党の武正公一でございます。日本・ユーラトム原子力協定について質疑をさせていただきます。
まず、ちょっと質問通告にはなかったんですけれども、けさの報道で、ジャワ島に対する日本政府の支援が報道されておりましたので、ちょっとそれをお答えいただけるところでお願いできればと思っております。
さきのジャワ島中部地震でお亡くなりになられた方、けがをされた方々に対してお悔やみを申し上げるとともに、一日も早いインドネシアの復旧、復興を、特に政府の支援も含めて日本として取り組まなきゃいけないというふうに思う次第でございます。
民主党は、この日曜日、二十八日、ジャワ島地震救援対策本部を立ち上げまして、そして過日、官邸へ、官房副長官でありましたが、申し入れも行いました。八項目ということで、在留法人支援はもちろんですが、特に、NGOに対する財政支援が数十%の欧米諸国に比べて日本は二、三%とけた違いに少ないということもありまして、日本政府に、被災者に顔の最も見える援助を行っているNGOに対する緊急財政支援などを求めたところでございます。また、きょうから民主党の末松国際局長を団長に現地に調査団というか派遣をいたしまして、六日には帰国をいたします。
先ほど触れたのは、報道で、政府が武器輸出三原則の例外としてインドネシアに海賊対策として巡視船を三隻提供、こういったことがあるわけなんですけれども、政府開発援助により外国に武器を供与する初のケースとなるということで、いわば地震対策に紛れた、ちょっとどさくさ紛れではないかという指摘もあるわけであります。インドネシア政府と合意とも報じられておりますが、こういった事実はあるのか、お答えをいただけますでしょうか、外務大臣。
○麻生国務大臣 今テロの方の質問が趣旨、最初の質問の方なんでしょうか、ちょっと両方でしたか……(○武正委員「いえいえ、船のことです」と呼ぶ)船の話、いわゆる海保の船の話ですね。
ODAによるテロの海賊行為の取り締まりとか防止のためにこれまでも支援を行ってきております。御存じのように「韋駄天」が持っていかれたりいろいろした例が、「韋駄天」というのは若松の船ですけれども、世界一のタグボート、これが拉致されたというのが去年ありました。そういったことがありますので、基本的には海賊行為の取り締まり防止のための支援というもので、これは前々から要請を受けておりましたので、武器輸出三原則等との関係もありますので、これは与党における議論も踏まえて検討しているところです。
したがって、現時点において、政府として何らかの方針をきっちり決定したという事実までは行っておりませんが、検討はしておるというのは事実です。
○武正委員 インドネシア政府との合意ということは。そういう事実があるんでしょうか。
○麻生国務大臣 インドネシア政府から巡視艇の供与を求められたことは事実です。しかし、現時点においてまだ何らかも決定をいたしておりませんので、インドネシア政府との間に合意ができたかと言われると、要請は受けたことは確かですけれども、合意に至ったということにはなっていないというのが現段階であります。
○武正委員 ありがとうございます。
それでは、本議題のユーラトムとの原子力協定について伺わせていただきます。
米国では、この二月でしたでしょうか、国際原子力エネルギーパートナーシップ構想というものが発表されております。これは、日本を含めて世界的な枠組みで、そうした資機材も含めたネットワークを行おう、特に、アメリカが廃棄物処理で大変困っている、最終的な処分場なども含めて、そうした課題解決ということで提案をしているようでありますが、この構想が、日米の原子力平和利用協定に基づく日本での再処理に対して、米国の同意が必要とされているわけですが、これに影響を及ぼすのではないかという指摘があります。これについて、外務省の御認識を伺います。
○麻生国務大臣 日米の原子力協定におきましては、御存じのように、米国より供給を受けたいわゆる核物質等を再処理するに当たっては、米国の事前同意を得る必要があるということになっております。
したがいまして、今、東海とか青森県六ケ所とか、ああいった再処理施設で核物質の再処理を行うときには、事前に日米間の合意というものに基づいてやっておるということであります。
今言われましたように、国際原子力エネルギーパートナーシップ構想、通称GNEP構想によれば、原子力発電というものの世界的な発展とか拡大というものを許容しながら、いわゆる核不拡散というものをどう確保するかという話がもとであります。したがって、日本としても、この構想にどういった形で一緒に貢献できるかという観点から、積極的に議論に参加をしてきております。
また、米国政府から、この構想が、日米原子力協定に基づく日本におけます再処理との関係について、日米間の合意に関しては影響を及ぼさないという説明をあらかじめ受けております。
○武正委員 本協定について、民主党が基本的に賛成ということを申し述べまして、まず、条約ということで、かなり大きな話もこの委員会ではこれまでもさせていただいておりますので、こちらの方にちょっと移らせていただきたいと思います。
きょう河野法務副大臣もお見えでございますが、国際組織犯罪防止条約、これが当委員会で承認、そして今、国内法の整備を法務委員会で行っていることは周知のとおりでございます。
ただ、私は、これまでも何度も当委員会で、やはり条約の承認に当たって、国民の代表である国会が、留保など、あるいは附帯決議など、国会として意思を表明できないのはおかしいということを申し上げてまいりました。特に、今法務委員会で、国内法の整備の理由として、組織犯罪防止条約、国会は承認したじゃないか、しかも政府は留保していないじゃないか、こういうふうに言われることが一つその論点になっていることを見るにつけても、この外務委員会あるいは国会における条約の承認に当たっての関与、これはもっともっと関与できるように変えていくべきであろうというふうに思って、これまでもそうした提案を当委員会ではさせていただいております。
今、理事懇では、調査局にお願いをして、各国のそうした国会の留保についても調べていただいておりますが、例えばドイツなどでは、条約そのものの修正など認めていないんですが、条約に対する議会の同意は、連邦政府の提出した条約を承認する法律案を可決することにより行われるため、法律案の条項について修正案を提出することは認められている。あるいは米議会は、上院でありますが、条約の承認に当たって、修正、留保、了解、意見表明、ただし書きなどが、やはり国民の代表である議会としてできる、こういうふうにされているわけでありまして、私は、これを契機に、条約への国会の関与、かかわり方、これはやはり改めていくべきだと。
そういった前提に立って、まず、これは外務大臣の方でよろしいですか。お伺いをしたいんですが、この国際組織犯罪防止条約、これは共謀罪という、要は共謀段階で罪になるというのは、日本の刑法にはない考え方、共謀共同正犯のような例外はあったとしても。ということでありますので、やはり、この条約の三十四条一項にあるように、国内法との整合性ということ、あるいはまた、これは六条1の(b)、自国の法制の基本的な概念に従うことを条件にということで、六条の(ii)で共謀罪についても定義がされておりますので、あくまでも自国の法制、その基本的な条件、概念、これがもとで今回の共謀罪の制定があるとすれば、やはりこの点は、私は、そもそも政府が署名の時点で留保をすべきではなかったのかなというふうに思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○塩崎副大臣 きょうの午後一時から、法務委員会で本格的な議論が行われ、また新たな提案が民主党からなされるというふうに聞いているわけでございますので、法務委員会でしっかり議論して答えを出してもらいたい、こう考えているところでございます。
この国際組織犯罪防止条約は、先生今御案内のように、平成十五年の五月に国会承認をいたしました。当然、その過程でこの外務委員会で審議がなされて、社民党以外は皆賛成をして、委員会段階の承認手続がここでとられたというふうに理解をしております。その際には留保条項がなかったということは、今先生御指摘のとおりであるわけであります。
この留保をつけられるかどうかという問題については、もう先生御案内だと思いますけれども、条約法に関するウィーン条約第十九条というところに留保の表明に関する記述がございまして、もう一々申し上げませんけれども、次の場合を除くほかは留保を付すことができる、こういうことであります。当然、国として留保をすることはできるということでありますけれども、問題はどの時点でやるかということでありますが、我が国としては、承認の手続を国会でとったときには留保がなかった、こういうことで、これまで法務委員会で、今の条件のもとでこの条約について留保をつけることは難しいということを言ってきたはずでございます。
今、三十四条の一項の話と、第六条とおっしゃいましたが、多分第五条に共謀罪を定めているところがあると思いますけれども、この第三十四条の一項というのは、「締約国は、この条約に定める義務の履行を確保するため、自国の国内法の基本原則に従って、必要な措置をとる。」と書いてあるわけですね。では、ここで言う自国の国内法の基本原則というのは何ぞやということですけれども、私どもの解釈では、やはり基本的な法律、つまり憲法上の原則であるとか、あるいは根本的な、国内法制におけるそう簡単には変わらないような法的な原則を指すものだというふうに考えております。
我が国の場合、罪刑法定主義、それからデュープロセス等がこれに当たるものと考えられるわけでありますけれども、これまでの法務委員会での議論では、今申し上げたように、今、承認をされた条約についての担保措置としての法律をする際に、改めてここで留保をつけるということはなかなか難しいなということを繰り返し申し上げてきたわけでありますが、きょうの委員会で、どういう提案が出てきて、そしてどういう議論がなされるかによって、また今後の政府としての対応というのは国会の意思を受けて決まってくるものだというふうに考えております。
○武正委員 そうしますと、ウィーン条約では、署名、承認、批准、それぞれで留保を宣言、付することができるというふうにされておるんですが、そうすると、ではこれから批准前に留保をする、政府として宣言をする、あるいは国際連合に寄託をする、こうしたことが可能性としてあるということでよろしいですか。
○塩崎副大臣 先ほど申し上げたように、今の与えられている条約というのは、留保条項がついていない条約を前提に、この法律を今議論しているわけでありますから、今の状態のままでやるというのはなかなか難しいというのがこれまでの答弁であったというふうに理解をしております。
○武正委員 これは留保できるんでしょう。留保条項以外のところだって留保をできるんですよ。
○塩崎副大臣 より正確に言いますと、留保を付さない形で承認を得ているのがこの条約であるということでありますので、それを前提に議論してきたわけでありますから、今までの言ってきたことを急に変えるというのはなかなか難しいということを言っているわけで、きょうの委員会での提案がどういうことになって、どういう話し合いがされるのかというのは、また見ていかなければいけないということでございます。
○武正委員 ですから、ウィーン条約に言うように、批准前の留保を付するということは、午後の審議を見る過程で、政府として可能だというふうなことでよろしいですか。
○塩崎副大臣 繰り返して申しわけありませんけれども、留保を付さない形で国会で十五年に承認をされているわけでありますから、そういう留保をつけないで締結をするということで国会の承認をいただいているものですから、それをどうするかというのは、今までは難しいということを申し上げてきたわけでございます。
○武正委員 いや、さっき言っていたことは、午後の議論を見て、そして政府として対応を考えたいというふうに言われたので、そうであれば、これはウィーン条約に書いてあるように、批准前にまた留保をすることができるわけですよ。だから、これは政府がやろうと思えばできるわけですよ。
先ほど、午後を見て対応を考えたいということは、批准前の留保をすることも可能性としてあるんですねというふうに聞いたわけです。
○塩崎副大臣 先ほど申し上げたように、留保をつけずに承認をいただいたということを前提にこれまで議論してきていますから、その前提は変わらないということでありまして、法務委員会でどういう議論があるかということはまた全く新しい話であって、我々の、今まで外務省として言ってきた解釈について変更があるというわけではないということでございます。
○武正委員 そうすると、批准前の留保は行わないということですか。
○塩崎副大臣 いや、ですから、先ほど申し上げたように、十五年の承認の際に留保をつけずに承認をしてきたので、それを今留保をつけるということはなかなか難しいというこれまでの考え方を変えるわけにはいかないだろうなということを言っているわけです。
○武正委員 当然、承認イコール批准でないということでお話しになっているということでよろしいですね。
ですから、私は、ウィーン条約に言う、批准の前にも留保できるわけですから、午後の議論の推移の中で政府として対応を考えるというふうに言われたので、それができますかと言ったんですが、今はやはりできないというお答えであったわけであります。私は、ウィーン条約で認められているわけですから、なぜそうした国会での議論を、ましてまだ批准前でありますから、留保ということをやはりとっていくべきだということを再三申し上げているところでございます。
そこで、法務副大臣がお見えでございますので、実際、四年か五年かというようなことも民主党の方から提案をしてきた経緯がございます。実際のところ、フランスなどは既に共謀罪をつくっている。各国あるわけなんですけれども、例えばフランスは、五年以上の拘禁刑で処罰される軽罪の準備のために結成された集団またはなされた謀議はすべてということで、五年以上というようなくくり方もしているわけなんです。一体、共謀罪は、もう既に各国は国内でもう整備しているのか、あるいはこの条約に署名後整備をしたのか。
この点、百二十一カ国批准締結ということでありますが、内訳とか、それから、では実際四年か五年かということもありますので、フランスのように五年以上の国というのは一体そのうち何カ国なのか。これについて当然お調べだと思うので、お答えいただけますでしょうか。
○河野副大臣 共謀罪として、アメリカの連邦法あるいはイギリス、カナダは、従前より犯罪の共謀そのものを犯罪としておりますので、対象犯罪を法定刑の長さ、重さに限定することなく、犯罪を犯すことをすべて処罰の対象としております。
それから、ドイツは、犯罪団体の結成の罪として、犯罪行為の遂行に向けられた団体を設立する行為あるいはこのような団体に構成員として関与することを犯罪としております。
それから、フランスは、これも共謀罪ではなく参加罪でございますが、重罪または五年以上の軽罪の準備のために結成された集団またはなされた謀議を凶徒の結社とし、凶徒の結社に参加する行為を犯罪としております。
ただ、フランスの場合には四年以上五年未満の法定刑というのがありませんので、条約がそもそも四年以上と言っておりますが、フランスが五年以上と規定している理由は、そもそも四年以上五年未満の法定刑がないわけですので五年以上というふうにフランスは規定をしております。
そのほかの国々につきましては、今外務省が調べていただいておりますので、法務省としてもそれに協力して調査をしたいと思っております。
○武正委員 私が聞いたのは、百二十一カ国のうち、国内法を整備したのは何カ国ですか、五年以上の国は何カ国ですかと聞いたんですが、わからないということで、今以上の答弁はないということでよろしいですか。
○河野副大臣 今お答え申し上げた以外の国につきましては、外務省の調査に法務省としてもしっかり協力をしてまいりたいと思います。
○武正委員 では、外務省、お答えいただけますか。
今言った質問で、法務省は今以上のことを答弁できないようでありますが、当然、今法案の審議を法務委員会でやっておられる。しかも、それが四年か五年かということでこれだけそれぞれの議論になっている。百二十一カ国のうち実際何カ国が国内法も整備して、その五年以上の国は一体何カ国あるのか。外務省として、今法務省は調査に協力をするというような言い方をしていましたが、お答えをいただけますでしょうか。
〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕
○塩崎副大臣 今の武正先生の御質問は、ちょっと武正先生から私の方に来ていなかったものですから手元にございませんが、今どうなっているかというと、要望に応じて調査をしているところでございます。
まだそれがまとまっているわけではないので、河野副大臣が協力しますと言っているのは、今調査が続いているところだということでありますが、今手元にないので、ちょっとお話に出たような国について申し上げる立場には今ないということでございます。
○武正委員 では、例えば調査を、何カ国に対して照会をしているか、そのぐらいは答えられますか。
照会はしているんですか。何カ国に対して照会をしているんですか。何カ国から答えが返ってきているんですか。具体的な内容は今お答えになれないというお話でしたけれども、何カ国に対して照会をして、何カ国から答えが返ってきているのか。
大体、その国内法を整備している国が百二十一カ国のうち何カ国あるぐらい、そんなこともわからないんですか。半分以上、多いのか少ないのか。今法務委員会で議論しているわけですよね。
○塩崎副大臣 まことに恐縮でありますが、今手元にないものですから数字についてはお答えするわけにはいきませんので、申しわけございません。
○武正委員 いや、だってそれは、照会しているかしていないかぐらいはわかるでしょう。
○塩崎副大臣 さっき百幾つということがありましたが、批准したのは百二十幾つだったと思いますけれども、その半分以上ぐらいのところにはやっていると思いますけれども、まだ正確なところは、ちょっと数字がないのでお答えをまた改めてしたいと思います。
○武正委員 百二十一カ国の半分以上に照会をしていると思いますというお話でしたけれども、百二十一カ国の中で、国内法で共謀罪をもう既に制定している国というのは大体何カ国、例えば、では半分以上なのか少ないのか。これはどうですか。
〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕
○塩崎副大臣 主なG5レベルでいきますと、共謀罪が既にあるのはアメリカ、イギリス、カナダで、御案内のように、第五条の1の(a)の(ii)というところで参加罪というのがありますけれども、これについては、ドイツ、フランスがもうじきこれができる、こういうふうに理解をしております。
○武正委員 いや、私が聞いたのは、百二十一カ国のうち何カ国ぐらいがこの共謀罪を、国内で法整備が終わっているんですかというふうに聞いたんですね。だから、さっき半分以上には照会したというお話だったですが、今のたった四カ国じゃなくて、何カ国ぐらいあるのかと。
○塩崎副大臣 筋合いからいけば、この条約を締結しているということは、この条約で定められている組織的な犯罪集団への参加の犯罪かというところで共謀罪と参加罪があるわけですから、締結をしたということは、あるのが筋合いでありますけれども、先ほど申し上げたように、これについては調査を続けているということでありますので、正確なところはまた調査の結果を見て御報告いたしたい、このように思います。
○武正委員 いつまでに報告ができますか。
○塩崎副大臣 正確なことはちょっと申し上げられませんけれども、なるべく早くいたしたいと思います。
○武正委員 きょうの午後にも法務委員会では採決しようというのに、実際、百二十一カ国の締結国の国内法の整備状況がわからない、いつ答えが出るかもわからない。こういったことは、まずは法務省と外務省の連携がいかにできていないかということのあらわれではないでしょうか。
外務省は、条約を承認してしまえば、では後は国内法は担当省庁に任せよう、こういったことを指摘ができてしまうんですね。また、当委員会もそうなんですが、国会の連携というものは、条約、そして国内法の整備、先ほど言ったように、まず承認の段階で留保などを国会が付するということでやっていかなきゃいけない、こういうことの証左だと思うんですね。
そこで、きょう報道で、例えば外務省幹部、共謀罪を創設する国内法が整備されたとしても、条約に違反するがため締結できない、こういうような報道。あるいは自民党幹部、条約の批准手続をする段階で、条約の内容に即して法律の再改正も検討しなければならないと語ったと。つまり、今の法案、民主党案なりを午後審議をして採決したとしても、まず外務省の幹部の意見として、これはそもそも条約に違反しているから批准、締結できないよ、こういうような記事とか、それから自民党幹部、これは某国対委員長というお話もございますが、秋にまた改正すればいいじゃないか、こういったことが出ているというのは大変ゆゆしき事態だというふうに思うんです。
まずは、外務省幹部がこういうふうにしたとされておりますが、これは事実でしょうか、あるいはそういう認識でしょうか。つまり、共謀罪を創設する国内法が整備されたとしても、今の五年以上にするとか国際的な犯罪集団に限定するとかということは、やはり条約に違反するから批准、締結できない、こういう認識でよろしいですか、あるいはそういう発言をされたということでよろしいですか。
○塩崎副大臣 その報道がだれを指しているのかはわかりませんが、これまでの法務委員会での審議の過程で、外務省から御説明してきた筋論はそういうことであるということを多分言ったものだろうと思います。それに根本的に変更があるはずもないわけでありまして、問題は、国権の最高機関たる国会がどういう意思を表明されて、行政府がそれにどう従うのかということが問題になってくるわけであります。
先生も御案内のように、双罰性とかいろいろなことがあって、これから国内法整備が今回された場合に世界がどう反応するのかというのは、まだわからないわけでございます。御案内のように、この問題は、他国が他の国の国内法整備について異議を申し立てることができるわけであって、それに関して、言ってみれば、その国とはレシプロシティーを持たないという立場をとることも可能であって、ですから、国内法をどう整備したかということが世界にどうとられるのか、反応を見てみないとわからないということだろうと思います。
ですから、それはきょうの、新たな提案が出てくるというふうに聞いて、それもまだ影も形も私の目の前にはないものですから何とも答えようがないんですが、いずれにしても、国会での、法務委員会での審議を見守っていきたい、このように考えているところでございます。
○武正委員 外務大臣に伺いたいんですが、一説には、ドイツも、イタリアもですか、G8では国内法、共謀罪をもう整備したと。日本だけだ。これからサミットだ、総理も訪米する。これは、何としても訪米前あるいはサミット前に国内法は成立をさせなきゃいけない。総理の訪米なりサミットへのお土産だというような、こういう報道もあるんです。それで、今言ったように、某自民党幹部の、秋にまた改正すればいいじゃないか、こんなことも漏れ伝わってくるんですけれども、日本としては、そうしたサミット、訪米前に国内法を何としても整備しなきゃいけない、成立をさせたい、それがやはりG8の国としての義務である、責任である、外務大臣もそういうふうに思われますでしょうか。
○麻生国務大臣 これは、民主党案に乗るという話でしたよね。(○武正委員「いや、それは仮定の話ですから。これは報道ですから」と呼ぶ)直接これを担当していないのであれですけれども、報道をすべて前提にして答弁することはとてもじゃないけれども危なっかしくてやれませんので、今お答えのしようがないというのが正直なところですが、だれだれがどう言った、某幹部がどう言ったという話は、自分の名前が出ているときは大体外れていますので、余り信用したことがないんで、ちょっと武正先生、今の話を前提にして答えようがないんですが、お土産に何とかという感覚はとてもないと思います。
○武正委員 もう一回改めて聞きますが、外務大臣は、国際組織犯罪防止条約の承認に基づいて、共謀罪を含んだ国内法の整備、この国内法の整備は、過去もう三度目の、今国会でこれだけ議論があるのは当然御承知だと思うんです。今までの日本の刑法にない概念である、しかも、当初六百三十、今三百まで縮まったとはいっても、いろいろな拡大解釈の懸念ありということでもありますので、これだけ国会が与野党ともに協議をしているのはそういったところであるんですね。
ちょうどこれからまたサミットなどもあるし、あるいは総理の訪米もあるんですが、これはやはり国内法の整備というのは急ぐべきであるという外務大臣としての認識でしょうか。
○麻生国務大臣 少なくとも、条約は既に承認をしておりますので、それに従って国内法をきちんと対応するというのが国としては当然の義務なんだと存じます。
それで、六百とか三百とか、今いろいろな話が出ていますが、少なくとも国内法としては一応そういった形でスタートをする。しかし、六百で承認をしておる関係がありますので、ほかの国々は六百、日本だけ三百、それで批准になるかといえば、なかなか国際的には難しいかなという感じが、こういった条約関係をやっていればそういった懸念を持つということなのかなと存じます。
○武正委員 先ほど三十四条一項でも言ったように、自国の基本的な法制の考え方に即してというような条文もこれありますし、また先ほど、フランスは四年以上というのは国内にないので五年以上を適用しているというようなこともありますし、大体そもそも百二十一の締結国の中で何カ国、では実際に、その他の国はどうなんだろうということもわからないまま法整備を急ぐ必要というのがどこにあるのかな。
やはり外務省も、調査なりを当然、これまでもう三回も国会に提出されているんですから、それがこれまで行われなかったというのはやはり外務省の怠慢じゃないでしょうか。それで、今法務委員会で議論をして、議論のときには何が出てくるか。条約を承認したじゃないか、賛成したじゃないか、しかし、国会は留保をつけられないということなんですね。やはり外務省としての責任、他国がどういう国内法の整備状況かというのをこれまで怠ってきたということの責任は感じられますか。外務大臣、いかがですか。
○麻生国務大臣 この話の経緯が詳しくわかりませんので、通常ですと外務省の仕事というのは、国内法の話は担当の役所がやることになりますので、担当の役所で主にやる。こちらの部分は国際、先ほど縦割りの話になっておる、弊害があると言われたのは事実なんだと思いますが、今回の場合、そこの間の横の連絡が必ずしも密接にいっていなかったのがこの結果を招いたかな。ちょっとまだ情勢分析やら何やらがきちんとできておりませんので、今の段階でお答えできるのはそこまでです。
○武正委員 今言われたように、国内法の整備は担当省庁だと。ただ、条約の署名に当たっても、それぞれの担当省庁と外務省が組んでやっておられるわけですよね。ですから私は、やはり承認後も外務省としても国内法の整備に当たって積極的にかかわっていかないと、先ほど情報は外務省からというふうに河野副大臣は言われましたけれども、でも、その情報聴取がこの三年間ずっと行われないまま、またいつわかるかわからない、こういったことでは、政府として、条約承認、そしてまた批准までのこの国内法の整備、大変それぞれ問題を抱えるそういった条約だけに、やはりこの縦割りの弊害というのは直さなきゃいけないというふうに思うわけでありますが、では副大臣、どうぞ。
○塩崎副大臣 昨年、私、法務委員長をやらせていただいて、この条約刑法も審議をいたしまして、その前は筆頭理事を法務委員会でやっておりましたからよくわかっているわけであります。
調査をしていないというおしかりをいただいているわけでありますけれども、日本も、例えばASEAN諸国などに、法制度支援というのを、法務省を中心にやっているわけですね。したがって、私どもも、参考にすべきところについて、すなわちG7あたりの先進国については、さっき河野副大臣も一部御披露されていましたけれども、そういうところについてはしっかり調査をした上で議論を法務委員会でもやってきたわけでございまして、決してサボっていたわけではないんですが、さあ、果たしていろいろ世界じゅうたくさんある国を全部調べるほど外交資源があるのかというと、それは先生が一番御存じのとおりであって、それは、共謀罪等々について先進国でどういうふうにやってきているのかということは、しっかり調べて資料も提供してきているわけでございます。
○武正委員 でも、各国には大使館が置かれて、訓令ということでそれぞれ皆さん調べるわけですから、そんなの一発でできるだろうということですよね。ですから、やはり今のお答えでは、各国の日本の大使は本当に仕事しているのか、こういうふうになってしまいますよ。
○塩崎副大臣 調査をしていないと言っているわけではなくて、今、調査もしているわけでありますので、結果はわかり次第御報告したいと思いますと言っているわけでありますが、参考とすべきかなという先進国について、今まで調べた結果をもとにしながら議論をしてきたわけであって、それ以上のことについても今調査中でありますけれども、少し遅くなっている理由として、今申し上げたようなことでありますから、鋭意これは続けて調査をしてまいりたい、このように考えます。
○武正委員 これは、全公館には調査訓令は出しておられるんでしょうか。
○塩崎副大臣 先ほど申し上げたように、百二十一全部やっているわけではないわけですけれども、半分以上はやっているはずでございますので、その辺は調査をしているというふうに信じていただきたいと思います。
○武正委員 いや、信じてくれと言ったって、はずでございますで信じてくれと言われても、何ともあれなので。訓令を出したのか出さないのかを伺っているので。
では、訓令を出したのは何カ国なんですか。
○塩崎副大臣 今、質問がもともとなかったものですから、正確にちょっと調べてなくて申しわけないんですが、訓令を当然出して調査をせい、こういうふうに言っているわけでありますので、それが半分以上はたしかあったはずだと言っているので、正確なところはまた改めて調査をいたしたいと思います。
○武正委員 では、その他の国も訓令を出すということでよろしいですか。
○塩崎副大臣 鋭意調査をしたいと思いますので、そうしたいと思います。
○武正委員 法務副大臣、どうぞ、午後も委員会もありますので、お引き取りをいただければと思います。
事ほどさように、やはり法務省も大変だと思いますよ。こうした外国の条約を結んで国内法を整備せよといったって、その後、では法務省がやりなさいと言われても、諸外国の例とかいろいろ引き合いにしながら、やはりこれ、日本の刑法にない概念を国内法で整備するわけですから、やはりそこは、閣内でそれぞれ、特に外務省は、条約承認後の国内法整備に当たって、関連省庁と積極的に連携をとって、特に今はもう各国の情報をとらなきゃいけない時代ですから、せっかく大使館があって大使がいるわけですから、ぜひその点は積極的に強力に進めていただきたいと思いますし、こういう状況で、やはり午後の委員会の審議が、私は、採決とかいくようにはとても思えない。というのは、各国の状況が、今もってまだ調査もしているはずだで、いつ返ってくるかもわからないということでありますが、そのことを申し述べたいと思います。
副大臣、どうぞお引き取りください。
さて、こちらの方に時間をとられまして、官房副長官、お待たせいたしました。
お手元の方にも閣議決定の資料を配らせていただきましたが、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」、それから、額賀防衛庁長官と沖縄県稲嶺知事との基本確認書、これを配らせていただいておりますので、今回の閣議決定について伺わせていただきます。
まず、この閣議決定の政府における位置づけをどう認識されているのか。特に、今回、九九年の普天間移設に伴う閣議決定を廃止したわけでありますが、そのことの責任をどう認識しているのか。官房副長官、お答えいただけますか。
○長勢内閣官房副長官 内閣法第四条第一項では、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」というふうに定められておるわけでございますので、閣議決定は最高行政機関である内閣の意思決定の方式であるというふうに理解をいたしております。
九九年の閣議決定を廃止したことについてでございますが、平成十一年の閣議決定では、普天間飛行場の移設に係る政府方針として、同飛行場をキャンプ・シュワブ水域内名護市沿岸域に移設するとの方針を決めて、そのもとで、安全・環境対策や地域の振興等について規定をいたしております。
その後、政府としては、従来のこの普天間飛行場代替施設の案を変更して、本年五月に日米安全保障協議委員会で承認された案、これを基本として進めることといたしました。
今後、具体的な代替施設の増設計画、安全・環境対策及び地域振興について、沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関を設置して協議をし、対応するということにいたしたところでございます。
○武正委員 過去、閣議決定を廃止した例を聞きますと、規制緩和に伴う閣議決定を廃止して、また新しくと、特にお酒、酒類ですかね、こういったことがあったということで、やはり閣議決定というのは極めて重いもので、それを廃止して新たな閣議決定をするという、この責任、それは大変重大なものがあるというふうに思うんですが、その責任を内閣としてどのように認識をされていますか。責任についてですね。
その九九年の閣議決定をしながら、それを今回廃止した責任ですね。特に、北部振興あるいは十五年あるいは共用など、やはり今回の閣議決定から漏れているものもかなり見られますので、そうした点も含めて、まず責任についてはどのようにお考えでしょうか。
○長勢内閣官房副長官 前の閣議決定を、その後のいろいろな経過の中で変更する必要があるということで方針を変更したわけでございますので、この判断というものは内閣全体で負っていくものだと思っております。
○武正委員 責任は内閣にあるということでよろしいですか。
○長勢内閣官房副長官 方針を変更いたしましたので、前の閣議決定を廃止して新しい閣議決定をしたわけでございますから、これは内閣としての決定でございます。
○武正委員 内閣としての決定でございますじゃなくて、私は責任論を聞いているんで、責任はどこにあるんですか。極めて重い閣議決定を廃止したことの責任はどこにあるんでしょうか、だれにあるんでしょうか。
○長勢内閣官房副長官 状況の変化に対応して方針を変更して、それを閣議決定したわけでありますので、内閣として責任を負ってこれを遂行していかなきゃならぬと思います。
○武正委員 内閣としての責任ということで理解をいたしました。
そこで、これは報道なんですけれども、今回、この閣議決定に、辺野古崎とかあるいはV字形滑走路などの具体的な地名とか工法が明記をされていなかったということなんですけれども、一部報道では、外務省は、やはり五月一日の2プラス2で最終合意、最終報告しているわけですので、この日米交渉をやってきて、審議官級協議もやってきて合意したのに、何で閣議決定に盛り込めないんだ、こういうふうに外務省としては主張していたという報道があるんですが、その真偽を外務大臣に伺いたいと思います。
○伊藤大臣政務官 お答え申し上げます。
今議員御指摘のとおり、今回閣議決定を行うに当たって、先般の2プラス2で承認された在日米軍の兵力態勢の見直しに関する具体的な計画につき、着実かつ早期に実施するとの観点から、関係省庁との間でいろいろな検討を行ったわけでございますけれども、その検討の過程の詳細については、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、外務省としては、今回の閣議決定を受けて、先般の2プラス2で承認された案を着実に行うため、引き続き、沖縄県また関係地方公共団体の理解を得つつ、着実に実施されるように努力を続けていくという所存でございます。
○武正委員 防衛副長官に伺いますが、この三枚目の基本確認書、稲嶺知事は、この基本確認書違反である、だから沖縄県は協議会に参加しない、今回の閣議決定は極めて遺憾である、こういうふうに言っておられる。
その根拠は、この基本確認書の四番目の、政府は、在日米軍再編の日米合意を実施するための閣議決定を行う際には、政府方針を踏まえ、協議することに合意する、つまり、閣議決定の前に事前にその内容について協議をすると合意をした、ところが、五月三十日の閣議決定と五月十一日の間、この協議がなかった。これが特に稲嶺知事が、約束違反じゃないか、こういうふうに言っているわけですけれども、この点については防衛庁としてどのように認識をされていますか。
○木村副長官 先生おっしゃる、知事が約束違反という言葉を発したという事実は私たち承知しておりませんで、ただ、三十日にその閣議決定をした際に、記者とのやりとりの中で、例えば、閣議決定は政府がなされることであり、国の考え方であることは十分理解、あるいは、県は基本的な考え方を今後とも主張していく、また、協議の場については関係市町村と連携をとりながら話をしていく等々を記者団に語ったということは承知しております。
私ども、四月七日の日に名護市や宜野座村との基本合意書、そして五月十一日に沖縄県との基本確認書というものを踏まえさせていただいたわけでありますが、その後も、沖縄県、名護市等々関係自治体とは閣議決定の間にいろいろなレベルで協議を行ってきたところでありまして、今後とも、内容の実現を図るために、引き続き関係機関と連絡をとりながら協議を続けていきたい、こう考えております。
○武正委員 この四番で事前に協議するというのはしていないわけですよ。だから、これはやはりこの基本確認書違反であるということが知事が言っていることなんです。
時間も大変限られてまいりましたので、官房副長官には、何で辺野古崎が、この地名が閣議決定に書かれなかったのか。これは、これから、もしかしたら辺野古崎から移転する可能性もあるんじゃないか、やはりこういうような憶測も招いてしまうわけなんですね。私は、なぜこういった形になったのかということも聞きたかったんですが、ちょっと時間の関係もありますので、どうぞお引き取りを、官房副長官、どうもありがとうございます。
それで、もう時間が限られておりますので、本来であれば、防衛庁に、今国会、法案策定作業、米軍再編法案、してきたのかとか聞きたかったんですが、ちょっと先を急がせていただきます。
外務大臣、三十一日ですからおとといの外務委員会で、日本側が頼んでグアムに出ていってもらったというふうに外務大臣は言われましたが、その認識に変わりはないのかというのが一点。
ちょっと時間の関係もありますので、これまで日米合意文書に記載されてきた抑止力の維持というのは、何に対する、何のどこにおける抑止力なのか。
あわせて、恐縮ですが三問、KC130航空機がグアム、鹿屋、岩国のローテーション展開をしたり、そもそもこのグアムへの米海兵隊司令部移転などが抑止力の維持の抑止力に含まれると考えるかどうか、つまり、グアムに米海兵隊が移転をする、これは抑止力の維持の抑止力に含まれるのか。
以上三点、伺わせていただきます。
○麻生国務大臣 時間が押しておりますので、手短に、早口で申し上げるのをあらかじめお断りしておきます。
グアムの話が出ておりましたけれども、これはグアムに限らず、横田の基地の空域の話とか厚木の話とか、いずれもこれは日本にとりましては負担の軽減になるということははっきりしておると存じます。少なくとも、沖縄の海兵隊員がグアムに移っていく等々は、従来から日本としては抑止力の維持と地元の負担軽減を図ることができるということを言っておりましたので、グアムの移転というのは、沖縄県内からの海兵隊員が移転するということは日本としては前々から言っておりますことなので、今の認識に変わりはありません。
抑止力の維持とは何を意味するのかといえば、これは基本としては、日本の周辺というのは冷戦後も不安定かつ不確実な状況が続いているという中で、在日米軍というものが持っております地域の平和と安定にとりましていわゆる不可欠な抑止力というものを、機能を果たしているということでして、地域の安全保障環境全般というものを前提としたものだというように御理解いただいて、特定のいわゆる国とか地域を対象にしたものではないということを申し上げたところであります。
そもそも抑止力というのは、仮に侵略をされた場合は、向こうに対しても耐えがたい損害を与えますよということを明白に認識させるようということで、侵略を思いとどまらせるというのがそもそもの抑止力というものの定義でもあろうと存じますので、私どもとしては、抑止力を維持しながらということだろうと思っております。
もう一つ、最後になりましたけれども、鹿屋、岩国の話だと思いますが、抑止力の維持の抑止力に含まれているのかといえば、私どもとしては、地元の負担軽減を図りながら抑止力を維持するというところが一番悩ましかったところだと思いますが、抑止力を維持するためにはどのような能力が必要かというのは、これはなかなか一概には言えないところだと思っておりますけれども、基本的には、緊急時、一たん緩急あった場合もしくは有事の際に来援などを求めてその地域における米軍の前方展開態勢というものの全体のあり方を踏まえて判断されるものだと存じます。
○武正委員 時間が来ましたけれども、今ちょっと二つほど漏れていたので、抑止力は、どこに対する、地域的な対象じゃなくて、例えば日本の国に対するさまざまな外部からのそうした圧力などに対して抑止をする、つまり、そのよって立つところが日本ということであるのかどうかの確認と、それから最後は、グアムに、特に今回の八千人、移転をしているわけですから、鹿屋のローテーションじゃなくて、在沖海兵隊が八千人行ったわけですね。あそこに海兵隊が移って、この移ったグアムの海兵隊も今の抑止力の維持の抑止力に入っているのかどうか、この二点を伺いたいと思います。
○麻生国務大臣 前半の点につきましては、申し上げましたとおり、在日米軍の抑止力は、いわゆる地域の安全保障環境を前提としたものであって、特定の国とか地域というものを対象とするものではないということを申し上げたつもりだったんですけれども、基本的には、日本にとりましては、この国は通商国家として成り立っておりますので、日本の周辺というものに関しましても当然その地域の安定というものは日本の国益に資するところ極めて大きいと思いますので、日本はもちろんのこと、日本の周辺に当たっても同じことだと存じます。
もう一個は、ローテーション……(○武正委員「いや、海兵隊」と呼ぶ)ああ、海兵隊。済みません。
海兵隊が沖縄からグアムに移った上で、機動力の向上、軍事技術の進歩等々によって、沖縄から地理的には太平洋の方に下がったような形になっても、私どもとしては、抑止力は維持できるという前提で今回の話をまとめたというように御理解いただければと存じます。
○武正委員 一問目の質問については、資料の四ページ、これは昨年の秋の2プラス2の合意文書でありまして、要は、「この再編との関連で、」「沖縄の負担を大幅に軽減することにもなる相互に関連する総合的な措置を特定した。」と。ですから、米軍再編に伴って沖縄の負担軽減があるという、両国の外務、防衛両担当大臣で交わした文書、ぜひこれを御認識いただいて、日本から出ていってくれと一方的に頼んだからということは、ぜひ御認識を変えていただいて、やはり全世界的な米軍再編成に伴っての今回の沖縄の負担軽減、これが相互に関連ということで、御認識を改めていただくというか、今までもお持ちだと思うんですが、ぜひそうした旨で御発言をいただければと思います。
最後の点では、私はやはり日米の安保条約というのは、日本国内の米軍基地の提供ということで交わされた条約でありますので、当然、極東の安全のために、平和のためにということが六条ではありますが、かといって、今回の日米のこの議論が、ではその国、日本に対する抑止力という……
○原田委員長 予定の時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。
○武正委員 その根幹が外れているということは、私は今の、グアムに米軍が移って、それも抑止力なんだと、抑止力がどんどんどんどん拡大をしていってしまって歯どめがないということであって、これはやはり認識を改めていただかなければならないというふうに、また後日に譲りたいと思います。
ありがとうございました。 |
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