2006/10/16
【衆イラク特】テロ防止とイラク支援で質問 中川・武正・長妻議員 |
16日、衆院テロ防止・イラク支援特別委員会の午後の質疑には、中川正春・武正公一・長妻昭議員が質問に立った。
■テロとの戦い 日本独自の施策を示せ 中川議員
中川議員は、非核三原則の方針、燃料調達価格、自衛隊の撤退時期などを取り上げ、特に、1年という延長期間について明確な基準の説明を要求。「支援そのものを根本から見なおす必要がある」との見解を示した。
米国の「テロとの戦い方」に対しては、原点に戻った評価が必要であると述べ、「日本なりの独自の外交を展開したいという安倍総理の思いがあるならば、議論の中に当然出てきて良い」と、その説明を求めた。さらに、地域のニーズを把握し、効果的にテロを鎮める社会経済開発、また統治機構作りにも言及し、軍事部門だけではなくネーションビルディングに貢献する重要性を指摘。その観点で、日本独自の施策を主張すべきだとした。
政府が今なすべきことについては「政府として何をする意思があるのかをはっきり示すこと」として、「政府が国会に『これをしたい』と意思表示し、それをもとに議論するプロセスにしなければならない」と語った。
■自衛隊の武器提供の可能性質す 武正議員
武正公一議員は、テロ特別措置法、イラク特別措置法で、武器の提供は可能かどうか、検討されている自衛隊の海外派遣恒久法ではどうなるのかを質した。塩崎官房長官は、テロ対策特別措置法、イラク特別措置法では法律上武器の提供はできないと答えた。恒久法については、実際の法律の書きぶりによるので、現時点では答えることは難しいとした。
武正議員はまた、武器・弾薬の輸送・運搬がイラク特別措置法で可能かどうかを質した。塩崎官房長官は「イラク特別措置法では武器・弾薬の輸送は除外されないが、行わない方針。実施要綱で行わない」と答えた。
最後に、ロシアによって拿捕襲撃された漁船の船長が週刊誌に寄せた手記に言及。領海内で操業中だったこと、違法な密漁はしていないなどと述べていることについて、政府としても、真偽を早急に質すよう求めた。麻生外相は、「コメントは言えない。双方の言い分が大幅に違う」と答えた。
■自民党政調会長発言を批判 長妻議員
長妻昭議員は、インド洋に艦船を常に派遣している国がアメリカ、イギリス、日本の3国であることを明らかにした上で、そのことが身の丈にあった支援なのか、検討を求めた。
次に、中川自民党政調会長が15日のテレビ番組で、核武装も憲法は否定していないなどと発言したことを取り上げ、憲法の精神からして、核は否定されるべきではないか、と質した。久間防衛庁長官は、「精神からしてもたない」としていると答えたものの、法理論、憲法に核をもたない、と明文規定があるわけではないとして、憲法上否定されるとは明言しなかった。
長妻議員は、任命権者である安倍自民党総裁(首相)は、中川政調会長に注意すべきではないか、と追及したが、塩崎官房長官は「総理は、非核3原則の堅持を明言しており、官房長官としてはそれ以上のことはない」と答え、政府としては問題視しないことを示唆した。
最後に、長妻議員は、国連の制裁決議に日本としてできることをさらに検討するよう求めて質問を終えた。
(民主党ホームページより転載)
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■武正委員
テロ対策特別措置法改正案についての質疑を行わせていただきます。お手元の方に、理事会のお許しも得て、ACSAの部分と、それから週刊新潮の記事を配らせていただきました。
まず、このテロ特措法そしてまたイラク特措法における武器弾薬の提供について、これが行えるのか行えないのかについて、改めて官房長官から御答弁をいただきたいと思います。
■塩崎国務大臣
武器弾薬の提供を行うかどうかという御質問でございます。
テロ特措法におきましては、提供可能な物品の対象から武器弾薬は除かれているわけでありまして、米軍など諸外国の軍隊等または国際連合等に対して武器弾薬の提供を行うことはございません。
■武正委員
イラク特措法もあわせてお答えいただけますでしょうか。
■塩崎国務大臣
イラク特措法の場合でありますが、米軍の武器を運ぶ役務の話ですか……(武正委員「その前に、まず武器弾薬の提供の話」と呼ぶ)失礼しました、ちょっと先に言っちゃいまして。
イラク特措法に基づく武器弾薬の提供の問題でありますけれども、イラク特措法においては、提供可能な物品の対象から武器弾薬は除かれている。そして、米軍など諸外国の軍隊等または国際連合等に対して武器弾薬の提供を行うこともないということでございます。
■武正委員
もし、武器弾薬の輸送についてお答えをいただけるとありがたいんですが。
提供はそれぞれ除かれている、行わないということですが、テロ特、イラク特、それぞれ輸送についてはどうなのか、お答えいただけますでしょうか。
■塩崎国務大臣
テロ特措法における輸送でありますけれども、協力支援活動として行われる物品の輸送については、外国の領域における武器弾薬の陸上輸送を含まないとされております。
それから、イラク特措法の方での輸送でございますが、武器弾薬については、イラク特措法の文言上、輸送の対象から除外されているわけではないということで、他方、我が国の活動は人道復興支援活動を中心とするとの考え方から武器弾薬の輸送は行わない方針でありまして、同法八条第二項に従って防衛庁長官が定める実施要項において、物品の輸送に際しては、武器弾薬を含むわけですが、その輸送を行わないとしたところであります。
■武正委員
質問通告にはないんですが、周辺事態安全確保法、この場合ですと、今のそれぞれの質問、武器弾薬の輸送あるいは武器弾薬の提供はできるんでしょうか。お答えをいただけるとありがたいんですが。
■久間国務大臣
武器弾薬の提供は、原則としてすべて外しているはずであります。というのは、先ほどのテロ特措法もそうですし、イラクの場合もそうですけれども、いろいろな議論の中で、武器についてはアメリカがそういう要求をまずしないわけです。アメリカというところは、自分が使う武器を人からもらったのでは、信用度が低いのかどうか知りませんけれども、まずそれには触れさせない、輸送はさせるということであります。
ただ、テロ特措法のときは、この国会の中でいろいろ議論しまして、我が国が陸上輸送をしようとしたときにデモ隊に包囲されたときに、では、それをけ散らすことができるのか、そういう議論の中から陸上輸送はやめようということで、そこは外したわけであります。
イラク特措法のときも、輸送は法律上は外れておりますけれども、さっき言ったように、人道支援を中心としてやるんだからそれはやめようということで実施要項から外した、そういうようなことでございます。
周安法においても、そういう点で、武器については原則として提供はしないということになっております。
■武正委員
輸送については、周辺事態安全確保法ではできるということでよろしいですか。
■久間国務大臣
そういうようなことから、輸送については可能であります。
■武正委員
そこで、お手元のACSA、日米物品役務相互協定でございます。周辺事態安全確保法のときにもACSAが改正をされ、そしてまた、テロ特、イラク特ということで改正をされたわけでございます。
その改正のところが第六条の四ということで、米国への後方支援については「付表2に定める日本国の法律の規定であって現に有効なものに従って行われるものと了解される。」ということで、ここにイラク特措法そしてテロ特措法が書き込まれた、こういう経緯でございます。
さらに第十二条では、「付表2は、両当事国政府の合意により、この協定を改正することなく修正することができる。付表2の修正は、両当事国政府間の外交上の公文の交換によって確認された日に効力を生ずる。」こういったことがありますので、国会のこの協定の改定あるいは国会の承認というものを経ずに、日本国の法律を政令によってこの付表2に加えれば、こうした米国への後方支援、物品役務の提供ができる、こういう協定になったわけでございます。
そうしますと、次にお伺いいたしますが、付表2からは、自衛隊が米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は応じても構わないのかどうか。もう一度言います。自衛隊が米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は応じても構わないのか。これについて、官房長官、お答えいただけますでしょうか。
■塩崎国務大臣
今取り上げておられますACSAに基づく手続の枠組みに従って行われる自衛隊による米軍に対する物品、役務の提供につきましては、あくまで、そのような物品、役務の提供について我が国国内法上の根拠がある場合に限り行われることとなるわけであります。
御指摘の米軍の武器の輸送についてもそのような役務を提供し得るのかについては、そのような役務提供の根拠となるおのおのの国内法の定めるところに従って判断されるということになるわけでございます。
■武正委員
国内法の判断によると、例えばテロ特、イラク特、これがACSAの付表2に書き込まれているわけですが、これに基づいて、今言いましたように、米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合は応じることができるというふうに読んでよろしいんでしょうか。
■塩崎国務大臣
それぞれの二つの御指摘の法律のもとでどうなるかということでありますけれども、まずテロ特措法のもとででありますけれども、テロ特措法の別表第一及び第二は、自衛隊が対応措置として実施する業務には、「外国の領域における武器」弾薬を含むわけですが、「の陸上輸送を含まない」としているわけであります。したがって、外国の領域における陸上輸送を除き、米軍に対し武器の輸送を行うことは可能だということでございます。
それから、イラク人道復興支援特措法、このもとでの自衛隊の活動は、先ほど来お話が出ておりますように、人道復興支援活動を中心とするということからその輸送を行わない方針でございまして、実施要項において、武器弾薬の輸送は行わないこととしているところでございます。
■武正委員
一つ目について、陸上を除いては、米軍の武器を運ぶ役務は提供できるというふうにお答えになられたんでしょうか。
■塩崎国務大臣
外国の領域における陸上輸送を除き、米軍に対し武器の輸送を行うことは可能であるというふうに申し上げました。
■武正委員
では、公海上ということは含まれるということですか。
■久間国務大臣
ACSAによる役務の提供は、あのときの議論では、法律で、ここでこういうことができますとやったものについてはその都度一々協定を変えなくてやれるようにしようということで、包括的な協定になったわけであります。したがいまして、法律上は、イラクの場合、テロ特措法の場合、できる。ところが、イラクについては、事実上実施要項でとめておる、そういう問題がございますけれども、ACSAの一般的な性格からいいますとそういうふうになっておりますから、法律上、院で認められた内容に従って、それは要求があればやれないことはないということになっておるわけです。
ただ、実施要項でやらないとなっているものをやるかどうかは、それはやはり日米間で協議しなければなりませんから、事実上は、何も、法改正はしないでやれるわけであります。(発言する者あり)公海上もそれは同じであります。委員外発言に答えて失礼ですけれども、公海上も、それは公海内も一緒でございます。
■武正委員
もう一度官房長官に聞きますが、まず、テロ特措法では、米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合は、公海上であればそれを提供できるということでよろしいですか、官房長官。
○塩崎国務大臣
公海上についてですね。そうです。
■武正委員
それから、イラク特措法について触れられましたが、人道復興支援を主なものとして、また実施要項で定めるというお話でしたが、安全確保支援活動について、米軍の武器を運ぶ役務の提供をACSAに基づいて要請された場合はそれに応じて構わないんでしょうか。
先ほど人道復興支援を主に言われましたが、安全確保支援活動に基づいて米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合は応じて構わないんでしょうか。
■浜田委員長
山崎局長。
■武正委員 いや、私は政治家だけに求めておりますので、政治家でお答えをいただきたいと思います。
■浜田委員長
では、もう一度質問していただけますか。
■武正委員
いや、もう何度も言っていますから。
■浜田委員長
では、久間防衛庁長官。
■久間国務大臣
ACSAは、日本政府がやれるかやれないかをACSAで決めているわけですから、要請が仮にあったとしても、それをお断りしますよということは言えるわけですね。だから、そういう点で実施要項で運ばないというふうになっていれば、それについてはだめですよという話をするし、もし日米間で協議して、イラクで実施要項に入っていないものを、役務の提供をやはりしなきゃならないという話になってきた場合には、そのときは実施要項の改正をしなければなりません。しかしながら、法律上はどちらもあるから、協定の改正はする必要はないということを言ったわけであります。
だから、それについて私の説明の仕方が悪かったのなら訂正しますけれども、私はそういうことで言っているわけでございますから、法律上の話とそれから実態上の話と、また、政令でするかしないかの話と、三つがそれぞれ、使い分けているというわけじゃないんですけれども、表現がどうも違っているのでそういう混乱が生じたんじゃないかなと思います。
■武正委員
ちょっと官房長官にもう一度お伺いをいたします。
先ほど、テロ特については、米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は公海上応じても構わない、こういう御答弁でしたが、イラク特措法において、安全確保支援活動において米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請される場合は応じても構わないのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。
■久間国務大臣
イラクの場合は人道支援と安全確保支援と二つありますけれども、どっちも同じように、実施要項で同じような扱いにしておりますから、片一方がよくて片一方が悪いとは今やっていないわけです。だから、もし、先生の言われるように安全確保支援法でやろうとした場合でも、実施要項を変えない限りできませんし、だから、我が国はアメリカに対して、我が国はこういう実施要項で従来やってきているから、これでそれはできませんというふうにお断りすれば、それは、アメリカが、いや、どうしてもやってくれということで協議して実施要項を変えれば別ですけれども、そうでない限りは、私のさっき言ったような答えになると思うんです。
だから、両方別々だというふうなことじゃなくて、今やっているのは、内容的に、運べるような役務の提供等については同じ扱いにしているというふうに理解していただければいいんじゃないかと思います。
■武正委員
要請があっても断れるということは、要請があってそれを受けなければならないということが十分考えられる。その理由は、やはり協定を日米両国で結んでいるからでございます。
ですから、今、断ればいいんだというお話ですけれども、これも、イラク特措法、その安全確保支援活動に基づいて米軍の武器を運ぶ役務の提供を要請された場合はそれに応じなければならない、あるいは応じることができる、こういうことであるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
■久間国務大臣
日米関係というのは、そんなふうに、一方がこれをやれと言ったら、はい、やりますというふうなことじゃなくて、もっと親密な間柄になっているわけでございますから、要請する前に、実際どうかというようなことでいろいろ下打ち合わせをするわけでありまして、我が国は我が国のいろいろな状況を言いながら、そこまでする必要はない、こういうような状況になっているというような話の中で話が進められていきますので、協定を改正する必要は私はないというふうに思っております。
■武正委員
きょうも官房長官から、本法案もそうでありますが、過去、政府からの説明は、やはり日米同盟の相手国の事情もこれあり、あるいは、それぞれの国の実施状況についてはこれありということでなかなか説明できないんだ、こういうことをこれまで政府からさまざまな説明の際に言われております。
私は、この特措法というものは、本法を五年前に審議したときに、シビリアンコントロール、国会の関与ということで、国会は多くの時間を割きました。それは、自衛隊を海外に派遣するについてはやはり慎重であるべきということで、しかも、国会の関与をしっかり求めていく、こういったことを我々国会が大事にしたからだというふうに思っております。
ですから、私は、いわゆる恒久法というような形ではなくて特措法という形でこうして延長をなぜしなければならないのか、こういったたびにしっかりと議論していくということは国会として大事だというふうに思っております。それについても、どうしても、外交、安全保障について政府からの説明がなかなかされない、こういったことがあるからでございます。
そこで、質問を次に移らせていただきますが、この付表2に、例えば、これから、先ほど官房長官も検討はするんだというお話でしたが、自衛隊海外派遣恒久法が書き込まれた場合、いわゆる世界じゅうどこでも米軍の後方支援ができるのではないかという指摘がありますが、これについて官房長官としての御答弁をお願いいたします。
■塩崎国務大臣
自衛隊が要請を受けた場合、恒久法の話を前提に今お話をされたわけでありますけれども、議員御指摘のいわゆる一般法、先ほど来議論が出ておりますが、今後いかなる国内法が成立するかも、なかなかこれは私どもとしても予断できないので、仮定の質問になるわけであります。
いずれにしても、ACSAの枠組みに従って行われる自衛隊による物品そして役務の提供というのは、あくまでも国会の議決を経た法律の規定に基づくものに限って行われるという厳格な扱いを今日までやってきているわけであって、国内法の裏づけなく、ACSAのみによって自衛隊による米軍への支援が無限定になるということはないというふうに考えております。
したがって、今、恒久法ができた場合の話をされましたが、今ないものを前提とするお答えというのはなかなか難しいというところだと思います。
■武正委員
恒久法がここに書き込まれた場合、恒久法の中身はこれからなんでしょうけれども、恒久法が成立した上で、何かいろいろな場合を想定してそれぞれ一つ一つ法律をつくっていくわけではないというふうに私は理解しております。それが、恒久法を進めたいという方々の立論の根拠になっているからでございますので、ここに恒久法が書かれた場合は、テロ特やイラク特のように一々議論しなくても、自衛隊が海外に、国際平和協力活動のもと、派遣ができるんだ。ただ、それはいろいろと条件をつけておられます、国会の事前承認とかいろいろな形で。ただ、法律ではないわけですね。法律にはならないわけですよね。どうですか、官房長官。
■塩崎国務大臣
先ほど来、この別表二のことを例示として出されているわけでありますけれども、恒久法がそもそもどういうものになるのかよくわからないわけで、そこに別表がつくのかつかないのか、あるいは法律の中に書き込まれるのか、いろいろな可能性があり得るわけであります。
今の武正議員の御質問は、恒久法ができた場合には自動的にできるようになるのではないのかということですけれども、それはやはり、法律立てがどうなるのか、この国会における議論を通じての国民の合意形成が行われて、法律でどこまで定め、そして別表なりにどこまで落とすのかというのは、そのときに決まってくるんだろうと思います。それに基づいて初めて、役務提供を行うのかどうかということについては決まる話であって、まだ見ぬ法律を前提に答えるのはなかなか難しいかな、こんなふうに思ったところでございます。
■武正委員
それでは、前国会に提出をされております、いわゆる防衛省への昇格法案に伴う自衛隊の本来任務に国際平和協力活動が書かれた場合、それをこの付表2に書き込んだ場合はいかがでございましょうか。
○久間国務大臣
個別の法律で、具体的な役務の提供とかそういうことができるような根拠規定が書いてなければ自動的には読み込めないわけですから、どういう法律が書かれているかですけれども、防衛庁の省昇格のときの国際協力業務ではそういうことは書いておりませんので、それに基づいて直ちに物品、役務の提供が今のACSAで読めるということにはならないわけであります。
■武正委員
私が危惧するのは、国際協力活動を本来任務に書いた防衛省昇格法案の後に今度来るであろう自衛隊の海外派遣恒久法、これがこの付表2に書かれた場合の対応というか、予想されるところ、これを危惧しての質問でございます。
続いて質問を移らせていただきますが、お手元にお配りいたしました記事をごらんいただきたいと思います。
ロシア銃撃・拿捕事件、坂下船長も帰国をしたわけでありますが、ここに特別手記ということで、坂下船長の発言が記載をされております。
三十二ページの上から四段目を見ますと、照明弾だとか威嚇射撃なんてなかった。いきなり撃ってきたのさ。こちらは中間ラインよりもさらに手前の規制ラインの線上で漁をやってたんだから、危ないなんて全然思ってなかった。
ページをめくりまして、三十四ページ一段目、前から十行目です。拿捕された地点も、規制ラインからぎりぎりだったけど、中間ラインよりは百七十メートルから百八十メートルぐらいは余裕があった。GPS、衛星利用測位システムでも確認してあるから。
二段目。エンジンをとめたのは、日本の海域だから逃げる必要はないと思ったのさ。
三十五ページ、後ろから二段目です。これはもう国後に護送されてその後の発言でありますが、最初のうちは頑張っていたけれども、若い人が死んでるんだから、二人の乗組員の精神状態も心配で、早く帰してやりたいと思った。罰金五十万ルーブルで船も返ってくるという話だったから、まず若い衆を帰してやらねばと考え、仕方なく罪を認めることにしたんだ。
一番下の段、最初のところでありますが、ところが、おれの裁判が終わる前に、弁護士から、船は返されないということを聞かされたのさ。
こういった手記が出ているわけでございますが、外務大臣、坂下船長のこの手記、これについて、真偽というかあるいは感想、これをお答えいただけますでしょうか。
■麻生国務大臣
これは三日でしたか、解放された坂下という吉進丸の船長が書かれた話というものについては、外務省の職員も話を聞いております。
この事実関係の詳細については、これは権限のある関係当局者が船長を含む乗組員と直接話をするということになるんですね、基本的には。そういうことになりますので、私どもとしては、現時点で、予断するようなコメントというのは外務省としてはなかなか言えないところです。
ただ、邦人保護の観点というのが私どもの立場でもありますので、捜査の目的で事情聴取を行ったものではありませんけれども、いずれにしても、こういった話というのは双方から聞かぬとどうにもなりませんし、坂下という船長の言い分と向こう側の言い分というのは、これはかなりこの種の話が違うのは、通常でもありますけれども、今回も大幅に違っておりますので、これは海保やら警察やらの関係の後、調べた上で、そちらの話が今進んでいますので、私どもとしては、邦人保護という点におきましては、一応、一人の死者を除きまして残り三人がこっちに帰国した形になっておりますので、あとは船体を返してもらいたいということで、既にラブロフ外務大臣とこの問題について二度ほど電話して、話をやり合ったところではあります。
■武正委員
それで、船体は返ってくるんでしょうか。
■麻生国務大臣
今のところ、返ってくる見込みは立っておりません。
■武正委員
国土交通大臣政務官がおいででございますが、私は、海上保安庁に、国際法にのっとって、旗国主義にのっとって、とりわけ、サハリンに行って直接船体の確認やあるいは日本人乗組員から事情を聞くべきだ、これを衆議院の委員会で求めたところがございますが、帰国をされて、乗組員に対して事情も聞いておられると思います、船長に対する聴取もされたと思いますが、このような記事の真偽についてお答えをいただけますでしょうか。
■梶山大臣政務官
御存じのように、十月三日に、国後島古釜布から坂下船長が帰還いたしました。そして、記者会見をした後、病院に直ちに入院いたしまして、その当時の詳細な状況につきましては聴取は現時点ではできておりませんが、調査は、海上保安庁としては終えていないと承知をしております。
そして、帰還の船中にて簡単な事情聴取を行っておりますけれども、今船長は入院中、そして手術が終わったばかりということで、体力、体調の回復を待って、またさらに事情聴取するものと心得ております。
■武正委員
船長はこうやって手記を書いているんですけれども、今のお話では、まだ聴取をされていないということでよろしいでしょうか。
■梶山大臣政務官
記事の内容については承知をしておりますけれども、繰り返しになりますが、船長から当時の詳細な状況についての聴取をしておりませんので、捜査の進行を待って、またこちらの考えをお答えしたいと思います。
■武正委員
記事にこういうふうに本人が手記を書いているのに、海上保安庁として、調査すべき当局でありながら、船長に対して、この件についてどうなんだという申し入れを、あるいは聞きたいということでの問いかけもしていないということでしょうか。
■梶山大臣政務官
先ほど申しましたように、帰還の船中にて簡単な事情聴取をしておりますが、その後、繰り返しになりますが、入院しております。退院をして、体調が戻り次第、また詳細な聴取を行う予定だということしか今の時点では言えません。
■武正委員
時間が来ましたので終わりますが、本人がこうやって特別手記を寄せているんですから、退院するのを待ってというか、まずは、入院していても、本人がそういった聴取に耐えられる、そういう本人の御意思があれば、ぜひ早く、こういう事実が本当なのかどうかを当局として聞くべきだというふうに思います。このことを申し述べまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
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