国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006/10/25
【外務委員会】「国際協力機構JICA法の改正について」議事録

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 今回のこのJICAの法案についての質疑を行わせていただきます。

 民主党は、政府系の金融機関を一つにするということには賛成をしておりますが、ただ、例えば、ODA部分については政府に移管せよ、そしてまた、四月の行革推進法案、この政府案への対案ということで提出をしまして、独立行政法人のあり方なども含め、政府案の行政改革、総人件費削減も、民主党はしっかりと二割削減をうたっておりますが、それもうたえないということで、やはり見せかけの行政改革である、こういうようなことをこの通常国会で展開をしたわけでございます。

 その折、その政府提出法案の中で、JBICのODA部分はJICAに統合する、こういうことも盛り込まれた法案が通常国会に提出をされ、それが成立をしたわけでございますが、その延長線上で今回の法案が提出されているというふうに拝察をいたします。

 そうしますと、この法案の趣旨について、行政改革という視点が目的として盛り込まれているのかどうか。それから、JBICがJICAに統合しましたが、相変わらずこの十七条で区分経理、いわゆる勘定、これが分かれている。せっかく一つにしたのであれば、なぜ勘定を分けるのか。これは私は、やはり行革の精神からも逆行するというふうに考えるわけですね。人件費とか事務経費がそれぞれ勘定ごとで計上できますので、そこに無駄が生じる。これがやはり勘定区分経理の問題点というふうに考えておりますが、まず外務大臣に、行革という視点が本法案の目的にあるのか、並びに、なぜ区分経理統合ができなかったのか、お伺いをしたいと思います。

○麻生国務大臣 今、武正先生の御指摘の点、二点ありましたけれども、まず、この行革という視点はこの法案の目的にあるのかと。あります。

 このJICA法改正は、行政改革の視点というものを踏まえて、私どもなりに考えたものであります。この法案が施行されると、少なくとも、新JICAにおきましては、複数の機関で行っておりましたODA関連というものの三つの手法、無償、有償、技協というのがございますのは御存じのとおりです。これを一元的に実施する機関ということになりますので、これは援助の枠の手法がいろいろあろうとは思いますけれども、こういったものを効率的に実施ができるようになることは期待できると思っております。

 また、新JICAというのは独立行政法人としての性格を引き続き有することになりますので、その意味では、この新JICAが承継、引き継ぎます有償資金協力及び無償資金協力業務というものは、これは今後、中期目標の設定によります目標管理、評価委員会というものも、これは対象になりますので、そういった厳しい評価の対象となりますので、これは事業の一層の、ただ、合併して何もしなきゃだめですよ。そういったものをきちんとやっていける、いきやすい環境になるということで、十分に行革の視点を踏まえてやったものだと思っております。

 区分経理の件につきましては、副大臣の方から説明させます。

○岩屋副大臣 先生のお尋ねの後段の部分でございますが、新JICAがJBICから継承する有償資金協力業務の経理でございますけれども、これは、次のような観点で、無償や技協の経理とは性質が異なると私どもは思っております。

 一つは、予算規模が七千七百億円と大きい。資本金約七兆円、資産規模約十一兆円と非常に規模が大きゅうございまして、国民生活や国民経済に与える影響が大きい。それから二番目に、複数年度にわたる貸し付けを行うということがございます。それから三番目に、財投融資や機関債等、円滑な資金の調達の確保が重要でございまして、したがって、財務の健全性を確保するということが極めて重要である。

 以上のような観点から、有償資金協力勘定を他の業務の勘定と区分することが適当であるというふうに考えているところでございます。

武正委員 きょうは財務大臣政務官も来られております。

 今三つほどお答えがございました理由ですけれども、どうなんでしょうか。規模が大きい、それから複数年度、あるいは財投融資、健全化ということでありますが、言ってしまうと、やはり金額が非常に大きいということでの、運営を大変心配している。これが一緒になってJICAに任せて、その中で一緒くたになってしまうと、その運営が心配なんじゃないか。もっとわかりやすく言うと、財務省がJBICということでこれまで所管をしてきたところで、やはりこの部分は財務省はしっかり目を光らせたい、こういったところが実はあったのではないか、こういう指摘があるんですが、なぜ統合ができなかったのか、財務省としてのお答えをいただきたいと思います。

○江崎大臣政務官 武正先生の質問にお答えいたしますが、まず、今回の円借ODAにつきましては、いわゆる円借款そのものというのは、無償資金協力や技術協力とは異なるという性格のものでございまして、あくまで返済を前提としております。その中で、債権の管理、あるいは金利の受け払い、引当金の計上といった経理も必要であるということから、区分経理を行ったというところでございます。

 あくまで、今回の法案につきましては、戦略的ODAの実施の観点から、円借款をJBICから切り離しまして、無償資金協力、技術協力とともにJICAにおいてODAを一元的に実施するという戦略的な部分につきましては一元化ということでございますが、今申し上げましたように、円借款のいわゆる性質の異なるということから、区分経理を行ったということでございます。

 また、先ほど外務副大臣から御答弁もございましたが、財務の健全性の観点という点も当然ございます。資産規模におきましても、約十一兆円ということで大変大きな規模になってございます。これらを勘案しますと、国民生活、国民経済に与える影響が大きいという観点で、その収入支出予算について引き続き国会議決に係らしめるということを考えている次第でございます。

 以上でございます。

武正委員 性格が異なるのであれば、例えば民主党は、それはやはり政府に移管をすべきである、こういう主張をしたわけでありまして、性格が異なるから区分経理ですというのはやはり行革という視点からは納得できない、一つの経理で十分対応できるはずである、それは内部統制と外部監査をもってですね。それができないような組織だったら大変問題が多いというふうに言わざるを得ないわけでありますので、私は、やはり今回これを勘定を別にしたというのは大変遺憾である、問題であると行革の視点からも改めて指摘をしたいというふうに思います。

 そこで、独立行政法人ということでまた引き続き組織を維持されるわけですが、民主党は、独立行政法人制度の見直しということで四つ大きな項目を掲げて通常国会に臨みました。

 まず、独立行政法人の長は公募、これを義務化すべきである。いわゆる独法を天下りの受け皿にすべきでない。私の調査では、百十三の独法のうち、トップは八一%いわゆる中央省庁の天下りというのが私の調査でございます。

 それから二番目は、第三者機関による厳格な評価。先ほど大臣は、今後しっかり評価をいただいて行革に資するんだ、こう言われましたが、実は、政策評価、その評価委員がそれぞれの省庁の審議会の委員との兼職というものが非常に多い。これは、私はやはり評価の中立性、独立性を阻害するというふうに考えております。しかも、その審議会から、当然有償ということで、それに見合う給与というか歳費というか、それを受けている、それぞれの省庁から。こういったところがありますので、やはり第三者機関による厳格な評価、内輪の甘い評価をやめて中立公正な評価を実現すべき、これが二点目。

 それから三点目は、独立行政法人の調達も原則一般競争入札で行うべきと。指名競争入札、随意契約を原則禁止し、調達を効率化すべきである。これは、お手元に民主党の予備的調査の資料をお配りさせていただいておりますが、その三ページには、このJICAの支出上位十の一覧が出ております。こうした主にJICAのコンサルタント業務、大変多額な業務に上りますが、こうしたところも、一般競争入札でなくて指名競争入札あるいは随意契約のオンパレード。こういったところもやはり一般競争入札に原則すべし、これが三点目。

 それから四点目は、独法役員も天下り制限をしていくべきである。ここにも、支出の一番目は財団法人日本国際協力センター、九十八億ということでありまして、いわゆるJICAから日本国際協力センターへの人事、いわゆる天下り、あるいはこうしたコンサルタント会社にもしJICAから天下りがしているということは、そうした随意契約といわゆる人の受け入れがセットになっている。こういった問題点も含めて、独法役員にも国家公務員並みの天下り制限。

 それから、運営費交付金の抑制。つまり、非国家公務員化を政府はいたしました。八十万人を三十万人に減らしたと前総理は豪語いたしましたが、実は、非国家公務員化しても、結局は人件費は運営費交付金の形で税金が支払われている、これはやはり見せかけではないか、こういった指摘もしましたので、見せかけの公務員減らしの出向を制限ということで、一ページ目、お戻りをいただきますと、JICAも中央省庁から四十一名、平成十七年四月現在、常勤千三百二十七人のうち出向者四十一名を受け入れている。なぜこうした、独立行政法人なのに中央省庁から、ほとんど外務省でしょうけれども、受け入れをしなきゃいけないのか。

 こういった四点を、民主党は、独立行政法人について問題としてこれを解決すべきということで対案を出した経緯がございます。

 その中で、質問に移らせていただきますが、お手元の資料をごらんいただきますと、二ページ目、JICAの役員一覧、十名の役員でございますが、七名、すなわち、理事の上田さんは大蔵省出身でありますので、十名のうち七名がいわゆる中央省庁出身の役員ということになっております。

 今度ここにJBICのODA部分が統合しますが、一体役員は何名になるのか。そしてまた、今七名いるというこの現状をどのようにお考えになっておられるのか。そして、例えば何名か増員した分も、当然また中央省庁から、特にJBICからでございますので、今財務省は一名ですが、財務省がプラス一とかプラス二ふえていくのかということ。

 私は、やはりこうした点は、結局は今までと、単なる数合わせでくっつけただけ。しかも内容は、そうした独立行政法人としての、民間のいろんな知恵を、力を、トップはもちろん緒方さんですよ、民間の方のそういった力を取り入れている。これはいいんですが、十名中七名が中央省庁役員、さらにこれからもっとふえていくということを大変危惧するわけですが、以上の点、外務大臣、お答えをいただけますでしょうか。

○麻生国務大臣 今いただいた資料の中で、九番目に書いてある監事の庵原という人は、これはたしか外務省の役人じゃないでしょう。これはJICAの職員じゃなかったですかね。(武正委員「そうです。訂正します」と呼ぶ)したがって、これは六人が正確だと思いますので、これは議事録に残りますので、六にされておいた方がよろしいと存じます。

 今御指摘になりましたけれども、この中で、この法案によって、現行のJICAの役員十名に、理事二名及び監事一名を増員して十三名ということにしようとしております。

 独立行政法人の役員というのは、理事長及び監事というのは主務大臣が、それから理事は理事長、それが、それぞれの独立行政法人だと通則法に定める要件というのがありまして、それを満たす者の中から任命することにされておりますので、現行のJICAの役員はこれに従って構成をされているということだと存じます。新しいJICAの役員につきましては、独立行政法人通則法によって適切に選任をしていくということになろうと存じます。

武正委員 十名中現状六名、しかし、庵原さんはエチオピア大使もやっておられますので、これはいろいろ議論はあると思うんですが、私は、そうした意味では外務省にかなりカウントしてもいいのではないのかというふうに思っております。

 十名中六名とした場合、これだけ中央省庁出身の方が独立行政法人、それこそイギリスのエージェンシーに見合ってということでつくられたわけですが、民間の力を、民間の知恵をと。ところが、その役員がこれだけ中央省庁出身者が占めている。これから十三名になる。それは通則法に従って、要は主務大臣が、それから理事長が任命するんですよというふうにおっしゃられましたが、やはりこれはおかしいというふうに私は率直に思うんですが、外務大臣としての感想をお聞きしたいというふうに思います。

○麻生国務大臣 感想ということですので感想を申し上げさせていただければ、武正さん、給与がどれくらい下がるか御存じなんだと思いますが、この間、三菱商事だかどこかから外務省のニューヨークの総領事だったかに来てもらうように頼んだ人がいました。民間人です、間違いなく、三菱商事。所得が二分の一に下がったと言ったかな、になったと言っていたのが最近よく出た話です。

 NHKの社長と民放の社長の給与がどれくらい差があるかというのを一回お調べになられるといいと思いますが、そういったものを見ました場合に、なかなか、民間でそこそこ能力のあるという方で、給与を半分に下げてまで出ようという人はそんなにはおられないというのが、私どもが幾つか、何人か当たって、大臣、給与幾らですかと聞かれて、おれも知らないから調べて、これですと言った途端に、約半分ですよ。(発言する者あり)給与で来ない人がいるというのは、山口さんが自信を持って御推薦いただいた方が山口さんと癒着していないという前提条件で探してこられるというのも結構大変だと思いますが、現実問題としてはなかなか難しいというのは、何人かやってみた自分なりの経験で申し上げさせていただければ、そういうことです。

 したがって、経験というものを買われると、これまでの、そういった業務に関係した人間になってくるというのが現実だと思います。

武正委員 なかなか民間から給与を下げてまでJICAの役員になる人はいない、こういうお話だと思いますが、私はまるきり違うというふうに思うんですね。

 これはやはり、民間には本当に有為な人材がいて、給与をいとわず、それが減ったとしても、やはり国のため、そして国民のため、あるいは世界の平和と安定、発展のため寄与したい、そういった人はたくさんいると思うんです。そういった人たちを役員に採用していく。そういった意味では、公募というのは大事だと思うんですね。長も、それから当然、長が公募されれば、長が任命するわけですから。

 私は、そういった意味で、今の御認識はやはり違う、日本にはたくさんいらっしゃるということでございます。

 これはちょっと余談ですけれども、同じような議論を、総務大臣当時、外務大臣としたんですね。すなわち、私は、電波についてはもっと民間に開放していくべきだ、オークション制度も含めて。そのときに、外務大臣に言わせると、地方のテレビ局は今大変なんだ、デジタル化でやり手がいないんだと。これはまた地方のテレビ局のこれからの統合、いわゆる集中排除の原則の見直しなんかも絡んでくるんですが、私はそのときにやはり同じように言ったんですね。いや、民間にはもっとやり手はいるんです、テレビとかいろいろな、電波を使うところに入りたい人はたくさんいるんですよ、いないという認識は違うんじゃないですかと。

 何かそのところと今のお答えは、残念ながら、外務大臣のお答え、官から民へというふうに言うんだったら、なぜもっと民間の人を登用しないのか、民間の企業にもっともっと、一番おいしいところを実は開放していない。それは一つ、一例は電波でありますが、これは改めて、指摘にとどめさせていただきます。

 そこで、中央省庁出身者七名より増員をさらに減らす考えはないかということは先ほどもうお答えをいただきましたので、次に、お手元の資料、先ほど触れました三ページ目をごらんいただきたいんですが、ここにコンサルタントが、いわゆるニーズ調査をやる、JICAにとって大変大事な企業でありますが、これだけ、数億から数十億のこうしたコンサルタント業務をやっておられる企業が並んでおられます。このいわゆるODA部分というのが会計検査院の対象なのかどうか。

 こうしたODAにまつわるいろいろな不明朗な指摘が、あるいは報道もされております。私はやはり、会計検査院が当然、監事にも会計検査院の出身の方が入っているぐらいですから、当然ODA部分、コンサルタント業務、会計検査院の対象だというふうに思うんですけれども、この点はいかがなのか。また、もしそうでなければ当然対象にすべきだというふうに考えますが、お答えをいただきたいと思います。

○岩屋副大臣 ただいま先生お尋ねの、会計検査院の業務の範囲の中に入っているのかということでございますが、外務省として有権的にお答えする立場にはないわけでございますが、コンサルタント会社等に業務実施が委託された案件を含めて、これまで、JICAの実施するODA事業について、会計検査院の対象になっております。

 さらに、平成十七年の会計検査院法の改正によりまして、ODA事業の受託業者の当該受託事業に関する会計、これも新たに検査対象になったものと承知しております。

 先生、PCIの事案等を念頭に置かれていると思いますが、私どもも、そういうことも踏まえまして、また会計検査院の指摘も踏まえて、適正な事業実施に努めてまいりたい、こう思っております。

武正委員 ぜひその点、さらに進めていただきたいというふうに思います。

 そこで、続きまして、四ページ目をごらんいただきたいんですが、JICAからいわゆる外部への出向者、この「国」というのが、四十一名、外務省を中心に受け入れている一方、またその外務省に出向する、こういうへんてこなやり方を独立行政法人との間で、百十三で約七千名の出向者、これを受け入れているわけなんですね。そして出向ということで、また戻るという大変おかしなやり方をやっている。ちっとも独立ではない、中央省庁の関与が強いということの指摘なんですが、ここで、公益法人、民間等にもそれぞれ出向しているんですが、出向者の給与について補てんしている場合の補てん総額が、十七年度で二千百二十八万あるんですね。

 こういう補てんはもうやめろということが政府で決まりまして、それぞれ独立行政法人はやめているというふうに理解をしているんですが、この給与補てんは今も続けているのかどうか、外務省、お答えをいただけますでしょうか。

○岩屋副大臣 JICAは、出向者に対する給与補てんの速やかな解消に努めておりまして、残る三名の給与補てん対象者についても、年内に補てんを解消するという見通しが立っていると報告を受けているところでございます。

武正委員 その三名の給与補てんの総額は幾らでしょうか。それと、政府が示したのは、もう早くこれは示しておりますので、十七年度、十八年度で独立行政法人でこういう給与補てんをしているところというのはほとんど皆無というふうに私は承知をしているんですが、なぜJICAがこうして給与補てんを続けているんでしょうか。お答えいただけますか。

○岩屋副大臣 お尋ねの金額については、済みません、今手元に資料がございませんので、調べて御報告をすぐにさせていただきたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、この給与補てんの解消に今努めているところでありまして、年内には残り三名も解消するということでございますので、先生御指摘のような方向にきちんと向かっているというふうに御理解をいただきたいと思います。

武正委員 いや、私が聞いたのは、ほかの独立行政法人はこういう給与補てんをもう速やかにやめていまして、十七年度からもうほとんどゼロになっているというふうに私は承知しているんですが、十七年度はもちろん十八年度もまだ続けている。これは、政府でそういうのはやめるべしという通達がちゃんと出ているというふうに承知をしておりますが、そのことは承知をされていますか。

 承知をしているのになぜこれが続いているのかということについて、私はやはりJICAの運営についてきちっと内部統制なり外部監査が機能していないんじゃないのかというふうに思わざるを得ないんですが、この点はいかがですか。

○岩屋副大臣 通達に基づいてJICAとしても努力をしているということでございまして、今度法改正が成れば新JICAになるわけでございますけれども、その中において御指摘の点のようなことが残っていかないように万全を期してまいりたい、こう思います。

武正委員 努力する方向だということではなくて、今年度でこの給与補てんはやめるということでよろしいでしょうか。

○岩屋副大臣 そのとおりでございます。

武正委員 時間も押しておりますので、最後の質問に移らせていただきます。

 日中の局長級協議が累次行われております。昨年九月、三回目、日本からは白樺それから楠、これの共同開発提案があったんですが、一方、中間線の西側については中国側、東側については日本側ということで、試掘開発異議を唱えない、こういうようなことも日中の局長級協議で日本側から提案をしておりまして、私はやはり、西側の開発もどんどんやっていいよというのはおかしいものでありますので、このときのこの提案というのは問題じゃないかなというふうに思っております。

 また、三月、四回目については中国から、北と南で二地点共同開発しようと。実はこれが中間線の東側とか、日本の固有の領土である尖閣諸島の実はすぐ北側を提案があったのではないかという報道もありまして、とんでもない提案、こういうふうに理解をしておりまして、五月、五回目、七月、六回目ということで協議が行われている。

 そして、去る十月、安倍総理が訪中をして、そのときに東シナ海の資源開発問題については、これは外務省のペーパーですが、「東シナ海を平和・友好・協力の海とするため、協議のプロセスを加速し、共同開発の方向で、双方が受け入れ可能な解決の方法を模索することを確認した。」こういうようなペーパーが出ておるんですけれども、そのいわゆる二地点の四回目の中国側の提案、これが中間線の東側ではないのか、あるいは尖閣の北側ではないのか、こういうような報道もある中で、いわゆる中間線の東側の共同開発について、日本側がそれを受け入れるような踏み込んだ答えをこの安倍総理訪中の際にしたのではないのか、こういう指摘があるんですが、こうしたことの事実の確認を外務大臣に行わせていただきたいと思います。

○麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりに、過去六回にわたってこの局長級の会議を行って、さまざまな議論を行っておりますが、今御指摘のありましたように、総理の十月の訪中のときには、この東シナ海の海は平和と協力、友好の海にするという認識を改めて再確認をしておりますが、この「協議のプロセスを加速し、」という、今一連の読まれたとおりのことを確認し合っておるわけです。

 なお、共同開発域のどういうところにするかという具体的な話の議論については行っておりません。今後、総理の訪中を踏まえて、現実問題として友好の海とすべく引き続きやっていくということになる、今からやっていくわけですけれども、御指摘のありましたように、日本の主権というものをきちんと確保しながらこの解決を目指していくということで、一番肝心なところがこれから協議が行われるということになろうと思いますが、踏まえておかねばならぬ点はその点だと思っております。

武正委員 それでは、前も外務委員会でお聞きしたんですが、お答えいただけなかったんですが、この四回目の中国側の提案で、東シナ海の北と南の二地点についての共同開発の提案というのは、場所は具体的にどこだということでお答えをいただけませんでしょうか。

 なぜならば、今回総理は訪中して、この日中協議を加速するということが、ペーパーが出ておりますので、場所によって、それを加速することが、今言われた主権を守るということにそごを来すのではないのかと危惧をするからでございます。やはり説明責任として、中国側の提案、北及び南の二地点について具体的な説明を求めたいと思います。外務大臣、いかがでしょうか。

○麻生国務大臣 今御指摘のありました点については、三回目の交渉のときに、いわゆる春暁が白樺、樫が天外天でしたか、何かこの二つの点についての提案というものが、ガス田の開発作業中止等々、いろいろ三回目のときに行っておりますが、今、今後加速するということに関しては、この点の東側のこちらについて加速するということを必ずしも意味をいたしておりません。

武正委員 三回目は日本の提案で、白樺とこれは楠でしょう、樫じゃないでしょう。楠を共同開発しようというのは日本の提案です。

 私が今聞いているのは、四回目の中国側の提案で、東シナ海の北及び南の二地点について共同開発の提案があった、それが中間線の東側とか尖閣の北側という報道があるけれども、これを踏まえてその協議を加速するということであると、先ほど言った主権について守るということとそごを来すのではないのか、だから具体的に説明をお願いしたいと。

○麻生国務大臣 失礼しました。

 三回目じゃなくて、今の四回目、東シナ海の北及び南の二地点について共同開発というのを中国側が提案というのに対しましては、こちら側から何ら今返事をいたしておりませんので、これを加速するという話を、この内容を含めて加速するかどうかはこれからの話です。

武正委員 具体的な地点については相変わらずお答えをいただけませんが、私はやはり説明責任ということでそれは果たしていただきたい、このことを求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。
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