国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年11月2日 【総務委員会】

武正委員 
一般質疑ということで、移らせていただきます。

 まず、午前中、我が党の森本委員も大臣に尋ねました件でございますが、聞くところによりますと、明日四時から四時四十五分、福島テルサにおきまして、市町村長各位ということで、自民党福島県連幹事長名で、菅総務大臣との懇談会開催の御案内ということで出ているようでございます。地位利用に当たらないように適切にやるんだと先ほど大臣言われましたけれども、そもそも選挙を所管する総務省、その所管大臣でありますので、選挙中にこうした形で、当該知事選挙が行われている地区に入って、市町村長を集めた場に懇談会ということで出ること、これはやはりいろいろな疑義が生じる可能性がある、こういうふうに考えるわけですが、選挙を所管する担当大臣として、改めてこれに対する考えを伺いたいと思います。

菅国務大臣 
私は、大臣に就任してから、これは毎週日曜日、地方のそうした会合に出させていただいております。しかし、私自身も、地位利用、先ほど森本議員からお話がありましたけれども、あるいは公選法違反、そうしたものに十分に注意しながらそうした発言をいたしておりますので、あすも、自民党本部の要請に従いまして福島県に午後から入る、そして向こうの県連の会合に出席する、そういうことであります。

武正委員 
まだ御予定が立っていないかもしれませんが、きょう沖縄知事選も告示をされておりますが、沖縄の方にもまた行かれる御予定があるんでしょうか。

菅国務大臣 
まだ沖縄からは、党本部からはありません。

武正委員 
重ね重ね、所管大臣として地方を見て回る、大変大事なことだと思いますが、選挙中に何もそこの当該自治体に行く必要はないわけでありまして、それについてはやはり慎重な対応が必要だというふうに思っております。

 過日、テレビ朝日ですかね、「スーパーモーニング」で、これは習志野市ですか、選挙開票風景で、ウエストポーチを持ったりポケットに投票券らしきものを出したり入れたりする、こういう報道も流れております。まあ、遠目でありますからそれが投票券かどうかわかりませんが、来年は統一自治体選挙、参議院選挙があるわけでありますので、総務省の手引が実は全国各地の開票所で遵守されていない、こういった疑義もありまして、やはり所管大臣としては慎重な御対応をお願いしたいと思います。

 さて、質問に移らせていただきますが、命令放送について、先ほど本会議でも、我が党の逢坂議員からも総理への質問もありました。適切にということで総理の答弁もありましたが、NHKにおいでいただいておりますので、お聞きをしたいと思います。

 三問一緒にお聞きをしたいと思いますが、まず、四月一日、命令放送書伝達時に、当時の統括官から、今は審議官になられたようですが、口頭で留意事項の要請を受けたことで番組編集に何らかの影響が全くなかったと考えるか、これが一点。総務大臣が命令放送を電監審に諮問しようとしているが、そのことをどのように受けとめているか。仮に電監審が命令放送について答申で認め、総務大臣の命令放送に、拉致問題に留意することという項目がつけ加えられた場合、番組編集に与える影響は全くないと考えるか。以上三点、NHKから伺いたいと思います。

石村参考人 
NHKとしましては、拉致問題を含めまして、これまで報道というのは、ニュースだと判断したものは国際放送のニュース番組でしっかり取り上げてきた、今後も当然取り上げていく方針であります。

 四月の時点での口頭での命令ですが、大規模災害、それからテロ、拉致問題。大規模災害といいますと、もう最近皆さんの記憶にもあると思いますけれども、スマトラの大津波、それからパキスタンの地震、それからテロといえば、もうイラクは当然ですけれども、いろいろな形で、ヨーロッパでもロンドンとか、それからエジプトのシナイ半島とか起きました。それから、拉致問題もさまざまな動きがあります。

 当然、報道機関として、これはもうニュースだと思った時点でいち早く伝えているというのは、これは自信を持って言えることでありますので、口頭で言われたということに関係なく、当初からニュースであるものはすべて報道を、ニュースとして判断して大きく取り扱ってきたという自負を持っております。

 それで、仮にこれから諮問があってということがあれば、これはまだこれからの話なんでしょうけれども、この部分についても、NHKとしては、これまでの自主的な編集判断のもと、報道機関として自主自律の立場を堅持して、これまでどおり自主編成を貫いてしっかり放送していくという立場に何ら変わりはありません。

武正委員 
一点確認したいんですが、四月一日の文書伝達時の統括官からの発言でありますが、先ほどこれも命令というふうに言われたんですが、口頭で命令を受けたというふうに先ほど言われましたけれども、我々は口頭での要請というふうに理解しているんですが、その点の確認を。

■石村参考人 
私、大変失礼しました。口頭で要請を受けましたということでありました。ちょっと発言の訂正を。

武正委員 
事ほどさように、NHKからすると、総務大臣に呼び出されて統括官から命令文書を渡されて一言言われても、それが命令というふうに承る。やはり所管省庁、しかも予算は国が出す、国会がそれを判断、そういうような関係があるということですから、やはりNHKに対する命令放送、しかも放送法三十三条にのっとってということの持つ意味は、単にこれまでの口頭の要請とは違う大変重い意味を持つ。しかも、法律にのっとれば何でもできることはやりたい、総務大臣の意気込みはわかるんですが、しかし、やはり法三条の番組編集の自由、これを侵害するとすれば、三十三条にのっとってやれるんだというのは、やはり越権、法律ののりを越えていると言わざるを得ないのでございます。

 そこで、二十四日閣議後記者会見、大臣は、家族の皆さんから現状を実は聞きました、先週ということでございますが、重ねて、このことはいつだれと会って家族の皆さんから話を聞いたというふうに述べておられるのか。

 それから、二十六日の当委員会の質疑でも、これは社民党重野委員の質問に答えて、私はこの放送を決断するに当たって被害者の方からもいろいろお話を聞きましたというようなことを述べておられますが、先ほどの、先週どなたと会ったのか、そしてまた、被害者の方からいろいろお話を聞きましたという答弁は、例えば拉致家族の皆さんから具体的に命令放送の要望を受けたことがあるのか、あるとすればそれはいつなのか、以上、あわせてお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 
まず十月二十四日の閣議後の記者会見でありますけれども、このチェックにまず不備があったことはおわび申し上げたいと思います。正確には、「先週、拉致問題対策本部と私ども総務省も入りまして、「しおかぜ」の担当者から現状を実は聞きました。」そうするところでありました。このことは総務省のホームページでも訂正してあります。

 ただ、私は二〇〇〇年から、あの万景峰入港禁止の特定船舶禁止法案、あるいは輸出、輸入、送金をとめることのできる外為法改正など、自民党の中で責任者として、議員立法をつくるために取り組んできました。その段階から、家族会の皆さんやあるいは救う会の皆さんとも何回となくお会いをさせていただいて、さまざまな要望を受けているということも事実であります。また、私が大臣に就任してから、家族会の方、私の大臣室にもお見えになった方もいらっしゃいます。

 そして、私がこのことを検討する、そうしたことが報道で流れた際に、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会及び北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会は緊急声明を実は発していただいています。

 その中で、「放送法には、「命令放送」の規定があり、総務大臣は、NHKに政府の重要政策等の放送を命令できる。脱北者の証言等によると、」云々という中で、「総務省、NHK等関係者は、拉致被害者の安全確保のために、為し得る事はすべて行なうという姿勢をとっていただきたい。ここに強く求める。」家族会の横田めぐみさんのお父さんの滋さん、それと救う会の佐藤会長の連名でこのことを支持するということを、私にその場でも、私のことが報道された後、電話がかかってまいりました。

 また、先ほども申し上げましたけれども、それ以前からこうしたことについて要請があったことも事実です。

武正委員 
今のは、電話がかかってきたということでよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 
私の発言が、検討するということを言ったときに、表に出たときに、こういう声明を出すということで電話がかかってきました。それ以前からも、これはもっと言うとかなり以前から、私が大臣になる以前からもこうしたことについて要望があったということは事実です。

武正委員 
この間も取り上げましたが、十月十日の予算委員会で大臣が述べたのは、「しおかぜ」への支援ということでございました。十月十三日閣議後記者会見で命令放送ということが出まして、この間も大臣は答弁で、「しおかぜ」支援と命令放送は別な観点である、これも認めておられます。

 私は、お手元には資料で、三ページ目には、「「しおかぜ」の今後について」、当初、特定失踪者問題調査会荒木代表が二十五日付で流したメール、この間も取り上げましたが、命令放送で「しおかぜ」を流してもらいたいとは思いませんと、(2)に書いてありますことをこの間も挙げております。私は、やはりこの命令放送の対応というのは慎重であるべきということを重ねて申し上げたいと思います。

 そこで、アジア放送研究会というのがことしフォーラムを開きまして、NHKの短波ラジオ放送縮小、そしてまた、テレビに軸足を移すことへの危惧ということが参加者から出されたということが報道で流れております。趣旨とすれば、アジアなりでいろいろと流れている外国語放送、これを聴取している皆さんが集まっての研究会、そしてまた、当然、短波放送が北朝鮮の拉致事件の解決に有効であるということは重々承知をして、それについてはやはり強化をすべし、こういう意見を持っておられます皆さんでありますが、ただ、そのときに、NHKの短波ラジオ放送が縮小してテレビに軸足を移すということが危惧であると。この間、大臣言われたように、北朝鮮ではテレビはハンダづけというお話もありました。こういったことがこのときの報道ではあったんですけれども、今、NHKとして、海外向けの短波放送を縮小してテレビに軸足を移す、こういうお考えがあるのかどうか、伺いたいと思います。

石村参考人 
ラジオの短波放送というのは、かつては唯一の国際放送の情報の発信手段だったんですが、今、世界を見てみますと、その有効性がちょっと低くなっているということで、例えばイギリスのBBCなんかも使用言語を大幅に削減して、短波によるサービスを世界的には縮小する傾向にあるというのが一つです。それからもう一つは、インターネットなどの普及で非常に放送・通信技術が急速に多様化してきている、これが二つ目です。それから三つ目は、加えて、八俣から送信しているんですが、これの設備そのものが非常にもう老朽化しておりまして、これの更新、補修というのに、十年ぐらいの計画ですけれども、百億近いやはりお金が必要になってきている。

 そういういろいろなことがありまして、NHKとしては、インターネットなどの普及が十分でないところは短波放送をやっていこう、ただ、限られた資源というか予算というか、そういう中でやるので、やはり発信力として力が出るテレビの方へ段階的にその軸足を動かしていこう、そういう方針で今準備を進めているところです。

武正委員 
総務大臣、今のを聞かれて、当然、参加者からは、先ほどの事件の解決のために有効であること、あるいは、海外に渡航する日本人が当然ラジオを携帯して旅行されている、テレビをどれだけ持ち歩いているのか、日本で今始まっているワンセグなどが、では海外でどこまでできるのか、こういったこともあります。そういったことから、やはり海外向けの短波ラジオ放送が縮小するという、こういったことに対して懸念が出されたんですが、このことを総務大臣としてどのようにお感じになりますか。

菅国務大臣 
ラジオの国際放送につきましては、重要な役割があるというふうに私は思っておりますので、そういうことに留意しながら、検討すべき点は検討していきたい、こう思います。

武正委員 
私が言いたいのは、「しおかぜ」への支援はぜひやっていただきたい、やりましょう、ただ、命令放送はやはり放送法三条の懸念がありますと。

 そこで、実は大事なのは、このNHKの短波ラジオ放送などが縮小することを避ける、こういうことにまず総務省として手を尽くすべきではないのか、こういうことで伺ったんですが、この点はいかがでしょうか。

菅国務大臣 
先ほど申し上げましたけれども、重要性をかんがみながら検討したいと思います。

武正委員 
重要性はお感じになっておられますか。

菅国務大臣 
私は、十分に感じております。

武正委員 
そこで、BBC放送のことを伺いたいんですけれども、先日、BBCにも英国政府は命令放送をやっているんだ、こういうようなお話でございました。

 そこで、またちょっと調べてみたんですけれども、政府の命令放送というのが、防衛及び緊急事態の取り決めということで、BBCは政府の閣僚から要請される告知事項を放送しなければならない、八条一項があるわけなんです。ただ、具体的には、北アイルランド紛争に関しサッチャー政権が第八条第二項に基づいて、第八条第二項というのは、国務大臣は何らかの事項の放送を差し控えるようBBCに要求ができると。さっきの一項は、閣僚からの要請があれば放送しなければならないと。二項は、逆に放送を差し控えるよう要求できると。具体的には、八条二項に基づいて、北アイルランドのテロ活動関係者の声明の放送を禁止した事例が八八年十月から六年間あったのみである、こういうように指摘をされているんですけれども、この事実を把握されておられますでしょうか。防衛及び緊急事態の取り決めということで、あったとしてもこの一件のみである、こうした指摘があるんですけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 
そうしたことについては把握をいたしております。

武正委員 
ですから、日本政府は四分の一の予算をNHKに出しておられますが、この間大臣は、英国政府は半分出しているんだよと。でも、何々を放送しなければならないということは言ったことがなくて、放送してはだめだよということが、この防衛及び緊急事態の取り決めということで、北アイルランド紛争に関し、北アイルランドのテロ活動関係者の声明の放送を禁止した事例、これ一件のみということなんですね。

 先ほどのNHKの、それこそ海外向けの短波放送を縮小というようなことからかんがみれば、やはりそうした面を総務省としてしっかりと支援をしていくということがあっても、やはり、このBBCを参考に命令放送ができるんだということは当たらないというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。

菅国務大臣 
私も、前の委員会で武正委員からその御指摘をいただきましたので、このことについては、私も役所に指示しましていろいろ調べました。

 ただ、見出しについては防衛及び緊急時の取り決めとされているが、条文上は、いつでも要請ができる、こういうことになっているようでありますし、全体の制度設計というのがこれは異なると思っていますので、単純な比較ができるものではないと思いますけれども、イギリスにおいて、我が国の命令放送に類似する制度として、特許状に基づく政府との間の協定書において、国内放送、国際放送問わず、いずれの国務大臣もBBCに対し告知の放送の要請をすることができ、BBCはそれに従わなきゃならない、また、メディア・文化相はBBCに対し特定の事項等を放送しないように指示することができることとされている。

 また、このラジオ国際放送について、特許状においてBBCに提供義務があるとされており、具体的な実施方法は政府との間の協定書で規定をされている。具体的には、BBCは、外務大臣が事前に承認した地域に対し、また言語により、外務大臣等の同意を得て設定される目標及び優先順位に従って放送しなきゃならない。また、BBCはワールドサービスが高水準の編集上の自律性を維持することを確保しなければならない、こうなっていることも承知をいたしております。

 いずれにしろ、日本との制度が違いまして、単純的な比較はできないと思いますけれども、こうなっていることも御理解をいただきたいというふうに思います。

武正委員 
この間、BBCのことを例に挙げられましたので、やはりそうした慎重な政府とそれから放送の関係があるということを指摘したいわけでございます。後ほど触れますNHKの番組の独立性、中立性、これを担保するために、BBCと英国政府はそうした関係を築いている、これはやはり参考にすべきだというふうに思うわけであります。

 そこで、先ほどちょっとテレビの話がありましたが、NHKが国際放送テレビを来年進めていく、概算要求も三億円、総務省はつけたということでありますが、この目的というのはどういうことでございましょうか、総務大臣に伺いたいと思います。

菅国務大臣 
国内のことをできる限り海外に発信したい、そういう内容で概算要求三億円いたします。

武正委員 
いわゆるCNNではありませんが、海外に向けて日本のさまざまな主張を伝えていく、そういったことが昨年来、外務省を初めいろいろなところで、政府で議論されておりますが、この趣旨にのっとったということでよろしいんでしょうか。

菅国務大臣 
海外への情報発信の強化というのが政府・与党合意とされた、そういうことに基づいて日本のことを発信していこう、そういうことです。

武正委員 
そういうことをやるのは大いに結構でございますが、先ほど触れましたように、そのことが、やはり放送の独立性、中立性というものが担保されて初めて海外に対する影響力が出るということと、それによって、今度逆に、北朝鮮の拉致被害者の救出のための短波放送が削減されては何のことはないというふうに考えるので、このことを改めて申しておきたいと思います。

 そこで、総務大臣は、八日に電監審に諮問するんだ、このように既に述べておられます。過去の答申を見ますと、即日答申が出ているわけでございます。

 私は、これだけ議論になっている命令放送でありますので、慎重に慎重を重ねて、諮問についても思いとどまっていただきたいと再三申し上げているんですが、もし仮に諮問されても、これは総務大臣からゆっくりやるようにとかはなかなか言えないのかもしれませんけれども、私は、きちっと時間をかけて審議をしていただきたいというふうに思うわけです。

 放送法にも、三十三条の命令放送について電監審に諮問を命じた場合、放送法では五十三条ですか、電波監理審議会への諮問、先ほどの命令放送は三十三条、諮問を命じた場合の五十三条については意見の聴取。この意見の聴取を「電波監理審議会は、」「諮問を受けた場合において必要があると認めるときは、意見の聴取を行うことができる。」利害関係者から、そういうことでありますので、私は、当該NHK関係者あるいは当然民放各局にも大変影響力のある今回の命令放送だと思っております。民放各局のそれぞれ社長さんたちが、そろって今回の命令放送は慎重にということも述べております。私は、やはりそのぐらい大変大きな決定だというふうに思っております。

 先ほどの拉致家族の皆さんからのそうした御要請というものは重く重く受けとめますが、それよりもまず先に、海外短波放送が縮小されないように、こういったところ、やるべきことがたくさんあるんじゃないかということでありますので、仮に万が一諮問しても、そうした関係者からの意見の聴取を含めて、私は、電監審は慎重な諮問への議論を進めていただきたいと思いますが、これについて総務大臣としての御所見。直接そうすべきだとは言えない立場はよくわかっておりますが、私のこうした考え、電監審のあり方、そもそも電監審は公正、中立である、そういった成り立ちもあります。総務大臣にも勧告できる、そういう立場でもありますので、私の考えについてどのように考えられますでしょうか。

菅国務大臣 
前段の国際短波放送については、私先ほど申し上げたとおりで、極めて重要だということを私は認識いたしております。そのもとに戻って検討したいということであります。

 この電波監理審議会がいつ答申するかについては、やはり審議会が判断されることであると思っていまして、行政としてはその判断にあくまでもゆだねるべきであって、私がここでいろいろなことを言うことは差し控えるべきである、こう思います。

武正委員 
ぜひ、そうした放送法で認められている権能が幅広く活用されて、仮に諮問された場合、電監審が慎重な議論を進めていただくよう私からお願いをしたいというふうに思います。

 さて、最後の質問ですが、こういうような議論の中で、NHKさんは今改革を進めておられますが、その準備ができたということで、この間も聞きましたように、それこそ四十八件でしたでしょうか、督促状も出し、そして九百万件近い未契約者に対しては民事訴訟も行う、こういうようなことを既に発表されております。私は、こうしたNHKの番組の独立性、中立性、これをNHK改革の柱の一つとして実現をしていく、このことが実はやはり聴視者から、受信者から求められていることではないかと思うんですね。

 ですから、今回の命令放送が実現すれば、NHKにとってもこれは大変なことだというふうに思います。それぞれの番組編集が侵されることはないと言いますが、担当大臣が法律にのっとって命令をして、それが影響を与えないということは普通考えられない。それこそ、新聞でいえば新聞の編集権、これと同様に番組の編集権、これを担当大臣が指図する、こういったことでありまして、私は、今NHKにとっても大変大事な時期を迎えていると思うんですね。ぜひNHKとして毅然たる対応をしていただきたいと思います。

 私はやはり、そうした独立性、中立性への信頼がNHKの海外向けの短波放送あるいは国際放送で確保されることがひいては拉致事件の解決につながるもの、BBCの報道の中立性、公平性がそれこそ世界に与える影響力が大きいということもありますので、このように考えますが、NHKとしての御所見を伺います。

石村参考人 
NHKの改革のまず第一というのは、やはりNHKだからできる質の高いニュースや番組を出すことだということで、今、全国を含めて一丸となってその体制を築いているところです。

 それで、NHKが放送しています今のラジオ国際放送ですけれども、ラジオ・ジャパンというブランドは非常に知れ渡っていまして、諸外国の方々からも大変高い信頼を得ております。海外、国内の各地で、例えばイラクのあの内乱状況の中、それから災害が起きたら一番に駆けつける第一線の取材者たちは、千数百人、海外と国内にいますけれども、高い志を持って取材活動に当たっています。こうした気持ちは、我々は今後も、報道機関として自主的な編集のもとで放送を行うという確固たる基本姿勢で臨みたいと思っております。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。

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