国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年11月29日
【経済産業委員会】「官製談合防止法案に関する質疑」議事録

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 両案に質疑を行わせていただきます。

 まず、それぞれ提案説明でも、最近、知事の不祥事が続いていることを挙げられておりますが、何ゆえ福島、和歌山、宮崎と相次いでこうした官製談合による知事の不祥事が起きたのか、その背景について、与党そして民主党、それぞれ提出者から御見解を伺いたいと思います。

○山本(明)議員 武正委員御指摘のとおり、最近、知事の官製談合が各地で連続して生じておるところでありますけれども、知事というのはやはり絶対的な、絶大な権力を持っておるところであります。

 したがいまして、いろいろなところで見られるような、例えば、自分の天下り先を確保するためとか、今までやっておったからそのまま継続したとかいうような意味の、一覧表を持ってこさせるとかいう官製談合とちょっと違いまして、新聞等によりますと、いわゆる天の声を出したと。最初の三類型にありますように、まさに自分の意思をしっかり明示した、それと、人を通して自分の意向を表明した、こういうようなのに当てはまるのかな、私はそんなふうに理解をしております。

 それだけやはり知事の責任というのは重いわけでありますが、今回、新聞の記事を見ておりますと、選挙のお礼というようなことも報道には見られるわけでありますが、選挙のお礼というのは、やはり知事としては政策で県民におこたえするのが政治家として当然の責務であるというふうに思っておりますから、そういった意味で、天の声を出すというのは、これはやはり、知事としては責任を全うできていない、選挙によってこれからまた県民の皆さん方が判断される、そんなふうに理解をしております。

○原口議員 武正委員におかれましては、官製談合防止の先頭に立っていただきまして、まことにありがとうございます。

 御質問にお答えするわけでございますが、幾つか要因があるだろうなというふうに思っています。

 一つは社会的、政治的な要因でございます。特に公共調達、公共事業には、景気対策あるいは中小企業対策、そういう保護対策として使われた、そういう側面がございまして、それが地域経済の公共工事あるいは公共調達依存を招いて、そして公共工事の分配をめぐり政治的な影響力がそこで生じてきている。そのために、関係部局からの天下りあるいは知事等の天の声、それが構造的に生じているものだというふうに思われます。

 また、業界的、地域的な構造要因、これも見逃せません。例えば建設工事の施工に関しては、一次下請、二次下請と数次にわたって下請発注が行われるのが常でございますが、そういう工事施工に必要な建設資材も地元の多くの業者から供給を受ける必要があり、あるいは工事そのものも地域のコンセンサスといったものが大事になってまいります。このコンセンサスを破って独自にやれば、見せしめが働く可能性もあり、そこに一つの、知事部局を中心とした権力のピラミッドともたれ合い、こういう構造が生まれてくるというふうに思います。

 また、自由競争の徹底に対する抵抗、特に地域は今、雇用、経済面、随分格差ということが言われておりますが、厳しい状況にあり、建設業界を中心に合理化、効率化のあらしに見舞われることになれば、即雇用に悪影響が起こる、そこに一つの構造的なまた要因があるのではないかと思います。

 この知事あるいは官製談合というものは、監査機関やあるいは議会によって本来であればチェックされるはずのものでございます。そのチェックがどうしてきかないで逮捕に至るまで来たかということは、やはり、多選でありますとか、あるいは分配と依存の政治を当たり前とする、そういう古い政治の風土、そのことそのものにメスを入れなければ、地域における官製談合というのはなくならないのではないか、このような認識を持っております。

 以上です。

武正委員 ありがとうございます。

 与党から示されました見解でありますが、私は、単なる首長の責任に嫁すべき事案ではない、やはり構造的な問題があるというふうに考えております。

 地方と国の税収の比率は、国が五・五、地方が四・五、これを今五対五にということを地方六団体も求めておりますが、実際それを使う段になれば、地方が七、国が三というような、そうしたところで無駄とかあるいはさまざまな不祥事が生じている、こういう認識でございますし、談合が実は地方に多い、そしてまた、税財源の移譲をこれから進めていこう、菅総務大臣は五兆円、三位一体の改革に続いて移譲をと言っているわけでございますので、国民の税金がより多く、税源、財源、権限が地方に移されていくわけでございますので、そのときに、単なる首長の個人的な問題であるというような認識はいかがなものかなというふうに感じるわけでございます。

 また、今、民主党提出者から示されたところでございますが、バブル崩壊後、地方単独事業あるいは公共事業、さまざまな交付税による補てんということでの地方に対する国からの景気浮揚、その担い手を地方に課した、そういう経過がございます。この間、建設業者は十万社ふえておりますが、果たしてその時期はそういう経済財政政策をとるべきであったのか。本来であればその時点で、地域の経済が次なる新しい地域産業を創出するための実は転換にすべき十年ではなかったのか、こういうふうに考えるところでございます。

 また、第二点目については、やはり上部下部構造、大変重層的なこの建設業界でございます、中央のゼネコンから、それぞれの地域の建設業者、土木業者に至るまで、また地域ではJVなども利用しておりますが、そうした上部下部構造、これがやはり問題である点が第二点の御指摘でございます。

 こういったことは意を同じくするものでございますが、昨日も総務委員会では、安倍総理より、こうした官製談合、地方に対して、全国知事会で、その襟を正すように求めたということでありますが、では具体的に地方に何ができるんですかということに対しては、やはり地方自治体のチェック機能の強化、例えば議会の権能の強化あるいは監査委員も含めて、そういったことが必要であるということは安倍総理の答弁からもございました。

 ただしかし、私は、後で触れますように、取って返して、地方のことをいさめる前に、地方の襟を正す前に、国はどうなんだ、国もしっかりやっていないじゃないですかと。それは後ほど触れる随意契約の見直しも含め、それぞれが襟を正さなければならない。そういったときに、くしくもきょう、官製談合防止法、与野党両案がこうして提出、そしてまた議論に付すというのはまさに時宜を得ていると、それぞれの提出者の御尽力に敬意を表する次第でございます。

 そこで、地方自治法を改正した今回の民主党案、その改正理由を述べていただけますでしょうか。

○近藤(洋)議員 武正委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、今回、私ども民主党案では地方自治法も改正しておるわけでございますが、その内容は、いずれにしろ官製談合というのは極めて悪質性の高い行為であり、かつ、武正委員御指摘のとおり、地域に、地方にも根差した、残念ながら根差した、横行している行為である、こういうことであります。

 こういった認識に立った上で、私ども民主党案では、官製談合等の違法行為に関する職員の責任追及に当たり、故意または重過失を要件とすることは責任の範囲を限定し過ぎているということから、重過失を過失に厳格化したわけでございます。その上で、これは当然、地方自治体においても同様に、職員の責任追及、損害賠償請求に当たって、重過失ではなくて過失に改めるべきである、同等にすべきであるということから、地方自治法、損害賠償請求の要件についても合わせて、地方も国も同等にしたということでございます。

武正委員 与党案は、こうした地方自治法の改正には触れられておりません。が、先ほどのやりとりで、単に首長の問題であるというような御認識がありましたが、私はやはり、これから税財源の移譲、これを地方に進めていく以上、それはもうそれぞれの地方自治体にお任せということではなくて、当然、国の貴重な、国民の税金を使うそれぞれの事業でございます。地方のやはりガバナンス、地方の統治、地公体の統治、内部牽制、外部監査、これをしっかりと高めることはやはり立法府としての責務というふうに考えるわけですが、与党案にこの地方自治法改正を盛り込まなかった理由をお答えいただきたいと思います。

○佐藤(剛)議員 武正先生は、この法律の最初の審議のときにおきましても格別な御貢献をせられておりまして、私、当時の委員の発言を拝見、拝読いたしております。

 その中で先生主張されておられますのは、いわゆるガバナンスというか、しっかりと信頼関係を回復するということが一つ。それから、税金の効率的な使用ということを考えなきゃいかぬ。それから、先ほどの質問にもございましたけれども、この建設業というのが、特に地方において非常に大きな役割を持っているので、これについての構造改革といいますか、そういうようなものをやっておくべきだったということを御指摘されておりますし、それにはお上意識というのをなくせというようなことを、委員のお言葉で、平成十四年七月十七日、私、今見ておるのでございます。まさしくそういうことじゃないかなと思っております。

 それで、特に日本の場合は、先生もそこで指摘されていますが、お上の、お上意識というのがある。これをいかに脱却するかというのは、これは一般論として我々が考えなきゃいかぬ問題。

 有名な先生で、東京大学の法社会学、社会で法律がどのように運用されているか、法社会学と言うわけですが、その教授で川島武宜先生が建設請負業という名著を書いております。徳川時代からずっと披瀝しておるんですけれども、日本のお上意識というのがはっきりしている、契約関係が、甲と乙、いわゆる発注者と受注者との間で差があり過ぎると。言葉ではっきり言っているのは、何々すべしということで、官ですね、地方公共団体は何々すべし、いついつまでに物をつくらなきゃならぬ。それから、もし損害が、官の方の責任において何かあった場合には、何とかあるべし。すべしとあるべしとの違いがある。

 川島先生のお上意識の指摘があって、これはやはり、我々常に考えながら、こういう官製談合、官製談合という言葉は、セイというと政治みたいに見えますけれども、これは製造の方の製でございますから、あくまでも、これだけ多い地方公共団体、続発しているいろいろなケースを見ますと、やはり地方公共団体にしっかりしてもらわなきゃならない。

 その意味では、きょうの朝日新聞に出ておりますが、知事会においていよいよ官製談合の問題を取り上げまして、大阪府の太田知事とか、それから上田埼玉県知事とか、そういう方々が全国知事会の中で一つの報告書をつくる。これはいつまでにやるか、来年の一月までにやる、それをもってやると。何でやるのかというと、我々に求められているのは、一般的な談合というよりも官製談合の仕掛けをどうなくすのか。どうなくすのかということを、少しこの機会に、天下りの問題もそう、それから選挙のときの借りの問題もある、そういうしがらみ、それから業界との票との関係での癒着、そういう問題もいろいろあるんですが、そういうふうなことについて、原点に戻ってやりましょうということの、これは非常に積極的な側面だと私は思います。

 この各知事のアンケート調査をやりまして、アンケート調査の結果、どこにこの官製談合の原因があるのでしょうかと。聞いておると、いや、最初の選挙のときにいろいろな借りがありました、そういうふうなものがあったり、あるいは、単に談合のいろいろな内容等についての改善だけではなくて、例えば懲罰についてもしっかりとやる。これは、愛知県あたりは、免職か停職にしちゃう、これをことしの十二月から始めます。

 そういうことで、何か動きが変わってきておると私は理解しておりまして、そして、地方がそういうふうな形になってくるということに、今回の改正の、これは民主党、自民党も方向は同じでございますから、そういう意味において、これを速やかに審議していただき、通過をしていただいて、そして抑止力にもなり、これからの問題について、先生御指摘のいろいろな問題の解決の大きな一助になればと思っているわけでございます。

武正委員 なぜ地方自治法改正を与党案に盛り込まなかったかということには、直接お答えをいただけなかったんですが、今のことを私なりに受けとめますと、全国知事会プロジェクトチームに任せよう、こういうことだというふうに理解をいたしました。

 きょう、民主党の総務部門会議で、これは先月十月六日ですか、テレビ朝日の「スーパーモーニング」で、前回の統一地方選挙で習志野市の市長選挙、市議選の開票状況をビデオ映像で見たんですね。みんなポケットに何か紙を入れたり、ウエストポーチを持っていたり、トレーナーを腰に巻きつけたり、そして選挙立会人以外に、事務作業員以外の助役とか収入役が出入りして携帯電話をかけたり、端っこの方につい立てがあったり、こういうことを見まして、それで総務省を呼んだんですね。何ができるんだと言ったら、結局は、総務省とすれば、地方に任せています、こういう話なんですよ。

 例えば、法定受託事務で国政選挙だって地方の選管がやっているわけですからね。これは、やはり地方のことは地方でということで、我々は税源、財源をゆだねる、そしてどんどん地方のことは地方で決めてもらおう。ただ、その責任として、国は、立法府ですから、やはり法律をきちっとつくった上で地方のガバナンスを期待する。全国知事会、当然プロジェクトチームは頑張りますよ。ただ、知事からは、当然国もしっかりやってくれよ、国もみずから襟を正すと同時に、しっかりと法律をつくってくださいよ、こういう話はもう出ているわけでして、今のお答えは大変残念と言わざるを得ないのでございます。

 そこで、民主党提出者にお伺いをしたいんですが、民主党案では、予算執行責任者の、予算執行職員等の責任に関する法律を改正ということを入れておりますが、この理由をお述べいただきたいと思っております。

 先ほど、同僚委員からも防衛庁の職員のお話が出ました。では、国家公務員全体がそういった意識をすぐ持てるか、もう持つように、それぞれの任命権者、それぞれの首長、首長は民主党案ですが、それぞれの省庁の長はそれを徹底していただきたい。

 これはもう申すまでもないわけですが、ただ、予算執行職員、そういったことがあるんですね。国家公務員ですと大体十万人ぐらいいるというのが前回法案提出時の数でございました。きょうお見えの多くの国家公務員の皆さんも、予算執行職員ですよという委嘱状というか、それをもらっているわけなんです。やはりそれなりの権限があるわけなんです。会計法で言えば、それは出納責任者、そうした執行職員というのもあります。そういった役にある人たちに対してやはり何らかの関与をすべきであろう、このように考えるわけですが、先ほどのお願いをした理由、お答えいただけますでしょうか。

○上田委員長 佐藤先生から補足説明、よろしいですか。

武正委員 手短に。

○佐藤(剛)議員 こういうことなんですね。国の体系でやっているような、例えば国家賠償法。この法律は、国に対して故意または重過失により国に損害を与えたるものは賠償の責めに任ずると。それから、予責法もそうですけれども、みんな重過失、これが一つの相場でございます。なぜそうなのかといいますのは、過失と重過失の区別というのは非常にしにくいんですね。特に、この法律の体系というのは、重過失を過失にしますと損害賠償にかかわります。その場合の責任を考えますと、人間の一生に影響するということです。

 以上です。

○近藤(洋)議員 武正委員の御質問にお答えしたいと思います。

 予算執行職員等の責任に関する法律を改正した理由という御質問でございました。委員御指摘のとおり、この談合というのは、首長だけの責任でもなく、もちろん首長の責任の場合もありますが、職員がかかわっている場合も大変多いわけであります。とりわけ国の、先ほど御指摘ありました十万人を超える予算執行職員全員については、損害賠償責任につきまして重過失をやはり過失に改めることが適当であろうということでございます。

 与党提案者の方から、重過失と過失では随分バーが違うんだという御答弁がございましたが、この議論については、さきの平成十四年の官製談合防止法の改正議論の折にも、我々民主党は重過失ではなくて過失にすべきだという法案を提出しております。

 翻って、あれから数年たったわけですが、談合がなくなったわけでもなく、むしろ悪化をしているという状況でありますから、やはり重過失という要件は余りに高い。過失という形に厳格化して、談合を徹底的に我が国から排除する、税金の無駄遣いを許さないという体制をつくる必要があろうと判断いたしまして、現在の社会情勢をかんがみても、過失に改めることが適当であろうということで改正をしたわけでございます。

武正委員 除斥期間も、これまでの三年を五年にということで、これは会計検査院法の五年と横並びということも前回も提出をしたところでありますし、また、この予責法というのはGHQの占領下の法律ということで、これについては片山元総務大臣も、そんな例えば弁償責任の転嫁のような、内部でのおかしい、例えば、上司が部下に命令して、それこそ、ここの業者を落とせとか、ここの業者にちゃんと予定価格を言えとか、そういうふうに言われたときに、いや、そういう税金を無駄遣いするようなことを私はのめません、そういうことを、上司の命令に背くということは、今の国家公務員法、地方公務員法ではできない仕組みになっている。

 それがこの法律では、もう一人、そうしたことについて、私はこれはのめないからということで、そうしたことを立証できるようであれば、その責任が転嫁できる、自分が責任を負わなくてもいい、日本の法律の中では非常にユニークな法律だと私は考えておりまして、税金の無駄遣いを根絶するにもこの予責法の活用というのは大事である、こういうふうに考えております。

 そこで、先ほど会計検査院の話も出ましたが、民主党案では、公取と会計検査院との連携を強化する、こういったところがやはり特徴になっております。公取だけではなくて、そこに会計検査院を絡ませる。もちろん、予責法と会計検査院は非常に密接な関係にある、これはもう言うまでもないわけですが。この連携強化をした規定、そして趣旨、内容についてお答えをいただけますでしょうか。

○長妻議員 武正委員にお答えをいたします。

 今も運用では一部それがやられているというふうに聞いておりまして、さきの総理大臣に提出した会計検査院の報告書の情報の幾つかは公正取引委員会にも情報提供されているというふうに聞いておりますけれども、しかし、法律の規定をきちっと置く、これを徹底させるという趣旨でございまして、公正取引委員会においては、入札談合等関与行為があって、またはあったと認めるときの会計検査院への通知義務を定めております。これは、談合があった場合、往々にして会計が法令に従って適正に処理されていないという可能性が高いのではないかというふうに考えておりまして、これを義務としております。

 一方、会計検査院においても、独占禁止法違反行為の疑いがあるときの公正取引委員会への通知義務を定めておりまして、これも義務ということで、きちっと情報を交換して会計と独禁法と両方の側面から談合防止に努めていくということを厳正に処置をするということでございます。

武正委員 ありがとうございます。

 会計検査院と公取の相互の連携、通知強化、これによって、公取は、それこそ事案が発生して、その後外部から官製談合を行った発注者に対してアプローチをしていくわけでありますが、何といっても会計検査院は、予算執行なり内部の方からチェックをできるというのが、やはり独立性の高い、憲法でも保障された会計検査院の特徴。その二つの組織を連携させてこの官製談合の根絶を目指すということで理解をしたところでございます。

 そこで、会計検査院もお見えでございますが、前回もこうしたことを提案して、会計検査院の公取との連携強化ということを、ぜひ会計検査院の独立性ということを高めるためにも我々は求めたわけでございますが、あれからもう既に四年を経過しております。これだけ官製談合もふえております。改めて、会計検査院として、この公取との連携強化の規定、趣旨、内容についての御所見を伺います。

○石野会計検査院当局者 公正取引委員会と会計検査院との連携についてのお話でございますが、現行の入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律におきましても、国の関係行政機関は相互に連携を図るべきだという旨の規定が置かれております。また、実際の運用におきましても、両者の間で定期的な会合を開催いたしまして情報交換を図るなど連携を図るとともに、公正取引委員会が入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律に基づく改善措置要求ということを行いましたときは、会計検査院は公正取引委員会から通知を受けております。

 両者の連携に関しまして、新たな規定を設けるまでのことはないのではないかと考えております。

武正委員 四年前と全く変わらない御答弁で、本当に残念でございます。会計検査院からの、国のお金が行っている企業への、あるいは団体への、独立行政法人へのいわゆる天下りということもあるわけでして、これはやはり、民主党が主張するように国会に会計検査院を置く、日本版GAOの必要性を改めて感じるところでございます。今、条文の、関係省庁連携を、協力しなければならない、それぞれの庁が連携強化ということではなくて、やはり第三者、それが会計検査院、公取に求められる機能であることは言うまでもないところでございます。

 また、先ほどの地方自治法改正の理由として、改めて触れておきますが、与党案では、「地方公共団体等の自主的な努力に十分配慮しなければならない。」これが前回からの法律でして、「自主的な努力に十分配慮しなければならない。」ということで四年間やってきても、またこうした事案を招いているということでありますので、やはり地方自治法改正が必要である、このように考えるところでございます。

 そこで、先ほどもお話がありました、天下りと官製談合は密接な結びつきがある、私はこのように考えるわけでございますが、既に九月十五日、中馬前大臣から、お手元の資料のような、「新たな公務員人事の方向性について」ということで、いわゆる人事院の二年天下り規制撤廃を前大臣が提案しております。私は、これはとんでもない後退であるというふうに考えるわけですが、実は、総務省がこうした人事あるいはまたそうした再就職、その全省庁の横ぐしを入れる、そうした役割が総務省に与えられているわけなんですけれども、総務省として現行の人事院の天下り規制についてどのように評価されているのか、お答えいただけますでしょうか。

○河合大臣政務官 お答えいたします。

 現行の人事院による天下り規制についての評価でございますが、国家公務員法の第百三条は、在職していた機関と密接な関係にある営利企業への再就職を制限しておりまして、公務の公正な執行の確保の観点から一定の評価を果たしてきたものと思っております。

 しかしながら、これは随分前のことでございますから、公務員の再就職の問題につきましては、いろいろ御批判がなされているところでございまして、国全体における官民の人材交流、人材活用、そして公務の公正性に対する国民の信頼の確保、こういうことの観点を踏まえながら、公務員制度改革全体の議論の中で検討を行うべき課題と考えておりまして、総務省としては、勧奨退職年齢の引き上げなどにより早期退職慣行の是正を推進しながら、公務員制度改革に関しても必要な協力を行ってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

武正委員 一定の評価はするけれども、これからのあり方は検討ということでありますが、こうした提案が出ている中で、やはり総務省としてしかるべき見解を示していくべきだと思います。

 民主党には後で一緒にお聞きをしますが、内閣府の政務官もお見えなので。この中馬前大臣の提案を読みますと、お手元に資料がありますが、要は、二年規制撤廃の前提として三つのルール、これを挙げております。

 一番目が、「自らの職務に密接に関係する企業に対して、現職国家公務員が自らの再就職の打診、依頼等を行うことを禁止する」、二番目、「再就職後の元国家公務員について、退職前一定の期間在職していた機関に対し、退職後一定の期間、就職先企業に関する契約・行政処分につき不正な働きかけを行うことを禁止する」。特にこの二番ですね。こんなことを今さら決めなきゃいけないということは、ではこれが横行しているのかということでありまして、こんなことを条件に二年規制撤廃なんてとんでもない、こういうふうに思うわけですが、内閣府政務官としての御所見を伺います。

○岡下大臣政務官 武正委員にお答えいたします。

 今の三条件、三つの条件だと思いますが、御承知と思いますけれども、今二番目を取り上げていらっしゃいましたが、一番目から申し上げましょうか。

 一つ、公務員の再就職の問題を考えるに当たっては、官の人材が民に出て活躍したり、それからまた、民の経験をいたした者が官の中でその能力を発揮するなど、国全体における官民の人材交流、人材活用の重要性を十分考慮する必要がある、そして一方、再就職後の公務員の不正な行為に対しては厳正なる対処をする必要がある。一つはそうなんです。

 第二番目、中馬前行革担当大臣が提案された行為規制の導入については、公務の公正性に対する国民の信頼に疑念を生じる行為を厳しく禁止し、その違反を厳格に取り締まろうとしたものと理解をしております。

 それから、三つ目の国家公務員の再就職ルールのあり方については、中馬前大臣の試案を踏まえつつ、いわゆる天下り問題に対する批判が強いことを勘案して、公務員制度改革全体の中で総合的に検討してまいりたい、そのように思っております。

武正委員 官民の人事交流ということで進めているんですけれども、官から民へ行った方が四十人、民から官に行った方が百四十人、この三年間ですが、これしか進んでいないわけでして、きのうも総理は、官民の人事交流のために二年天下り規制撤廃をするんだということでありますが、極めて論拠として乏しいと言わざるを得ないのでございます。

 そこで、お手元の資料でございますが、これはことしの四月の行革法の折に政府が提出していただいた資料を分析した結果でございます。平成十六年度五百万以上の全省庁の発注契約、そのうちに随契の占める割合、ここでは、全省庁でいきますと七割以上が随意契約、しかも、全随意契約は一切相みつをとっていない。とても民間では考えられない、そうしたずさんな公会計が浮き彫りになったわけでございます。

 きょうは官房副長官もお見えでございます。特にその中で、公益法人との随意契約の見直し状況についてお答えをいただきたい。

 この間、六月の見直しでは、二兆一千億の随契のうち七千百六十億円を除いては見直しができた、こういうふうに言っていますが、相変わらず七千百六十億円見直しがある。そしてまた、民間企業との随意契約の見直し状況は一体進んでいるのかどうか。一般競争入札が原則である、こういったことを前総理もこの場で述べておりますし、先ほど来指摘がありますが、会計法では、あくまで一般競争入札の原則の原則外に、緊急の場合とか少額の場合とか、そういったときに指名競争入札があり、随契がある。あくまでも会計法は一般競争入札が原則でありますので、こういったことも踏まえて、官房副長官、随契の見直し状況をお答えいただけますでしょうか。

○下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 公益法人等の随意契約につきましては、各省庁において一般競争入札が原則であるとの原点に立ち返り、国民の目線に立った徹底した見直しを行った結果、金額に関して、先生の資料は十六年度でございますが、十七年度実績では約七割を一般競争入札等の方式に移行する見直し計画を本年六月に取りまとめたところでございます。

 今後は、本見直し計画を着実に推進することによりまして、公共調達の適正化に努めていくことが重要であると考えております。

 また、民間企業との関係におきましては、民間企業などを契約の相手方とする随意契約について、そのすべてについて年内を目途に徹底した見直しを行っているところでございまして、引き続き政府を挙げて全力で取り組み、国民の理解が得られるようにする必要があると考えております。

武正委員 随意契約というのは、最初からこの一社あるいはこの一公益団体と決めて、しかも相みつもとっていない。これは官製談合のきわまった形態ではないのかな、こういうふうに認識をしますので、やはり官製談合防止法、随契も含めて当然取り組みが必要であろう、こういうふうに考えるわけでございます。

 そこで、民主党提出者には、まず一点が現行の人事院による天下り規制についての評価、二点目が、いわゆる中馬プラン、人事院の天下り規制二年撤廃について、特にこの三条件をどう考えるか、そして、今も官房副長官から答弁がありました、随意契約の見直しの必要性についてどう考えるか、これをお答えいただきたいと思います。

○長妻議員 武正委員にお答えを申し上げます。

 官製談合の主たる動機というのはやはり天下り先の確保というのは、これはもう周知の事実だというふうに思っております。ここの措置が本丸だというふうに考えておりまして、まさにおっしゃるとおりだと思います。

 中馬プランの中では、先ほども御答弁がございましたけれども、二年の規制をなくしてしまう、官民交流を活発にするという美名のもと、そういうとんでもないことがなされていると考えております。

 しかし、それと引きかえに、その三条件というのも非常にざる的な話でありまして、それであれば、自分は口ききをしなくても同僚に口ききを頼むとか、幾らでも抜け道はある中、我が党といたしましては天下り規制をさらに厳しくする。二年から五年間、禁止期間を拡大する、あるいは、規制の対象とする天下り先に、特殊法人、独立行政法人、公益法人等を追加する、本省幹部の離職後十年間の再就職状況の報告を義務づける、特殊法人の役職員が天下りすることについても国家公務員と同等の規制を新設するなど、こういう厳しい天下り規制法案を国会に提出いたしたところでございます。

 そして、この随意契約でございますけれども、これは、武正委員が中心となって随意契約見直しという音頭をとっていただいたところ、政府が見直しに着手したというふうに承知をしております。

 しかし、この随意契約、政府の取り組みはまだまだ甘いということで、我が党といたしましても、随意契約等透明化法案というのを国会に提出をいたしまして、国による随意契約や指名競争入札を厳格化する、徹底的な情報公開を義務づけるということで、契約内容や、随意契約、指名競争にした理由を詳細に出す、天下りOBがいる場合はその人数も六十日以内に公表するというのを法律上の義務とする、あるいはIT調達を長期継続契約から明示的に除外する等々、今、電話代名目でIT調達、巨額の金がなされている、こういう実態もございます。

 ある意味では、この随意契約というのは、天下りの人たちを養うために、必要性の低い仕事をつくって、そこに随意的に契約をして税金を流し込む、こういう税金無駄遣いの温床の大きな一つになっておりますので、それもあわせて議論するという委員の御指摘はまさに的を射ていると思っております。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
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