2007年2月22日
【総務委員会 議事録】地域間の格差拡大について質疑

武正委員 
おはようございます。民主党の武正でございます。

 それでは、大臣所信に対する質疑を行わせていただきます。

 格差是正国会とうたわれております今国会、格差についての認識、総務大臣に伺いたいわけでございますが、とりわけ総務省、地方自治体の行政についての担当でございますので、いわゆる地域間の格差というものについて、大臣はどのように認識をされているのかを伺いたいというふうに思っております。

 地域間の格差を示すような指標というのは数多くあろうかと思いますが、私、一つ注目するのは、厚労省のいわゆる有効求人倍率。この推移を見てみますと、ちょうど五年間、例えば十三年の十二月期、そして十八年の十二月期で比較しますと、青森県あるいは沖縄県、これが、五年前はそれぞれ〇・二六、〇・二五、全国平均〇・五一、トップは五年前は山梨でありまして、〇・七八。今、五年たってのトップは、御案内のように愛知県でございますが、当時愛知県は〇・六八ということです。その間の格差というものが、三倍、一対三というんですか、青森あるいは沖縄とトップの山梨は三倍の開きということでございました。

 それが五年たって、青森は〇・二六が〇・四六へ、沖縄は〇・二五が〇・四二へということで、二倍まではいきませんが、一・五倍強、それぞれ有効求人倍率は回復をしておりますが、依然〇・五を切るという厳しい状況でございます。御案内のように、愛知県は一・九一という有効求人倍率でございまして、それぞれ、その差が五倍近い、青森、沖縄と愛知県の違い。

 こういったところも、地域間の格差を示す指標ではないかというふうに考えておるんですけれども、総務大臣、いわゆる地域間の格差が特にこの五年間拡大をしているという認識、この有効求人倍率一つとってもですね、これについて御見解を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 今、武正委員から指摘されました。確かに、五年前と今の有効求人倍率で格差は生じています。しかし、今も指摘の中にもありましたように、改善はされているわけですね、全国的に。今示していただきました青森とか沖縄とか、そういうところも倍近くなってきている。そして、当時〇・八だった愛知県が一・九ですか。そういう形の中で、地域ごとの状況にばらつきはあるものの、全体としては景気そのものはよくなってきている、このことは、委員の指摘から見ても、私は言えるのかなというふうに思います。

 そうした中で、産業構造だとか人口動向の違いなど、景気回復、今言われましたように、地域によって非常に差が出てきているということも事実でありますし、もっと言うと、例えば三重県でも北と南は違うとか、同じ県内でも、企業が進出したところとそうでないところが差が出てきている、そういうことも実はあるわけであります。

 今、有効求人倍率の話がありましたけれども、景気の谷ごろと比べておおむね全国的には改善しているけれども、今言われたように回復状況にばらつきがある、そういうような認識であります。

武正委員 総務大臣として、地域間の格差拡大については認めておられるということだと思います。

 また、こうした地域間あるいは個人間、企業間の格差、その原因というのは、私は、どうしてもグローバルスタンダード、あるいは世界的な競争にそれぞれ企業として対応しなきゃいけない、そういうのがあったにせよ、ある面、労働法制等、あるいは経済関連の法制の行き過ぎた規制緩和があったのかな、こういうふうに感じるわけであります。

 とりわけ、非正規雇用がふえている。これは、総務省の統計で、ついに三人に一人以上が非正規雇用者という統計も、昨年の七―九月期で総務省は発表されております。そういう意味では、とりわけ二〇〇四年の労働者派遣法の改正、製造業での派遣労働者の受け入れが始まり、ことしの四月からそれを一年から三年への拡大、これはやはり是正が必要であろうというふうに考えるところでございます。

 さて、続きまして、夕張について話を移させていただきます。

 総務大臣は、基本的に自己責任である、こういうふうに述べておられますし、そうは言っても、この三月までに夕張の再建計画を総務大臣として同意する、承認するということで、けさの報道では、きょうですか、それが行われるのか、あるいは提出されるのかということで、ほぼ内容も固まってきたやに伺っております。

 ただ、しかし、ここまで夕張が来るについては、途中途中で節目と呼ばれるような時期があったのではないのかなというふうに感じます。

 昨年末、大臣も現地に行かれておりますが、その四、五日前に私ども民主党の調査団も、鳩山幹事長を団長に、十名の国会議員で現地を調査してまいりました。市長、議長、あるいは関係団体の長の方からいろいろと伺ったところでありますが、その話を伺うと、こういう言葉が何度となく聞かれます、仕方がなかったと。仕方がなかったんだというような言葉が何人かの方から聞かれまして、最後にそれを引き取って、青年会議所の理事長でしたが、我々も責任がある、市役所も議会も市民も責任がある、ただしかし、ここはやはり我々が立ち上がって再建しなきゃいけない、我々が自発的にやるから、そのときにぜひ国を初めさまざまなサポートをと言って、その場の雰囲気ががらっと変わったところでありまして、その後は、御案内のように、成人式について、女性の方がみずから、補助金がカットされる中自立的に行って、全国からそうしたカンパが集まる、あるいは加森観光を初め、あるいはお医者さんを初め、さまざまな形で夕張再建に多くの手が今差し伸べられている。やはり、夕張の自発的な再建、これがあってのサポートなのだとは思うわけでございます。

 ただ、しかし、ここまで及んだ責任というものに国やあるいは道の責任というものがなかったのかというと、やはりあったのではないのかというふうに考えるわけですね。それは、さまざまな形で、地方債の発行、あるいは交付税、あるいは補助金、また道としてもさまざまな関与があったわけですので、まずは、国や道の責任というもの、とりわけ国としての責任、これがなかったのかどうか、大臣としての御所見を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 委員御承知のとおり、夕張市で、一時借入金を悪用した形で、会計間で年度をまたがる貸し付け、償還を行うことによって、多額の赤字を見えなくする不適正な財務処理、これが行われてきたわけであります。そういう意味では、全く特殊なケースであるというふうに私は思っております。本来であれば議会や監査委員においてチェックされるべきことが、チェックされていなかった。私自身も昨年の暮れの二十九日に夕張市を訪問した際には、市長及び議長から、不適切な財務処理に対して反省とおわびの言葉がありました。

 そもそも北海道や国が不適正な財務処理をチェックできなかったのではないか、そう言われれば、そのことは事実であります。しかし、夕張市が行ったこの不適正な財務処理に対する責任と国の責任というのは、私は別だろうというふうに実は思っております。私も、産炭政策の転換だとかリゾート政策の転換だとか、いろいろな国の実は政策もありました、そういう中で、胸を張って責任は全くなかったとは言いませんけれども、こうした不適正な財務処理が今日の夕張市を招いた実は最大の原因であるというふうに思っております。

 加えて申し上げますと、平成十四年に、夕張市がスキー場とホテルを民間企業から取得する際に、北海道に対して、地方債を財源としたい、そういう相談がありました。そして、北海道から私ども相談があって、起債の許可は困難である、そのことを私どもは申し伝えました。その結果どうしたかといえば、市の土地開発公社が同施設を取得し、そこから市がまたそれを取得している、こういうことも実は行われてきておるわけでありますので、やはり私は、夕張市の責任というのは極めて大きい、こう思います。

武正委員  胸を張って責任がないとは言えないということで、責任は認めるということだと理解をいたしますが、特殊なケースとか別だという形で果たしてくくれるのかなというふうに思います。

 八五年のプラザ合意以来、内需拡大を求められ、政府は内需拡大に努めてまいりました。また、バブル崩壊後も、特に総務省、当時自治省にあっては、地方単独事業を盛んに行うことによって、景気回復、その手足として地方公共団体を使ってきた、これはもう否めない、その地方単独事業の推移を見れば。あわせて、地総債など、後で交付税で面倒見るから、債券を発行して、そして事業をやりなさい、とりわけ、この後指摘をする第三セクター、これを積極的につくらせてきた。今言われたリゾート法もありました。

 こういった政府による景気回復、これを担ってきた地方公共団体、これが実は夕張にも当てはまるというふうに私は考えておりまして、やはり、分権が道半ばであり、そして地方が、国から補助金あるいは交付税の、将来のということでそのツケを負わされる、こういう構図が夕張にもあったということは指摘をできるわけでありまして、やはり国、道の責任というものは重いというふうに言わざるを得ないのでございます。

 また、今指摘がありました、地方債は不許可にしたけれども、土地開発公社を通じた債務負担行為によって取得して債務が増加している、こういうようなところも、まだまだ地方公共団体がさまざまいろいろな技術を工夫、技術というか手法を工夫できるところは、やはり法律としてきちっと、それこそ国会あるいは政府、その責任があろうというふうに考えるところであります。

 そこで、今、この夕張でも第三セクターが数多くありまして、例えばマウントレースイなどのスキー場も含めて、そうした第三セクターが債務を巨額に抱えているといったところでございます。

 第三セクターに関する指針の見直しというものが平成十五年十二月に行われておりますけれども、私は、やはり今回、一般会計と特別会計、こうした第三セクターも含めて、今大臣言われたような、年度をまたがり会計をまたがり、それこそ、貸し付け、借り入れ、償還諸収入、こういった手法を駆使して、そうした表面上の赤字が見えないようなことが行われているわけでありまして、今、第三セクターについては、前年度末でありますが、九千二百八法人、出資総額五兆六千億、うち自治体の出資額は三兆五千億、六割を占め、そのうちの五%が債務超過、貸付金残高四兆四千億、損失補償契約債務残高九兆四千億、それに対して一方、情報公開で条例や要綱などを設置しているのは五割という実態であるというようなことも含めて、やはり第三セクターに関する指針の見直しを、もうそろそろ三年半になりますので、今回のことも契機に必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○菅国務大臣 まず、先ほどの夕張の件ですけれども、私は、夕張は特殊なケースという話をさせていただきました。

 確かに、国のそうした政策はありますけれども、基本的に決めるのは、地方公共団体が、議会があって、その行政の長が決断をして決めるわけでありますから、例えば産炭政策、リゾート法、確かに国はいろいろ関与していますけれども、そういう同じような状況の中でも、ほかの地方自治体は頑張って、このような状況になっていないということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 また、委員も夕張市を視察されたと思いますけれども、実は、ちょうど私の秋田の田舎の町が、当時一万三千人ぐらいだったんです。そこにどんな施設があると数えたら、施設はほとんどないんですよね。二十九の施設がありましたから、それは全く異常なケースであるということ、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 今、第三セクターについてのお話がありました。

 平成十五年に地方自治体に通知した、第三セクターに関する指針というものを自治財政局長名において出しました。監査体制の強化、有識者による経営の点検評価の充実、積極的かつわかりやすい情報公開に努めること、こういうことを求めて地方自治体に示したわけであります。さらに、十七年に示した新行革指針においても、同様の取り組みというものを要請しています。

 しかし、現実的には、委員の指摘のように、この第三セクターがさまざまな地方自治体の財政逼迫の大きな要因になっているということも事実であります。

 そういうことで、私ども、今度の国会に提出をし、御理解をいただきたいと思っていますのは、第三セクターも含めた新しい指標、こういうものを含めて、財政の健全化を図る早期是正システム、そういうものについて今度の国会に提出をしたい、こう思っておりますので、第三セクターというのは私は極めて重要な視点であるというふうに思っています。

武正委員  今の指針では、会計監査人の監査とか外部監査、これが全部に義務づけられているわけではありませんし、また、地方議会、大臣も市議会の御出身で、私も埼玉県議会出身ですけれども、議会への報告義務が出資額二分の一以上なども含めて限定をされている点もやはり改善の必要があるだろう。ちなみに、夕張木炭製造株式会社は三四%自治体の出資ということですから、五割以上ではないといったこともあわせて、やはり改善が必要ではないのかというふうに思います。

 先ほど大臣、いや、長もしっかりと議会のチェックのもと、長の責任で行われているので、やはりある面、夕張は特殊なケースだというお話でしたけれども、じゃ、果たして自治体の長にはそれだけ権限があるのか。当然みずからの権限があって、そして市のマネジメントをそれこそその権限に基づいてできるのかというと、御案内のように、自主財源比率等含めて、やはり国からあるいは道からのさまざまなお金の流れ、そして当然それに対する報告、あるいはそれに対してのまた負担割合など、さまざまな形で自治体の長の権限あるいは自治体の権限というものは制約をされているのが現状だと思うんですね。

 私は、やはり分権、徹底して権限を与える、それは当然自律的な運営ですから責任をとってもらう、そういう意味での責任の明確化というものが必要だと思いますが、残念ながらこれまでの自治体はまだまだそれが道半ばである点。

 あわせて、じゃ、議会がチェックできるのかというと、議会もやはり、ちょうどきのうあたりは宮崎の県議会の模様が出ておりました、私は宮崎県議会は頑張っているなと思いました。知事と代表質問のやりとりを見ても、工夫しているなと思っています。でも、まだまだ、もっともっと工夫の余地は地方議会はあるんじゃないかな。そうすると、長に対するチェックと同時に、ある面、二元代表制としての提案、こういったものがもっともっと議会に与えられるような、法改正も含めて必要なのではないのかな。先ほど監査のことも言われましたが、監査委員の人選なども含めて、あるいは監査委員の権限についても、やはり私は見直しが必要ではないかなと思っております。第三セクターに関する指針については、ぜひ見直しをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、今やはり全国知事会から要望が出ておりますのは、昨年、三名の知事が逮捕をされ、宮崎もそうですが、新しい知事が生まれております。こうした知事会のプロジェクトチームから出ている提案の中に、地方公務員のいわゆる天下りについて法的な規制がないこと、これをぜひ国会あるいは政府として立法をしてほしい、こういう要請が出ているんですけれども、私は、ぜひこれは政府としてもあるいは国会としても、この全国知事会の提案を真摯に受けとめて、地方公務員もやはり天下りといわゆる官製談合、この密接な結びつきというものが指摘をされ、みずから知事会が提案をしておりますので、これはやはり前向きに取り組むべきというふうに考えますが、大臣の御所見を伺います。

○菅国務大臣 昨年の十二月に、全国知事会公共調達に関するプロジェクトチームがまとめて報告書を提出しました。OB等の口きき行為については、国家公務員法の改正の動向を見据え、地方公務員法の改正を要請するということになっております。

 現在、本件に関しましては、国家公務員の再就職の適正化について行政改革推進本部事務局で検討が進められているというふうに承知をしております。再就職管理に関して、地方公務員制度においてどのような措置を講ずる必要があるのかについては、国家公務員における検討状況や国家公務員法の改正案の具体的内容、全国知事会からの要請、そういうものを踏まえてこれは検討していきたい、こう思います。

武正委員  この文書を読みますと、「企業との間に退職前五年間に担当していた職務と密接な関係を有すると認められる職員(課長級以上)については退職後最低二年間当該企業への再就職を制限するなどの措置を講じるとともに、」と。これは今、いわゆる人事院のチェックのことを言っているわけでありまして、私、前々から国会でも発言させていただいておりますが、今政府が進めておられる人事院による国家公務員に対するいわゆる天下り規制、このチェックを外すようなことは、やはり天下りをかえって助長する、私はあってはならない法改正であるというふうに思います。

 そうした法改正の動向は動向として、やはり地方公務員の天下り規制を、例えば人事委員会がやるのかわかりません、私は、総務省、総務大臣としてぜひ、地方公共団体の真摯なこうした改善、また今はたしか一般競争入札を一千万円以上にしようということで、既に埼玉県なども始めておりますが、こうした自主的に、やはりああいった知事三名の逮捕は二度と起こしてはいけない、この思いをぜひお酌み取りいただけるようお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、次に移ります。

 教育委員会制度の抜本的見直しについてなんですけれども、昨年来、教育基本法の改正の議論をめぐって、特別委員会で伊吹大臣が、いや、地方分権一括法で文部科学省は地方の教育委員会に何もできないんですよ、こういうような極端な言い方をされて、国の権限を強めたい、あるいは地方分権一括法をもとに戻したい、こういう発言が相次いでおりまして、私は大変遺憾だなというふうに思っておりました。そうしたことも教育特別委員会でも発言もしてまいりましたが。

 ここに来て、規制改革会議も同様の見解を述べておられます。やはりこの分権の流れをとめるべきでない、今のいわゆる教育再生会議を受けての文部科学省なりのそうした見直しというものはあってはならないという見解を述べておりますが、この規制改革会議の見解について、大臣としての御所見を伺います。

○菅国務大臣 地方分権改革というのは安倍内閣の最重要課題の一つであります。昨年の臨時国会において、各院の理解をいただいて地方分権改革推進法が成立をしたというのは御承知のことであろうというふうに思っております。そうしたもとに、私どもは地方分権改革に全力で今取り組んでまいります。

 同時に、教育再生、これも内閣の重要課題であります。教育再生会議の提言などを踏まえて、中央教育審議会での審議を経て必要な法律案を今国会に提出する、このように聞いています。

 そこで、今御指摘のありました規制改革会議からは、「地方分権等の流れに逆行する形で国の権限を強化し、文部科学省の裁量行政的な上意下達システムの弊害を助長することがあっては断じてならない。」等の見解が示されたところであります。教育再生会議の提言でも、「教育委員会制度は、地方分権の考え方が基本である」、こういうこともうたわれていることも事実であります。教育委員会制度の抜本的見直しの具体化にあっては、地方分権の観点からの整理が必要である、こう考えておりまして、総務省としてもこれは十分な調整というものを求めていきたいと思います。

武正委員  ぜひ分権の流れをとめることのないように、総務大臣としてお取り組みをお願いしたいと思います。

 さて、ことしは定率減税が全廃をされる年でありまして、既に当委員会でも委員から、とりわけ六月に住民税が、地方への税財源移譲三兆円、そして定率減税全廃、ダブルで住民税がはね上がること、これに対する懸念、そして政府の説明をわかりやすくということを求めているようでありますが、やはり家計に与える影響というものが大変心配をされます。

 昨日、日銀は公定歩合、金利を上げております。消費も堅調であるようなことを言っておりますが、やはり七―九月期は消費が落ち込んで、十―十二は若干回復をしておりますが、私はやはり、内需、消費、これは非常にまだ力の弱い中でのいわゆる景気回復と呼ばれるものであるというふうに考えておりますので、特にこの六月ですね、住民税が大幅に上がることの地方経済に与える影響というものを懸念するんですが、大臣としてはそれをどのように考えておられるか。

 あわせて、一昨日ですか、本会議で大臣も、この定率減税については暫定的なものである、こういうふうに答弁の中で述べられております。私は、恒久的な減税、法人減税そして定率減税、恒久的なものとして導入をされたというふうに考えて受けとめておりますし、所得税の抜本的な見直しまで、こういうことであれば、今政府が進めている、来年度、税制の抜本的改革、これまでやはり定率減税は続けてしかるべきというふうに思うわけでありますが、景気に与える影響、そしてまた定率減税を暫定的というふうに答弁した理由、以上二点、お答えをいただけますでしょうか。

○菅国務大臣 まず、六月に住民税が増税をされるということでありますけれども、一月には所得税が減税されていまして、その額は全く増減ないということを申し上げたいというふうに思っています。

 その定率減税、恒久的、暫定的のお話でありますけれども、定率減税導入の際、小渕元総理は衆議院予算委員会において、一年限りでなく期限を定めないで制度改正を行い、その後特に法律改正を行わない限り継続していくという趣旨で恒久的な減税と表現したものである、こう答弁をいたしております。未来永劫に改正しないという趣旨で恒久的減税という言葉が使われたものでない、このように私は理解をいたしております。

 景気対策として導入された定率減税というのは、暫定的な税負担の軽減措置であって、経済動向を見据える中で見直しをされるべきものである、こう考えております。

武正委員  地方経済に与える影響はないということでよろしいでしょうか。

 あわせて、今、未来永劫と言いましたが、未来永劫は恒久であって、だから恒久的ということで言われたわけでありますし、当時の小渕内閣総理大臣も、また六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施することにより、という答弁を相次いで使われておりましたので、やはり恒久的であって、特に所得税の抜本改革までということでありますので、それを暫定的であると総理初め総務大臣が使うのは、今までの国会答弁を変更するものであるということで看過できないということであります。

 地方経済に与える影響はないということでよろしいでしょうか。

○菅国務大臣 現在のこの景気の現状というのは、御承知のとおり、息の長い回復を続けておって、例えば民間最終消費支出は一九九八年度では名目対前年度比〇・〇%、二〇〇六年度は一・八%の増加になっております。

 さらに、我が国の経済を見るときに、企業部門の好調さが家計部門へ波及をし、国内民間需要に支えられた景気が続くものと見込まれることから、この定率減税の廃止に伴う影響は十分吸収できるものと考えております。

武正委員  先ほどから言っておりますように、定率減税に加えて地方への税財源移譲で、ダブルでその六月にはね上がる、やはりこのことが地方経済に与える影響、懸念をするところであります。

 さて、次に、質疑を通信・放送に移らせていただきますが、今国会には、いわゆるNHKの受信料の強制徴収について、あるいはまた、大臣が相次いで二割削減可能である、こういうふうに発言をされている、NHK受信料をめぐる、あるいはNHKをめぐる法改正、これを提出されるというふうに伺っております。

 昨日、朝日新聞の方ですかね、いわゆるNHKの受信料の強制徴収についての調査結果が出ておりました。アンケートですけれども、賛成反対半々というような結果でありましたが、やはり注目すべきは、年代によって分かれるんですね。つまり、六十代以上は、いいじゃないか、強制徴収してもと。それが二十代から五十代は逆転をすると。その理由がやはり、まずはテレビを見ない、あるいはNHKを見ない、こういったことが理由に挙げられているところもあるんですけれども、やはり通信・放送の融合によってテレビの見方というものが現実的に今変わろうとしている中で、この調査結果を見ても、ここで強制的な徴収をしようというのはいささか時期尚早ではないのかな、こういうふうに考えるわけであります。

 あわせて、総務大臣、この後の質問も一緒に行いますが、受信料二割削減可能である、こういうふうに述べておられますが、総務省に言っても、その根拠となる資料もくれません。ですから、どういうことで二割削減可能なのかなということであります。NHK会長は、とても無理である、あるいは、そうした審議会は九月以降設けて審議をするけれどもと。こういったところで、かなり矢継ぎ早に大臣はこの二割削減も求めようとしているわけですが、以上二点、この朝日新聞の調査結果、とりわけ二十代、五十代が反対が上回っていること、そしてまた二割削減の根拠、これをお示しいただきたいと思います。

○菅国務大臣 まず、強制徴収制度ということでありますけれども、これは私導入するつもりは全くありません。これは、訴訟手続によらずにNHKが自力で受信料債権の回収を行うという強制徴収制度の導入は、私はまず検討はいたしておりません。私が検討しておりますのは受信料支払い義務化であります。

 私もきのうの朝日新聞のあの調査結果というのは承知をいたしております。

 まず、今の受信料体制で本当にいいのかどうかということを国民に、私は、今のままでいくとなかなか理解をされないんじゃないかなというふうに実は思っております。

 今言われている数字は、五千万世帯が受信料支払いの世帯だということであります。そのうち四千六百万世帯に対して何割かということで、現在は四千六百万世帯の中の七割の方に料金を納めていただいています。三割の方は最初から受信料に対してお支払いをいただいていないわけですけれども、果たして、この五千万という世帯そのものも母数として疑問がある数字じゃないかなと私は実は思っています。それは、今我が国の住宅戸数というのは五千四百万戸あります。そのほかに事業所とかホテルとかいろいろあるわけでありますから、そうしたこともやはりもう一度見直ししてもらう必要があるのかなというふうに私は思っています。

 いずれにしろ、国民から見て不平等にならないような形というものは私は物すごく大事だと思っております。

 ですから、多くの国民の皆さんに受信料の現状というものをまずわかってもらう必要があって、今の数字でも三割の人が払っていない現状というのは、支払っている人に余りにも負担がかかり過ぎている。現に私も、そうしたことをいろいろな方から指摘もされております。そういう中で、支払い義務化というものを導入する、しかし、それもやはり料金値下げとセットでなきゃならないと私は思いますし、あるいは、NHKそのものの改革というものをしっかり示さない限り国民から理解をされないということも、私は承知をいたしております。

 仮に、この受信料の支払いが一連の不祥事の前の、八〇%でした、その水準まで回復をし、さらにそのほかに受信料の義務化に伴う効果が加われば、現在の七〇%、八五%ぐらいまで高まる、私はこのように期待をしておりますし、そのことによって年間約千二百億の増収効果が見込まれます。これにさらにNHK自身による経費削減、例えば、六千億円、現在料金徴収をしておりますけれども、この六千億を徴収するのに一二%から、かつては一四%ぐらいかかったときもありますから、これは海外は四%ぐらいですから、そうした努力というものも当然私はNHKに求めたいというふうに思っています。

 そうしたことを考えるならば、二割の引き下げというのは問題のある数字じゃない、こういうふうに思っております。もし必要であれば、私は資料も提出したいと思います。

武正委員  ぜひ資料の提出をお願いしたいと思います。

 今のお話で、六千億ということで、これを単純に二割下げれば千二百億減収、それが今の、八五%になることによっての増収千二百億、ツーペイ。そうした受信料を徴収するところの改善、でも、たしかこれは数十億の話ですよね。幾らでしたっけ、改善は。まあいいです。

 そうしたことの中で一つ言えるのが、今母数を五千万と言われたところでありまして、これはいわゆる未契約も入っての数字だと思うんですね。大臣のねらわんとするところは、つまり未契約世帯の契約義務化である、こういうふうに考えるわけですが、そうすると、先ほどの不平等という話、NHKはしかしながら公共放送で、国営放送ではないわけですね。国営放送であれば平等、不平等という話が出るかもしれませんが、あくまで公共放送である。その中で、払わない人、払った人の不平等といったことで、未契約も契約をさせ、さらにまた契約世帯をふやしてというところに、私はやはり数字の根拠に無理があるのではないかというふうに考えます。

 これは、NHKが説明で使うそうした数字に未契約の世帯数が入っていない形で我々も説明を受けてきたところにもその理由があるというふうに思いますので、やはり、今大臣が言われた料金の値下げといわゆる私が使う強制徴収はセットであること、あわせてNHK改革ということが条件であるというふうに言われるのであれば、私はNHK改革の動向を見きわめるにはまだ時期尚早であるというふうに考えるところでございます。そうした点も含めて、やはり慎重な議論が必要であるというふうに考えるわけでございます。

 そこで、次に、関西テレビの放送、いわゆる捏造問題を契機とした電波法、放送法の改正も行おう、こうしてまた総務大臣がこぶしを振り上げたというふうに受けとめたわけですが、これも果たして、まず今回の関テレの案件、我々も、総務部門で二度も総務省の方に来ていただきましたが、資料も十分出していただけませんし、なかなか、関テレ自体のそうした報告書、なぜ突き返したのかも含めて、すべて口頭でしか資料が出てこない。総務省の担当課の関西テレビとの信頼関係というんでしょうか、よくわかりません。

 やはり、そうした監督、そしてまた、それこそ放送業界、放送業を振興する、監督と振興、両方相まった総務省としての限界、あるいは、これはまた後で話がありましょう、電波監理審議会の中立性、こうしたものが改めて今回問題提起がされているなと。今回の総務大臣の電波法、放送法改正ということでありますが。

 しかし、BPOなどもやはりこの点については慎重な対応を求めております。放送の中立性、独立性、あるいは放送番組自由編集、放送法三条、昨年来、命令放送でも何度となくこの場で議論をさせていただきました。やはり、ここの電波法、放送法改正を急ぐのも時期尚早ではないのか。

 というのは、まだ実態がよくわからないわけなんです。今言ったように、関テレは二十八日にまた、最終報告というか、もう一回報告を出すわけですよね。きのう、報道では、自民党に来られているようです。民主党も、関テレに総務部門に来てくれとお願いをしておりますが、そうした点の実態もまだ解明途上でありながら、ここで放送法等の改正でもし今国会に提出をされるとすれば、やはり早いと言わざるを得ないんですが、こうしたBPOの声明なども含めて、大臣としてどのようにお考えなのか、今国会で法律をあくまで出すのか、御所見を伺いたいと思います。

○菅国務大臣 放送番組ですけれども、今御承知のとおり、昨年も実は四件、行政指導を私ども出させていただいています。その中で一つ、やはり、インゲンマメ、これが健康に効くということで国民の皆さんがそのことを行ったら体調不良を起こして入院したという騒ぎもありました。その前の年もそうした行政指導を私どもさせていただいています。その際に、私ども、再発防止策というものを実は提出をいただいています。それは自主的にやっていただいていますけれども。しかし、こうしたことが引き続いて発生をしている。

 今回のこの関西テレビの問題でありますけれども、これは明らかに捏造されたものが公共の電波で国民の皆さんに見られている。そして、納豆が買い占められて、スーパーにはなかった、こういう現象が実際起きているわけでありまして、私は、もちろん報道の自由というのは当然保障しなきゃならないというふうに思っていますけれども、しかし、事実でないことを事実のように報道する自由というのは私はないと思っております。

 私は、そういう意味で、非常にこの問題を深刻にとらえておりまして、放送を所管する大臣として、果たして今のままでいいのかどうかと考えました。また、そうしたBPOの声明というものをもちろん事あるごとに私は気にしているというか参考にしていることは、これは間違いないことであります。

 そういうことを考えたときに、報道の自由というものに配慮する中で、再発防止策というのはやはり私は今必要だろうというふうに考えておりまして、そうした観点に立って今国会に法律を提出したい。

 捏造した事実が流れたということは、既に関西テレビも認めています。

武正委員  昨年のインゲンマメはTBSであって、今回関テレということで、社が違うといったことも指摘をさせていただきます。

 大臣は何度となく公共の電波というふうに言われますが、公共の電波であるならば、いわゆる国民共有の資源ですよね。国民共有の資源として、その使い方、電波の使い方については、やはり公平公正な機関がそれを決めるべきであろうというふうに考えるわけです。そうした点がされないまま、先ほども触れましたように、監督を行う省庁、そしてそうした放送業界を振興する省庁がダブっている。これはやはり分離をすべきであろう、今回の案件についてもそう考えるわけです。

 とりわけ、電監審への諮問というものを絡ませるというようなことが報道されておりますが、電監審が、昨年の命令放送を通じても、公開もしない、そして即日答申もする、関係者の意見聴取も行わない、議事録が出てきたと思えば一カ月後。こんな電監審にまた諮問をしても、結局、そうした中立、公平、公正な第三者の、BPOも含めた意見が取り入れられるとはとても思えない。

 私は、今国会での法改正の提出は時期尚早であり、それをやってしまっては、総務大臣として、やはりその職責について、要するにその見識が問われるというふうに考える次第でございます。

 近未來通信事件を契機とする電気通信事業法改正を今国会に提出するかどうか、これは質問をしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので質問をしませんが、これも、昨年言いましたように、電気通信事業法改正、現在でも立入検査ができるわけですから、それを強化する必要はないということと、やはり、あの近未來通信事件は、既に内閣府が平成十年、十一年から情報を入手しながら、要は政府内の関係省庁の連携が悪いためにああいった形で被害が拡大をしたということであって、それを電気通信事業法改正に結びつける必要がないということを申し上げたいと思います。

 お手元には、二枚目に選挙開票透明性確保通達という資料が出ております。これをごらんいただきたいと思います。

 これは、昨年本委員会でも、習志野市ですか、選挙開票におけるテレビ放送、ポケットつきの服を着ていったり、ウエストポーチですか、あるいは電卓を持ち込んだりという、そうした映像があって、総務省にこうした点、一体開票状況はどうなっているんだと言いましたら、通達しますということで、これが一月に通達が出ているわけであります。

 しかし、そうはいっても、いろいろ話を聞いてみると、総務省が自治体の開票についてきちっと適正な指導ができるかというと、何かいろいろ説明を聞いてみると、基準もあいまいだし、それからもちろん罰則もないしということで、何か全国で果たして公平公正に開票が行われているのかなということで大変疑念を感じたわけであります。ちょっと時間もありませんので、この通達の履行の徹底を、四月に統一選も控えておりますので、改めて求めておきたいというふうに思っております。

 お手元、三枚目は、独立行政法人の監査法人名。これは昨年の予備的調査の結果でありまして、監査法人が今度解散をする、こういったこともあって、果たして独立行政法人の監査法人、この後どうなるのか、これも質問で聞きたかったんですけれども、ちょっと時間がありません。

 私は、いわゆる四大監査法人、名前で監査法人を選ぶことなく、実質的な監査ができるところ、これは先ほど言われました全国の第三セクターもそうだと思うんですよ。税理士さんも含めて全国には有能な、そうした監査ができる方々がたくさんいます。こうした名前にとらわれず、きちっとそうした監査人を選択していくことが一つ今回の教訓ではないかということを、これは指摘させていただきます。

 そこで、最後ですが、頑張る地方応援懇談会の開催について資料をごらんください。今、総務大臣、副大臣、政務官は、このような日程で全国を飛び回っておられます。後ほど同僚委員からも質疑が出る、頑張る地方応援の交付税ですね、三千億円、この説明に出ておられるというお話でございますが、この二十五日までの予定あるいは実績でございます。

 しかしながら、この頑張る地方交付税について、我が党の西村議員も本会議で指摘をしたように、いわゆるふるさと創生第二弾、いわゆるばらまきの最たるものではないのか、こういうような指摘もしているところでありますし、また、大臣はこの三月も精力的に回られるというふうに伺っておるんですね。多分これは四十七都道府県、一県一カ所あるいは二カ所ということで、全都道府県を走破しよう、こういうような勢いかと思いますが、ただ時期が時期ですよね。四月に統一選も控えておられます。

 うがった見方かもしれませんけれども、こうした統一地方選の前に担当大臣が全国を、いわゆる三千億円の交付税をこれから皆さんにお配りしますよ、頑張ってくださいということで、幾つか指標はあるようですけれども、果たしてこの時期に、なぜこれをこうやって組まれているのか。

 私は昨年も指摘をいたしましたが、選挙中に総務大臣が行って、あれは福島でしたか、県内の市町村長を集めて懇談会、やはりそうした選挙を所管する大臣とすれば、疑念を持たれるからやってはいけないんじゃないですかと。いや、そんなことありません、こういう答弁がありましたが、これもやはりそうした疑念を持たれるのではないかというふうに懸念をいたします。

 私は、地方選挙の前に四十七都道府県走破のような計画はやはり見直しをすべきではないかというふうに考えますが、最後にこのことをお伺いして、質問を終わらせていただきます。

○菅国務大臣 「頑張る地方応援プログラム」というのは、地方に元気がない、地方に活力を生み出すために私どもが新しい政策として考えたものであって、七月に交付税の配分が決まりますから、それまでの間にこういう形のものを、とにかく六月ぐらいまでにやって、それ以外に、八月、九月というものも当然第二弾として考えておりまして、選挙のためにやっていることじゃない、地方の活性化のために私どもはお願いをしている、説明をしている、こういうことでありますことを御理解いただきたいと思います。

武正委員  これを見ても、出席市町村、これは全部呼んでいるわけじゃないんですよね。これは呼ばれたところと呼ばれていないところ、やはり内心複雑だと思いますよ。どういうのでこれを選んでいるのかわかりませんけれども、やはり
そうしたこともありますので、こうした時期を慎重に対応されることを求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。