2007年3月28日
【沖縄及び北方問題に関する特別委員会 会事録】 北方四島に関しての質疑 |
○武正委員
民主党の武正公一でございます。
質疑を行わせていただきます。
お手元の方に資料を、理事会のお許しを得て、委員長のお許しを得て配付をさせていただいておりますので、そちらの方もごらんをいただきたいと思います。
まず、この二月、ロシアのフラトコフ首相来日時の話でございます。
昨年、日ロの間において特に不幸なことが二件あった。サハリン2をめぐる資本構成の見直しがまず一点。それから、第三十一吉進丸への銃撃、拿捕、そして五十年ぶりに死者を出したという痛ましい事件。この二件が、昨年の日ロ間をめぐる大変不幸なこと、あるいはあってはならないことであろうというふうに私は認識をしておるんですけれども、この点、今回フラトコフ首相来日時に外務大臣として言及をされたのかどうか、あるいは、安倍首相とフラトコフ首相会談で言及をされているのかどうか。やはりサハリン2をめぐる資本見直しは大変遺憾であるとか、あるいは、それこそ第三十一吉進丸の船体を早く返すべきである、こういうようなことに言及をされたのかどうか。お答えをいただきたいと思います。
○麻生国務大臣
二月のフラトコフ首相の訪日の際というので、これは、安倍総理との一連の会談で主にこの話が出ております。プロジェクトの円滑な実施ということで、これは民間の話ですので言い方も難しいところなんですが、少なくともここのサハリンプロジェクト2というものがきちんと円滑に実施されるようにしてもらわないといかぬというところが一番肝心なところだったとは思っております。
したがって、これに対して、ロシア側としては、ガスプロムが参加ということに最終的になっておりますので、日本への天然ガスの供給ということに関しては、これは確実に責任を持ってやってもらわないと、こちらの方も、買うのはこっちですから、だから、そういった意味では、日本と協力するということをきちんと確認しておいた方がいいんじゃないかという話で、これはお願いする立場じゃないんです、商売ですから。そういった意味では、そちらも資本参加された以上はきちんとはっきりしましょうという話で、その種の話を向こう側にして、両方で確認をしております。
サハリン2だけでよろしいですか。(武正委員「船」と呼ぶ)船の方につきましては、これは、漁業分野における既存の枠組みの堅持ということの話をして、これは日ロ両国で、漁船の安全かつ操業の確保ということで一致をしております。
また、銃撃事件というのは、今言われましたように、五十年ぶりで死者が出ておりますので、これは、その前のラブロフ外務大臣のときからこの話をしておりますが、いずれにいたしましても、この話に関しては、こういったようなことが起きないような枠組みというようなものをきちんとつくり上げないかぬのではないかという話を我々の方からしたということで、向こうもそれに対しては了解、一致をいたしております。
○武正委員
外務大臣が発言で取り上げたかどうかをお聞きしたのです。外務大臣は、尾身財務大臣、甘利経産大臣とフラトコフ首相及び関係者と協議をされておりますので、その場で、まず、サハリン2について外務大臣から言及があったか否か。それから、二件目については一致をしたということですが、そうすると、船体を返すことについてロシア側は同意したということでよろしいのかどうか。
いずれも、二件とも、外務大臣が聞いているかどうかを伺っております。
○麻生国務大臣
ロシア側から船体についての応答はあっておりません。
それから、その前の、フラトコフとの話に関しては、甘利経産大臣と尾身財務大臣との合同の席がありましたけれども、その席においてその話を申し込んでおります。
○武正委員
外務大臣から直接船体の返還を申し込んだということでよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣
この船体の返還の申し込みを最初にしたのは、多分、ラブロフのときにしたという記憶であります。
○武正委員
いや、今回フラトコフに対してされたのかどうかをお聞きしております。
○麻生国務大臣
正確な記憶がありません。読み上げます。
漁業分野の既存の枠組みを堅持、日ロ両国の漁船が安全かつ適時に操業できることを確保すべきことで一致し、このため、両国関係当局間の連携及び協力を一層強化していくことを確認。日本側より、カムチャツカにおいて長期拘束されております漁船及び船長、及び国後島付近で拿捕された漁船及び船長の早期解放を要請した。これは私の言葉になっております。
○武正委員
今の最後のは、第三十八瑞祥丸ということでよろしいでしょうか。
○麻生国務大臣
船体の話ですから、瑞祥丸のことです。
○武正委員
それと第三十一吉進丸ということで、二つについて返還を求めたと。
○麻生国務大臣 船一般について、漁船すべてです。
○武正委員
実は、三月二日に海上保安庁根室が送検をしておりまして、これは坂下船長を初め乗組員の皆さんからの事情を聞いた上での送検というふうに記事には出ておるんですけれども、私も、昨年来、GPS登載の三十一吉進丸の船体が返ってこないとやはり現場の確定ができないだろう、なおかつ、百歩譲っても現地に赴いて、それこそ国後なり四島に係留されているとすれば、いろいろ問題があるとすれば、例えばサハリンに曳航して現地で見る、こういうことを海保の方に提案してまいりました。海保の方も、実際、これまで三度ほどロシア側の国境警備局にそういう提案をしているようでありますが、明確な答えがないということでありまして、外務省ルートでも同様の提案をしていただいているようなんですけれども、明確な答えがないまま、今回、送検に至っております。
私は、実はこの第三十八瑞祥丸も拿捕されて今もって船体が返ってこないということもありますので、外交ルートは、外務省のみでなくて、それぞれカウンターパートもやはりそれぞれのカウンターパートとして、さまざまなルートをつくっていく必要が、とりわけ近隣の諸国とあると思うんですね。
とりわけ、係争と言ってはなんですが、領土、領海の問題をめぐって、ある近隣の諸国とはさまざまなパイプがあっていいというふうに思っておりますので、ぜひ、この海上保安庁と国境警備局のこうしたルートについて、もっともっと太くしていくべきだというふうに思いますが、この点、外務省サイドとしてはどのようにお考えか、あるいは、それをしっかりサポートしていくという御決意をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣
カウンターパートは同業者の方がいい。はっきりしております。海軍と海上保安庁でもぐあいが悪いし、やはり海上保安庁と向こうの国境警備隊の方が話のルートとしては非常に今後ともしやすいものだ、これは何もロシアに限らず、大体基本的にそうだと思っております。
それから、先ほどのその前のお話、最初の質問ですが、これは累次にわたって、このGPSのいわゆる船体の引き渡しを求めてきておりますが、ロシア側から、裁判の結果国庫に没収ということになったということと、引き渡しに応じることは困難であるという回答は、もうこれは何回か申し上げております、そのとおりです。
なお、三十一吉進丸のGPSのデータにつきましては、調査を行ったがデータは記録されていなかったとの説明をロシア側から受けているというのが現状であります。
○武正委員
ただ、それは、裁判で没収といっても、こちらは、そうしたそれぞれの立場にある部署がその責任を果たすためには、やはり物証なり、しっかり調査をしなければならない。こういう立場があるわけですから、やはり現地に赴いてこれまでも調査をした経緯は海保についてあるわけですので、やはりそれについては、ロシア側のそうした言い分は言い分として、カウンターパートに対して、そうした道を開くようにしっかりと外交当局としてサポートをお願いしたいというふうに思います。
そこで、次に移りたいと思いますが、外務大臣は、日ロの間で北方四島及び周辺地域での共同経済活動、これを日ロ外相会談、APECで提案したとされておりますが、このいわゆる共同経済活動、今回、フラトコフ首相来日時に、こうした点について話し合われたことはあるでしょうか。
○麻生国務大臣
昨年の十一月の十六日の件で、いわゆるラブロフとの話の件を言っておられるのかなと思いますが、前にも申し上げたと思いますが、北方四島及び周辺地域のいわゆる共同経済活動というものに関して提案や打診を行ったという事実は、少なくとも十一月十六日のときはありません。今年二月のフラトコフの訪日の際の会談におきましても、いわゆる共同経済活動というものを取り上げてはおりません。
○武正委員
お手元に、フラトコフ・ロシア連邦首相の訪日時の作成文書、これを配付いたしました。わずか三日間でありましたけれども、非常に交わした文書というのは多いなというふうに私も驚いております。三枚目、四枚目には、これはプーチン・ロシア連邦大統領の訪日の際の成果文書ということで、このときも十二本ということで、これにまさるとも劣らないと言ってはなんですけれども、交わされた文書、署名された文書が非常に多い今回の首相の訪日だなというふうに思いました。
この中に、今言われた共同経済活動に当たるものは入っていないというふうに私も理解をするんですけれども、産経新聞の三月二十二日付は、フラトコフ首相来日時に、谷内外務事務次官とロシュコフ前駐日大使、現在次官が協議をして、日本がいわゆる四島一括返還、そしてまた、ロシア側が五六年の共同宣言に沿った二島引き渡しによる解決という枠組み、それぞれ放棄をしようじゃないか、こういったことが新聞の方に出ているわけなんですけれども、これは、もともと二〇〇五年十一月十六日のAPECでの日ロ外相会談での麻生外相が提案したとされる共同経済活動、あるいは昨年の外相就任時の記者会見、いわゆる三島返還論、こうした一連の流れの中で、産経新聞は、安倍首相の指示、意向として、日ロ双方が領土交渉において極端な立場から離脱することを提案したと。これは、ロシアの有力日刊紙コメルサントが今月二十日報じたという記事を産経新聞が二十二日に記載をしております。
こうした一連の流れで、領土交渉について、そうした柔軟なというか、四島一括返還から次々にいろいろな提案をされてきたのかなといった流れというふうにお見受けをするんですけれども、こうしたことが、このフラトコフ・ロシア首相訪日に際して行われた外務次官級協議であったのかどうか、これについて、外務大臣としての御所見を伺いたいと思います。
○麻生国務大臣
最初に、フラトコフの話が出ましたけれども、この人は、武正先生御存じのように、今、多分ロシアのいわゆる役人の中じゃこれが断然力を持ったことはもうはっきりしていると思っております。その他いろいろ大統領候補という人は何人かいらっしゃいますけれども、それはもう、役人の世界じゃこのフラトコフが一番力を持ったのは確かです。したがって、いろいろな成果文書等々が出てきているというのは、そのフラトコフというのとの関係もありましたし、フリステンコが同行しておりましたから、その関係もあって、産業関係も、産業というか、経済の方で多かったんだと思います。
それから、同行して前の駐日大使ロシュコフが次官として来日をそのときしておりましたので、いろいろな、一般的な意見交換というのを谷内次官との間でしておりますが、報じられておりますように、極端な立場を放棄する用意がある旨提案したというような事実はありません。
北方四島に関しましても、昨年十一月にハノイで、日ロ首脳会談において、安倍総理とプーチン大統領との間でいろいろ意見を交換し、その席に同席しておりましたけれども、これまで達成をされました諸合意とか諸文書というのに基づいて、日ロ双方にとり受け入れ可能ないわゆる解決策を見出すために精力的に努力をしていこう、大体、基本的にはその線がずっと一貫されておりましたというように記憶をいたします。
○武正委員
そうすると、フラトコフ・ロシア首相の来日時に領土問題解決に向けた進展というものはどのようなものが見られたのか、お伺いをしたいと思います。
○麻生国務大臣
今申し上げたように、諸合意、これまでの諸文書等々の合意に基づいてというプーチン大統領、安倍総理との線以上に、いわゆる一歩踏み出したような案が向こうから提案されたこともありませんし、こちら側から提案したこともないということに御理解いただければと存じます。
○武正委員
日本政府の立場をもう一度確認したいんですが、日ロ間では平和条約の締結がない。平和条約の締結を日ロ間として急ぐ、これが日本の立場であり、そのためにも、やはり九三年の東京宣言、四島の帰属を確認して、そして平和条約の締結、これが原理原則というふうに私は考えておるんですけれども、その点について確認をしたいと思います。
○麻生国務大臣
いろいろ文書が交わされておりますのは御存じのとおりで、九三年のもそのうちの一つですけれども、いわゆる諸合意というのは、いろいろなこれまでにされた合意文書というように御理解いただければと存じますので、それに基づいて、やはり平和条約がないために、少なくとも日ロ間においては、経済関係だけ考えても、もっと飛躍、発展する、ステップアップするだけの余地があるのではないか、にもかかわらずステップアップができない最大の理由は、領土問題というのがのどにひっかかっているということが、そちら側もうまくいかないし、こちら側もうまくいかない、いま一つということになっておるというのは不幸な話ではないのかという話は、これはもう何回となく私の方からも言いましたし、安倍総理の方からも同様の趣旨のことが述べられております。
その意味では、平和文書とか共同宣言とかいろいろなものがありますけれども、そういった形できちんとしたものにしておく必要が将来のために、私は双方の国益に資すると思っておりますし、向こうもその点に関しては何らかの形で合意を得たいという意欲はプーチン大統領になってからの方が強い、私にはそういうような感じがいたします。
○武正委員
プーチン大統領がそういう意向が強いかどうかは別にしまして、では、日本側はどうだったのかということなんですね。
今、平和条約締結、これがやはりすべてに最優先するという言い方は外相はされませんでしたけれども、やはりそれがまず前提なんだ、のどに刺さったとげというようなものですから、やはりこれを取らないと食べ物もおいしく食べられない、そういうようなことだというふうに思うわけですね。
ということでいくと、先ほど資料で配りましたように、今回のフラトコフ・ロシア連邦首相の訪日ではこれだけの文書が交わされて、合意をしている。あるいはロシア・プーチン大統領訪日のときも成果文書は十二もある。ただしかし、領土についての前進が見られない。これは一体どこに原因があるのかということだと思うんですね。
今言われたように、プーチン大統領はこれまでの政権よりも熱心なんだというふうに言われますが、私は、やはり九三年の東京宣言というのは日本にとって前提、まず第一歩にすべきだというふうに考えますのは、やはり四島の帰属をしっかりと明確にしようという、そうした日ロの合意がされたからでございまして、ほかの諸文書と横並びだよという外相の発言はいかがかなというふうに思っております。
やはり日本側とすれば、あくまで東京宣言、東京宣言、こういうふうに言っていくべきであろうと思いますので、東京宣言を結んだエリツィン政権の方が、私はプーチン政権よりも領土交渉について実は熱心であったのかなと。あるいは歩み寄りの可能性が十分あった、これは多くの識者が指摘をするところだと思うんですね。
そういった意味では、私は、日ロ行動計画以来のこの五年間というんですかね、日ロ間の交渉というものが、領土交渉というものが経済的な連携とある面横並びになってしまったのではないのかな、それが、これだけ多くの諸文書が交わされても領土交渉が前進しない、ここに誤ったロシア側に対するメッセージが与えられているのではないのかなと。
そこに加えて、共同経済活動、あるいは三島でも、あるいは極端な立場の放棄という、そういったことが次々に日本側からメッセージが出ていく、あるいは出ていると報道される。これが、やはり日ロ間において、あるいは日本の国益ということを考えたときに大変あってはならない、まずい今の日ロ間の交渉の実態であるというふうに私は思うんですが、この点について外相の御所見を伺います。
○麻生国務大臣
九三年の東京宣言というのを言っておられますが、残念ながらエリツィンは退陣をして、今、エリツィンを倒したプーチンを相手にしなくちゃなりませんので、これは基本的にはプーチンと、御破算に願いましてとは言いませんけれども、これまでの諸合意の文書というのはそれが大事なんだよということを申し上げているのはその点なんであって、少なくとも今、エリツィンとはちょっとまず全く、関係としてはかなり薄い。プーチンという人を相手にしなくちゃならぬというのは我々の立場でありますので、そこのところはぜひ頭に入れておかにゃいかぬと思っております。
それから、経済関係というものに関しましては、これは、領土領土でもう何にも進まない状況が、かれこれ何年続きましたかね、随分続いておりますので、そういった関係で今、少なくともトヨタが、いわゆるプーチンみずからトヨタに頼んで、トヨタがサンクトペテルブルクに行き、いろいろな形で今、ロシアが石油が枯渇した後をどうするかという点に関して、ロシア執行部、かなり細心の努力とか、非常に積極的とか、いろいろな表現はあるんでしょうけれども、物すごく努力しておるという一環なんですけれども、少なくともこれ以後、我々との関係というものをきちんとしておく必要があるとロシア自身もそう思っている。
我々も、石油というものを考えますと、中近東に九割というのはかなり偏り過ぎていると思いますので、そういった意味では、そこらの供給源を分散するという必要もあろうと存じますので、これは我々としてもそれなりのメリットはあると存じます。
しかし、それらのものは、いずれも、少なくとも一連の平和条約締結の前に当たっての環境整備の一環としていろいろなことをやっていかなくちゃ、これだけ言ってたって全然先に進みませんから、いろいろな形で環境整備を整えるものの一環としてやっていくべきものだ、私どもはそう理解をいたしております。
○武正委員
環境整備ということなんですけれども、環境整備で経済を、あるいはエネルギーを、そこら辺はまだ幾らか理解できると思います。ただ、環境整備の方が先に走って、これだけの諸文書がどんどんと交わされていく、領土交渉は置いてきぼりを食っているような印象はやはりいかがなものかと思いますし、また、あわせて、外相の発言の共同経済活動、あるいは安倍内閣で就任時の記者会見、四島と二島だったら三島もあるじゃないかというような、そうした記者会見、そして今回の極端な立場の放棄、こういったことは環境整備とはまるっきり違うと思うんです。
やはり日本側の立場は四島の一括返還であり、それが九三年の、エリツィンは今プーチンに継承されておりますが、やはりロシア政府がしっかりと諸文書の継承ということでありますので、私は九三年の東京宣言をもっともっと出していっていいと思うんですけれども、今のこうした一連の領土交渉で日本が後退をしている印象というのは、私は環境整備ではないというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○麻生国務大臣
全然感覚が私と違うんだと思いますが、基本的にはこの種の関係で経済関係ができることによって向こうも経済的に豊かになる、そしてこちらもそれによってメリットで、双方まずメリットがある。ここのところはすごく大事なところであって、片っ方だけメリットのある話なんというのは全然長くは続きませんから、だから、そういう意味では、まず双方にメリットがある。
加えて、向こう側の方の将来のことに関して、これは日本と組んだ方がええ、しかし、日本と組むに当たっては、北方四島の問題というのは解決しないとしっかりしたものにならないということに関しては、これは向こうも、この問題があるからというのはみんな向こうも知っていますから、その問題、これ以上先になかなか進まないんですよという話はしばらくすると必ずこっちから出てきますから、そうすると、向こうもわかっていますと。
だから、これ以上のところをやろうとすると、この問題の解決をしないと前には進まない、しっかりしたものにはなりませんよということは、いろいろな場面で、我々というか、外務省関係だけが言うだけじゃなくて、経済産業省も同様な趣旨のことを皆、最終的なところではこの問題が出てまいりますので、どうして日ロ関係がうまくいかぬか、最終的にこれですよという話がきちんと出てまいりますので、これによって領土問題が後退をするというイメージはございません。
○武正委員
改めて、やはり東京宣言に立脚した立場で、やはり四島の帰属をしっかり明確にする、それによって平和条約締結を、この原理原則を貫いていくべきであって、あだや報道されているような、あるいは外相の発言のような形で、後退という印象、あるいは日本側が妥協しているという間違ったメッセージ、あるいは領土よりも経済という間違ったメッセージをロシア側に与えてはいけないということを私は重ねて指摘したいというふうに思います。
さて、日中間の話に移らせていただきます。
沖縄トラフ、そしてまた中間線、こうしたことでこれまでも日中の局長級協議が行われております。あした、東京ですか、日中局長級協議、第七回、久方ぶりに開かれるという報道でございます。
ちょっとおさらいをしてみますが、第二回で、日本側からは、白樺、中国側は春暁と言っておりますが、地質構造などのデータ提供と一方的な開発はやめろということを求めている、あるいはEEZ、大陸棚の境界画定、日本側は中間線、中国側は沖縄トラフまでの自然的なそういった大陸棚の主張、そして東シナ海の天然資源の共同開発、これが第二回であります。第三回では、日本側から共同開発の提案を行った、中間線をまたいだ四カ所のガス田で開発をしようよと。第四回、共同開発、中国側の案は、中間線から尖閣諸島の北側にかけての提案があったと報道はされている。第五回は、やはり白樺の開発中止を求めたが断られた。あるいは第六回、中止を前提とした議論は中国側は受け入れられない、こういうような報道があるわけです。
お手元には、第四回のときの東シナ海等に関する日中協議の資料、外務省さんの資料を添付させていただきました。下にページが振ってあります。六ページをお開きいただきたいんです。
これは、第四回のときのペーパーなんですが、私が注目をしたのが、第三回までの「参考」というところです。「4共同開発」の一番下のところに「参考」とされているところで、前回協議、ですから第三回の協議での日本側提案の内容ということで、「白樺・楠等中間線を跨る構造を対象に共同開発を行う。」「それ以外の水域については、中間線の西側は中国、東側は日本がそれぞれ試掘や開発を行うことについて日中双方が異議を唱えないこととする。」「共同開発について、日中間で最終的な合意が得られるまでの間は、中国側は白樺油ガス田、樫ガス田等について開発作業を中止する。」「以上を一体として提案する。」
日本側の提案が書かれているわけですけれども、ここで注目は、やはり二番目の、中間線の西側の中国あるいは東側の日本が試掘開発を行うことについて異議を唱えない、こういう提案をしていることであります。日本は、先ほども触れましたように、第二回のとき以来、白樺の開発をやめろ、こういうふうに言っている一方で、西側中国、東側日本と。東側で日本は試掘開発は行っていないわけですから、中国の現状を容認してしまったのが第三回の日中局長級協議ではないのかというふうに考えるんですが、この指摘についてどのように考えますでしょうか。
○松島大臣政務官
今おっしゃいました第三回の協議でございますが、これは委員の解釈がちょっと違っております。
第三回協議におきましては、二つのことを一体として提案しているわけでございます。一体としているということは、一つ目が、先ほどおっしゃいましたように中間線をまたがる構造を対象にした共同開発を行うということ、二つ目として、それ以外の水域について、中間線の西側は中国、東側は日本がそれぞれ試掘や開発を行うことについて日中双方が異議を唱えないということ、これを一体として提案しておりますので、それの一方だけをやることについては、日本は認めていません。つまり、我が国が、中間線の西側、中国側で中国側が一方的な開発をやることを認めたことにはなりません。今申しましたように、あくまでも一体としての提案であるからであります。
また、我が国は、我が国の領海基線から二百海里までの大陸棚の権限を有しております。その上で、中間線に基づき境界画定を行うべきだという立場をとっております。この立場に基づきまして、我が方が提案を行った後も、中間線の西側、中国側で中国側による一方的な開発作業を行わないよう申し入れを行ってきております。
なお、中間線の東側におきましては、平成十七年七月十四日に、経済産業省が帝国石油による試掘権設定の出願を許可しているところであります。
〔委員長退席、山田委員長代理着席〕
○武正委員
またがっているのは、四つのうちの、北から、楠、樫、白樺。平湖はまたがっていないわけですね。ですから、一番上の、「中間線を跨る構造を対象に共同開発を行う。」というところに平湖は入っていないということになるわけですが、そうすると、平湖については認めるというような解釈で提案をしたということでよろしいんでしょうか。
○松島大臣政務官
認めないということで申し入れを、こちらから中国に、やってもらっては困るということで申し入れを行っております。
○武正委員
ただ、これを見ると、またがったところは共同開発しましょうよ、それ以外の水域については認めますよというのが二番目ですよね。これはどうでしょうか。
○松島大臣政務官
つまり、それは、この提案、協議がワンセットで日中間で合意されなきゃだめだということで、委員もおっしゃいましたように、ずっと協議が続いていまして、あしたも七回目の日中間の局長クラスを行うことになっております。つまり、まとまっていないわけでございますから、一部取りされてやられても困る、そういうことです。
○武正委員
ただ、一部取りされるような提案を行っているのではないのかなというふうに、もともと日本は中間線をとってその西側について主張していないという立場、これはまあ良識的だな、でも、中国側は大陸棚で主張しているということですから、私は、もともと、最初から中間線の主張で譲ってしまって果たしてどうなのかなというふうに思っているわけですので、こういったことで異議を唱えないこととするという提案がやはり誤ったメッセージを与えているのではないかなというふうに私は思います。
それで、第四回で提案した南北共同開発、これについて麻生外相に聞いても、場所については答えられないということでありますので、多分きょうもまた同じ答えだというふうに思いますので、これについてはお聞きをいたしませんが、どうでしょうか、あしたから始まる日中局長級協議、昨年の安倍首相の訪中で、ガス田の協議を加速する、こういう合意をされているわけでありまして、私は、これまでの間、中国側から提案のあるような、中間線から沖縄トラフまでの間の開発、こういったものに日中間で合意をしていくのかな、あるいはまた、温家宝首相の四月の来日、これでそうしたものを、それこそ平和の海ということで、認めていってしまうのかなということをある面危惧するわけなんです。
中間線ということで日本側の主張、そして沖縄トラフを主張する中国側、もしこの間で共同開発を認めてしまうと、それがやはり中国側の主張に沿った形になってしまうからであります。あるいは、場所は特定はされませんが、尖閣の北側について共同開発を認めてしまえばなおのことでありまして、私はあしたからの局長級協議というのは大変注目だと思いますが、先ほどの北方領土もそうですけれども、日本側の領土、領海の原則をしっかりと主張していく、これがやはり基本だというふうに思うんですね。日中間も、さまざまな懸案がありますが、先ほどの外相の発言をかりれば、環境整備だといって経済連携を強めていくことが、果たして、日本が一番守るべき一つの領土、領海、これを譲ってしまうということになりはしないかというふうに危惧をするわけです。
これは質問にはありませんけれども、あしたからの局長級協議、そして温家宝首相来日、これで、ガス田については、昨年の両首脳会談の合意も得て、もしかしたらその合意をというようなこともささやかれておりますけれども、日本側の立場はきちっと堅持をするということを改めて外相に確認したいと思います。外務大臣、お願いいたします。
〔山田委員長代理退席、委員長着席〕
○麻生国務大臣
あしたからいわゆる日中の会議を開始するんですけれども、第七回目になりますが、会議をすることになっておりますが、それによって温家宝総理の訪日前までにしかるべき答えが見えてくるかということに関して、希望的観測を持っていることはありません。
したがって、これは、日本が自分たちの意見を主張している間はそういったことだと思いますので、今言われましたような点で、ずれるとかぶれるというようなことはないというように御理解いただければと存じます。
○武正委員
ぜひ、しっかりと領土、領海については、先ほどの北方領土もそうですけれども、日本側の立場を相手国にきちっと伝えていくということで、外交当局、そしてまたそれぞれカウンターパートがあります、日中間でもたくさんありますので、それぞれのパートについて、ぜひ外交当局としてしっかりサポートをお願いしたいというふうに思います。
高市大臣にお聞きをしたいと思いますので、日中防衛協力、これを進めるべきであるということについて外相にお伺いしたいと思いましたが、これはちょっと質問を飛ばしまして、一番最後の資料をごらんいただきたいと思います。
先ほど来、沖縄の有効求人倍率ということが再三指摘をされておりますが、この五年間の有効求人倍率、昨年の十二月、そして五年前の十二月、第一位の都道府県と最下位の都道府県、いずれも最下位は沖縄でありますが、これの格差が拡大をしていること。民主党は格差を是正すべきであるという緊急措置法案も提出をしておりますが、この有効求人倍率一つとっても、やはり格差が拡大をしているなということが、一位と四十七位の差が三・一倍から四・五倍になったということで明らかだと思うんです。
こうした沖縄の有効求人倍率、これが引き続き最下位であることについては、何としてももっと力を入れていかなければならない沖縄の経済対策だというふうに思うんですが、第一位の都道府県との格差が拡大していることについて、大臣としてはどのような認識をお持ちでしょうか。また、沖縄についてどのような対策が必要と考えますか。
○高市国務大臣
私は、有効求人倍率の絶対値そのものが上昇をしてきているということと、それから、就業者数そのものはふえてきているということで、この流れを推し進めていきたいと思います。
よその県との比較ということになりますと、どうしても、その県の立地、産業の性質ですとか、そういったものによっても違いますので、必ずしも他県との比較で格差という形でとらえるよりも、沖縄自体、沖縄の主体的な発展というものを進めていきたいな、沖縄で絶対値というものがよくなっていけばいいな、私自身はそのように考えております。
現在は、沖縄振興計画に沿いまして、自立的に経済を発展させるという方向で、特に観光業、それから情報通信業を中心に人材育成を行ったり、そして、産業そのものの振興に取り組んでおります。結果として、情報通信産業では、百十社の企業が新規に立地し、雇用に関しても新たに一万人以上が創出されております。
さらに、雇用対策は、沖縄県の職業安定計画がございますので、これは厚生労働省と沖縄県が中心になって、雇用機会の創出、それからまた若年労働者の雇用創出、雇用促進といったことで取り組んでいただいております。
内閣府におきましては、観光、情報通信の分野における高度で専門的な人材育成の支援ということに取り組んでいるところでございます。
○武正委員
以上で質問を終わりますが、私もちょっと最近沖縄に行っていませんけれども、空港にデューティーフリーショッパーズがありますよね。最近売っているのかどうかわかりませんが、たばこはあそこでは扱っていませんよね。ですから、沖縄もこれまで特区、特区といろいろやってきました。空港のすぐそばにも特区ということでつくりましたけれども、今、ある面それがうまくいかなかったという一つの事例とされておりますし、名護の金融特区も含めて、この間さまざまやってきましたけれども、思い切った権限を特に沖縄には付与していく、これによってやはりこうした有効求人倍率の向上というものにつながるということを指摘して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。 |
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