2007年4月26日
【総務委員会 議事録】 地方公営企業等金融機構法案について質疑 |
○武正委員 民主党の武正公一でございます。
新機構法案の質疑をさせていただきます。
まず最初に、過日、地方選後半戦、二十二日に投開票が行われました。長崎の市長選挙、伊藤前市長が突然凶弾に倒れられたこと、本当に痛ましく、またあってはならないということは、これは総務委員会あるいは国会の皆さん、同様にそういうお気持ちを持っておられると思いますし、断固、そうした銃の使用あるいはそうした組織犯罪、これについて徹底した政府としての取り組みを求めたいというふうに思いますし、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
そこで、過日、期日前投票についても総務大臣とやりとりもさせていただきました。投票券が告示日に届いていないこと、あるいは、県議選について言うと、最初の土日を過ぎて届いていることについて取り組みを求めまして、大臣からは努力をしたいという御答弁をいただきました。
今回、期日前投票でやはり、選挙期間中に凶弾に倒れられて補充立候補ということもありましたので、大量の無効票が出たという報道になっております。特に、これまでの選挙からかんがみますと、その期日前投票で、伊藤前市長が倒れられる前の十六、十七両日の投票が七千を超え、これまでの市長の得票率からかんがみると四千四百票が伊藤市長と書かれていたのではないのか、こういうような報道もあるわけでありまして、やはり期日前投票についても、補充立候補を経て再投票ができないものか、こういったことは今も長崎市役所の方に問い合わせがある。長崎市役所とすれば、これはもう国が法律で決めているので、何ともはやと。ただ、新市長もこれについては国に要望したいというふうに報じられております。
こうした今回の大量の無効票が出たこと、また補充立候補を経ての投票について、期日前投票というのは新しいやり方としてスタートしておりますので、この点についてはどのように見直しをされていくおつもりなのか。既に着手はされているようでございますが、見直しについての大臣の御所見を伺いたいと思います。
○菅国務大臣 委員御指摘のとおり、長崎の市長選挙においては約八千票の無効投票が出たわけでありまして、こうした点について、投票のやり直しができないかだとか、いろいろな御指摘をいただいております。この期日前投票制度というのは、期日前投票の時点で選挙権の有無を確認して、選挙人が投票用紙を直接投票箱に入れる制度でありますので、一人一票の原則からしても、現行法上は投票のやり直しということはできないことになっております。
さまざまな課題がありまして、補充立候補の日時あるいはこの期日前投票、実は、この制度について調べましたら、今から五十数年前にできている制度でありますから、現在と時代も大きく変わりました。補充、伝達手段も違うわけでありますので、そういう中で、私どもはもう一度原点に返って見直しをする必要があるんじゃないかな、そう思いまして、連休明けにも、学識経験者だとかあるいは実際選挙事務に当たっている人に、補充投票は何日ぐらいでできるのか、そういう作業の状況等も議論をする中で、私どもとしては、総務省としての一つの見解を出させていただいて、各党会派の中で議論して決定をしていただければというふうに思っています。
○武正委員 期日前投票は五十三年前ではなくて最近始まっているわけで、五十三年前は補充立候補の制度ということで見直しが必要だということであります。
中には、だから期日前投票というのはある面リスクがあるんだというような言い方をされる方もいるんですが、期日前投票が始まった本来の趣旨は、やはり投票率を上げるというか、できるだけ有権者の方に投票の利便性を有してもらおう、こういう趣旨で、私は高く評価をしておりますので、その評価がさらに充実するための見直しというのをぜひ御検討いただきたい。今、一人二票になるから難しいというお話でしたが、そのことも含めて御検討をいただきたいというふうに思います。
あわせて、今回の地方選で、前回質問をいたしましたが、いわゆる統一率は三割弱ですかね。ですから、千八百自治体であれば五百ぐらいでやったんでしょうか。その今回地方選をやった自治体に、投票券がいつ配付をされたのか、あるいはいつ発送したのか、これをぜひお調べいただいて、また委員会に御報告をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 この前の委員会でも、できるだけ最初の土日に投票できるように私どもも努力をしたい、そういう話を申し上げましたので、当然、そうしたことについてはきちっと調査というものはさせていただきたいと思っています。
○武正委員 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、本法案に移らせていただきます。
お手元に、委員長、理事会のお許しをいただいて資料を配付させていただきました。一枚目が地方債の現在高の推移、それから二枚目が、おととい後藤委員の質問で総務省が理事会に提出をしていただいた公営企業金融公庫役員、職員の状況、役員、職員の国家公務員出向者、出身者の割合というものでございます。
一枚目、見ていただきますように、地方債の現在高、これが年々ふえていっております。この額が二百兆円を超えているということでありますが、この二百兆円を超えた地方債の現在高、これを大臣として多いと見るか、ちょうどよいと見るか、少ないと見るか。もし多いと見るとすれば、これをどうやって減らそうとされているのか、お答えをいただきたいと思います。
○菅国務大臣 多い、少ないでいえば、GDPで見てもOECD諸国の実は六倍もありまして、国際的にも極めて高い水準であるというふうに思っておりまして、この残高というものをできるだけ減少させていくことに全力で努めていかなきゃならないというふうに私も思っています。
基本方針の二〇〇六には、人件費だとかあるいは公共投資など地方歳出の抑制に取り組むこと、地方税財源の充実確保を図ること、こういうことを実はうたわれておりまして、財源不足の縮小に努め、新規の地方債の発行を抑制するなど、財政健全化というものについて今進めていく必要があるというふうに思っています。
十九年度について申し上げますと、地財計画においては、地方歳出の抑制だとか、あるいは景気回復に伴う税収の増加等によって、前年と比較をして地方債発行額を一・二兆円減少することができました。さらに、交付税特別会計借入金の償還も行うことができるわけでありますし、地方債の残高は全体としては二兆円ぐらい縮小するのではないかなと思っています。
○武正委員 多いという認識と減らさなければならないという認識はわかったわけですが、具体的にそれをどうやってというのは、これは国、地方あわせての財政再建、これについて、まだまだ政府からは明確な方向性、プライマリーバランスを二〇一〇年代初頭にとるというのは出されておりますが、財政再建は出されておりません。この地方債現在高の推移、これをどういう形で減らしていくのか、これがやはり明確に示される必要があろうというふうに思います。
特に、これを見ますと、この十年間で倍増ですよね。既に私も指摘をしておりますが、やはりバブル崩壊後の景気回復を地方公共団体が担わされた、これはもう否めない事実だと思いますし、後ほど再建法制で夕張破綻についても、それは夕張のみならず、国、道、特に国の責任というものが問われるところはやはりここにあるというふうに思わざるを得ないのでございます。
そこで、地方債を市場からできるだけというような、市場公募資金もふやしておりますし、また、地方債の発行も自治体の自由度緩和、こういったものを進めているわけですが、そうはいっても市場から調達できない自治体等もあるよ、そういったところをやはり今回の新しい機構がカバーするんだよ、ただ、やはり地方共同法人の自主性に任せたい、ここら辺は総務大臣からお答えありましたので、次の質問はちょっと飛ばさせていただいて、実際、地方債、これは市場公募資金も含めて、できるだけ市場から地方債を調達するため、政府資金をどんどん減らすんだ、こういった流れだと思うんです。
私は、アジア債券市場構想は前々から関心がありまして、もともとはタイのタクシン首相が提唱したわけでありますが、やはり国債、地方債、もっともっと国際市場で流通をさせるべきだというふうに思っております。地方債も今二百兆残高がありますので、あるいはこれからこの新機構もまた債券を発行していくわけですが、こうしたものを国際市場で流通させる、あるいはアジア債券市場についての大臣の御所見も含めて、お答えをいただきたいと思います。
○菅国務大臣 基本的に私は、金融市場のグローバル化と国際化、地方債においてもこれは避けられないだろう、そういう考え方を持っておりまして、地方債についても積極的に取り組むべきというふうに思っています。
こうした観点から、地方債においても、平成十九年度税制改正において、国債と同様に、外国法人等の利子に係る源泉徴収非課税措置というものが実現をして、二十年一月一日以降の振替地方債から適用される、こういうことになっております。
今回の特例措置を契機として、円建て地方債についても、地方公共団体と連携をして海外関係者に対するIRを実施するなど、国際市場の開拓にも努めてまいりたいというふうに思っています。
今御指摘をいただきましたアジア債券市場イニシアチブは、貯蓄率の高いアジアの民間資金を経済発展に必要な中長期の資金ニーズに結びつけよう、そういうものであって、アジア経済発展にとって重要であるというふうに思っております。
その中で、政府等によるアジア通貨建て債券発行も課題の一つとされておりまして、日本の円建て地方債の国際化を図るということはその一助になるものと考えております。
○武正委員 大臣から前向きな御発言をいただきましたが、であるならば、やはり地公体の財政状況、その説明責任はそれこそ世界的に通じるものにしていかなければならないというふうに考えるわけでありますので、当然再建法案で議論になってまいりますが、夕張の例を見るまでもなく、一般会計、特別会計などの連結財務諸表の作成、こういったものはやはり求められると思いますし、それから、今言うようなことを今度の新機構が対応を求められるとすれば、やはり人材には当然、金融の専門家のみならず、国際的にそうした地方債を販売、流通させるための、そうした知見にたけた人を役員、職員に採用していくということが私は必要だというふうに思います。
そこで、旧機構の、まだ現機構でありますが、振り返ってみたいと思うんですが、いわゆる臨時三事業、これがふえた理由、あるいは介護サービスがふえた経緯、これについてお答えをいただけますでしょうか。
○菅国務大臣 昭和五十年代初めまでは公庫の貸付対象というのは公営企業分野に限定をされておりましたけれども、厳しい財政状況の中で地方債の一層の活用が必要とされている、そういう中で政府資金の提供に限界があったことを踏まえて、昭和五十三年度から普通会計分野の臨時三事業、これが貸付対象に追加されたのであります。
介護保険制度の導入を機に、地方公共団体が行う介護サービスが公営企業に位置づけられた、こういうことを踏まえ、介護サービス事業に対しても公庫の貸し付けが行われるようになったという経緯であります。
○武正委員 あわせて、バブル崩壊後、地方単独事業を政府は予算で、地財計画でも必死になってふやしましたね。その予算、決算の乖離がやはり当委員会でも随分問題になりました。地方が、幾ら地方単独事業をふやせと言われてもなかなかできない、これ以上できませんよ、そういう中でこの公営企業金融公庫が担った役割、これについてお触れいただけますでしょうか。
○菅国務大臣 バブルの崩壊後においては、建設事業の増加による景気対策だとか、あるいは減税による減収補てん債、こうしたもののために、従来と比較をして地方債の発行というのが増加したところであります。例えば、平成元年度の地方債計画が八・八兆円でありましたけれども、十年後の平成十一年は二倍の十八・八兆円でありました。
公庫資金についても、同時期で比較をすると、一兆円から二兆円へと同程度の割合で増加をしておりまして、地方債の資金需要が増加する中で、一定程度の資金というものを安定的に供給する役割というものをやはり公庫が果たしてきたというふうに思っています。
○武正委員 先ほどの資料を見ても、百兆円地方債発行残高がふえた。その役割を、やはりこれまで対象事業の拡大そしてまた地方単独事業を積極的に推進するため公庫が担ってきたということでありますので、この後、新機構法案で、その事業の拡大を防ぎ縮減をする、こういう法律の制度設計になっておりますが、これが果たして可能なのかどうかということを、現機構を見ると、やはり心配をされる向きが大変強いというふうに思うんですね。
今は、国の関与がまだ新機構法案に比べると強いわけですが、大臣の累次の御答弁にあるように、新機構は地方共同法人で、自治体の代表などのそうした自主的な運営に任せるんだ、国の関与をできるだけ少なくするということと、一応法律には、事業などの縮減を図っていくというふうに書いてありますが、過去を見ると、貸し手と借り手が同じことも含めたモラルハザードを大変心配する向きはここにあるということを指摘させていただきます。
そして、もう一つお聞きをしたいんですが、現機構の縁故債を地方公務員共済組合が引き受けた理由、また、新機構についても、同様のそうした地方公務員共済組合が引き受けることになるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○菅国務大臣 地方公務員等の共済組合法において、共済組合の保有する積立金の運用については、安全かつ効率的な方法によって、地方公共団体の行政目的の実現に資するように運用しなきゃならないというように規定をされています。
また、同法の施行令においては、地方公務員共済組合連合会の長期給付積立金の一部について、地方債または公営企業金融公庫の発行する債券の取得により運用するよう努めなきゃならないとされております。
公庫の債券を引き受けることが、地方公共団体が住民生活に密接に関係する事業を行うために必要な公庫資金の安定を確保することにつながり、地方公共団体の行政目的に資するものであるとされております。
新機構においても、こうした地方公共団体が必要とする資金の貸し付けを行うことになりますので、基本的な性格には変化がない、そういうことで、継続して一定程度の引き受けを続けていくということであります。
○武正委員 このとき、利率は何%で縁故債を組合は引き受けているのか、お答えをいただければと思いますし、あわせて、政府は年金の一元化法案を国会に提出されておりますが、今後の地方公務員共済組合の、今言われた縁故債の引き受けに何らかの影響があるのかどうか、これについてお答えいただければ。いかがでしょうか。
○菅国務大臣 公庫が発行します財投機関債と同じ利率ということで、そのときそのときによって変わるようでありますが、現時点で何%ということはお答えできないことを理解いただきたいと思います。
○武正委員 これからの話じゃなくて、過去の縁故債の引き受けの利率についてお答えをいただきたいということ。
あと、繰り返しますが、公務員共済組合と厚生年金の統合法案を出されておりますので、これの影響が今後、地方公務員の共済組合の縁故債の引き受けに何らかの影響があるのかどうか、あわせてお答えをいただきたいというふうに思います。
○菅国務大臣 十八年の三月債で一・八一であります。
引き続き、統合することによっても影響はないというふうに考えています。
○武正委員 ぜひ、組合が引き受けた縁故債の過去の利率について、委員会の方に御提出をいただきたいと思いますが、委員長、よろしくお願いいたします。
○佐藤委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○武正委員 それで、本法案の附則十条二項に移らせていただきます。
特殊法人から地方共同法人ということなんですね。地方共同法人というのは、これを入れて三つ目なのか四つ目なのか、いずれにせよ非常に少ない法人でございますが、もともと政府の示した特殊法人等の合理化の中で打ち出された地方共同法人(仮称)を見ておりますと、あくまで民営化の五体系のうちの一つなんですね。民営化の五体系のうちの一つに地方共同法人があって、その次に別途また項目で独立行政法人などが位置づけられておりまして、それを見ると、これはあくまで民営化なんだというふうに理解をするわけなんです。ただ、この附則十条二項を見ると、機構が公庫から承継する資産及び負債の価額は評価委員が評価した価額、なおかつ、この評価委員の価額については時価を基準とするけれども、時価によることが適当でないと認めるときは承継財産の時価によらないことができると。これは、そういう意味では、民営化の五項目の一つの地方共同法人でありながら、いかがなものかなというふうに思うわけであります。
例えば財務諸表についても、これまでは特殊法人でありましたので、いわゆる時価によらない簿価での財務諸表の作成だったと思うんですが、例えばこれが新機構、地方共同法人も、財務諸表が相変わらず簿価での価額表示になるのかどうか。もしなるとすれば、その根拠法令や理由はどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。
○菅国務大臣 機構においては、今回、政策金融改革の対象となる他の機関と同様、必ずしも時価によることが適当でない、こう認めるときは時価によらないことができる旨を規定いたしています。これによって、現公庫の貸付金等については、民間金融機関における取り扱いと同様に、簿価にすることもできることとされています。
いずれにしろ、機構が承継した資産及び負債の評価については、公正性あるいは透明性、こうしたものが確保されることが極めて大事なことであって、外部専門家を含めた評価委員が厳正に、また詳細に評価していくというふうになるだろうと思っています。
○武正委員 先ほど触れたように、民営化の五項目のうちの一類型が地方共同法人というふうに位置づけられているわけですから、それこそ、官から民へといいながら、まあ、あと、例えば商工中金とか政投銀とか、民営化というのがはっきり位置づけられているところと、地方共同法人はまた違うのかもしれませんが、民営化の五類型の一つでありますから、私はやはり時価を原則ということで徹底をしていくべきだというふうに思うわけでございます。
あわせて、財務諸表を作成するについても、これについては簿価か時価か、やはり決めておかないと作成できないと思うんですね。今までは簿価だというふうに聞いているんですが、これは、新共同法人が時価にそれこそ統一をして財務諸表を作成するということでよろしいのか、もしそうでなければ、先ほど触れたように、根拠法令、理由をお示しいただきたいと思います。
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、時価でも簿価でもできるということです。
そして、いずれにしろ、機構が継承したものについては、外部の専門家を含めた評価委員会で、最終的に厳正、詳細に評価するだろうというふうに考えています。
○武正委員 時価でも簿価でもできる、法律の条文はそうなっていますが、民営化の一類型なのでやはり時価に統一をしたらどうですかというお話と、あと、財務諸表を作成されるわけですね。これは十七年度のものでありますが、業務報告書というのでいただいております。
公営企業金融公庫が新しい機構になって発足をした二十年度以降になるんでしょうか、こういったものができた場合に、やはり財務諸表が時価会計ということでいくべきだというふうに私は思うんですが、この点、時価でも簿価でもよいと。多分、財務諸表はこれまでどおり簿価でというお話だと思うんです。そのときに、簿価でよい根拠法令、理由はどこにあるのか、お聞きをしております。
○菅国務大臣 三十五条の「原則として企業会計原則による」、その中で、民間でも簿価で行っているところがあるということであります。
○武正委員 独立行政法人、総務委員会委員長名で衆議院調査局に命令が下されまして、過日その報告書も当委員会に報告がございました。独法も毎年財務諸表を作成して、それは時価によってということで、特にそれまで特殊法人だった独法は、みんな独法になるときに、それぞれ横並びで時価評価に評価がえをしている。私は、あわせてそのときに不動産鑑定、鑑定もやり直すべきだということを求めておりまして、今回、民主党の公務員制度の改革の法案とあわせて独立行政法人通則法の見直しの法案も提出をさせていただきますが、それにもそうした項目を入れさせていただいております。
先ほど来、大臣が、官から民へ、市場にゆだねる、これからの地方債あるいは市場からの資金調達、ましてやアジアあるいは世界にそうした地方債も流通をさせていこうといったときに、債券の発行主体にもなる、あるいは地方債の発行に大きくかかわる新機構が簿価で財務諸表作成というのは、やはり説明責任上、大変それを果たし得ないというふうに考えるわけです。
この点についてはやはり、どちらでもよいという法律について、例えば与野党で修正協議が必要なのかもしれませんし、そうでなければやはり大臣の答弁で、説明責任上きちっと、時価評価でいくんだ、それから、当然財務諸表はそれで作成をするんだというふうに御答弁をいただきたいと思いますので、再度の御答弁をお願いします。
三十五条をもって、ほかでも簿価でやっているからということは、先ほど田嶋委員も質問しましたが、では、政府系金融機関の見直しというのは結局そんなものなのか、特に、二十五兆円も減りましたよと胸を張るけれども、結局は組織の衣がえじゃないのかということが言われてしまうと思うんですね。
一昨日の質疑でも、後藤委員初め同僚委員からも、先ほどの谷口委員もそうですが、質問しても、いや、これはもう新機構が決めることです、国の関与はできるだけ減らすんですと。そうはいっても、やはり国としての責任、新しい機構を立ち上げる責任があろうかと思います。この条文も非常にあいまいな、附則十条二項だと思います、どっちでもいいみたいな。
そういう意味で、改めて大臣の答弁できちっと明言をしていただかないと、質疑あるいはこれから与野党合意のもとの附帯決議、あるいはそれこそ法案の修正協議など含めてきちっとしていかないと、我々民主党の立場からしても、残念ながらなかなか賛否の態度も決めかねるということでございますので、やはり政府のそうした制度設計がきちっと一貫した形で大臣の御答弁を再度求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 十条二項にもありますように、承継財産の時価を基準とする、こういうことにもなっておりますので、基本的には時価というふうに思っています。
○武正委員 基本的であるし、また三十五条は「原則として」と書いてあるんですけれども、あくまでも先ほどの説明責任をきちっと果たすということでお願いをしたいというふうに思います。
そこで、お手元に、おとといの後藤委員の質問できのう御提出をいただいた資料がありますので、二ページ目をごらんいただきたいというふうに思います。
出向者あるいは再就職の方々が、現機構はこのように占めております。これについて、大臣としての御認識と、新機構で引き続きこうした形で出向、再就職が行われるのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○菅国務大臣 これもそう言われるのじゃないかなと実は思いますけれども。基本的には、地方の代表者等で構成される代表者会議というものが役員の任命等については権限を持つわけでありますから、そういう意味で国は一切関与しないということにさせていただいております。
また、職員の任用についても機構にゆだねられておりますけれども、国の特殊法人であります公営公庫を廃止し、地方が共同して設立する新機構に業務を移行するという改革の趣旨に基づいて判断されるだろう、このように思っています。
私ども総務省としては、この改革の趣旨というものを十分に踏まえる必要があるというふうに思います。そういう中で、機構が円滑なスタートを切る必要性だとか、あるいは代表者会議や地方公共団体の意向等も考慮するということも当然だというふうに思います。出向要請があった場合には、機構と真摯に協議しながら判断をしていきたいと思います。
○武正委員 政府系金融機関の一つへの統合、あるいは民営化、そして公営企業金融公庫の廃止、一連の政府系金融機関の見直し、官から民へ、市場から資金を調達する、こういう中。また、先ほど大臣からも、アジアそしてまた国際的にも市場に対応できる地方債であるべき、ありたいというお話とともにいきますと、特に出向者が七十九名中五十五名が現役出向、これが引き続き、新機構で要請があればということですけれども、これは新しい地方共同法人、民営化の五類型のうちの一つ、しかも、先ほど触れたように、時価会計を原則ということで、それを徹底するという大臣答弁もあるわけです。やはり人材を広く、専門家も募り、あるいは、この間、地銀協会の方も来ていただいたんですが、地銀協会は現機構には入っておりませんけれども、やはりこれから地銀などに対する期待も、地方債発行について、あるいは貸し付けについても、かなり高いんだと思うんですね。当然、そうした金融機関からも入っていただいて、広く人材を募っていくべきだというふうに考えます。
政府のさまざま、こうした特殊法人の見直しの方針にも、中央省庁からの再就職そして現役の出向、独立行政法人も含めてこれは見直すんだとうたっているわけですから、要請があれば受けたいではなくて、やはりここは見直しをしてしかるべきというふうな明確な大臣の御答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 代表者会議は地方の皆さんと専門的知識を有する方で構成するのが最高の意思決定機関になるわけでありますし、この機構が円滑にスタートする中でどういうことが必要かということで私どもは判断をさせていただきたいと思いますけれども、基本は、やはり行革の方針に基づいてやるというのが基本である、私はこのことだけはっきり申し上げたいと思います。
○武正委員 という力強い御答弁がありましたので、特に総務省に、御要請があっても、やはり現役出向はまかりならぬ、しっかりと地方共同法人独自で人材もしっかりと集めるべしという毅然たる対応をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
そういった意味では、今回、独法の通則法、民主党案でも提案をさせていただきますが、やはり今、独立行政法人の長、昨年百十三を調べましたら八一%がいわゆる中央省庁の再就職で占められております。政府も公務員制度改革法案を二十四日に閣議決定されておりまして、押しつけ的な天下りを根絶するという話でありまして、政府案は大っぴらに天下りいわゆる再就職をあっせんする機関をつくるということで、当然、民主党とはもう似て非なる、対峙をするものであるということで民主党も提出をしてまいります。
この新しい機構も、その長はこの発起人が指名をしたり代表者会議で指名をするような制度設計になっておりますが、それこそ民営化の一類型でもあります、そしてまたこうして、総務省からの現役出向も当然なくなるでしょう、そして本当に地方のために地方みずからがリスクを背負って行うという制度設計であるならば、私は、やはり長も広く公募をしながら、そして当然発起人や代表者会議がその中から選任をするという法案であってしかるべきではないのかなというふうに思うんですが、この点について大臣の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○菅国務大臣 新しく設立される機構というのは、制度設計上、地方六団体、地方公共団体がみずから共同して自主的に設立をする、そういう組織でありますから、地方の自主性、そういう形にゆだねるのが私は原則だというふうに思っております。そしてその中で理事長が決められるだろうというふうに思います。
そういう中で、武正委員からそうした御指摘があったということは私も受けとめると同時に、地方六団体の皆さんにもお伝えをしていきたいと思います。
○武正委員 あくまで行革の方針にのっとって行うんだという、やはりその精神をしっかり体現したお取り組みをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。 |
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