2007年4月27日
【イラク支援特別委員会 議事録】 
テロ特措法に基づく基本計画の見直し、半年間の延長について

武正委員 民主党の武正公一です。

 テロ特措法に基づく基本計画の見直し、半年間の延長について質疑を行わせていただきます。

 きょうは官房長官が出席できないという話で、官房副長官に法案について特にお答えをいただきますが、外務大臣、防衛大臣も御出席でございますので、この点については逐次両大臣に御所見も伺いたいと思います。その点を御容赦いただきたいと思います。

 まず冒頭、きょうも、外務委員会でしたでしょうか、午前中、外務大臣に、これはちょっと質問通告にはなかったんですが、エリツィン前大統領の逝去に伴う質疑があったかと思うんです。日本からの特使派遣について、大使でしょうか、なぜ現地での対応になってしまったのか。やはり日本としてしっかりとした対応があってしかるべきではなかったかなということでございます。

 過日、沖縄北方特別委員会で私も麻生外務大臣と、特にこの五、六年間、前内閣から現内閣に続いてロシアに対して誤ったメッセージを発し続けているのではないのだろうか、すなわち、領土よりも経済といったメッセージが出されているのではないのか、こういった指摘をさせていただき、特にロシアとの領土交渉については、九三年の東京宣言、これはやはり何といっても、日本側にとっては、わかりやすく言うと一番日本側の望む、領土交渉のベストというかベターな両国の合意ということで私は考えておりますので、やはりこれをもって交渉すべしということを求めまして、そういった意味では、特にエリツィン大統領については、ある面、当時の日ロ間でいろいろな交渉が前向きに進んでいった時期ということで、エリツィン前大統領の功績というものも私は高く評価をしている一人でございます。

 ただ、そのとき外務大臣からは、もう今はエリツィンではなくてプーチンだよ、交渉相手はプーチンなんだ、こういうような言い方をされたものですから、今回たしかロシアに外務大臣も行かれる御予定のようですので、お墓も何か特別にああいった場所にプーチン現大統領としても考えて葬られているのではないのかというようなことも報じられておりますが、やはり訪ロの際に外相としてぜひお墓に行っていただければなと私は思います。

 いろいろ諸予定もタイトだと思いますけれども、やはり訪ロの際に何かしら哀悼の意を示していただければと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○麻生国務大臣 いろいろ御指摘があったんだと思います、なぜとか、エリツィンに対するというお話だったので。

 まず、ロシアにおきましては、初代大統領ということになります。しかも選挙でということになりますので、いろいろな意味で、一九一七年のツァー、大帝以来、新生ロシアということになって、改革の路線を広めていくという点において、その結果においては功罪いろいろ言われているところではあろうとは存じますが、少なくともゴルバチョフ、エリツィンというこの二人がロシア改革に最大の貢献があったということは、これはやはり歴史上必ず評価されてしかるべき人なんだという点に関しては、私も全く同じ意見であります。

 御存じのように、宗教というものは随分評価も変わりまして、あそこのモスクというかロシア正教の隣に埋葬されるということになりましたので、そういった意味でも評価は極めて高い、御指摘のとおりだと思いますので、しかるべききちんとした対応をしなきゃならぬと思っております。

 それから、今、葬儀に関してのお話があったんですが、これは、日本としてはしかるべき人もきちんと送るつもりでいろいろ何人かの方に当たってということだったんですけれども、いきなり、葬儀の日程を教えていただきましたのが実は前の日に来まして、それで、お葬式をやられるとなるとある程度の日程というのを、我々最低でも三日ぐらいいただけるものなんですが、あしたというような話が来ましたものですから、ちょっと幾ら何でも物理的には、飛行機でその日に着いてどうしても葬儀に間に合うためには、すべてオンタイムで動いたとしてまず一時間半以上おくれるということがはっきりしましたものですから、私どもとしてはあきらめざるを得なかった。

 加えて、ロシア大使館に問い合わせましたところ、各国代表団のいわゆる正式な招待というものを我々は全く考えておらぬということでもありましたので、私どもとしてはあきらめた。

 ただ、悔いが残りましたのは、御存じのように、各国行かれている方々を見ると、これは自分でも特別機を持っているというか、政府専用機で皆ばっと行けているからああいうことになるんだとは思いますけれども、韓国は行けているじゃないかということが必ず御指摘のところで、私もそう思ったんですが、亡くなったといった途端に、もう葬式も何も、弔問に偉い方を出したということをやっておられますので、そこらのところは、葬式ではなくても弔問にでもということは考えておけばよかったんじゃないかなと、それは反省の点として考えております。

 いずれにいたしましても、この種の急な話でしたので、対応に関しましてはちょっと悔いの残ったところであります。

武正委員 訪ロをされるときに、悔いというお話も今ございましたので、それを払拭するような御対応をぜひいただければというふうに思います。

 さて、今回の基本計画の延長に関する質疑でありますが、まず、アフガニスタンの復興状況、治安状況の認識を、外務、防衛両大臣それぞれからお伺いしたいというふうに思います。

○麻生国務大臣 アフガニスタンのいわゆる復興状況、治安状況ということでございますが、三年前、二〇〇四年にいわゆる新憲法を制定し、そして大統領選挙をやり、翌年の二〇〇五年に地方議員と国会議員の選挙をやり、そしてその年、二〇〇五年のたしか十二月に国会開会ということをやって、その国会の場において統治機能を整備しておりますので、一応その段階でプロセスは完了ということになった、政治機能的にはそういうことだと存じます。

 経済に関しましては、御存じのようにこのところ一〇%ぐらいの成長率を維持しておりますし、医療とか、いろいろな意味で、少しずつではありますけれども、確実に進展をしてきている。難民、四百五十万、六十万ぐらいアフガン外に避難というか逃亡というか逃げていた人たちがいずれも帰ってきておりますので、そういった意味では、進展は確かに見られていると私どもも思っておりますが、これはまだ道半ばだと思っております。

 例えば、非合法の武装集団というのはまだまだですので、この解体をやらねばいけませんし、いろいろな意味で法の支配というのが徹底しておりませんし、麻薬の依存による経済の部分が非常に多くて、今世界の麻薬の七〇から七五%ぐらいはアフガニスタン製だといううわさがよくヨーロッパで言われているところですが、非合法武装集団の解体含めて、いろいろ難問は山積ということだと思っております。

 中でも、その中で治安というところになりますと、東側のパキスタンの国境、東部、それから南部のカンダハル、そして南東部等々のところについては、これはタリバンの活動が活発になっておると思っております。

 国連事務総長の報告というのが来ておりますけれども、反乱に関連する暴力は、集中的な治安努力及び冬の始まりには減少はしたものの、その後、冬の数カ月における治安事件の数は前年の同期間よりもふえたと指摘をされております。そういう状況にあろうと存じます。

 傍ら、タリバンの対策として、NATO及び米軍によります掃討作戦ということで、アフガニスタン正規軍が三万二千人、それから警察官六万一千ということで治安改善のための努力が行われてきておりますが、今これらのところがどういった効果をこれから上げてくるかということだと思っております。

 日本としては、ODAを含めまして、インド洋におきます海上阻止活動等々、協力をやってきておるところですけれども、道路というのは爆撃、爆弾等々でかなり破壊されておりますので、道路を中心としたインフラの整備、それから人材育成をかなりやりませんと、教育は宗教教育のみという形になってかなり偏っているということだと存じます。

 そういった意味で、この復興努力というものを引き続きやっていかねばならぬ。治安、復興状況、物すごくはしょって申し上げておりますけれども、大まかに申し上げてそういうところだと存じます。

○久間国務大臣 今外務大臣から述べられましたように、統治機構としては整備が一応完了したと言えるのかもしれません。

 しかしながら、まだまだ、治安状況もそうですし、また非合法集団の武装解除、あるいはまた麻薬等、問題点がたくさん残っておりまして、まだアフガニスタンが完全に復興したとはなかなか言えない状況であろう、そういう認識をしております。

武正委員 国連事務総長報告にも触れておられましたが、数字で挙げますと、自爆テロ、それが一昨年の二十一件が昨年百三十九件ということで、タリバンのカーン司令官も、これは二月二十八日ですか、アフガンで自爆要員二千人を確保して、うち千人を治安が比較的安定している同国北部へ移動させたと述べた、こういうような報道もありまして、治安が安定している北部も、今、それこそイラクで使われている自爆テロというものがアフガニスタンに移ってきているということも含めて、大変治安状況が悪化をしているのではないかという心配をするわけでございます。

 こうした治安状況が悪化した理由というのも、この後また質疑を通じてなぜなのか明らかにしたいと思いますが、官房副長官お見えですので、去年もこの特措法を秋に、法改正ということで一年間延長、今回、基本計画、また半年間延長ということでありますが、昨年も、二年、二年、一年、一年で、なぜ一年なんですかというやりとりも当委員会でもありました。

 改めて、昨年一年延長した理由と、後で外務大臣、防衛大臣にもお聞きをしますが、昨年もそれぞれ両大臣は、例えば防衛大臣、こんなに長く続くとは思っていなかったんだよなというようなこととか、昨年の法改正のときに、一年以内で終わるだろう、このようなことも述べておられますので、官房副長官には、法案の担当者、官房長官にかわっておいでいただいておりますので、今回の半年間延長はテロ対策措置法に基づく対応措置の終了を念頭に置いたものなのか、以上二点、お伺いしたいと思います。

○鈴木内閣官房副長官 今いろいろな状況の中で、外務大臣、防衛大臣からお話をいただいた状況であるだけに、内外の情勢だとかまた国際社会の関与のあり方が依然として流動的でありますし、海上阻止活動が引き続いて展開していることをかんがみまして、状況変化に的確に対応できるよう、昨年一年間延長したことは委員御承知のとおりだと思います。

 こうした中で、延長後の期限が到来した段階で改めてまた、立法の府において、我が国の活動の必要性や内容について御判断をいただくことになろうとは思います。

 今のお話の中でもう一点、半年間の延長という話でありますけれども、延長後の期限といいますか計画の期限は、同時に、テロ対策の期限にあるように、その後のテロ対策の特措法や何かでいろいろあります。そういう面では、この扱いについて、アフガンにおけるテロリストの掃討作戦や治安維持、また復興活動の進捗状況、また同国の内外の情勢とかもろもろ諸般勘案して、また我が国としてお願いをしているわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。

武正委員 御理解できないんですね。二年、二年、一年、一年、そしてまた今回半年の延長ということでありまして、やはり昨年の法改正のときも、出口戦略いかに、こういう問いがあったと思うんです。

 先ほど外務大臣言われたように、復興は、プロセスは終了して着実に進んでいるんだというお話ですが、着実に進んでいるという一方、治安状況が非常に悪化をしている。これは大変いかがなものかと言わざるを得ないわけでございます。それこそ地方軍閥の割拠とか、先ほどの自爆テロとか、さまざまそうした懸念の状況が伝わるところであります。

 その中で、今、またそのときには立法府に御判断を、諸状況をかんがみながら御理解を賜りたいと言われても、はい、そうですかとはおよそ言えない今回の半年間の、今度こそやはり出口戦略をきちっと明らかにし、日本の対アフガン、対イラクを初め、あるいはちょうど今総理が訪米をされておりますが、日米同盟、そしてこの後触れるNATOとの関係なども、グローバルに全体像を描いていかないと、個別個別で何か対応をし続けている。

 しかも、それこそブッシュ大統領の発言が報じられておりますが、アフガンもテロ対策も二世代はかかるであろうというようなことも含めて、やはりここできちっと日本としての考え方を、きのうイラク特ということでの議論もありました、大量破壊兵器が見つからなかったことのイラク開戦にかかわる日本としての総括、これも含めてきちっとやっていく必要があることを、きょうのアフガンのテロ特措法の再延長の質疑はやはり必要としているというふうに思います。

 そこで、まず防衛大臣、昨年十月ですか、十一月の延長の法改正のときに、先ほど触れたような、こんなに長く続くとはとか、そろそろ出口が欲しいとか、あるいは、一年以内で終わるだろうとか、あと一年以内には終わってもらいたいという思いを込めながら、この法案を再延長を願っているところでありますとか、このように非常に、一年で終わってほしいという希望を述べておられますが、今の副長官は、また半年たって立法府に御判断をということでありましたけれども、昨年、法改正のときのこの防衛大臣の発言、今どのように認識をされているのか、お答えいただけますか。

○久間国務大臣 昨年そういう気持ちでございましたし、今でもそういう気持ちで、一日も早くテロとの闘いが終わってもらいたい、そういう思いでございます。

 本当に、正直言ってこんなに長く闘いが続くというのは異常なことでございまして、私は、昨年のときも言いましたけれども、イラクの場合は復興でございますが、アフガンの場合はもうとにかくテロとの闘いでありますから、闘いが済んで統治機構ができ上がって、そして経済発展して、特に闘いに自衛隊が出ていくというのは非常に異常な事態でございますから、とにかく一日も早く終わってもらいたいという思いが強うございます。

 今でもそういう感じがしますが、しかし、さりとて、今やっている海上阻止行動というのを今やめてしまえるかといいますと、やはりそうでもないな、そういう思いもしますから、これから先のことについては言えませんけれども、一日も早く終わりたいという思いは今でも変わりません。

武正委員 今の治安状況からして、半年後にテロ対策措置法に基づく対応措置の終了ができ得るというふうに御認識をされていますでしょうか。

○久間国務大臣 必ずしもそうなっていないところが残念なわけでありまして、海上阻止行動で、あそこで各国が、海上からの武器の持ち込み、あるいはテロリストの流入、あるいはまた麻薬の持ち出し、それがとまっているということは、確かに効果を上げておるわけであります。

 しかし、そういうことをしないでいいような状況がどうしてできないのかな、そういう思いもしておりますけれども、されば、もうそれをしなくて済むような状況になっているかというと、正直言ってなっていないんじゃないかなと。逆に言いますと、我が自衛隊の活動しているのもそれなりの貢献をしているのかな、そういう思いがしております。

武正委員 先ほど外務大臣からも、麻薬がタリバンの資金源として大変多額のものになっているという認識が示されましたが、海上阻止行動、カルザイ大統領あるいは各国からも大変評価を受けているという政府の御認識です。ただ、今外務大臣が言われたように、麻薬が確実にタリバンの資金源となっている、こういう現実。それから、今、治安状況については先ほど触れたとおりでありまして、去年の秋の法改正のときには、とりわけまた、北朝鮮の核開発ということも受けまして、それこそ、インド洋に自衛隊艦船を出しているよりもまず我が国の防衛が先決ではないのか、こういった議論もこの委員会でもあったわけでございます。先ほど来、とにかく全体的に日本の防衛、安全保障をとらえていく必要があるということでお話を申し上げております。

 そこで、ことし一月、NATO本部を総理が訪問したときに、アフガニスタンにおけるNATOのPRTの人道活動と我が国の支援活動との協力を強化することを表明したとされておりますが、その後何か具体的に取り組みが行われたのか、あるいは今回の基本計画の延長でそうした取り組みを行う予定があるのかどうか、これも官房副長官、お答えをいただきたいと思います。

○鈴木内閣官房副長官 ことしの一月、安倍総理がNATOで演説をさせていただきました。実は私もついていきましたけれども、その演説を受けまして、先般三月にNATOとの高級事務レベル協議をさせていただきまして、共通の課題でありますアフガニスタンの復興及び安定化に向けて、NATOと協力しつつ、我が国としても同国に対します復興支援を引き続き着実に実施していくことで一致をしました。

 そこで、この具体的な協力の一環としまして、NATOの地方復興支援チーム、PRTでありますけれども、これと連携しまして、初等教育や医療、衛生分野において、我が国の政府が今後数年間にわたりまして二十億円の規模の草の根・人間の安全保障無償資金協力を実施することで一致をしました。現在、具体的な案件につきまして、NATO各国及びアフガニスタンにおけるNATOの文民代表と連携してニーズを調査しております。

武正委員 たしかNATOにも外務大臣は行かれて、この後演説もされるということでありますので、このPRTに関してもお聞きをしたいんですが、まず、米国は、イラク南部のサマワで人道復興支援活動を行っていた陸上自衛隊が引き続き南部地域でPRTを担当すること、あるいはPRTに文民を派遣することを繰り返し打診していたのかどうか、そしてそれに対する日本政府の対応について、これも副長官でよろしいですか。

○鈴木内閣官房副長官 陸自部隊の活動終了に当たりまして、国際社会がイラク国民自身による国家再建努力を支援するという取り組みを続ける中、我が国としては、ふさわしい貢献のあり方を検討させていただきました。

 その結果、我が国の主体的な判断として、イラクの復興支援の一つとして、今委員のおっしゃるPRTとともに連携しつつ、円借款による経済活動の基盤整備を中心とする対イラク支援の継続を支援させていただきました。

武正委員 事実関係をお聞きしたんですけれども、陸自がそれこそ引き揚げる、あるいは引き揚げる前、米国からPRTをイラクの南部地域で担当してくれという打診があったかどうか、それに対して日本政府はどう答えたかということをお聞きしたんですが、いかがでしょうか。

○鈴木内閣官房副長官 冒頭の話です。

 これは、アメリカ政府から、実は、二〇〇五年十月のイラクでのPRTの設置発表後、我が国を含む各国に対してPRTへの関心を照会したことは事実でございます。それで、さっきのお話をしました。

武正委員 現行の日本の法制度でこのPRTに参加ができるのかどうか、これはいかがでしょうか、副長官。

○鈴木内閣官房副長官 我が国政府としましては、PRTとともに連携しつつ、対イラク復興支援に取り組んでいく方針であります。

 具体的には、我が国のバスラ県におけるODA事業の実施においては、バスラ県のPRTを主導する英国と協議しつつ、同PRTの支援活動との連携に取り組んでいきたいと思います。

 また、今の話でありますけれども、PRTに参加することがイラク特措法上も関係をしますので、その可否については改めて、一概に論ずることは適当ではないと思っております。

武正委員 防衛大臣、現行法制でPRTには参加できないとはっきりと防衛大臣は言っておられると思うんですが、改めてお聞きをしたいと思います。

○久間国務大臣 PRTはNPO法人等と一緒にやりますけれども、やはり治安維持活動というのがその根底にありますから、今の自衛隊が海外に行って治安維持活動ができるかとなりますと、それは難しいわけであります。

 ただ、PRTにどういう形で後方支援ができるかどうかにつきましては、検討の余地はあるんじゃないかと思います。例えば、PRTの部隊を輸送することができるのかできないのか。これは、現在のイラクでも実は安全確保支援活動としてやっているわけですね。だから、法律上それを入れることができれば法制として可能性は残されておりますけれども、現在のところ、そういうようなこともまだ検討いたしておりません。

武正委員 輸送ということをはっきり言われたんですけれども、きのうもイラク特、この委員会で、人道復興支援活動、安全確保支援活動ということで行っているけれども、今の航空自衛隊による輸送、これはほとんどが国連職員じゃない形で送られている、米軍兵を送っているんだろう、これはもう人道復興支援ではなくて安全確保支援活動だろうと。こういったことも含めて、やはり対イラクの航空自衛隊の派遣は速やかに終了すべし、民主党がそこを主張しているところであります。

 このPRTについて、この後話が出てきますけれども、PRTというのはほとんど、文民は一割ぐらい、それこそ軍隊のそうした構成員によってつくられている。それぞれの地方の復興を担う、五十人、百人あるいは二百人、それぞれ各国によって編成はまちまちということはありますが、それを輸送することが、今イラクでというお話がありましたが、例えばこれは可能なんでしょうか、どうでしょうか。

○久間国務大臣 イラクとおっしゃいましたけれども、例えばアフガンにNATOがPRTで出ていく場合に、それを我が国の自衛隊が輸送することが法制上不可能かといいますと、それはつくりようによっては私はできると思います。要するに、そういうようなことを前提としてどういう法律立てをするかでありまして、現行法ではそれは想定しておりませんから入っておりませんけれども、それは武力行使の一体化にはなりませんから、私はできないことはないと思うんです。

 ただ、そういうようなことを、皆様方初め立法府を含めて、やらせるかどうか、その辺の判断はまたこれから先の、いわゆる国際的な要請が入ってきて我が国がそれにこたえることが国益にかなうのかかなわないのか、そういうことを検討する余地は残っておりますけれども、少なくとも、テロ特措法をつくりましたときには、そういうことは議論はしておりませんでした。

武正委員 イラクでもPRTの担当の要請を受けているわけですから、今アフガンについての、想定していないけれども検討の余地はあるというようなお答えでしたが、私は、果たして武力行使と一体化しないということでPRTの要員を輸送できるかどうかは、今のアフガニスタンの悪化する治安状況をかんがみれば非常に難しいだろうというふうに思いますが、イラクについてはいかがでしょうか。

○久間国務大臣 イラクの特措法では、人道復興支援活動と安全確保支援活動と、この二つが目的になっておりますから、この二つの目的の範囲内であれば、行動はやろうと思えばできないことはありません。しかしながら、我が国が主体的にそれはしないという判断をしたという先ほどの官房副長官の答弁のとおりであります。

武正委員 アフガニスタンについては余地があるというお話でした。それは私とちょっと見解を異にするわけであります。

 そこで、今PRTについて、NATOと二十億円の供与も三月に決めた、これから外務大臣も行って演説をしてくるということでありますが、今のようなPRTの要員の輸送を検討するようなことを含めて、外務大臣としてどのような演説をNATOでされるおつもりでしょうか。

○麻生国務大臣 武正先生、NATOにことし行かれたのは総理で、私が行きましたのは去年でございますので、NATOの話は、ことしじゅうに行くという予定は今ございません。

武正委員 ちょっと一年間ずれまして、失礼いたしました。

 それでは、PRTについてなんですけれども、これは自民党の小委員会で今準備をされている、もうまとまったんでしょうか、自衛隊の海外派遣恒久法、ここには、安全確保、警護も任務として加えることや武器使用の基準を緩和することなどが記述されると言われておりますが、この自衛隊の恒久法、これはまだ当然国会にも提出されておりませんし、今、自民党の小委員会ではということで、自民党として、もう党としてまとめたかどうかはちょっと私も定かではありませんが、まだのようではありますね。

 ということで、安全確保、警護も任務として加えることや武器使用の基準を緩和することが記述された自衛隊の海外派遣恒久法が成立した場合、PRT参加が可能になると認識をされているのかどうか、副長官にお伺いします。

○鈴木内閣官房副長官 去年八月、正式に言いますと、自民党国防部会防衛政策検討小委員会という会でございます、そこにおきまして、国際平和協力のためのいわゆる一般法の案として、国際平和協力法案が今後の党内の議論の原案として了承されたものは承知をしております。

 当該小委員会の案は自民党内のものでありまして、政府としては、当該小委員会の案を解釈する立場になく、その内容をもとに今政府がお答えすることは極めて困難な形でございます。

武正委員 塩崎官房長官がおいでだったらよかったんですけれども、昨年十月十六日、当委員会で、恒久法、一般法、内閣官房として幅広く検討していくというふうにお答えになっているわけなんですが、それでもまた今のようなお答えでしょうか。

○鈴木内閣官房副長官 党の話でございまして、仮にそういうお話だったので、政府として今は答弁を差し控えているということでございます。やはりこれは各党、皆さん、世界の平和のために日本としての立場というものは十分議論すべきだとは思っております。

武正委員 官房長官が、内閣官房でも恒久法、一般法、幅広く検討していくというふうに、十月十六日、当委員会で述べているんですよ。ですから、内閣官房で検討されているんでしょう。官房長官はそういうふうに言っておられますよ。昨年十月十六日ですからもう半年たっていますが。ちゃんとお答えをいただきたいと思います。

○鈴木内閣官房副長官 まだそんな段階には行っていません。

武正委員 そんな段階に行っていないけれども、どんな段階に行っているんでしょうか。

○鈴木内閣官房副長官 検討といいますか、まだ具体的に詰めたような話はしていません。

 もう一度、確認の意味で伝えさせていただきます。

 部局等は置いてあります。ただ、その検討の中はまだこれからということでございます。

武正委員 部局とは何という名前で、いつ置いたんですか。お答えいただけますでしょうか。

○鈴木内閣官房副長官 十五年八月に、内閣官房副長官補で置かせていただきました。

○浜田委員長 官房副長官、どうぞ、もう一回。

○鈴木内閣官房副長官 ちょっと今メモがおくれまして、申しわけありません。

 正確に伝えさせていただきます。

 内閣官房における検討チームは、平成十五年八月に設置をいたしました。

武正委員 もうすぐ四年たつわけなんですが、チームを置いて何も検討していないんでしょうか、四年間。

○鈴木内閣官房副長官 そんなことはございません、当然四年がありますから。

 恒久法や一般法のお話が今出ましたけれども、内閣官房を中心に、いわゆる一般法の整備に関するものを含めて、我が国の国際平和協力のあり方全般について幅広い検討をしているということでございます。

武正委員 だから、そういう検討をしている中で、これは自民党の恒久法の案でありますが、安全確保、警護も任務として加えることや武器使用の基準を緩和することが恒久法として、今もう四年検討されているわけですから、その中で、こういったことがもし恒久法に盛り込まれたらPRTには参加が可能になると認識しているかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

○鈴木内閣官房副長官 ですから、先ほどお話ししましたように、まだ党内の原案でありますから、そこらも受けとめて検討をさせていただくということでございます。

武正委員 いや、党内じゃなくて、四年間も自衛隊海外派遣恒久法を検討されているわけですから、こういった場合、自民党の案とは別にして、安全確保、警護も任務として加えること、武器使用の基準を緩和することが自衛隊海外派遣の恒久法に盛り込まれた場合にはPRT参加が可能になると認識をされているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○鈴木内閣官房副長官 それには、やはり自衛隊の業務の内容がきちっと決まらなきゃそれはできないと私は思います。

○武正委員 それこそ、自衛隊は今回、海外の国際任務を通常の任務に格上げしているわけですよね。ですから、自衛隊の海外での活動がよりしっかりと法律的にも認められたわけです。その上、この自衛隊の海外派遣恒久法、四年間検討されておりますが、この中でそうした検討を当然されていると思うんです。その中で、このPRT参加が可能になるのかどうか、それをお答えいただきたいということなんです。

○久間国務大臣 まず、一般法、恒久法をつくるかどうかという議論もしていただいておりますけれども、それと同時に、その前提として、自衛隊の業務として何をやらせるか、そっちの方もまた詰めていただかなければなりませんから、そちらの方の議論がまだ煮詰まっていない段階で一般法、恒久法という話にはなりませんし、また、そういうような状況でいきますと、先ほど自民党の小委員会では一つの案が出されましたけれども、それが自民党の案として、さらにはまた与党の案として固まってくるかどうか、これも確かではありませんから、まだそこまでの議論をここでするには至らない段階だ、そういうふうに理解していただければいいんじゃないかと思います。

武正委員 冒頭から話をしておりますが、全体的な観点からこのテロ特の半年延長も考えてしかるべきというふうに思っております。

 政府・与党は、これから自衛隊の海外派遣恒久法もお出しになるために、そうした準備をされていると思うんです。たしか防衛大臣も、海外派遣恒久法についてはテロ特も含めることは慎重であるとか、私は、やはり一回一回特措法でやるべしという意見も申し上げて、防衛大臣もそうしたことにもかなり御理解もいただいたというふうに認識しております。冒頭から申し上げておりますように、こんなに長く続くとはという防衛大臣の話のように、やはり海外への自衛隊の派遣というものについては慎重であるべしということを今回のアフガニスタンが物語っているというふうに私は思っております。

 なぜアフガンの治安がこれだけ悪化したのか。それはやはり、イラク戦争が始まり、アメリカが、アフガニスタンでの復興、あるいは特に軍閥などへのそうした対応、こうしたものができなくなり、二〇〇六年には、そうしたことも含めて、NATO、ISAFに東部地区を任せるなど含めて、イラク戦争とアフガン対応、これがやはり今のまたアフガニスタンの治安状況の悪化を招いている、こういう報道もあるわけでございます。ちょうど今訪米をされている総理がどのように首脳会談で言っておられるか。この一月には、NATOに対して、それこそPRT、積極的な支援を約束されてきて、先ほど副長官が言われたように三月もありということであります。

 今防衛大臣は、いや、まだまだ先の話ですよ、自衛隊の業務がこれからどういったものになるかわかりませんよという話ですが、片や一方、NATOとのPRTの連携を約束し、そしてアフガニスタンの治安状況が悪化をし、そしてアフガニスタンで今NATOが担っている役割をかなり重荷に感じている、こういった報道。もちろん米英初め参加国は増派にはこたえておりますが、他のNATO諸国は違う。こういった中で、PRTについて、いや、これは先の話ですということが言い切れるのかどうかということで私は質問をしたわけでございます。

 次に質問を移らせていただきますが、政府が設置した集団的自衛権に関する懇談会について、総理も訪米の前にも、そうした点について内閣官房でも検討しているというふうに記者会見で言明されて飛び立っていかれました。五月十八日に懇談会が立ち上がって、集団的自衛権を四類型で認めることありきの人選ではないかという報道もある中で、海外で国際協力活動中の自衛隊とともに活動している他国軍への攻撃に対して自衛隊が反撃することなどがその四類型のうちの一つとして挙げられております。

 これが憲法で禁じている集団的自衛権の行使に当たらないとした場合、今度懇談会がそういう回答を出した場合、あるいはそれをもって総理が憲法解釈の変更に臨んだ場合、このPRTへの参加が可能になるというふうに考えることについて、官房副長官、御認識をお答えいただきたいと思います。

○鈴木内閣官房副長官 総理はかねてより、日本をめぐる安全保障環境が大きく変化する中、時代の状況に適合した実効性ある安全保障の法的基盤を再構築することが必要であるとの問題意識を表明されております。

 このような問題意識の中で、今委員おっしゃったように、個別的、具体的な類型に即したり、集団的自衛権の問題を含めた憲法との関係の整理についての研究を深める具体的な方策として、今言われました安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会を設置したわけでございます。

 懇談会は、有識者の方々に、集団的自衛権の問題も含め憲法との関係の整理について、結論を予断することなく、さまざまな観点から検討していただきたいと考えているわけであります。

 したがって、現時点において、その検討の結果について一定の仮定に基づいて御諮問することは適当ではありませんけれども、さっき言いましたように、懇談会設置に当たって総理の問題意識についてはさきに述べたとおりでありまして、懇談会の有識者の方々は、かかる総理の問題意識も念頭に置きながら、集団自衛権の問題を含め憲法との関係の整理についてさまざまな観点から検討されるものと考えております。

武正委員 総理が訪米される前の記者会見で、内閣官房でも集団的自衛権の研究、四類型とは言いませんけれども、やっているというふうに言明されたんですが、内閣官房として今取り組んでおられるということでよろしいでしょうか。

○鈴木内閣官房副長官 取り組んでおります。

武正委員 時間になりましたが、一月にNATOでPRTとの連携を言明された総理。そして、内閣官房は四年前から自衛隊の海外派遣恒久法の検討をしている。そしてまた、PRTについてヨーロッパと協議も始まり、そして総理は訪米前に内閣官房での集団的自衛権の研究を行っていることを言明し、そして今、アフガニスタンの治安が非常に悪化をし、NATOはそれにかなり苦しんでいる。こういった中で、日本がどのような形でNATOあるいは米国と向き合っていくのかといったことだと思います。

 私はやはり、今、日本の法体系の中でできるところ、これをしっかりとやっていくこと、それは当然、北朝鮮の核開発とされる案件に対する対応も含めて、いま一度整理が必要な時期ではないのかなと。次々にその場その場で対応して、できることを次々に言っていく、それがどんどん拡散をしていっている、こういった認識を持っておりますので、それこそ、まさかこんなに長くなるとはという防衛大臣のまさにこの発言、これがやはり国際社会の現実だと思うんですね。海外への自衛隊派遣ということをいかに慎重にすべきであるのか、現行法制にのっとって、やはり立法府もしっかりと議論をし、行政府にそれをきちっと申し上げていく、認めていくということで、この延長についても対応すべきというふうに考えております。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
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