2007年5月15日
【衆院本会議】真の改革に向けて「天下り根絶法案」審議入り

 衆議院本会議で15日、鷲尾英一郎議員は、民主党提出の「天下り根絶法案」について趣旨説明を行った。

 冒頭、天下り団体である4576法人に流れた税金の総額が平成18年度上半期で約6兆円にのぼることを明示。天下り根絶によって官民癒着を断ち切り、税金の無駄遣いをなくすことができる民主党案こそが国民に求められていることを改めて訴え、概要を示した。

 続いて、細野豪志議員は、政府提出の「公務員制度改革法案」及び民主党提出の「天下り根絶法案」に関して、安倍首相はじめ渡辺喜美国務大臣、民主党案提出者の馬淵澄夫議員、武正公一ネクスト総務大臣それぞれに質問した。

 細野議員はまず、全く競争原理が働かない中で天下り先に直接税金が流れている実態を示し、天下りを容認してきた政府与党の責任を指摘。安倍首相は、「真摯に受け止める」と述べたものの、「年功序列を打破することで効率的な筋肉質な政府をつくる」などと頑なに主張。まだ詳細が明らかでないにも関わらず、新人材バンクさえ設置すれば再就職の管理の一元化が可能となり、天下り根絶につながるとの認識を示した。

 しかしながら、新人材バンクの斡旋対象となる退職国家公務員は最低5000人に上ると予想され、天下りを斡旋するために税金を使って巨大な組織を創設することが国民の理解を得られるのかと追及。渡辺国務大臣から明確な答弁は聞かれなかった。

 また、天下りの根本的原因である早期勧奨退職制度について全く言及がないことにも質問。渡辺大臣は、年功序列制度の打破、能力実績主義を強調するに終始した。

 馬淵議員は、民主党案において、制限期間、規制対象と再就職規制を強化した理由について、相当の影響力を排除することができるとの見解を明らかにした。さらに与党案は現行の7割が規制対象外となるザル法であると批判。民主党案こそがごまかしなき天下り根絶法案だと訴えた。

 最後に武正議員は、民主党「独立行政通則法の改正案」について改めて説明。政府案では101の法人に対して規制の対象となるのはわずか8つだと指摘し、民主党はこの点についてもしっかりとメスを入れていく方針を明らかにした。
(民主党ホームページより)

【衆院本会議 議事録】
民主党「独立行政通則法の改正案」について説明

武正公一君 細野議員から、二問、御質問をいただきました。

 四月下旬、帝国データバンク意識調査結果が発表されまして、この政府案が成立して、では、官製談合はなくなるのか、こういうような質問に対して、全国二万社に対する調査、答えたのは九千強の会社でありますが、五四%の経営者が、政府のこのいわゆる天下りバンク法案が可決しても官製談合はなくならない、このように言い切っております。あわせて、六七%は、運用に懸念、人材バンクに権益があるから、かえって民間に任せた方がよい、このように言っているところであります。まさに政府・与党案は筋が悪い法案と言わざるを得ないのでございます。

 国民は、なぜ公務員だけ再就職に税金を使った天下りバンクが必要なのか、不思議でならないわけでございます。ハローワークを使えばいいじゃないか、民間の職業紹介業があるじゃないか、なぜ公務員だけこの天下り人材バンクをつくる必要があるんだろう、これが率直な国民各位の疑問だというふうに言わざるを得ないのでございます。

 筋が悪いということであれば、もう一つ付言をすれば、ふるさと納税ということも最近言われておりますが、これも税制の抜本的な考えから外れておりまして、やはり寄附税制というものを改めればよい。こういったことは、やはり六月、住民税が約二倍に大幅に上がることから目をそらすために政府・与党は出しているのかなとあえて付言をさせていただくところでございます。

 さて、まず一問目、なぜ地方公務員を対象にしたかでございますが、天下りは地方自治体にもあります。官製談合もあります。そういった意味では、今回、民主党の三本の法案と一緒に地方公務員法改正案を提出したところでございます。国家公務員の規制に準じて、離職後五年間は、離職前五年間に在職していた機関と密接な関係にある営利企業に天下ることを原則禁止するものであります。人事委員会や公平委員会がそのチェック役になるという仕組みでございます。

 特に、昨年、三県で知事の逮捕が相次ぎました。そして、それを受けて、全国知事会がプロジェクトチームをつくりました。公共調達に関するプロジェクトチームでございます。そして、そこでやはり地方公務員法の改正など、立法化を全国知事会も要請をしたものも受けて今回提出をしたところでございます。

 さて、二つ目の質問でございます。独立行政法人でございます。

 先ほど渡辺大臣は、独法も対象だと胸を張りましたが、百一ある独立行政法人のうち、政府案の対象としているのはわずか八つでございます。九十三は対象外でございます。今、百一の独立行政法人のうち、九十三は非国家公務員型の非特定独立行政法人になっておりまして、政府案の対象外になっているのでございます。ここが、政府案の抜け穴たるゆえんがあると言わざるを得ないのでございます。

 さて、今その独立行政法人、民主党の予備的調査で、衆議院の調査局から調べた結果をもとに、その詳細をお伝えさせていただきますが、役員の約八割は天下りでございます。そして、役員の役職数の二倍、兼職をしております。そのうち三割は有給であります。ある独立行政法人の理事長は、五十九の兼職をしております、そのうち九が有給であります。そして、独立行政法人百一のトップ、八割は天下りであります。チェックをしなければならない監事の半数は、これも天下りであります。

 ということで、そもそも独立行政法人とは、国がやらなければならないけれども民間の知恵を使う、こういったことで制度設計されたはずでありますが、そのトップに八割も天下りしては、なかなか民間の知恵が使えない。だからこそ、民主党は、その独立行政法人のトップ、長こそ公募をすべきと考えたのでございます。

 あわせて、独立行政法人の、地方だけではなくて、監事やあるいは評価委員、これに多くの天下りの公務員が再就職をしている。あるいは、独立行政法人の内外のチェック役である監事、評価委員におさまっていることに加えて、評価委員が政府の審議会の委員も兼ねている。そうしたことを兼職できないように、天下り公務員が就任できないようにしたのもこの民主党の独立行政法人通則法改正案の骨子の一つでございます。

 さらに、現役常勤出向者は、昨年の四千二百十四人に比べ、四千八百八十八人とふえております。政府案は、係長職以下の現役出向者が出向先で就職の働きかけを行うことを認めております。抜け穴があるんです。平均二、三年で戻るこの出向も見直しが必要としたのは、ここにその理由がございます。

 前内閣、現内閣と、閣僚からはこうした答弁が続きます。いや、そういっても人材がいないんだ、あるいは、給料が安くてなかなかなり手はいないんだよ、こういうふうに言いますが、それは、いないんじゃなくて、探していないのであります。官僚OBしかそうした適格者はいないというのは、政府・与党のおごりであり、全国には、それぞれの地域にはすばらしい人材がいる、その人材を広く求める、これがやはり民主党の考えであり、政府・与党との際立った違いだと皆様に御指摘をさせていただきます。

 さて、先ほど渡辺大臣、経済財政諮問会議で民間議員の独法見直し提案を受け、総理もその指示をしたと言いましたが、閣僚はそういう本音をあちらこちらで言っています、民間には人材がいない、給料が安いからなり手がいない。その現内閣で、果たして独立行政法人の見直し、廃止及び民営化ができるんでしょうか。できないと言わざるを得ないのでございます。

 前内閣は、公務員削減を掲げ、五年間で八十四万人の公務員が三十三万人に減ったと胸を張っております、五十万人減ったと胸を張りました。しかし、その内訳は何でしょうか。二十六万人は郵政職員であり、十二万名は国立大学職員であり、同じく十二万人は独立行政法人であります。

 この二十六万人の郵政職員の給与が税金から払われていないことは、皆様御承知のとおりであります。さらにまた、国立大学、そして今回の独立行政法人も、非国家公務員化といっても、その給与は運営費交付金、すなわち原資は税金であります。これが、この五年間の見せかけの改革の実態でございます。あわせて、この運営費交付金等、三兆五千二百億円が投じられておりますが、これも前年度よりふえているのでございます。

 人件費について、評価委員会年報を挙げれば、平成十七年度は、ラスパイレス指数が一〇七・五、十六年度は一〇七・一。改善どころか、独立行政法人の人件費は高くなっている。一向に改革は進んでいない。このことをもって、日本年金機構、これは民間人といいますが、政府・与党案では、チェックが働かなくなりますので、給与が上がっていく可能性が大いに指摘されるのでございます。

 さて、民主党は、独立行政法人などの特殊法人を廃止、民営化、そして国でやるべきものは国でとうたっております。官から民へとうたいながら、見せかけの改革ではなくて、国がやるべきことはしっかりやる。しかし、国でやる必要のないものは廃止をする、民営化をする。しかし、そこはしっかりと法律のチェックを天下り規制について働かせる、これが民主党の法案の骨子でございます。

 重ねて申し上げます。

 百一の独立行政法人のうち、政府・与党案が対象としているのはわずか八つであって、九十三は対象外。人材は官僚でなければ人にあらずというような政府・与党案に対して、民主党は、人材は幅広く民間に求める、衆知を集める、これが民主党案の骨子であることを申し上げ、私の答弁とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)
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