2007年5月23日
【内閣委員会】地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律案について答弁

武正委員 後藤田委員の御質問なんですけれども、この後、馬淵委員からちゃんと補足というか、あろうかと思うんですが、二〇〇五年の七月一日現在で、非常勤の一般職国家公務員、これは特定独立行政法人を除くですが、約十三万四千人非常勤が働いていたんですけれども、その人件費は各省庁の庁費等から支出されて、実態は明らかでない。このいわゆる実態が明らかでないというところがたくさんあるわけなんですよ。今のコストという点については、もしかしたら与党もよくわからないところがたくさんあると思うんですね。

 ですから、やはりこういった意味での実態把握、あるいは非常勤の国家公務員人件費、勤務実態を含めても、そういった情報公開というものが前提でこうした立法府の議論というのはより深まるのではないのか。これはちょっと私、感想として申し上げておきます。

○馬淵議員 お答えします。

 定年延長のコストということですが、定年延長というのは、これは民間でも、今ちょうど年金受給のすき間の部分について努力をされています。こうした民間の努力も、所与の状況をしっかりと見ながらこの定年延長については考えるとしている状況でありまして、現行では、定年延長を前提にした制度設計ということを言っていません。現行というのは、六十歳定年まで勤めることができるという、この本来のあり方を今回の法案で明確にしようということであります。

 そして、そうなったときに、組織の不活性、組織の活性化が阻害されるのではないかということでありますが、後藤田委員が今お話しされたように、逆三角形になってしまいやしないかということでありますが、先ほど来申し上げているように、おおむね三年程度の新規採用の抑制、これはゼロというわけではないかもしれませんが、新規採用の抑制を図りながらも、一方で、ピラミッド形になるというのはあくまで指揮命令系統の形であって、そうでないスタッフ制専門職の方々は残る。しかし、この方々の給与コストについては、昇給停止やあるいは役職定年等で下げていくということを前提にしていますので、決して、実態として、人員構成がピラミッド、一人を頂点とする形ではないかもしれないが、私どもは、十分組織として維持できる、活性化が阻害されるものではないと思っています。

 繰り返しになるんですけれども、では民間では肩たたきということが往々にしてあるかというと、これは本当にごく一部、かつてあっただけであり、今ほとんどの民間企業は、そんなことを押しつけ的にやったら、とてもじゃないが市場で生き残れない。だから、その中で、定年まで勤める人も中にはいるでしょう。でも、その方々には、申しわけないですけれども給与を七割にします、六割にしますと。ほとんどの方が残るんですね。またさらに何年かたったときに、これから先残っていただくのであれば、また七割、六割にしますよと。またここでも残っていかれる。

 しかし、そういう選択をされる方々も含めて、組織としていかに適材適所、能力を発揮していただくかということの努力をしていくのが経営者でありマネジメントである。その観点が今日までの行政の組織には欠けていた。また、それを放置してきたということにおいて、我々は、これは政府の責任もありますし、今回の法案で明確に一点、肩たたき、天下り禁止を定めることによって是正させていけるんじゃないかと思っています。

 行革に対しての考え方、後藤田委員がおっしゃるように全体パッケージなんです。そして、その全体パッケージを進めなければならない。でも、その全体パッケージという言葉が先走りして、今の天下りの仕組みを温存してしまっては何にもならない。だから我々は今回の法案を出した、そういう考え方に基づいています。

○後藤田委員 おっしゃるように、民間のマネジメントに習うべき点というのは大変多いんですけれども、民間というのは必ずマーケティングをするんですよ。マーケティングをした上でマネジメントをやるわけです。

 もう一回聞きますけれども、実際、行革のこれからのあり方とか、さっきの繰り返しになりますけれども、定年延長によるコストの計算、そのマーケティングというのは、いわゆる立法におけるマーケティングというのは、立法事実があるかどうか。そもそも、立法趣旨があって立法事実があって、それで法律だと思うんですね。その点においてのマーケティングであるコスト計算というのはされましたか、されませんでしたか、定年延長に。

○馬淵議員 これも先ほど武正提出者から説明がありましたように、まず実態把握そのものが、現行の政府でもできない。だからこそ私どもは、実態把握をすべきだと。今国会、まさにこの委員会の中で実態を明らかにしていただかねばならない。これが情報公開がなされていないからこそ、何となくうやむやにされている部分があるわけです。

 我々は、これをまず国会の中で審議していただかねばならないと思っていますし、目標として定めている三年二割、これが我々の大きな方針ですから、これをできる、できないというのはまさに机上の話になってしまいます。だから、我々は、情報公開をすべきである、それをこの委員会の中でも重ねて求めてきたわけであります。

○後藤田委員 ということは、されていないということ、ただ、それは情報公開をしないからできないんだということでよろしいですか。

○馬淵議員 繰り返しの求めでありますが、政府はなぜ隠すのか、なぜ明らかにしないのかであります。情報公開をしてこの委員会の中で明確に、皆さん方、与党の議員の方々も理解をしていただくような形で出していただければ、我々もそこで、今回提案している行政改革推進法案に述べた三年二割、地方にどんどん分権をしながら全体の行政事務を見直していくということもこれは掲げていますので、これがあれば、私どもも具体でさらに進めていくことができます。

 ただ、繰り返しになりますが、今国会のこの審議は、天下りを根絶できるか否かにかかっているんですね。そこで、むやみに時間を稼ぐような形で、結局は天下りバンクという公的あっせん機関を残す、あるいは創設させるようなことを許してしまっては、本来の目的から大きく外れてしまいます。後藤田委員が御指摘の部分、これはむしろ改革の中でしっかりと我々も議論をぶつけていきたいと思いますが、この委員会の中で、天下りが公的あっせん機関として天下りバンクで存続させられるようなことになってしまっては、国民が求める本来の姿とは全くかけ離れてしまうということを重ねて申し上げます。

○後藤田委員 だから、私も繰り返しますけれども、結局、情報がないので立法事実としてはつかみにくいんだけれども、何となくあるねと、だから、それは問題だということ、それは、僕はある意味いいと思うんですよ。

 それは、政府も野党の皆さんに質問されていたように、では、わたりの十六人という人数というのは立法事実としてどうなのだと。大臣も、それは氷山の一角という御発言もされた。それを攻めるのと私が皆さんに質問をしているのと、同じだと思うんですね。だけれども、大臣も前回の委員会でおっしゃったように、言っても出してこないと。

 大臣、これは質問趣旨にはないんですけれども、感想でも結構ですけれども、改めて、これはやはり権限というのはないんですか。やはり官房長官にあるんですか。わたりが十六人というのは、私も、どう考えたって少ないと思うんですよね。一体、事務次官なのか局長、局長でも、あれ、あの人はわたりじゃないかなとか、社会保険庁の長官をやっていた人は、これは事務次官になれなかった人ぐらいがナンバーツーぐらいで渡っているんだけれども、これもいっぱいいたのになと思って、何か僕も腑に落ちないんですよね、十六人というのは。

 大臣、これはどうですか、感想としては。

○渡辺国務大臣 毎度申し上げますように、十六人というのは余りにも少な過ぎるよなというのが私の感想でございます。ですから、その感想を氷山の一角と申し上げたわけでございます。

 一方、このわたりというのも、先ほど来議論が出ていますように、人事の一環ではめ込んでいくわけですね。ですから、玉突き現象になっていくわけですよ。後藤田先生からいただいた歴代社保長官がどういうところに行っているかというこの表を見ますと、全部が全部、人事の一環で行っているのかどうかはちょっと定かではありません。中には天滑りみたいな方もいらっしゃるんですね。

 ですから、そういう実態については、まさに法律に書いていない、人事慣行として行われているがゆえに、調べてみると、いや、資料が残っていませんでした、こういうことになるんだろうと思います。したがって、資料が残っていませんでしたというのを、もう一回調べて出せと言っても、多分また同じ答えが出てくるんだろうと思います。

 したがって、とにかく、わたりあっせんは官民人材交流センターにおいてはやらないということをもう決めたわけでございます。ですから、恐らく人事当局においては、今までOBの人事までやっていたところは、一元化後は全面禁止されるわけでありますから、中には、ああ、これで随分楽になったと思う人もいるんではないでしょうか。

○後藤田委員 いや、私はちょっと違うのは、前回も申し上げたんだけれども、やはり三十年、四十年その行政に携わった専門家が、わたりという言葉とか天下りという言葉はちょっと悪いんですけれども、再就職するというのは、僕は丸なんですよ、私的には。正しいんですよ。それは国家の損失ですよ。それだけ税金を使って働いてもらった人を全く世の中に貢献してもらえないということは、僕は間違いだと思っています。

 ただ、社会保険庁というのは、今、厚生労働委員会でやっているけれども、グリーンピアだの何だのかんだのといって、林さんはすごくお詳しいと思いますけれども、あれだけの問題を起こした当時の長官経験者というのは、やはり能力的には残念ながらなかったということになっちゃうんですよね、結果論として。民間だったらあり得ませんよ。不祥事を起こした人がまた子会社の社長になるというのは、たまにレアケースであるようだけれども、何かどこかの涙を流した銀行の頭取がもう一回復活した、そんなニュースがあったけれども、このことについて、僕はおかしいと言っているわけなんですよ。

 だから、能力があって、社会的に影響力もあって、国民にとって利する人であればいいんですよ。だけれども、そうじゃなかった人なんですよ、この人たちは。それで、今現職の人間たちが困って、本当に頑張っている若い社保庁の人間、厚生労働省の諸君が頑張っているのに、のうのうとそのときのトップが天下っていること、また渡っていること自体が僕はおかしいと言っているわけなんですよ。だから、これは多分役人の方々は賛成すると思いますよ、おかしいと。若い人も。

 その点、きょうは厚生省さん来ているけれども、もう一回聞きます。

 今申し上げた社保庁長官経験者のわたりの数というのは、この十六人の中に入っているのか入っていないのか。もし、それが該当するにもかかわらず入っていなかったとしたら、この事実がわかって、そうしたら、これはだれが責任をとるんですか。この問題は、大臣が辞職するのかな。その点、今、大事な答弁ですから責任を持って回答して。この問題の発言というのは大変重要ですからね。もしくは、厚生大臣が責任をとるのか、それがもしうそだとわかったら。その点について、ちょっと審議官、教えてください。

○宮島政府参考人 今の御質問でございますが、その十六人の中には、社会保険庁長官の経験者というものは入っておりません。

 今のお話ですと、わたりという言葉によるんですが、個々の社会保険庁長官の履歴を見ますと、関連団体を履歴の中では転職しているという事実は見受けられます。

 ただ、その事実に関して、その転職したことに関して、こちらの行政当局の方として関与していたのか、あるいは関与していなかったのかということがわからないということですので、その十六名の中には登録されていない、そういうことの整理になっているということでございます。

○後藤田委員 大臣、先ほど、私が自分で調べて、こういうことだから大臣調べてくださいよと言って、恐らくお調べいただいたのが今お手元にあろうかと思うんですけれども、その資料を見て、いわゆるわたりだなと思う人を抽出していただいて、それぞれ三つ四つ、渡っているはずなんだけれども、それをちょっと読み上げていただけますか。

○渡辺国務大臣 例えばこれは、実際にわたりあっせんが行われたかどうかというのはまた別の話でございますが、例えば、船員保険会会長から四年後に厚生年金基金連合会理事長になり、そのまた四年後に健康・体力づくり事業財団理事長になり、社会保険審査会委員長になりなどというケースは非常にわかりやすいかもしれませんね。

 わたりあっせんが行われたかどうかは確認しておりません。

○後藤田委員 僕は、民間に行くのはいいと思うんですよ。資生堂さんとか、いろいろ行った方をよく聞いていますけれども、それはそれで、民間から求めがあれば行けばいいんですよ、能力があるだろうから。

 だけれども、今聞いた範囲では、あっせんはしていませんよ、関与していませんよと言いつつ、しかし、これは厚生省のいわゆる権限、予算、これは背景にしていないんですかね。どうなんですか。それは厚生省、答えられますか。

○宮島政府参考人 ちょっとあれですが、あっせんしているかどうかがわからないから書いていないということで、あっせんは実際はやっていることもありますということを言っているわけなんですね。

 それから、関連のところということでありますと、今、社会保険庁長官のことの話で渡辺大臣の方からお答えになった中には、やはり予算的な補助をやっておりますところですとか、そういうところは入っておるわけでございます。

○後藤田委員 もうこれ以上、私も与党なのであれですけれども、あとは馬淵さんに任せますよ。

 だけれども、それは違うんですよ。いいんですよ、わたりも能力があればいいと言っているんですよ、さっきから。やはりこれは社保庁の問題で、あれだけ国民に迷惑をかけて、そういう人たちが渡っているのは、僕は看過できないということなんですね。それを政府としてどうするんですかということなんだと思うんですよ。

 だから、民間だけじゃなく、さっき冒頭に言ったように、外郭団体、公益法人というもの、行革というものがしっかり済んだ上で、これは残る、残す必要がある、そういうところに行くのは僕は問題ないと思うんです、はっきり言って。みんな、天下り根絶、根絶と政府も野党も言うけれども、僕は、それはありだと思っているんですよ、はっきり言って。さっきから言っているように、三十年、四十年、国民の税金を使った専門家が、公益法人であろうが外郭であろうが、行革を徹底的にやった上、省庁再編を徹底的にやった上で、そこに行くのは僕は丸だと思っているんです。

 だから、そこの点で、政府案はやはり慎重だと思うんですよ、ある意味で。さっきから言っているのは、立法事実だとかそういう大きな、大くくりのものも含めて議論しなければ、そこまでの法律は出せない。これは先送りでもないと私は思っているんですよ。だから、これはやはり政府として、これからしっかりと、省庁再編の結果、行革というものが完全になされて、そういったものをしっかり早急に整備した上で、そこに行く再就職というのは、僕はぜひ許してあげていただきたい。

 そのことについて大臣、感想はいかがですか。

○渡辺国務大臣 政府案においては、天下りは根絶いたしますが、再就職については、官民の垣根をできるだけ低くして、人材交流を進めようという設計になっております。したがって……(発言する者あり)これは苦しくも何ともなくて、我々の基本コンセプトでございます。官と民の垣根を必要以上に高くしてしまう、人材の流動化を阻害してしまう、役人は定年まで役人であり続けるべきだ、そういう立場には立たないわけでございます。

 大体、今の国家公務員法がつくられましたのが昭和二十二年。当時の日本男性の平均寿命は、約五十歳でございます。今、日本男性も八十近くまで長生きするような時代にあって、公務員は死ぬまで役人なんだ、こういう発想は時代錯誤としか言いようがございません。

 したがって、我々は、官と民の垣根を極力低くする、そして官民癒着の防止措置はきちんととる、その上で、再就職は、官から民へ、民から官へ、民から官から民へ、いろいろな人材流動化があってしかるべきだと考えております。

○後藤田委員 では、最後にお伺いしますが、今度の新しい人材センターというのは、やはり人材をしっかり見て、いいところにはいい人間を求めに応じて出すということですよね。

 であるならば、例の社保庁問題で、そのときにしっかりと改革もできなかった、そのときの責任をだれも実は負っていないんですよ。局長一人やめていないからね、社保庁問題。僕に言わせれば、野党の追及は甘いんです、はっきり言って。そこで、では、この法案が施行されるときに、人材派遣センターがそれを判断して、公益法人に行っているわたり、いい人間だったらいいよ、だけれども、あの当時の社保庁問題を指導したトップがいる、これはだめだという判断はやりますか、やりませんか。最後にそれだけ質問したい。

○渡辺国務大臣 これは、各省あっせんを全面禁止した上で、センターに一元化をするわけであります。このセンターが、例えば、補助金を交付していた業務をやっている人がその補助金交付先に再就職をするなんという話は、やはり常識的に難しいなと、これは有識者懇談会で決めるわけでございますが。

 社保庁長官をやっていた人がどういうところに再就職できるかという問題も、まさにこれは外部監視機関つきで制限規定を考えていくことになろうかと思います。

○後藤田委員 では、終わります。

○河本委員長 次に、寺田稔君。

○寺田(稔)委員 自由民主党の寺田でございます。

 後藤田委員に続きまして、公務員制度改革、お聞きをしたいと思います。時間も限られておりますので、端的に御答弁をいただければと思います。

 今の後藤田委員の一番最後の論点、すなわち、官民の垣根を低くして、有為な人材、民から官もある、そして官から民もある、交流させていく。きちんとルールをつくって、あっせんはやめて、しかも、きちんとした行為規制をもって行っていくというふうなあり方。私も、ぜひともそういうふうなあり方による人材の有効活用、そしてまた能力・実績主義の徹底というふうなことを図ってまいらなければならないと思うわけです。

 そうした横並びとか、あるいは年功序列、あるいは肩たたき、これらを廃止する上で、能力・実績主義の導入というふうなこと、これは異論がないと思います。これは、与党案においても、そしてまた野党案においても、能力・実績主義の導入、そしてそれを定着させるというふうなことは午前中の審議でも確認がされたわけでございますが、では、具体的に一体どういうふうに能力・実績主義を導入していくのか。その具体の中身と手段が非常に重要になってまいります。

 まず大臣にお聞きをするわけですが、今回の公務員制度改革において、いかに能力・実績主義を具体的に取り入れていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

○渡辺国務大臣 公務員に、やる気を持って、また能力を高めながら役所で仕事をしてもらうことが大事であります。そのためには、能力・実績主義の貫徹が不可欠と考えます。

 いわゆる年功序列型システムで、同期が横並びで昇進し、同じ給料をもらうという実態がずっと続いてまいりました。こういうやり方がこれから先も続くとすると、やはり、やる気もあって能力もある若い人たちが役所に入ってくるということに対しては、非常に阻害要因になるのではないでしょうか。民間では当たり前の実力主義を公務員制度にも取り入れていくというところでございます。

 今回の政府案では、人事を行うに当たって、採用年次や試験区分にとらわれてはならず、能力と実績の評価に基づいて行われなければならないと明確に定めております。優秀な人材については、試験区分、キャリア、ノンキャリアを問わず、若いころから政策の企画立案等を担う機会が与えられることになります。逆に、仕事のできない人は、ポストや給料が下がったり、場合によっては免職もあり得るということでございます。

○寺田(稔)委員 まさに、そういうふうな形で能力・実績主義を徹底していかなければならないわけですが、この点については、民主党案でも、現在、附則の中で能力・実績主義が盛り込まれているわけです。

 私も過去、財務省にいました。そして、総人件費改革、そしてまた給与制度改革、私も財務省の給与課長というポストを仰せつかっておりまして、実際にこの問題に取り組んできたわけですが、実は、ある県の総務部長にも出向していた。県の総務部長というのは、いわば組合と実際に交渉する人事担当者です。

 そのとき、組合の関係者の方から、ちょうど十年前、実は成績率が上がったんですよね。成績率が上がって、勤勉手当において、まさに能力と実績に応じて配分できるような仕組みになった。これは、一つの改革の前進が十年前あったわけです。ところが、当時の組合関係者は、そういうふうな能力・実績主義による配分はやめてほしいと。すなわち、上がった分は、上がった昇給額はすべて全員均一に、べたにばらまいてほしいというふうな主張、これは現実に組合交渉で出てきたわけです。

 今の民主党案からいくと、当然そのような組合主義からは決別をするというふうなことでよろしいかと思いますが、その点、確認をさせていただきたいと思います。

○馬淵議員 能力・実績主義、先ほど来申し上げているように、まさにあるべき姿、そしてその中でのあるべき職務、業務、それに対して目標を設定して、それが実績として達成されたかどうか。そして、さらには、より現状の業務よりも高い目標を持っていく、それを実現できるかどうかという期待値も含めた能力、こうした形で人の評価をしていくわけでありますから、今おっしゃるような御指摘の部分、すべて改めて我々は考えていくという前提に立っています。

○寺田(稔)委員 そうしますと、自治労がしているような、能力・実績主義に対して反対するような主張とは民主党は明確に決別をされる。すなわち、これからは真の意味で能力・実績主義を徹底して、組合の主張とは一線を画するというふうな理解でよろしいですね。確認の質問です。

○馬淵議員 私どもは、政権を担うべく政党として今日政治活動を続けております。支持団体の主張と私ども政党が打ち出すその政策、これは基本的に我々政党として出しているものでありますから、支持団体のものとこれが完全一致をしなければならないということの方がむしろおかしなわけでありまして、我々は、あくまで支持団体の皆さん方のさまざまな御意見を伺う中で、そのあるべき姿に向けてのマニフェストなり政策インデックスをつくっているわけです。地方公務員法の改正も我々提出をしております。繰り返し申し上げておるように、三年二割の総人件費の削減も掲げている。

 我々は、あくまで国民の目線ですよ。生活者の基点に立った政策を出しているわけですから、御指摘のような部分は一切当たりませんし、殊さらにそのことを声を荒げて指摘される方々が与党の中にも多数いらっしゃるようでありますが、寺田委員におかれましては、財務省におられたということで、極めて冷静にかつ合理的な物の考え方をしていただける先生だ、政治家だ、私もそのように心得ておりますので、しっかりと合理的な議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

○寺田(稔)委員 今明確に馬淵委員の方からも、そういう組合主義から決別をする、すなわち、支持団体の意見とは一線を画すという明確な御答弁がありました。早速、私も地元に帰りまして、そういうふうな主張をされているというふうなことを組合関係者にも明確に伝達いたしたいと思います。これはもう非常に明確な答弁でしたので、次の議題に進ませていただきます。

 先ほど大臣も、四十代において事務次官が出る、これは非常にすばらしいことだと思います。本当に能力、実績のある人、有為な人材は、そういう早い段階で見出していく。実はアメリカがそういうシステムをやっているわけですね。いわゆる政治任用の世界にも入ってくるわけですけれども、ポリティカルアポインティーとして、アメリカにおいては、いわゆるメリットシステムでないスポイルズシステムを採用して、自由な官民の交流を図っております。そして、当然、一定の行為については厳格な刑罰のもとに行為規制をしいている、これがアメリカのシステムなんですね。

 大臣が言われるようなことは、実はよく考えるとアメリカのスポイルズシステムが一番実現できる可能性があるわけですが、アメリカの事情にもお詳しい林副大臣、実際アメリカのケネディ・スクールを出られ、そしてまた学位を取られ、さらに米議会のスタッフの一員として内側からもごらんになっておられますが、こういうアメリカ式のスポイルズシステムのメリット、デメリット、そして、我が国において、果たしてこれは、実際にできればこれは一つの姿たり得るわけですけれども、いかがお考えか、お伺いをいたします。

○林副大臣 ケネディ・スクールの同窓の寺田委員からも御指摘をいただきまして、一瞬焦っておるところでございますが、アメリカにおきますスポイルズシステムというのは歴史の古いものでございまして、官僚主義というものから決別をしようという歴史的な伝統の中で、当時はイギリス等のヨーロッパではそういう弊害が指摘をされておっただろうと思うわけでございますが、出てきたものであろうかな、こういうふうに思っておりまして、任命者等が個人的なつながりや信頼関係、一緒に仕事をしてきた中での信頼関係というものに基づいて任用をしていくということで、御指摘のあったメリットシステム、成績主義とは一線を画するわけでございます。

 メリットとしては、いろいろあると思いますけれども、新しい発想、例えば、カーター大統領のときに、ジョージアからいろいろな人が来て新しい政府に息吹を吹き込んだとよく言われておりますけれども、また、大抵の場合は民間部門からいらっしゃいますので、民間部門での経験を政府の中に持ち込む。当然直近の民間の経験がございますので、住民また国民の政府に対する新しいニーズというのに即応して取り込んでいく。また、当然、各省の背番号というのはないわけでございますので、省益を超えた国益の観点というものから国政の形成がリードできる。また、任用というのは社会的なプレスティージが非常に高いものですから、重要で権限の大きい仕事を通じて、立派な仕事をしたという高い評判を得ることが、実はその後のその方のキャリアにとっても非常に有利になるということで、そのときの給与自体はさほど高くなくても非常に優秀な人材が集まってくる、こういうようなメリットがあるわけでございます。

 一方、デメリットもあるわけでございまして、委員も国際交渉に携わっておられたので百も御承知だと思いますけれども、たくさんホワイトハウスの人間がかわった直後の交渉というのは、なかなか事前の、前回こう言っていたではないか、いやそれは変わったんだということから始まりまして、行政の継続性や、また基本的な知識、経験の蓄積という面では、キャリアの官僚の方と比べて若干劣る面がある、こういうところは指摘をされておるところでございますし、先ほど、いいところで申し上げたような、すばらしい方が来るというメリットの反面、そうでない方も、縁故的な採用ということで来る可能性もある、こういうようなデメリットがあるわけでございますし、当然、民間から来るということは、特定の業界、業者等の部分利益と密接に関係を有している場合も考えられないわけではないわけでございますので、過去の歴史が示すように、そういうことから汚職といった問題が発生した例もある。こういうことでございまして、メリット、デメリット、両方あるわけでございます。

 一方、我が国は大統領制と違いまして議院内閣制をとっておるというような、いろいろな制度的な違いもあるわけでございますが、しかし、昨今、竹中大臣の例を引くまでもなく、いろいろな方に外から入ってきていただくというのは、現行制度でも行われているわけでございまして、大臣がおっしゃっておられますように、今後は、官民交流の一環として、ポスト公募をしていこう、これは民間からも公募をするということを打ち出しておりますけれども、そういうことを通じて、なるべく今申し上げたメリットの部分を強く取り入れて、そして、デメリットの部分をきちっと抑えていくというようなことが肝要か、こういうふうに考えているところでございます。

○寺田(稔)委員 今メリット、デメリットそれぞれ御分析いただいたわけですが、民主党さんにもお伺いをしたいんですが、民主党案では、こういった点について特に触れておられないんですけれども、こういういわゆる政治任用、猟官制について、御見解があればお伺いをしたいと思います。

○武正議員 前内閣、現内閣の某大臣が、いや、民間から人材をといっても、給料が安くてなかなかなり手がいないんだ、ある商社からある総領事、給料が半分になってしまったよと。あるいは、某省の独立行政法人から、そして財団法人、その事務局長、常務理事、専務理事すべて、それぞれ地方の局長なんですね。大臣、前大臣ですけれども、聞きましたら、いや、専門的知識はこの人たちなんだよと。そういうことを閣僚の方が言っておられます。

 我々は、やはり人材は、もうそれこそ全国各地あまねくいると。我々は、法律で公募を、今回独立行政法人の長は公募でとうたっておりますので、まず、このことではっきり明確にしていることをお答えさせていただきます。

 以上です。

○寺田(稔)委員 こういった公務員制度改革と財政構造改革、これは当然両立をさせなければならない。午前中、先ほど来の審議でも、果たして人件費をふやさずしてこういった諸改革を進めていくような方途についても審議がなされたわけですけれども、この財政構造改革を進めながら、すなわち総人件費の抑制を図りながら能力主義というものを取り入れていく必要があるわけですね。そのとき、今の官民の交流拡大というのは、実は一つの視点たり得るわけです。

 官民の交流拡大については、与党案でも野党案でもここも合致をしているわけですけれども、いわゆる官民交流法の枠組みによる官から民への移転と、もう一つ、実は、官の身分を保持したままで民間で研修を行うというふうな類型もございます。これはいわゆる官の民研修というふうに言っております。

 実は、官民交流法によって官から民に行きますと、その間は官としての給与を払いません。したがって、その分は人件費は削減になるわけですね。ところが、いわゆる民研修の形態ですと、官としての一定の給与は払います。しかし、もちろん官の中で働いているのではありませんから、いわゆる官の中で働く給与よりは、さまざまな諸手当、あるいは例えば実際の給与の中身を見ても多少変わってくるわけなんですけれども、この民研修について、私はこれも大いに活用してふやす、そのことによって民間のいいノウハウも取り入れていくというふうなことが大変重要だと思いますけれども、政府側の方と民主党さんの方から、それぞれ一言ずつ御見解をお伺いしたいと思います。

 まず政府側の方からお願いいたします。

○鈴木(明)政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘になりましたように、公務員の身分を持ったまま民間に研修に行くということで、本格的な長期の研修、そういう形で行きますのは、いわゆる交流派遣という形でございまして、国家公務員の身分を保持しながら、民間企業の従業員として企業から給与を得ながら、その企業の業務に従事、経験をさせることを通じまして、効率的な業務遂行を体得させるなどによって人材の育成を図る、そういう仕組みとして、官民人事交流法に基づく交流派遣という制度があるところでございます。

 これは人事院の意見の申し出に基づきまして設けられたものでございまして、制度が創設されました平成十二年三月以降現在までに、各省から六十四名の方が民間企業に派遣された実績があるところでございます。

 派遣の数は徐々に増加をしてきているところでございますけれども、人事院といたしましては、交流派遣について引き続きさらに推進をする必要があると考えておりまして、各府省に働きかけを行うとともに、日本経団連等の協力を得ながら、民間企業に対して説明会を開催するなどして、さらにその推進を図っていきたいと考えているところでございます。

○馬淵議員 お答えいたします。

 先ほど来申し上げておりますように、官民交流を否定するものではございませんし、民研修についても、これを何ら規制するものではありません。

 ただし、この民研修、いわゆる研修の名をかりた人員削減という形での、ある意味、定数削減という形での一方通行出向というような形、これはあってはならない。私どもは、総人件費の抑制の中で明確に見える形でということを訴えておりますので、今日叫ばれる厳しい公務員へのさまざまなバッシングの中、とにかく定数削減という形で出向に名をかりたものということは、看過してはならないというふうに思っております。

○寺田(稔)委員 一点、今の民主党さんの御答弁に対する確認ですけれども、本人の意思で民研修に出る、そして民に行ってさまざまな知識を習得し、そして本人の意思でとどまる、これについてはどうですか。簡潔にお答えください。

○馬淵議員 今まで申し上げているように、退職前の五年間に重要な権限にかかわるものについては天下りは禁止ですから。ですから、これは、出向という形で行かれて、御自身が自身の判断で新たな人生の開拓をするということについて何ら規制をするものではありません。

 繰り返しですが、みずからの人生をみずからが決定するという当たり前のことを私どもは訴えているわけでして、これはまさに、先生御自身、委員御自身がこういう政治の場を選択されたことも、まさにそれと同意だと私は思っております。

 前回の質疑の中では、参議院の比例区に関しては、業界団体を抱えて省庁がまさに権益を守るためにつくっている、これは天下りと何ら変わらないじゃないですかと申し上げましたが、自身の人生を選択するということが大前提ですから、今申し上げたような、御質問のあった部分に関しては、何ら規制するものではないと考えています。

○寺田(稔)委員 五年の行為規制がかかるのは当然のことでございます。

 それで、民主党さんにちょっと追加的にお伺いしたいのは、いわゆる級別定数。これは御承知のように、まさに今のピラミッド形の構造を維持している一つのコアのところが、実は各級ごとの人数を統制しているわけです。例えば、八級の人が何名、九級の人がより少ない数、十級の人がより少ない数、そして指定職ともなれば本当に全省庁合わせても約二千名と、非常にピラミッド形をこの級別定数という形で、これは予算書にも予算定数表として明記をされている。すなわち、予算統制であり、かつ人事システムの統制としてこの級別定数システムがあるわけですね。

 これはまさに、我々が今行おうとしている公務員制度改革から見ますと、例えば飛び越し人事もできないし、さまざまな点で弊害が出ているという指摘もあるわけですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

武正議員 いわゆる号級制でございますが、号が年齢、級がそういう意味でのキャリアというか、課長とか係長とかそういうのに当たるというふうに承知をしておりますが、これがやはり今、日本の公務員制度の根幹ですね。それはもう委員御指摘のとおりであります。

 我々が勧奨退職を何とかなくしていこうという中にこれをひとつ検討できないかなというふうに考えているのは、五十五歳から六十歳まで、それこそ、号でいえば年齢とともに号が上がっていく、こういった仕組みでありますが、ここをやはり何らかの形で検討を加えていかないと、与党が、皆さんが指摘されるような、人件費がまた増嵩してしまうのではないのか、こういったことになるわけですから、やはり検討事項ということになろうかと思うんですね。

 政府案にはこの号級制度の見直しがはっきりうたわれていないということについては、逆に、どのような御説明をされるのかなというふうにもお聞きしたいところでございます。