2007年6月6日
内閣委員会】 天下りバンク法案について

武正委員 民主党の武正でございます。

 ちょっと順番を変えまして、人事院さんは来ておられますかね。今副大臣、大臣からも認可認可ということで、一体何の認可があるのかなということも明らかにしたいと思いますが、少なくとも、人事院の再就職の承認あるいは各省大臣による再就職の承認とその人事院への報告、この二年規制というのは現存しております。

 そこで、まず人事院に、人事院規則の監査で、この五年間、再就職規制の人事院承認、各省大臣承認が是正されたものはそれぞれ何件あるのか、お答えいただきたいと思います。

○吉田政府参考人 お答えいたします。

 人事院では、再就職について承認権限を委任している各府省等に対しまして、定期的に営利企業への就職に関する事務の実施状況の監査を行っております。

 平成十四年から十八年度までの五年間、延べ五十四府省等に対して監査を実施いたしました。十四年度から十七年度までの四年間、指摘した件数はございませんでしたが、十八年度は就職承認漏れを六件指摘いたしております。平成十八年度に指摘いたしました六件は、省庁別に申しますと、財務省一、農水省一、独立行政法人国立病院機構四でございますが、いずれも軽微な手続違反であったため、そのうち離職後二年を経過していない四件につきましては、必要な手続をとりまして、将来に向かって再就職を承認しております。その内訳は、人事院承認分三件、財務省一、独立行政法人病院機構二、各府省承認分、農水省でございますが、一件となっております。また、これらの省庁に対しましては、厳正な手続を保持するよう指導をいたしているところでございます。

武正委員 過日、これは財務省でしたかね、再就職違反があったということも明らかになっておりますし、人事院への承認あるいは各省大臣の承認の報告、これも是正措置がとられている例があるということが今明らかになったわけでございます。

 そこで、今回のこの法案で、提出者からは、天下りあっせん根絶、こういうふうに豪語されておりますが、まず、抜け道があるのではないのかということで、政府案百六条の三、在職中の求職活動の規制除外四規定、これがございます。そのうちの一つ、まず現役出向。これは、各省庁のあっせんによって出向先を決め、その出向先で求職活動ができるとすると、全面的に禁止するという各省庁によるあっせんの抜け穴になるのではないかと考えますが、渡辺大臣、いかがでしょうか。

○渡辺国務大臣 現役出向が法の抜け穴になるのではないか、そういった問題認識をかねて武正委員からいただいております。

 まず、今回の法案では、各省によるあっせんを全面禁止いたします。百六条の二第一項によるあっせん規制においては、役職員であった者を営利企業等の地位につかせることを目的として行う情報提供や地位につかせることの要求を禁止いたしております。各省職員は、現役出向している職員についてもあっせんすることはできません。

 百六条の三第一項による在職中の求職規制については、現役出向者は非公務員となっておりますので、御指摘のように適用はされません。しかし、求職活動をさせるために国の職員を出向させるということはあり得ないことでございます。制度本来の趣旨にそれは全くそぐわないと言わざるを得ません。

 また、意図せずして現役出向者が求職活動をしてしまった、こういうことが続いたとすれば、人事当局の脱法的な意図ないし人選の適切性、こういうものが疑われることにはなろうかと思います。

武正委員 現役出向で求職活動をするについては対象外であることを今大臣がお認めになっておりますので、私は、この委員会で要求をさせていただきまして、平成十八年四月一日現在、中央省庁からの現役出向が四千三百八十三人、うち係長以下が千五百四十二人、三五%という数字もいただきましたので、やはりこの後の四類型での係長以下も対象外、センターの承認があれば対象外、監視委員会の承認があれば以上四類型は在職中であっても求職活動ができる、対象外である、法の規制はかからないという中で、今の根絶根絶と言っている各省庁によるあっせんがここで抜け穴として使われるということを改めて指摘させていただきたいと思います。

 そこで、除外四規定の係長以下もお聞きしたかったんですが、時間も押しておりますので、先ほど来の、わたり十六名以外の再調査を求めるということで、官房長官もお見えいただきました。既に渡辺大臣からは、残念ながら強制力はないというようなことも答弁がありますので、私は、過日の委員会で、やはり官房長官においでいただきたいと委員長に求めておりましたので、きょうもおいでいただきました。ありがとうございます。

 先ほども話がありましたし、六月一日の当委員会でも、総理が、もしかしたら氷山の一角ではないかという渡辺大臣の答弁、私もそのとおりだと思います、もう一度調査しろと言っても、恐らく役所には、残念ながら、今までそうした資料を残していないところに大きな問題があったんですよと総理はお答えになっていますが、私は違うというふうに思っております。各省庁に記録はある、それを隠しているだけ、ないと言っているだけで、必ずあるというふうに思っております。

 私は、内閣のかなめとして、官房長官、先ほど来民主党の委員が求めておりますが、十六名じゃなくて、今だってこの二名については友達が紹介というようなことを省庁が言っております。わたり十六名は到底あり得ないということを総理も認めているんですから、私は再調査が必要だと思いますが、内閣のかなめとして、その再調査をお求めになっていただきたい。官房長官、お答えをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕

○塩崎国務大臣 今回、法案を提出させていただいておりますが、これはまさに仕組み自体を変えようということでございます。立法事実の議論が先般来皆様方から出されているわけでございますけれども、今までの調査の結果として十六名という数字がとりあえず出てきているわけでありまして、実際は存在するかもしれない、確認されていないものを含めて、これからシステムを変えるという意味で、予算や権限を背景とするあるいはするかもわからない、各省庁による押しつけ的なあっせんが根絶されるように制度設計をしたということでございます。

 したがって、その点については十分根拠があり、また、そもそもそういうものが一つでもあるということでこのシステムを変えようというわけでありますから、この時点でこの立法をすることの意味というのは十分あるわけであって、現時点で再度調査を行うということは考えていないということでございます。

武正委員 先ほど渡辺大臣がお認めのように、現役出向はこの法案の対象外ですよ。現役出向で、出向先で就職活動できるんですよ。現役出向は各省庁があっせんできるんですよ。各省庁があっせんして、各省庁がいろいろな形で関与して、これはあっせんできるんですよ。百六条の二の2の二で、退職手当職員等は対象外ですよね。百六条の二の2の二ですよ。これは対象外ですよ。

 それで、今、再調査をやる気はないという官房長官のお話でしたが、六月一日、この委員会で文部科学省の官房長が、事前に質問していただければ人事記録に当たれたんだというふうに答えておられます。きょう、官房長がおいででありますので、では、文部科学省の人事記録には、例えば離職後の営利企業の再就職情報は掲載されているんじゃないですか。あるいは、この人事記録というのは一体何ですか。お答えいただきたいと思います。

○玉井政府参考人 お答えいたします。

 先般は、文部科学省の元職員がどういう身分の者であったか、つまり、そのときの具体的な御質問は文部技官であったのかどうか、こういう御質問でございましたので、それにお答えしたものでございます。すなわち、そのとき申し上げました人事記録というのは、国家公務員法第十九条におきまして、採用から退職まで、人事に関して作成するものがございます。それは、氏名とか生年月日、学歴に関する事項、試験及び資格に関する事項、それから勤務記録に関する事項、本籍、性別、研修の名称、期間、職務に関して受けた表彰に関する事項、公務災害に関する事項、こういうものでございまして、御指摘の離職後のことについて記載されるものではございません。

武正委員 人事記録があるということであります。今、離職後のことは記載されていないというお話でしたが、これから、離職後の情報も必ず記載されているというやりとりをさせていただきたいと思います。

 そこで、先ほどの十六件ですけれども、官房長官、これは件数だけでなくて、やはり氏名とかどういう団体に行ったのかということも明らかにすべきだと思うんですね。十六件以上の再調査はしないということは我々は承服できませんが、少なくとも名前とか団体とか、公表する気はありますか、官房長官。どうでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○塩崎国務大臣 今回の十六名の名前が出てきた調査においては、その具体的な再就職先については報告を求めていないということで行革事務局において行われたというふうに聞いております。ただし、十六名の再就職先及び再々就職先の名称については、江田代議士提出の天下りの禁止と府省の人材確保、新人材バンク等に関する質問に対する答弁書というのがあって、そこにおいて、各府省等に確認の上、答弁しているわけでございます。

 しかし、そうはいいながら、離職後の元職員というのはあくまでも民間人になっているわけで、個々の氏名の公表については、元職員のプライバシー保護等の観点から慎重な取り扱いが必要だというふうに目下のところ考えているところでございます。

武正委員 名前についてはどうですか。同じ答弁ということですか。

○塩崎国務大臣 まさにそのことを申し上げているところでございます。

武正委員 過日、五月二十二日でしょうか、「国の行政機関における幹部公務員の略歴の公表の在り方について」、総務省行政管理局から各省に、通達というか通知が行われたことは御承知のとおりでございます。国民に対して、現職官僚、課長職以上でしょうか、これについてはやはり、氏名、生年月日、出身地、最終学歴、採用試験の種類及び区分、職歴などを公表しようと。こういった意味は、私はやはり、政府の説明責任ということで評価をするわけでございます。

 そういった内閣にあって、退職公務員については今のように名前は出せない、あるいはもう把握する立場にあらず、歴代大臣もよく言っておりますが、こういったことが果たして許されるんだろうかということなんですね。

 私は、各省庁が退職後の公務員の記録を保管しているのではないかというふうに思っておりますが、官房長官、これはないというふうに言明をされるんでしょうか。退職後の公務員のわたりの記録というか、あるいは再就職の記録、これは各省庁は把握をしていない、保管をしていないということでよろしいですか。官房長官からお答えをいただきたいと思います。

    〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕

○塩崎国務大臣 委員御指摘の退職後の人事についての記録の問題でございますけれども、それがどういうものを意味しているのかでございますけれども、国家公務員法上、各府省は採用から退職までの職員の人事に関する一切の事項については、人事記録を当然作成して保管するということになっています。問題は、退職後については記録を作成することには目下のところ法的にはなっていないというふうに承知をしているところでございます。

武正委員 人事院にお聞きしたいんですが、退職後二年、今再就職規制がかかっていますよね、これをどうやってチェックしているんでしょうか。今の官房長官のように、各省、退職後の記録は一切ないと。でも、現法では退職後二年の営利企業への再就職規制がかかっているんですよ。人事院はどうやってこれをチェックしているんですか。各省からの申告だけでやっているんですか。あるいは、チェックできない、例えばさっき監査に行くと言いましたよね、監査に行ったときに、退職後二年の人たちがどういう営利企業へ行っているか行っていないかとか、それを監査しているんじゃないですか。しているとすれば、各省庁がデータを持っているはずでしょう。今官房長官はないと言ったけれども、では、人事院はチェックできないじゃないですか。どうやって監査しているんですか。人事院、お答えください。

○吉田政府参考人 退職公務員が現在どこに就職しているか、二年間につきまして、人事院が仮に監査に行ったときには各省庁がそれを把握しているかどうか、そういう御質問ですが、実際には、各省庁において、そういう職員が二年の間に再就職をしようという場合には、それぞれについて申告をする。申告をするというのは、職員が各省庁に申し出をする。それで、各省庁において必要があれば人事院に承認申請をする。こういう形になっておりますので、そういうものについて、それが適切に行われているかどうかというのを私どもは見ております。

武正委員 つまり、人事院が各省に監査に行ったときには、各省庁が二年以内の再就職営利企業等については報告することになっているんですよ。あるいは、それを監査できることになっているんですよ。今の官房長官は、退職後の記録はない、把握する立場にないと言ったのと違うじゃないですか。もう一度お答えください。

○塩崎国務大臣 今人事院が答えたように、クーリングオフの場合、これは百三条の二項に当たるわけで、こういった場合に基づいて、営利企業への就職に際して、人事院等の承認を得る必要がある場合などには、事務に必要な範囲で退職後の公務員に係る行政文書を作成し保管することはあるということでございますので、つけ足しておかなければいけないということで、おわび申し上げたいと思います。

武正委員 つけ足しというか、訂正というふうに理解をいたしましたが。

 さて、今回の政府案、退職職員の働きかけ規制というのがあるんですよ。離職後に営利企業などの地位についている退職職員が、一定の国の機関の現職職員に、在職中にみずからが決定した契約または処分であって当該営利企業などが関係するものに関して働きかけを行うことを際限の定めなく規制する、百六条の四の4。

 つまり、退職職員が在職中にみずからが決定した契約、処分、これは離職後もその退職職員を縛る、こういう法律であります。ということは、退職職員の管理をこの後も各省か、あるいはいわゆる天下りバンクがきちっとしない限り、この法案の担保ができないんじゃないでしょうか。退職後働きかけしないように、こういう法律をお出しになっておりますが、退職後のことは知らぬ、各省は今二年に限ってはそういう自己申告があれば知る限りであると。でも、これ、退職後も働きかけをしちゃいけないんですよ、現職職員に。ということは、退職後のOBもきちっと把握していなかったらこの法律は担保できないんじゃないんですか。いかがですか、官房長官。

 今やりとりしていたんですから。記録がないって言っているんだから。二年間しか記録がない。記録があればできるんですよ。(発言する者あり)

○河本委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

○河本委員長 速記を起こして。

 林副大臣。

○林副大臣 法律の問題でございますので、今委員が御指摘になった、契約をした場合は永久にといいますか、規制がかかるわけでございまして、これはケースによっては刑罰ということもあるわけでございますので、こういう構成要件を法律に定めておりますから、通常の刑法の手続によってもしそういうことが立証されれば罪になるということでございます。

 なお、先ほどから議論のある人事記録については、契約をしたというのは在職中のことでございますので、これは当然ながらその出身で、そこに勤めておられた役所の方には人事記録は残っている。ですから、そういう規制違反の調査なり捜査があった場合は、当然そういうものが証拠としては援用されるようになってくる、こういうふうに考えておるところでございます。

武正委員 罰則もあると。人事記録が残っていると。でも、五十五歳とか五十八歳で退職して、亡くなられるまでずっとこれは縛りがかかるんですよ。それで、全然ノーケアで人事記録はいじっていない、退職後はあずかり知らずと。そうしたら、連絡もできないじゃないですか、どこに住んでいるかもわからないじゃないですか。これは各省必ず追跡しているはずなんですよ。どこに住んでいるとか、どこに再就職したとか、各省庁に人事記録はあるんですよ。そうじゃなきゃこの法律は成り立たないじゃないですか。

 人事記録はあるんでしょう。なかったら追っかけられないじゃないですか。在職中の記録をもとに現職職員に働きかけをしちゃいけないんですよ。その契約とか処分にかかわるものは一生縛るんですよ。

 これは、言っておきますけれども、国家公務員法の百条一項で離職後も守秘義務があるという、これに続く二番目の離職後の縛りなんですよ。政府の法案で、離職後の縛りは、国家公務員法の百条一項の離職後の守秘義務に続く二回目の縛りなんですよ。非常に重いんですよ。この法律が担保されなかったら、政府案は欠陥じゃないですか。どうですか。

○林副大臣 先ほども申し上げましたように、これは刑罰でございますので、当然、捜査当局がいろいろな証拠を収集して罪刑法定主義に基づいてやるわけでございますので、委員の今御質問をちょっと聞いておりますと、あたかも、もともとおられた役所の方が何か取り締まりをするような前提でお尋ねになっているようでございますが、例えば殺人罪の場合に捜査当局が入っていって調査するのと同じように、刑罰で、今委員がまさに御指摘になったように重い刑罰でございますので、あらゆる証拠を捜査当局の方で調べられまして、この構成要件に該当する場合はそういう手続に入っていく、こういうような重い規制になっているわけでございます。

武正委員全然そんなのは納得できませんね。政府は、事前規制から事後規制ということで、いわば規制緩和をされているわけですよ、天下りあっせんの規制緩和を。一本化するとかいろいろ言っていますけれども。この規制緩和をしておきながら、今みたく、刑罰だからこれは刑事当局だということは通用しませんよ。このルールをつくったのはだれですか。

 事前規制から事後規制、三つの条件がありますよ。厳しいルールとしっかりとした第三者機関、チェック機関。政府の案なんか、非常勤五名で甘いですよ。そして、罰則は厳しくと。この三つがなければ事前規制から事後規制のこの制度は担保できないのに、今みたいなことで、各省庁はちゃんと追っかけているはずですよ。追っかけていなかったらこの条文は担保できないですよ。官房長官、どうぞ、ちょっと最後に答弁をお願いします。

○塩崎国務大臣 国家公務員には、例えば守秘義務というのがあります。これは当該役所の記録か何かをもって、あんた、守秘義務違反をやったねと追っかけるわけじゃなくて、捜査当局が取っ捕まえてぱくるわけですよね。それと同じことですから、全然それは違うんですね。

 ですから、一々人事の情報を管理しなきゃいけないんじゃなくて、これは捜査当局が、この法律に違反をしたということで刑事罰がかかる犯罪として動く、こういうことでありますから、全くそのことは、今御指摘の点は当たらないというふうに思います。

武正委員 これだけが捜査当局なんですか、違うでしょう。ほかの条文と全部横並びじゃないですか。では、今まで答弁してきたのは全部捜査当局、捜査当局なんですか。(塩崎国務大臣「刑事罰はそうですよ」と呼ぶ)私は、やはりこれは納得できません。

 先ほど、官房長官は二年については認められました。官房長も人事記録があると言っておりますので、私は、やはりこの人事記録に基づいて十六件のわたり、これについては氏名の公表も含めて再調査を改めて申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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