2007/06/14
【衆院本会議】政治資金規正法規制強化を主張

 衆議院本会議で14日、与党の政治資金規正法改正案に対する民主党提出の修正案、および与党の政治資金規正法改正案を議題に審議が行われ、民主党・無所属クラブの武正公一議員が民主党修正案の趣旨説明を行い、渡辺周議員が民主党修正案に賛成、与党改正案に反対の立場から討論を行った。

 冒頭、民主党は与党よりも約3カ月も早い3月6日に、規制対象をすべての政治団体とし、1万円を超えるものに関する領収書添付を義務づけた政治資金規正法の改正案を国会に提出したことを武正議員は改めて表明。そのうえで、与党案について、(1)規制対象を資金管理団体に限定していること(2)不動産以外の株式等については取得制限を設けていないこと(3)収支報告書への支出明細の記載や領収書の添付義務づけを5万円以上としている点を挙げ、「抜け穴だらけのザル法だ」と批判した。

 続けて「総務省には政治家の事務所への立ち入り調査権限がない以上、より一層の情報開示を、自ら説明責任を果たすとともに法的にも義務づけなくてはならない」と主張。そのうえで、民主党が提出した修正案では(1)政党以外の政治団体による不動産及び有価証券等の取得を制限することとしていること(2)与党案のように資金管理団体に限定せず、すべての政治団体に対して領収書添付が必要な支出額を「1万円超」としたこと(3)与党案のように政治団体に対して不動産取得だけを制限するのではなく、有価証券も含めて収支報告書に記載しなければならないとしたこと――などを列挙した。

 与党案に反対し、民主党修正案に賛同の立場から討論を行った渡辺議員は、昨年12月、佐田前行政改革担当大臣が事務所費問題で辞任するなど、安倍内閣は発足早々、「政治とカネ」の疑惑まみれのスタートだったと指弾。だからこそ、政治不信を払拭するためには、「政治都とカネ」問題の抜本的解決に取り組まなければならないと指摘した。

 そのうえで、そうした問題の早期解決に向けた民主党の取り組みを紹介。与党よりも3カ月も早く自らを律する実効性ある規制を盛り込んだ政治資金規正法改正案を提出し、その後与党が重い腰を上げてやっと提出した与党・改正案に対しては民主党修正案を提出するとともに、岡田克也・党政治改革推進本部長が石原・自民党党改革実行本部長、東・公明党政治改革本部長に対して文書で修正協議を呼びかけるなど、とにかく「政治とカネ」問題の解決に向け、真摯に取り組んできたことを改めて語った。
(民主党ホームページより)

【衆院本会議 議事録】 
政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案についての趣旨説明

武正公一君 ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提出者を代表して、趣旨説明をいたします。(拍手)

 今日、私たち政治家が取り組むべき喫緊の課題は、国民の政治不信を解消することです。そのためには、与野党の垣根を越えて、立法府である国会として政治と金の問題に取り組み、国民の疑念を払拭し、信頼を回復する措置を講ずることが求められています。そうした考えから、昭和六十年の政治倫理綱領も国会として決めたところであります。

 今国会は、佐田前大臣の辞任に始まる事務所費問題に端を発しました。松岡前大臣、伊吹大臣と巨額の事務所費が計上されていることは、国会議員であるとともに行政府の責任者である大臣として説明責任が求められましたが、それは結局果たされませんでした。極めて遺憾であります。法律には不遡及原則がありますので、法律を厳しくすることと説明責任を果たすことは車の両輪であると考えるからです。

 そこで、私たちは、与党よりも約三カ月早い三月六日、民主党としての政治資金規正法の改正案を取りまとめ、国会に提出いたしました。領収書添付を一万円を超えるものとし、対象はすべての政治団体にという骨子であります。

 しかし、先月三十日に提出された与党案は、規制の対象が資金管理団体に限られること、不動産以外の株式等については取得等の制限を設けていないこと、収支報告書への支出明細の記載や領収書等の添付を義務づける支出の基準額が五万円以上とされていることといった抜け穴だらけのざる法であります。

 そもそも、昭和五十五年に、添付義務の領収書の額を一万円から五万円にする政治資金規正法改正案に、与党である公明党は当時反対をしたのではありませんか。

 きのう、一円からの領収書を保管し、税務署の立入検査を受ける立場のある事業者からは、じゃ、私たちは五万円以上の領収書でいいんですかと私は言われました。政府、総務省には政治家の事務所への立入調査権限はありません。政治活動の自由を保障するためと考えます。であるからこそ、政治資金規正法一条、二条にある国民の不断の監視と批判のもと、そして判断は国民にゆだねるため、より一層の情報開示を、みずから説明責任を果たすとともに、法的にも義務づけられなくてはなりません。

 民主党は、与党案に対する修正案を倫理選挙特別委員会に提出するとともに、与野党で合意して政治資金規正法を改正すべく、今月六日、岡田克也民主党政治改革推進本部長が、石原伸晃自民党党改革実行本部長、東順治公明党政治改革本部長に文書で修正協議を呼びかけました。

 石原、東の両氏からは、修正協議については委員会の現場に任せたいとの回答であったため、民主党は、少しでも合意の可能性が高まるよう、五万円以上という与党案をのみ、政治家関連の政治団体に対象を限定するところまでおりて、十一日の筆頭間協議に臨みました。結局、協議は不調に終わり、十二日、岡田克也民主党政治改革推進本部長は石原、東両氏に対し、再度、政党間の修正協議を呼びかけました。

 しかし、与党は最初から最後まで、民主党の提案を真摯に検討するでもなければ、与野党合意に向けてみずからの提案を行うでもありませんでした。与党案は、経常経費を他の政治団体につけかえること、政治資金の受け入れを資金管理団体から他の政治団体に移すことが可能とされます。結局、与党は全く歩み寄らず、こうしたざる法をざる法のままとすることを選んだのであります。与党側には、政治資金の透明化を求める国民の声に一切耳を傾ける気などなかったということであります。

 そして昨日、事実上たった二日間の委員会審議の後、与党は審議を突如打ち切り、採決を行うという暴挙に出たのであります。今国会十一回目の強行採決であります。委員長職権で立てられた委員会は五十回近くに上ります。本会議も六回が強行で開会がされております。今回も、指摘されるように、与党国対の頭越しに官邸の指示があったとすれば、こうした事態を許すことはできません。何でも国会の運びに首相官邸が口を挟むこと、これを私は何でも官邸団と名づけました。

 事務所費問題に端を発した政治資金規正法改正は、立法府である国会としての責任と権威が問われる課題であります。行政府から指示をされる代物ではありません。

 そこで、民主党は、政治に対する国民の信頼を回復するため、与党案の大きな抜け穴をふさぐ修正案を改めて本会議に提出することといたしました。

 以下、修正案の概要を御説明いたします。

 第一に、政党以外の政治団体による不動産及び有価証券等の取得等を制限することとしております。資金管理団体に限らず、政党以外の政治団体について制限を課すとともに、株券その他の有価証券等についても取得してはならないものとしております。

 第二に、政治団体による収支報告書の記載並びに領収書等の徴収及び領収書等の写しの収支報告書への添付についてであります。

 まず、資金管理団体に限らず、すべての政治団体は、経常経費のうち光熱水費、備品・消耗品費及び事務所費について、収支報告書に、支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載するとともに、収支報告書の提出の際に、領収書等の写しをあわせて提出しなければならないこととしております。

 また、収支報告書への明細の記載並びに領収書等の徴収及び領収書等の写しの収支報告書への添付を義務づける支出の基準額については、現行及び与党案では一件五万円以上でありますが、これを一件一万円超に引き下げることとしております。

 第三に、施行期日等でありますが、この法律は、平成二十年一月一日から施行することとし、政治団体による収支報告書の記載並びに領収書等の徴収及び領収書等の写しの収支報告書への添付については、平成二十年の収入及び支出に係る収支報告書から適用することとしております。

 また、政党以外の政治団体による不動産及び有価証券等の取得等の制限については、この法律の公布の日から起算して一月を経過した日から施行することとし、法改正前から引き続き所有している不動産及びこれと密接に関連する不動産並びに有価証券等については適用しないこととしております。なお、これらの不動産については用途その他の個々の利用の現況を、有価証券等については保有の目的を収支報告書に記載しなければならないこととしております。

 議員諸氏が政治団体の支出を飛躍的に透明化させ、国民の政治不信を払拭することに賛同されるのであれば、私たちの提出した修正案に御賛同賜らんことをお願い申し上げ、私の趣旨説明を終わります。(拍手)
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