2007/10/11
【衆院予算委】独法制度見直し、本来の趣旨の検証を
税金のムダづかい一掃を求める

 武正公一議員は11日午後、衆議院予算委員会で、独立行政法人制度や公務員制度の問題点を指摘、税金のムダ遣い一掃の観点から、制度の見直しに対する福田首相や関係大臣の見解を質した。

 武正議員は第一に、テロ特措法に基づき自衛隊が補給する燃料の調達について質問。随意契約の相手方である石油会社名や履行場所の公開などを求めたが、石破防衛大臣は、公にすることによる不利益の恐れや判例を挙げて、非開示の旨を答弁した。

 公共調達の適正化については、競争性があると言われてきた「企画競争、公募」が「随意契約に至る可能性がある」と指摘、総務大臣の見解を求めた。増田総務相は特定の社の利益とならないよう審査にあたって競争性・透明性の確保を考えると答弁した、

 独立行政法人制度について武正議員は、公務員の数は減ったが給与は税金から出ていること、トップや役員の大半をいわゆる天下りが占めることを挙げ、「見せ掛けの『官から民へ』」だと批判。消防研究所の財務諸表を例に、資産の運用や評価方法が国民に不利益を与えることの無いように釘をさした。

 独立行政法人制度見直しに関する現状を説明した渡辺行革担当大臣に対し、武正議員は「(民間の知見を使うという)本来の趣旨から外れた隘路に入っている気がしてならない。今一度検証する必要がある」と強調した。

 武正議員はまた、随意契約や国有財産売却に際して、国・公的セクターに損害を与えている恐れがある公務員が懲戒対象になるかと問題提起し、損害賠償責任の厳格化について見解を質した。

 さらに、参議院選挙の告示日に、総務省が放送局の役員を呼びつけた経緯は放送の独立性を阻害する恐れがあると指摘して、次回以降は通常通り郵送とするよう求めた。
(民主党ホームページより)

【衆院予算委員会 議事録】 
独立行政法人制度や公務員制度の問題点について質疑

武正委員 民主党・無所属クラブの武正公一です。お手元の質問要旨に従って順次質問をさせていただきたいと思っております。

 ただ、今ちょうど原口委員が、「ときわ」のペコスへの給油、ここをやっておりますので、ちょっと順番を入れかえさせていただきまして、四番の「補給艦燃料契約について」、これを先にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私の資料では、後から二枚配りました資料ですか、それから、最初に配った資料ではまず九ページをごらんいただきますと、これは、民主党の外務防衛部門会議では、この間七回にわたって今回のテロ特措法対応関連ということで資料要求をさせていただきまして、六回お答えをいただいております。しかし、何度も求めておりますが、例えば、給油したそれぞれの艦船、あるいはまたそれぞれの艦船の行動を含めて、正確なお答えをいただけないということがずっと続いております。

 その中でようやく出てきたのが給油の契約書でございます。民主党の政務調査会の方には、平成十四年度から十八年度までの五年間にわたっては全契約書を御提出いただきました。ただ、平成十三年度は、もうその保存期間を過ぎているということで破棄した、こういうお答えでありましたが、私は、やはり平成十三年度も、ニューヨークへのアタックといったこともありますので、これもやはりぜひ開示をしていただきたい。探していただきたい。先ほどと同じように、破棄したといっても見つかったということがあるわけですので、十三年度の契約書も改めて求めていきたいというふうに思っています。

 これは、民主党の理事を通じてという先ほど委員長のお話もございましたが、きょうは、予算委員会ではこの質疑については最終日となりますので、これを理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

○逢沢委員長 理事会で扱わさせていただきます。

武正委員 そこで、この契約書なんですけれども、墨塗りで提出をいただいているわけなんですね。それは、この契約をしている石油会社の名前は明かせない、あるいはどこで履行したのかは明かせない、こういったことで墨塗りになっているという説明なんですね。

 ただ、随意契約になっているわけでございまして、随意契約である場合には、その随意契約については、非常に限られた条件という中で、マラケシュ協定にもあるように、随意契約をしたことをやはりオープンにしていこうということ、これが既に決まっているわけでありますし、国でも、政令でそうした随意契約についてはオープンにしていこう、なぜ随意契約にしたのかということを説明していこうということで、それぞれの省庁もホームページでそれをオープンにしているわけでございます。

 私どもは、A社、B社ということで二社が受注をしているという油の契約、この社名をまずやはり開示していただきたい。これを再三求めているわけでございますが、それが果たせないといったことでございます。

 これについては、まず防衛大臣、なぜこの名前が出せないのか、御説明をいただけますでしょうか。

○石破国務大臣 お答えを申し上げます。

 契約相手方の個別の名称について述べよということでございますが、これが公になることによりまして当該企業の正当な利益などを害するおそれがあり、というのはどういうことかといいますと、具体的には、公にすることにより、給油活動に反対の御意見を有される方によります当該法人を標的とした妨害活動、これが誘発されることがあるということでございます。それはおそれでございますが、おそれはございます。あるいは、イスラム、アラブ系のお客様に対する営業活動に支障を生ぜしめる可能性があるということでございます。そして、ひいては、私ども自衛隊によりますこのような活動の円滑な遂行を妨げるおそれがあることから、この社名についてのお答えは控えさせていただいておるところでございます。

 既に委員御案内のことかと思いますが、平成十五年九月十六日、東京地裁の判決がございます。行政文書一部不開示処分取り消し請求事件というものでございますが、そこにおきましてもこのような考え方が認められておるということは、既に御高承のとおりでございます。

武正委員 そこで、私どもは、今御答弁がありましたけれども、開示しても、それぞれの会社あるいはまた給油、こうしたものに対して不利益なりあるいは何か不祥事、問題があるということは阻却できるということで求めているという立場でございます。

 そこで、お手元には、続いて十二ページ、十三ページをごらんいただきたいんですが、先ほど原口委員がお配りをした「ときわ」の航海日誌、これは二月二十五日のものでございます。それで、部門会議でこの「ときわ」の航海日誌をあるというふうに言われたのは先週の金曜日でございまして、この週末を越えてその「ときわ」の航海日誌の提出を求めてまいりました。

 そうしますと、これはなかなか時間がかかる、提出できない、こういうやりとりが続いておりますが、当予算委員会の理事会でも、平成十四年度から十八年度、まずこの五年間の「ときわ」の航海日誌を理事会でも求めさせていただいております。私は、やはり全契約書も出していただいておりますので、この「ときわ」の航海日誌五年分を求めたいというふうに思っております。これはもう理事会で既に求めている件でございます。

 その中で昨日御提出をいただいたのが、二月八日から九日の二日間に限って提出をいただきましたのが十三ページでございます。これが十三ページで、二月八日分でございます。二月八日分で、〇六四五、入港準備作業にかかる、〇六五五、入港用意、そして〇八二八、主燃料搭載開始ということで、一二〇三、主燃料を三千四百六十五キロリットル搭載をしたという、これが航泊日誌でございます。

 その前のページに、御提出をいただいた全契約ということで、A社、B社と、会社名は書いていないんですが、十四年の末から十五年の三月までの契約、それから変更契約、これを一覧表にまとめました。残念ながら、変更契約の方には、金額は書いておりますが、その数量などが書いておりません。これは、一部仕様書には書いておりましたので、多分、この変更契約の数量なども、仕様書など別途資料があるんだというふうに思っておりますので、こうした契約も改めてすべて御提出をいただきたいというふうに思っております。

 これも理事会でお取り計らいをお願いしたいと思います。

○逢沢委員長 理事会で協議いたします。

武正委員 そこで、二月の八日という日付がここの契約のところにはないわけなんですね。これは、そうすると、この三千四百五十六キロリットルのものを積んだ契約というものはいつの契約なのか。これは、では、契約の日時と実際に契約を履行した日というものは異なるということで理解をしていいのかどうか。この点、防衛大臣、いかがでしょうか。

○石破国務大臣 これは、契約の通例といたしまして、契約締結日とその履行日というのが異なるということは、通常あり得ることだと承知をいたしております。

武正委員 通常あるということですが、このA社、B社の契約についてはどうなのか。随意契約でこの二社しかないということで御説明をいただきました。そして、この二社が全部の油を、交互というか、供給をしているわけなんですね。この契約に限ってそういう契約をしているんでしょうか。履行日と契約日が違うということがあるということでよろしいですか。

○石破国務大臣 これは、突然のお尋ねでございますので手元に資料がございません。通例、商売の通例として申し上げました。履行日が違うことはあり得ると存じますが、調べましてお答えを申し上げます。

武正委員 二月八日の三千四百五十六キロリットルということでありますので、もしそれに該当するとすれば、上から六段目の二月十八日の変更契約でそれぞれ増額をしているわけなんですね。これがその増額分としてこの三千四百五十六キロリットルに当たるのか、こういうことなのかなというふうに推量するわけですが、今、防衛大臣の方も詳細を調べるというふうに言っておりますので、やはり具体的な数量などもわかりませんし、先ほど言ったように、契約書にも不備というか、すべてがそろっているわけでもありません。また、航泊日誌も、今言ったように、二月八日、九日分しか提出いただけませんでした。

 ぜひ私は、やはりA社、B社の名前も含めて、その航泊日誌、すべてもう御用意いただいているようですので、速やかに委員会に御提出をいただきたいということをお願いしたいと思います。

○石破国務大臣 理事会の御決定に基づきまして、私どもとして出せるものは出させていただきたいと思います。

 ただ、先ほども地裁の判決を申し上げましたが、やはり出せないものは出せないというものがございまして、これは、裁判所でそのように決まりましたもの、私どもが被告となりましたものでございますが、やはりそういうものについては出せないものはあります。その点はどうか御了解をいただきたいと思います。

 また、委員会、理事会の御決定に従いまして私ども最大限努力をいたしますが、なろうことでありますならば、どのような問題意識をお持ちであるか、そういうことをお教えをいただきますと、それに合わせて私ども適切な資料というものを整えさせていただくことができますので、御高配賜れば幸いです。

武正委員 私どもは位置情報も含めてその開示を求めているわけですが、それは出していただけないということなので、まずは、提出いただいたその全契約書と航泊日誌の照会、照らし合わせをしたい、これが目的でありますので、よろしくお願いいたします。

 そこで、質問、もとに戻りますが、まず総理の方にお伺いをしたいと思いますが、昨日、前原委員の方からも、企画競争、公募についてということで質問がございました。

 お手元資料一ページ目をごらんいただきたいと思いますが、これは、平成十八年の公共調達の適正化に基づいて政府が今随意契約の見直しを十七年度ベースでこのようにできるんだと示して、それぞれ各省各庁に随契見直しを求めているもとになる表でございます。ここでいきますと、随契三兆九千億弱は合わせて一兆二千四百億、三分の一に縮まる、こういうような計画で、それぞれ各省各庁は随契見直しを進めておられます。ただ、昨日話が出た企画競争、公募、これも一兆三千三百億ございます。

 私、この後、独立行政法人について話を進めますが、独法でも随意契約の資料を予備的調査の中で出していただきました。農水省、最初出てきた資料では約四割という随契率でありましたが、よく見ると、公募とかあるいは補助金とかそういう記載がありましたので、もう一度出し直し、やり直しを求めまして、これが七割から八割という随契比率になってまた戻ってきました。

 そういった意味では、今これで各省各庁進めておりますが、私はやはり、この企画競争、公募、これももう一回見直すということを、来月にもまた財務省が中心になって関係各省連絡会議も行うようでありますので、やはりここは、昨日もお話が出ておりますが、企画競争、公募についても見直すということで、この随意契約の見直しについて特段の見直しをかけていただくということをお願いしたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

○福田内閣総理大臣 随意契約につきましては、昨年の二月以来、各府省において作業を進めております。その見直しに当たっては、従来随意契約を行ってきたものについて一般競争入札または企画競争もしくは公募を行うということによりまして、競争性と透明性を担保するということにいたしております。

 各省庁におきまして、透明性を高め、そして適正化を図るという見直しの趣旨に沿って、随意契約の見直し、鋭意進めてまいります。

武正委員 これまで進めてきた計画では、この企画競争、公募というところが、これは競争性があるんだということで政府が進めてきました。昨日来のやりとりも含めて、もう随契の一種というようなことになってきましたので、やはりこれも随意契約の見直しの対象としてお取り組みをいただきたいということをお願いしたいと思います。

 そこで、独立行政法人の随意契約の見直しでありますが、これもお取り組みをいただいているようですが、十八年五月の公共調達のこのやり方で見直しをされているようですので、独立行政法人もあわせてこの企画競争、公募も見直すんだということで、総務大臣、よろしいでしょうか。

○増田国務大臣 お答え申し上げます。

 独立行政法人でありますが、今お話にございましたとおり、この随意契約の見直しをするということで今その計画を策定しているところでございます。

 そして、やはり競争性と透明性を確保することが重要である、こういう考え方に立っておりますので、今お話しありました企画競争を行う場合にも、特定の者が有利になることがないように、その公募それから審査に当たって、今私が申し上げましたような、競争性、透明性を確保するということで考えていきたいと思っております。

武正委員 いや、企画競争、公募は随意契約の一種というようなことで、やはりこの企画競争、公募というのは中途半端なんですね。ですからここも、これまでの方針、公共調達の適正化では企画競争、公募は競争性があるんだということでくくっていましたけれども、これもやはり随契になるおそれがあるんだということで、見直しのそのポイント、基準を変えていただいたらどうかということなんですね。

 財務大臣、聞いておられますが、この所管をされていると思うんですね、全体の公共調達の適正化について。どうですか、この企画競争、公募も競争性があるとは必ずしも言えないので、随契の見直しでは、一般競争かそうじゃないかということで、指名競争があれば別ですけれども、くくっている一般競争か指名か随契かということで、この企画競争、公募についてのくくり方をはっきりさせるということで随契の見直しの観点で臨むことはできないでしょうか。いかがでしょうか。

○額賀国務大臣 今おっしゃるように、公募は、特殊な技術とか設備等が不可欠であるとして発注者側の判断で特定の者と契約しているようなものについて、当該技術または設備等を有している者がほかにいる場合がないとは言い切れない、そういうときに、公正性、透明性を確保するために、必要な技術、設備等を明示した上で参加者を募るわけでありますけれども、きのう議論がありましたように、さまざまな条件を突きつけて実際に競争が行われていないということも明らかになっておったわけでありますから、さらに今後見直していく上で、透明性で競争が行われるような形を考えていかなければならない、そういうふうに思います。

武正委員 来月にもそうした関係省庁連絡会議を予定しているようですので、そうした点で見直しを進めていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 次に、独立行政法人制度に移らせていただきますが、お手元の資料の二ページ目をごらんいただきたいと思います。

 総理は、官房長官時代に独立行政法人化を進めてこられました。平成十三年四月、五十七法人、十四年、二法人、十五年、三十八法人、十六年、十四法人ですから、百法人、ほとんど総理の官房長官時代に独法化を果たしていきましたので、この独立行政法人化を進めてこられたというふうに拝察をいたします。

 ただ、私が見ますと、この二ページに書いてありますように、公務員の数は確かに、平成十三年一月、八十四万人が十五年の三月、六十万人、それから、これは新たな定数の数に入っている公務員でありますが、平成十七年三月、三十三万人ということで減ってきました。ただ、いわゆる独法についての公務員、そしてまた郵政公社の公務員、こういったものはその定数の枠外になっているわけでありますし、また、この後触れる運営費交付金ということで、非公務員型の独立行政法人もその給与は税金からあるいは特別会計から流れているということで、公務員の数は減ってきたものの、やはりその給与というものは、今度の年金機構の特殊法人と同じように、税金から出てくる。こういったことが見せかけの官から民ではないのか、こういうことを指摘してまいったわけでございます。

 三ページ目をごらんいただくように、国から独立行政法人へ交付される補助金はまた平成十九年度ではね上がって、三兆五千億ということでございます。

 独立行政法人化、官から民へだ、それから、公務員型は今や百一のうち八つだ、九十三は非公務員型だ、このように政府、内閣は胸を張るのかもしれませんけれども、やはり、この独立行政法人制度というものが当初予定していたものとかけ離れた存在、制度になっているのではないのかというふうに思うわけですが、まず、この独法化を進めてこられた、官房長官としてその先頭に立っておられました総理に、独立行政法人制度についての今の考え方、見方、これをお聞かせいただきたいと思います。

○福田内閣総理大臣 独立行政法人の見直しにつきましては、これは、その原点に立ち返った徹底的な見直しを行うということで進めてまいりました。本年内を目途にして、独立行政法人整理合理化計画を策定するということになっております。

 その策定に当たりましては、国民の立場に立った成果を上げるよう、事務事業の必要性、組織のあり方、さらには運営の効率化、自律化ということを検討してまいりたいと思っております。

武正委員 独法化を進めてきた官房長官として、百の独法化を進めてこられたわけですが、今、それこそ平成十三年四月一日の第一次の独法、かなり研究所が中心でしたけれども、それ以来六年を経過して、今、この独立行政法人制度というものが当初予期した効果を上げているというふうにお考えなのか、あるいは、逆に効果を上げていない、あるいは、ちょっと当初の予定と違っていたなというところがあるとすればどういうところなのか、お聞かせをいただければと思います。

○福田内閣総理大臣 それは、その趣旨に沿って相当程度の成果を上げつつあるというように思います。

 ですから、そういう方向性ということについては、これは今の方向性を維持していくということでいいのだというふうに思いますけれども、一方、例えば、先ほど御指摘がありました、何ですか、事業費的な、独法に対する政府からの資金……(武正委員「交付金です」と呼ぶ)交付金ですね、そういうものについて、これが、ただ削るということだけでいいかどうかという問題もあるので、それはやはり、独立行政法人のその趣旨、性格、目的等を考えて適切な対応をしていくということが必要なのではないかと思っております。

武正委員 運営費交付金については問題意識を持っておられるということが確認できました。

 独立行政法人、イギリスのエージェンシーを参考にした制度ということでありまして、本来政府でやらなければならないけれども、民間のさまざまな知恵やアイデアをうまく駆使しながら政府の若干枠外でできるのではないのかということでスタートをしているという制度でありますし、また、それゆえに、トップに民間人、これを活用するということでイギリスなどでもスタートをしてきて成果を上げているわけですが、残念ながら日本の独立行政法人のトップは、平成十八年四月一日現在、私のカウントでありますが、七七%がいわゆる中央省庁の天下りでございます。役員の八割、これは、中央省庁が五割、そして独法、公益法人三割、合計八割がやはりいわゆる天下りでございまして、これはどうも、官から民へとか、民間の知恵をとか、あるいは、民間のそうした知見を持った方のリーダーシップをということとおよそちょっと違うような歩みをしているのではないのかというふうに思うわけでございます。

 そこで次に、資産の運用、評価についてということで話を進めてみたいと思うんですが、厚労大臣、厚生労働省はたくさんの独立行政法人がございますが、その中で、ここに書いたような高齢・障害者雇用支援機構、雇用・能力開発機構について伺いたいと思います。

 高齢・障害者雇用支援機構では、障害者の方の雇用の率を上げるために、今、目標が一・八ですかね、それが今のところ一・五二ですか、ということで乖離があるので、何とかそれを上げるためにそうした事業を行っているというふうに聞いております。そして、目標を達成できない場合は納付金を企業には払ってもらうという制度を運営している独立行政法人ということであります。

 昨年の行革特でも指摘をしたんですが、それぞれの各県の雇用開発協会などとの随意契約、そしてまた、その雇用開発協会がそれぞれの企業から納付金を集める、そしてその納付金が独法の方に上がってくる。その納付金を、独立行政法人、これはやはり余裕金があったらちゃんと運用しなさい、あるいは、本来は国に返しなさい、こういったところの中で金銭信託二百億円をしているということなものですから、障害者の雇用の率を上げようという独立行政法人が、企業からある面ペナルティーで集めた未達成ゆえの納付金を金銭信託で運用しているというのは、本当にそれは高齢・障害者雇用支援機構のその趣旨に合うんだろうか、当時、こういうやりとりを川崎大臣ともさせていただきました。

 しかし、残念ながら、今もこの二百億円の金銭信託は、二十億の国債を、十年物ですか、十分割で三井アセットマネジメントで運用をお願いしている、年間八百万円ぐらいの運用のその手数料も報酬として払っているというふうに伺いまして、そうしたことが果たして先ほど言いました独立行政法人の趣旨からいっても合うのかなということを思うんですが、まずこの一点。

 それから、今お手元の四ページをごらんをいただきたいんですが、これは、雇用・能力開発機構の前身である雇用促進事業団時代に勤労者福祉施設の売却を進めました。この中には、中野サンプラザですか、あれが一番高く売れたそうですけれども、そうしたものも含めて、ここには譲渡価格が書いてあるんでしょうか、あるいは、どちらかの体育館が千五十円で売られたとか、そういったことも含めてなんです。これは独法になる前なんですけれども、今も、独法になってからも施設の売却を進めておりまして、一例ですけれども、除売却損がここは三千二百八十一億円出ているわけですね、雇用促進事業団時代でありますが、前身ですけれども。こうした資産の売却に伴って売却損が出てくる。これはやはり、国の資産、あるいは国の資産が独法化されて独法の資産にはなっておりますが、そうしたものに損害を与えているのではないのかというふうに思うんです。

 まず一つは、高齢・障害者雇用支援機構が金銭信託を続けているのは、果たしてこの機構の設立趣旨からいってどうなのか。それから、こういうような除売却損がまず前身の事業団で出たこと、あるいは今も、これからもそうですが、独法がたくさん資産売却をされようとしておりますが、そのときに売却損というものが発生するというのはいかがなものかと思うのですが、以上二点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

○舛添国務大臣 二つございました。

 最初の高齢・障害者雇用支援機構なんですけれども、これはもう先生御指摘のように、ペナルティー的に、きちんと障害者を雇わない企業からペナルティーをとって、そしてきちんとやっていられるところにむしろお渡ししたり、いろいろ高齢・障害者の雇用を促進するために使うというのが本来の目的であって、今、幸い、だんだんそのペナルティーを科さないでいい企業がふえている。つまり、みんな大きな企業は、なるべく障害者、高齢者を雇用しようということでやっております。

 そうするとこれ、趣旨から見ると変なことなんですけれども、だんだんペナルティーをとってこれなくなってきているということで、そういう意味で、目的からいうと、目的が達成していくとだんだん減ってくる、上納金というかお金が減ってくるわけです。そういうこともありまして、今、平成十八年度末現在で引当金の額が四百三十五億円となっていまして、先生御指摘のように、二百億円を金銭信託、残りを預金により運用している。ですから、こういうことがいいのかどうなのか。

 ただ、今趣旨から申し上げますと、これをプールして、だんだん、恐らくこの機構の目的が達成されればファンドが少なくなるだろう、そういう意味でとってあるというふうに御理解をいただければと思いますけれども、こういうものに使うか、それとも、さらにこれを活用して今言った雇用を促進するためにやるか、このバランスはやはりもう少し検討すべきだというふうに思います。

 それから、もう一つの施設の話ですけれども、これはもう国会挙げて、例えばスパウザ小田原なんていうのをみんなで視察に行って、いかに無駄であるかということを明らかにしてきたわけですけれども、基本的に、こういう施設の土地については、地方自治体が持っていらっしゃるところに上物を建てた。これは本当に売却損というのは、これだけ国民のお金を無駄にしていいのかなと、私ももうずっと前からそういうことは指摘申し上げておりました。

 ただ、いざ売ろうというときになりますと、その建物を維持しないといけないですから、買う方から見ると、光熱費はかかるわ人件費はかかるわ、そうすると、やはり安くたたいちゃうんですね。だから、買う方から見て非常に安い値段でしか売れないというのが今の状況であって、ただ、ありていに言えば、そういう施設をずっと持っていてそのランニングコストまでまた持つことになれば、さらに御負担をおかけするというようなこともございます。

 ただ、これは非常に私も心を痛めている問題でありまして、何とかいい改善の方向がないかということで問題意識は先生と共有しておりますので、努力して、いい方向を探りたいと思っています。

武正委員 高齢・障害者支援機構については、特に障害者の方の就職の率、就業の率を上げていくということがうまくいっているんだ、これは非常にいいことだというふうに思いますし、そうだとすると、ある面、もしかしたら高齢・障害者支援機構がそのことを担当する役割をそろそろ終えてきたのかな、あるいは、もしかしたら、これはもうそれこそ厚生労働省が直接やればいい障害者支援という事業なのかもしれないということだというふうに思います。

 そこで、もう既に独立行政法人を国に戻した総務省に伺いたいと思うんです。次、五ページ。総務大臣、この消防研究所の財務諸表、昨年三月三十一日現在のものをお配りさせていただきました。この日をもって独立行政法人消防研究所は、国に、総務省に戻ったということだと思います。

 ここで一例を挙げますと、建物が五十五億、土地が八十二億という帳簿での処理になっておりますが、実際、これが総務省の方に戻ったときには幾らになったのか、それから、土地建物でありますが、そのときにはきちっと不動産鑑定のやり直しをしたのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

○増田国務大臣 まず、これが、独法の消防研究所から国の方に戻りましたのが十八年の四月一日でございます。そのときの土地の金額でございますけれども、六十二億四百万ということで、独法時代の貸借対照表上は今お話がございました八十二億九千万でございましたが、それが六十二億、こういうことでございます。

 それから、鑑定評価をとったのかどうかというお尋ねでございますが、事実だけ申し上げますと、これについては、鑑定評価をとるということではなくて、国有財産法の方に規定がございまして、その施行令に基づきまして、いわゆる相続税評価方式、路線価でございますけれども、この評価方式に基づきまして資産を評価して、そして国有財産台帳の方に登録した、こういうことでございます。

武正委員 ここの建物の五十五億が実際は三十四億、それから、土地については八十二億が実際は六十二億ということで、その百三十七億引く九十六億で四十一億の減資ということで国に戻ったということでございます。戻るときは、もう今度は国有財産台帳については時価で書きなさい、これは財務省が指示をしておりますので、時価で台帳の方に載ったということでありますが、独法から今度また国に戻ったときに減資になっております。

 これは、過日、会計検査院が二十五の独法を調べました。今年度見直しを迎える独立行政法人、二十五は国の出資が二分の一以上のものでありまして、この中で、政府出資金が償却されたものが五兆四千七百五十億、独法化に伴うものが五兆四千六百七十九億円、独立行政法人化に伴って、あるいはその後、減資が続いているということでありまして、これは、国の資産が減資をしているというのはゆゆしいことでありまして、やはりなぜなのかといったところはきちっと解明をする必要があるというふうに思っております。

 この独法についても、もう国有財産ではありませんので財務省の手を離れております。独法の所有ということで、所管省庁の長に、その売却のときのさまざまな権限、こういったものがゆだねられているんですけれども、財務大臣、どうでしょうか、資産の運用、評価ということで、国有財産の管理について財務省が、普通財産、行政財産ですか、売却のときは普通財産ということで一回財務省の方に戻してもらって売却をするような仕組みなんですけれども、こうした独法なんかはその枠外になっているものですから、ここでの資産の売却、これについてやはりある面きちっとコントロールをかけていかないと、独法は非常に自由なんですね。さっき言ったように、資産の運用とかいろいろなお金の運用なんかもかなり自由にできるということなんですけれども、果たしてそれが本当に、当初の官から民へということでの、民間のさまざまな知恵や力を使って運営をすると言いながら、実はトップとか役員は天下りであって、そして、そうした資産やお金が食いつぶされているんではないのかというような疑いが出るわけなんです。

 この点について、財務省、国として、こうした資産、売却を進めているのはわかるんですが、安く売却されても、これは国民の共有の財産ですので不利益を国民に与えることになりますので、何かしらやはり見直しが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○額賀国務大臣 国有財産につきましては、国有財産法第三十三条及び第三十四条の規定によりまして、毎会計年度間の増減及び毎会計年度末現在額について、各省各庁の長から国有財産増減及び現在額報告書の提出を受けまして、これに基づいて、財務省において国有財産増減及び現在額総計算書というものを作成しているわけであります。

 この計算書は、閣議決定を経て内閣より会計検査院に送付をし、検査を受けた後、国会に報告しております。その内容はホームページ等にも公表しているわけでございます。これについての公表は国有財産に関するものでありますから、独立行政法人の保有に関する財産には適用されないわけであります。

 そこで、独立行政法人は、独立行政法人通則法の規定に基づいて貸借対照表等の財務諸表を作成して、主務大臣の了承を受けた上で公表をしているというふうに承知をしております。そういう中で国民の皆様方に明らかにしていくことが大事であるというふうに思います。

武正委員 先ほど総務大臣から、鑑定はしていないという話だったんですね。私は、独法が統合したときとか、このように独法がまた国に戻るときとか、節目節目ですから、やはり不動産鑑定をきちっとやるべきだというふうに思うんですが、その点はどうでしょうか、財務大臣。

○額賀国務大臣 この点については、これまでのケースとか、それから、国民の理解をどういうふうに受けていくかということについて客観的なそういう基準があるのかどうか、そういうことも含めてちょっと研究をしてみたいと思います。

武正委員 総理、どうでしょうか。国の財産を今政府は、前内閣ですか、まず十二兆円売るんだ、こういう号令で官舎とか国有地とかその売却計画を一生懸命立てておられますが、この売却が、例えば随意契約だとかあるいは価格として安かったりとかということ、すなわちイコール、国民の財産、これに損害を与えることになりますので、私は、やはりこの国有財産の売却も含めて、あるいは、今のように独法のようになってきますと、今度は財務省の手を離れてしまって、それぞれの各省各庁の長、あるいは、中期計画があれば、それも各省各庁の長の手も離れるというようなことで、国有財産がどんどん手を離れていって、そこでどんどんまたもしかしたら安く売却をされるということもありますので、政府が進めておられる今のこの国有財産の売却ということで、独法も含めて、やはりきちっとした基準あるいは不動産の再鑑定の徹底とか、これが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

○福田内閣総理大臣 独立行政法人の資産の運用また適正な評価、これはもう大事なことでございます。そしてまた、国有財産の売却等において適正に行われる、当然のことだと思っております。

○額賀国務大臣 国有財産の処分については、財政法九条によって、「適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」とされておりますから、国有財産を一般競争入札により売却する場合においては、国が定めた予定価格を上回る最高の価格をもって申し込みをした者を契約の相手方としている。また、公園とか学校施設、敷地などの公用、公共用等の用途に供するものとしては、地方公共団体等に対して随意契約するものについても、不動産鑑定士の鑑定評価等をもとに算定した評価によることを原則にしているということでございます。

 そこで、国有財産の売却ルールは国有財産に関するものであり、独立行政法人の保有する財産には適用されないわけであります。それで、独立行政法人通則法においては、独立行政法人は、保有財産の処分等会計に関する事項について、主務大臣のもと、みずからの規程を定めることとされておりますので、主務大臣が適切に処理をされるということを期待しております。

武正委員 期待じゃだめなんですよ。さっき言ったように、主務大臣であっても、消防研究所が主務大臣もかわられてきょうお聞きしているわけですが、今伺ったように、戻っているときには鑑定もせずに消防研究所は戻ってきておりますし、中期計画をつくっている分にはその主務大臣のチェックも働かない、事後報告というようなことで済まされてしまう。また、先ほどは、国有財産の売却については一般競争入札と言われましたが、大手町のあの合同庁舎の跡地ですか、あれはURに、これは随意契約ですよね、随意契約で販売されましたよね。

 ですから、そういったことで、国有財産の管理とか運営とか売却とか、これを本当にきちっとやってもらわないと、まだまだ現内閣も財政再建についての方向性は出せないようでありますが、この一千兆円を超える国の借金、これをどうやって返すかといったときに、いざ財政再建をやろうといったときに、国の資産がみんな手の届かないところに行かないようにしなきゃいけないという意味で私は先ほど来申しているわけでございます。

 時間も限られておりますので、行革大臣、よろしいですか。独法の見直し、合理化計画、年内にということでございますが、どうも各省各庁からのゼロ回答、ゼロ回答という報道が並んでいるようであります。今たしか大臣も、各省各庁、ヒアリングもしているようでありますが、今の進捗状況、独法の見直し、これが年内にきちっと発表できるのかどうか、福田内閣としてのそうした担当大臣、まずお答えをいただけますでしょうか。

○渡辺国務大臣 現在、鋭意進めておるところであります。

 御指摘のように、各省から出てまいりました案は、残念ながら、私どもにとっては極めて不十分と言わざるを得ません。そこで、二回ほどやりとりをいたしました。今現在は、個別の項目について、さらに紙ベースでのやりとり、それから、行政減量・効率化会議で個別のヒアリングを先月から開始いたしております。それに加えて、国民の皆さんから御提言をいただこうという試みもこのたび始めることにいたしました。

 ぜひ、民主党におかれましても、前向きの御提案をいただけると大変にありがたいと感じております。

武正委員 民主党は、今国会に法案も提出しようということで今準備をしているところでございます。

 政府の独立行政法人の見直し、今、新聞などでは、造幣局とか印刷局とか名前が個別に出てきたりはしておりますが、でも、報道ですけれども、何かそれを見ていると、国からのお金が、さっき言った運営費交付金がないから、あるいは一割、二割だからこれは民営化していいんじゃないかとか廃止していいんじゃないかとか、非常に何か安易な感じがするんですね。

 もともと、独立行政法人というのは何なのか。国でできないけれども、民間の知見を使ってやらなきゃいけないという制度だったのに、いつの間にか、公務員の数だけ、それも額面上だけ減らすために使われたり、今のように、何とか民営化、廃止しなきゃいけないという中で、では、国からの関与が少ないところは民営化できるんじゃないかみたいな、非常に何か本来の趣旨から外れた、隘路に入っているように見えてならないわけです。

 ですから私は、やはりこの独立行政法人制度、第一次、第二次と、ちょうど中期計画も終わっていますので、いま一度検証をする必要があるのではないかなというふうに思いますが、年内に独立行政法人の合理化計画をまとめるという中で、福田内閣としてはどのようにこの独立行政法人制度を改めて見直していくのか、総理の御所見を伺います。

○福田内閣総理大臣 独立行政法人のしている業務が真に国民のため、国のために必要なものかどうか、それをよく吟味した上で、この独立行政法人化を進めることによって行政改革全般を進めてまいりたいと思います。

武正委員 私は、独立行政法人制度が本来の趣旨を果たし切れていない、やはりこの制度そのものの見直しを今行うべき時期であって、それが、国有財産の売却だ、あるいは民営化だ、政府、財務省、あるいは国会の手の届かないところに国有財産などがどんどん追いやられていって、そこで勝手に売却されたらたまったものじゃないという今タイミングだからこそお願いをしているのでございます。

 そこで次に移らせていただきますが、人事院総裁、おいでいただいておりますが、ありがとうございます。

 お手元に、懲戒の「事由別・種類別処分数」、七ページにお示しをさせていただきました。三千六百九十件、平成十八年度でありましょうか。ただ、先ほど来話を進めておりますのは、随意契約とか国有財産の売却とか、こうしたもので国あるいは公的セクターに損害を与えているおそれがある、こういった人たちが懲戒の事由として処分されているのかどうかということを伺いたいわけであります。

 随意契約とか談合とか、あるいはそうした財産の売却とか、こうしたもので本来はもっと得られる収入が得られない、あるいは競争が働かないことによって高い価格で契約をする。もちろん、談合というのは談合罪というのがありますが、その談合罪の対象にならないところもさまざまある。こういったところが懲戒事由として今処分をされているのかどうか、あるいは懲戒事由のこの中でいうとどこに当たるのか、御説明をいただけますでしょうか。

○谷政府特別補佐人 ただいまお示しいただきました資料、これは、十八年度に執行されました処分を適宜分類いたしましたものでございますので、この中に談合の事案が入っておるかどうかは今ちょっとここで御答弁申し上げることはできませんが、基本的に申しますと、国家公務員法の八十二条一項におきましては、職員に対して懲戒処分を行うことができる事由といたしまして、国家公務員法、国家公務員倫理法あるいはこれらに基づく命令に違反した場合、それから、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」の三つを掲げております。

 御指摘の談合行為などは、入札制度の意義あるいは競争の意義を失わせるものでございますので、本来の任務を怠り、あるいはこれを妨害する行為とも言えるわけでございまして、そういう意味で、国家公務員法の八十二条、ただいま申し上げましたこの二号の「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」に該当するものと考えております。

 例としてはこれまでそれほど多くはないわけでございますが、ただいま私が把握いたしておりますものといたしましては、本年六月、官製談合に関与した職員に対し懲戒処分が、いわゆる水門設備工事にかかわる談合でございますが、そういう事例があることを承知いたしております。

武正委員 今、厚労大臣が盛んにテレビで地方公務員の告発を社保庁としてやるというふうに言っておられますが、懲戒あるいは告発というようなこと、消えた年金記録、着服について今取り上げられているわけですが、国に損害を与えたことについてやはり厳しく問うていくということが必要だと思います。

 お手元八ページにありますように、民主党はこれまで民主党提出の官製談合防止法の中で、予算執行職員等の責任に関する法律の一部改正、地方自治法の一部改正で、それぞれ国家公務員、地方公務員が、今は故意及び重大な過失でなければ損害賠償請求の対象にならないんですけれども、これはもう民間でいえば、やはり故意及び過失でちゃんと損害賠償請求の対象になると。民間の方によく言われますよ、なぜ懲戒が少ないんですか、あるいは、談合とか随意契約とか、それから資産の売却がちゃんと適正な額で売却していないのになぜだれも責任とらないんですかと。スパウザも含めて、ああいう事業団のあれでだれか責任をとったんでしょうか。とっていないですよね。

 こういうところをやはり変えていかなきゃいけないというので民主党はこういう法案を提出しているんですが、総理、こういう法案を提出されたら、今度はどうでしょうか、よしやろう、一緒にやろうということで言っていただけますでしょうか。公務員の責任をきちっと適正にやるという法律であります。

○町村国務大臣 公務員の損害賠償責任の厳格化というお話でございます。

 これは、国家賠償法というのがもう既に存在をしておりまして、これで、国または公共団体が公務員に対して求償権を有するのは、公務員に故意または重過失、重大な過失がある場合と。この重大を取り除いて過失がある場合というふうにしてはどうかという御提案かとこう思っておりますが、私どもは、この国家賠償法との整合性というものをやはり考えなければならない。もとより談合というのは、官製談合防止法ということで新たな法律を、四、五年前ですか、つくりましてこれでやっているわけでございますから、当然、これについても故意または重過失ということになっているわけでございます。

 過失、平たく言うと、うっかりしたとか、こういうことになるわけでしょう。そうすると、うっかりしたものまで罰則がかかるということになりますと、これは、もちろんうっかりというのはいけないわけでありますけれども、しかし、いろいろな仕事をしている中でついうっかりしてしまう、こういう失敗をしてしまった、直ちにこれに刑罰がかかるというのは、やはり、公務員がミスなく仕事をするというのは重要なことですけれども、とにかくミスのないことばかりに心がけてしまって、本来公務員として果たすべき仕事が十分に行えなくなるのではないだろうか。そんな話を実はあの官製談合防止法のとき私も当事者の一人としてかかわっておりまして、随分そんな議論を当時もしたものでございました。

 そういう意味で、重過失を過失に変えるという提案は、率直に言っていかがなものかと私は思っております。

武正委員 うっかりというミスではないという意味での過失ということでありまして、これは、ほかにも故意及び過失という法案、条文がたくさんあるということを申し述べておきます。

 最後になりますが、今回、参議院選挙で投票入場券の発送がおくれたとか、それから一番最後にありますが、投票所の閉鎖時間の繰り上げとか問題点が多く起こったんですが、特に最後一問、伺わせていただきたいんです。

 公示の日に総務省は放送局の役員を総務省に呼びつけて、いわゆる当落の誤報がないように、これまで文書で送っていたものを公示の日に呼びつけた、こういったことをやったわけですが、その事実関係、前回の衆議院選挙、参議院選挙と比べて、今まではほとんどやっていなかったわけですが、その呼びつけた理由、何件呼びつけたのか、あるいは手渡ししたのか、それから、その結果、では、参議院選挙で当落の誤報は何件だったのか、これを総務大臣にお答えをいただきたいと思います。

○増田国務大臣 お答え申し上げます。

 まず事実関係から申し上げますと、七月十二日の公示の日でございますが、放送事業者に対しまして、誤報のないようにというようなことで申し入れをしているわけでありますが、手交した事業者が百六十五社、それから郵送した事業者が三百六十七社、計、要請を行った相手先五百三十二社でございます。

 このことにつきましては、過去、衆議院の総選挙、参議院の通常選挙、九回にわたりまして放送事業者に対して同じような要請をしているという事実関係がございました。

 今回、従来との違いは、それまでは郵送がほとんどであったわけでございますが、今回は各地域の放送局の方に来てもらって、それで手交した、ここの部分が異なる部分でございます。

 それにつきましては、背景として、今回の前の国政選挙が平成十七年九月のいわゆる郵政選挙でございますけれども、そのときに誤報という件数が二十三件ございました。そして、さらに一年前の参議院選挙、さらにはそのもう一年前の十五年十一月の衆議院の総選挙、この際にはいずれも一件あるいは二件という、その前もそうでございますが、そのレベルで非常に正確性を期した報道であったのですが、十七年九月のいわゆる郵政選挙の際には、十倍以上、一挙に二十三件ということがございましたので、ことしの参議院の通常選挙では、相手方に確実に伝わるようにということで、特に放送局の皆さん方に通信局の方などに来ていただいて手交する、こういう方法を交えた。もちろん、郵送で従来どおり行ったものも多数ございますが、確実に伝わるということでそういう要請を行ったものでございます。

武正委員 結果、誤報は一件ということでありますが、放送の独立性、中立性、これをやはり担保するというのが放送法の趣旨でありますので、その許認可権を持つ総務省が、事もあろうに、参議院選挙の公示の日に全放送局の役員に対して招集をかける、こういったことは放送の独立性を阻害するおそれがあるということで、やはり通常どおり郵送で次回以降やっていただくことをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。
プライバシーポリシーお問い合わせ
当サイトのすべての記事、画像、映像等の無断借用及び転載を禁止いたします。