2007年11月16日
【外務委員会 議事録】 
中国の外貨準備高1兆ドル超えと、東アジアの金融について質疑

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 質問をさせていただきます。

 まず、今、近藤委員とのやりとりで外務大臣が、決議一七七六で、十五カ国中一カ国を除いてOEF・MIOに賛成したじゃないかということについては、やはり事実関係を訂正させていただければと思っております。

 一七七六はISAFの一年延長が主体の決議でありまして、その中の前文のわずか一行のところに、OEFのMIOではなくてマリタイム・コンポーネントですね、MICか何か、そういうような形で書かれているわけでありまして、ドイツ大使のお話を伺っても、あの決議はやはりドイツ国内の、あるいは国会対応上急いで決議をまとめられたというふうに伺っております。

 私は、国際社会におけるドイツと日本の比較を通じても、ちょうど水曜日、民主党は、外務防衛部門会議を開きまして、民主党のテロ特措法への対案というか、民主党のアフガニスタン支援に対する考え方、これはもう部門会議で了承を得ておりますが、骨子案についても了承を得まして、今、法案の要綱案の作成に入っております。その中では、やはり海上での給油ではなくて、直接、陸上部、アフガニスタン国民に対する支援、これは民生支援であり、あるいは治安回復のためのDDRなどの主導であり、あるいは和平合意のための国際会議の主導であり、こういったことを党として既にまとめ、要綱案の作成に入っていることをあわせてお伝えさせていただきます。

 そこで、質問に入りたいんですが、きょう新聞を見ましたら、「韓国、国連行事でパンフ」ということで、日本海を東海、トンヘという表記をしたものを、十月二十四日の国連の日にアメリカのニューヨーク国連本部で開かれた事務総長主催のコンサートで配付したと。

 これは、本委員会でも、かねてより、東海記載の韓国の主張に対して、日本はもう十九世紀以来、日本海ということを主張してきているんだということで、二〇〇四年三月十六日にも、本委員会の附帯決議で、こうした日本海呼称履行への取り組みの徹底という決議をいたしております。

 この新聞記事にもありますが、今国連には赤阪清隆事務次長を広報局長として外務省も送り込んでおりますので、ぜひ事実確認をお願いしたいというふうに思うんですが、外務大臣、委員会に御報告をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高村国務大臣 現時点で私が知っていることを申し上げますと、国連事務総長夫妻主催のコンサートだったと思いますが、そこで韓国側がそのものを配った、こういうことであります。我が方は国連に抗議を申し込みましたところ、これは国連が配ったものではない、そういうことでありました。韓国代表部に対しては、遺憾の意を表明しているところであります。

 そういう中で、国連は公式呼称として日本海というのを使っている、これは紛れもない事実だと承知をしています。

武正委員 新聞では、国連の事務局は事実関係をしっかり確認したいというふうにも言っておりますので、ぜひ改めて確認をして、委員会に御報告をお願いしたいと思います。

○高村国務大臣 国連事務局に対して我が方が抗議したのに対して、国連が配ったものではありませんというのは、そこは既に回答が返ってきているわけでありますから、それだけは申し上げておきます。

武正委員 かねてよりこの委員会でも、当時町村外相にも、例えば、私はタイ航空に乗った方から機内誌を見せられて、おまえ見てみろ、この地図には日本海のところが空欄になっている、これはどうなっているんだというのが事の発端で、当委員会でそのことを取り上げて、附帯決議にもし、そしてまた、当時町村外相は世界の三十八カ所に申し入れを行った。うち二十五カ所は修正しましょう、ただ十三カ所は返事が保留というのが二〇〇五年当時ありまして、引き続き調査されているということですので、これは委員会に御報告をお願いしたいというふうに思いますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

○平沢委員長 後刻、理事会で協議いたします。

武正委員 それでは、質問に移らせていただきます。

 お手元に資料を配付させていただきました。ACSA、日米の物品役務の相互協定ですね。相互に物品役務を提供し合おうといういわゆるACSAでございますが、二〇〇四年の改正で、お互い日米の交換公文で、この協定付表2に日本の法律をつけ加えていくことは交換公文でされる、また日本の国内でも、協定付表2に政令で法案をつけ加えられるようになりました。今はテロ特、イラク特、そして自衛隊法の三法案がこの付表2に載っております。

 改めて伺いたいんですが、新給油法案、衆議院で可決して参議院に送付をされましたが、これまで、テロ特では、ACSAによって日本から米国に物品役務が提供されたことがあるのか、特に問題となっております油についてはどうなのか、もしACSAではなくてテロ特として提供されているというのであれば、なぜこのACSAを使って提供しないのか。

 以上、お答えをいただけますでしょうか。

○高村国務大臣 委員おっしゃるように、法的にはACSAの枠組みのもとで物品役務を提供することは可能でありましたけれども、米側からACSAに基づく物品役務の提供に係る要請がなかったことから、ACSAの適用は行われなかった、こういうことであります。そして、テロとの闘いや、積極的かつ主体的な貢献を示すために、テロ特措法によって、燃料等の無償譲与を行っていくという我が国の政策判断に沿ったものであります。

 こうした考えは、我が国自体が海上阻止活動を行わないということを踏まえた判断であります。我々にとって大変役に立つ海上阻止活動をやってくれている国があるので、そこに補給するという役割分担があった、こういうことでございます。

武正委員 米側から日本に対して、ACSAを利用して、テロ特措法での提供はないということでよろしいですか。

○高村国務大臣 ACSAに基づく物品役務の提供の要請はなかった、こういうことであります。

武正委員 いや、米軍から自衛隊に物品役務の提供が百九十七件、二〇〇三年十二月から二〇〇四年十二月末まで、これはイラクやその周辺国でも行われていますので、テロ特措法で一切本当にないのかどうか、これはいま一度お調べをいただきたいと思いますが、今は、要請がなかったというのは、私が聞いているのは、米側から日本に提供がなかったのかどうかを確認しているわけであります。

 今の要請についてお聞きをいたしますが、要請がなかったから日本はACSAで提供しないというのはおかしなものでありまして、ACSAの改正も二〇〇四年にしているのに、そして、付表にこうやってテロ特も、イラク特もそうなんですね、イラク特もACSAを使って提供していないんですね。なぜ、こうやって付表にわざわざ書いているのに、要請がなかったというのは関係ないと思うんですよ、このテロ特、ACSAを使って提供しないのか、この理由、いま一度お答えをいただきたいと思います。

 あわせて、もう一度、ぜひテロ特で、米側から日本に、ACSAを利用してこの六年間提供が一件もなかったのかどうか、ちょっとこれは確認をお願いしたいと思います。

○高村国務大臣 イラク特措法のもとでは、ACSAの枠組みのもとでこれまで十三件、航空自衛隊から米空軍に対する部品の提供等を行ったことがあるわけであります。

 テロ特措法のもとでも、法的にはACSAで可能ですが、先ほどから申し上げている、繰り返しになりますのでもう言いませんけれども、ACSAに基づく要求がなかった、要請がなかったので、ACSAの枠組みでの提供はしていない、こういうことでございます。

武正委員 だって、日本から同じように航空自衛隊やあるいは海上自衛隊が物品役務を提供していますね。なぜこのACSAの枠組みを使わないんでしょうか。要請がないと使えないんでしょうか。

 あわせて私は、では、米側から六年間の間に物品役務の提供がゼロなのかどうかも御確認をいただきたいと思います。

○高村国務大臣 いずれにしても、日本側から米側にACSAの枠組みで提供したことはない、このテロ特措法の問題についてですよ、そういうことだけは事実として申し上げておきます。

武正委員 それでは伺いますが、イラクは十三件とおっしゃいましたが、この物品役務の協定は、提供した分と同額のものを返してもらう、こういうような協定の枠組みなんですが、そうすると、イラク特措法、ACSAでは米側から日本に同額のものが戻ってきているということでよろしいですか。

○高村国務大臣 現時点ではまだ返ってきておりませんが、これはACSAの枠組みでありますから、どこかで清算される、こういうことでございます。

武正委員 そうすると、日本が提供した油は、このACSAの枠組みではないので、よく言われる無料給油所ですか、こういうような批判もあるわけですが、私は、ACSAでこうやって書いておきながら、イラクについても十三件で、まだ戻ってこないけれども、いずれ戻ってくるということなのであれば、なぜこのテロ特も同じようにACSAを使って提供して、それでいずれ戻ってくるという枠組みにしなかったのか、それについてお答えをいただきたい。しかも、二〇〇四年に改正をしているわけですから。

○高村国務大臣 先ほどから申し上げているように、政策的判断として無償で提供しよう、こういうことでございます。

 これは別にODAでも何でもなくて、役割分担で、彼らには、彼らというのはアメリカを初め幾つかの国には、まさに海上阻止活動自体をやってもらっているんですね。これは、彼らだけの利益のためにやっているんじゃなくて、日本の利益のためにもやっていただいている。そこの役割分担で、我々はそこについて、海上阻止活動自体はやらないけれども油を提供しよう、こういうことでありますから、政策的判断で無償で提供しよう、こういう決定をした、こういうことであります。

武正委員 ただ、当初は、これはACSAでやろうということで付表2に書き込んだんじゃないんでしょうか。その当時には、やはりACSAでの提供を考えていたのではないでしょうか。それが途中で、今の政策ということであれば、政策変更をされたということでよろしいでしょうか。

○高村国務大臣 ACSAでもやれる枠組みをつくったわけであります。ACSAでもやれるということと、この法律で、まさに政策判断として、現実には無償提供をした、こういうことです。

武正委員 このACSAについて改めて最後もう一度聞きますが、私は、ここにいわゆる恒久法が入りますと、地球の裏側でも米軍の支援ができる、こういう危惧を持っているスキームなんですけれども、この点について外務大臣の御認識を伺います。

○高村国務大臣 それは恒久法の内容次第じゃないでしょうか。恒久法が決まって、そしてその中でACSAになるわけですから、恒久法がどういう内容のものになるかということが問題なんであって、ACSAが先にあるわけじゃなくて、恒久法が定まって、どういう内容の恒久法が定まるかによって、日米関係でACSAでどうするか、こういう話になるので、先にACSAありきじゃないんだろうと思うんです。

武正委員 時間が来たからやめますが、先にもうACSAがあって、これから恒久法でありますし、また恒久法は、もう四年間、内閣官房が議論をされているようでありますから、ほぼ固まっているというふうに見てもいいと思うんですね。内容はこれからですということは、もはややはり四年の日時からいって通用しないというふうに思っておりまして、恒久法がこの付表2に政令で書き込まれますと、世界じゅうどこでも米軍の後方支援ができるということになりかねませんので、私は、安全保障基本法の議論をすることはやぶさかではありませんが、今このまま恒久法、そしてACSAという形、付表2ということは、大変懸念があるということをお伝えして、午前中の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

○平沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

○平沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 午前に続いて質問をさせていただきます。財務副大臣もお見えいただきまして、ありがとうございます。

 お手元の資料の二ページ目をごらんいただきたいと思います。これは中国の外貨準備高の推移でございます。二〇〇六年から二〇〇七年九月にかけて、一兆ドルが一兆四千三百三十六億一千百万ドルということで、一年弱の間に三千六百億ドルふえているということで、やはり中国の外貨準備高が急激にふえていること。これは日本もふえているんですけれども、日本も一兆ドル近くになってまいりましたが。

 また、中国が、この秋ですか、中国投資という資金運用をする会社も設立をいたしまして、これがたしか二千億ドルですか、とにかく大きな規模。こうした中国マネーの世界的な金融市場に与える影響がやはり懸念をされるわけでございます。

 三ページ目をごらんいただきますと、これは、東アジアの金融危機において結ばれましたチェンマイ・イニシアチブの枠組みで、お互いに外貨準備高が減ったときに融通し合おうじゃないかという二国間通貨スワップがここまで発展をしてきた、合計八百三十億ドルになっているという中でございます。

 今、中国も、この二国間スワップ、通貨スワップをさらにふやそうという動きがあるようで、私は、これは歓迎すべき動きだろう、やはり中国にも、特に東アジア、アジアにおける金融安定にそれなりの責任を果たしていただくというのはあるべき姿ではないかと思っております。

 さらにページをめくっていただきますと、四ページ目でございますが、これはASEANプラス3の現地通貨建て債券市場の規模の拡大でございます。日本が国債などを中心に、これは八兆ドルという額を超えております。一方、中国、韓国も、元、ウォンということでの現地通貨建て債券市場が一兆ドルを超えてまいりました。これもやはり歓迎すべき傾向でありまして、特に二〇〇七年は、また中国での元建ての債券がさらに伸びているということも財務省から既に資料をいただきました。

 そこで、財務副大臣にお聞きをしたいんですが、私はやはり、こうした二国間スワップやあるいは元建ての債券の発行というような形で、伸長する中国の外貨準備高を初めとするマネーが透明性を持って運用されていくということは必要ではないかと思っておりますが、これについての御認識をお伺いいたします。

○森山副大臣 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、中国の外貨準備高が急激な伸びを示しております。このことが中国国内における過剰な流動性をもたらしまして、景気の過熱を起こしているという懸念が一つあると思います。

 また、中国においては、先ほど先生御指摘のような地域金融協力の成果や国内経済状況を踏まえて、適切なマクロ経済政策というものを基本的に運営していっていただけるのではないかというふうに思っております。

 お尋ねのSWFの件でございますけれども、この透明性あるいはリスク管理、組織構造の重要性につきましては、さきのG7でも議論がなされたところでございまして、その議論を踏まえまして、IMFなどに検討を要請するということになっておりますので、確かに、透明性を高めていかなければ、かなり大きなお金の動きでございますので、そのような仕組みを今後つくる努力をしていくということが大事であろうと思っております。

武正委員 そういう意味で透明性確保が必要だという御認識だと思います。

 これは日本にも言えるのではないかというふうに私は思っておりまして、かねてから財務金融委員会でも、私は財務大臣に、やはり日本の外貨準備高、これも一兆ドル近くになります。この運用については、外国為替特別会計で米国債券を中心に運用をしているということなんですが、その内訳とか額、ポートフォリオは明かせない、こういうような政府、財務省の答弁なんですが、私は、外国為替特別会計そのものも、今やこの積立額が十兆円を超えておりまして、三割ということですから、四十兆円ぐらい積み立てをふやしていくという特別会計のあり方そのものも問題だと思いますし、あわせて、透明性ということでは、やはり米国財務省証券をどのぐらい有しているのかというのは明らかにしていくべきだと。これは指摘にとどめておきます。

 そこで、外務大臣にまず、今財務副大臣から透明性確保が必要だという御認識がありましたが、この中国の外貨準備高の伸び、これをどのように把握されているのか。それから、過去、こうしたチェンマイ・イニシアチブとか現地通貨建て債券市場の規模の拡大については、日本は、アジア開発銀行、これは米国と日本は最大の出資国でありまして、そしてまたADBの総裁として、アジアでのそうした金融市場が安定するような枠組みを主導してまいりました。こうしたこれまでの取り組みについて、この中国の外貨準備高が伸びている中で、一方、日本が取り組んできたことをどのように評価されるのか、御所見を伺いたいと思います。

○高村国務大臣 チェンマイ・イニシアチブでありますけれども、その総額が八百三十億ドルに達して、また、アジア各国の債券市場は、アジア債券市場育成イニシアチブの取り組みもあって成長を遂げる等、アジア地域における金融分野での協力は確実に進展している、こういうふうに認識をしております。

 一方で、中国の外貨準備高は、大幅な貿易黒字等を背景に近年急速に伸びておりまして、本年九月末現在で一兆四千億ドルを超え、世界第一となっているところであります。この外貨準備高の急激な伸びは、中国国内における過剰な流動性をもたらし、景気の過熱を引き起こしているとの懸念も指摘されているところであります。

 中国政府は、急激に増加した外貨準備の運用の多元化を図るために新たな投資運用機関の設立等の措置を講じていますが、中国政府が自国の外貨準備をどのように運用するかは中国政府自身が決定することだと承知をしております。

 いずれにしても、中国経済が安定的に発展していくことは、我が国を含む地域及び国際社会にとって極めて重要であり、我が国としては、その観点から引き続き注視をしていきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 チェンマイ・イニシアチブについては御評価をいただいたと思いますが、現地通貨建て債券市場が規模を拡大していくということを私は評価しておりまして、今回、先ほど言った中国投資は、中国人民銀行が国内で、これまで一年物とか三年物の短期間だったんですが、十年物の債券を発行してそのお金を集めたというようなスキームが初めてできていることもあわせて、私はやはり注目に値するのかなと思っております。

 アジア債券市場構想というものがありますが、外務大臣、このアジア債券市場構想についての御認識はいかがでしょうか、現地通貨建ての債券市場の規模を拡大するというのがまずその第一歩とされている構想でありますが。

○高村国務大臣 この金融的構想については、私よりも、どちらかといえば財務省に聞いていただいた方がいいんだろうと思います。

武正委員 来週には日中韓の外相会議やASEAN外相会談というのも控えておりますので、ぜひ御認識を深めていただけるようにお願いをいたします。

 それでは、財務副大臣、お引き取りをいただいて結構でございます。

 続いて、経済産業副大臣、午前中からおいでいただきましてありがとうございます。

 お手元の資料の五ページ目に、アジアの石油備蓄制度の一覧表をつけさせていただきました。これは、まもなく東アジア・サミットが開かれるわけですが、既にことしの一月、第二回の東アジア・サミットで、東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言が採択をされております。

 この中で、やはり燃料の備蓄ということが採択をされております。「各国別計画、多国間又は地域の自主的な或いは商業的取り決めといった、戦略的燃料備蓄のあり得べき形態について探求する。」こういうセブ宣言がされて、来週にはシンガポールで東アジア・サミットが開かれて、そこでやはり第三回、こうしたセブ宣言を受けてのエネルギー安全保障に関する宣言も採択されるのではないかと言われております。

 この第二回以降の取り組み、それから、来週の東アジア・サミットを控えて、今後の方向性について、日本はそういう意味では石油備蓄について知見を有しておりますし、さまざまな技術、ノウハウの提供ができるのではないかというふうに思っておりますが、御所見を伺いたいと思います。

○中野副大臣 武正委員から御指摘をいただきましたとおりに、本年一月、フィリピンにおいて開催をされました第二回の東アジア・サミットにおいて、エネルギー安全保障に関するセブ宣言が各国首脳により採択をされておるところであります。また、お話しいただきましたように、各国が協力して取り組むべき目標として、各国ごと、あるいは多国間ないし地域間協力による燃料備蓄の検討がうたわれております。

 提出をいただいたこの資料にありますように、アジアには、私ども日本や韓国のように備蓄の整備された、そういう意味ではIEA加盟国もありますけれども、整備途上の中国、あるいはまたフィリピン、ベトナム等国家備蓄制度がそもそもない国など、たくさんあるわけであります。

 経済産業省としては、備蓄の整備がおくれている国に対しまして、専門家の派遣や備蓄基地の視察受け入れなど、技術、ノウハウの面で協力するとともに、これからもIEAとも連携して備蓄整備の重要性を訴えていきたいと思っております。

 なお、ことし、備蓄基地の視察受け入れでありますけれども、インドネシア、マレーシアあるいはまたイラン、イラクを受け入れております。ちなみに、先月には、インドで行われました備蓄技術セミナーに私ども日本の、インドでは地下に備蓄タンクをつくりたい、こういうことでありましたので、その備蓄地下基地建設の技術あるいは操業技術の紹介ということで大変好評をいただいたようでもあります。

 これからも、ASEANプラス6でありますとか、あるいはIEA、とりわけASEANワークショップ、ことしもタイのバンコクで行われましたけれども、主導的な役割をしっかり果たしてまいります。

 お話しいただきましたように、私たち日本は、国家備蓄で九十九日分、民間備蓄で八十五日分、そういう意味では優等生を自称いたしておりますが、しっかり頑張りますので、これからも御支援ください。

武正委員 この備蓄、それからOECD各国がつくりました国際エネルギー機関の中では九十日備蓄を義務づけ、そしてまたヨーロッパなどでは、相互に備蓄の足りない分は融通し合うというような、そんな協定も結んでいるというふうに聞いております。

 そういう意味では、日本は、百八十日を超えているそうした備蓄分を、相互にというか、こちらが提供するということもできるわけなんですけれども、今そういうようなお話、たしかニュージーランドと進んでいるように聞いていますが、その点はいかがでしょうか。

○中野副大臣 ニュージーランドとは、備蓄の協定を結ばせていただいております。

武正委員 多分、これから結ぶんですかね。

○中野副大臣 結びました。

武正委員 多分それには外務省も当然絡んでいると思います。

 私は、この委員会というのは、大変大事な委員会だなというふうに思っております。ある面、さまざまな外交交渉のつかさの役割、そしてまた、条約締結はすべからく国内法を規定する。例の共謀罪のこともその一つでありまして、この外務委員会で事前に条約のところでもっともっと深掘りをしていけばというような思いもありますので、やはり条約審議、そしてまたこの外務委員会の持つ重要性というのがあろうかというふうに思っております。

 そこで、外務大臣、今経済産業副大臣から話がありましたこの備蓄なんですけれども、石油ショックを契機に、先ほど言ったOECDあるいは国際エネルギー機関で備蓄を義務づけ、お互いにそうしたやりとりもやっているわけなんですけれども、特にアジア、東アジア、今経済成長著しいわけでありますし、中国も、当然もう輸入国になっておりまして、輸入量は日本を上回っているという現状であります。

 そうした中で、やはりアジア、東アジアにおけるこうした備蓄制度の進展というものは、何かそうしたオイルショック的なものが起きたときの吸収材になり得べき国際的なインフラとして、日本もそれを主導していくべきだというふうに思っております。

 経済産業大臣も来週ASEANの方に行くようでありますが、外務大臣として、国家備蓄そして日本の協力、これについての御認識をお伺いしたいと思います。

○高村国務大臣 自然災害等による一時的なエネルギー供給の途絶に備えて、その緊急対応策として石油備蓄は極めて重要でありまして、現在我が国は、先ほどからいろいろ言われていますが、私が認識しているのは百八十七日分の石油備蓄を保有しております。

 我が国は、国際エネルギー機関の加盟国として、これまで一九九一年の湾岸危機及び二〇〇五年のハリケーン・カトリーナによる被害の際の二度にわたりIEAの協調備蓄放出を行って、世界の石油市場の安定化に貢献しているところであります。

 東アジア地域、とりわけ中国、インドでは、急激な経済成長に伴いエネルギー需要が大幅に増加しており、この地域の経済規模やその成長度を踏まえれば、将来の供給途絶リスクに備え、石油備蓄を東アジアにおいて整備することは、地域のエネルギー市場の安定化の観点から極めて重要であると考えております。

 我が国は、これまでAPECや東アジア首脳会議等の国際的な枠組みを通じて石油備蓄の重要性について議論を行ってきており、今後も引き続きさまざまな機会をとらえて東アジア諸国に働きかけていきたい、こういうふうに考えております。

武正委員 ぜひ、来週もそういった機会もおありだと思いますので、そうした主導的立場を堅持していただければと思います。

 それでは、経済産業副大臣、ありがとうございました。

 続きまして、同じく油になるんですけれども、日中局長級協議がこの十四日行われました。きょう佐々江局長においでをいただきたかったんですが、総理と一緒に訪米をしているということで、かないませんでした。

 まず、外務大臣にぜひお願いをしたいんですが、民主党では外務防衛部門会議を週に二回開催をしておりまして、八月二日、民主党から各省官房長あてに、参議院第一党になった民主党、より政策論議を高めていきたい、それぞれ省庁を代表する方に部門会議に御出席をという文書を出しまして、自来、審議官級以上の方々が部門会議にも御出席をいただいております。

 ただ、六者協議あるいはこうした日中局長級協議は今、佐々江さんが担当しておりますので、私は外務省にぜひ佐々江さんに出てきてくださいというお願いをしているんですが、いや、それは出せないというようなお答えなんですね。まあしようがないということで、きょう外務委員会の質疑に佐々江さんをお願いしたんですが、訪米だと。来週も伺ってもシンガポールに行くというようなことで、本当に最前線で頑張っておられるのには敬意を表しますが、これは自民党の委員会にも当然佐々江さんは出ておられますので、やはり私は、その担当で、特に現場で責任を持ってやっておられる方の話を、民主党の部門会議に来て話を聞きたいということにこたえられないというのはいかがなものかと思うんです。

 初めてお聞きになったかもしれませんが、日程的に許せば、民主党の部門会議にぜひ出てきて説明をお願いしたいと思いますが、外務大臣としていかがでしょうか。

○高村国務大臣 自民党が野党になったとき、各省課長級以上は出ちゃいけないという命令がどこかから出て、非常に悲しい思いをしたことがありますので、今の野党にそういう悲しい思いをなるべくさせたくないとは思います。

 ただ、今佐々江さん、物すごい忙しいということは御理解ください。これは今のアジアの問題もあらゆるところでありまして、そういう意味では、私もかなり忙しいもので、きょうの自民党の質問については失礼させていただいたわけでありますが、国会においては外務大臣はむしろ野党の皆さんの方に余計しているということも勘案いただきまして、高いレベルの人を出さないという意味ではありませんが、猛烈に忙しい人については御理解をいただきたいと私の方からもお願いいたします。おっしゃることはよくわかりますので、いろいろ検討したいと思います。

武正委員 外務省のお答えは、佐々江さん、局長以上の方が出るので勘弁してくれということなんですが、我々は、やはり直接交渉に当たっている担当者に、前も薮中さんなんかも来ていただいたこともありますが、やはり話を聞きたいということです。もちろん、日程的に難しければあれですが、最初からもう門前払いのような対応、お答えだったものですから、ぜひ、今御検討ということで、その言葉で受けとめさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それで、日中局長級協議、十四日の報道がされておりまして、外務大臣などもその前後から、もうこれは政治決着が必要だとか、外務大臣も今月末訪中ということであったり、あるいは首相訪中まで何の報告もないことはあり得ないということを述べておられたりしておりまして、この日中局長級協議にも大変御関心があると思うんです。

 十一回の会議がどのような協議の内容であったのか、それから、ことしの四月の日中首脳のそうした合意、秋までに報告をということで、あるいは広い海域でというようなことも出てまいりましたが、今回の十一回、それから現状、それから今後どのように見ておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

○高村国務大臣 本年四月の温家宝総理訪日の際の日中首脳会談において、両首脳は、東シナ海を平和、協力、友好の海とするために、双方が受け入れ可能な比較的広い海域において共同開発をするということで一致したわけであります。この首脳間の共通認識を実現するために、私から中国側に対し、政治決断を求めてきているところでございます。また、先日行われた第十一回の局長級会議は、公式及び非公式な場において、共同開発の対象海域やそのあり方をめぐり、重点的な議論を行ったところであります。

 しかし、日中双方の立場には依然として隔たりが残されているのは事実であります。大変複雑で困難な交渉ですが、この問題の解決が双方の利益になることについては日中間で一致しています。引き続き、協議を加速し、対話を通じ、我が国の主権的権利を確保しつつ、迅速な解決を目指していく考えであります。

 一致しているところを言いますと、解決すれば両方の利益だ、解決しなければ両方の不利益だ、広い海域で共同開発しよう、ここまで一致しているんですが、その後の進展がさっぱりないというのが現状であります。基本的立場が違う点がありまして、困難をきわめておりまして、その基本的立場で中国側が政治的決断をしていただければ、こちらも柔軟な対応をしますよ、こういうことを申し上げているわけでありますが、なかなか政治的決断が出てこない。向こうの言い分は、いや、政治的決断は両方がやらなきゃいけないんだ、こういう話でありますが、いずれにしても、困難な問題ですが、お互いに決着すれば双方の利益だということについて一致しておりますので、何とか困難を乗り越えるべく最善を尽くしたいと思っております。

武正委員 この比較的広い海域というものの解釈が多分双方違うんだろう。日本側はこの中間線の東側は比較的広い海域には入らないという認識だというふうに思っておりますが、それはよろしいでしょうか。

○高村国務大臣 ちょっと具体的なことを申し上げるのを差し控えたいと思いますが、ともかく、比較的広い海域というところまでは一致しているんですが、その比較的広い海域がどういうことかということについて、かなり大きな隔たりがあるのが現状だということだけ申し上げておきたいと思います。

武正委員 当外務委員会でも、昨年の一月でしたかね、視察を行いまして、空自でしたか、飛行機でガス田から尖閣へと上空から私も見てまいりました。

 この日中ガス田をめぐる日中間のさまざまなやりとりについては、私は、そもそも中間線ということもかなり日本は妥協をしてこれを引き、あるいは既に開発している平湖を初め、平湖については輸出入銀行が融資をしてきた、こういったこともこれあり、やはりかなり日本は妥協を重ねてきた交渉であります。

 その中で、第四回の交渉で、東シナ海の北と南の共同開発、これはいずれも東側でありますし、特に南側は尖閣のすぐ北側であるということで、こんなのはとても受け入れられる提案ではないということも、この委員会で、麻生外務大臣はその場所については直接触れませんでしたけれども、そうしたことが続いているというふうに理解をしております。やはり日本の領土、領海、これをしっかりと守るということで、外務大臣の訪中、そして合意を得る懸命なる御努力を期待したいというふうに思います。

 そこで、最後なんですけれども、先ほど近藤委員も取り上げました海上保安庁の海上哨戒訓練。これはちょうど十一月、マレーシアと共同で行いますが、一方、ことし十月にはPSI訓練、これは外務省さんが取りまとめで、海保なども参加して行われております。

 シーレーン防衛の有効性について先ほどもやりとりがあったんですが、私は、この委員会でも取り上げましたし、テロ特でも取り上げたように、二〇〇一年から二〇〇六年までの過去六年、日本船舶が航行中に被害を受けた十四件がいずれもマラッカ海峡、インドネシア、東南アジアであったことを例に、やはりあそこの海域というのは航行がそれぞれの領海内になりますし、軍事組織の艦船が行くよりも海上警察の艦船が行った方が地元の方の心理的抵抗が少ないということは、過去、津波のときにも立証されておりますので、やはりこうした海保と、あるいは場合によっては海上自衛隊とか、いろいろな組み合わせで日本政府は考えていくべきであろうというふうに思っております。

 第一回、日本でチームサムライ二〇〇四ですかをやったときは海保も哨戒活動に参加していたんですが、今回は陸上のみということでありますので、ぜひ外務省さんには、こうした海上保安庁も巻き込んで、いわゆるシーレーン防衛についてのリーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、最後、この点、外務大臣の御所見を伺います。

○高村国務大臣 原油需要の約九割を中東に依存し、資源の多くを海上輸送によって輸入している我が国にとっては、マラッカ海峡を初めとする海上交通の安全確保は重要であります。我が国は、平成十八年九月に発効したアジア海賊対策地域協力協定による情報共有体制の整備を進め、アジア各国との協力強化のためのさまざまな取り組みを行っております。

 一昨日、海上保安庁の巡視船「しきしま」がマレーシアに向けて出発し、本邦からマレーシアに至る間の公海上において海賊哨戒を実施する、寄港地においては同国海上法執行機関職員の研修、交流プログラム等を行う予定であると承知しております。

 このように、我が国は、アジア各国の海上保安機関との相互交流及びこれらの国々の海上取り締まり能力の強化や人材育成等の協力を積極的に進めているところであります。効果的なことは何でもやりたいと思っています。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。 
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