2008/02/21
【衆院予算委 議事録】 「交通量が減っても」の首相発言の撤回を求める

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 今、馬淵委員の質疑の中で、最後、総理は、需要推計あるいは交通センサス、こうした科学的な統計に基づいて、高速道路を含めた十年計画、五十九兆円、国民一人当たり五十万円、これに関連する法案が、きょう衆議院本会議で出される。その議論が、この予算委員会でも関連してずっと行われてきております。

 その中で、BバイC、先ほどの総理の御答弁では、そうしますと、一・〇以下でもつくらなければならないということと受けましたが、そういうことでよろしいですか。総理の御答弁でございます。

○福田内閣総理大臣 私は切り分けて発言したつもりでございますけれども、今の計画は、一・〇を上回るということでつくっているわけです。特に、多少のアローアンスを持って一・二、余裕を持って一・二ということでつくっておるわけでありますから、一・二ということは一つの基準になると考えております。

武正委員 先ほど需要推計のところでも、総理は、政策判断だというふうにお認めになっておられます。ということは、国交省が言っている交通センサス、そして交通センサスをもとに需要推計、需要推計をもとにBバイC、こうした科学的な見地、あるいは第三者のさまざまな委員会の公平公正な見地からの道路整備計画ということでありますけれども、さっき総理は、政策判断があるというふうに言われました。

 そのこととあわせて、先ほど、道路をつくらなければならない場所もあるんだ、BバイCが一・〇以下でもつくらなければならないところもあるんだ、そういうことを言われたんじゃないですか。違いますか。

 一・〇以下はつくらない、しかも、一・二以上がこの中期計画の目標であるということでよろしいですか。

○福田内閣総理大臣 今つくっている計画は、ずっと国土交通大臣が説明しているとおり、一・二以上ということでやっておると私も理解いたしております。

 私は、さっきの話は将来の話をしていたんですよ。そうでしょう。将来どうなるかということの観点から、そういう場合には政策判断というものがあるから、だから、将来、結果として一・〇を切るということがあったとして、それはそのとき考えればいいことなんですよ、正直申しまして。だって、それは、結果としてそうなるということはあり得るということだからね。そんな、推計が絶対に間違いないということはないはずですよ、それは人間のやることで。ですから、そういうことについては、もし仮にそういうことがあったとしても、道路は必要でないのかどうかということについての判断はそのときにしていただきたい、こう思います。

 ただ、いろいろなデータを使ってやっていると思いますよ、この一・二をつくるために、一・二以上ということでやっている場合に。しかし、どのデータを使うかとかいったようなことについては、やはり政策判断というのは当然あるんだろうというふうに思いますよ。それは自然だと思いますよ。何でもいいから新しいデータが来たらそれを突っ込んでやればいいんだという、そんなことでは私はないと思います。

武正委員 改めて確認をいたしますが、将来、BバイCが一・〇以下であってもつくる場合があるということですか。

○福田内閣総理大臣 今の判断として一・二以上ということを計画で規定しているわけでございますから、それは、今の判断としては一・二以上ですよ。しかし、三十年たって予想が外れたということもあるわけですよね。そのときにどうするかというのはそのときの判断であって、そこに人がいるというときに、では道路をつくるかつくらないかというのは、これはそのときの政策判断じゃないですか。

武正委員 私が聞いているのは、これで中期計画、十年間で五十九兆円の道路整備の大枠を決めるわけです。その中でこれから具体的に整備路線を決めていくときに、必ず最新のデータでBバイCをはかるんだということも再三国交省は言っておられます。その中で一・二以上のものを優先的にやっていくんだ、一・〇から一・二については見直しますということも、昨年の高規格道路の検討であらわしております。四車線を暫定二車線とかあるいは完成二車線とかいう形で、中期計画をこの国会に、十年間で五十九兆円かけるんだということで、しかもその道路特定財源に関連する特例法案も、きょう、たった今、衆議院本会議で趣旨説明と質疑をやったわけですよ。

 その中で、将来、一・〇以下でも整備をするということで改めて確認をしていいんですか。総理、着工をするということでいいんですか。これから将来BバイCをやっていった場合に、一・〇以下でも着工するということでいいんですか。国交省の説明と違いますよ。

○福田内閣総理大臣 私は、そんなこと言っていませんよ。今、今の計算として一・二以上ということでつくっているわけでしょう。そして、この計画の範囲、十年間ですか、それは一・二を切らない、こういうような推定で採択している、こういうふうに私は思っております。

武正委員 先ほどのお答えと違うじゃないですか。

 先ほどのお答えは、こういうふうに言いましたよ。これから、需要推計が合っているかどうかわからない、需要推計も変わってくるかもしれない。そしてまた、BバイCの値も、今は一・二以上が着工という基準だけれども、一・〇を切るかもしれない。でも、道路はつくらなければならない、地方ではそうした声もある、だから一・〇ということに限らずに着工する場合もある。このような趣旨でさっき総理は答えられたんですよ。いかがですか。

○福田内閣総理大臣 今、十年計画をやっているわけですね。その十年計画の中で一・〇を切るという予想はしていないんですよ、国土交通省で。一・二ですか、切るとは思っていないんです。ですから、計画として計上しているということなんですよね。おわかりでしょう、それは。そうですよね。

 私がさっき言ったのは、それはそのときそのときで、一・二もしくは一・〇を切るとかいったようなことになったときに、今は一・二にしておきますけれども、一・二を切るというようなことになったときには、それはそのときの政策判断でどうするかということを考えることはあり得るということを申し上げたんですよ。

 それはそうでしょう。人が住んでいて、そこのところは要りませんというわけにいくのかいかないのかというのは、やはり、武正委員だって、そういうふうな必要性を感ずることはあると思いますよ。だから、それはそのときに考える。

 ただ、この中期計画の十年間においては一・二以上、こういうことを考えているわけですよ。ただ、今までは一・〇でやっていたんですね。なぜ一・二かというと、今いろいろ委員御指摘のとおり、需要は少し弱含みとかいったようなことがあるから、そういうふうなことも勘案して、余裕を持って一・二にしておる、こういうふうに私も理解いたしておるところでございます。国土交通大臣はそういうふうに答弁していると思います。

武正委員 平成十一年のセンサスで今回の中期計画をつくっておられます。もう平成十七年のセンサスの数値が出始めている、ことしの秋には出る。だから、我々は、最新の数値で中期計画をつくり直すべきだというふうに言っているわけなんです。

 先ほどから我々の委員が言っているのは、もう車が減ってくる、そういう傾向がわかっているんだから、車が減ってくる、その中で一・〇を切る計画が今回の中期計画のうちでも六割近くを占める。だから、この一・〇を切った場合どうするんですかと言ったら、総理は、将来そうした一・〇を切った場合でもつくらないわけにはいかないでしょう、政策判断なんですよ、こういうふうに言われる。

 とすると、私どもが今、この中期計画で平成十一年の数値をもとに、将来、一・二以上、一・〇以上つくるんですよ、五十九兆円ですよといってこの審議をしている、その土台が崩れてきてしまうんですよ。総理の先ほどの答弁は、将来推計が変わってきて一・〇を切った場合でも道路をつくってもいいんだということだったら、我々は審議ができないわけですよ。どういう基準で五十九兆円を十年間かけてしかるべしということを、我々は真剣にこの予算委員会で審議しているんです。

 先ほどの発言はやはり撤回していただかないと。今与えられた最大のベストの新しい推計値でその計画を立てるべきなんですよ。それをやらないで、十一年の、十年前ので出して、将来、数値が変わったらそのとき考えればいいというのは無責任です。どうですか、総理。

○福田内閣総理大臣 いや、さっきはこれは二〇三〇年というような数字でもって話があったんですよ。だから申し上げた。よく聞いておいてください、あなたも、話を。その上で言ってください。

 この十年間についての話といったらば、もうさんざん国土交通大臣から説明しているとおりなんですよ。それ以外のことはございません。私も全く同じことでございます。

武正委員 中期計画をつくるのはこれから十年間であります。しかし、その十年間の中期計画の先には二〇三〇年があり、二〇五〇年があるんです。そうした将来の全国的な高規格幹線のネットワークの中で、ここで十年間が位置づけられているんですよ。ですから、二〇三〇年、二〇五〇年の将来の需要推計が変わってきたら、当然この十年間も影響を受けるんです。この十年間だけよければいい、この十年間だけ一・二以上だったらいいじゃないかというのは、開き直りにしか聞こえません。

 改めて、この十年間が一・二以上であれば、先ほどのように、その先、将来需要推計が下がって一・〇以下であってもつくっていいじゃないかという総理の答弁は、撤回をしていただかなければならない。二〇三〇年でも同じであります。二〇三〇年でも、将来需要推計一・〇以下であったらつくったらいいじゃないかというのは、今その十年間の計画は、将来、二〇三〇年を見据えても立てているんです。二〇三〇年、一・〇以下だったらつくっていいじゃないかという先ほどの答弁は撤回をしていただきたい。総理、どうですか。

○冬柴国務大臣 最新のものでつくり直すべきだ、こうおっしゃるんですが、平成十九年十一月時点での最新の将来交通需要推計は、平成十四年十一月に発表されたものでございます。したがって、それに基づいてこれをやっているわけだから、最新の資料でやっているんですよ。何も交通センサスが出たから、それで変えているわけじゃないですよ。

 ですから、モデルは、この推計は、センサスは十七年九月から十一月にやっていますよ。しかし、それはファイナルじゃないじゃないですか。それをもとにして、ことしの、いいですか、二十年の秋には将来交通需要推計を発表しますということを私どもは言っているわけです。したがって、それが出れば、それ以降整備に着手するものはすべてそれでやっていきますということです。いいですか。そういうことなんですよ。

 ですから、これで全部、百以上のものをこれでつくるということを言っているわけじゃないじゃないですか。ここをずっと読んでもらったらわかりますよ。

 ですから、前の、道路公団の民営化のときにやらなかった、千九百九十九はやったけれども、二千九百というものはやっていないから、それについて、最新のということは、先ほども言いました十四年の十一月に発表した将来交通需要推計に基づいて評価をしたわけですよ、これは。ですから、それでつくるとかつくらぬと言っているわけじゃないんですよ。そこがちょっとかみ合わないんですね。

 それで、総理がおっしゃっているのは、十年間のことを、私は、一・二というハードルを上げて、そして評価したということを言っているわけでありまして、それ以降の、十年間の計画をやっているわけでしょう、私は。そうでしょう。そういうことを申し上げているわけでございますから。

 私どもは、この期間は、一・二を切ればやりません。もちろん、三分類については、現道を使うとかいうことで、これが、経費が下がることによって、いわゆるBバイCのCが、コストが下がれば、それは一・二になればやりますし、もしそれを切るようなものがあれば着工いたしません、ここに書かれてあるものは。そういうことでございます。

武正委員 便益計算は四十年先を見ておりまして、十年後はさらに便益は小さくなるわけですね、需要推計が減っていくわけでありますから。ですから、十年後のものがまず下がっていく。そして、当然、その先の二〇三〇年、二〇五〇年の需要推計がどんどん落ちていく。

 ところが、今のこの十年計画というものは、先ほども馬淵委員が示したように、まず二〇三〇年で八・六%の乖離が出てくるような高目の需要推計で、この十年間その整備を進めていくんですよ。そうした高目のもので全国同時並行に道路の整備を進めていくわけですよ。ですから、十年間だけでいいという話ではないというわけなんですね。

 ですから、先ほどの総理の、BバイCが一・〇を切っても、将来、十年後ではない、二〇三〇年とか二〇五〇年、BバイCが一・〇を切るかもしれないけれども、そのときはそのときの政策判断だというのは、やはり断じて認めるわけにはいかないんです。この時点で一・二以上のものしかつくらないという国交省の説明で、我々は、それをもとにしてこの質疑をしているんです。

 それなのに、さっきの、いや、十年間は一・二かもしれないけれども、需要推計がそれこそ最新のデータで下がってきて、車がそれこそ余り走らなくなって、そうした場合に便益が下がっていった場合には当然一・〇を割るだろう、割った場合でもつくらないわけにはいかないよ、それが政策判断だと、今こうやって言われても、我々とすれば、今この時点で、将来そういうことがないということで、一・二以上のものをつくるんだということで、まずこの十年間の中期計画について議論をしているわけですから、先ほどの総理の発言は改めて撤回を求めたいと思います。総理、どうですか。

○福田内閣総理大臣 私は、仮に一・二とか一・〇を切ったときにというのは、これは、そのときの政策判断でそういうことがあり得るということを申し上げたわけで、それはないときもあるんですよ。あるかないかは、そのときに判断すればいいという話であって、それも二〇三〇年という随分先の話のように思ったものですから、申し上げたわけであります。

 それからまた、BバイCですか、これは優先順位ですね。着工の優先順位とか、そういうようなことを決めるということに使っているものだと私は思います。

 それからもう一つ、最新のデータとおっしゃるけれども、出ていないデータを使って今やるわけにいかないですよね。ある一番新しいデータといったら、ちょっと古いのだけれども、十一年のものを使っているということであります。

 そして、それを金科玉条とするというふうに言っているわけじゃないんですよ。国土交通大臣も何回も答弁しているように、新しいデータが出たら、それはそれで、それをしんしゃくしてまた考えるということも言っておられると思いますけれども、そういうことですから、余りいきり立たないでやってください。

武正委員 いきり立つというか、これはやはり、十年間で五十九兆円の予算をここで確定していくわけなんですね。

 総理、総理は前も言っておられますけれども、毎年毎年予算を精査すればいいじゃないか、このように総理もきのうの財務金融委員会で言っておられますね。十年計画ということで五十九兆円をこれから決めるんだけれども、毎年毎年予算を精査すればいいじゃないかというふうに言われていましたが、その答弁でよろしいですか。総理の答弁、ちょっと確認をしたいと思います。きのうの財務金融委員会の答弁をもう一度確認したいと思います。

○福田内閣総理大臣 毎年の予算審議をする際には、数字を出さなきゃいかぬわけですね。その数字を出す根拠、それは、そのときの状況を加味し、また、将来の予想とかそういったような要素も加味して数字をつくっていくわけですよ。政治情勢もあります、財政状況もあります。いろいろな要素を加味して考えてつくってくるわけですから、ですから、ことしつくって、では来年そのとおりやるんだという話じゃないんだと。

 そしてまた、五十九兆とおっしゃるけれども、これは五十九兆全部使うということではないんですよね。当然、五年たてば状況変化もあろう。そして、例えば環境対策もより考えていかなきゃいかぬじゃないかという話もあるかもしれない。それからもう一つは、一般財源化という話もありますから、そういうようなものを勘案しながら、ユーザーにも理解を得ながらこの計画は進めていく、そういう性質のものであるということを申し上げているわけであります。

武正委員 お手元の資料二ページ、三ページ目をごらんいただきたいと思います。パネルはこちらになります。

 十年間で五十九兆円、この道路特別会計、特定財源を使った予算でございます。この五十九兆円の予算が十年間、私はここで決まっていくというふうに思っております。これからそのことについて一つ一つ指摘をしたいと思います。

 その中でも特に道路特別会計、平成二十年の歳出予算額三兆六千億なんですけれども、ごらんをいただきますと、三兆六千億ことし道路特別会計で歳出がありますが、このうち、国庫債務負担行為ということで、平成二十年にその歳出を決める前に、前年、前々年あるいはその前五年さかのぼって既に歳出が決まっているというケースがここに書かれているわけでございます。

 平成二十年度の歳出予算のうち、過年度国庫債務負担行為の歳出額は合計で八千八百億円でございます。八千八百八十億円、約九千億円。すなわち、この平成二十年度の道路特別会計の歳出の四分の一は、既にその五年以上さかのぼって決まった予算がことし歳出をされる。これが一つ、道路特別会計、すなわち道路事業の特徴と言ってもいいということであります。

 これは、既に財務大臣が、この国庫債務負担行為というのは財政法の例外だというふうに言っておりますが、国交省は今、この国庫債務負担行為というのが年々ふえております。今年度は九千二百億円を超えております、この道路特別会計であります。

 ですから、総理は、毎年予算でチェックをすればいい、精査をすればいい、今後出てくるデータも参考に毎年度計画を立てることが必要だ、必ずしもこの金額どおりに計上していくわけではないということを、先ほども同様の趣旨を述べておられますが、実は、一度計画をつくると、国庫債務負担行為で五年先までその歳出を決めて、この道路整備計画というのは全国同時一斉に進み出すんですよ。それがこの国交省の道路予算の特徴なんです。だから、総理が言うように毎年チェックすればいいじゃないかというのは、この道路予算に関する限り当たらないんですよ。このことはどうですか、総理として。

 総理は、毎年毎年チェックすればいいというふうにきのうも、また今もお答えになりましたが、この国交省の道路特別会計、平成二十年の歳出三兆六千億円の四分の一は、平成二十年の予算で決めたんじゃなくて、その前にもう決まってしまっているというこの道路予算の特徴を踏まえて、毎年毎年チェックすればいいというのがなかなかうまくいかないんだということはおわかりいただけると思いますが、いかがですか、総理。

 総理、先ほどの御答弁に対しての御質問ですから、総理、答えてください、お願いします。総理ですよ。総理がさっき答えたことに対して私は聞いているんですから、総理、お答えください。総理、お願いします。

○福田内閣総理大臣 トータルの話だけにさせていただきますけれども、三兆六千億円、こう書いて計上されておりますけれども、これは各年の数字を見ても、何も固定化されているというような感じではありませんよね。それは毎年出ている、それも、十五年度には出ていないけれども十六年度以降出ているとか、いろいろあるわけでありまして、それはそのときのニーズによってそういうふうな、これも政策判断のうちだと思いますけれども、その結果出てきた数字だというふうに私は思います。別に固定化している話ではないと思います。

○冬柴国務大臣 この事業の円滑かつ適切な執行のために、例えば、トンネル、橋梁等の大規模工事で工期が複数年にわたる事業があります。そうすると、毎年度入札を行うと、工事が一時中断することになります。そういうことで、不経済であります、非効率であります。

 したがいまして、合理的な工期を設定するために、例外的な国庫債務負担行為を、財務省にも、そのときそのとき、御相談申し上げながら、五年が長期でしょう、最長。そういうことでやっているわけでございまして、この国庫債務負担行為をむやみに設定しているというものではございませんので、そういう性質があるということを御理解いただきたいと思います。

武正委員 道路整備は時間がかかるんだ、まさに総理が言われたとおりでありまして、このように国交省の道路特別会計は五年先、五年後の予算を確定していくような複数年度の契約、こういったものを使うという特徴があるということなので、十年五十九兆円、毎年チェックすればいいじゃないかというのは当たらないんだということをぜひこの場で指摘をさせていただきたいと思います。

 そこで、この中期計画の五十九兆円の内訳、ようやく資料が国交省から出てまいりました。一ページ目をごらんください。十六の項目にわたって、平成十五年から十八年の実績、そしてそれをもとにこの事業量、五十九兆円、これはダブりがありますから五十九兆円以上になっております。

 そこで、この実績値から十年分を掛けてみたのが右から二行目の欄でございます。これでいきますと、十六項目のうち四項目はその実績値あるいは箇所数、目標というものが具体的に出ておりませんので四項目を省きますと、十二項目中八項目が、この四年間の実績をもとにして、十年間かけても目標数にはいかないわけでございます。つまり、この四年間の実績からして、十年間その目標数に達しない、それがこの五十九兆円の中身の目標値であるということであります。

 具体的には、三番の渋滞対策は七五%、四番のあかずの踏切等を除却する対策は七%、十年たっても七%しかできない、この四年間の実績値からということでございます。七番、安心な市街地形成六六%、交通事故対策六〇%、通学路の歩道整備一八%、踏切の安全対策二一%、橋梁等の修繕、更新、維持管理九%、無電柱化六五%ということで、この四年間の実績から十年間の、実際にできるのかなということで掛けてみても、目標値に達しない項目が十二分の八、三分の二であるということをぜひ指摘をして、この五十九兆円といった目標値が、事業量として具体的にできない、工事としてできないものを掲げている、非常に大きな目標を掲げているということを指摘させていただきたいというふうに思います。

 そこで、この中期計画五十九兆円の項目に続いて、資料四ページをごらんいただきたいと思います。

 高規格幹線道路の供用延長で、高速自動車国道のところに、かぎ括弧で七百十二キロという数字がございます。これは、高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路というものでありますが、この高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路七百十二キロは、国土開発幹線自動車道建設審議会、先ほどから国幹審、国幹審と言われておりますが、国幹審で決めて整備をしたのか否か、もし決めていなければ、だれが決めて事業化をしたのか、お答えをいただきたいと思います。

 また、あわせて、この高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路は、先ほどの基幹ネット、一番上にありました二十三兆円ですね、基幹ネットワークの整備、これが平成十九年度で二・三三兆円かかったから、この五十九兆円の中で基幹ネットワークの整備には約二十三兆円かかるんだと言われておりますが、その平成十九年度の二兆三千三百億円の中に、この高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路は実際にその実績値として含まれているのか。

 以上、お答えをいただきたいと思います。

○冬柴国務大臣 その七百十二キロは一般国道として整備をしたものでございます。それは、高速自動車国道に並行したところで、それがまだ高速自動車国道の整備ができない段階で、いつも例に出すんですけれども、鳥取県の鳥取市から青谷に抜けていくところは国道九号線しかありません。しかし、将来は山陰自動車道という高速自動車国道ができることになっておりますけれども、その順番が回ってきていない。しかしながら、その青谷周辺では交通事故が多発した。そういうことから、鳥取県から、ここへバイパスをつくってほしい、九号線にせめてバイパスをつくってほしいということで、それについては、一般国道として整備する場合に、将来山陰自動車道をつくるということになりますと、それが二重手間になってしまいますね。したがって、そのバイパスの部分、わずかですけれども、その部分については、高速自動車国道の構造でバイパスをつくらせていただいている、これがそういうことでございます。

 これは、国幹審には、将来、山陰自動車道がつながって、それがつながるということになったときに国幹審にお諮りするということで、現状においてはお諮りはいたしておりません。それは、知事からのたっての要望、そして知事に基づく都市計画決定、それから環境調査等を経由して、そして私の方に整備を申し出ていられるわけですから、それに対して私の方は通常の国道を整備するのと同じ手法でやっておりますけれども、しかし、将来高速自動車国道としてこれがつながるということになれば、これは国幹会議にお諮りをすべき事案でございます。過去にも二件、そういう実績がございます。

武正委員 つまり、国交大臣が決めているんですね、国幹審に諮らずに。国幹審に諮らずにこの七百十二キロを整備しているわけであります。その総額は三兆八千八百五十六億円。この七百十二キロの整備に約四兆円近いお金がもう既に投じられております。十九年度も、事業中区間が三十八路線、三百三十一キロの全体事業費は一兆六千六十九億円というのが今さらにまたつくられようとしているわけであります。それは、三百三十一キロ、国交大臣が決められる、国幹審には諮らずにということであります。

 そうしましたら、下にあります地域高規格道路、先ほどお答えいただけなかったんですが、この一般国道自動車専用道路、並行するものですね、二兆三千三百億円の事業費に、平成十九年度、基幹ネットに含まれているのか否か。平成十九年度の二兆三千三百億円の基幹ネットワークの整備の実績の値に、この並行する一般国道自動車専用道路は含まれているのかどうか、これをお答えいただきたいと思います。

○平井副大臣 含まれております。

武正委員 そうしましたら、この下の地域高規格道路、これも事業をやっているんですけれども、これも、平成十九年度の二兆三千三百億円という実績値、それをもとに十年間で二十三兆円使うんだという基幹ネットワークのもととなる実績値に含まれておりますか。

○平井副大臣 実績値に含まれております。

○武正委員 そうしましたら、この地域高規格道路は、だれがこの調査区間を指定するのか。そして、計画路線の約七千キロのほかに候補路線もあるんですね、候補路線はだれが指定するのか。

 計画路線はだれが決定するのか、そして、だれが調査区間、整備区間を指定するのか、そして候補路線はだれが指定するのか、お答えをいただきたいと思います。大臣。

○冬柴国務大臣 これは、平成十年に二十一世紀のグランドデザインということで閣議決定されたものでございます。当時は六千から八千キロというアバウトでやっていますが、現在は六千九百五十キロメートルが予定されておりますが、これをどうするか、決め方。それは、先ほど言ったような国幹の会議ではないということでございますが、私は、今回、こういう重いものを整備する場合には、最後は国土交通大臣の判断で示すということではなしに、やはり社会資本整備審議会のようなところにお諮りをして、そして決めていくようなシステムにすべきではないかと。早速、それは決めるべきだということを、献策というよりも、そういう指示をしているところでございまして、そういうふうにしたいというふうに思っています。

武正委員 私は事実を確認しているので、この地域高規格道路は、だれが調査区間、整備区間を指定するんですかということにお答えをいただきたいと思います。候補路線はだれが指定をするのか。事実をお答えいただきたいと思います。

○冬柴国務大臣 先ほど、候補路線は二十一世紀のグランドデザインということで閣議決定されています。それを実際に整備するときには、国土交通大臣がやります。

○平井副大臣 委員お尋ねの地域高規格道路候補路線指定、これは、道路局長、都市・地域整備局長が指定いたします。

武正委員 この計画路線は大臣が決定して、調査区間、整備区間は道路局長が指定をする、候補路線も道路局長が指定をするということで、それこそ、宮崎の知事が、政治力がない地域にはなかなか道路ができないんじゃないか、国交省のさじかげんでというような趣旨のことを述べたとされておりますところが、実はここに出てくるわけなんですね。すなわち、国交省の道路局長が路線を指定して決めていってしまう。

 総理、こういうようなやり方がされているということは、先ほど一・二以上でなければつくらないと言っていても、結局はさっきの政策判断で、しかも国交省の局長の判断でどんどんと指定をされていくということをあらわしているんですが、先ほどのことも含めて、こうした国交省の道路局長が指定をしていくというやり方を改める必要があるというふうに思いますが、総理、どうですか。先ほど、一・二以上なんだということは一・〇以下はつくらないと言った、そのことも含めて、どうぞお答えをいただきたいと思います。

○福田内閣総理大臣 この十年計画については、もう再三御説明申し上げているとおりであります。

 今お話を伺っておりまして感じますのは、これはやはり手続について透明性を十分に確保しなければいけないということはあります。ですから、こういう透明性確保のためにどういうことをすべきかということは十分検討しなきゃいかぬ課題だと思います。

 例えば第三者機関に諮るというようなこと、こういうことについて、国土交通大臣が必要な見直しを検討しているというように私は承知いたしております。

武正委員 これは国交省にお任せするということではなくて、総理みずから、十年間で五十九兆円の計画でありますから、やはり督励をして、国交省の局長が道路を指定していくというやり方を変えないと、先ほどの、一・二以上でつくるんだということがこの十年間でも崩れていってしまうということでありますから、先ほどの総理の発言と食い違わないように、しっかりと督励をお願いしたいと思います。

 そこで、次に、公益法人について移らせていただきます。

 お手元の資料五ページ目をお開きください。

 これは、道路整備特別会計によって支出を受けている主な公益法人を挙げております。所管官庁出身、これは常勤役員に対して、これだけ、ほとんど一〇〇%に近い所管官庁からの出身であります。

 この間、国交大臣は、この一番上の道路開発振興センター、二名やめさせましたと言いましたね。調べてみたら、平成九年と平成十年に勤務をされた非常勤の理事でありました。ですから、常勤の理事をやめさせられていらっしゃらないわけなんですね。

 ということで、この資料を見ていただきますと、たくさんのお金を道路特会から受けておられますし、また、そのお金が、現金預金あるいは資産ということで、これらの法人がそれを抱えている様子もおわかりいただけると思います。

 また、この一番右側の欄は、建設省の事務次官経験者の方が、左の十一法人のうち、見ていただきますと、八つの役員を兼務しているということがおわかりいただけると思います。非常勤の理事長というのも私も今回初めて知りまして、こんなことで果たしてその組織がうまくいくんだろうかということも不思議でならないわけであります。

 また、公益法人には公益法人からの出資、出捐がたくさんされておりまして、道路開発振興センターは八つ、道路新産業開発機構は七つ、道路空間高度化機構は六つ、駐車場整備推進機構は一つ、道路管理センターは二つということで、その次のページにあります、これは駐車場整備推進機構のやはり同じく出捐の様子でありますが、一番下に書いてあります財団法人道路新産業開発機構からも一千万の出捐があるということで、すなわち公益法人が公益法人に出捐をしている、こういった仕組みもここからおわかりいただけると思います。

 そこで、七ページをごらんいただきたいと思います。

 所管官庁出身の理事がその三分の一を超える法人、これは、総務省からお出しいただいた数字は三百三十九でした。この間、官房長官も数字を訂正されて、三百三十九だと言いました。ところが、その中で、所管官庁出身理事数を常勤理事に限って見ますと、何と八一・四%が所管官庁出身なんです。理事の八一・四%が所管官庁出身、すなわち八割が所管官庁出身の理事で占められております。常勤です。非常勤を入れると数が減るんですけれども、常勤ですと八割以上が所管官庁出身の理事なんです、この三百三十九は。

 なおかつ、次のページをごらんください。三百三十九だと思っておりましたら、総務省さん、よく調べていただきました。実は、六千の公益法人、中央省庁所管公益法人のうち千七百六十三の公益法人は、常勤理事に限って見ると、所管省庁出身の理事が三分の一を超えているんです。三分の一近くの公益法人は、常勤理事のうち三分の一以上が所管省庁出身なんですよ。

 どうですか、総理、これを見て。政府は三分の一以下にしなさいということでやっていますが、非常勤理事を入れているから、それでも三百三十九だけれども、常勤理事に限って見ると千七百です。それから、さっきの、もう一度出していただきますと、このパネルをごらんください。建設省の事務次官経験者は、この十一の法人の八つの役員を兼ねていますよ。

 こういったところを見ると、公益法人というものが、実は、それこそ財務省さんが財務諸表をつくられました、預貯金が三十三兆円、連結ベースだと六十六兆円あるんだというような。でも、これは実は、公益法人が入っていない財務諸表をつくっています。独法までですから、公益法人は含まれていません。公益法人を含んだらもっともっと多いと思います、いわゆる連結の、政府にかかわる財務諸表をつくれば。

 ということでありますから、総理、公益法人というものに徹底してメスを入れていかない限り、この道路予算も、五十九兆円も、これまでも何度も指摘があります。さっきも、それはちゃんとやると総理も言っていました、やらなきゃいけないと。それには、この公益法人のチェックがまだまだ甘いんですよ。

 三分の一を超える法人といいながら、それは非常勤を含めているから、常勤だけで見ると六倍になる。それからなおかつ、委託金や補助金をもらっている法人はその給与規程を出しなさいと言っているけれども、この一番下の関東弘済会については、その対象じゃないといって、給与規程は出さないんですよ。委託金とか事業とかこれだけやっていながら、まだ、総務省、あるいは内閣の一致した閣議決定では、公益法人に対する締めつけというかチェックがやはり甘いんですよ。

 これでは、また五十九兆円の事業も無駄に無駄に使われてしまうということが大いに予想されるわけでありまして、この公益法人に対するチェックを、先ほど総理はしっかりやるんだと言いましたが、これについてしっかりとやるということを、改めて決意をお述べいただきたいと思います。

○福田内閣総理大臣 御指摘の点は、そのとおりというところはございます。そういうことで、昨年の十一月に、随意契約について徹底して適正化を行うということを各府省に対して指示いたしました。

 しかし、国土交通省については、契約の仕方についてもいろいろございます。いろいろ細かく指示もいたしております。そして、第三者機関による監視対象を拡大するとかいったようなことも含めて、一応、昨年十一月、指示はいたしましたけれども、今現在どうなっているか。

 また、ことしの六月に、こういうようなことについて、改善措置についての報告を受けるということになっておりますので、そういうことはともかくとして、より一層厳しくこれに対応してまいりたいと思っております。

武正委員 以上で……(冬柴国務大臣「ちょっと一言だけ。ここのところだけ」と呼ぶ)いやいや、もう総理の答弁で終わりにします。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。