2008/02/29
【衆院予算委】内閣の危機管理初動体制を質問 |
武正公一議員は、29日午後の衆議院予算委員会の集中審議で、イージス艦漁船衝突事故に係る内閣の危機管理初動体制などについて質問した。
冒頭、道路整備中期計画に関する政府の統一見解を述べるよう冬柴国土交通大臣に求め、点検の評価の結果、便益が費用を上回る(1.0超)場合に整備すると政府が主張するならば、これまでの1.2超という国交省の答弁は根底から崩れると指摘。この新たな、承服できない政府見解をもう一度しっかり審議すべきだとした。
イージス艦漁船衝突事故については、政府の初動連絡体制を質問。事故発生から2時間~2時間半後に官邸へ連絡が入ったことを確認し、体制整備が平成15年に閣議決定されて5年近く経っても、初動体制の遅れが繰り返されたことについて「官邸の責任を改めて問いたい」とした。町村官房長官は約2時間かかったことについて「問題があったと認識している」と答えた。
武正議員は、危機管理における縦割り行政の弊害を廃し、内閣官房が強いリーダーシップを発揮するためにも、政権交代が必要であるという考えを示した。重大事件に特定されるべきこと、海上保安庁や防衛省の対応が原因究明の妨げになりかねないことを指摘し、官邸が強い権限を持って関係省庁間の調整にあたるべきだとした。
沖縄米軍少女暴行事件については、米国大使館への抗議と要請、在日米軍への厳重抗議、沖縄県知事との会談など、この間の民主党の活動に言及した上、日米地位協定の改定について高村外務大臣の見解を質した。普天間基地移設については、地元の自治体の意向を聞いてしっかり対応するよう石破防衛大臣に求めた。 |
(民主党ホームページより) |
【議事録】
○武正委員 民主党の武正公一でございます。
まず冒頭、きょうのこの委員会、イージス艦・沖縄問題等集中審議でございますが、この後、締めくくり総括質疑そして採決ということが委員長職権で立てられたことは、極めて遺憾でございます。
その理由として、まず、昨日、道路問題の集中審議を行った折、私が、ちょうどこの一週間前、二十一日、この席で、国土交通大臣、そしてその前は総理とのやりとりでございました、テレビ入りで全国の皆さんが見ておられる中で、いわゆるBバイC、便益を費用で割ったもの、これが一・二を切った場合には、この中期計画、十年間で五十九兆円を使うというこの道路整備中期計画中は道路はつくらないんだ、これを総理ともう十回ぐらいやりとりをしました。総理は、それ以降は一・〇を切っても、政治判断でつくらないわけにいかないじゃないですか、こういうようなやりとりはありましたが、中期計画中はと十回ぐらい言われましたし、それを受けて国土交通大臣も、私どもはこの期間は一・二を切ればやりません、このように言ったわけですが、きのう、私ども到底承服しかねる政府見解なるものを読み上げられましたので、二十一日はテレビで皆さんがそのことを聞いておられますので、ぜひこのテレビの前で、私どもは承服しかねますが、その政府見解とやらをお読みいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 今求められている点について私の考えを率直に、政府見解でございますが、読み上げさせていただきます。
一、道路事業においては、便益が費用を上回る、B/Cが一を超えることを採択の基準としているところ。
二、今般、中期計画に合わせて行った高規格幹線道路の未供用区間についての「点検」では、平成十七年の道路交通センサスをもとにした交通量予測値が減少傾向にあることを踏まえ、費用対便益の計算で通常一・〇を用いているところを、交通需要の変動に備えるため、一・二に引き上げて「検証」を行ったところ。
この場合、一・二を下回るものについては、恒久二車線化や一部現道の活用等により、費用対便益が一・二を上回ることが確認されない限り、整備は行わないということを申し上げてきた。
三、ただし、このことをもって高規格幹線道路を全て整備することを決定したわけではない。
四、個別事業の採択に際しては、本年秋に作業が完了する新しい需要推計結果のみならず、その時点で活用可能な最新データに基づいて客観的かつ厳格な事業評価を行い、便益が費用を上回る場合に限り整備するとの考え方に変わりない。
以上でございます。
○武正委員 私どもは、一・二を切ればこの期間はやりませんと、この間、二十一日に国土交通大臣は言ったわけでございます。それが今のように、これまでは一・二を上回ることが確認されない限り整備は行わないということを申し上げてきた、それが二番目までであります。しかし三番目、しかしこの限りではない。そして四番目、一・〇を、要は、便益が費用を上回るということは一・〇を超える場合、整備するとの考えは変わりはないということがここで出てきてしまうと、これまでこの委員会でずっと議論をしてきた、国土交通省の、一・二以上のものでしか中期計画はつくらないんだという答弁が、やりとりがその根底から崩れてしまうわけですよ。
ですから、私どもは昨日、馬淵議員が委員長に理事会協議を求め、徹底審議を求めたわけです。というのは、前提が崩れてしまったわけですから。もう一度しっかりと、この一・〇以上でもつくるという、こうした新たな、私ども到底承服しかねる政府見解をもとに徹底審議を求めたにもかかわらず、委員長は職権で、本日五時でこの委員会の審議を打ち切り、締め総、そして採決としてしまったわけでございます。
総理、どうですか。この後ちょっとイージス艦と沖縄にすぐ移りたいんですけれども、総理、この五時でもう打ち切ってしまって本当にいいんですか。総理は十分な時間をとっているからいいじゃないかということをきのう言っているようですけれども、私はまだまだ、特に、総理が言ったように、一・二を切ったらこの十年間はやらないんですと総理は十回も言いましたよ。それが、一・〇を超えてもこの十年間つくることがあるんだというふうに、きのうそういう政府見解を出してきたわけですから、もう一度それをもとに徹底的に審議をすべきだと思いますが、総理、いかがですか、御所見を伺いたいと思います。総理ですよ、総理、総理に聞いたんですから。
○冬柴国務大臣 二月十五日に、私は、御党の笹木委員とのやりとりの中でこのように答弁しています。
一・〇以上であれば、公共事業は、それはやってその価値があるということでございまして、しかしながら、今、一・二というものを目標に、新しい将来交通予想推計が出るまでは、それと整合するためにも一・二でこの中期計画は構築をしております。ちょっと中途飛ばしまして、一・〇を切れば、それはもちろんいかなる場合でも取りやめなければなりません。しかしながら、それが一・二じゃなければそれはできないというものではございません。
このように申しておることも御注意願いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 この問題は、何度も何度も御説明申し上げているとおりでございまして、それ以上のことはないんです。ひとつ、それを中心に御理解いただき、また御審議を進めていただきたいと思います。
あと、国会のことは国会で決めていただかなければいけないと思っております。
○武正委員 総理が、十分な時間もうやったじゃないか、だから審議打ち切り、採決、構わないじゃないかという趣旨できのう述べておられるから、私は聞いたのでございます。
改めて、徹底した審議が必要であることを、もう委員長職権で立てておりますが、私ども民主党は求めてまいります。
そこで、続いて、このイージス艦、沖縄事件に入らせていただきますが、まず、吉清さん親子が一日も早く発見をされること、そして、そのために政府が、きょうのいろいろな質疑を聞いていても、本当に全力で取り組んでいただいているのかということを疑わしい午前中の質疑もございましたので、先ほどの総理の決意を持って徹底してこの捜索に当たっていただくことを求めたいと思います。
そこで、まず、総理に、今回の事故の連絡、何時に聞かれたのか、総理、官房長官それぞれお答えをいただきたいと思います。
○町村国務大臣 委員の方には、この「あたご」と漁船の衝突事案の内閣官房、官邸クロノロジーという資料を、もうちゃんと立派な表ができておりますが、それをお渡ししてあるとおりでございますから、それ以上詳しく、一々今全部、時間を追って申し上げませんけれども、総理大臣には六時ごろ秘書官から上がり、六時五分には総理の指示が出まして、漁船員の捜索に全力を尽くせという指示がおりたところでございます。
私の方には、六時前、五時五十分ごろだったと思いますが、官房長官秘書官から私の方に連絡があったところでございます。
○武正委員 総理は何時にお聞きになられましたか。総理にお伺いしているんです。
○福田内閣総理大臣 六時ごろです。
○武正委員 この表を見ていただくとおわかりいただけるように、またお手元の資料をごらんいただくとおわかりいただけるように、四時七分発生から、今のお話ですと約二時間経過をして総理そして官房長官に連絡が入ったわけでございます。
それで、このお手元の一枚目に書いてありますように、初動対処の流れということで、これまで内閣官房から御説明をいただいていたこと、また、平成十五年の閣議決定によって、まず情報はこの内閣情報集約センターに入る、このように閣議決定されて実施が決められておりますが、先ほどの表でいきますと、それぞれ内閣情報集約センターに入ったのが、六時五分、これが海上保安庁、そして防衛省から六時二十七分ということでございますが、なぜこのように遅い時間に内閣、内閣官房に入るようになったのか。官房長官、御説明をいただきたいと思います。
○町村国務大臣 事実関係は事実関係として、今委員が御指摘になったとおりでございまして、初動態勢、対処というのが極めて重要であるにもかかわらず約二時間かかったということは、問題があったと私どもも認識をいたしております。もっと早く報告がされるべきであった、こう考えているところであります。
そういう意味で、まだまだ改善の余地というか反省をすべき点があるな、こう思いまして、実は、きょう、閣議におきまして、私の方から、全省庁に対しまして、官邸への情報伝達体制、平成十五年十一月二十一日の閣議決定、これを再確認するとともに、さらなる改善を図る余地があるのではなかろうかということで指示をし、どういう改善をしたかということについてできるだけ早く私の方に報告するようにという指示をしたところでございまして、一層の危機管理体制の強化に努めてまいりたい、かように考えております。
○武正委員 先ほど、防衛大臣も、今防衛省の検討として、内閣の情報集約センターに連絡が、防衛省の場合、六時二十七分に入ってしまった、事故発生から二時間二十分後にということもあって、いち早く内閣官房の情報集約センターに連絡を出すように、そういう指示を今検討しているということを先ほど言われておりますが、これは平成十五年の閣議決定なんですよ。もう五年たとうとしているわけなんですが、なぜ五年たっても繰り返されるのかということなんです、この初動態勢のおくれ。
そして、何といっても、私も道路問題でも言いましたが、この縦割り行政の弊害というもの、これをなくすために、内閣府は半歩高い位で、そして、内閣総理大臣に、あるいは内閣官房にはより強いリーダーシップをというのが、平成十三年一月六日の中央省庁の改革の趣旨の一つだったわけなんですよ。ところが、相変わらず、二時間あるいは二時間半後に官邸に連絡が入るというのが極めて解せなくて、先ほど来、防衛大臣や、あるいはさまざま、海保、海難審判庁とやりとりをしておりますが、私は、やはりここで官邸の責任というものを改めて問いたいというふうに思っております。
そこで、これは先ほども出ておりました、平成十三年二月十日、えひめ丸事件でございます。ちょうど七年になります。
宇和島水産高校の生徒さんを含め九名の方が亡くなられたあの事件、ハワイ・オアフ島沖でございました。この事件、それがやはり教訓になって、平成十五年のこの閣議決定もあったのではないかと私は承知をしておりますが、あのえひめ丸事件のとき、官房長官はだれであったか。官房長官、お答えいただけますか。
○町村国務大臣 細田博之官房長官ではなかったかな……(発言する者あり)ごめんなさい、失礼をいたしました。福田官房長官でございました。
○武正委員 御案内のように、あのときには、森総理が、戸塚カントリー倶楽部でしたか、十五番ホールにいた。そして、福田官房長官は群馬県にいた。そして、伊吹危機管理担当大臣。あのときは危機管理担当大臣というのがあったんですね。小泉内閣になってなくなってしまったんですよ、危機管理担当大臣が。官房長官が兼ねるということになったのか、それは小泉改革の冒頭かもしれません。この福田内閣で危機管理担当がだれなのか私は承知をしておりませんが。あのときの教訓があって、そしてその後にもいろいろな事件があって今日があるにもかかわらず、今回もまた繰り返しをしているということであります。
総理、あのときの官房長官として、えひめ丸事件、やはりあの反省というものがあって今日があるというふうに私は理解をしておりますが、あのときの反省、担当官房長官としては、どのように今思い返して、あるいは今でもそのことを多分かみしめてこの国の危機管理に当たっておられると思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 あのときも、えひめ丸のときも、これも私、前から、群馬県に参りまして、何か祝賀会をしてくださる、こういうふうな話で、私はその日いないということは皆承知しておったわけであります。その辺はいろいろありますので、私もそれ以上言いたくないのでありますけれども。
やはり危機管理を担当するのは内閣官房長官だ、こういう認識はいたしておりますので、私もその辺は十分注意をしておった。ですから、その一報を聞いて、すぐ途中で帰ってきたということがございましたけれども、その危機管理、私がいないときにはほかの、官房副長官にお願いするとかいったようなことはしているんです。
えひめ丸が起こりましてからは、官房長官は必ず東京にいる、近県でも東京を離れるというようなことがあれば、それはしっかりと副長官なり、また総理にお願いをするとかいったようなことも含めまして、連絡体制はいつでもとれるようにするというような配慮をしておりまして、以来、ずっとそのようにしております。今もそういうふうなことなんですけれども。
ただ、今回のことについては、その第一報は入ってこなかったということがありましたので、前回のえひめ丸のときの状況とはちょっと違うのでありますけれども、しかし、情報が入ってこなかったことについて、私どもも、我々にも問題があったのではないかという反省をいたしておるところでございます。
○武正委員 えひめ丸の事故を教訓にこの閣議決定がされていて、いち早く官邸に連絡が入るように、しかも情報集約センターに入るようにといいながら、今回そこに二時間あるいは二時間二十分もおくれて入っている、ここがやはり問題だということであります。
官房長官からそれを見直すということで先ほどお話がございましたので、速やかなる見直しをいただくと同時に、ここもいわゆる縦割り行政というところの弊害で、そこで情報をある程度持ってしまって、すぐそれを内閣官房、危機管理センターあるいは情報集約センターに送るというところに何かの逡巡があるとすれば、これはやはり体制としての問題点があろうかというふうに思っておりますし、いわゆる政官業の癒着ということでいえば、私はここの意味では、何度も申し上げますが、やはり政権を民主党を中心とするところにお任せをいただいて、改めてこの危機管理なんかも徹底して民主党にお任せをいただくということを申し上げたいというふうに思います。
そこで質問を行わせていただきますが、これが、情報連絡室にとどまっているんですね、先ほどの時系列の方を見てください、情報連絡室。
これは、官邸連絡室、官邸対策室と、どんどん上がっていくわけですね。初期の段階で、情報連絡室というところで、なぜとどまっているのか。このものでいきますと、五時五十五分に情報連絡室がつくられております。
官房長官、私は、これは今回の事案の重大さにかんがみて、官邸連絡室あるいは官邸対策室になってもしかるべき事案だというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。なぜ情報連絡室でとどめているのか、お答えをいただきたいと思います。
○町村国務大臣 一応三段階に分けて、今委員御指摘のとおり、一番重要といいましょうか、緊急性、重大性等々にかんがみて、特に政府として初動措置の総合調整を集中的に行う必要があるときには官邸対策室。それから、多くの関係省庁との連絡調整を集中的に行う必要がある場合には官邸連絡室。情報連絡室というのは、それほど関係省庁が多くない場合ですね。例えば、今回ですと、防衛省と海上保安庁、いわばこの二つで完結できる。実際には、後になって文部科学省の、「しんかい」の捜索という意味では参加をもらいましたけれども、基本的には官邸と二つの省庁であるということもこれありまして、情報連絡室ということにしたわけでございます。
ただ、やはり重大な案件であろうという認識から、野田危機管理監は、最初から危機管理センターの方に入りまして、連絡調整を行っていたという事実もございます。
○武正委員 この図を、一枚目を見ていただくように、官邸連絡室そして官邸対策室、二省庁だからということではいかがかなというふうに思います。
先ほど触れた閣議決定、そしてそれに基づく細目でも、重大事件、やはり自衛隊に関する事故、これはもう重大事件とこの内閣は平成十五年に決めておりますし、関係省庁でいえば、今の文科省のほかに農水省も、漁業関係者ということでも当然補償の問題もありますし、さまざまやはり関係省庁、またがってくるわけです。
何よりも、今回の事件の国民の皆さんに与える影響の大きさ、こういったものを考えて、この情報連絡室でとどめているというその認識が、官邸としてやはり甘いと私は言わざるを得ません。
そこで、国交大臣、私は、海上保安庁さんが夕方、横須賀に「あたご」が入る前に、当然任意で、捜査と言わないんでしょうか、捜索ということで、やはり「あたご」に、それこそヘリで行って話を聞くとか検証するとか、任意ですよ、これはあっていいというふうに当然思っているんですが、夕方、横須賀に「あたご」が入るまでにそういったことはやられたのかどうか、お伺いしたい。それをもしやっていなかったとすればなぜなのか、お答えをいただきたいと思います。
○冬柴国務大臣 海上保安にはこのような海上における刑事捜査というもの以外に海難救助という大きな使命があります。したがいまして、この連絡があったときに、もう直ちにヘリで三名の特救隊、「海猿」という映画で有名になりましたけれども、それを現場海域に運びまして、五時四十八分には、この被害船舶の上へ、破片ですけれども、おり立って、そしてヘリからつるしてもらって、そこに生存者はいないかどうかという捜索を始めているわけでございまして、それ以来、六人を通過して九人でそこへ、海底へ潜ったりやっているわけです。
したがって、もちろん、捜査、押収それから事情聴取という刑事手続も必要でございますけれども、とりあえず、これは年間に四千五百件ぐらいあるんですよ、海難事故というのは。そして、その中でも百数十件にこのように海難救助のために特救隊が出たりやっているわけです。
したがって、私どもは、まずは人命救助ということから始めたわけでございまして、その後、この艦船に捜索、押収等の手続をとっておりますが、今、すぐにやらなかったのはなぜかと言われれば、海難救助というものを先行させて、人命救助にまず一生懸命取り組んだということを申し上げたいと思います。
○武正委員 海上保安庁からいただいた資料では、午前十時二十七分に潜水捜索は終了されているという資料もいただいておりまして、なぜそれを聞くかというと、午前中に海上保安庁に連絡がないまま、航海長が市ケ谷に行っている。あるいは、午後には、今度は海上幕僚長が「あたご」に行っている。あるいは、その夜に、「あたご」に、午後十一時から電話のやりとりもしている。こういったことが行われているから、夕方五時から夜十時までは強制捜査、差し押さえ、これをされていますが、その後はまた任意の捜索ということになっているので、私はやはり、そうであれば、その前に任意で捜索をすべきではなかったのかというふうに申し上げているのです。
そこで、今、年間四千件もあるんですというお話でしたけれども、海上保安庁そしてまた海難審判庁も国土交通大臣の所管になるわけですが、それぞれ、この事件、この事故は、重大な事件である、あるいは重大な事故であるということをはっきりと海上保安庁、海難審判庁は決定をして今日まで至っているということでよろしいでしょうか。
○冬柴国務大臣 そのとおりでございます。
○武正委員 私が事前にお伺いするところ、海上保安庁では、これが重大事件、これがそうでないと、そういう決める基準はない、そして海難審判庁は、きょうに至るまで重大事件の認定はしていない。海難審判庁から重大事件の基準を出していただいたら、死者十名以上であることというのが一番最初にあるんですよ。ですから「なだしお」事件のときは特定重大事件と指定をされているんです。
今の御答弁でいいですか。海上保安庁も海難審判庁も重大事件ということで特定しているということでいいですか。
○冬柴国務大臣 本件の社会的な影響の大きさにかんがみまして、横浜地方海難審判理事所は、事件発生から調査本部を立ち上げ、五名の理事官で調査を実施しているところであるが、本日二十九日、重大海難事故に指定し、特別調査本部を設置いたしました。これによって、横浜地方海難審判理事所にも本部からの応援といいますか、それが派遣されることになります。
○武正委員 ということで、今日まで重大事件の特定はしていないということがわかるわけです。
官房長官、なぜ官邸を挙げてこのことに取り組まなきゃいけないのか、官邸連絡室じゃなくて官邸対策室あるいは官邸危機管理センターに格上げする必要があるのかというと、こうした関係省庁のまだまだ認識の甘さとか、あるいはそれぞれの連携ということが、あるいはそれを調整するということが官邸として必要だから言っているわけであります。
そこで、国交大臣、もう一度お聞きをしますが、この質疑なども含めて、防衛大臣が何度も何度もこうおっしゃいます。いや、これは捜査に支障があるためお答えできません、こういうふうなことを何度も何度も言っておられるんですが、そのもととなったのは、やはり二十二日の大臣の記者会見ではないかなと思うんです。二十二日の大臣記者会見で、犯罪捜査に関することは差し控えてほしい、私から感想をあからさまに申し上げることは適当でないと思います、このように言っておられます。
それをもとに二十三日に海上保安庁警備救難部刑事課長から防衛省の運用企画局事態対処課長に電話をされたということであります。電話の内容はこういうことだと。防衛省からの発表において、防衛省の判断によって行うべきものだが、捜査機関としては事故原因の核心に触れるような内容の公表は差し控えてもらいたい、なお、これは当然ながら、客観的事実や一般論についてまで公表を差し控えるというものではないと。
ですから、私どもも、民主党の外務防衛部門会議や、あるいはこういった質疑の中で、一般論としてというふうに注釈をして聞いても、それに対しても、いや、捜査に差し支えるから答えられませんと、こういうような答えが防衛省から相次いで出ております。これが実は、今回の問題の原因究明を妨げている一つではないかなというふうに私は思っております。
ここで、やはり首相官邸のリーダーシップが、国土交通省と防衛省の間のこれを取っ払うのが、私は官邸の役割ということを再三申し上げているわけです。
海上保安庁であります、国土交通大臣、先ほどこういうふうに申し上げた、自衛隊の事件、海上自衛隊が起こした艦船事件、これは、海難審判庁に聞きましたら、昭和三十年以降三十二件あるそうです。ただ、その三十二件の中で、「なだしお」と今回だけは当然重大事件にしてもいいというふうに思っております。
本当に一日も早い捜索を、そして救難を求めておきますが、そういう重大事件にしておくべきなのに、それができないということについて、やはりこのことが私はおかしいというふうに思うわけであります。
そこで、官邸なんですけれども、運輸安全委員会というものがこの通常国会に法案として出されるということでありますが、私は、この運輸安全委員会は、より強い権限を持っていかないと、こうした省庁間の調整に手間取ってしまうというふうに思うんですね。
ですから、今八条委員会で国会の方に提出をということでありますが、これはやはり三条委員会に格上げをしていくべきではないかというふうに思いますが、御所見を伺いたいと思います。官房長官。
○冬柴国務大臣 今回出しているのは三条委員会ですよ。国家行政組織法三条の運輸安全委員会というものをつくっていただきたく、法案を提案しているところでございます。
○武正委員 三条委員会ということでありますが、もともと私ども民主党は、海難審判庁も含めてそれを一つにということを申し上げてきたところでございます。
そこで、今回の沖縄少女暴行事件について、米軍によるこの事件について話を移してまいりますが、民主党は、この事件が起きましたときに、二月十三日、シーファー大使あての要請書を米大使館首席公使に手交いたしました。また、二月十五日、鉢呂ネクスト外務担当を団長に、沖縄のジルマー四軍調整官に抗議ということで、捜査協力、再発防止の徹底、そしてまた補償を求め、日米地位協定の改定ということを要請してまいりました。
これもかねてから質疑があると思うんですけれども、外務大臣、私は、この際、地位協定の改定、特に、お手元の方には資料が配られておりますが、第一次裁判管轄権、これは日米地位協定の第十七条にございますが、これが必要だというふうに思っております。
というのは、米軍ヘリが墜落したときに、私も三日後、沖縄に行きましたが、ヘリが米軍によって沖縄国際大学の施設内から持ち去られていた、ちょうどそのときでございました。沖縄県警は遠巻きにしていて、そこを米軍が縄を張って、ロープを張って、その撤去をしているということでありました。
一体ここは日本なのかということを見まがう光景でございましたので、私は、地位協定の改定で、第一次裁判管轄権、こうした公務執行中のものもやはり対象に加えるべきだというふうに、この地位協定の改定、今お考えはいかがでしょうか。
○高村国務大臣 米軍が軍隊を派遣し駐留している国は日本だけではないわけでありまして、NATO各国、イギリスにしてもドイツにしてもイタリアにしても、その他たくさんの国に駐留させているわけであります。そういう中で、やはり受け入れ国側がどうしたらいいかということと、派遣する側には派遣する側の意見がある、そういうことで、グローバルスタンダード、地位協定というのは大体共通のものになっているわけですね。
私が調べた限りでは、日本がどこかの国より不利になっているということはないと思います。イギリスでもドイツでもイタリアでも、どちらかが不利になっているということはない、こう承知しております。それだけではなくて、九五年に運用の改善で、起訴前であっても引き渡してもらえるというような、世界の各国でないようなところまで運用が改善されて、日本は受け入れ国の中で現実の問題としては一番有利になっている、こういう状況があるわけであります。
委員、よくいろいろなことをお調べのようでありますから、もし、そうでないよ、この国はここが有利になっているよということがあれば教えていただきたい、教えていただければ私も私なりに考えていきたい、こう思っています。
○武正委員 日本における米軍の駐留の数の多さ、日米関係のさらにまた今深化をしようとしているこの状況、また、先ほどから話が出ておりますように、沖縄に米軍の専用施設・区域の七五%が集中をしている、こういったことから、やはり地位協定の改定ということに踏み込むべきだということを申し上げたんです。
では、外務大臣はこれまで、あるいは日本政府は米政府に地位協定の改定を申し入れたことがありますか。いかがですか。
○高村国務大臣 この問題について、それぞれ、機動的に対応するためには運用の改善が正しいと思いまして、九五年に抜本的な運用の改善が図られた、こういう事実がございます。地位協定そのものについては、ほかの国よりも明らかにおくれている、不平等だというようなことがあれば、もちろんそれはやりますが、そういうことは全くありませんので、地位協定そのものについて申し入れたということはございません。
○武正委員 韓国もドイツも地位協定の改定をされていますよね。いかがですか。
○高村国務大臣 委員もお調べのことだと思いますが、韓国の場合、日本の場合よりもはるかに不利な条件にあって、例えば、判決が確定するまで引き渡さない、こういうような条件になっていた。日本は、公訴提起のときに引き渡すという条件になっている。そして、日本に今、改定をして少し近づいてきたというぐらいで、まだ日本より決して有利なところになっているとは思っておりません。
○武正委員 つまり、改定をしている国はあるというわけです。ですから、私は、日本も改定ができないということはないし、そしてそれを、まして申し入れていないということは極めて不可解であるということでございます。
○高村国務大臣 グローバルスタンダードがあって、ほかの国が日本より有利なところがあれば、それは不公平ですねということで、申し入れます。韓国の場合は、まさにそういうことだったんです。そういう中で申し入れて、起訴された時点で十二の犯罪だけ引き渡すとなっているわけでありますから、日本の立場より今でも韓国の立場は、外国のことは余り言いたくないんですけれども、そういう状況で全く事情が違う、こういうふうに思っています。
○武正委員 ボンの地位協定では、たしか低空飛行の禁止という項目があったと思うんですね。ですから、私は、やはり各国それぞれ、日本にとっても参考にすべき点はあるし、地位協定の改定というものは行わないんだということで臨む政府の姿勢がいかがなものかと。私どもは、やはり地位協定の改定というものの実現が必要だというふうに申し上げております。
そこで、ちょっと時間もありませんが、普天間飛行場の移設問題に触れさせていただきます。
お手元資料、八ページ、九ページをごらんいただきますと、これは、ちょうど額賀財務大臣が防衛庁長官当時に結んだ普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書でございます。その一番、読みますと、「防衛庁と名護市は普天間飛行場代替施設の建設に当たっては、名護市の要求する辺野古地区、豊原地区及び安部地区の上空の飛行ルートを回避する方向で対応することに合意する。」このように合意書を現財務大臣は交わしておられます。
しかし、昨年の第五回の内閣官房主催で行われた移設協議会でも、防衛大臣は、緊急及び訓練の場合は上空を飛ぶことがあるんだ、このように言われて、また、今回、二月に出てまいりましたアセスに関する追加の資料の中でも同様のことが述べられております。ということは、以前の地元の自治体との基本合意に背くのではないのかというふうに思いますが、この点について御所見を伺いたいと思います。
○石破国務大臣 政府といたしましては、普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書につきましては、周辺地域上空の飛行を回避してほしいとの御要望を踏まえ、平成十八年四月七日に防衛庁長官と名護市長との間で締結したものでございます。これは、同合意書も踏まえまして、同年五月一日にロードマップが日米間で合意されたと考えておるところでございまして、今後、日米合意に従いまして、地元の声にも耳を傾けつつ、移設、返還を着実に進めてまいりたい。
ですから、本当に地元が何を望んでおられるかということは、よく、きちんと認識をしてやらなければいけないと思います。緊急の場合とはどういう場合か。それに名をかりて、そうじゃない場合にも飛ばないような、そういうことはよく考えていかねばなりませんが、日米でよく話をしながら、地元の意向というものを踏まえて、誠実にやっていかねばならないものだと思っております。
○武正委員 この二月十五日、私ども民主党が、私も行きましたが、ジルマー四軍調整官に抗議ということで申し入れを行ったときに仲井眞知事とも面会をいたしましたが、同日、仲井眞知事は、たしか、前々から三年で普天間基地の返還ということを主張されておりますし、もともとSACO合意のときにはこの普天間基地の危険除去だった、そもそもは危険除去だった、それが今や辺野古への移設とパッケージで普天間返還というような形、あるいはグアムへの移転とパッケージで普天間移設というのは、やはりこれは切り離してほしいというようなことを申しております。それが地元の意向でもございます。
ですから、普天間では、普天間の小学校がそのゾーンの中に入っているという問題点も地元の宜野湾の市長が指摘をしておりますので、私は、普天間移設については、民主党のこれまでの立場は、やはり国外移転、それまでの間は県外への移設もあるというようなことが民主党の主張でございますが、とにかく今の、普天間から辺野古への移設について、徹底して地元の自治体の意向というものをしっかりと聞いて対応すると今防衛大臣が申されたとおり、このことを求めて私の質問にかえさせていただきます。
ありがとうございました。
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