2008/04/02
【衆院外務委 議事録】 思いやり予算改定について質す

【議事録】

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 午前中最後のバッターになりますが、順次質疑を行わせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 特別協定についてということで、三月二十六日も質問をいたしまして、この間も理事懇談会でお願いをして、外務省、防衛省、本協定にかかわる情報開示、資料提供、これを真摯に国会に対して御提出いただくようお願いをしてまいりました。

 特に、平成十四年度以前、光熱水費の立てかえが行われているかどうか、これは何度も何度も伺ってきたんですが、現時点でそれが判明されたかどうか、防衛省、お答えをいただきたいと思います。

○江渡副大臣 お答えさせていただきます。

 日本側から米側への光熱水料の概算交付日につきまして、平成十五年度までは当省の資料により特定できておりましたけれども、今般、日本銀行の協力も得まして調査を続けた結果、平成十四年度から平成十二年度までさかのぼって概算交付日が特定できたところでございます。そしてまた、その資料等も本日の理事会等において出させていただいたと思っておりますけれども、このことによりまして、平成十四年度につきましては、米側による立てかえ払いを行っていないことが明らかになったところでございます。

 しかしながら、平成十三年度以前につきましては、必要な資料が保存されておりませんので、確認できていないという状況ではございます。

 なおさらに、平成十年度及び平成十一年度の概算交付日につきましては、引き続き、今現在、日本銀行の協力を得て調査をしていただいているところでございます。

 一方で、アメリカ側の支払い日につきましては、米側においては支払い関係のデータは一年で破棄しておりまして、当省においても平成十四年以降の分しか残っていないため、確認することはできないことから、米側による立てかえ払いの有無というのは確定できてはおりません。ただ、概算交付日が通常よりも相当日数おくれている場合には、一般的に、米側による立てかえ払いが行われたことと、そのように推察することはできると考えておるところでございます。

武正委員 外務大臣、この協定の担当大臣として、国会に承認を求めるこの審議の過程において、米側による立てかえ払いが五年を超えるものについて、ようやく平成十四年度のみがわかった。こういう政府の米側とのやりとり、交渉、これについてはどのようにお考えですか。

 私は、国会に承認を求める以上、やはり政府としても、米側の支払い状況について確認できるだけのことを日ごろからしっかりと合同委員会なりで行ってきてしかるべきというふうに思うんですが、ようやくこの審議になってどたばたと、ついには日銀までお願いをしてということですが、もっと前からこういったことをやっていれば当然わかることで、あるいは日々確認をしておくべきものだと思うんです。所管大臣としての御所見、御感想を伺いたいと思います。国会に対する説明責任でございます。

○高村国務大臣 政府とすれば、国会から求められたことはできるだけ説明をするように努めているところでございますが、今、防衛副大臣から、いろいろ苦労して調べた結果をわかった部分についてお伝えした、こういうことであろうかと思います。

 委員の御要求からすれば十分でなかったかもしれませんが、防衛省としては説明責任を果たそうと一生懸命された、こういうふうに承知をしております。

武正委員 担当大臣として国会に対する説明責任を果たそうという気概を感じられないのは、やはり私は大変残念でございます。

 そこで、続いて節約交渉について伺いたいんですが、三月二十六日、本委員会で外務大臣から、特に光熱水料、これについての合同委員会での分科会はどこですかということで、これは施設委員会であるというお答えがありました。この責任者は防衛省でありますが、施設委員会で節約交渉、特に光熱水料について、どういうように取り組んできたのか。具体的に、この施設委員会で昨年、回数は六回開かれておりますが、その中で節約交渉、光熱水料について提起をしたのか、防衛省、お答えいただきたいと思います。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員の御指摘の日米合同委員会のもとにあります施設分科委員会ですけれども、この施設分科委員会は、基本的に施設・区域の提供、返還等に関する協議を行う場でございまして、ほかに節約努力につき取り上げる場があったことから、本件が当分科委員会の議題として取り上げられることはなかったんですけれども、非公式に日米協議をしたことがあったというふうに報告を受けております。

 当省といたしましては、従来から、機会あるごとにアメリカ側に対し光熱水料等の節約を申し入れ、例えば平成十九年度におきましては、四月二日及び四月二十五日に、当時の防衛施設庁業務部長から在日米軍司令部の第四部長に対して申し入れを行いまして、また、米側からは、節約のために必要なすべての措置をとるということで回答を受けたところでございます。

 また、今御議論いただいておりますこの新たな特別協定におきましては、米側が経費の節約に一層努めることが確認されているところでございまして、どのような節約というものが可能かについては、これからも鋭意米側と協議させていただきたいと考えております。

武正委員 本協定の六条でも「この協定の実施に関するすべての事項につき、合同委員会を通じて協議することができる。」という条文があるから、こうしたことを聞いております。

 ちなみに、日米合同委員会の組織図がお手元の資料の一番最後のページに載っておりますので、ごらんをいただきたいと思いますが、今お話があった施設分科委員会は、昭和三十五年六月二十三日にできた、上から六つ目の分科委員会でございます。

 そこで、続いて、米軍再編に伴う訓練移転に伴って、地元負担の軽減の検証をこの合同委員会は行っているのかどうかを伺いたいと思います。同じく組織図の一番下に在日米軍再編統括部会というのがあります。かねてより指摘がありますが、嘉手納での訓練移転に伴って、嘉手納の基地負担、騒音等の負担が軽減されたことをこの統括部会で検証しているのかどうか。

 これは、代表は外務省、防衛省両省でありますので、外務大臣に伺いたいと思います。過去一年間、昨年、そうしたことをこの統括部会で取り上げたのかどうか、検証したのかどうか、外務大臣、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 防衛省といたしましては、嘉手納飛行場周辺等の十四カ所でございますけれども、十四カ所に自動騒音測定装置を設置し、騒音状況を把握しているところでございます。しかしながら、今回の米軍再編に係る嘉手納飛行場からの訓練移転につきましては、これまで四回しか実施しておらず、訓練移転に伴う騒音の軽減については、現時点において評価できるような分析には至っておりません。ですからこそ、この分科会においてまだ協議はしておらないところでございます。

武正委員 外務大臣、これは外務省も所管になって、代表は両省庁になっております。基地負担の軽減と抑止力の維持、これがロードマップのうたい文句でありますが、その基地負担の軽減の検証をこの統括部会で行わないと、やはり抑止力の維持のみが強くなっていってしまうということになると、結局はロードマップの遂行にも支障を来すし、ひいては日米同盟にも信頼感を揺るがすということになろうかと思うんです。ちゃんとこの統括部会で基地負担の軽減が行われているかどうか検証するということを行うべきだと思うんですが、どうですか、外務大臣。

○高村国務大臣 日米間で検証するということは必要なことだ、こういうふうに思っております。

 ただ、その前提として、今防衛副大臣がおっしゃったように、やはりみずから騒音測定等そういうことをきっちりやって、データを調べて、その上でやらないと、ただ減っている、減っていないと言い合ってもしようがないことですから、その基礎的データはさらに訓練移転が行われる中で積み上げていく必要もある、こういうふうに思っております。

武正委員 しっかりと担当省として取り上げていただきたいというふうに思います。

 繰り返しますが、本協定の第六条で「日本国及びアメリカ合衆国は、この協定の実施に関するすべての事項につき、合同委員会を通じて協議することができる。」このように条文に位置づけられているからこそ、この条文にのっとって合同委員会の各分科委員会でしっかりと取り上げていくことを強く求めたいと思います。

 そこで、資料の三ページをごらんいただきたいと思います。午前中、同僚委員から、職種を挙げればバーテンダーとかあるいはゴルフ場の職員とか、なぜそういうようないろいろなアミューズメントの施設の職員に日本側はとても税金を払えませんよと言わないんだろうか、言わないのかということの指摘があったんですが、これは言えないんですね。それがこの三ページの諸機関労務協約でございます。

 主文の第四条aの「在日米軍は、」の(二)、「職位および従業員の数、種類及び責務を決定する。」b、「防衛施設庁は、」「この協約の規定に基づき、諸機関の要求に応じて、適格応募者を差し向ける。」ということですから、この諸機関労務協約を変えない限り、今の枠組みでは、米側が言ってくる、こういった職種をふやしたい、どうだどうだということについて、日本側は、いや、これはだめだとか、これはとても認められない、こういうことが言えない枠組みになっているというふうに考えますが、外務大臣、いかがでしょうか。

○高村国務大臣 おっしゃるように、やはり今の枠組みでは、上限労働者の数を日米間で協議して決めて、そしてその上限労働者の数というのは上限労働者の範囲で日本が労務費を負担する、こういう仕組みであります。さらにそれを上回るものについてはアメリカ側が負担する、そういうふうになっていて、これは必要だ、これは必要でないという判断はアメリカ側がする。そして、そんなもの必要ないじゃないかとか、そういう話じゃなくて、金額として幾らまで、上限労働者の数に基づいて金額が幾らまでということが決まる、こういう仕組みになっているわけであります。

 そういう意味で、今の中で、お互い話し合いですから何でも言えないことはありませんけれども、決まるところはその上限の労働者の数というところで決まっていく、こういうことでございます。

武正委員 先ほどいみじくも、米側が必要だと言えば仕方がないかもしれないと。強く求めてきたぎりぎりの交渉であると言いましたが、非常に、労務協約がこういった形で結ばれていると、やはりこれを変える必要があると思うんですが、外務省として、これを変える、そうした御意思は、あるいは必要性を感じておられますか。

○高村国務大臣 今後、アメリカ側との交渉はしていかなければいけないと思います。それは、いろいろな観点があると思うんです。職種がどうだとか独立機関だからどうだとか、いろいろな観点から交渉していかなければいけないと思いますが、我が方の最大の関心事はどれだけ負担するかということであり、アメリカ側の最大の関心事もまさにそこなんだろう、こういうふうに思っています。

 そういう中で、今の枠組みで最大の、どこまで負担するかというのが、まさに今度の交渉の最終的決着点、こういうふうになったということをぜひ御理解いただきたいと思います。

武正委員 外交交渉は、やはり国際協約、国際協定あるいは条約、あるいはこうしたいろいろな書簡とか、そうしたことで交渉が積み上げられているものだというふうに理解いたしますので、こうした協定あるいは書簡、そしてまた協約、これでただすべきところをただしていくということで日本側の考え方、主張を実現していく、これが外交交渉だと私は理解しておりますので、やはり労務協約のこの部分を変えていくということが必要だというふうに私は考えるわけであります。

 そこで、続いて光熱水料に移らせていただきますが、四ページ目、これが光熱水料等の事務処理手続の流れでございます。防衛省から概算交付をし、そして、在日米軍司令部がそれに基づいての支払いを行うについて、支払い関係書類を防衛省に送るということでありまして、今回の委員会で出していただきました資料の一部を、五ページ、これが電気についての米側の公的機関としての書類。そして六ページ目が、これは東京電力が米側に出したインボイス、請求書、納品書。そして七ページ目は、これは灯油の、やはり米側の公的機関としての支払い証明書のようなものということであります。

 私は、当初説明を受けたときに、米側が東京電力に払った領収書を防衛省の方に提出しているんだというふうに聞いていたんですけれども、これを見ると、これは、アンダーラインを引いたところは私の方で防衛省の説明で書きました。例えば支払い日は、右側の上、二〇〇六年四月十三日というようなこと。それから支払い先、受取人の住所が四番に東京電力というふうに書かれておりまして、支払い機関名は「ユーエス デパートメント ビューロー オア エスタブリッシュメント アンド ロケーション ディフェンス ファイナンス アンド アカウント コロンバス」ということで、オハイオにあると。オハイオにあるこの支払い機関から支払われるということでありますが、東京電力の受領者のサインとか受領印とか、そういうものがない、こうしたもので米側が支払ったというふうにされて本当にいいのかどうか。

 先ほどの基地外は含まれないということも、この六ページ目の東京電力の請求書だけ見て、果たしてでは本当に基地内だけなのかということの、そのことも検証がどうやってできるのかということもあります。私は、この光熱水料の日米間のやりとり、やはり本来であれば、もう光熱水料、私は支払うべきでないというふうに思いますが、今こうした現状の中で問題点を指摘していく中で、こうしたやりとりも、やはりただすべきだと思います。

 外務大臣、どうですか。この五ページ目をもって東京電力に支払ったんだというふうに防衛省は考えておられるようですが、外交交渉でこの光熱水料の節約も求めている外務省、外務大臣として、これでいいというふうにお考えでしょうか。私は、東京電力の領収書を出してもらえば一番いいと思うんですが、どうでしょうか、外務大臣として、外交交渉で節約努力ぎりぎりのと言いますが、これでぎりぎりの交渉になりますか。どうですか。いや、外務大臣に聞いているんです。外務大臣としてお答えください。

○高村国務大臣 これは、協定の執行の部分ですから、やはり防衛省からお答えいただくのがいいと思います。

 我々は、ぎりぎりの節約をしてくれよということは言いまして、協定の中にそれを書き込んでいる、現行協定も書き込んでいますが、次の協定もより一層のものをしてくださいよということを書き込んだわけで、執行の部分としてこれで証明になるのかならないのか、どうしてなるのかということは、それは防衛省からお答えいただくのが正しいことだと思います。

○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員がお配りしたこの紙なわけですけれども、これは公用調達証明書及び支払い証明書というものでございまして、在日米軍が公用のため調達した光熱水料に係る支払い関係書類につきましては、合衆国軍隊等は、特別協定第二条の規定に基づきまして、公用で調達したことを証明する書類に添付して当省に書類を提出しているわけでございます。これが今の紙でございます。

 在日米軍の光熱水料等に係る料金あるいは代金の供給業者への支払い等は、電算処理、つまり電信振り込みをされていることから、領収書の添付はございません。支払い関係書類といたしましたこの公用証明書ほか請求書、明細書などが提出されているわけでございます。

 先ほど申し上げました特別協定第二条の条文におきましては、「合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が適当な証明書を付して」というふうにしておりまして、支払いの証拠書類としてどのような形式であるべきかというものは明示されておりません。

 政府といたしましては、たとえ領収書の添付がなくとも、合衆国軍隊等が公用で調達したことを明確に証明していることから、十分証明がなされているものと理解しているところでございます。

 なお、防衛省が行っております光熱水料等の経費負担については会計検査院の検査の対象となっておりまして、支払い関係書類について提示も行ってありまして、これまでの検査において支払い関係書類の不備を指摘されたという経緯はございません。支払いの証拠書としては十分な内容を満たしているものである、そのように理解しているところでございます。

武正委員 特別協定の二条にあるんですね、今のことが。

 外務大臣、この特別協定の二条も問題なんじゃないですか。公認調達機関が適当な証明書を付して代金の支払いに要する負担をするということで、その証明書、これでいいというふうにして本当にいいんでしょうか。

 この特別協定が根拠だとすれば、私はこの特別協定はやはり変えるべきだと思いますよ。ちゃんと支払いをしたという、その支払いを受けた側の領収書をもって証明をするというのがやはり普通、一般の我々のルールの中での当然の確認の事項ですから、支払いましたよという、支払った側が何かそういう書類を出せば、それをもって我々が、日側はそれで確認できたというふうに変えるべきじゃないでしょうか。いかがですか。

○高村国務大臣 防衛省が責任を持って処理をし、会計検査院もそれを是としている、それについて政府内部で、外務省がそれはおかしい、そういう話ではないんだろうと思います。

武正委員 やはりこうした外交当局者の対応では、国民の税金を無駄なく有効に使い、そしてそれがひいては日米の安全保障条約あるいは日米同盟の確固たる基盤の確立につながる信頼感の醸成につながるとはとても思えないということを申し上げて、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。