2008/04/09
【衆院外務委 議事録】 日中会談・米朝会談の内容について質す

【議事録】

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 在外公館等法改正ということで質疑をさせていただきます。

 お手元の方に資料を配らせていただきました。

 まず、この法改正の中で在勤基本手当の改正、現地の物価あるいは為替変動に基づいてということでございますが、特に、一ドル百十三円で平成二十年度の在勤基本手当の見直しの基本の平価としております。きのう時点で百二円、あるいは九十九円ということも記録をしておりますので、やはり円高がこれだけ進展している中で、一ページに書いてあるような見直しが行われるにしても、何か工夫を手だてできなかったのかと疑問に思うわけであります。

 二ページ目、過去、そうした急激な円高の際には、このように四月から六月の直近三カ月をもって見直しをして八月から減額をした、こういう例も既に外務省から御説明をいただいております。

 ただ、繰り返しますが、今の急激な円高の基調というものは、これまでの円高、円安を繰り返してきた過去の経緯と異なる。やはりドルに対する基軸通貨としての信頼が揺らいでいる。その原因は、とりもなおさずサブプライムローンということで、IMFも百兆円の損害が金融機関にということもきのう発表しておりますので、やはりドル安の基調が続くという中で、この点がいかがかというふうに思うんです。

 まず、外務大臣、一ドル百十三円で在勤基本手当を改定していくというこの法改正、円高の基調がまだまだ続くというふうに予見できる中でこの法改正いかがかというふうに思うんですが、お答えをいただきたいと思います。

○小野寺副大臣 名称位置給与法第十条におきまして、在勤基本手当の基準額を定め、実際の支給額を基準額の上下二五%の範囲内で政令に定めて決めるということになっております。この規定に従いまして、従来より、当該年度内の在外公館の所在地における為替の変動、物価の変動については、その都度、政令改正により対応し、大きく円高に動く場合には、当然のことながら在勤基本手当を減額しております。現在の円高についても、動向に注意しまして適切に対処していきたいと存じております。

 為替相場の変動につきましては常に注意を払っておりますが、三カ月間の為替相場の平均が七%を超えて変動した場合には、円高の場合には減額、円安の場合には増額をしております。過去、平成十一年度から十年間で、減額改定をしたのが十三回、増額改定をしたのが十二回ということになっております。

 例えば、円高が進行した平成十一年度においては計三回、八月に百四在外公館、十一月に百在外公館、一月に百二十二在外公館について減額改定を行っておりまして、ふえることもあり、減ることもあり、そのような中で、この三カ月という期間を見ながら適切に対応している、そういう現状になっています。

武正委員 財務省も政務官がお見えでございます。

 これは財務省が告示をしている官報に載った価格というのですか、毎年十二月に発表しているようでありまして、五ページに過去十年間の財務省告示の公布日、並びに、その積算レートの算出対象期間も、十年間のものを六ページに載せてございます。七ページが今回の、一ドルについて本邦通貨百十三円ということで、昨年の十二月二十五日、財務大臣名での告示でございます。

 きのう百二円という中で、今副大臣がおっしゃったようなやり方、一ページ目のやり方で、二ページ目のようなやり方でやったとしても、減額は八月からですから、当然、四、五、六、七は百十三円をもとにこの手当が出される、支払われるわけですね。

 やはり過去の円高、円安の基調と明らかに異なっているというふうに私は考えるわけですが、今の円高基調あるいはドル安基調が過去のものと違うのではないのかという認識についての財務省としての御意見と、あわせて、明らかにこれだけ円高でありながらこうした手当を予算として国会に提出する、このことについて、今の段階で財務省として、予算の査定にこれまでかかわってきたその立場からどのようにお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

○宮下大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘の、構造的に為替レートの状況が変わってきているのではないか、もちろんそういう分析もございますけれども、実際、予算編成自体は一定の為替レートをもとに編成作業また予算折衝作業をしなきゃいけない、こういうこともございまして、在外公館手当を含めて二十年度予算については、十月の二十二日から十一月の十九日まで直近一カ月をとりまして、そして十一月二十二日に積算レートを定めて、それで算定作業に入る、それから各省折衝も、この円ベースで折衝をするというやり方をとっておりますだけに、こういう状況になっております。

 しかしながら、私の個人的な考え方で言えば、過去に一カ月をとるとき、六カ月をとるとき、いろいろございますけれども、二十年度予算について一カ月をとったというのは、やはり長期的に足元が円高になってきていて、この円高をベースに予算編成をすべきだというそれなりの考え方で判断をしてやったというふうに思っております。

 今、為替が十円程度円高なわけですけれども、十円程度の変動というのは今後も十分考えられると思いますし、世界的にサブプライムローン問題への取り組み等々も行われております。一番いいのは日々変えることなのかもしれませんけれども、やはり三カ月ぐらいのトレンドを見て、給与でございますので、ある程度安定性を持って改定をしていくということで、当面、現状の方式ということを考えているということでございます。

武正委員 同じ時期、十月ですかね、金融機関も、ことしの四―六月、あるいは二十年度の一ドル幾らかというのを予想しているわけですが、みずほが百四円、UFJが百七円、大和百十円などなどばらばらでありますが、百円台前半も予想しているところもございました。

 その中で、百十三円ということが果たして当時財務省として適正だったのかなということもあわせて、また今、八ページ目に貨幣交換差増減整理手続、こういったやり方も財務省の方では持っておられるようであります。この今の資料の一ページ目の、四―六月期を見て八月から見直すんだと。減額の場合は、給与、手当は当然渡し切りですから、それを戻すということはできないということもありますので、やはりふやす分は、例えば四月にさかのぼってふやすようなやり方をとっていくということで工夫をしながら、特に今回は、過去とやはり違ったのではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 外務大臣、やりとりを聞いておられて、総合的に外務大臣としてのお考えもあろうかと思います。これを取り上げておりますのは、やはり国民への説明責任が外務省は問われている。これは外務省を問わずでありますが、とりわけ外務省改革ということで特にこの点を重視してきた省庁であるだけに、一ドル百円を切っているのに百十三円、当然これから減額措置が行われることはわかりながら法案を出している、あるいは、予算であるから、一度組んだ予算だからしようがないんだというような説明も財務省からも受けますが、非常に合点がいかないものですから、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

○高村国務大臣 今までの為替相場とはちょっと構造が変わってきた、こう委員はおっしゃいます。これは委員のお考えでありますが。

 私は経済企画庁長官経験者であるわけでありますが、政府が為替の予測というのをやってはいけないというのは、これは鉄則でありまして、ある基準のときに幾ら、こう決めたら、それでいく、こういう鉄則で、今までと違って今度は構造的だからこれから下がるだろうとか、そういうことを日本国政府がしてはいけないというのは、これは鉄則だ、私はこういうふうに思っております。

武正委員 予測をしてはいけないといっても、海外との契約とか、こうした海外での支払いとかが、御説明では三千億円ぐらいあるということで、どうしても現地での為替の変動のリスクを当然日本国政府としても受けるという中で、財務省が七ページのようなこうした告示をしているわけですから、これは当然財務省の、平成二十年度、一ドルが大体幾らで推移するかという予測でこれを決めて、そしてそれを全省庁に通達しているわけですから、これは政府が予測してはいけないと言われても、今そうした仕組みで動いているんじゃないんでしょうか。

○高村国務大臣 これは、その前一カ月とか三カ月とか若干の幅はありますが、それの平均の基準でとっているわけで、先を予測しているわけじゃないんです。その時点で基準額、今の財務省の御説明でいえば、今度はその基準の日の前の一カ月の平均ということでとっているという御説明がありましたが、そういうふうに、これからのことを予測していないんです。

 日本国政府が、これから為替がどうなるであろう、そういう市場に影響を与えるようなことをしてはいけないというのは、これは鉄則である、こういうふうに思っています。

武正委員 であるならば、例えば直近のデータを何か生かすような形ができないのか。

 というのは、特にこの一月から三月までの急激な円高が起こっていますので、今のように、そういう実績主義、それも一カ月から六カ月の幅で見ているということであれば、当然予算の策定という条件はあります、ただ、そうだとすれば、後からの増額というのはやりやすいのが人件費の仕組みになっておりますので、できるだけぎりぎりまでその直近のデータを換算するようなやり方とか、それから、人件費、手当については四月にさかのぼっての増額というのを基調にした仕組みへの見直しとか、何かそういう工夫はできないものだろうかというのが私の提案でもあるわけであります。

 財務省、いかがでしょうか。財務省として、こうした提案についてはなかなか難しいというお考えなのか、先ほど言った八ページのこうした手続なども生かしながら、やはり何か考慮の余地があるのか、お考えをお聞かせください。

○宮下大臣政務官 委員御指摘の八ページの貨幣交換差増減整理手続、これは、外貨で物品等を購入するときに、実質、外国公館等が為替のリスクを負わないように国が調整をするということで、まさに外貨での取引でございますので、為替差益とか差損は公館においては発生しない、こういう仕組みも確かにあります。

 ただ、給与を基本的に円で支給するという以上、やはり為替の変動リスクというのは必ずついて回るということでございまして、予算編成上の観点からは、初めから外貨でのやりとりがあるものについてこういったことをしっかり活用するというのが第一。第二としては、やはり円ベースで外務省全体の予算も調整をしなきゃいけない。その予算編成、折衝の前提としては、一つの基準レートを置いて、そして省の予算を決め、そして最終的に変動を調整するという今のやり方にならざるを得ないのではないかなという認識でございます。

○高村国務大臣 一九九五年だったと思いますが、ちょっと間違いかもしれません、円は一ドル七十九円ということがありました。その後、九五年以来ずっと、むしろ円安基調なんですよね。今ちょっと円高に振れていますけれども、全体的には九五年以来は円安基調。

 そういう中で、全く同じような仕組みで為替の調整をしてきて、外務省の職員にとっては大変厳しい状況にもあった。しかも、三カ月の平均で七%とすると、円ベースの給与に反映させますけれども、円高になったときは必ずすぐ反映させる、自動的に反映させるけれども、円安になって上げなければいけないときは、予算がないということで上げなかったことも多々ある。

 そういう状況でありますので、今度だけは構造的な円高だからそれは我慢しろ、もっと低く見積もれ、こういうことはちょっと違うのではないかな。やはり一つの仕組みの中でやってきたことでありますから、そういう方向で、ただ公務員に厳しくさえあればいいというんじゃなくて、やはり公正に扱うことが必要だと思います。

武正委員 過去の為替時系列データを見ておりますと、ちょうど二〇〇四年から二〇〇五年ですか、このときには百三円というような形で円高が急激に進行もしております。ただ、二〇〇五年の末から百二十円前後でずっと推移をしてきた。特に、近年の円安ということを言っておられるのだろうというふうに思います。

 また、公務員に厳しくということを言われましたけれども、総合的に公務員制度改革を見ていこうというのが今の内閣のお立場だと理解もしておりますし、我々もそれに対して対応をしていかなきゃいけないということでの、あくまでもやはり国民の目線から見た疑問ということをきょう取り上げたわけでありますので、財務省もなかなか難しいというお話もありますが、ぜひ御検討をいただけるようお願いしたいと思います。

 どうぞ、政務官、御退室をいただきたいと思います。

 それでは、次に移らせていただきますが、総務省が在外邦人の安全対策等に関する行政評価・監視結果に基づく勧告を昨年十一月に行っております。特に在外公館における安全対策の推進について、三項目ほど取り上げたいと思います。

 三十二カ国三十六在外公館に対しての調査を総務省が行いました。まず、長期滞在者等の在留状況の把握の推進でありますが、一つ項目を挙げますと、在留届が提出されていないため、緊急事態の発生に安否確認ができなかった例、確認に長時間を要した例が、三十六在外公館中八在外公館、十一事例あったということでございます。

 それから次に、短期渡航者の所在の把握の推進ということで、ホテル、旅行代理店のリストは作成、協力要請は行っていないもの、あるいは旅行代理店に対する協力要請にとどまっているものが十八在外公館あったということですね。

 ですから、短期旅行者の所在の把握の推進は、やはりホテルとか旅行代理店とか、あるいは、四在外公館では、有力な在留邦人あるいは日系のペンションなどのリストを作成しているというところもある一方、先ほど言ったように、十八在外公館は協力要請にとどまっているということが指摘をされておりました。

 とりわけ、三十六社の旅行代理店にアンケートをとりまして十二社からの回答で、平素から積極的な情報提供を在外公館に求めている旅行代理店が十社、それから、大手のみに情報が提供されて現地の旅行代理店への提供がないということを指摘している会社は三社、あるいは、緊急事態への対応の例えばセミナーなどを開催してほしいと言っている旅行代理店が二社あるということでございます。

 それから最後、在留邦人との連絡体制の整備については、平成十五年から十八年の三年九カ月、情報伝達訓練を一度も行っていない在外公館が、三十六在外公館のうち二十在外公館だ、こういったことが総務省のこの行政評価・監視結果に基づく勧告で、これは一部でありますが、出されております。

 今回、やはり在外公館でのさまざまな邦人に対するサービス、その機能強化ということも想定の上、こうした法案を出していらっしゃると思います。今、三つ挙げましたけれども、この総務省の勧告に対してどのような御所見をお持ちであり、それに対してどのように対応されるのか、お答えをいただきたいと思います。

○高村国務大臣 指摘を受けた公館につきましては、在留届の確認作業を行いました。また、在外公館に対しては、今後は年一回、在留届の現状確認を行うように指示をしたところでございます。

 短期滞在者についても、日本人が多く利用するホテル、旅行代理店、大学、語学学校等との協力関係を構築するように指示をしたところでございます。単なる協力を要請しただけで終わらないで、きっちりした協力関係を構築して在外公館が実態を把握できるように指示をしたところでございます。

武正委員 最近は、メールでのやりとりというもの、旅行者も当然されるようでありますが、例えば、長期、短期滞在者のアドレスの登録というのですか、何かあったらメールで急に連絡できるように、こういったこともあっていいだろう、こういうような指摘もあるし、また、それを実際にやっているところもあるようであります。

 在外公館にもっともっといろいろ工夫が欲しいということが、そうした滞在者から、旅行代理店から、あるいは旅行者からあるわけでありますが、では、これについては、こういう勧告も踏まえてより積極的に進めていく、そして、在外公館の機能強化の一つに、そうした邦人へのサービスというものを充実していくということで、改めて御決意をお聞かせいただきたいと思います。

○高村国務大臣 今の委員の御指摘を踏まえまして、より積極的に対応していきたい、こういうふうに思っております。

武正委員 やはり、こうした在外公館で働く外務省の職員の皆さんの手当増の法案、法改正でありますから、それが在外邦人へのサービスなりあるいは在外公館の機能強化に結びつくということが大前提の手当増、見直しだというふうに理解をいたしますので、もちろん、職員の皆さんの居住環境あるいは勤労意欲、あるいは御家族の皆さんへの配慮、これは当然大事な目的だと思いますが、やはり公務員としての本分はそこにあるというふうに理解いたしますので、その点を踏まえての法改正ということでお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、最後になりますが、これは三月ですか、新聞で報じられましたODA施設火災報告せず。

 国際協力銀行、きょうお見えをいただいておりますでしょうか。お手元の方では資料九ページになります。円借款事業、メキシコ合衆国メキシコ市大気汚染対策関連事業の概要ということで、これはJBICさんの資料になります。

 二〇〇二年の一月一日でしょうか、このプラントで火災が起きていたわけでありますが、このことについて、二月十五日の会計検査院の実地検査、あるいは、十一月二十七日でしょうか、国会への会計検査院の報告、こうしたものにそのことが盛り込まれていなかったということ、あるいはまた、JBICから会計検査院へ、実績ということで、虚偽の報告になるんでしょうか、PEMEXというメキシコの公社からの回答で、日量三万八千バレルということで、二〇〇一年の実績の処理量二万一千バレルを大幅に上回る数量を示して、施設は問題なく稼働しているとする見解を伝えていたということであります。

 まずは、会計検査院もお見えでございますので、このメキシコでの事業についての会計検査院としての実地検査、そしてまた国会への報告について御説明をいただけますでしょうか。

○斉藤会計検査院当局者 御説明いたします。

 まず、十三年度決算検査報告の概要ということでお話ししたいと思いますけれども、本件事業は、メキシコ市を中心といたします首都圏における大気汚染の改善を図ることを目的として、トゥーラ製油所というところに重油脱硫プラント及びディーゼル油脱硫プラント各一基を、サラマンカ製油所にディーゼル油脱硫プラント一基をそれぞれ建設するものでございました。

 国際協力銀行では、これに必要な資金といたしまして、三年の八月から十年四月までの間に五百九十八億八千九百十四万余円を貸し付けておりました。

 しかし、これら施設のうち、トゥーラ製油所の重油脱硫プラント一基、貸付実行額は四百八十九億六百八十六万円でございますけれども、これにつきましては、九年一月に完成いたしましたけれども、生産される低硫黄重油の供給先が計画から大きく変更されたなどのため、一日当たり五万バレルの処理能力に対しまして、処理実績が十一年一・八万バレル、十二年に二・八万バレル、それから十三年に二・一万バレルと大きく下回っていて、施設が十分稼働していない状況となっていたということでございました。

 本院では、効果が十分発現しない事態にかんがみ、相手国の自助努力を絶えず促し、事業に対する支援のための措置をより一層充実させることが重要であるということで、報告いたしたものでございます。

武正委員 私が伺ったのは、二月十五日に検査をしたとき、それからまた十一月二十七日、国会への報告で、今のように、処理実績が処理能力を下回っていて、十分に稼働しておらず、援助の効果が十分発現していない状況になっているということだったんですが、一月一日にプラントが火災になっていたということが報告をされていないわけなんですが、その理由と、その事実はいつ確認をされたのか、御説明をいただきたいと思います。

○斉藤会計検査院当局者 事実関係の確認でございますけれども、十四年の現地調査時におきまして、円借款事業の対象施設に事故が発生していたという点につきましては、当時の担当者に話を聞きまして、また内部資料等を調査いたしました。それからまた、国際協力銀行に対しても話を聞いたりいたしまして調査いたしました。

 その結果でございますけれども、調査した限りにおきましては、対象施設に事故が発生していたという事実につきましては、当時の調査官等が、国際協力銀行あるいは実施機関、相手国の実施機関でございますけれども、そこから報告を受けたとする記録は残っておりませんでした。それから、そのような報告を受けたという記憶もなかったということでございます。

武正委員 十一月二十七日までの間にも、二〇〇二年の八月三十日あるいは二〇〇二年の九月二十七日に口頭でJBICに対してその説明を求めて文書の回答を得ているようでありますが、そのときにも、そうした一月一日に火災があったという報告はJBICからなかったということでしょうか。

○斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 なかったということでございます。

武正委員 JBIC、おいででございますが、JBICもこの一月一日の火災ということは把握をしていなかった、あるいは、していたとすると、いつだったのか、どういう経緯で把握をしたのか、お答えいただけますか。

○森本政府参考人 お答えいたします。

 会計検査院の実地調査の直前、二〇〇二年の一月に当行の職員が現地を視察しておりまして、その視察時に、直前に火災事故が発生したという事実は把握しております。

武正委員 そのことを、会計検査院の検査あるいは会計検査院からの照会、十一月二十七日の国会への報告を作成するについて、報告をしていなかったと会計検査院は言っておりますが、なぜでしょうか。

○森本政府参考人 その出張時に当行の担当者は、メキシコの石油公社、これは実施機関でございますが、このPEMEXから、施設は一、二カ月程度で再稼働するというふうに聞いておりまして、重大な事故とはその時点で認識していなかったということで検査院には報告しなかったということだというふうに認識しております。

 私どもといたしましては、この点につきましては、検査院に対する報告にきめ細かさを欠いた面がございまして、結果として誤解を招きかねない面があったというふうに考えております。

武正委員 二〇〇二年の八月三十日と二〇〇二年九月二十七日に会計検査院に文書の回答をされておりますが、その写しを委員会の方に御提出いただけますでしょうか。JBICさん、いかがでしょうか。

○森本政府参考人 先生御指摘の文書につきましては、その文書の性格や内容を踏まえまして、関連する法規等にのっとりまして検討させていただきます。

武正委員 事前にJBICさんに聞いたら、会計検査院さんがオーケーならば出せるというふうに言っていたんですが、会計検査院さん、いかがでしょうか。このやりとりというのが大変大事なものですから、国会としても注目をしているもので、今言われたように、火災の報告がなかったということを証明する大事な文書になろうかと思いますが、御提出について会計検査院としてのお考えをお聞かせください。

○斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院といたしましては、検査に係る意思形成過程での記録はいまだ未成熟な内容でございまして、その公表が国民に誤解を与えかねず、また検査上のノウハウにつきましてそれを伴うものであることなどから、公表を御容赦させていただいております。

 検査対象の機関から公開についての御相談を受けた場合には、格段の御配慮をいただくようにお願いしてきているところでございます。

武正委員 できないという答えでありますので、JBICさんは出したいと言っても、できないということになってしまうんでしょうか。

 ところで、会計検査院が二月十五日に現地視察したときに、通訳はどの方がやられたのか、それから大使館の職員は立ち会ったのか、お答えをいただきたいと思います。会計検査院。

○斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 通訳につきましては、相手側で通訳をしていただいたということでございまして、それから大使館については、名前はわかりませんけれども、随行していたということになっております。

武正委員 通訳は相手方というお話でしたけれども、JBICさんもたしかこのとき立ち会っていると思うんですが、通訳はだれがやったのか、JBICさん、お答えをいただけますか。

○森本政府参考人 通訳につきましては、実際に現地でだれがしたかにつきましては、今この場では確たる資料は持っておりません。

武正委員 会計検査院は、今、相手方ということでしたけれども、相手方というのはPEMEXということでしょうか。

○斉藤会計検査院当局者 お答えいたします。

 当方、会計検査院側でつけた通訳ではないということでございます。

武正委員 通訳がだれかわからないというようなことで、本当に不可解でありますが、JBICは、実地検査前の一月末から、火災跡は外観からはわからない、稼働していないことを実査、実地検査で指摘された場合には、メンテナンスによる休止と回答するよう指示とする文書を行内で回覧したという報道がありますが、こうした事実はございますでしょうか。

○森本政府参考人 先ほど申しました、会計検査院の実地調査前に現地を視察した職員の視察結果をまとめた文書というのが存在することは事実でございます。

 その中に、当該火災が、一、二カ月で施設が再稼働する予定である、また、通常年間六十日程度のメンテナンスによる施設の休止期間があるということから、稼働がとまっていることを問われた場合にはメンテナンスによる休止と回答するようにというふうに指示した旨の内容が含まれております。

武正委員 また、先ほど触れた、八月三十日、二〇〇二年の脱硫処理量の見込みについてJBICは同日、検査院に、PEMEXからの回答によれば日量三万八千バレルと、二〇〇一年実績の処理量、日量二万一千バレルを大幅に上回る数量を示し、施設は問題なく稼働しているとする見解を伝えていたという報道は事実でしょうか。

○森本政府参考人 会計検査院より当該プラントの今後の処理見込み量について御質問がございましたので、PEMEXより正式の報告を受け、二〇〇二年の処理量見込みとして三万八千バレル・パー・デー、日量三万八千バレルという報告を会計検査院にいたしました。

 また、施設は問題なく稼働しているという報告は、会計検査院の検査報告にもございましたように、当該プラントは処理実績が予定を下回っている状態が続いておりまして、その理由といたしましては、むしろメキシコ政府のエネルギー政策の変更による面が大きいという意味で、当該施設稼働の問題ではないという趣旨で、その旨報告したものと理解しております。

武正委員 要は、この年は九月まで処理量はゼロであったわけであります、火災によって。それで、特殊なケーブルが調達できないということで、処理がゼロであった。年間平均の処理量は、会計検査院にJBICが報告した十分の一以下の三千四百七十バレルにとどまっているということでありまして、JBICから検査院への報告がPEMEXからのそれを伝えているということで、事実と違うということもありますし、検査院の検査に当たって、稼働が停止をした主要な理由である火災ということをJBICが伝えずに、結果、国会への報告書がつくられているということであります。

 私がちょっと最後に外務大臣に伺いたいのは、このときにメキシコ大使館の職員が会計検査院の検査に同行しているという点でありまして、私は、海外でのODAの実施について、やはり大使館の果たす役割というのは大きいものがあるというふうに思うんですね、在外公館として。そのときに、適正な税金の使い方がされているのかどうかも、やはり外務省としても、特にODAについて見ていく必要があるだろうというふうに思いますので、本事案について、果たしてメキシコ大使館の職員がこのことを知っていたのかどうかということを聞いたわけです。

 お手元、十一ページ、外務省からペーパーをいただきました。これは一カ月ほど前のペーパーでございました。四番、「二〇〇二年二月の会計検査院の実地検査の時点で、火災事故を承知していたのか。」外務省からのペーパーでありますが、「現在も確認中ですが、これまで過去の関連文書の確認及び当時の本件関係者への照会を行った限りでは、外務省が二〇〇二年二月の会計検査院の実地検査の時点で、火災事故を承知していたということは未だ確認されていません。」と。

 一カ月前の御回答でしたが、今時点でも、外務省として本件事案の火災は承知されていなかったのかどうか。その点、承知していたのかどうかの確認はいまだできていないのかどうか、できたのか。また、このときにはもしかしたらまだわからなかったかもしれないけれども、その後、会計検査院の報告が出る十一月二十七日までの間に外務省として承知をした経緯があるのかどうか。外務省にお答えをいただきたいと思います。

○小野寺副大臣 メキシコの現地の大使館員がこれを認識していたかということに関しては、承知してということをいまだ確認はされておりません。また、外務省が本件事案を正式に報告を受けたのは、ことし二月二十一日ということであります。

武正委員 最後、外務大臣にちょっとこれまでのやりとりについての御感想、御所見を伺いたいんです。

 これはODAの一事例、その適正な執行をチェックする立場で会計検査院もいろいろ現地の実査をやったわけでありますが、それに対してやはり外務省として、火災のことも現地の大使館も把握をしていなかったということの今御報告があったわけですが、果たしてそれでODAの適正な実行が可能なのかどうか心配でありますし、ましてや、在外公館の機能強化を果たしていこうという法改正を御提出されているお立場から、やはりODAの適正な実行について、外務省、特に在外公館の果たすべき役割を改めて見直す必要があるのかなというふうに思いますが、御所見を伺います。

○高村国務大臣 大使館自体が当時、火災の件について知らなかったのは、それが悪かったかどうかというのは、一概に今言えないと思います。ただ、JBICの方が火災についてきっちり言わなかった、検査院の調査について。これについては、極めて誤解を招きやすいことであったなと。私も誤解していますから、誤解かどうかはわかりませんが。やはり誤解を招きやすいことだから、こういうことは気をつけてもらうように外務省としても指導していきたい、こう思っています。

武正委員 ぜひ在外公館としても、この点を踏まえてお取り組み、改めて見直しをしていただきたいということを申し述べて、質問を終わります。ありがとうございました。