2008/04/16
【衆院外務委 議事録】 日中局長級協議について質す |
【議事録】
○武正委員 民主党の武正公一です。
条約についての質疑、主に日中刑事共助条約について行わせていただきます。
条約が日中間にかかわる案件でもございますし、今、近藤委員が指摘をしましたように、当外務委員会の理事懇談会で、本条約の質疑を早くすべきだ、こういうことがあったということも御紹介をさせていただきます。
それは当然、ギョーザ事件というものが発生をして、今なお捜査あるいは原因、真相究明、再発防止策の協議中、立案中ということでありますので、この共助条約の承認がそれに供するのではないかということからきょう審議になっておりますので、事件についても伺ってまいりますし、また、今大臣がおっしゃったように、十七日でしょうか、中国の外相も来日されますし、あるいは胡錦濤主席が五月には来日をされる、日中間でもさまざまなレベルで協議が進んでいる中でのお話も伺いたいと思っております。
まず冒頭、既に同僚委員からも質問もあったんですが、外相が日ロ外相会談から帰国をされましたので、これについて伺いたいと思います。
もう既に御紹介はあったんですけれども、やはり領土問題について、外務省からもペーパーをいただきましたし、先ほど外相からもお話があった、双方にとり受け入れ可能な解決を見出すために全力を尽くす旨、これはラブロフ外相が、当時のプーチン大統領が安倍総理に述べたことを繰り返して言っておられます。この双方にとり受け入れ可能な解決策というのが一体どこになっていくのかということでありまして、報道では、外相は日本側の立場を主張した旨も報道されておりますが、領土問題の解決に向けまして、双方にとり受け入れ可能な解決というものの協議が今どういう段階に至っているのか、今回の訪ロでどのような感触を持たれたのか。
なおかつ、月末には総理が訪ロされる、この中で、どういった形でこの双方にとり受け入れ可能な解決を見出すような方途がこれからとられるのか伺いたいというのが、まず一つでございます。
あわせて、六者会合についての記述の中に、ラブロフ外相から明るい兆しが見えるという発言があったものですから、それについて高村外相の方は、やはり完全かつ正確な申告、これがもう前提ですよと、ある面、くぎを刺されたのかなというふうに思うんですけれども、この六者会合についてどのようなやりとりがあったのかも、あわせて御披瀝をいただきたいと思います。
○高村国務大臣 北方領土問題につきましては、先ほど申し上げたように、日ロ関係を高い次元に引き上げていくための努力を行うとともに、領土問題の最終的解決に向け、双方にとり受け入れ可能な解決策を見出すべく、一層真剣に交渉を続けていくことで一致しました、こういうことであります。
そこで、御質問が、双方にとり受け入れ可能な見解をどうやって見出すのかと。これはお互いに真剣に考えていかなければいけない話でありますが、私は、ロシア側がやはり高いレベルでの政治決断をしてもらう以外にない、こういうふうなことを申し上げました。ロシア側は、いずれにしても、双方にとって受け入れ可能な案を目指すためにロシア側は真剣に努力をしていくことをお約束する、そういうことなんでしょう、せんじ詰めれば。
そういうことをいろいろな言葉で、かなり長い時間この問題に費やしましたが、余り一つ一つの言葉を御紹介申し上げるのは外交上得策でない、相手にとっても気にさわる面があるかもしれませんので言いませんけれども、それは双方にとって受け入れ可能な方策というのを見出すというのは、両方とも世論がバックにあるわけでありますから、そう簡単なことではない。ただし、ロシア側はそれを真剣にやる、それはある種の大きな政治決断になると思いますが、それをやってくださいということを強く申し上げてきた、こういうことです。
○武正委員 報道では、これまでの日本側の主張である四島の帰属を確認して平和条約の締結をという日本側の主張を述べたという報道もあるんですが、外務省からいただいたペーパーにはちょっとそういう記述がないものですから、改めてそういったことを言われたのか。そして、それについて日本側の主張をして、双方が解決する落としどころという話ですが、それについてラブロフ外相はどう答えられたのか、可能な範囲でお答えをいただきたいのと、先ほど質問したことで六者会談について、これはちょっとお答えがなかったので。
あわせて、北朝鮮の拉致問題の解決についてもやはり記述がないんですけれども、これについて取り上げられたのか、触れられたのか、お答えをいただきたいと思います。
○高村国務大臣 まず、六者会合から申し上げますと、六者会合については、当然のことながら、私の方から、完全かつ正確な申告が必要であるということを申し上げております。ラブロフ外相は、それに対して異議を言ったというようなことは全くありません。一致した、こういうふうに考えております。ただ、全体的に、明るい兆しというのは全体的な印象をラブロフ外相が述べた、こういうことだと思います。具体的な、もうすぐできるとか、そういうことを言ったわけではありません。
それから、日朝関係の進展のことについては、私の方から申し上げました。
それから、当然のことながら、領土問題を解決して平和条約を締結することが大切だ、それについては、我が方とロシア側は一致をしているわけでございます。
○武正委員 総理が訪ロされるわけなんですけれども、この後ちょっと日中の局長級協議でも聞きますが、やはり合意文書というものが、以前も、あれは小泉総理が訪ロしたときでしょうか、たしか十本ぐらい合意文書があったと記憶をしておりますけれども、今回もやはりそういう合意文書というものは予定をされているんでしょうか。
○高村国務大臣 サミット前に訪ロして首脳会談を行いたいということで日ロ間で一致しておりますが、現時点でまだ国会の承認がとれていると承知をしておりませんので、私は承知していないわけでありますが、日程等も詰めてまいりましたが、国会の承認を得た上で、得られたら訪ロする、こういうことでございます。
それで、主たる目的は、領土問題はもちろん含まれるわけでありますが、それと同時に、サミットが行われますので、サミットの準備ということがかなり大きな課題になると思います。そういう面で、直ちに文書をつくるかどうかということについては現段階ではわかりません。
○武正委員 重ねてお伺いしますが、日朝間の懸案について、拉致問題について、今回訪ロのときの外相とのやりとりでは取り上げて、日本側の立場は当然、解決に向けてロシア側の協力を、そういうことになろうかと思うんですが、そういうような趣旨で取り上げられたということで確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○高村国務大臣 拉致問題を含む日朝関係についてはお話をいたしましたが、深い話をこの時点でしたわけではありません。むしろ、日ロ関係ということが主たる課題でありました。
○武正委員 それでは次に、日中局長級協議について伺わせていただきます。
直接北京で交渉されたので、本来であれば総合外交政策局長の河相さんに伺いたかったのですけれども、まだ帰国されていないということで副大臣になるんでしょうか。
これについて、特に、これもやはりペーパーをいただいておりまして、お手元に資料を配らせていただきました外務省のペーパーでございますが、この中で幾つかちょっと目を引くのが、我が国の安保理常任理事国入りについての中国の積極的な姿勢を求めた、こういうようなフレーズとか、あと、人権理事会等の改革についての意見交換とか、こういったことがここに書いてあるんですけれども、ここら辺を中心に、このペーパーを見ればわかるものですから、さらにどのようなやりとりがあったのか、お答えをいただきたいと思います。
○小野寺副大臣 現時点でもまだこの会議は続いているということですので、現時点でお話しできることをお話しさせていただきたいと思います。
御指摘がありましたように、十四日、局長級協議が行われておりまして、我が国からは河相総合外交政策局長が、中国側からは呉海竜外交部国際司長が出席しております。
同協議におきましては、安保理改革に関して、その必要性については日中間の共通の認識があること、改革に当たっては、理事国の拡大と安保理の効率性の向上のバランスをとる必要があること、可能な限り多くの加盟国の支持を得て行うべきこと等について意見が一致をしました。
また、我が国より、本件に関する取り組みの現状について説明するとともに、我が国の安全保障理事会常任理事国入りについて中国の積極的な姿勢を求めました。
我が国としましては、今後とも、十七日から訪日されるヨウケツチ外交部長と高村大臣の会談を含め、さまざまなレベルでの協議を積み重ねることにより、中国との間で安保理改革に関する対話を強化し、中国側の理解を促進するとともに、より積極的な態度が得られるように努力していく考えであります。
○武正委員 人権理事会についてのやりとりがあるんですけれども、これについては。
○小野寺副大臣 人権理事会につきましては、同理事会の機能強化について日中間で意見交換が行われました。
○武正委員 お手元のペーパーでは、日中外相協議、それから五月の国家主席の訪日を控えて行われたということでありますが、報道では、主席来日については、これまで三つの文書があるということで、ある面、第四の文書というようなことも言われる。首脳間の合意、これを文書にするというようなことが報じられておりますが、今そうした準備をされているのか、あるいは局長級協議でそういったことも話されたのか、伺えますでしょうか。
○小野寺副大臣 胡錦濤国家主席の訪日の際の成果物等の御指摘だと思いますが、ここについては現在検討しているところでありまして、その詳細についてはお答えさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思っております。
○武正委員 ちょうど今、与党の幹事長が訪中をされているというふうに伺っております。総理の親書をお渡しされたということもきのう報じられておりますが、この外務委員会でも総理にもおいでいただいて、特にあのときには、チベット問題等も踏まえて、日本としての考え方、それをやはり中国首脳に伝えていくべきではないだろうか、こういうやりとりを私も含めて複数の委員と総理もされた折に、タイミングを見てというようなお話がございました。
このタイミングで親書が与党の幹事長によって手交されたということでありますので、ある面、やはりそうしたことも今回の親書に含まれているのかなというふうに推察する向きもあるんですが、外務大臣、この点、何かお聞きになっておられますか。
○小野寺副大臣 済みません、確認したいのですが、今回の協議、今、河相等が行っている協議について、このチベット問題の指摘があったかということの御質問だったでしょうか。
○武正委員 先ほど触れたように、総理の親書ですね。ですから、この間も外務委員会で総理は、タイミングを見てしかるべきときにみずから中国首脳に対してしっかりと伝えていくんだ、タイミングを見ているんだ、こういうような発言があったものですから、今回ちょうど与党の幹事長が総理の親書を手交されていますので、こういったタイミングで、そうした親書で総理みずからの考えを中国首脳に伝えられたのかなというふうに推察する向きがあるものですから、外務大臣はその点御存じかなということでお聞きをしたわけでございます。
○高村国務大臣 親書の中に書かれていることを、私見ておりませんので、正確には存じません。
仮に知っていたとしても、総理みずからがおっしゃるか、受け取った方がおっしゃるかされない限りは申し上げることではないだろう、こういうふうに思っております。
○武正委員 御存じではあるということがわかったわけでございます。
では、局長級協議にまた戻らせていただきますけれども、この後また触れてまいりますが、ギョーザ事件については、このときは、特に局長級協議では触れられていないということでしょうか。
○小野寺副大臣 今回の局長級協議では行っておりません。
○武正委員 それでは、中国製ギョーザ事件について質問を移らせていただきます。
まず、警察庁もお見えでございますので、つい先日、第四回の日中間の協議が行われたというふうに聞いております。その協議でどのように両国の捜査あるいは調査、あるいは科学的な知見、これの突き合わせをして、何か双方の理解が前進を見たのかどうかも含めまして、第四回の、あるいは第四回までに日中間の警察当局が回を重ねてきて現時点で判明をしたこと、あるいは合意をしたこと、お答えをいただけますでしょうか。
○米田政府参考人 既に中国との間では四回にわたりまして捜査幹部が行き来をし、あるいは鑑定、科学捜査の専門家が行き来をしております。
今御指摘の第四回の情報交換会議、これは中国の方で行いまして、公安部及び物証鑑定センター、我が国でいえば科学警察研究所に当たるところだと思いますが、そこにおきまして鑑定に関するさまざまな協議を行いました。その結果、共通の認識に達したものもございますし、まだまだ引き続き協議が必要なものもあるということでございますが、協議がかなり進展をしたということは間違いないところでございまして、成果があったというように考えております。
○武正委員 大体どのぐらいでその成果が結実するというか、発表になっていくのか。やはりみんなが望んでおりますのは、原因が那辺にあるのかといったことが知りたい、こういうことだと思うんですね。それが当然再発防止につながるわけでありますが、この協議の行方あるいはめど、ここら辺についてお答えをいただけますか。
○米田政府参考人 確かに、これは犯人を捕まえて事件を解決するというところまでいかなければ、本当に成果があったとは言えないわけでございます。
その意味で、我が国における捜査につきましては、日本警察としては全力を挙げて取り組んでおりまして、捜査項目のほとんどを終了するという段階に至っております。中国に対しましても、中国の捜査には全面的に協力するということで、さまざまな資料、情報等を提供しております。日中両国間が相連携して初めてこの事件の解決がなされるものと思っておりますが、現在のところでは、いつまでというめどは立ってございません。
○武正委員 この共助条約が本事件の解決につながるかといえば、当然、これから承認していくわけですから、同時並行でもう進んでいるわけですが、ただ、やはりこの条約の承認が追い風になっていけばというふうなことで、国会もきょうこうして審議をしているわけでございます。
ただ、今のめどが立っていないという警察当局の話でございますが、JR東海を利用されると新幹線の中にウエッジという雑誌がありまして、ちょうど四月号ですか、ここに二本、ギョーザ事件あるいは共助条約に関する記事がありまして、おもしろいなということでちょっと御紹介をさせていただきますと、いろいろなところに書かれています土本さんという教授の方が、外国人の犯罪がふえていく中で、代理処罰などを利用して、外国人犯罪、国外に逃亡してもやはりそれについてしっかりと処罰をさせるべきだ、こういうようなことを書かれております。
ただ、その中で、改正刑法で有期刑が十五年から二十年に延長されたけれども、高村大臣も法務大臣を御経験ですからもう釈迦に説法でありますが、日本の場合は無期懲役といっても禁錮十年で仮出獄してしまう。こういう中で、改正刑法で十五年から二十年に延ばしてはあるけれども、一部外国人の中に、日本は刑が軽いし、刑務所は清潔で居心地がよい、こういうようなことを言っている向きもある。こういったことで果たして外国人犯罪の取り締まりというものが実効性を上げられるだろうか、こういうような指摘の中で、それこそ刑事共助条約、あるいはもうありました引き渡し条約、あるいは代理処罰、いろいろな形で積極的に対応すべしという論調だと私は読んだわけであります。
法務副大臣、いかがでしょうか。日本は刑が軽いし、刑務所は清潔で居心地がいい、こういうようなことが外国人のそうした犯罪者から言われているのかどうか、私は直接聞いたわけではないんですけれども、ただ、これはやはり日本の、先ほど触れた、無期懲役であっても十年で出てきてしまうというようなことも含めて、外国人の犯罪が二〇〇六年、それこそ四万件を超えておりますし、二万人近くのこうした犯罪があります。犯罪がふえていく中で、さっき、本条約はまだ三カ国目だ、もっとふやさなきゃいけない、こういうような話もある中で、これについて法務副大臣、御所見を伺いたい。
○河井副大臣 ただいまの武正公一議員のお尋ねは、中国製ギョーザ事件という個別具体の事件ではないんですね。それでございましたら、具体的な捜査の内容にかかわる事項でございますので、お答えは差し控えさせていただきますとお答えするところでございましたけれども、一般論ということでありますので、お答えをさせていただきます。
日本も中国も、捜査共助の実施については、それぞれの国内法にのっとって現在でも共助の実施は可能なんですけれども、この条約を締結していただくことによって、共助がより確実かつ迅速に行われることが期待をされておりまして、理由は幾つかあります。
一つは、この条約の締結によって、日中間、共助の実施が条約上の義務ということになりまして、一層確実に実施されることを確保できる。それから、両国で中央当局というのを指定して、これまでの外交当局、外務省を通じなくて、外務委員会でこういうことを言うのもあれなんですけれども、中央当局間で直接話を行うことが可能になりますので、事務処理の軽減、迅速化も期待できる。それから、請求国における捜査の対象とされている行為、つまり、日本で捜査の対象とされている行為が中国の法令によれば犯罪を構成しない場合でも、中国に対してその共助の実施を請求し得ることになる。また、共助の内容として、受刑者証人移送、すなわち、日中間でいえば、中国の受刑者を日本の刑事手続に証人として出頭させることを可能とするため、一時的に移送することを相互に請求することが可能になるというふうな理由がございまして、期待をしております。
私も、実際に刑務所等これまで視察を幾つかしてまいりました。所によりましては外国人の受刑者の方が大変多くなっておりまして、通訳の確保とか、それからやはり生活習慣の違い、いろいろな面で現場の刑務官の皆さんには大変苦労しながら仕事を一生懸命していただいております。
ということで、今議員が御指摘いただきました受刑者の移送の条約の締結についても、やはりしっかりと取り組んでいただいて、できるだけ早く締結をしていただくことによって、日本の行刑施設の負担が軽くなっていく道の一つだろうと期待をさせていただいております。
○武正委員 もう一つ記事を御紹介いたしますと、実はタイで、タイ米がおいしいということで、日本と同じように中国に随分売られて、買われているそうなんですが、そのタイ米に、純粋なジャスミン米というんですか、そういうものじゃないものがまぜられて中国で売られた。これがやはり大きな問題になって、タイの農業学術局はサンプル分析とかコンテナ積み前の品質検査とかコンテナの清潔度の点検などを行って、中国とタイの当局もこれについてはお互いに協力をした。中国側当局者は、これはこの指摘ですけれども、いわゆるそらぞらしい弁明もない、それからタイ側もある面冷静であるということで、またぞろあらわれた悪質業者によるインチキ商法と心得ているからだろうということで締めてあります。
この中で提案をしているのは、今回の日中のギョーザ事件が、ここでも指摘されているんですけれども、高度な政治案件に格上げされてしまっているのではないのか、そういう指摘の中で、割に中・タイは冷静な対応をしているんだということを指摘しているわけであります。
警察庁お見えですけれども、私は何度か警察庁に言いました。本来であれば冷静に科学的知見にのっとって、これまでだって、国際礼譲で外務省を通じて任意で、例えば天洋食品でしたか、工場を見に行くことだってできるわけですから、いろいろなやり方もあるだろう、そういうようなことも申し上げましたけれども、これがそうした政治案件のような形で格上げされてしまうと、こうした日中間にまたがることが、一つ一つ丁寧にとさっき外相はおっしゃいましたけれども、何か事が大きくなっていってしまわないように、どういうような形でそれができるのかという中で、この中では一つ、日・タイで協力したらどうかというようなことも提案をしているわけです。
要は、食料品を中国に輸出したり、あるいは中国から食料品が来るそうした国、それについて、やはり多国間の何か枠組みなり協力の中で、ある面冷静な議論ができるようにしよう、あるいはそうした検証ができるようにしようというような提案だと思うんですが、外務大臣、これはいかがでしょうか。
○高村国務大臣 高度な政治問題に格上げされた、その指摘が何を言っているのかわかりませんが、そういうことは全くありません。
全部が全部そうとは言いませんけれども、警察あるいは向こうの公安当局も含めて、日中両政府は相当冷静にこの問題について対応している、こういうふうに思っています。むしろ、冷静なのが気に食わない人たちがそういうことを、政治問題に格上げされていいかげんにしようとしているんじゃないかなどとあらぬ憶測をしているのではないかとすら私は思います。
日中両政府は、これは特に両国国民、特に日本国民の関心事でありますから、これを、その関心から目をそらせて政治解決ができるなんということは、よほど知能指数の低い政府でない限りそんなことは考えませんよ。そんなこと考えません。この問題については、どうして解決すべきか、冷静に対応しているところでございます。政治問題に格上げなどという、そういうばかな謀略みたいなことはいたしません。
○武正委員 ぜひ、そういった対応を関係各省、それから、この提言も一つそこの点はアイデアなのかなと思うんですね。今回のこうした食品の輸出入に関して、もし他国も同じような問題を抱えているとすれば、その相互のやはり情報共有とか連携があっていいんじゃないかという提案だというふうに御理解をいただきたいと思います。
ただ、今の外相の御発言は、実はチベット問題について私がやはり率直に中国首脳に言うべきだということを申し上げたときに、外相はたしか、いや、実は日中間の国民感情はある面非常に微妙なところがあるんだ、なかなか、こうやって直接言ったことによって、それが明らかになったことによって、変に曲解されたり、ハレーションを起こすようなことがあるんだというようなお話もされたと思うんですね。ですから、それは今の御答弁とまた若干そごがあるのかなと私は思いました。これについては、ちょっとまた後であわせてお答えいただきたいと思います。
内閣府副大臣、お待たせいたしました。お見えいただきまして、ありがとうございます。
それで、お手元の資料をちょっと見ていただきたいんですが、まず二ページ目、これは内閣府作成資料、「中国産冷凍ギョウザによる健康被害が公表された日以降に都道府県等にあった相談・報告数について」、これは主に保健所等を通じてということを伺っております。三月末までに五千九百十五件ということであります。
次のページには、これは農水省の方の資料でございまして、食品表示一一〇番の実績ということで、三月での問い合わせ二千四百十九件。このほかに、特に中国製ギョーザ事件については、消費者の部屋というような意見を集める場所がまたあるということでございます。
その次が、国民生活センターに寄せられた中国産ギョーザ問題に係る健康被害相談件数でありますが、これは十一件ということで、非常に少ないという印象を受けました。
五ページ目をごらんいただきますと、リスク評価は内閣府と食品安全委員会、リスク管理は厚生労働省、農林水産省ということで、この事件が起きて以来、ある面、縦割り行政の弊害みたいなもので、たしか総理もしっかりしろと一喝したということも報じられておりますが、やはりこうした関係省庁の縦割り行政を何とか変えられるようにできないかということで、今政府を挙げて、内閣を挙げて取り組んでおられるようであります。
そこで、六ページに見られるような国民生活センターのあり方ということや、七ページ目の、迷ったらここ、消費者が頼れる一元的窓口のあり方ということを、今見直しをされているというふうに伺っております。六ページ目でも、市場の監視役として、「消費者問題に関する情報の迅速かつ一元的な集約」と書かれておりますし、七ページ目には、「安全など緊急な対応を要する案件について、三百六十五日二十四時間対応し得る体制を検討」「国民生活センターは、各センターの情報のみならず、保健所等関係機関の情報を含め、一元的に集約・分析し、」などなどということであります。
今国会に法案も出されているようでありますけれども、こうした点ではもっとある面強化しないと、先ほどのギョーザに関しての六千件とか二千四百件と比べての十一件というような現状からいうと、やはりまだまだ、そうした食品にまつわる事件、あるいは消費者にまつわるさまざまな相談機能とすれば弱いのではないかというふうに思うんですけれども、これまでのギョーザ事件の対応も含めて、内閣府として、国民生活センターの強化ということについての御所見を伺いたいと思います。
○中川副大臣 ただいま委員が御指摘のように、福田総理も、総理に就任した当時から、消費者問題や、国民生活の目線で行政は考えていかなければならない、それを大事にしなければならないということを常々言っていたわけであります。
しかし、御承知のように、消費者行政推進会議というものをつくって消費者行政の一元化のため行動を起こしたのは、その動機になったのは、常々総理はそのことを考えていたんですけれども、急いでそういう体制をつくった最大の動機は、総理も言っておりましたが、このギョーザ問題が起きて、全国でいろいろな問題が出てきた、それでは急がぬとならないということで、急遽そういった会議も立ち上げて、それから、準備室も御承知のように急遽開いたわけであります。総理の願いは、やはり消費者行政を一体化することによって、国民生活に少しでも安全で安心な行政サービスを積極的に提供したいという考え方がそこにあるわけであります。
しかし一方、国民生活センターについては、これもまた、総理ばかりじゃなくて、いろいろなところからいろいろな注文がついていたのも事実であります。
それで、特に消費センターと国民生活センターとの情報の数が極端に違うということなんです。今回も、ギョーザ事件では十一件だけでありますが、地方にある消費センターにはもっともっと多くの情報が入っておりまして、それは集約してここに数では載っていますが、国民生活センターへの情報の提供が少な過ぎる、これもまた将来の消費生活の安定ということを考えたら問題だということで、今般、国民生活センターについては法的に少し前進させて、いろいろな機能を付加したということを、今審議中でございますが、やっているわけであります。
しかし、一方ではまた総理からの一元化の問題がございますから、一元化に向けて新たな角度から、これも検討しなければならない。そういう両面から内閣府としてはこの問題について積極的に取り組んでいって、消費者の安全、安心のために大きな貢献をしたい、そう思っている次第であります。
○武正委員 ぜひ、二度とこうしたギョーザ事件が起きないためにも、御案内のように、あの事件が起きたのは十二月末、ただ、警察がそのことによって動き出したのは一月二十五日、なおかつ対策本部がつくられたのが一月三十日ということで、結局、丸一カ月遅くなってしまったわけでありますので、二度とこうしたことが起きないように、そしてまた、食品だけに限らずいろいろな案件が、国際的に人、物、お金が移動する中で、国民がそのサービスとかあるいは製品を享受しておりますので、この日中刑事共助条約、この承認、これが発効していく中で、やはり国内の体制整備というものが急務の課題ということを申し上げたいわけでございます。
では、内閣府副大臣、ここで結構でございます。
そこで、法務副大臣に伺いたいんですが、最高検察庁も、録画、録音について、これを進めていこうということを発表しておりますし、民主党も十二月四日に、刑事訴訟法の改正案、録画、録音の可視化とか、自白の評価について、やはり強要とかそうしたことが疑われるとすれば、それは認めることはできないなということ、あるいは、手持ち証拠リストの開示を検察には求めるなどの法案を提出しております。
これは、来年から裁判員制度を始める中で、裁判員である国民にとって、可視化ということが自白の任意性などを立証し得る一つのやり方だろうということで、最高検もそうした方向性を目指しているんでしょうけれども、これをこれから進めていく場合、当然、日中の刑事共助条約で中国側にも、可視化とか、あるいは同様の証拠あるいは自白についての透明性というか、こうしたものを求めていくようになるのか、法務副大臣に御所見を伺いたいと思います。
○河井副大臣 質問にお答えをさせていただきます。
今御指摘をいただきました取り調べのいわゆる可視化ということなんですけれども、一般的に申し上げますと、先日、自民、公明両党から御提言をいただきまして、警察の現場、それから、既に行っている検察の現場におけるいわゆる一部可視化、それから、今議員がおっしゃっていただいた民主党案における取り調べの録音、録画につきまして、議論の対象は被疑者の取り調べということになっております。
捜査共助におきまして供述が請求されるのは、捜査の対象となっている被疑者以外の第三者なんですね、それが通常であるというふうに承知をしておりますので、したがいまして、国際間の捜査共助におきまして取り調べの録音、録画を求める必要性はもともと必ずしも高くないというふうに考えております。
いずれにしても、その必要性につきましては、当局がさまざまな観点から判断をすべきものでありまして、なかなか一概にお答えをするのは難しいと考えております。
○武正委員 時間も限られておりますが、外務大臣、先ほどお答えも遮ってしまいましたので、先ほど私がちょっとチベットと今回のギョーザと両方を引き合いに出して、そごがあるのではないのかと言ったときに手を挙げられましたので、その点も含めて。
また、今のこのやりとり、法務大臣も御経験されましたので、要は何が言いたいかというと、やはりこうした共助条約によって日中間の、中国人による犯罪は確かにナンバーワンというか一番多いです。治安について心配する国民の声の第一位に外国人犯罪というものが挙げられているという調査もありますので、やはり共助条約、引き渡し条約、そうした条約をもっともっと締結していくということは、同僚委員同様、必要だと私も思いますし、その中でその実効性をどうやって上げていくのか。当然、公安当局の御努力もありますが、先ほど言ったように事件、事故は多方面でありますので、全省庁挙げたそうした国内の一丸体制も必要でしょう。
そうしたやりとりも含めて、最後に御所見を伺いたいと思います。
○高村国務大臣 国民感情が脆弱だ、こう申し上げたのはそのとおりでありまして、だからこそ冷静な対応が必要である。冷静な対応というのは、政府間で意見をきちっと言わないということではないんです。それは首脳間でも外相間でもきっちり言うわけです。ただ、それが、国民感情が脆弱な中で、お互いがメディアを通して言い合う、あるいは公のところで言い合って、それが一方の国民からののしられたと感じるようなことはできるだけ避けていきたいということをこの間申し上げた。今度のギョーザの問題についても、私はそういうふうに、冷静に対応していきたい、こう思っているわけであります。
まさに、検挙にまさる防犯なしでありますから、ぜひこの事件は捜査当局間で協力をして解決してもらいたい、これが一番大切なことだ、こう思っております。さらに、食品衛生当局間でこういうことが二度と起こらないような対策もきちっととってもらいたい、こういうふうに思っているところでございます。
可視化の問題については、それはメリット、デメリット両方あるわけでありまして、私の所管外でありますから申し上げませんが、日本で可視化をやるから中国も可視化をやりなさいよ、これは、私が法務大臣時代も、可視化をやっている国からあなたの国も可視化をやれなどと言われたら、これは内政干渉だと突っぱねるところでございます。
○武正委員 先ほどの、両国の国民が脆弱と言ったんでしょうか、ある面いろいろナイーブな両国関係に国民のそれぞれの国に対する思いがあるというようなことを外務大臣よくおっしゃるんですけれども、私は決してそうじゃないんじゃないかなというふうに思っております。
その意味でも、やはり情報開示、これが変な疑念とか疑心暗鬼とか、そうしたものを払拭する最も効果ある方法だというふうに思っております。私も、中国に行ったときには、中国の発展のために情報公開が必要だということはかねてより何度も申し上げておりますので、やはり日本政府においても、特にこのギョーザ問題について情報開示を徹底していただいて、国民のそうした不安が変に対中観の疑念とか何かのそうした違う思いに結びつかないように、一段のお取り組みをお願いして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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