2008/05/09
【衆院外務委 議事録】 東アジア債券市場構想について質す |
○武正委員 民主党の武正でございます。
それでは、三条約についての質疑に移らせていただきたいと思います。
お手元の方に資料を配らせていただいております。きょうは、国土交通副大臣にもおいでいただきまして、ありがとうございます。
アデン湾における日本籍船への襲撃情報ということで、四月二十一日に発生した事案について、条約審議に入る前に伺いたいと思います。
お手元の資料は海上保安庁さんからいただいた資料でありまして、発生場所はイエメン沖、アデン湾、北緯十三度、東経四十九度七分ということであります。日本の「高山」というタンカー、十五万トンが攻撃を受けた、小型船舶から重火器らしいものを撃ち込まれたということであります。幸い乗組員に負傷等なしということでありますが、二ページ目に参考図がつけられておりまして、発生地点が示されております。イエメン沖、またソマリア沖ということであります。
三ページ目には同じく、日本船籍ではないんですが、船主は日本の会社であったケミカルタンカーが、これは昨年の十月二十八日、遭難信号ということで、海賊に襲われた場所についても、これもほぼ同じですかね、北緯十三度五分、東経五十度二十四分ということであります。
そこで、国土交通副大臣に伺いたいんですが、ここの場所というのは、タンカー等日本との原油の輸入、これはペルシャ湾を通じてということがほとんどということでありますので、紅海から出てくるタンカーというのは少ないというお話であったり、あるいはスエズ運河を通じてヨーロッパ方面に日本の産品を輸出する、主にそういうような形で使われるということでありますが、このアデン湾における日本籍船への襲撃を受けて、国交省、海保としてとるべき対策、今海保の方も捜査を始めているやに伺っておりますが、どのような対応をされるのか、されているのか御説明をいただきたいと思います。
○松島副大臣 答弁を申し上げます。
今回の事件に関しましては、国土交通省及び海上保安庁で、関係機関や船舶所有者、運航者等の関係者と緊密な連絡をとりつつ情報を収集するとともに、二十一日、国土交通省海事局外航課と海上保安庁警備救難部国際刑事課の連名によりまして、関係者、つまり日本の船会社などに対してですけれども、ソマリア沖の航行に関し注意喚起を行ったところでございます。
そしてまた、海上保安庁におきましては、航行警報を二十一日に発出して、付近を航行している船舶に対して注意喚起を行うとともに、海上保安庁ホームページにおいても所要の注意喚起を行ったと聞いております。
なお、本件は日本船舶に対して行われたものでありますので、この船が日本に帰港、戻ってきましたときなどを活用して、乗組員からの事情聴取など捜査を海上保安庁が実施すると聞いております。
なお、先ほどおっしゃいましたように、昨年の秋にもこういった事案がございました。その後、つまり、今回のではなくて昨年の秋の事案を受けてでございますけれども、昨年十一月の二十九日に国際海事機関、IMOが、ロンドンで総会が開催されましたときに、日本と、そしてまたフランスも非常にこの問題に熱心に取り組んでいるところなんですが、一緒に決議を行いまして、あらゆる海賊及び武装強盗の行為を非難するとともに、これは大事なことなんですが、ソマリア暫定政府に対して、海賊等防止のための措置をとること及びインド洋で展開中の艦船等が海賊等に対応するためソマリアの領海内に立ち入ることへの同意を、ソマリア暫定政府はこれに対して同意をして国連に通知するように要請することなどを決めております。
この決議、ソマリア沖における海賊及び武装強盗に関する総会決議というのは、ここで採択した後、国連事務総長に送付したところでございます。
○武正委員 国際海事機関でしょうかね、海賊、海上武装強盗事件の件数は、二〇〇六年、二百三十九件が二〇〇七年、二百六十三件とふえている。ただ、東南アジアでは八十八件が八十件に減っているんですけれども、ナイジェリアでの十二件が四十二件、ソマリアが十件が三十一件とふえているということであります。東南アジアで減っているその理由とすれば、日本が中心となって締結をしたReCAAP、アジア海賊対策地域協力協定などの条約など、あるいはシンガポールに置かれております情報共有センター、ISCなどがやはり効果を上げているのではないかというふうに考えるわけです。
例えば、こうしたソマリア沖、あるいは中東で同じような枠組みなりをできないものかというふうに考えるんですが、中東諸国のそうした海上保安、警察機関との連携とか協力とか、そういった可能性というのはいかがでしょうか。
○松島副大臣 委員がおっしゃいますように、シンガポールというか、マラッカ海峡についてとっているような措置をとれたら本当にいいんですけれども、この中東、この周辺の国々において、それぞれの国でどういった体制で、つまり、日本の海上保安庁のような形で守っているのか、守っているというか、そういう問題を解決するために捜索などやっているのか、あるいは軍隊が、それぞれの国によって海軍が同じような行為をやっているのかなどについて、まだ海上保安庁でも捕捉できていないと聞いております。
この問題も、さっき申し上げましたように、日本やヨーロッパ、被害者は割と熱心なんですけれども、そのあたりの国々との連携はまだとれていないという状況だと聞いております。
○武正委員 外務大臣、いかがですか。この事件が昨年に続いてまたことしも同じような場所で、日本船籍、昨年は違いますけれども、日本関係の船舶が被害を受けたわけです。ちょうど今度TICADも五月末に開きますし、そこでは平和の定着と民主化というのが大きなテーマになってくるわけでありまして、日本が中心となってこのTICADを横浜で開催するわけですので、こういった会議でも、今回のような事案もひとつ、個別の国を名指しするのはなかなか難しいのかもしれませんが、やはり大事な、世界じゅうのいろいろな船舶が航行するアフリカの北部に位置する航路でございますので、こういったテーマもTICADの中で話し合っていくべきではないのかなというふうに思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
○高村国務大臣 資源の多くを海上輸送によって輸入している我が国にとって、海上交通の安全の確保は極めて重要でありまして、近年、アジア及びアフリカ地域で頻発する海賊問題は、我が国の海上輸送への脅威になっているわけであります。
こうした海賊行為に対して、まず、沿岸国の海上警備当局が取り締まりに当たることが重要でありますが、我が国としては、特にアジア地域における海賊対策に積極的に協力するために、沿岸国に対し、海上取り締まり能力の強化と人材育成等の協力を実施してきているところでございます。
また、アジア地域の海賊対策に関する国際的な枠組みとしては、例えば、我が国のイニシアチブで作成された平成十八年九月に発効したアジア海賊対策地域協力協定があり、情報共有及び協力体制の構築等を通じたアジア各国の協力を推進してきておるところでございます。
外務省としては、関係省庁とも連絡しつつ、今後もこのような取り組みを通じ、海賊対策を積極的に推進していく考えでございます。
TICADでどうするかという話でありますが、TICADの主要課題は、アフリカの開発、「元気なアフリカを目指して」ということでありますが、その間に二国間会談も行われますし、TICADそのものの主要議題になるかどうかというのはまたともかくといたしまして、こういう話についても二国間会談等では特定の国と話していくということは十分あり得る、こういうふうに思います。
それから、今度の件についても、我が国のタンカーについて救出に向かってくれた船は、まさに海上阻止行動に参加している有志連合の船であったと聞いておりますし、我が国が補給活動をしている、こういうこともまさに、直接の法目的ではありませんけれども、海賊対策にも大変役に立っているということを申し添えておきたいと思います。
○武正委員 TICADではぜひ、また、ちょうど今スーダンのダルフール問題なども懸案になっておりますし、平和の構築ということで、個別の具体的な国を、多国間の会議ではなかなか難しい面もあろうかと思いますが、やはりアフリカの平和の構築という点で取り上げていっていただきたいというふうに思います。
ぜひ、アジアのみならず、国交副大臣、もう既に海保さんは、インドの西部地域も、要はボンベイから、今はボンベイとは言いませんけれども、西の方のああいったところでのインド等とのそうした海上での警察活動の協力等もやっておられるようでありますので、なかなか現状の中東の海上警察組織についてまだ確たる情報をというお話でありましたが、ぜひそうした協力も進めていただきたいと思います。
そして、海上警察が、例えば船に対する、臨検とは言いませんが、調査とかいろいろそういった面ではまだまだ法的な整備をしていく必要があるというような問題意識を政府も持っておられるようでありますので、私は、こうした海上警察のより実効性のある取り組みができるような法的な整備、これもやはり行っていく必要があろうというふうに思っております。
ぜひそうした取り組みをお願いして、国交副大臣はここで結構でございます。
そこで、日中外相会談についてお伺いいたしますが、チベット問題については先ほど野田委員から質疑がございましたので、特に、ギョーザ事件あるいはガス田協議、これについてどのような協議がされたのかということをお伺いしたいと思います。
外務省のホームページでは、中国産冷凍ギョーザ問題については、高村大臣から、一刻も早い真相究明の重要性について強調し、両外相は、一刻も早い真相究明のため、双方で捜査と協力をさらに強化していくことで一致した、東シナ海資源開発問題については、両外相は、昨年末の福田総理訪中時に得られた両国首脳の新たな共通認識に基づき、事務レベルで有益な協議が行われることを確認し、解決に向け努力を継続していくことで一致した、こういうようなホームページでの紹介があるんですが、せっかくの外務委員会でありますので、ぜひ、これ以上の内容について外相から御報告をいただきたいというふうに思います。
〔委員長退席、三原委員長代理着席〕
○高村国務大臣 ガス田から申し上げますと、東シナ海資源開発問題を解決し、日中関係をさらに発展させることが重要と考えているわけでありますが、昨年末の福田総理訪中時の首脳会談において、この問題を一刻も早く解決するとの断固たる決意のもとで協議を継続していくことが確認されました。
それから、十四日から十五日にかけては薮中外務次官が訪中し、王毅外交副部長との間で日中関係全般、とりわけ来る胡錦濤国家主席訪日の準備について意見交換を行う中で、東シナ海資源開発問題についても有益な意見交換を行いました。
そして、先週のヨウケツチ外交部長との会談において、事務レベルで有益な協議が行われていることを確認するとともに、これまでの首脳間の共通認識に基づき、問題解決に向けた努力を継続していくことで一致しました。福田総理も、表敬に訪れた楊部長との間で同様の内容を確認しているところでございます。
厳しい交渉ではありますが、これらの共通認識を踏まえ、引き続き問題解決に向けて努力していく考えでございます。
相当離れていたのが相当狭まってきているということは事実であります。ただ、お互いにもう一山越えないとできませんので、お互いにさらに努力をしていくということを確認し合ったわけでございます。
それから、ギョーザの問題でありますが、食の安全は日中両国国民共通の重大な関心事項であり、本件については、一日も早く真相を究明して両国国民の不安を解消することが何よりも重要であります。
外務省といたしましては、当初より、関係省庁と連携しつつ、さまざまな機会やルートを通じてこうした問題意識を中国側に伝達し、徹底した真相究明に向けて日中関係当局間の緊密な協力を促してきているところでございます。
両国捜査当局間では、鑑定の専門家が相互に訪問し、情報交換会議を行う等、本件事案の解決へ向けた努力が進められてきているところでございます。
先週のヨウケツチ外交部長との外相会談においては、真相究明が何より重要であるということを伝え、一刻も早い真相究明のため、日中双方で捜査と協力をさらに強力に進めていくことで一致をしたわけであります。
本件は、日中双方の当局間の協力を通じて、客観的で公正な真相究明が一刻も早くなされるべき問題であると考えておりますが、外務省としても引き続き一層の支援を行っていく考えでございます。
○武正委員 ガス田協議について、この間も同じようなお答えだったんですが、近づいてきた、もう一山越えなきゃいけないというんですが、もう一山というのは一体何なのか。ぜひもうちょっと具体的にお答えをいただけると、もう二回目のお答えになりますので、ありがたいなと思います。
具体的には、共同開発の場所というのがこれまでも懸案だったというふうに思うんですね。中間線の上でなりというのが日本側の主張、中国側は中間線の東側でもやるべし、特に尖閣諸島の北側でという提案があったやにも報道もありますが、やはり共同開発の場所についての、そのもう一山ということなのか。
また、国際司法裁判所でしたでしょうか、やはり国際的な裁判では中間線というものが確定をしてきている。ただ、中国側の主張は昔から大陸棚延長という考え方。国際的なそうした裁判所の判例などは、もはや中間線というものを認めているんだよと。ここら辺が日中間でもし開きがあるとすれば、やはりここはしっかりと中国側にそこのところの認識を迫って、これまでも言っていると思うんですが、この共同開発の点のことなのか、またそうした中間線についての認識ということなのか、そのもう一山がどこにあるのか、お答えをいただきたい。
あとは、この間も警察庁が来られて、日本側の捜査は大体終わっているという話でございますので、あとはやはり中国側の捜査、そしてその中でのお互いの見解の一致点、すり合わせ、こういったものを急いでいく必要があろうかというふうに思うんですが、日本側の捜査の状況なども外相会談で外務大臣からお伝えをいただいたのかどうか。ぜひそうした、日本側の捜査はきちっともう進めていて、ある面、あと中国側の対応を待つのみであるというようなことも含めて、日中間の捜査当局もこの間第四回の会議もやっておりますが、ぜひそうした点もお伝えいただきたいと思いますが、その点、お伝えいただいたのかどうか、二点お伺いしたいと思います。
○高村国務大臣 東シナ海の問題については、日本側の主張はきっちりと主張をしているところでございますが、今どこがどうなっているか、具体的に申し上げることが解決のために資さない、こう思いますので、申しわけありませんが、今申し上げることはできません。御了解をいただきたいと思います。
それから、このギョーザの問題について、日本側の捜査ではどういうことになっているかということについては、トウカセン国務委員が来られたときも、きっちり日本側の状況は伝えましたし、その上で、まさにいろいろな話をした上で、日中外相が最終的に共同で発表するのはこのラインで発表するという文言まで詰めて発表したことでございますので、これ以上余り具体的なことを申し上げるのは差し控えたい、こういうふうに思っております。
いずれにしても、捜査当局が進めてもらわないと、外交当局ではこの事件そのものの真相究明というのはできませんので、ですから、捜査当局が真相究明をするのにお手伝いができるところは外交当局としてもお手伝いをしていきたい、こういうことでございます。
○武正委員 先週、日中刑事共助条約が外務委員会では可決、承認ということで参議院に送られたわけでありますが、あの条約が発効する前には、外交当局を通じた国際礼譲でしたか、あれに基づいた、そうした捜査協力依頼を行うんだ、こういう枠組みでありますので、やはり外務省、外交当局として、もう捜査はほぼ完了したという日本の捜査当局のそうした意向、そしてそれに応じて中国側が捜査の促進、あるいはそれの発表なりを両国が一致して行えるような、そんな後押しをぜひお願いしたいというふうに思います。
そこで、条約に移らせていただきます。
総務大臣政務官もお見えでございます。ありがとうございます。
資料四ページをお開きいただきますと、「国際電気通信連合(ITU)の職員について」という表を総務省さんの御提出資料から作成させていただきました。今回は、この国際電気通信連合、ITUの憲章及び条約の改正ということで、特にITUの支出をある面節約していこうということで、会議の間隔を延ばしたり、あるいは民間事業者がより積極的に参画できるような枠組みとか、あるいは自然災害等があったときにはそれを控えることが柔軟にできるような、そんな改正というふうに理解をしております。
ただ、先ほども同僚委員からも指摘がありましたように、内海さんが二期八年、事務総局長でしたでしょうか、事務方の選挙で選ばれるそうした大変大事な役を担われたわけでありますが、現状、ITUに在籍している邦人職員については、お手元の二の日本人職員五名という現状でございます。各部門の職員数は七百三十五名にあって、わずか五名ということであります。
主要拠出国の職員数を調べてみますと、フランスの三十八名、アメリカの十五名、カナダの十二名、ここには書いてありませんけれども、イギリス十六名、インド十名、ロシア十名、あるいはスペイン六名というようなことで、ここのほかにはイタリア九名ということで、日本の五名というものがやはり少ないなというふうに感じるわけなんです。
内海さんが就任されてからの八年間を振り返りますと、あるいはこの九年間、十年間を振り返りますと、政府は、IT先進国、世界一のそういうIT国家を目指すということで、ICTという言葉も日本発でつくられて、盛んに政策的にも力を入れてこられた。資金的にも同様だと思います。
ただ、こうしたITUの職員の日本人が少ないというのが大変残念に思うわけでありますが、総務大臣政務官、この現状、民間の方、この中ではKDDからお二人入っておられますけれども、民間の方を入れると三名ですかね、やはりもっともっと日本人、それこそ今度は民間の方も含めてたくさんの日本人がITUで主導的な役割を担ってもらいたいというふうに思うんですが、総務省としてどのような御見解をお持ちなのか、あるいはどういう取り組みをされているのか、お答えをいただきたいと思います。
○岡本大臣政務官 お答えいたします。
御指摘のとおり、国際貢献という観点から、国際機関への日本人職員の比率が高まることは一般的に望ましいものと思っております。この意味で、一九九九年から二〇〇六年にかけて、ITUの事務総局長に日本人を輩出したことは大きな意義があったと思っております。
現在は、ITUには日本人職員が政府から二名、民間から三名、計五名派遣されております。このうち政府からの職員数を大幅にふやすことは難しいことから、民間からの参画に期待しているところであります。ただし、民間からの参画には、高度な専門的な知識が求められること、あるいは勤務が長期にわたり、帰国後国際機関での経験を派遣元で生かしにくいなどの難点もあると認識しております。
そこで、総務省といたしましては、民間の専門的な人材育成に努めるとともに、派遣元になる民間企業に対し、職員の派遣に理解を深めていただくなど、必要な環境整備に一層取り組んでいるところでございます。
以上です。
○武正委員 民間からは積極的にというお話でしたが、政府からの派遣というのは難しいのでしょうかね。総務省の方なんかの中にやはり意欲的な方もいらっしゃいますし、あるいは他省庁からも、こうしたITUということで、これは特にこれからの国際的なICTの開発、こういった分野も日本にとっても大変大事な分野になってこようかと思っております。
先ほど話が出ておりましたメコン川の流域開発計画、過日、中国そして関係五カ国での会議でもこの地域における情報通信網の拡充というのがやはりテーマになっておりますので、そういう意味では、このITUというのは大変大事な組織になってくると思っております。
また、日本の電波帯が非常に逼迫していく中で、やはりその電波帯をより有効に使うためのそうした協議もこのITUで行われておりますので、私はもっともっと政府職員もここに出られないのかというふうに思うんですが、政務官、いかがですか。
○岡本大臣政務官 御指摘の点はごもっともでございますので、総務省としても努力はしていきますが、何せ定員が厳しい状況でございますので、その中で配慮していきたいと思っております。
以上です。
○武正委員 外務大臣、いかがですか、今やりとりを聞いておられて。それで、今の資料を見ていただきますと、このITUは、ICTということで政府がかなり力を入れている分野だと思うんですね。また、日本の主導的な産業に今なっているこのIT分野でありますので、その国際ルールを決めるこうした国際組織、いろいろ大事な国際組織はたくさんあろうかと思うんですが、ただやはり、七百三十五人の職員で五名と。内海さんは大変な活躍をされたんだと思うんですが、それが次に引き継がれて日本人の職員がたくさんふえていけばいいなというふうに思うんですが、こういう現状はやはり残念に思うわけでございます。
今、民間の方がもっともっとふえるようにという措置がとられているということは新しい試みだと思うんですが、日本人の職員をこのITUでもっとふやしていくべきだと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
○高村国務大臣 内海さんのITUの選挙のときは、私も一生懸命応援した立場でありますが、任期がありますのでやめられるのはやむを得ないことだ、こういうふうに思っております。
今総務省の政務官も言っておられたように、もっとふやした方がいい、そして民間から少し出てもらえないか、もちろん役所から出るのもいいんだけれども定員が厳しいんだ、こういうお話がありましたが、いろいろな面で外務省としても応援をしていきたい、こういうふうに思っております。
それで、このITUだけじゃなくて、すべての国際機関で、日本は国力に、あるいは日本が出しているお金に比べて人が少ないということがあるわけで、その全体について考えていかなければいけない、こういうふうに思っております。
国際機関の意思決定には我が国の立場や考え方を適切に反映させなければいけませんし、そのために当該国際機関の長を含む邦人を送り込むことが重要であり、国際機関における邦人職員増強の観点から、国際機関就職に係る各種支援を強化することの必要性というものを私たちは十分に認識しているわけであります。
従来から外務省では、将来、国際機関での勤務を希望する三十五歳以下の若手邦人を対象に、我が国の費用負担で国際機関に派遣して、国際機関への就職に必要な経験を積んでもらうジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPO等の派遣制度を実施してきております。このような制度によるこれまでの国際機関への邦人職員の派遣人数は、本制度が始まった昭和四十九年から平成十七年まで、累計で千二百二十三名であります。平成二十年度の予算額は十二億一千万円、新規派遣予定数は四十二名となっております。
今後も、こうした派遣制度を初め国際機関就職に係る各種情報の周知、広報等、必要な支援措置を積極的に行ってまいりたい、こういうふうに思っております。十分な成果を上げているとは言いませんが、今一生懸命取り組んでいるところでございます。
〔三原委員長代理退席、委員長着席〕
○武正委員 やはりこれは、日本の国益にも当然つながりますし、日本のリーディング産業の一つの分野にかかわる国際機関での影響力の行使ということで、ぜひお取り組みをいただきたいと思いますし、今、政府からのそうした派遣のもし障害が何らかあるとすれば、先ほど定員というお話がありましたが、何か今の短期の仕組み以外のいろいろな派遣の仕組み、また、派遣をして、戻ってきたら実はその評価が案外低かったりしますと、やはり海外に出ていくのをためらう政府の職員の方が多いのかもしれません。この間、篠原委員からは、外務省のローテーションが実は先進国を回っておられる方がやはりある面出世されているんじゃないのかというような問題提起もありましたが、政府の中でのそうした海外の国際機関への派遣、これの積極的な評価、あるいは民間からのそうした政府の職員という形になっての派遣とか、いろいろな仕組みを御検討いただきたいと思います。
政務官、もしわかればと思って、アジア・太平洋電気通信共同体、APTには日本人は何名ぐらい行っているんでしょうか。事務局長は山田さんで、事務局職員は二十五名ですから少ないですけれども、何といっても日本の支出はAPTの全体の六割でありまして、話に聞くと、このアジア・太平洋電気通信共同体で大体協議をして、それをITUに上げていくという枠組みだそうですから、このAPTも大変大事だと思うんですが、おわかりになればお答えいただきたいと思います。
○岡本大臣政務官 現在、APTには日本人が二名行っております。一人は事務局長ということでございます。昨年の選挙で当選しまして、今ついたばかりでございます。
以上でございます。
○武正委員 全体の拠出額六割で、二十五名中二名というのがどうかなということもあわせて、ぜひ、APTに対するそうした人員の派遣もあわせて御検討いただきたいと思います。
それでは、政務官、どうぞお引き取りください。
それでは、カンボジアとラオスの投資協定、続けてお伺いをいたしますが、日本・カンボジア投資協定で第十条、これはラオスも同じく第十条でありますが、腐敗を防止し、これと戦うための措置をとる努力義務規定があるわけでありますが、そうはいっても、カンボジアでは民法とか汚職防止法とか関連法案がまだ未制定でありますし、この点について、この努力義務規定が実効性を上げられるのかどうか。
昨年四月には二度目の地方選挙、また、ことしの七月には和平後四回目の国民議会議員選挙もあるということで、着実に民主化に向けてカンボジアは歩を進めているということは確かだと思いますが、まだこうした関連法案が未整備の状況の中で、この汚職防止の努力義務規定が実効性を上げるにはどのような対応が必要なのか、お答えをいただけますか。
○宇野大臣政務官 今御質問の趣旨でございますけれども、日本・カンボジア投資協定第十条には、まさに委員言われるように、各締約国政府が腐敗行為を防止するための措置をとるべく努力することが規定されております。
カンボジア政府においては、みずからの開発戦略について、グッドガバナンスの向上を最優先課題として挙げており、その中で汚職撲滅に取り組んでおると承知しております。
このような取り組みの一環として、カンボジアは二〇〇七年九月五日に、腐敗の防止に関する国際連合条約に加入しております。また、現在、汚職防止について国内の関連法案の整備を進めているということも承知しております。
○武正委員 私の知人で堀本崇さんという方がいまして、カンボジアで七五三基金とかそしてまたアジア子供教育基金代表を務められた。一九六七年生まれでありましたが、二〇〇六年十一月十日にカンボジアにて交通事故のために逝去されたわけであります。
彼が書いている中にも、いろいろ読んでまいりますと、彼はカンボジアで学校をつくるということをやってきたんですけれども、人々は、財源があっても上層部が懐に入れてしまうと嘆いていたとか、あるいは汚職に手を染める人が多いというのがカンボジアを見てきて大変残念であるとか、こういったことを文章の中でもあらわしております。その堀本崇さんが、学校建設に力を入れ、また僧侶にもなって十年間カンボジアの地で頑張ってこられたわけでありまして、そういった意味で、やはりそうしたカンボジアについてのさまざまな民間のNGOあるいは日本人の方々が頑張っておられる。
ただ、外務省にそうしたことを聞きますと、外務省からあるいは政府から資金が出ているNGOなりあるいはそうした個人なりの活動は把握していますけれども、お金が出ていない方については余り把握していないというような答えが来まして、大変残念だなというふうに思ったんですね。
先ほどもITUの話がございましたが、民間人の活躍あるいはマンパワー、これは日本外交にとって、オール・ジャパンの日本外交の力を高めるためにも欠かせないというふうに思いますので、ぜひそうした、これは一例でありますが、カンボジアで頑張っている、あるいは他の途上国で頑張っている日本人あるいはNGOのそうした活動の把握、政府のお金が入ってなくてもしっかりと把握をするということをお願いしたいというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。
○高村国務大臣 できるだけ把握するように努めたいと思います。
ただ、NPOの中には余り政府と関係を持ちたくないんだというところもありますが、協力できる点は、まさにオール・ジャパンとして力を発揮することは委員が言うように大事でありますから、できるだけ情報を持っているようにしたい、こういうふうに思っております。
○武正委員 在外公館の法改正でも、在外公館における邦人の活動の把握なり連絡体制あるいは緊急連絡体制ということが総務省からの指摘でもあったわけでありますので、ぜひそれも含めて、緊密な連絡をとって、そうした海外で活躍する日本人のサポート体制をこうしたNGO、NPOとして活躍する皆さんにもお願いをしたいというふうに思います。
そこで、ラオスについて話をお聞きしたいんですが、日・ラオス投資協定は、ラオス側の留保事項というものが、具体的な項目が書かれずに、すべての事項というようなことで、非常にばくっとした形で協定の表に書かれておりますが、これはなぜもっと具体的に落とし込めなかったのか。あるいは、事前のそういった協議で、これでよかったのか。あるいは、これから発効後、そうしたものを詰めていくのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
○宇野大臣政務官 ラオスとの投資協定のことでございますが、協定発効後に新たな例外措置を採用することができない分野または事項について定めた附属書1におけるラオス側の留保は、国内の航空運輸及び水上運輸の料金等の十七の分野または事項となっております。
協定発効後に新たな例外措置を採用することができる分野または事項について定めた附属書2におけるラオス側の留保は、銀行サービス及びその他の金融サービス等の二十八の分野または事項となっております。
○武正委員 協定で留保が、具体的な項目ということではなくて、すべての事項というような書きぶりになっているんですが、その具体化をなぜできなかったのか。そしてまた、できなかったとすれば、これからそれを、発効後、協議の中で詰めていくのか。留保事項が明らかになっていないと、やはり投資をしようという企業にとっても、投資しようとしたら、いや、これは留保でだめなんですよということが後でわかるということになりますと、投資がなかなかうまく結びつかないと思うんですが、この点について伺いたいと思います。
○宇野大臣政務官 留保事項を今やらないでもっと後にしたらどうかという話だと思います。
この協定において、留保事項については、日本、ラオス両国が、それぞれの国内事情を考慮の上、留保をすることとしたものであります。この分野または事項につきましては、本協定附属書のとおり、既に両国間で合意をしておるということでございます。
今後は、本協定の発効後に、当該留保分野または事項に関する具体的な国内関係法令等を相互に通報し合うことになっており、現在両国がそれぞれ準備作業を行っているということでございますので、御理解いただきたいと思います。
○武正委員 ちょうどASEANとの自由貿易協定、EPAについて署名が終わったばかりと思いますが、その条件としてこの投資協定を急いだということはなかったんでしょうか。ちょっと、ある面十分な詰めがないまま投資協定の署名に行ってしまったのかなというふうに思うんですが、いかがですか。
○宇野大臣政務官 特に日・ASEANの協定とラオスとの関係はございません。今回につきましても、ラオス側の強い要望もあったということからのことでございますので、御理解ください。
○武正委員 より実効性を上げていただくために、具体的な留保事項の詰めを急いでいただくようお願いいたします。
それでは、資料に基づきまして、洞爺湖サミットの議題に食料価格高騰について取り上げたいという書簡を総理が関係組織、関係者に発出しているということが報じられ、外務省でもそれがホームページで公開をされておりますので、これについてちょっと伺いたいと思います。
というのは、先ほどの堀本さんの話ですと、カンボジアでは、朝食で六割の方はおかゆを、それから二割三割の方はめんを朝食べるということで、お米はタイ米、長粒米ですから、なかなかおなかにたまらないということで、一日五、六回食べる。五人家族ですと一カ月に百キロぐらいお米を食べるということであります。この資料の五ページ、見ていただくように、原油価格が百ドルを超えている、それに伴うように主要三穀物の価格が推移をしている、急上昇しているということであります。
今、お米についても七ページにあるような輸出規制を各国が行っていて、ここでは例えばベトナム、カンボジア、中国、インド等が米の輸出禁止を行っている。これについて、こうした輸出禁止を行うべきでないということも総理の書簡では触れているわけでありますが、私は、その中で、特に洞爺湖サミットに向けまして、食料価格が高騰していることを取り上げるというのは大変いいことだなと思いますし、その書簡でも、TICADでも同じく取り上げるということに触れておられますので、ぜひ取り上げていただきたいと思います。
その中で一つ御指摘したいのは、バイオエタノールについてなんです。トウモロコシなどは、産出エネルギーを投入エネルギーで割った比率が一・一から一・五、サトウキビは非常に高くて七・六から七・八ということでありますが、トウモロコシの一以上というのも、糖化をして発酵、蒸留をしたり、あるいは排水処理などの環境保全のための必要な投入エネルギーも考慮すると一を切るというような指摘もありました。
お手元の資料では、六ページ目で、日本はバイオ燃料はセルロース系に特化をしていくというようなことを打ち出しておりますし、アメリカも、米国エネルギー法もセルロース系原料からやがて百六十億ガロンということは打ち出しております。
こうしたトウモロコシを中心としたバイオエタノールに力を入れるということが穀物価格の上昇を生んでいる。それに伴って、先ほどカンボジアの例がありますが、そうした国々で、LDCの国々では、日々の食料の確保、あるいはその価格の高騰、これが国民の皆さんにとっては大変厳しい現状を迫っている、こういう指摘があるわけであります。
洞爺湖サミット議題に食料価格高騰を取り上げ、またTICADでも取り上げるという総理の文書を発出された政府におかれまして、外務大臣、こうしたバイオエタノールが結果的に途上国のそうした食料価格の高騰、そしてまたそれが貧困というものを助長するようなことになってはいないか、これはぜひ日本として、アジアの代表としても、あるいはTICADを主催する国としても取り上げていくべきだというふうに思います。
バイオエタノールすべてよしということではないということで、どういったものを中心にバイオエタノールをやっていくべきなのか、その中で穀物というものが本当にそれに適しているのかどうか、こういったことは問題提起をすべきだと思いますが、外務大臣の御認識、御所見を伺いたいと思います。
○高村国務大臣 食料問題、極めて大切だと思っております。
バイオエタノールについてメリットとデメリット、どういったものがいいのか、私自身が知見を持っているわけではありませんが、世界の知見を集めて、どういうふうにしたら食料問題に対処できるか、あるいはエネルギー問題に対処できるか、そういうことを含めて検討していくことが大切だ、こういうふうに考えています。
○武正委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、一言、ラオスについては、ラオスにはクラスター爆弾の残留が二千五百万個とも言われておりまして、こういったことも含めて、ASEAN十カ国の中でカンボジア、ラオスというのはこれまで日本とのかかわり、もっともっと強めなければならない国だというふうに思いますので、より一層の取り組みを、このクラスター爆弾への対応も含めてお願いをしたいと思います。
以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
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