【衆院外務委 議事録】 日中首脳会談について
2008年05月09日
○武正委員 民主党の武正でございます。
三条約の質疑ということでありまして、特にまた同僚委員の方が社会保障協定もやっていただけるということもありますので、私は譲許表改正を中心に質疑をさせていただきたいと思います。
政務官もおいでいただきまして、ありがとうございます。
条約に入る前に、やはり日中首脳会談について外務大臣にお伺いをしたいと思います。
先般の日中外相会談が行われた折、当委員会で、その前も、外務大臣がおっしゃった、お互いにもう一山越えないとできませんので、お互いにさらに努力をしていくことを確認し合ったわけでございますと。これは日中ガス田協議についてでありますが、今回の日中首脳会談を経て、一山は越えたというふうにお考えなのかどうか。もし越えたとすればどういった山だったのか。この間、私は、共同開発の領域、海域と、それから中間線についての日中間の認識のそご、これを挙げたわけでございますが、お互いにもう一山越えないとできませんが、お互いに努力をしていくことを確認した日中外相会談を経て、今回の日中首脳会談で山を越えたということでよろしいでしょうか。
○高村国務大臣 山を越えるめどが立ったということであります。まだ山を越えるに至ったということではございません。両首脳が、これは山を越えられるだろうなというめどが立った、こういうことでございますから、これからその一山を越えるべく全力を尽くしたい、こういうふうに思っております。
○武正委員 日中の中間線についてなんですけれども、いろいろ報道を見ておりますと、これについてはお互いの認識が一致しなかったというような報道、あるいは、それにどこまで言及をされたのかということがあろうかと思うんですね。
一部報道では、白樺の共同開発などが出ておりまして、先ほど副大臣は、いや、そうしたことについては言及できないというお話でありました。日本側の一つ主張というものが、この日中中間線、これはもう国際司法裁判所の判例で認められているんだというようなことがあるとすれば、もしこれを抜きにして共同開発の領域のみを確定ということになりますと、過去あったような、いわゆる棚上げ、日中中間線についても棚上げをして開発の合意を目指すとすると、それは山を越えるめどと今おっしゃられましたけれども、果たしてそれが山を越えていることになるのかどうか。
私はその点が疑問なんですが、この日中中間線についての双方の認識を深める協議というものは今回の日中首脳会談で行われたのかどうか、また日本側としてそのことをはっきりと主張したのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○高村国務大臣 今最後の詰めを行っているところでありますので、交渉の詳細についてはここで述べることを差し控えさせていただきたいと思います。
ただやみくもに隠しているというんじゃなくて、まさに日中双方で、お互いにこのことは発表できるまで言わないという約束がありますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
○武正委員 ぜひ、棚上げすることなく、国際司法裁判所で認められている判例に基づいて堂々と主張をして、詰めをしていただくように求めたいと思います。
それから、前回もお聞きしたギョーザでありますが、報道を見ますと、お互いに捜査頑張りましょうというようなことが書かれているわけでございます。もう既に警察庁からもこの委員会でお話があったように、日本側はもう捜査はほとんど終えている、あとはもう中国側にボールがあるんだというようなことなんですが、いろいろと、表現を見ると、お互いに努力しましょう、捜査を進めていきましょう、こういうような書きぶりになってしまうのはそういう共同文書あるいは声明などの限界なのかもしれませんが、ボールは中国側にあるんだよということをきちっと言っていただいているのかどうか。これはお答えいただけるのかどうかわかりませんが、我々はやはりそういうことを期待しているわけですが、この点はいかがだったでしょうか。
○高村国務大臣 これは、大事なことは、真相が究明されないと日中双方にとって不利益なんだということが両首脳によって確認された、その上で捜査をさらに強化しましょう、こういうふうにしたということでありますから、御理解をいただきたいと思います。
○武正委員 なかなか機微に触れる発言はできないと。ただ、機微にも触れないところなんじゃないかなと思うほど、非常にガードがかたい外務大臣の委員会での答弁というふうにお見受けするわけでありますが、それだけ、やはり今山を越えるちょうどそのぎりぎりのところにいるというふうに理解をして、ぜひ、今言った認識を我々も共有しておりますので、一日も早い解決に向けて、特に関係省庁の協力、また、そうした関係省庁の力を特に外務省におかれましてはもっともっと活用していただいて、懸案の解決に御尽力をいただくよう、これも要請をしたいと思います。
そこで、条約の審議に移らせていただきます。
○平沢委員長 武正君、高村外務大臣が……。
○武正委員 はい。どうぞ。
○高村国務大臣 首脳会談に私も立ち会っておりましたが、このギョーザの問題について総理が言った言葉で、非常に強い言葉で言った、この問題はうやむやにはできないと。非常に強い言葉で言ったのは私に非常に印象的でございました。
○武正委員 はい、ありがとうございます。
それでは、条約の方に移らせていただきますが、お手元の方に、理事会のお許しを得て、資料を配らせていただいております。きょうは、厚生労働政務官もおいでいただきまして、ありがとうございます。
このWTO譲許表改正は、マラケシュ協定にのっとって、医薬品の関税の撤廃、これを過去二度行って、今回は三回目ということで、これを行おうということと理解をしております。医薬品を、世界的に自由貿易の中で流通を促進していく、それがやはり世界の医療の向上につながるというような趣旨かというふうに見受けます。
まず、資料の方に、持ってまいりました一ページ目をごらんいただきたいと思うんです。
関税の撤廃によって日本側の流通も、そうした意味での利益をこうむる、要は価格が下がっていく、こういったことも、やはり世界的な流通が促進されれば世界的に価格も下がるわけですから、当然日本の流通価格も下がっていく、こういったことも期待されることだと思うんです。
お手元の一ページをごらんいただきたいんですが、お願いをした予備的調査、国立病院機構における支出の契約内訳を見ますと、全契約、これは平成十八年度でありますけれども、総契約数一万一千七百二十四件のうち、一般競争入札五千六百五十六件。これは、今政府を挙げて、随意契約から一般競争入札への見直しということで、外務省を初め厚労省も当然取り組んでおられる、そういう中で、半分が一般競争入札に平成十八年度はなっている。十九年度、二十年度、一般競争入札の割合を、当然、厚労省さん、あるいは独立行政法人も同様に取り組むということであります。
ただ、一般競争入札五千六百五十六件の内訳を見ますと、いわゆる予定価格と落札価格が一致をする一〇〇%の落札率が二割、それから九九%以上を加えますと六割、一般競争入札といってもこういった落札率になっているわけでありまして、これは、医療費三十三兆円のうち、医薬品が六兆円、それから後ほど取り上げます医療機器が二兆円、八兆円を占めておりますので、医療危機と呼ばれるような今の現状の中で、もしこうした医薬品とか医療機器で不適正な契約があるとすればそれを是正して、その分をやはり必要なところに回す、こういったことも必要ではないかなというふうに思うんですけれども。
まず、一般競争入札の落札率九九%以上が六割を占めることについて、政務官、厚生労働省、御所見を伺いたいと思います。
○松浪大臣政務官 お答えを申し上げます。
国立病院機構の中で、医療機関という特殊性から、保存血液、放射性医療品など、供給先がもう本当に限定をされておりまして、競争の余地のないものというのがまずございます。その他に、随意契約によらざるを得ないものの内訳というものが、主に、例えばNHKのものであるとか、それから地方公共団体との取り決めによった一般廃棄物の収集処理業務、こういうものが十九件で七千九百万とか、そういうものを積み上げていきますとかなりの大きな額になってくるということでございます。
当然、今申し上げましたような、放射性、それから公共料金等も入ってくるわけでありまして、これは今どんどんと減ってきているわけでありまして、今回、平成十八年度に、随契の中でも随分と数が減ってきているわけであります。
ですから、今回、特に一〇〇%のものが多いということについては、前回の価格というものを、実勢価格が得られない場合は前回の価格がほぼ今回の入札額、予定価格になっているというものが多うございまして、その点が非常に、この上の部分、九九パー以上、一〇〇パーが多い原因となっているということでございます。
○武正委員 一般競争入札をして、予定価格というものを発注者は持っているわけですけれども、それは公開するわけじゃないわけですね。それが一〇〇%一致をする率が二割を占めるというのは他省庁でもないんですよ。
独立行政法人は、私も予備的調査を見ておりまして、確かに、参議院でも、あれは総務省の情報通信機構ですか、一〇〇%の落札率の問題点は指摘されていますが、二割も一〇〇%というのは異常だと私は思っておりまして、まして九九%以上が六割というのは、これはやはり何か契約の適正化を必要とするのではないかというふうに考えるわけですが、その点について再度お答えをいただきたいと思います。
○松浪大臣政務官 今申し上げましたように、これは全体で落札価格が一〇〇%となっている理由なんですけれども、一般的に、地域における取引価格等の市場実勢価格の把握に努めるわけでありますけれども、市場実勢価格が得られない場合、そして市場実勢価格が前回の契約価格より割高になっている場合というのがあるんですね。その場合には、前回の契約価格を予定価格とするということがございます。
今申し上げましたように、非常に医療というのは特殊な技術、特殊なものを使用する場合が多くございまして、そういった面から、もう取引先が一つに限られるとか、そういうことも多くあるわけでありまして、こうしたことから割合が高くなっているということでございます。
○武正委員 政府を挙げて今取り組んでいる入札の適正化の中に、関係省庁連絡会議の中では、第三者機関をそれぞれ全省庁設けてより厳正な見直しを行おうというのが、去年十一月二日、総理の指示のもと行われております。ですから、今のような、医療は特殊だというふうに言われてしまうと、これは、全省庁を挙げてやろうという政府のそうした取り組みの中で、では、うちは特殊だからということになってしまいますので、果たしてそれでいいのかということになろうかと思います。
本条約の趣旨も、多分、先ほど言ったように、世界的な医薬品の流通をより促進して、その価格を抑えて、世界的なそうした健康とか生命の維持や医療の向上、それにつなげようという趣旨だというふうに理解をしますので、それが国内においても同じような効果をもたらしていく、そして、やはり医療の費用が適正に配分をされる必要があろうというふうに思うわけであります。
きょうは公正取引委員会もお見えですが、今こうしたやりとりを聞かれて、後ほど二ページ目にあるカテーテルとかステントとかペースメーカーについては公取さんあるいは会計検査院にもお話を伺いますが、一〇〇%の一般競争入札、これは会計法上は問題がないというふうに財務省さんは言われるわけなんですが、公取さんとしてはどのような認識を持っておられますか。
○鵜瀞政府参考人 独占禁止法の観点から、一般論として申し上げますと、入札に当たりまして、事業者が、いわゆる入札談合でございますが、共同して受注予定者や入札価格を決定し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することは、独占禁止法に違反する行為でございます。しかしながら、単に落札率が高いなどの外形的事実のみによっては、直ちに独占禁止法違反として問題にすることは困難でございます。
公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に違反する疑いのある具体的事実に接した場合には、今後とも必要な調査を行うなど厳正に対処することとしているところでございます。
○武正委員 会計検査院さんもお見えですけれども、この一〇〇%落札率ということについてどのように認識をされているか。
○小武山会計検査院当局者 一般論で申し上げますと、そういう、予定価格の算定方法がかなり公開されているケースもあったり、また、見積額をもとに積算されていたり、前年度実績額をもとに積算されているというようなこともありますので、一〇〇%近くになるもしくは一〇〇%になるということは起こり得ないことではない。ただ、余りそういう事態が頻繁に起こるということも考えづらいというふうに私どもは考えております。
○武正委員 そこで、資料の五ページ以下をごらんいただきたいと思うんですが、これは、やはり国立病院機構の提出資料の中で、大阪南医療センターの発注あるいは入札調書、その写しを持ってまいりました。支出の相手先は株式会社バンドーということで、十八年の契約でございます。支出目的は五、六月分の医療用消耗品の調達ということで、一般競争入札ということで、金額は二百三十八万円ということでありますが、落札率一〇〇%の契約でございます。
これは、五、六月分医療用消耗品の調達というのもよくわからなくて、このときは、六ページをごらんいただくと、こういうような形で公募をしている。全部で三千五百点ぐらいの、マスクとか、アイソフレックスリードというのは多分ペースメーカーに関係するところですかね、それから眼内レンズほかということで、一般競争入札だよということであります。
ただ、この仕様書を見るとメーカーとかをかなり細かく指定しているものですからどうしても応札が限られていく可能性があるということも、これは指摘をされる場合には、公募のときの仕様書というものもやはり改善の余地があるのではないのか。これはたしか公取さんも指摘をされている事実だと思います。
それから、次の七ページ目、八ページ目、これは入札の内訳書でありますが、名前をちょっと隠してありますのは、国立病院機構の方から、入札調書で、落札をしなかった会社名は開示しないんですということでありましたので、私もこれは自分で墨消しをしたわけですが、これも他省庁でみんなオープンにしているので、厚労省さんの認識、国立病院機構の認識は、私はやはりいかがなものかというふうに思います。これは指摘にとどめておきますが。
ただ、これは、ペースメーカーとかこういうのがずっと出ていますけれども、全部一社単独の応札なんですね。「辞退」と全部出ています。全部一社しか応札しないで、しかも、予定価格と落札価格が一致をする一〇〇%落札であります。
一社しか応札をしない、そうすると一〇〇%になり得る可能性というのはやはり高くなると思うんです。要は、一般競争入札で競争してこそ価格が下がっていくというふうに思うんですが、こうした一社応札というのも、いろいろ資料をいただくと非常に散見されるんですが、これについては厚労省としてどのような御所見を持っていますか。やはり一社じゃないとだめなんだ、ほかになかなか応札できないんだというようなことがあるのか、お答えをいただきたいと思います。
○松浪大臣政務官 ただいま御指摘いただきました点、非常に大切な点かと思います。
これまで、平成十六年から、医薬品に関しては流通における懇談会を開催してまいりました。特に、医薬品の中で未妥結、仮納入の問題等もございまして、そういうものに業界を挙げて取り組んでもらうように、厚労省としても、そういう懇談会とともにやってきたわけでありますけれども、今年度から特に医療機器においてもこうした問題に取り組んでいこうという話になっておりますので、こうした懇談会で、御指摘の点をしっかりと踏まえて対応してまいりたいと思っております。
○武正委員 きょうは譲許表は医薬品についての点でありますが、今医療機器というお話もありまして、今ここに出ているようなペースメーカーとかカテーテルとか、こういったものは医療機器に当たるわけなんですね。ですから、私は後で、WTO譲許表にこうした医療材料とか医療機器なんかも加えていったらいいんじゃないかな、こういうような提案もさせていただこうと思っております。
そこで、次の質問をちょっと先にさせていただきますけれども、今回、譲許表を見直すに当たって、過去二回見直しているんですが、過去二回見直した効果というのをどのようにまず外務省は認識をされているのか。私がさっき言ったように、薬の価格が下がる、こういう効果を見込んでこういう譲許表の改正をやっているんだと思うんですが、その効果があったのかどうかも含めてお答えをいただきたいと思います。
○小野寺副大臣 御指摘の効果につきましては、統計上の評価はございませんが、既に我が国で承認を得ている医薬品については、その関連産品の関税が撤廃されることにより実売価格が低下した場合には、薬価改定の際に考慮されていると承知をしております。
我が国で承認を得ていない医薬品につきましても、その原材料に係る関税が撤廃されることにより、各国で開発を行う際のコストが削減され、医療の進歩に貢献することができるというふうに考えております。
○武正委員 厚労省さんはどのように見ておられますか。過去二回の条約の改正が、今言ったように、価格が下がってきているのかどうか、いろいろ細かく見ないとわからないでしょうけれども、条約の改正の影響、効果をどのように見ておられますか。
○松浪大臣政務官 統計上の評価というのがないわけでありますけれども、我が国で承認を得ている医薬品については、その関連産品の関税が撤廃されることにより実売価格が低下をした場合には薬価の改定に考慮しているところでございまして、承認を得ていない医薬品については、原材料に係る関税が撤廃されることにより、各国で開発を行う際のコストが削減され、医療の進歩に貢献をするというふうに考えているところであります。
○武正委員 各国のそうした価格が下がって、それが国内の流通価格に反映されないと、せっかく条約を改正しても我々国民あるいは国益につながらないとすれば、国内の流通にもし問題点がある、あるいは入札、応札、あるいは公募のそうしたやり方にもし問題があるとすればやはり改善しないと、せっかく条約を改正しても我が国についてのまずメリットというものが出てこない可能性があるということを指摘したいと思います。
そこで、公取さんにお伺いしたいんですが、資料三ページ目で、平成九年に続いて平成十七年に医療機器についての指摘をされているんですが、手元に資料は持ってきておりますが、その概要をお知らせいただきたいと思います。
○鵜瀞政府参考人 公正取引委員会では、従前から内外価格差の問題が指摘されていた医療機器につきまして、ペースメーカー、PTCAカテーテル、MRI及び腹腔鏡の内外価格差及び流通実態につきまして調査をいたしました。調査の結果、先生の資料にもございますが、ペースメーカーの国内価格は海外価格の約一・六倍、PTCAカテーテルにつきましては約二倍ということがわかりました。他方、MRIと腹腔鏡につきましては内外価格差は認められなかったところでございます。
また、ペースメーカーとPTCAカテーテルの内外価格差の要因としましては、費用面での問題、医療機関の購入方法の問題、メーカーの販売政策の問題というような取引慣行上の問題が見られたところでございます。
このような実態を踏まえまして、公正取引委員会といたしましては、独占禁止法上の考え方を示しまして、関係団体にも説明をしたところでございます。
○武正委員 資料二ページをごらんいただきますと、ペースメーカーは、有名なように、やはり四倍ぐらい差もあるわけですね、その内外価格差が。これは過去の数字ですから、それは若干縮まっているのかもしれません。今公取さんの言うように、一・六倍なのかもしれません。
ただ、こうした内外価格差が、今公取さんの資料三ページにあるように、独禁法抵触のおそれもあるということで、たしかこの四月一日から、ペースメーカーについては卸売業者さんの立ち会いというものを禁止しようということで各病院もやっているというふうに聞いているわけなんですけれども。
どうですか、この医療機器、先ほども、これからも医療機器についてもやはり入札の適正化を進めるんだということを厚労省さんは言いましたけれども、ただ、公取さんのこの資料、調査によりますと、平成九年にも同じ指摘をしているんですけれども、他社の進出がふえていないという答えをしている卸売業者というのが五二・八%いるというわけですね。つまり、平成九年にも公取さんは指摘したんだけれども、このペースメーカーなりの医療機器の競争が進んでいないということなんです。
それから、医療機関に聞きますと、見積もり合わせなどを行い購入しているが、いつも同じ業者が安い見積価格を提供してくる、または同じ業者しか応札してこないためという理由をするのがやはり六割近く、医療機関もそういうことを言っているというのが公取さんの調査なんです。
この医療機器についても、やはり二兆円の市場でありますので、これも、先ほど見たように、資料の七ページ、八ページにあるように、これは大阪の医療機関でありますが、一社しか応札をしない。その理由が、入札の仕様書に、このメーカーですよと書いてあるわけです。これはきょう資料用意していませんけれども。いただいた、この六ページの仕様書というのはいっぱいありますので持ってきませんでしたが。メーカーを指定してしまうと、やはりどうしてもこういうような一社の卸売業者、場合によっては総代理店制度、あるいは場合によっては、メーカーが、この卸売業者しか扱っちゃいけないよと言う、そういうこともある、こういうようなことも公取さんの指摘にはあるわけです。
ですから、ここはやはり、医療機器について格段の取り組みを一般競争入札の中でもしていただかないと、一〇〇%落札率というものも改善しないし、内外価格差も改善しないのではないかというふうに思うんですが、この医療機器の入札の適正化についてはどのようにお考えになられ、取り組みをなさいますか。
○松浪大臣政務官 まさに先生おっしゃるような問題をはらんでおりまして、ことしの四月一日より、医療機関等における医療機器の立会いに関する基準を実施いたしました。具体的には、今まで、手術に対して医療機器メーカーの人間が立ち会うというのを四回ぐらいまでに絞りまして、それ以降は、やはり今までみたいなサービスだけじゃなくてちゃんとしっかりお金も取って透明性を図ろう、こういうことがないと、先生御指摘のように、人間関係での取引というようなものにもつながりかねないという危機意識を我々もしっかりと持っているところでございます。
そして、こうしたことを踏まえまして、こうした医療材料の価格についても、これまでは格差、米、英、ドイツ、フランスの外国価格の相加平均の二倍以上というものを基準にしていたわけでありますけれども、今回の診療報酬の改定から一・七倍、次回については一・五倍にしていこうということで、どんどんとこれも厳しくしていこうというふうに考えているわけでございます。
そのほかにもさまざまな業界の慣行というものが先生御指摘のところに結びついているというものもありますので、それをしっかりと変えていかなければならないと思っているところでございます。
一方、使っている患者さんの声なんかを聞きますと、機器が余りに違うメーカーに変わると、家族の方が使い方がわからなくなってしまうんだというような場合もありまして、そういった点についても、できるだけ皆さん、仕様なんかも工夫をして対応すべきだと考えております。
以上です。
○武正委員 お医者さんにお聞きしますと、循環器のお医者さんでありますけれども、やはり医療機器の進歩も非常に激しいんですね。当然、お医者さんはやはりいい機械を使いたい、これはお医者さんの気持ちですよね。なれ親しんだメーカーとかなれ親しんだ卸売の業者さんとはそういう人間関係ができていますから、どうしてもそういったところを使いたがるのかもしれませんが、でも、やはりこれだけ技術が進歩していますから、他のメーカーでも使えると言うわけですよ、お医者さんの側から言えば。
ですから、そこは、公取さんが指摘しているように、三ページでも書いてありますように、特に税金を使っている支出契約だけに、「医療機関は、高いコスト意識に基づく購入行動を採る姿勢を持つ必要。」というのをやはりとっていただかないといけないだろうということだと思うんです。
会計検査院さんにもおいでいただいていますので、四ページに、これは会計検査院が、各府省等が締結している随意契約に関する会計検査の結果についての報告書ということで調査をまとめておられます。去年の十月です。また追加もやるんだというお話でありますが。ここで、競争契約における応札者数別の落札率の状況を見ると、当然、数が少なければ平均落札率、予定価格に対して、やはり一〇〇%に近づいていくわけですよね。これを見ても、複数の業者が、一般競争入札ですから、たくさん応募しないとやはりおかしいわけで、会計法上は、いや、公募もしているし、一社しか応募しなかった、それはしようがないんだというような整理かもしれないけれども、やはりここは改めていく必要がある。これはまた内閣官房が中心となっている関係省庁連絡会議にも求めてまいりたいというふうに思いますが。
どうですか、この医療機器について、私は、今回のこのWTO譲許表に医療機器も加えていったらいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これは、マラケシュ協定にのっとって医薬品についてはこれまでやってきたわけですから、どのような手続が必要なのかわかりませんが、ひとり日本の国内だけではないと思うんです。というのは、今政府が、国内の医材料とか医療機器のメーカーを世界的な競争力ある企業に育てていきたいというたしか五カ年計画も立てておられますよね。そういった意味では、やはり国際的に、そうした医療材料や医療機器も関税を撤廃するような、そんなことも日本として働きかけたらどうかなというふうに思うんですが、これについては、まず外務省、いかがでしょうか。
○小野寺副大臣 重要な御指摘だと思っております。
ただ、医療機器及びその部分品につきましては、本件、医薬品関連産品の関税撤廃の見直しとは別に、ウルグアイ・ラウンドの交渉の結果、我が国としては既にWTO協定上の関税を撤廃しておりますので、今後、また新しいこういう機材が出た場合には同様にこの撤廃の分類に入るというふうに思っております。
○武正委員 私が言ったのは、輸出産業も、日本はこれから政府として五カ年計画で考えていますので、こういう協定を結んで世界の関税を撤廃させることはやはり日本にとっても利益になるのではないか、そういう視点もありますので、その点も踏まえていかがでしょうか。
○小野寺副大臣 重要な御指摘だと思いますので、しっかり踏まえて頑張りたいと思います。
○武正委員 厚労省さん、いかがでしょうか。
○松浪大臣政務官 おっしゃる点、非常に重要だと思います。
しかしながら、今、ペースメーカー等は、もともとの技術が日本の技術であっても、メーカーがいざというときの事故とかを怖がって、ほとんどが輸入、すべてを輸入に頼っているというような状況であります。ペースメーカーなんかは、テルモさんが国立循環器センターと組んだりしてそういうものを進めておりますけれども。
ただ、医療機器を自由化するという点では、五カ年計画の話が出ましたけれども、やはり国力の中で医療機器についての審査体制等もしっかりとしていく必要がある。医薬品医療機器総合機構、PMDAの方でも、医薬品の方は非常に、審査料を倍にして、審査官を倍にふやすということが行われているわけでありますけれども、私どもの医療機器の分野は、二十九人からたしか三十五人ぐらいで、微々たる進み方だと思います。
民主党さんにおかれましても、こうした独立行政法人についても、必要なところは必要だと言っていただいて、また我が厚生労働省におきましても、医療機器の分野におきましては、医療機器担当の部署というのがしっかりと確立もされていないところでございまして、かえって民主党さんの応援をお願いしたいと思うところでございます。
以上です。
○武正委員 独法の通則法の改正も出されて、我が党が主張してきたトップの公募というものも政府もようやく取り入れようということは評価をするところでありますが、ただ、我々は、やはり廃止、民営化というようなのが一つの軸になっております。もちろん、国に戻すべきものは戻すというのがその姿勢であることは申すまでもありません。
外務大臣、今こうしてやりとりを聞いておられて、ぜひ最後に御所見を伺いたいんですが、条約締結というのが国内法に与える影響が大変大きいのはもう申すまでもありませんし、国内法よりもある面優先をするのが日本の法体系でありますが、ここの、例えば今の、国際的な競争を促進する、あるいは貿易の自由化を目指す、こうした譲許表についても、国内の流通過程に対してやはりプラスの影響を与えていく必要があるというふうに私は思うわけでありまして、そういった観点からこの条約の承認を求めているのかいないのか。
これについて、外務大臣、今のやりとりを聞かれて、いや、これはもう厚労省の所管のことなんだというふうに言われるのか。国内の医薬品あるいは医療機器などの流通の改善によってその価格が下がっていくことにつながるのであれば、やはりそうした点も踏まえて、医療機器も含めて交渉をさらに強めていただきたいと思うんですが、御所見を伺いたいと思います。
○高村国務大臣 国内のことは厚労省の所管ではありますけれども、オール・ジャパンとして、日本の国益になるように外務省としても関心を持っている、こういうことでございます。
○武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。
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