【衆院外務委 議事録】 ウィーン売買条約他について質す

2008年05月14日

武正委員 民主党の武正でございます。

 午前中二十分ということでありますので、全米熱帯まぐろ類委員会について質疑をさせていただきます。

 ただ、冒頭、今、渡辺委員からも質疑があったこの中国への日本の取り組みの点についてちょっと確認をしておきたいんですが、一九八八年から二〇〇七年までの二十年を見ますと、国際緊急援助隊の派遣に関する法律施行以降ということでありますが、対中国では二度ほど人的援助をした例があるというふうに承知をしているんですが、この点についてお答えをいただけますでしょうか。外務省ですかね。わかりませんか。過去二回、人的援助を中国に対してしているということでありますが、お答えいただけないですか。

○高村国務大臣 突然の御質問なので、ちょっと私自身はわかりません。政府参考人が認められていないと承知していますので、帰ってしまいました。

武正委員 では、私の方でお伝えをさせていただきますが、きのう外務省さんから資料をいただきまして、洪水災害では一九八九年の八月七日、人的援助、医療チーム二人、それからSARSのときに、二〇〇三年五月九日、同じく人的援助、専門家チーム、五月十一日から十六日までということで四名、六日間出している例があるというふうに外務省さんから報告を受けております。

 ぜひ、大臣、副大臣におかれましては、その御認識の上、私はやはり、こういうときこそ隣国として本当にできることは何でもということで、また現地に、NGOはもちろん、いろいろな日本人もそれぞれもう行っているというふうに聞いておりますので、それこそオール・ジャパンで、ネットワークを張りめぐらして、中国政府としてはそうした対応があるかもしれませんが、ここはもう積極的に、いろいろな角度で人的な派遣を取り組んでいただきたい。過去にも二例あるという御報告ですので、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高村国務大臣 既に中国側には人的援助をする用意があるということを伝えてきているわけであります。昨日、現時点で受け入れ体制が整っていないという返事をもらっていますが、これからいろいろあり得ることだと思っております。

 阪神大震災のときにも、いろいろ外国から申し出があったのを全部受け入れているわけじゃなくて、やはり言葉の通訳の、言葉の意思疎通の話とか、いろいろ受け入れ体制も阪神大震災のときもあったわけなので、こういうのは受け入れるべきではないかというような世論があったことも覚えておりますが、受け入れる側と、そしてこちら側、お手伝いしたいという側と、その意思が一致して、お互いに話し合って、そういう中でお手伝いできるところはお手伝いしていく、こういうことだと思っております。

武正委員 報道を見ておりますと、地震の専門家とか、あるいは四川の盆地のそうした構造に詳しい大学の先生などが行ってみるというような形も報じられていますので、政府として中国が受け入れなくても、日本人がいろいろな形で今渡航をして、それぞれの立場で応援をしようというようなことをやっておられるようですので、そうした意味でのネットワークと情報収集と、そうしたものを集約した上での対応をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、全米熱帯まぐろ類委員会についての質疑でありますが、きょう、農水省それからまた環境省さん、それぞれ政務官においでいただきまして、ありがとうございます。

 過日、当外務委員会で私の方から、カナダの影の国際開発大臣の言葉を引用して、特に科学的知見について環境省さんの協力をもっと得たらどうなんだろうということを外務副大臣、その前には谷川政務官にお聞きをしたわけであります。そのときは、谷川政務官からは、特に鯨を初め、谷川政務官としての決意もかなり伺ったわけですが、主に今水産庁さんがそうした科学的知見を担当されているというのは承知しておりますので、特にそうした意味で、環境省さんの協力、外務副大臣は、御指摘ありがとうございましたというようなことも言っていただいているんですが、農水省さんとしての御所見を改めて伺いたい。

 というのは、本条約には、科学的知見というのがたくさん、特に条約第七条にいっぱい出てくるものですから、やはりこの科学的知見をしっかりと担保するためには、それこそオール・ジャパンで取り組む必要があると思いますので、環境省さんの力が必要ではないかなと思うんですが、農水省さんとしての御所見を伺いたいと思います。政務官、お願いします。

○谷川大臣政務官 正確に御趣旨が理解できないんですが、農水省が科学的根拠に基づいて持続的な利用ができるような取り組みをする上で、どういうことなんですか。意味がよくわからないんですよ。

武正委員 では、まず外務副大臣に。

 この間もそういうような趣旨で伺ったんですけれども、要は、IWCでもそうした科学的知見というものが求められますよね。鯨のときにも、いろいろ科学的な知見で、数量がふえているとか減っているとか、そうしたことをもとに調査捕鯨の頭数を決めていくというような仕組みでありまして、また、今回の全米熱帯まぐろ類委員会についても、この第七条では、科学的知見に基づいたいろいろな調査をしなさいという条約になっているんですね。

 ですから、そのときに、これまで水産庁さんが主にそうしたことを担当しているんですけれども、やはり科学的知見ということですから、環境省さんの協力を得たらどうでしょうというのが質問の趣旨であります。

 では、まず外務省さん、いかがでしょうか。

○小野寺副大臣 鯨もマグロもそうですが、このような天然資源に関する科学的知見というのは、これは資源管理にとって最重要の問題であります。

 日本では、水産庁が主にこういう科学的知見の研究をしておりますが、実は、知見を出すに当たりまして、さまざまな研究者の意見も当然入れております。その研究者には、水産の分野の方もいらっしゃいますが、あるいは資源管理なり環境の分野の方もいらっしゃいます。やはりこのようなオール・ジャパンの考え方を入れるということは重要だと思っております。

 また、私も実はそういう仕事をしたことがございますが、日本の科学者、特に水産分野の研究者というのは、決して産業の立場に立ったわけではなくて、あくまでも科学的、生態的な根拠に立っているというふうに認識をしております。

武正委員 農水政務官、よろしいでしょうか。

○谷川大臣政務官 おっしゃるとおり、いろいろな専門家の意見を聞きながら、やはり、なるほどねと納得できるようなことが正しいと思いますので、ぜひ環境省さんの力もかりながら、どこからもクレームが出ないような形できちっとやっていただければいいなと思います。

武正委員 それで、前回も環境省さんにおいでいただこうと思ったんですが、ちょっと時間の関係もあってお呼びできなかったので、きょうは並木政務官がお見えでありますが、環境省も、省になってまだまだ日も浅いというか、いろいろと仕事はどんどんふえるばかりというのが実態だと思うんですね。

 今回のこうした魚類の科学的な、いろいろな環境に与える影響あるいは環境の影響をどのように受けているかというような知見については、お聞きすると、沿岸については一部やっているけれども、このように遠洋については、なかなか環境省さんとしてはこれまで担当しておられないというようなことを伺っております。

 ただ、この間、カナダの開発大臣が来られたときに、魚類に対する環境の与える負荷の話とか、それから、今のように、この後話が出ますまぐろ類委員会にカナダが署名もしてこれから入っていくに当たって、日加でもっと協力できないかというときに、では、例えばどこに産卵をするのか、その地域の確定とか、あるいは海流などを含めて、かなりそうした科学的な積み重ね、議論がこうした会議ではされるんだということを非常に感じたんですね。国内で余り議論されていないような話もそのときに影の大臣から私も聞きまして、そういうことは国内では余り議論されていないなということもあって、残念ながら反論できなかったことを覚えております。

 ですから、そういう意味では、やはり環境省さんに、こうした日本人のたんぱく源として大変貴重な魚類、その保護、そしてまたそれを日本人の食卓に届ける、そのためにやはりいろいろな国際会議で果たすべき役割は大変重いものがあるというふうに思っておりますので、ぜひ環境省さんもこうした分野にかかわっていただければいいのかなというふうに思うんですが、御所見を伺いたいと思います。

○並木大臣政務官 お時間もありますから、余り長いお話は申し上げませんけれども、既に先生も御存じのとおりかと思いますけれども、もともと省庁の設置法の中で、水産資源の保護管理とかについては農林水産省、環境省に関しましては、主に野生鳥獣の保護ということで、魚は直接的に含まれないというような、そういう所掌の中でやってきているわけです。漁業資源については、希少生物というよりも、漁獲量の大きい小さいということで漁業法関連とかそういう問題もありますので、基本的に水産関係ということでやっていただいているというのが現在の状況であります。

 サンゴの白化とか、いわゆる温度が二度ぐらい上がるとサンゴがどんどん死滅していくとか、そういう研究を沿岸部でやったり、地球温暖化の関連の海洋に与える影響とか、そういうものはやっているわけですし、また、最近の養殖等々においては、そういうえさによって近海のあれが汚れてしまうとか、そういう環境関連の問題もあるわけですけれども、直接、漁業に関する資源保護管理等については、現在、むしろ農林水産省関連の独法である水産資源の保護センターですか、そういうところでやらせていただいて、ちょっと行政的には所掌が違っているということなんですけれども、全体的な環境の中での魚類の問題ということになっていけば、お手伝いできるというか、環境省の分野として貢献できるものはしていきたい、そんなふうには思っています。

武正委員 所掌で魚類については農水省さんだというお話でしたけれども、見方を変えれば、地球の気候変動、そうしたものがあって、それが魚類に与える影響という大きなところからスポットを当てていくということであれば、決して所掌に外れるということはないでしょうし、また、沿岸部で、たしかそうした廃棄物などのいろいろな沿岸漁業に与える影響というのを調べておられる、それは担当されているというようなお話を伺っておりますので、やはりそれは、今のような大きなところから見ていくというやり方で、環境省さんの所掌の中で発言できる、あるいはかかわれる範囲というのは必ずあるというふうに思うんですね。

 ですから、やはりまず国際会議に行っていただくというので、一つどのような分野が環境省としてかかわれるのかなと。IWCもそうですし、これから、きょうも同僚委員が示したように、マグロだって五つも委員会があるわけですよね。それぞれやはり、地球全体の気候変動の中で、マグロ類の保存ということを中心に話していますが、当然それは、気候とか環境の影響というものをそれぞれの国を代表する学者さんが話をする。そのときカナダの大臣は、たしかカリフォルニアか何かのそうした方のそういう知見を随分と例に話をされておりました。

 ですから、環境省としても、そうした国際会議にぜひ積極的に、これは外務省なり農水省が中心でやっておられるのかもしれませんが、やはりオール・ジャパンで、環境省の協力も、あるいは環境省もぜひ積極的にかかわっていただきたいというふうに思うんですが、重ねて、なかなかお答えづらいかもしれませんが、どうでしょうか。見方を変えれば、環境省の所掌に妨げられず、できるのではないかという意見なんですが。

○小野寺副大臣 このような国際会議になりますと、日本では水産庁が主に担当しておりますが、例えば、相手側が環境省、環境関係の方がこういう場に出てくる場合もあります。

 大事なのは、日本が科学的知見を出すということに関して、決してこれは産業育成ということではなくて、改めてやはり資源の管理ということ、それは環境も踏まえた管理ということをしっかり相手国に理解していただくことが大事だと思いますので、ぜひ、いろいろな知見をあわせまして、相手国から信頼される、そのような環境的データの積み上げということをしていきたいというふうに思っております。

○並木大臣政務官 今、小野寺副大臣のお答えがあったとおり、国際的な対応とかで必要なことがあれば、いわゆる魚そのものを保護するというより、魚が生きる海洋の問題とか、そういう環境問題等が関連することがあれば、当然、ああいうサンゴのような固定的な、すぐにぱっと移動できないようなものというのは被害がいろいろ出ていますけれども、魚の場合は、その辺もまだ知見を環境省としてはそれほど持っていないということなんですけれども、必要なものがあれば協力していくということになると思います。

武正委員 農水政務官、いかがですか。最後、一言。特に、このマグロ類も近々また会議があるんですかね、六月、七月ですか。そうしたものも控えておりまして、マグロについても、水産庁としても、農水省としても、やはり日本人は好きですから、このマグロの保存、それから水産庁としても漁業の振興ということも含めて、今度の会議に臨む決意について一言触れていただけますか。

○谷川大臣政務官 いずれにしても、いろいろな食に関係あるものも暴騰している兆しもありますし、また、海にいわば生きている水産物というのも、きちっとした管理というのは確立されているわけでもないし、あらゆる方面からそういうことを模索していくべきだと思います。

 今御指摘の環境について、僕が想定してさっき答えたのは、プラスチックなんかのごみが海岸に打ち上げられるんです。それが波でたたかれて行き来するうちに砕けていくんですよね。その粉を魚が食べるというケースが出てきているので、そういうことを想定しながら、いろいろな意味でと言ったわけですので、そういうふうに御理解していただきたいと思います。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

○平沢委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

○平沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 それでは、続いてウィーン売買条約について話を聞かせていただきます。

 もう既に、国会承認を求める政府から、八八年の発効から二十年経過ということで、それについての、先ほどなぜかということはお話があった。この後、同僚委員も同様の質問が出てくると思うんですが、なぜもっと早く国会承認を求められなかったのかというようなことがやはりあろうかと思いますが、これは指摘にとどめさせていただきます。

 そこで、きょうは法務省から河井副大臣もお見えでありますので、国際物品売買契約に関する国際連合条約、法務省さんからも、この条文を見れば、国内法を改正しなくても直接これで国内のいろいろ貿易をされる皆さんも十分理解できるんだというような趣旨で、直接適用というようなお話でありました。

 ただ、例えば第八条、これはもう既に法務省さんにも私も指摘をしているんですけれども、意図という言葉とか、言明、行為、理解、慣行、これは九条になると慣行とか慣習。特に八条を挙げますと、「この条約の適用上、当事者の一方が行った言明その他の行為は、相手方が当該当事者の一方の意図を知り、又は知らないことはあり得なかった場合には、その意図に従って解釈する。」これは貿易をされている関係者が果たして本当に理解できるのかなと。

 あるいは、これは三項ですか、「当事者の意図又は合理的な者が有したであろう理解を決定するに当たっては、関連するすべての状況(交渉、当事者間で確立した慣行、慣習及び当事者の事後の行為を含む。)に妥当な考慮を払う。」ということですね。

 この意図という言葉がこの八条に当たってはやはり中心となっているんですけれども、なかなかなじみがないなということでありまして、法務省さんに聞いたら、いや、これは意思ということだと言うんですが、意思にしても、法律用語として、特に意図についてはなじみがないというふうに認識をするんですが、本当にこのまま直接適用で、二十年間この条約の承認を政府が求めなかった中で、果たして理解できるかどうかということになりますと、どうかなというふうに思うんです。

 法務省さんとして、この条約を、あるいは国内法は改正しなくてもということで臨んでおられるようですが、御所見を伺いたいと思います。

○河井副大臣 確かに武正公一委員御指摘のとおり、日本の法律用語と異なる表現が用いられている部分があります。

 今御指摘いただきました、第八条の(1)、当事者の一方の意図、あるいは第八条(2)、一方の行った言明、第八条の(3)、当事者間で確立した慣行といった表現は、日本の民法においてはなじみの薄い言葉遣い、概念であります。といいますのは、この条約自体が法律用語をできるだけ使わないで、国際的な売買取引に携わる者にとって理解しやすい規定ぶりになっている関係上、このような表現になっていると思われます。

 今御指摘いただきました当事者の意図とは、インテントというんですね。アクセントはEの上にあるそうですけれども、INTENTですね。インテントの訳で、当事者の考えていること、今委員おっしゃった意思ということであります。

 当事者の言明とは、ステートメント、これは意思表示というのに近いんでしょうか、当事者の発言や文書に書かれた言葉ということで、いずれも日常用語としては理解することができる。

 また、当事者間で確立した慣行というのは、そもそもこういうふうな言葉遣いは日本の民法にはなかなか見受けられることがない。これは当事者が継続的に取引をする中で確立をしてきた慣行のことを指すというふうに言われておりまして、特に承諾の通知をすることなく契約が成立したものとして商品を出荷することが慣行化していたのであれば、承諾の通知なく契約が成立することがこの当事者間で確立した慣行と言えます。

 こういうことでありまして、一つ一つやはり御指摘のことは当たっていると思います。

 そこで、これからこの条約が効力を日本国において生ずるまでに約一年間の期間がございますので、外務省としっかりと協力をしまして、ゆめゆめ今委員から御指摘をいただいたようなおそれが発生しないように、関係業界、例えば全国銀行協会、日本海運集会所、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本商事仲裁協会、日本損害保険協会、日本弁護士連合会及び日本貿易会といったところの皆様を初め国民各位に周知に努めたいと考えております。

武正委員 これは条文で、例えば第十八条の一項ですけれども、「申込みに対する同意を示す相手方の言明その他の行為は、承諾とする。沈黙又はいかなる行為も行わないことは、それ自体では、承諾とならない。」というのもあるんですね。これがわかりやすい表現なんだということを法務省さんは言っておられるようですが、果たしてこれが本当にすっとみんなが理解できるのかなというところも、ちょっとこれだけ見ても、「沈黙又はいかなる行為も行わないことは、それ自体では、承諾とならない。」ということでありますから、はっきりと意思を表明しろというようなことなのかもしれませんよね。

 割に日本人というのはそこら辺が不得手なところもあるというようなところが指摘をされていますので、こういったところもかなり、今言ったように、一年ですか、徹底していかないと、やはりこの条文がわかりやすい言葉だと、諸外国ではそういうふうに解釈をしても、日本のそうした貿易をされる方々が本当にこれを理解されるのかというところは、いかがなものかなという、大変心配もするものであります。

 外務副大臣、先ほどたしか同僚委員の質問に対して、ドイツが民法典を改正したということを例に挙げておられて、そういうような可能性、要は国内法の改正もあり得るというようなことを言及されたやに私は受けとめたんですが、今法務省は、国内法を改正しないで、この条文を周知徹底を図ることでわかりやすく、大丈夫なんだということです。今の一例は八条と十八条を挙げましたが、そのほかを見ていっても、同じようになじみのない言葉とか、なかなかちょっと理解しづらい言い回しなんかがあるんですが、大丈夫なのかなといったことと、法改正はやはり検討する必要があるのではないかということを改めて確認をしたいと思います。

○小野寺副大臣 先ほどの質問の中でお話しさせていただきましたが、基本的には各それぞれ所管の法律に基づいて、各それぞれの担当の方が考えることだとは思いますが、一般的には、ドイツにおきましても、この条約の中で内容について改正すべきところがあったときには変えているという事例はございます。

 ただ、今回、私ども想定しておりますのは、まず現状でこの条約を進めさせていただきまして、その後、各それぞれの法律を改正するような時期に当たりましては、実際の運用の中でそれぞれ問題があれば検討していくことではないかというふうに思っております。

武正委員 民主党の部門会議でも、同様の質問がいろいろと出された折に、当初、この条約を締結、採択するときには日本は主体的にかかわっていたけれども、発効してその承認に至るまでは、先ほどの幾つか述べた理由で、なかなか承認には至っていないということであります。条約を結ぶ時点ではそんなに国もなかったから、ここまでふえたから承認をするんだというようなお話もありますが、やはり条約締結あるいは条約をつくっていく初期の作業に日本がきちっと関与をしていくということは、こうした条文を、その表現なんかも見て、なかなか日本で使いにくい言葉遣いとかあるいは理解しづらいそうした慣行とか、そこら辺を避ける意味があるんじゃないかなというふうに思うのですが、その点はどうですか。

○小野寺副大臣 大変重要な御指摘だと思うのです。

 一九六八年に、国連国際商取引法委員会、これが検討に入った時点で、日本の方としては、学識経験者を含め、この作成の中に既に関与をしておりまして、特にこの時点では副議長の立場で検討していたというふうに伺っております。また、その後もずっとこの検討の中には日本政府の担当者が入っておりまして、ただ、御指摘がありましたように、最終的にここに至ったという経緯に関しましては、やはり、産業界を含め、多くの意見を承りながら決めていったという経緯がございます。当初からかかわっていたということはお話しさせていただければと思っております。

武正委員 そうしましたら、河井副大臣、これで結構でございますので、どうぞお引き取りください。ありがとうございました。

 では、小野寺外務副大臣、今、日本人職員もいるというお話でしたが、全体で職員数がこの国連国際商取引法委員会には何人いて、そして日本人は何人いるのか、お答えいただけますでしょうか。

○小野寺副大臣 済みません。ちょっと今調べておりますので、わかり次第、またお知らせしたいと思っております。

武正委員 概数で三十名ぐらいの職員数で、ただ、日本人は一人だというのはちょっと聞いているので、もし正確な人数がわかったらお答えをいただきたいと思います。

 そこで、お手元に資料を配らせていただきました。以前、当委員会で、ITUという国際機関、七百五十名の職員のうち日本人が五名ということで、ITUの最大の出資国である日本でありながら、他の同様の出資比率を持った国に比べてそうした職員数が少ないことを取り上げました折に、これは高村外務大臣だったでしょうか、JPOという、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサーでしょうか、これを取り上げておられたので、今回、ちょっとそれも含めて調べてみました。

 お手元の資料は、府省庁・法人別派遣状況ということで、十四年度から十八年度まで、人数を見ておきますと、百八十六、百九十九、百六十九、百五十一、百五十一ということで、減っているわけです。特に四枚目は国際機関への派遣人数でありまして、これは七十一、八十、八十五、八十一、八十一ということでありまして、十八年度、八十一の内訳は、国連が四十六、その他の機関が三十五ということであります。これだけ日本の国際社会における重要な地位、それに応じて日本人の職員をふやそうと言っている中で、かえって府省から派遣をされる人数が減っているというのがまず一つ、これでおわかりいただけると思うのですね。

 あわせて、JPOについても話を聞きますと、大体年間四十人ぐらい、この五年間見てまいりますと、三十五、三十六、三十三、三十六、四十。ほとんどその方々は民間からということで、二年の任期で国際機関に派遣をして、そして、その後そこに残る、そうした努力はそれぞれ頑張ってくださいということで、残留状況は約五割というような話も聞いております。

 ただ、実際のところ、その後のフォローというものはなかなか外務省さんもしっかりされていないというようなこともあったり、あるいは、それぞれの省庁が、さっき言ったようなITUなんかは総務省なんでしょうけれども、この間、政務官が来たら、いや、定数の制限があるので、七百五十に対してなかなか総務省からもその五名以上ふやせないんですと政務官も言っておられました。

 また、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律というのを、人事院の要請で、そして総務省が提出してつくっているのですけれども、この第二条は、要請に応じというようなことで、国際機関の要請に応じ派遣をするという法律の仕立てになっておりますし、もちろん、第十一条、復帰した場合に均衡を失することのないようにというのがあるのですが、同意を得なければということもありまして、実際のその派遣期間を見ると、国家公務員の海外への派遣の年数というのはおおむね二年以内。三年以内で大体みんな帰ってくるということもありまして、同僚委員からも、国際機関にはもっと長くいないと本当に日本としての主張ができないだろうと。そういうようなことも考えますと、この法律の課題とか、その定数の問題とか、やはりいろいろと課題が出てくる。

 また、官民人事交流法というのもあるのですけれども、これも民から官、官から民ですけれども、民から官に来て、そこからスルーして国際機関に行くという、そうした法体系にはなっていないことなども含めますと、やはりこの国際機関への日本人、官も民も合わせてもっともっとふやしていく、こういう観点から、もし政府が望むのであれば、やはりそれなりの法体系、制度、この見直しが必要ではないかと思うのです。

 この間、大臣はJPOということを御紹介いただきましたが、JPOでさえ、外務省はその後、その国際機関で働いている方々が、では何年働いているか、何人いるのか、そういったことは十分把握されていないというお話も承っておりますので、やはりこれについては改めて取り組み方を見直す、特段のそうした力を入れていただく必要があるのではないかと思うのですが、今のウィーン売買条約に関する委員会についても、三十名のうちの一人ということもありますので、改めて御所見を伺いたいと思います。

○小野寺副大臣 JPOにつきましては、先ほど御指摘がありましたように、三十名から四十名を派遣ということになっています。また、派遣期間を終了した後に国連等の国際機関に正規に就職できる者の割合につきましても、年によって変動はありますが、四〇%から六〇%の間ということであります。

 政府としましても、このJPOを経験した者を含めて、国際機関へ就職した邦人のキャリアアップについては、JPOによる派遣を終了した者などが再度国際機関で勤務を希望する場合には、各種情報の提供や在外公館を通じた国際機関への働きかけなど、積極的に支援していきたいというふうに思っております。

 また、JPOを卒業された方の中では、国際公務員を希望する方もありますし、中には、経験した中で別な分野に行かれる方もいる。それはやはり個々人の進路の選択かというふうに思っております。

武正委員 外務省に聞きますと、最初は二年、それからその後、いろいろ段階に応じて試験があるときに、その御本人から連絡が来ればそれを応援するという枠組みではあるけれども、それはあくまでそれぞれの皆さんの自由意思なので、実は、その後、二年たって就職した後、なかなか情報が集まってきていないということもあるようであります。

 私は、もっともっと外務省が中心となって、関係省庁にもちゃんと連絡をとって、国際機関、それぞれ省庁と関係ありますので、そういったところに行っている日本人、そして、その中でいろいろ御苦労もある、家庭のことあるいは子供のこと、いろいろある、その中で応援するというのをやはり外務省が一元的にやるべきだというふうに思うわけであります。

 この間、外務大臣はこのJPOということを例に挙げておられますので、改めて、外務大臣、いかがでしょうか、この人数などを見て、省庁の派遣人数が減ってきている状況の中で、この国際機関における日本人職員、民間も含めてもっともっとふやすために、政府を挙げて取り組み方を強化していくべき、あわせて、外務省の中でのそういう一元的な機能強化、この二点についての御所見、御決意を外務大臣にお伺いしたいと思います。

○高村国務大臣 国際機関で活躍する日本人は、我が国の国際貢献の顔であるとともに、国際社会において我が国の考え方を実現していく際にも重要な役割を担っております。外務省としては、関係省庁や民間とも十分に連携しながら、日本人の国際機関への送り込みを強化する必要性を認識しているところでございます。

 例えば、関係省庁からの出向者を初めとする中堅職員の派遣等につきましては、当該省庁と連携しつつ、在外公館における選考状況のフォローアップや国際機関人事担当への働きかけといった送り込みの支援を行ってきております。

 また、重要度の高い国際機関の幹部ポストへの邦人の送り込みに関し、外務省は、国際機関等における各種選挙に関する省内の意思決定メカニズムとして、昨年三月に、外務大臣を委員長とする常設の選挙対策委員会を設置いたしました。国際機関等の幹部ポストの選挙を初めとする重要な選挙につきましては、同選挙対策委員会が中心となって、関係府省庁とも連携しながら、オール・ジャパンとしての取り組みを進めていく決意でございます。

 委員の御指摘、正面から受けとめて、一生懸命やっていきたいと思います。

武正委員 お話を伺うと、閣議決定とか、例えば骨太の方針とか、そういったものでも位置づけられていないという話でありますので、私は、ITUの人数だけではありません、いろいろなルール、また今回の条約の言葉遣いを含めて、そしてまた海外で活躍する日本人が多いだけに、あるいは日本の生命線である貿易・投資、やはり日本の国益を守るためにも国際機関で働く日本人をしっかりとサポートする、応援をする、そういう政府としての姿勢を示していくことを強く求めて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

back


top