【衆院外務委員会】 アデン湾、ソマリア沖等海賊対策について
2008年11月12日
○武正委員 民主党の武正公一でございます。
中曽根外務大臣、御就任おめでとうございます。外務委員会での質疑を行わせていただきたいと思います。
外務大臣も文部大臣御就任の経験もおありでございますし、まず、国連の人権規約の中での高等教育無償化条項、唯一、世界で三カ国だけ留保をしている。これについては、文部大臣当時もこのことは御認識があったというふうに思うんですが、一九七九年、七八年ですかね、この批准以来もう丸三十年を経過しても、依然この留保を外すことができない。
こうした中で、やはりこれは先進国、世界第二位の経済大国として非常に恥ずかしいことであるというふうに考えるわけですが、外務大臣にも御就任されて、文部大臣の経験も有しておられる中曽根外務大臣としての率直な、この高等教育無償化条項の留保という点についてどのようにお考えになっておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 委員が御承知のとおり、我が国は、いわゆる国際人権A規約第十三条2(c)の高等教育無償化条項の適用に当たりまして、同規定の言っております「特に、無償教育の漸進的な導入により、」に拘束されない、そういう権利を留保しているわけでございます。
これは、理由は、高等教育の無償化ということにつきましては、まず財政負担が必要といいますか、あるということ。それから、高等教育に進学しない、そういう学生もいるわけでありまして、そういう学生との間の公平性の見地、こういうことも考えなければならないと思います。また、日本の高等教育におきましては私立学校の占める割合も大変大きい、そういうことから、私立学校を含めて無償化の方針をとるということが今のところは困難である。そういうことから留保をしていることでありまして、この留保を撤回するかどうか、そういう御質問はなかったかと思いますが、これは文科省の方の御担当でございますので、私からはその点についての答弁は差し控えさせていただきます。
○武正委員 文部大臣も経験されているので、文部大臣当時もやはりこれについては何とかしたいというふうに思っていたということでよろしいでしょうか。
○中曽根国務大臣 それは、できることならば、勉強をしたい、そういう向上心のある学生が高等教育に行く、それはできるだけの支援を政府としてできればと、そういうふうには思っておりますが、今申し上げましたような理由によりまして、なかなか困難が大きいということでございます。
○武正委員 文部科学副大臣がお見えですが、今、外務大臣からは、これは文科省であるということだったんですけれども、外交関係の条約締結、これはやはり窓口というか、外務省が担っているわけですので、これは外務省、文科省が協力して、また、他のお話では財務省も出てくるんだと思うんです。
当時の園田外務大臣が、七九年の批准国会ですか、このように述べておられます。留保なしで批准するのが望ましいが、政府部内の意見統一がとれず恥じている、当然、将来解除する方向で努力をし、その責任もあると。この当時の園田外務大臣が述べてから三十年、附帯決議でも国会で数度、行ってまいりました。
そうした中、やはり私は、この高等教育無償化条項、残り二カ国、批准をしていないのはルワンダとマダガスカルということでありますし、公的な教育への支出の割合、これが先進国でも最下位、OECDの中でもベネルクス三国を除くと最下位、これは本当に恥ずかしいと思うんですね。
資源のない国日本、子供は国の宝である、あるいは人材育成に力を入れてきた日本、江戸時代の寺子屋、あるいは明治以来の師範学校、本当に教育に力を入れてきたから今日の日本がある、これはもう委員共有の思いだと思うんですが、文科省として、この高等教育無償化条項の留保を外すということについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○松野副大臣 先ほどの外務大臣の答弁と同様の趣旨でございますけれども、国際人権A規約の高等教育無償化条項につきましては、無償化の際の財政負担の問題、そして高等教育段階に進学しない学生との負担の公平の見地の問題、日本におきましては私立学校の占める割合が大きいため、私立学校を含めて無償化の方針をとることが困難であるということから、留保しております。
しかしながら、能力があるにもかかわらず経済的理由によって就学の機会が奪われないよう、教育の機会の均等を図ることは極めて重要なことでございますので、このため、奨学事業等を通じて支援に努めてまいりたいと思います。
○武正委員 二〇〇五年三月の参議院予算委員会での報告ということで政府からありましたのは、国公私立大学の学生の年間の学費が百十六万一千二百円、生活費が八十五万六千五百円、合計二百一万七千七百円で、勤労者の年収平均六百二十九万円の三二%を占めると。これが、二〇〇五年度の数字では、さらに二百四十二万円に上がっている。家計に占める高等教育の支出の割合というのは大変高いわけでございます。
一方、私学に対する私立学校振興助成法、また国会の附帯決議、経常費の二分の一の補助ということでいきますと、しかし、現在の私学に対する経常費の補助は一二%。国立大学に対する予算は経常費の五三・一%を占めているということからいっても、やはり私学に対してのそういう経常費の補助が目標の二分の一にははるか及ばない、こういった現状もある。
あわせて、今言われました奨学金については、日本の奨学金が言うまでもなくいわゆるローンであって、すべて上げるという欧米のそうした奨学金とは異なる、こういった現状もあるというわけでありまして、やはりこういったことをかんがみると、留保を続けるということは非常におかしいなというふうに思うわけです。
一つ、先ほどの公立、私立の公平みたいな話ですけれども、あるいは、大学、高等教育に進んだ方にだけ補助をすることの公平性の原則みたいなことですが、大学の進学率は今何%になっているか、副大臣、お答えいただけますでしょうか。
○松野副大臣 大学と短大を合わせまして五五%でございます。
○武正委員 五割を超えているわけでありまして、あわせて、高等教育を受けるということが、ひとり個人に帰するというよりも、日本の学術振興とかあるいは科学技術の発展とか、さまざまな効果があることはもう申すまでもないわけでありますので、やはり公平性の原則ということを言うのはいかがなものかなというふうに思うわけであります。
私立学校についても、無償化は困難ということでありますが、その前にまず、経常費の二分の一以上という振興法あるいは附帯決議でさえまだできていないわけでありますので、この条約については、漸進的というんですか、徐々に無償化ということもあるわけですから、私はやはりこれは無償化条項の留保を取っていくべきだというふうに思うのですが、改めて、文部大臣の経験もある外務大臣、この点についてどのようにお考えになるのか。先ほどの三つの原則で、やはり難しいというふうにお考えでしょうか。
もう三十年たっているわけですし、園田外務大臣のあの、恥じている、将来解除する方向で努力をし、その責任もあると。また、二〇〇五年には町村外務大臣も検討するというようなことを言ってきているわけでありまして、あわせて、二〇〇六年までに勧告を受け入れるように、いわゆる二〇〇六年問題もそのままだというふうに理解をいたします。やはりここが、日本政府として、外交の姿勢もしっかりと諸外国に対して、あるいは国連の委員会に対して示す必要があるというふうに考えますが、改めて文部大臣の経験も有する外務大臣としてのお考えを伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、種々の制約、理由がありまして、現在は留保したままでございますが、将来的に国の財政状態がどうなるか等々、先行きもありますけれども、私個人的には、やはりそういう高等教育に対する支援というものもしっかりやっていければ、そういうふうに思っておりまして、ここで今、先ほど申し上げましたように、留保について政府としてどうするかということは私の立場で申し上げられませんけれども、できるだけ学生が本当にそういうお金の面を心配しないで勉強できるように、そして一人でも多くの人が高等教育に行けるように、そういうふうに願っております。
なお、御質問にありませんが、ちょっと余計なことを言わせていただくかもしれませんが、私は幼児教育議員連盟の会長をしておりまして、やはり幼児教育の無償化というものも、委員も御承知と思いますけれども、これも重要と思っておりまして、今の御質問とは全然関係ありませんけれども、無償化ということについては、どの段階から始めたらいいかとか、どの段階でやることが効果があるかとか、そういうこともやはり検討する必要があるのかなと個人的には思っております。
○河野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時八分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。武正公一君。
○武正委員 午前に引き続き質問をさせていただきます。
この委員会でも何度となく、前国会でも取り上げました、いわゆるギョーザ事件でございます。
閉会中、たしかこれは読売新聞でしたでしょうか、社説で、「先月の北海道洞爺湖サミットの直前、」ですから八月七日付の読売新聞の社説でありますが、「中国から外交ルートを通じて日本側に伝えられたという。」ということで、要は、中国製の冷凍ギョーザによる中毒事件で、有機燐系殺虫剤メタミドホスが中国で混入されたと見てほぼ間違いない事実ということであります。
これについては、七月に伝えられていながら、八月のこの報道の前日ですか、兒玉外務報道官がそれを認める対応というか記者会見をされておりますが、伝えられていたとすると、なぜそもそもこうしたことが政府から速やかに発表がなかったのか。この点について、まず内閣官房、お答えをいただけますでしょうか。
○松本内閣官房副長官 本件の問題につきましては、一刻も早く真相を究明することが何よりも重要である、中国における捜査の進展と国民の食の安全の確保という二つの観点から、政府としての措置を適切に講じてきたところでございます。
中国側より提供された情報は、中国での捜査の経過で得られた情報でありまして、中国側からも非公表としてほしい旨要請があったところでございます。これらを踏まえまして、我が国政府として捜査の進展に支障を来さぬよう、公表を差し控えたものでございます。
現状はこのような手続をとらせていただいたところでございます。
○武正委員 警察庁さんもお見えでありますが、中国側からは、生産工程などで混入された状況ではなく作業員の調査でも容疑者は見つからなかったとされて、捜査状況の説明を求めて日本の事件との関連性を確認する方針とされていた日中のそういう警察当局の協議も、四月九日以降中断をしていたわけですね。そうした中、こうしたことが中国側から連絡があったわけでありますが、連絡があった正確な日時をもう一度、副長官、お答えいただけますか。
○松本内閣官房副長官 この中国製冷凍ギョーザにつきまして、七月七日に指導部の指示として、中国側から中国での事案につき通報があったということを受けとめたところでございます。
○武正委員 七月七日、どちらからどちらに連絡があったんでしょうか。
○松本内閣官房副長官 中国外交部が、国内で中毒事件の発生について在中国日本大使館に通報をされたものでございます。
○武正委員 外務大臣、そのことは事実としてよろしいでしょうか。
○中曽根国務大臣 結構でございます。
○武正委員 当委員会でもやはりこうした事実について、日本の警察も、日本の捜査の中では、原因とするそうした農薬などが日本の流通過程で混入した形跡はないということをはっきり言ってきたわけですが、中国側は先ほどのように、生産工程などで混入された状況ではなくということを言い張っていたわけですから、私はこれは事実として、非公表などと言われるまでもなく、やはり事実は事実として、日本政府として、国民の生命、安全を、あるいは財産を預かる日本国の政府として、速やかに公表すべきであったというふうに思うんですが、連絡を受けた当局として、外務大臣はどのようにそのことについてお考えになられますか。非公表で当然だというふうに思われますか。
○中曽根国務大臣 まず、この問題について、先ほど松本副長官から御答弁ありましたけれども、私どもにとりましても、国民の利益を第一に考えて、本件の真相解明がまず最優先だと思っております。
さらに、お話ありましたけれども、中国国内における捜査途中での情報を公表するということになりますと、また捜査に支障も出かねませんので、また、ひいては我が国国民の利益にも合致しないということで、非公表の扱いといたしました。
九月に私自身が日中外相会談を行いました際にも、ヨウケツチ外交部長に対しましてこの問題の適切な対処を求めましたほか、先月の日中首脳会談におきましても、麻生総理から中国側の取り組みを求めまして、温家宝総理からは、中国政府として責任を負う、日本との協力を引き続き強化したい旨の発言があった、そういうふうに承知をしております。
以上でございます。
○武正委員 警察庁は、捜査状況の説明を求め、日本の事件との関連性を確認する方針というふうに報じられておりますが、引き続きそうしたことを求めているのか、あるいは日中の捜査当局のそうした情報共有はどういうふうになっているのか、あるいは報道では、絞り込み、大詰めとかいろいろありますが、今の現段階、どういう状況になっているのか、お答えいただけますか。
○米田政府参考人 今の御指摘の情報につきましては、警察庁はもともと当初から、明確な論拠を挙げて、日本国内での混入の可能性は極めて少ないということを中国当局にも申し向け、国民にも説明してまいりました。したがいまして、中国国内でそういうメタミドホスによる人身被害が生じたということは、警察庁にとりましては、特にそこで捜査方針を変更しなければならないというようなものではございません。
しかしながら、中国の国内における捜査を、これは中国当局も合意している話でございますが、より強力に加速させなければならない、そのために私どもも協力できるところはさらに協力をしなければならない。現在までさまざまな情報、資料を提供しておりまして、外交ルートも使い、あるいは警察庁と公安部との情報ルートも使い、さまざまな情報交換をしております。
現在までのところ、中国の捜査においていまだ立件には至っておりませんけれども、そういった協力を続けながら、この問題の一刻も早い解決を目指したいというふうに考えております。
○武正委員 今、日中刑事共助条約は国会でも批准をされましたが、まだこれが施行されるには至っていないわけでありまして、当然、過去の事案でありますから、これには日中刑事共助条約は適用されないということでよろしいですか、外務大臣。
○中曽根国務大臣 遡及施行はないということでございます。
○武正委員 そうしますと、やはり外交当局が交渉の窓口の主体ということで変わりないと思うんですが、既に報道では、八月三十一日付で臨時工を事情聴取とか、九月十七日付で九人が関与濃厚、そして絞り込み、大詰め、そのこともまた日本政府に伝えていたことがわかったということでいろいろ、そうした捜査は大詰めになっているという報道があるんですが、実際、今どういう状況にあるのか、お答えをいただけますでしょうか、外務省。
○中曽根国務大臣 今のところ、中国側からも具体的な報告がない状況でございます。
○武正委員 それもまた非公表で、言ってくれるなということでしょうか。本当に何も報告がないんですか。
八月六日に中国外務省報道官談話を発表、製造元の天洋食品が事件後に回収したギョーザが中国国内で流通し、六月中旬、有機燐系殺虫剤メタミドホスによる被害が出ていたことを初めて公式に認めた、中国政府はこれを極めて重視し、公安部門が全力で捜査中と。今までは中国国内に問題はないとされていたところを変えたわけですよ。
当然、日本側は前から、日本の流通過程で混入の疑いはないと。しかも、原液を直接かけないとあり得ない、農薬、毒性学の専門家が驚くほどの極めて高濃度のメタミドホスが検出されたということも警察庁は言ってきたわけでありまして、日本の警察の捜査の確かさが示されたわけであります。
そういった意味では、外交当局としてしっかりと捜査の状況を求めていくということも、先ほど言いましたよね、日中首脳会談初め、あるいは外相会談でも求めていながら、相変わらず全然報告がないんですか。そういうことですか。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、たび重なる会談においてこの問題の真相究明あるいは報告等を求めておりますが、現段階では特段の報告はありません。引き続いて中国側には状況等の報告といいますか、そういうものを求めていきたいと思っております。
○武正委員 日本で被害を受けた被害者が出て、しかもその原因が中国側にある。刑事共助条約はないけれども、外交当局でさまざまな形で要請履行ができるわけですよね。もっと強く具体的に、外交当局として求めていくべきではないでしょうか。
あるいは警察庁だって、もう一度どうですか、向こうの警察当局とそうした会議を二月とか三月とかやりましたよね。警察当局もそれをやって、しかもその道案内というか、外務省がそれをちゃんとセッティングして、この点の事実解明を徹底的に求めるべきだというふうに思うんです。
それはやはり、今条約がまだ施行されないわけですから外務省の役割なんですけれども、外務大臣、いかがですか。それをしっかりとやるというふうに明言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、日中首脳会談、十月の二十四日、つい先日でありますけれども、あのときに麻生総理から強く温家宝総理あてにこの問題の解明とまた状況の報告を求めております。あれからもう二十日近くなりますか、そういうことを考えますと、再度、この問題の状況はどうなっているか、また真相解明はどうなっているか等、こちらから求めていきたい、そういうふうに思っております。
○武正委員 警察庁は、中国の公安当局との会議というのは何月以来やっていないんでしょうか。
○米田政府参考人 複数の者が集まっていわゆる会議という形では、四月の八日、九日、こちらから中国に赴いて会議をして以来、やっておりません。ただ、現在も日常的に、連絡窓口を設けておりますので、それを通じて相手方の捜査状況等についても必要な情報を得るように努力をしております。
ただ、個々の現在の進展状況とかあるいは細かい話につきましては、ちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○武正委員 そうした責任者同士の会議というものが四月九日以来中断をしているわけですので、八月六日の中国外務省報道官談話が出て、ある面、局面が変わったわけですから、私は、国民に対する説明をしっかりする意味でも、また政府としての毅然たる姿勢を示す意味でも、捜査当局、責任者が日中間で協議をする、こういう舞台というのは必要だというふうに思うんです。
その道をつけるのは外交当局の役割になってくるんですが、そうした点も含めて、また来週APECもあるようですから、日中の外相会談もあるんでしょうか、そうした場をぜひつかまえて、今の点も含めてしっかりと中国側に申していただきたいと思いますが、外務大臣に再度、御質問をしたいと思います。
○中曽根国務大臣 これは、国民の食の安全というのは命にもかかわることでありますので、今の委員の御指摘も踏まえて、今後の両国の会談等で強く要請をしていきたいと思っております。
○武正委員 ありがとうございます。
それでは続いて質問を移らせていただきますが、資料をお配りしておりますので、ごらんをいただきたいと思います。
これは国際海事機関が発表した資料でありまして、最近の海賊及び船舶に対する武装強盗事件等の発生状況ということであります。日本船の被害というものがそれぞれの括弧で示されておりますので、二〇〇七年では十件中五件ということで、日本船については依然東アジアでの武装強盗事件がふえているということでありますが、ソマリア沖あるいはアデン湾ということで、アフリカでの武装強盗事件がふえているのは御承知のとおりでございます。
そこで、二ページ目をごらんいただきたいんですが、海上保安庁の東南アジアに対する海賊対策の概要ということでお示しをしました。過去、アロンドラ・レインボー号事件を皮切りに、このように国際会議を開いて、そしてReCAAPと呼ばれる条約を結んだ、こうした経緯が、それを主導してきた日本ということが、これからもわかるわけであります。
まず一ページ目に戻りまして、東アジアの武装強盗事件が減ってきた、その状況はReCAAP等の対応というものが影響しているのかどうか。これについては、外務大臣、いかがでしょうか。どういう御認識を持っておられるか。
○西村大臣政務官 アジアの取り組みですけれども、これまで各海上保安機関とも連携を強化しておりますし、アジア海賊対策地域協力協定、ReCAAPと呼ばれるものの法的枠組みをつくっております。あるいは定期的に海賊対策の専門家会合を開き、また長官級のクラスの会合も開き、我々、海賊対策を実施しているところでございます。
○武正委員 認識として、東アジアの件数が減ってきたのはそうした日本側の取り組みも功を奏しているという認識でよろしいでしょうか。
○西村大臣政務官 各国連携のもと取り組みを強化しておりますので、これは成果が出ているものと認識をしております。
○武正委員 国交省もお見えでございます。岡田政務官もお見えでありますが、たしか海上保安庁も、シンガポールに置かれましたこの情報共有センターに事務局長補ということで人を出しているというふうに聞いております。
海上警察並びにそうした海上関係の局というんでしょうか、部局の育成というものがこの条約の目的というふうに理解をしているんですけれども、東南アジアでそうした試みがどのように進展をしてどういう効果をもたらしているのか、具体的な国に新たな組織ができたり、そうした動きがあるのか、お答えをいただきたいと思います。
○岡田大臣政務官 お答えを申し上げます。
ただいま先生御指摘のとおり、新たに設立をされましたアジア海賊対策地域協力協定、それに基づいて情報共有センターがございまして、ここに、伊藤事務局長を支えて我が海上保安庁からも一名、事務局長補が派遣をされてございます。そして、人材の育成、各国の能力向上が大切と考えまして、今通算で十四カ国から、JICAの枠組みを利用いたしまして、研修生を招いて海上犯罪取り締まりの研修をいたしておるところでございます。また、我が国からも海賊対策分野で法律的な専門家等の派遣をいたしておるところでございます。
○武正委員 きょうはそれぞれ、官房副長官もお残りをいただいていますが、今、内閣官房に総合海洋政策本部ができて、関係閣僚から成る法制チーム設置ということも聞いておるんですが、海賊対策のための法整備ということも行っているやに聞いておるんですけれども、私は、このReCAAPのような枠組みを、今海賊による事案が横行しているアデン湾、ソマリア沖、ここにその知見をやはり生かしていくべきではないかなというふうに思っております。
これは、民主党が提出したテロ根絶法の第二十八条にも織り込んでいるわけでありますが、これについて、今、内閣官房の総合海洋政策本部における海賊対策のための法整備の検討状況について、そうした条約等についても検討を行っているのかどうか、見通しも含めてお答えをいただきたいと思います。
○松本内閣官房副長官 総合海洋政策本部では、関係閣僚から成る法制チームを設置いたしまして、本年二月八日、海賊に対する取り締まりに関して、関係府省と連携協力して、取り締まりのための法制度上の枠組みについて検討することが決定をされまして、海賊行為を取り締まるため、総合海洋政策本部においては、国連の海洋法条約等に則しまして、船舶の国籍を問わず、海洋上の海賊行為を我が国国内法上の犯罪とするような法整備について検討を行っております。
また、自衛隊の活用を含めた海賊対策のあり方については、総合海洋政策本部のもと、関係府省が法制面の整備を含め、所要の検討を現在進めているところでございます。
○武正委員 外務省に伺いますが、本年十月二十一日、国際海事機関の事務局長が来日された折、御法川政務官がReCAAPの知見を有する協力をしたいというふうに事務局長に申し入れたというふうにホームページで報じられておりますが、これは事実でしょうか。
○西村大臣政務官 御法川政務官が対応いたしまして、そのように述べたことは事実であります。
○武正委員 これは、ソマリア沖で海賊事案が頻発している、これについて何かしなければならないといった、事務局長とのそうしたやりとりの中で出てきたということでよろしいですか。
○西村大臣政務官 そのように理解しております。
○武正委員 再び官房副長官にお伺いしますが、先ほど、自衛隊を含めた法整備ということでしたが、特にこうした海上警察について、海上保安庁については、インドとの協力ということで、既にムンバイ沖でのそうした共同での協力の実績もあります。
また、中東各国について外務省から資料をいただきますと、イエメン、オマーン、サウジアラビアにも、例えばイエメンですと、イエメン沿岸警備隊約千二百人、パトロール及び沿岸警備艇二十一隻、オマーン、王立警察沿岸警備隊四百人、沿岸警備艇五十二隻、サウジアラビアに至っては、沿岸警備隊四千五百人、パトロール及び沿岸警備艇約五百五十一隻ということで、同じく国交省からいただいた資料で、東南アジアの、先ほどのReCAAPの締約国のそうした海上警察と比べても遜色のないこの三カ国の海上警察の状況でもありますので、私はやはり、このReCAAPの知見を生かしたいとIMOの事務局長に外務省の政務官が言ったように、この内閣官房に置かれた総合海洋政策本部における海賊対策のための法整備の中で、日本が既に知見を持っているこの東南アジアでの条約を中東、アフリカ各国に働きかけて、その条約の締結に至るための、まずは資料の二ページにあるような国際会議から進めていくことも含めて積極的な御対応があってしかるべきと考えますが、再度、この条約の知見を生かした対応ということを内閣官房として進められる御意思があるかどうか、お伺いをしたいと思います。
○松本内閣官房副長官 いろいろな御提案も含めて御助言を賜っておりますことは承知をしております。
それを踏まえた上で、現時点については、その内容、詳細についてお答えを申し上げることはできませんが、政府といたしましては、海上交通の安全確保の重要性にかんがみまして、総合海洋政策本部のもと、関係府省が、自衛隊の活用を含めた海賊対策のあり方について、法制面の整備を含めた所要の検討を進めてきているところでありますので、今の御助言に関して受けとめさせていただいて、検討を進めさせていただきたいと思います。
○武正委員 あのアチェの大地震のときに、インドネシア、マレーシア、やはり各国の軍隊の艦船が来ることに非常に拒否感を持っていた。そういうこともあって、この東南アジアでReCAAPがうまく成功しているんだというふうに思っておりますので、自衛隊ももちろん大事でありますが、やはりこの日本が海洋国家として、大変海上警察、海保さん頑張っておられます。ただ、この間、予算委員会のやりとりで、海保の長官がなかなか中東まで出張っていくのは難しいと言われたのは、まさに艦船なり予算なりそうした問題点があるからであって、私はやはり海上警察の予算をもっともっと充実させて、そうした取り組みを積極的に進めていくことを求めたいということで、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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