【衆院外務委員会】 尖閣諸島日本海域における中国船の領海侵犯について

2008年12月10日

武正委員 民主党の武正でございます。一般質疑を行わせていただきます。

 まずは、質問にはありませんが、尖閣諸島の日本の領海に中国船が領海侵犯をしたということでけさも報じられておりまして、極めて遺憾であると私も考えます。これについては、この外務委員会で何度となく、日中局長会議、この日中中間線のガス田をめぐる質疑を行ってまいりまして、現総理、麻生外務大臣のときからも、中国側が尖閣諸島の北、中間線よりも東側での共同開発を提案している、こういうような報道もありまして、それについても再三、外務省、外務大臣等にもそういった事実があるのかということを確かめてまいりました。

 こうしたこともかんがみますと、我が国の固有の領土、領海、これをしっかりと守るということを、これから日中韓の首脳会談、またバイでの外務大臣の会談なども、あるいは日中韓の首脳会談にも同席されると思いますので、極めて毅然たる対応を外務省には求めておきたいと思います。

 そこで、質問要旨に沿って伺いたいと思いますが、まず、会計検査院のODAについての指摘について伺わせていただきます。

 いろいろと指摘が毎年多くなされるんですが、その中で、ガーナ共和国の小中橋梁建設計画、これについて伺いたいと思いますけれども、会計検査院の報告では、支線道路の十八カ所に橋梁を整備するものであり、外務省はこのうち十三カ所について支援を行った、具体的にはまたJICAがそれを担当したということであります。資材調達型の援助ということでありますが、ただ、この資材調達型援助、工事の完成時の確認を行うことにしていないということが問題であることを会計検査院が指摘をしております。

 会計検査院が十三カ所のうち一カ所を選定して検査を行ったところ、橋梁でありますので、岸の橋台とその橋梁との接合部に設置されるボルト、これについて十六本中十一本が欠落していたということであります。

 発生原因として、このような事態が生じているのは、外務省が工事完成時に確認などを行っていなかったことが原因ではないかというふうに結論づけておりまして、これについては、外務省及び無償資金協力を実施することになったJICAが、資材調達型の援助についても技術支援を一層強化、相手国が行う工事の完成時に原則として相手国から写真または報告書を受理したり、外務省またはJICAが現地へ赴いたりして確認を行うべし、こういうふうに言っているわけでありますが、この指摘について、外務省としてどのように認識をされているか、お答えをいただけますでしょうか。

○中曽根国務大臣 今年度の会計検査院の報告におきまして、複数のODAの案件がいわゆるこの報告の中で「意見を表示し又は処置を要求した事項」ということに掲記をされたわけでございます。これはODAに対する世論や国会の関心の高さのあらわれである、そういうふうに真摯に私ども受けとめておるところでございます。

 御指摘の案件は、ガーナ全土において十八件の小中の橋梁を整備する計画でありまして、そのうち、我が国が橋梁用の資材を供与して、そしてガーナ側が建設を担当いたしました十三橋梁のうち一つの橋梁につきまして、お話ありましたけれども、アンカーボルトの締めつけが不良であった、そして橋台と鋼鉄橋の接合部にありますところに設置されます高力ボルトの欠損が指摘されたということでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘にありますように、完成までしっかりと見届けるということが重要だと私も思っておりまして、今後も、会計検査院からの報告も踏まえつつ、ODAの適切な執行に努めていきたい、そういうふうに思っております。

武正委員 会計検査院もおいでいただいていますが、当委員会でかつて私、メキシコのプラントについて取り上げたことがございます。本年、高村外務大臣とやりました件でありますが、振り返りますと、円借款、メキシコでの大気汚染対策関連事業、JBICが担当しておりましたが、〇二年一月一日にプラントで火災があった。会計検査院は二月十五日に実地検査をし、十一月二十七日に国会に報告を上げた。しかし、そこにはその火災があった事実が記載をされていなかった。会計検査院に対して、JBICが虚偽の報告をしていた。しかし、会計検査院が現地で検査をするときの通訳など、大使館も同行していたわけですが、大使館もあるいは外務省も、ことしの二月になって初めて、火災があって九月まで実質稼働していなかったという事実を把握したということであります。

 私は、外務省、JICAの対応ということも今回この小中橋梁の問題で会計検査院が指摘しておりますが、相手方、供与先に対して、外務省、JICAあるいはJBIC、そしてまたそれを検査する会計検査院、そのチェック体制が甘いんではないかというふうに考えております。

 そこで、お手元に資料を御用意いたしましたが、まず一枚目はイギリスの会計検査院の資料でありまして、この和訳について、会計検査院に和訳をしてもらったものを提出しております。

 ここで、下の方に書いてあります、これは「カントリービジッツ」というものを和訳しておりますが、「各国において、我々は国際協力省の職員、被援助機関及び意図する受益者にインタビューを行った。」NAOがそうした相手先について、会計検査院が相手先についてインタビューを行った。「また、我々は現地事務所に保管されている資料をレビューした。さらに、我々は、訪問時に高まった安全上の理由により」云々ということでありまして、そのチェック体制について、供与先についてイギリスの会計検査院がチェックを行っているということを示しております。

 では、アメリカのGAOはどうかということで、ちょっと資料は添付しておりませんが、これはGAOの資料でありまして、同じくこれも会計検査院に和訳をお願いしましたが、「我々はインドネシア、ペルー、セルビア、モンテネグロ及び南アフリカの米国大使館及びUSAID現地事務所を訪問した。これらの国々で、我々は大使館やUSAID現地事務所において米国機関の職員に会ったり、NGO現地代表者及び外国援助活動を実施している契約業者に会ったり、外国援助の表示及び公表努力に関して各機関の資料を収集し分析したり、米国機関及び実施機関の表示及び公表活動を観察するため各国においていくつかの事業現場を訪問した。」ということであります。こうした活動。

 それからまたUSAIDの方も、これはUSAIDの方の資料を見ますと、USAIDが援助のそうした合意をするときには必ず現地のさまざまな説明を求めるということ、特に財政的な、USAIDのファンドを利用する、使うということについてきちっと調査ができるということをそのアグリーメントの条項に入れなければならない、こういったこともUSAIDはつくっております。

 日本の場合は、そうした外務省、JICA、まあJICAもお手元の資料の二ページ目には一応こういうことが書いてあるんですね。これはJICAから提出していただきました。「借入人は、本借款の健全な監理のため」、チェックのため、「国際協力機構が正当に要求する時期、様式及び内容で、国際協力機構に対してすべての情報を提供するか又は提供されるための措置をとるものとする。かかる情報は、借入人の国における財政・経済状況及び国際収支状況に関する情報を含むものとする。」こういうようなことも決められているんですけれども、実際にこれが果たして機能しているのかということであります。

 まず、外務省に聞きますが、JICAがこういうような約束事、借款の監理について、「措置をとるものとする。」ということがあるということは承知されておられますでしょうか。

○中曽根国務大臣 ちょっと今、突然の御質問でございますので、もしお許しいただければ、事務方から説明させていただきたいと思いますが。

武正委員 それでは会計検査院に伺いますが、JICAがこういった規定を持ってやっておられる、そして、それについて会計検査院は、相手方に対しての調査、検査は相手方の了解とか好意をもって受け入れられなければ検査できないと言っておりますけれども、こういったことをJICAがしているということに基づいてJICAの検査をしっかり行っているのかどうか、これについて、会計検査院、いかがでしょうか。

○諸澤会計検査院当局者 お答えを申し上げます。

 会計検査院は、会計検査院法第二十条第一項の規定に基づきまして、「日本国憲法第九十条の規定により国の収入支出の決算の検査を行う外、法律に定める会計の検査を行う。」とされております。そして、同法に規定する検査の権限は、ODAの実施機関でございます外務省や独立行政法人国際協力機構に及ぶこととなるわけでございますので、お尋ねのJICAに対する検査はそういう意味でしっかりと行っているところでございますけれども、主権国家でございます外国の政府や外国の機関に及ぶものではございません。そのため、お尋ねの相手国などに対する取り組みにつきましては、ODAの効果等を把握するために、ODAの実施機関の職員の立ち会いのもとで、相手国の協力を得て現地調査を実施しているというところでございます。

武正委員 外務省、わかりましたでしょうか、先ほどの件は。外務大臣、わからないということですかね。

 会計検査院、今私が聞いたのは、JICAがこういう形で相手と円借款を結ぶときにしっかりと約束をしているんだ、情報提供あるいは提供するための措置をとるものとするということで、しっかりとJICAがそういうことをやっているというふうに認識をしているのかどうか、これはいかがですか。

○諸澤会計検査院当局者 ただいま申し上げましたように、私ども、検査を行っておりますJICAに対しましては、JICAがどのような援助を行っているかについては十分承知した上で検査を行っているところでございます。

○中曽根国務大臣 先ほど、失礼いたしました。質問通告がございませんものでしたからお答えできませんでしたけれども、委員が今御紹介いただきましたと申しますか、この資料にあります基本約定の借款の監理、これにつきましては、私ども、これに基づいてしっかりとやっていきたい、そういうふうに思っております。

武正委員 それができていないというのが、当委員会で高村外務大臣と四月に、委員会でのやりとりであったわけであります。

 外務省が二〇〇二年の一月一日にメキシコで火災が起きたことを知ったのは、本年の二月であったわけであります。JICAも現地で、これはJBICですけれども、虚偽の報告を会計検査院に行った。会計検査院は、現地を見ていながら、火災になっていることがわかっていない。こういったことですので、JICAの約定もちゃんと実効性が担保されていないわけですよ。ですから、私は、先ほどのGAOあるいはNAOあるいはUSAIDのような形でしっかりとこれをやっていく必要がある、そうしないと、毎年毎年会計検査院のODAに対する同じような指摘が続くだろうというふうに思います。

 そこで、カントー橋について、これまで外務省、外務副大臣を先頭にその対応を検討してまいったということを聞いておりますが、今回、会計検査院の報告でも、「円借款の新規供与の際に相手国政府と取り交わす交換公文に、相手国政府が建設工事、施設使用等に関して安全を確保するなどの適切な措置を講ずる旨明記する方向で検討を進めて、」本年「十月以降に相手国政府との間で最終的に同意が得られた交換公文から明記することとした。」ということも会計検査院の資料に出ております。

 このカントー橋の崩落事故を契機としてこういったことを各国との援助の交換公文に入れるのであれば、私は、USAIDが実際にアグリーメントにマストインクルードということにしているようなことも含めて、あるいはGAOやNAOがしっかりと検査できるように、やはり交換公文に、我が国とすれば、税金を使った援助なんだから、しっかりと調査、検査しますよ、タックスペイヤーに説明責任を果たせるようにしますよということを、やはりカントー橋を契機とした交換公文の見直し同様やっていくべきだと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

○中曽根国務大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、外務省といたしましては、この会計検査院の報告を十分に踏まえまして、ODAについて適切な執行をやっていきたい、そういうふうに思っております。

武正委員 そこで、財務省もおいでいただいていますのでお伺いをします。

 今回、新JICAの発足に伴って、円借款部門はJICAに、バンクローンの融資の部分はJBICが含まれました日本政策金融公庫にという形になりましたが、やはりODAの機能的な活用ということを考えたときに、バンクローンとの連携というものが欠かせない、こういうことが言われるわけです。

 このJICAとJBICの連携というものが、心配するのは、JICAは外務省、JBICの日本政策金融公庫は財務省ということで所管省庁が異なるということと、前は一体のJBICが円借款とバンクローンをやっていたのが分かれてしまっていますので、機能的な、機動的なODAといったことからこういった点がうまく連携ができるのかどうか、これについては財務省、いかがでしょうか。

○平田副大臣 御指摘の点はごもっともであるというふうに存じております。新JBICと新JICAの連携につきましても、それはもう当然意識をして運営したいと思っております。

 したがいまして、両機関の連絡協議会を設置しておりまして、発足当初でございますが、今月四日に第一回の連絡協議会が開催をされておりまして、これからの連携のあり方、世界経済情勢について意見交換をいたしたところでございますし、あと、内閣の海外経済協力会議というものも過去に設置をされておりますので、その辺は適宜有効に起動させていくべきであるなというふうに御指摘をいただいて考えておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

武正委員 あわせて財務省に伺いますが、金融危機対応のアジアの枠組みということで、これから日中韓の首脳会談でも、既に開催されました金融サミットあるいはAPEC等、そうした国際会議でも、アジアでのそうした金融危機対応の枠組みということが論じられていると思います。政府からは、チェンマイ・イニシアチブの活用ということが盛んに言われているんですが、JBICではこれまで、アジア金融危機以降、アジア債券市場育成イニシアチブ、いわゆるABMIに基づいて、二〇〇四年以降、タイ、マレーシア、インドネシア、現地日系企業の現地通貨建て社債等に保証供与していたり、タイでバーツ建てJBIC債などを発行しているというふうに聞いております。

 お手元の資料には、四ページ目がいわゆるチェンマイ・イニシアチブの現状でありまして、今、名目合計八百四十億ドル、これを活用していこうということを政府は言っているんですが、私は、五ページのASEANプラス3の現地通貨建て債券市場、これを活用していくことによって、アジア各国の金融危機、あるいは今回のようなアメリカ発のサブプライムローン問題への対策としてアジアでの金融市場の創設のためにも、現地通貨建て債券市場というものを育成していくということが欠かせないというふうに考えるんです。

 ごらんいただきますと、もう既に、日本が九兆ドル近く、中国も一兆六千億ドル、韓国一兆一千億ドルということで現地通貨建ての債券市場も非常にふえておりますので、これについて、金融危機対応ということで、チェンマイ・イニシアチブ同様取り組むべき、JBICもそうした知見がありますので、そのように考えますが、財務省、いかがでしょうか。

○平田副大臣 まさしく、チェンマイの合意とアジアの債券市場育成イニシアチブというものは両輪で、しっかり運営していかなければならないと思っております。それ相応に、御指摘のように数字も上がってきておりますので、しっかり運用されるように、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。ありがとうございます。

武正委員 外務大臣、いかがでしょうか。チェンマイ・イニシアチブということで、四ページにあるように、各国の外貨準備、これはお互いに、スワップということで、困ったときには援助しましょうということをバイでこれだけやってきて、それがマルチのような形に、面的になってくるということを今回日本政府も言っているわけですが、あわせて、現地通貨建ての債券、アジア各国の通貨というものをもっともっと応援していこうじゃないかというような、こういうABMIという考え、これはアジア危機のときに出てきたんですけれども、こうした考えをやはりしっかりと日本政府として応援をしていくべきではないかと思うんですが、これについて外務省としての御所見を伺いたいと思います。

○中曽根国務大臣 チェンマイ・イニシアチブにつきましては、委員御承知のとおり、これをやはりマルチの形、一本の契約にまとめる、そういう検討作業が進められているわけですが、今のこういう金融また経済の混乱の中では、まずこうした金融協力をやっていくということは大事であろう、そういうふうに思っております。

 ただいま財務副大臣からもお話ありましたけれども、やはりアジア域内の豊富な資金、民間貯蓄、こういうものを域内の投資に活用するということが大事だと思っておりまして、アジア債券市場育成イニシアチブに取り組んで、現地通貨建ての債券市場の育成、こういうものについて我が国としても積極的に取り組んでまいりたい、そういうふうに思っております。

武正委員 ぜひ、日中韓首脳会談でも、このアジアにおける現地通貨建ての債券市場の育成ということも御提案をいただきたいというふうに思います。

 では、財務省副大臣、結構でございます。ありがとうございました。

 そこで、次に、日米外相会談におけるアジア各国の信頼醸成についてということで伺いたいんですが、ヒラリー・クリントン新国務長官就任後というんでしょうか、中曽根外務大臣は日米の外相会談を開催したい、そういうような報道が流れておりますが、これにつきまして、まずはそういうような方向で今調整が図られているのか、お伺いしたいと思います。

○中曽根国務大臣 外務担当の大臣といたしましては、日米関係の重要性から、新しいオバマ政権が発足をいたしましたならば、先方の担当でありますヒラリー氏とはできるだけ早くお会いをして日米関係の諸問題について意見交換をしたい、そういうふうに思っており、それを新聞記者さんにも申し上げたわけでありまして、会談が設定されたり、今調整が行われているということではございません。

 しかし、一月の二十日ですか、オバマ政権が発足するわけでありますので、重要課題もたくさんございますので、そういう機会ができるだけ早く来るように、今後チャンスを見つけていきたい、努力をしていきたいと思っております。

武正委員 新政権、御主人、前クリントン政権のとき、いわゆる米中接近、ジャパン・パッシング、ナッシングとも言われたわけで、それを心配する向きが今あるわけなんです。できれば日米外相会談をやりたいという外務大臣に伺いたいんですが、私は、そうした中、やはり日本の存在感を日米の中で発揮するためにも、アジア各国からの信頼醸成を日本が得ているということは、欠かせない大変大事なことだと思うんですが、これについてはいかがでしょうか、そういう認識はお持ちでしょうか。

○中曽根国務大臣 委員おっしゃるとおり、日米の関係は大変に、日本の外交の基軸でありますが、同時に、アジア外交、特に近隣諸国との関係というものも我が国にとって大変大事なものであります。そういう意味では、アジアの信頼を受け、また近隣諸国との良好な関係をもって日米関係をさらに進めていくということが基本的な形ではないかと私は思っております。

武正委員 そこで、前空幕長のアパグループ懸賞論文問題について外務大臣に伺いたいんですが、今、前空幕長は民間人になって、さまざま発言をされておる、あるいはいろいろ文章を書いておられますが、私は、特にこの間の外国人記者クラブでのああいうやりとりなんかを見ていると、果たしてアジア各国の信頼醸成ということで本当にどうなのかなというふうに非常に疑問に思います。

 私は、防衛省は、少なくとも懲戒の手続に入ってやるべきだったというふうに思っておるんです。この件がかえってアジア各国の信頼醸成を傷つけることになっているのではないのか、やはり航空自衛隊のトップですから、やめたといっても、トップがこれまでずっと、部内誌である鵬友とか、いろいろ発言をしてきたことを今も繰り返しやっていることは、アジア各国にとって衝撃があるのではないかと思うんですが、この点について外務大臣の御所見を伺うと同時に、ちょっと時間もなくなってまいりましたので、防衛副大臣もお見えですので、最後の質問でありますが、新給油法について、給油検討基準、この一番最後のページにありますが、上申すると。

 過日、我が党の近藤委員から、この場でも外務省に、あるいは防衛省に伺った点でありますが、結局、上申するとしたその理由、給油の検討基準のどこかにこれが該当したから上申するとした唯一の例でありますので、この間は理事会協議ということに付されましたが、改めてこの外務委員会の場でその理由をお聞かせいただきたい。

 続けてお願いしたいと思います。

○中曽根国務大臣 田母神航空幕僚長の論文につきましては、我が国から外交ルートを通じまして中国政府や韓国政府にも、政府の立場は従来どおりである、本件論文は政府の立場とは何ら関係がない旨、伝達をいたしました。すなわち、さきの大戦に対する我が国の政府の立場は、いわゆる村山総理大臣談話それから小泉総理大臣談話によって示されているとおりである、そういうふうに私ども答弁もさせていただいているところでございますが、この件がアジア諸国との関係に影響を与えることがないように、外務省としても外務大臣としても努めていきたいと思っております。

○北村副大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘の事例につきましては、防衛省から提出いたしました補給支援特措法に基づく補給調整状況の資料の中で、平成二十年の四月一日に補給を要請され、調整中に先方から要請が取り消されたものであるというふうに承知いたしております。

 御承知のとおり、特措法に基づく補給活動を行うに当たりましては、防衛大臣に対して上申する場合の基準については、以下、三つのことがあります。

 まず、補給実施基準においては、補給時に対象となる艦船がテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事している艦船であるが、まず航空母艦である場合、及びイラクにおける作戦やアフガニスタンにおける作戦に係る任務にあわせて従事している場合には防衛大臣に対して上申をする。また、補給艦を通じてこれらの航空母艦またはイラクにおける作戦やアフガニスタンにおける作戦に係る任務に従事している艦船に再補給する場合についても防衛大臣に上申することとなっております。さらに、これらの基準に照らして補給の実施の適否を判断することが困難、こういった場合にはまた防衛大臣に上申してその判断を仰ぐということになっております。

 先生おっしゃられる事例につきましては、他国からの要請が今申し上げた基準に該当するものであったということから、実施の適否について上申することが検討されたものであります。

 他方、この事例は、個別具体的にどのような補給の要請であったかという点については、これを明らかにした場合、相手国部隊の運用等に支障を及ぼす可能性があるということで、当該相手国との信頼関係からお答えをすることができないというふうな経過をたどってきて、お答えをさせていただいたものであります。

 以上です。

武正委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

back


top