2009/03/18
【衆院外務委 議事録】 在外公館などに関する法律改正案について

武正委員 民主党の武正公一です。

 在外公館の法改正についての質疑を行わせていただきます。

 昨年もこの同じ法案で質疑をさせていただいて、あのときは、為替の変動、これがやはり在外公館の手当の額にビビッドに反映されているのかどうか、こういったことを聞きまして、ことし、聞くところでは、財務省によると、まあ額を予算において確定する期間を二カ月に延ばしたんだというようなことも聞いておりますが、まだまだ改善の余地ありというふうにも考えております。

 また、財政事情が厳しい中、研修員手当では、他国からの留学生や留学国で入学している学生との生活レベルの比較など、これは民主党の外務防衛部門会議でも指摘をされております点がありますので、こういった点も、委員会審議を通じて、政府から、またこの後の同僚委員からも説明を求めていきたいと思っておりますが、民主党とすれば、賛成ということの方向できょうは審議に当たっているところでございます。

 そこで、詳しく在外公館にかかわるところ、それぞれ国土交通政務官、防衛政務官もお見えでございますので、まず、タイ空港騒乱脱出についてということで伺いたいと思います。

 御記憶だと思いますが、昨年十一月の二十五日、タイのスワンナプーム国際空港が占拠をされて、飛行機が飛べなくなったということでありまして、邦人が六千人から七千人、そこで足どめを食った。連日、ホテルでの模様とか空港での模様とか報道されていたわけでありますが、これについて、現地での在外公館の対応、また関係省庁の対応などをまずはお聞きしてまいりたいと思っております。

 十一月二十五日に占拠されてから、お手元に資料がありますように、十一月二十九日から十二月三日まで、臨時便が百二十キロ離れた軍用飛行場であるウタパオ空港から日本に向けて飛び、この七千人の方々が帰国されたというのが手元の資料でもございます。また、二ページ目には、在外公館のタイの大使館のニューズレターというか、ホームページ上の大使館からのお知らせに当たるんでしょうか、それから、同じく在タイ日本国大使館の対応、特に情報提供、共有についてということで三ページ目に資料がございます。特に、こうしたタイ空港の騒乱について、邦人の帰国について、このときを振り返ってお話を伺いたいと思います。

 まず、これを見ていただくと、七千人が五日間で帰国をするということでありますので、平均すると千四百人、もうちょっとざくっと言えば、大体アッパー二千人ぐらい、ああいった騒乱状態の中で臨時便を出すについては、これが一つ限界だったのかなということが教訓としてあると思うんです。これからこういったことというのはないとも限りませんので、今回の日本への帰国便を就航させることというのは、一つ教訓にしていく必要があると思うんです。

 まずは国交省、いかがでしょうか。今回のタイでのこうした案件、これをどのように今振り返っていられるか、また教訓とされているか、お答えいただけますか。

○岡田大臣政務官 ただいま御指摘のありました、昨年十一月二十五日、タイ・スワンナプーム国際空港の閉鎖に伴いまして、日航、全日空及びタイ国際航空の三社が、御指摘のウタパオ空港等を利用して、計二十六便、約七千人の旅行者を輸送したところでございます。旅行会社各社も、これらの臨時便等を利用して旅行者が帰国できるように手配を行うとともに、日本旅行業協会を通じて、国土交通省及び外務省に状況の報告を行いました。

 国交省としても、各事業者と連携をとりつつ、成田空港に特別な発着便を確保するなどして旅行者の円滑な帰国を推進したところでございまして、今回、おおむね順調に帰国という目的を達し得たと考えております。

武正委員 外務大臣でよろしいでしょうか。

 今回のタイからの帰国、これを、今スムーズにという国土交通省の認識がありましたが、外務省としてどのように認識をされているのか、またこれをどのように教訓として考えておられるのか、あるいは在タイ日本国大使館の対応、ちょうどこれは在外公館の法律なものですから、現地の大使館の対応について、それがうまくいったのかどうか、こういったところも含めて御所見を伺いたいと思います。

○中曽根国務大臣 今もお話ありましたけれども、タイ空港の事態に対しましては、ウタパオ空港から臨時便を運航したわけでございますけれども、あのような状況の中で全体的にはスムーズにいった、そういうふうに思っております。

 タイの在タイ日本国大使館では、まず邦人援護をしっかりやらなければならない、そういう観点から、スワンナプーム国際空港や、それからウタパオ空港、また邦人の皆さんがお泊まりになっておられるタイの宿泊のホテル、こういうところに館員も派遣をいたしまして、邦人の帰国に対する努力を図ったわけでございます。

 また、民間航空会社の御協力もいただきまして、また大きなトラブルもなく、無事に多くの方が帰国できたということは本当によかった、そういうふうに思っております。

武正委員 七千人の方に対してのフォローというか、今、それぞれ両省は、うまくいったというふうに言っておられますが、この七千人の方々、やはり大変な混乱があったと思うんです。

 資料の三ページを見ていただくと、大使館への問い合わせ件数ということで、まず電話については、一日四百三十件あったであろうと見込まれる。大使館への来訪照会件数は、一日当たり数件から十件。それから、特に、錯綜状態で邦人への対応を最優先して実施したことからという空港での照会件数などもかなりあったということでありますが、ただ、これはいずれも集計していないということなんですね。

 確かに大変だったと思うんですが、こういったときこそ、この後のいろいろ教訓というか役立つわけですので、ここら辺もちょっと残念だなというふうに思うわけですが、とりわけこの混乱を来した中で帰国の足どめを食ったこの七千人の方に対するフォローとかアンケートとか、こういったものを、まず国交省さん、やっておられるのかどうか。外務省さんもいかがか。お答えをいただきたいと思います。

○岡田大臣政務官 今のところ、アンケート等の実施は行っておりません。

○中曽根国務大臣 アンケートは実施しておりませんが、その後、部内で反省会もやりまして、どういう教訓があったのか、そんなことをいろいろ検討しております。

 当時、私のところにも直接、どうなっているんだという電話をいただきまして、病人というか、通常は別に問題ないんですけれども、薬を三日分しか持っていっていなくて、その後あと二日間いなきゃいけない、どうしたらいいんだというような相談を受けましたので、そうした方を優先して帰国させるとか、そういったさまざまな面で教訓を整理して今後対応していきたいというふうに思います。

武正委員 国交省さんはアンケートを実施されていないということなんですが、これは、資料の三ページを見ていただくとわかるように、邦人の宿泊ホテルに、例えば日航さんとか全日空さんがお客さんを宿泊先に案内したりとか、タイ航空もこういった形で対応したりということなんですが、例えば航空会社あるいは当然旅行代理店のそうしたツアーで行っておられる方々もいたと思うので、やはりこれも所管ということですので、航空会社あるいは旅行会社、旅行代理店に対してのヒアリング等はやっておられますか。

○岡田大臣政務官 ただいまの先生の御指摘もいただきまして、こうした航空会社やあるいは旅行会社からヒアリング等、今後行ってまいりたいと思います。

武正委員 一ページに戻りますが、外務大臣、臨時便で一日二千人ぐらいしか出国できなかった、これは一つ、やはり教訓になってくるのかなと思うんですね。

 タイの在留邦人というのは、外務省さんによりますと四万二千人なんですね。ただ、この七千人の方々というのは在留邦人ではなくて旅行客でありますので、旅行客でさえ七千人を日本に帰国させるのに一日せいぜい二千人ということが今回露呈したわけです。その在留邦人がもし帰国しなければならないといったら、タイにおいても大変なことになるわけなんです。

 今回のこの二千人、うまくいったというふうに言われましたが、やはりこの現実というものをどうとらえていくのかというのは大変大事だと思うんですが、この二千人ということについてはどのように見られますか。少ないということですね。ですから、例えば、タイの在留邦人は四万人いるわけですから、この七千人は旅行客ですから、もし在留邦人まで何かということになると、二千人ということで果たしてどうなのか、何か改善の余地があるんではないかという指摘ですが。

○中曽根国務大臣 まず、私、先ほどスムーズで問題なかったというような発言をいたしましたけれども、空港に閉じ込められた方々とか旅行の日程が狂った方々とか、そういう方々は本当に大変だったと思っております。それをまずしっかりとお話ししたいと思います。

 今、いろいろ御答弁しておりますように、今委員もおっしゃいましたように、今回のこの事態というものを大いに参考にいたしまして、今後またそういう事態が起こることはもちろんないことを願いますけれども、そういうときのために、今後も、国交省、これは私の所管ではありませんが、外務省、また政府としてもそういう事態に対する検討というものは十分やるべきだ、そういうふうに思っておりまして、在留の方もということになりますと、これは大変また混乱も予想されるかもしれませんし、民間航空以外での対応とかいろいろ、仮定の話になりますが、今後幅広くいろいろ検討しておく必要があろうか、そういうふうに思います。

武正委員 防衛省さん、自衛隊法で在外邦人の輸送ということは法律にも明記されているわけですが、今回のこのタイ空港騒乱について、防衛省として何か準備を検討されたことがあるのか、あるいは、過去のこうした邦人の輸送の実績について触れていただければと思います。

○岸大臣政務官 在外邦人の救出についてでございますけれども、委員の御指摘にもございますとおり、自衛隊法第八十四条の三で規定をされておるところでございます。

 昨年の十一月のこのケースについては、法律にもございますけれども、外務大臣からの依頼に基づき動くことになっておりますが、このときにはそういうことにはなっておりませんので、いろいろ情報の収集等はございましたけれども、具体的にはこのときには発動はされておりません。

 過去のそういうケースにつきましては、実際に平成十六年の四月にイラクの邦人の輸送を行ったケースがございます。これは、イラクからクウェートまで自衛隊のC130輸送機で邦人等を輸送したというケースがございます。そのほかは、いろいろと検討をした、あるいは準備を行ったということはございますけれども、具体的に邦人を乗せて輸送をしたというケースはございません。

 以上です。

武正委員 シンガポールでの待機とか、いろいろ準備されていることは過去あったんですが、これも外務大臣の要請がなければ準備できないということでしょうか。

○岸大臣政務官 それぞれ、外務省の準備行為としての移動の依頼というものを受けた上でその準備を行ったということでございます。

武正委員 そこで次に、新型インフルエンザに話を移していきたいと思います。国交省さんはここで結構ですので。

 この新型インフルエンザの対策というのは、お手元に資料がありますように、これは外務省さんの資料で、四ページ目にありますが、政府も対策本部をつくり、外務省も緊急対策本部をつくっております。外務省さんのところでは、在外邦人の帰国手段の確保、もちろん邦人に対する情報提供、これは先ほどのタイでもやはり同じでありますが、在外公館での情報提供それから帰国手段の確保ということになります。

 今、タイの事例が、二千人ということが一つ出てきたわけなんですけれども、先ほど外務大臣、在留邦人までというと混乱を来すというようなお話がありましたが、当然、新型インフルエンザの万が一の発生のときの在外邦人の帰国手段の確保ということを考えなければならないわけですが、今回のこのタイのケースもやはり私は参考にしていくべきだというふうに思うんですね。

 それぞれ、経団連とか、あと与党PTでも、自衛隊機以外も、例えば海上保安庁の飛行機なども活用ということも言っておられるようですが、私は、やはり改めて、今回のこのタイの案件を参考に、新型インフルエンザ発生に対する在外邦人の帰国手段の確保に生かしていくべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○中曽根国務大臣 武正委員御指摘のとおりでありまして、今回の事例を参考にして、我々もより一層いい形で邦人の保護に、帰国支援できるように努めていかなきゃいけないと思っております。

 御案内のとおり、新型インフルエンザについても、さまざまな情報をホームページに流しながら、発生状況等、疑いも含めて流しながら、在留邦人等に対して、退避についてあらかじめ検討することを勧める旨の感染症危険情報を発信することにしておりまして、自己の判断によってまず退避、帰国しようと希望する邦人に対しても、定期便の運航を継続する航空会社等の情報提供を行うなどの支援を行いますし、いざ感染拡大ということに万が一なった場合、民間航空機の定期便が運航を停止する場合もあり得ますので、日本への帰国を希望される邦人については、感染拡大防止の対策を講じつつ、チャーター機あるいは自衛隊機、おっしゃられた海保の飛行機も含めて、さらに言えば、陸路、海路、あらゆる手段をとって可能な限りの支援を検討してまいりたい、こんなふうに思っております。

武正委員 防衛省さんも、きのうですか、新型インフルエンザ対策を発表されたと思うんですが、その中にも自衛隊機による邦人の輸送ということを書いておりますが、防衛省として、この新型インフルエンザ対策について、特に邦人輸送について、考え方、計画の一部をお示しいただけますか。

○岸大臣政務官 新型インフルエンザ対策につきましても、先ほどと同様の自衛隊法第八十四条の三に基づきまして邦人輸送ができる、こういうことになっています。条件としては、同じように、外務大臣からの指示、依頼があるということでございます。

 今委員からもお話ございましたとおり、昨日、防衛省としての新型インフルエンザ対策計画が策定されたところでございますけれども、インフルエンザという状況がございますので、輸送の手段といいますか輸送のルート、そういったことに安全が確保されていることに加えて、当然ながら飛行機に医師を同乗させなければなりませんし、また搭乗前に乗せる方々の感染の有無についてのスクリーニングを行うこととしておるところでございます。また一方で、搭乗してまいります自衛隊員につきましても、感染症の予防措置を施すというようなことになっております。

武正委員 防衛省さんの場合は、政府専用機ということで、ジャンボジェットだと思うんですが、改良されていると思いますが、政府専用機での邦人の輸送だとすると、一体何人輸送できるのか。それから、そのほか、例えばC130輸送機なども活用できるのか、C130輸送機の場合は何名輸送できるのか。お答えいただけますか。

○岸大臣政務官 政府専用機の場合は、大体百四十人の輸送が可能でございます。あと、C130を使う場合には約八十人ということでございます。

武正委員 外務大臣、さっきの一ページを見ていただくと、ジャンボなどは三百人、三百二十四人あるいは三百八十二人ということで、今の政府専用機の百四十名とかC130の八十名に比べると、やはり輸送力が民間のジャンボはまさっているわけですね。当然、自衛隊機あるいは海上保安庁機あるいはまた船ということも視野に入ってくると思いますが、そうしたことも踏まえてやっていかなければならないということだと思います。

 一つは、去年、四川の大地震のときに、自衛隊機によって物資を輸送しようというような検討がありましたというか、そういう報道があります。ただ、これが結局行われなかったわけですけれども。

 例えば、お隣の中国、これは在留邦人十三万人、旅行客に至ってはタイよりも格段に多いことが予想されますので、こうした点からいっても、新型インフルエンザの万が一の対応のときのそうした自衛隊機あるいは海上保安庁機などの邦人の輸送といったことも、これは今、この間ちょうど外相会談もやってこられていますが、中国政府ともそうした緊密な連絡、去年ちょっと自衛隊機で物資の輸送で混乱があっただけに、やはり事前にこうした点も進めておく必要があるのではないかと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか、御所見を。

○中曽根国務大臣 緊急事態といいますか、邦人の安全保護のためには、万が一そういうような事態になったときにはあらゆる手段を考えなければなりませんが、これは、現地の国との関係、政府との関係、あるいはいろいろな法律、いろいろな面があろうかと思います。そういう面を十分にクリアしながら、効率的に邦人の保護ができるようなことを考えなければなりません。

 いずれにいたしましても、今回の、委員がおっしゃっていますようなああいう事態を参考にいたしまして、今後いろいろな面での危機管理等について検討をやっていくことが大事と思っておりまして、そういうような形で進めていきたいと思っております。

武正委員 防衛大臣政務官、ここでお引き取りください。ありがとうございます。

 続いて、そうした意味で、今政務官も、在外公館での情報提供、情報共有が大事なんだ、新型インフルエンザ対策でもしっかりやっていきますというお話だったんですけれども、在外公館での情報提供、情報共有手段の充実について、例えばホームページあるいはメールでのやりとり、あるいはメールマガジンなどなど、これが充実しているのかどうかということについてはいかがでしょうか。

○中曽根国務大臣 お答え申し上げます。

 在外公館から在留邦人に対する情報提供、情報共有の手段として、今御指摘ありましたホームページあるいはメールマガジン等のシステムを有しておりますけれども、ホームページにつきましては、通信環境がどうしても悪いところはなかなか難しい面もあるんですけれども、随時、情報掲載を拡充しているところでありますし、在留邦人向けのメールマガジン配信システムについても、既に七十公館まで配信可能な状態になっておりまして、これも随時、情報を配信することにしております。この在外公館のホームページは、本省のホームページともリンクしておりますし、本省からの情報もあわせて伝達することができるものというふうに思います。

 それから、二十年十一月、昨年十一月ですけれども、大規模災害等の緊急時に在留邦人に対して在外公館から一斉に情報発信するシステムの運用も開始をいたしまして、新設公館を除いたほとんどの公館で、本省とオンラインで結ばれているということが前提になりますけれども、運用を開始いたしまして、さまざまな努力を今しているところでありますけれども、今後とも、外務省といたしましては、在留邦人向けに効果的な情報発信の仕組みを随時充実、検討していきたいというふうに考えております。

武正委員 これから、総務省の行政監視の通知、これに基づいて、以下いろいろ質問をさせていただきたいと思うんです。

 この中で、在留邦人五百四十人に聞いたところ、メールマガジンなどの電子情報提供サービスを利用している人は百四十二人、二六%、利用したことがない人は三百八十人、七〇%、うち、知らなかった人が二百二十六人、こういったことが出ておりました。

 また、在外公館におけるホームページの充実を図るための支援体制が不十分と。今七十公館ですか……(西村大臣政務官「メールマガジン」と呼ぶ)メールマガジンがね。だから、ホームページはまだ……(西村大臣政務官「百七十一です」と呼ぶ)百七十一。ただ、そういう支援体制が不十分という指摘があるわけであります。

 あと、今、メールマガジンなんですけれども、メールアドレスの把握ということが、在留届の方に記載欄があるわけですので、ここら辺、話を聞きますと、メールアドレスを把握している割合が三、四割というようなことも聞いていますので、まだまだ御努力をいただかなければならないなと思っております。

 そこで、資料の二ページをごらんいただきたいんですが、これが先ほどのタイの大使館からのお知らせなんですけれども、問い合わせ先に電話とファクスしか書いていないんですね。これはなぜなんだろうということで、三ページに書いてあるように、電話は六名で対応しましたとか言っているんですけれども、やはりお話し中にもなってしまいますし、またファクスも、何かニュースで出ていましたが、ファクスで送ったけれども見ていなかったとかいうようなことがあったりしますので。

 せっかく今、ホームページ、メールマガジン、それから在留邦人のアドレスを在留届に記載させている。在留届を見ると、これは義務づけております。また、在留届を出しなさいということで、パスポートの裏にもそのことが記載をされている。

 ですから、なぜこのときにここにアドレスが書いていなかったのかということを、もしおわかりでしたら伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○中曽根国務大臣 私も今気がつきまして、確かにおっしゃるとおり、不親切だなというふうに思います。メールアドレスも記載をして、メールでの問い合わせもできるように、これから改善をしていきたいと思いますので、委員の御指摘をしっかり踏まえて対応したいと思います。

武正委員 そこで、今の総務省の通知で、パブリックコメント、これは在外公館というより外務省全体なんですが、これが、他省庁は年間二十件ぐらいやっているんだけれども、外務省の場合は、十三年度ゼロ件、十四年度一件、十五年度二件、十七年度四件、十八年度未実施ということで、外交は内閣の専権事項と憲法にうたわれているからと言われるのかもしれませんが、オール・ジャパンの外交ということをうたっておられる外務省ですので、こうした在外公館での情報提供、情報共有、これをもっともっと着実に実施するとともに、やはり本省でのこうしたパブコメ、これをもっと積極的にやるべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○中曽根国務大臣 御指摘のパブリックコメントの件ですけれども、御案内のとおり、他省庁に比べて件数は事実少ないんじゃないかというふうに私も思います。ただ、外務省が所管する法律自身が、法令等がそもそも少ないということがあるんだと思いますし、その改正等の件数も少ないんだというふうに思います。

 外務省としては、必要な場合は、行政手続法に求められている場合には、あらかじめ公示して広く意見を求めるということになっておりますから、適切に実施してきているものというふうに考えますけれども、いずれにしても、今後とも、この手続を十分、しっかり活用しながら、公正の確保、透明性の向上を図ってまいりたいというふうに思います。

武正委員 外務大臣は余りお答えいただけないので、いかがですか、パブリックコメントを、今政務官は法案が少ないからと言ったんですが、パブリックコメントというのは法案だけ聞くんでしょうか。広く国民の皆さんから御意見を伺うんだから、外交政策についてどういうふうに考えるか。国民の皆さん、しかも在留邦人も百万人を超えているし、海外に渡航されている日本人は二千万人ですか、大変な方々、たくさん行っていますよ。そうすると、世界で皆さん活躍していますから、商社とか、ビジネスマンもそうですよね、いろいろな情報を持っていますし、在外公館でのいろいろな問題点もたくさん持っているというか、よくわかっているわけなんですよ。

 そうした人たちのアイデアをもっともっとパブコメで聞いて、それで、さっき言った在外公館の情報提供、情報共有だって、アドレスがないとかいろいろ問題点があるわけですから、もっと積極的にパブコメをやっていくべきだと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

○中曽根国務大臣 今政務官からも御答弁申し上げましたけれども、法律の関係はこのパブリックコメントで、行政手続法にのっとって外務省としてもやっております。確かに件数は少のうございますが。ただ、一般からのいろいろな御意見とかそういうものは、日ごろからホームページ等で外務省にもまたそういうような意見等も来ておるわけでございますし、また、外務省のホームページでも、外務省の考え等も広く国民の皆さんにお知らせをしているわけでありますが、至らない点があるとすれば、そういう点はまた改善をしていきたい、そういうふうに思っております。

武正委員 ぜひ、お取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、これも前も指摘をさせていただいて、外務大臣にもお答えをいただいたんですが、在外公館でのODA。これは五ページ、これはこの間も取り上げたメキシコでの、ODA施設火災、報告せず、国際協力銀行、会計検査院にという案件でしたが、このときも、話を聞いてみると、メキシコでの大使館職員、同行して現地に行ったりもするんですけれども、外務省としても把握していなかったというようなことなんですね。

 やはり、ODAについて、在外公館の裁量範囲の拡大について、先ほど触れました総務省の通知でも、効率化を図る余地がある、こういうような指摘をしているわけなんですね。実際に、先ほど触れましたように、公館の職員に聞きますと、特にODAに当たっている、調査した館員四百四名のうち従事している六十五名に聞きますと、効率化を図る余地があるというようなことを言っている、こういうふうに総務省の指摘もあるわけなんですけれども、ODAにおける在外公館の役割は、やはりODAの適正な執行ということでは極めて大事だというふうに思っております。

 資料六ページ、七ページを見ていただくと、これはアルバニアとの借款について記載をしているものなんですけれども、六ページの一番最後の行です、「借款が適正にかつ専ら計画のために使用されること。」、それから七ページに、「借款に基づいて建設される施設がこの了解に定める目的のために適正にかつ効果的に維持され及び使用されること。」、こういったことが記載されているだけなんですけれども、八ページをごらんください。これは、JICAが借款を結ぶときに、円借款基本約定ということで、ここにありますように、「国際協力機構に対してすべての情報を提供するか又は提供されるための措置をとるものとする。」ということを相手先と約定を交わしている。

 それから、九ページ目は、これはアメリカのGAOでありますが、これについても、「外国援助の表示及び公表努力に関して各機関の資料を収集し分析したり、」等、現地事務所にも、あるいはNGOなどに対しても調査を実施している。十ページ目、USAIDについては、「説明責任が確保されなければならない。」と。こういったことを事前に、相手国と援助を交わすときにしっかりと文書に記入をしているわけであります。

 私は、こういったことを記入した上で、やはり在外公館の職員がもっともっとこのODAの適正な執行に関与していくべきだというふうに思うんですが、この点について、外務大臣、いかがでしょうか。この間も聞いた質問です。

○中曽根国務大臣 我が国は、ODAという形で世界各国に対しましていろいろな支援を行っているわけですが、これはやはり国民の税金をもとに行われているわけですから、適正な執行が行われるということはもう当然のことでございます。

 そういう意味で、委員もおっしゃいましたように、在外公館がODA等に対しまして、これで適正な執行が行われているかどうかというようなことも含めて、やはりしっかりとした現地での体制、そういう我が国の政策にかかわっていくということは大事だと思っております。

 今御指摘がありましたけれども、外務省としては、現地のそういう役割とか体制の強化を今図っているところでございますが、具体的には、現地の大使館を中心にいたしまして、JICAの事務所などの参加も得て、現地ODAタスクフォース、こういうものを立ち上げております。

 現在、七十八カ国でこのようなタスクフォースを立ち上げておりますけれども、このタスクフォースは、援助方針策定に当たってまず主導的な役割を果たしておりまして、従来以上に多面的で、またかつ密接な形で、被援助国の政府との協議や、あるいは他の支援国また国際機関、NGO、そういう機関との連携、また当該国の開発に係る情報の収集また分析、そして過去の援助のレビュー、こういうものが行われるようになっているところでございます。

 平成十八年に設置をされました海外経済協力会議、それからODAの関係府省の機能、役割の調整に係る会議を活用いたしまして、他の省庁やまた政府関係機関等との連携を強化しているところでございます。

 外務省といたしましては、引き続いて、こうした取り組みを通じまして、ODAの採択とかまた実施、これの効率化に一層努めていく考えでございます。

武正委員 また、在外公館にはそれぞれ三名ずつ予算執行職員の方がいますので、総務省が指摘するように、やはり会計研修というものに努めてもらいたいというふうに思います。

 最後に、資料の一番最後ですけれども、外務省政務本部というものが既に設置をされる。政と官の適正な役割分担と協力関係を維持するため、文書作成義務それから政務本部の設置の二事項が外務省改革行動計画、十四項目百六十事項であったわけですが、お手元のような資料を出してもらっていますが、何か開催回数が非常に減ってきているというのがおわかりいただけますか。これが今の実情なのか、なぜ減ってきたのか、お答えをいただきたいと思います。

○西村大臣政務官 私も、昨年八月に就任をいたしまして、その後、九月に再任をされましたけれども、二度出席をいたしました。重要案件について、アフガニスタン、パキスタン情勢とか、あるいは海賊問題とか、邦人の保護の案件とか、サミットの案件等々、その場ではそんな議論をさせていただきました。

 その後、率直に申し上げて、いろいろ日程の調整、これは選挙があるかもしれないというような状況とか、さまざまな状況の中で日程調整がうまくいかなくて、政務本部としてしっかり開催したのは回数が減ってしまったわけでありますけれども、事実上、常に、しょっちゅうというか毎日のように大臣、副大臣、政務官は顔を合わせますので、その場で随時連絡をとり合ってやっておりますので、結果的に減ってしまっておりますけれども、しっかりと対応しているということを申し上げたいと思います。

武正委員 外務大臣、いかがですか。回数が、平成十八年度二十八回、十九年度十八回、二十年度五回ということで、大臣も過去に数回出席したことがありますということですが、やはり、政治主導、また政治家の皆さんが外務省の中でリーダーシップをとってもらうというような意味合いも込めたこの政務本部、私はもっともっと活発に開催すべきだと思うんですが、大臣としての御所見を伺います。

○中曽根国務大臣 今政務官が御答弁申し上げましたけれども、国会日程等の、特に外務省の場合はみんな海外に、副大臣、政務官の皆さんも飛び回っておられますのでなかなか日程調整は難しいのですが、この本部の重要性にかんがみまして、それができるだけ機能を果たすように今後努力していきたいと思います。

武正委員 以上で終わります。