2009/04/03
【衆院外務委 議事録】 グアム移転協定について |
○武正委員 民主党の武正公一でございます。
グアム協定について質疑を行わせていただきますが、その前に、既にオランダ・ハーグ、そしてまたイギリス・ロンドンで、外務大臣、そして麻生総理がそれぞれ外相会談、首脳会談で、あしたから北朝鮮が発射をすると言った人工衛星、飛翔体なるものに対して、それについての阻止を、そしてまた、発射された場合の国連決議といったことをそれぞれ求めてきたという報道がございます。
そこで、昨日のロンドンでの映像では、麻生総理が、記者会見でしょうか、あした、四月四日の発射ということを示唆した、こういう報道があるんですが、このことについての事実確認。
それから、国連決議、これが必要であるということを、国連安保理での何らかの対応が必要であるということは、各大臣あるいは首脳間でも確認をされているようですが、特に新たな決議、これについて必要であると私は思うわけですが、現状どのような感触を、安保理の常任理事国間あるいは安保理の非常任理事国間で得ておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○中曽根国務大臣 まず最初に、総理がロンドンにおきまする御発言の中で、四月四日に北朝鮮がミサイル、飛翔体を発射されるというような御発言があったということにつきましては、私、大変申しわけないながら、正確な総理の御発言を今承知しておりませんけれども、明日されるというような断言はされてなかったんじゃないかと思います。あしたからそういうような可能性があるということをおっしゃりたかったのではないかと、推測で申しわけありませんが、今思っております。
それから二点目の、対応等につきましてでございますが、私もハーグにおきましては、ヒラリー・クリントン米国の国務長官、あるいは韓国の柳明桓外交通商部長官等と会談をいたしました際にも、このミサイル発射問題を取り上げて意見交換を行いました。
これは、米韓のみならず、イギリスやロシアや中国におきましても、そのほかの国におきましても、まず北朝鮮が地域の平和や安定を損なうような行為は行うべきではない、こういうことにつきましては、私が接触、あるいは総理を初め政府が接触いたしました国々においては同じような考えを持っている、そういうふうに思っております。
また、仮に北朝鮮がこのミサイルを発射した場合、人工衛星と言っておるわけでございますが、その場合の対応につきましては、私どもとしては明らかにこれは国連決議違反であると、米国も韓国も同様の考えでございますが、したがいまして、国連でまずしっかりと議論する必要がある。
我が国の上を通過するわけでありますから、我が国が一番そういう意味では、ある意味では危険性にもさらされるわけでありまして、そういう意味で、また非常任理事国にもなりましたので、国連でしっかりと各国に働きかけをしてこのことを議論するということが大事だと思います。
その際には、発射の態様等も踏まえた上でではありますけれども、決議というものについても念頭に置きながら、北朝鮮に対しあるいは国際社会に対して強いメッセージを発するということが大切だ、そういうふうに思っているところでございます。
○武正委員 ちょうど三年前、ミサイルが六発、そしてテポドン二号と言われておりますが、打ち上げ失敗、その三日後に私も超党派の議員団で北京におりましたので、盛んに、特に対中国の要人、軍関係者に国連決議への常任理事国としての賛成を求めたことをきのうのことのようにはっきり覚えているわけですが、特に中ロの対応、これがかぎを握るというわけですので、私はやはり今も、そして万が一発射された後も、政府を挙げて、そしてこれは国会を挙げて、与野党隔てなく、特に中ロに対する働きかけを強く行うべきというふうに、このことを求めておきたいというふうに思います。
そこで、グアム協定に入らせていただきますが、まず、なぜ米国議会で承認が不要なのかということでお伺いをしたいと思います。
アメリカでは予算歳出法案というものは議会が作成をする。過日オバマ大統領が議会に予算教書というものを出していますが、それは歳出法案に対して拘束力は実はない。ただ、これまでの慣習上、議会が反対をしないものはそのまま予算の歳出法案に盛り込まれる。ただやはり、予算教書にありながら盛り込まれないというようなときには、大統領が拒否権を行使する、こういうような仕組みというふうに聞いているんですが、まず、オバマ大統領の予算教書に、今回のグアム移転に伴うアメリカ側の支出について、二〇一〇予算として予算教書に盛り込まれているのか。これについて防衛省、副大臣いかがでしょうか。わからなければ外務省で結構ですが。
○中曽根国務大臣 具体的には入っておりませんけれども、きちんと対応する、そういう意図は表明されているところでございます。
○武正委員 その意図はどこで表明されているんですか。
○中曽根国務大臣 これは、米国の予算教書の関連文書の中にあります施設の改善という項目があるんですけれども、そこで、米国政府は、米国の陸海空、海兵隊の要員のための生活の質を改善することにコミットしている、したがって、二〇一〇年度予算は、世界じゅうの要員の住居となる隊舎及び寮の維持及び近代化を引き続き行い、また米軍家族のためのすべての不適切な住居を終了させるために作業する、さらに、同予算は、需要者の需要を満たしつつ、すべての構造物の安全な運用にとって十分なレベルに基地の施設を建築または改修する、米国政府は、国防省が運用上の必要性を満たしつつ国内基地を再編することを支援する二〇〇五年の基地再編・閉鎖委員会の所要を満たすための努力を継続することを可能にするための十分な資金を要求する、こういうふうに言及しているところでございます。
○武正委員 そのことがこのグアムの、今言った米側が約束をしている予算、支出ということで明言をされているというふうに見ていいのか。お手元の資料一ページにあるように、米国側の負担のヘリ発着場、通信施設、訓練支援施設、整備補給施設、燃料・弾薬保管施設などの基地施設、道路、この合計四十一・八億ドルというふうに、それを見られるんでしょうか。具体的に明示がないわけですよね。全世界の陸海空そして海兵の今言った隊舎等の施設ですね。いかがですか。
○中曽根国務大臣 教書の概要についてのみ発表されているところでございますので、今おっしゃいましたような点については、今後そういうものが明らかになる、そういうふうに思っております。
○武正委員 よく聞き取れなかったんですけれども、要は、これで歳出法案に本当に、グアムのこの米側の四十一・八億ドルの中身が盛り込まれないことも十分考えられるわけですよ、外務大臣。歳出法案に、これが具体的にグアムの施設名の予算が盛り込まれなかった場合は、この協定の第二条「アメリカ合衆国政府は、第九条2の規定に従い、グアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる。」ということがとられなかった、二〇一〇年の歳出法案に、その場合は、この条約違反ということで当然我が国の予算執行はとめる、こういうことになろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 先ほどからの御質問、恐縮ですが、質問通告をいただいておりませんでしたので十分な答弁ができなかったかもしれません。今の点につきましては、これは米国とはしっかりやっていこうということになっておるわけでございますので。
以上です。そういうことでございます。
○武正委員 だったら、なぜ米国議会の承認をとらないんでしょうか。なぜ承認が不要なんでしょうか。お答えください。
○中曽根国務大臣 まず、米国議会の承認が必要かどうか、本協定を議会承認条約とするかどうかということ、これは、米国の中の行政府と立法府の関係などを踏まえて米国自身が決定すべき事項である、そういうふうに思っております。
米国政府は、この協定に署名をすることによりまして、本件のグアム移転事業の実施に対して明確なコミットメントを示しているわけでありまして、この事業において米側が行うこととなっておりますいろいろな軍事施設の建設事業というものは、米側の国内事業として米国自身が予算措置を講じて実施していくものでございます。
したがいまして、我が国政府としては、米国がこの協定を議会の承認を必要としない行政協定として締結することがグアム移転事業の実施において特段問題になっているとは考えていないところでございます。
○武正委員 改めて聞きますが、歳出予算にこのグアムの米国側の負担が盛り込まれなかったときに、第二条の協定違反ということになりませんか。これはいかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 そういう事態ということにもしなれば協定違反ということになるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたけれども、この事業は共同して一緒にやっていこうということでありますので、そういうような事態を私どもは現在想定していないところでございます。
○河野委員長 外務省、なるかもしれないなんですか、それともなるんですか。そこを明確に、どなたか御答弁をお願いします。
○中曽根国務大臣 これは仮定の御質問でございますので、私もそのような答え方をさせていただきました。
○武正委員 なるかもしれないということでお答えをいただいたわけですが、なった場合、そうしますと、この協定の第二条ということで、協定違反であると。先ほど大臣も言われたわけです、歳出法案に盛り込まれなかった場合、なった場合、当然協定違反になると。そのときに、日本側は予算執行をとめるということでよろしいでしょうか。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げたんですが、そのような事態、仮になった場合とおっしゃいましたけれども、私どもとしては、そういうことは想定をしておりません。
この協定の二条におきまして、米国政府は、本件のグアム移転事業への資金の拠出を含む必要な措置をとるということが明記をされているわけでありまして、実際、委員も御承知のとおり、米国政府は、米国の二〇〇九会計年度におきましても、既に本件グアム移転事業に関連して、マスタープランの策定を含む所要の調査検討のほか、環境影響の評価とか、あるいは米財務省勘定の設置などを実施してきているわけであります。さらに、米国の二〇一〇会計年度予算に本件グアム移転事業のための資金を計上すべく、予算案の作成中である、そういうふうに承知をしておるところでございます。
したがいまして、我が国政府といたしましては、米国が二〇一〇米会計年度に資金を拠出しない、そういう事態が生じるということは考えておりません。
○河野委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○河野委員長 速記を起こしてください。
外務大臣。
○中曽根国務大臣 これはもう言うまでもありませんけれども、米海兵隊のグアムへの移転、この協定は、国会で承認をいたしませんと発効しないわけでありまして、協定が発効する前にそのようなことを想定するというのは適当ではないのではないかと思っております。米側は、発効すればこれをきちっとやる、そういうふうに明言しているわけでありまして、そういう点は、先ほどから申し上げておりますが、そういう場合を前提に議論することは適当ではない。米側との間の日米の信頼関係に基づいて、この事業は共同事業をやるということであるわけでございます。
また、法的な権利等について、もしさらに御質問ということであれば、きょうは参考人は認められておりませんけれども、参考人の方から説明をいたさせたいと思います。お許しいただければですが。
○武正委員 先ほど前文の話をされたんですが、前文にはこう書いてあるわけですよ。「また、合衆国は、グアムへの移転のための施設及び基盤の整備に係る費用の残額、すなわち、合衆国の二千八会計年度ドルで算定して三十一億八千万合衆国ドルの財政支出に道路の整備のための約十億合衆国ドルを加えた額を拠出することがロードマップに記載されていることを再確認し、」ですよ。「ロードマップに記載されていることを再確認し、」しか書いていないんですよ。
ここは前文に書いてあるけれども、ロードマップに書いてあることを再確認ししか書いていなくて、それで第二条に「必要な措置をとる。」と書いてあるから、財政法案に書かれないということだってあり得るでしょうと。あり得ますと。では、そのときに、協定違反ですよね、だったら当然予算執行をとめるんでしょう。議会として、予算を国民の皆さんのかわりに審議をするこの委員会として、至極当然のことを政府に聞いているわけですよ。それを今、信頼を損ねるようなことは答えられませんとか、あり得ませんとか、合意をしていますとか言っていますが、その合意がこの前文ですよ。「ロードマップに記載されていることを再確認し、」だけですよ。再度御答弁をお願いいたします。
○河野委員長 外務省、これは信頼の問題ではありませんので、条約審議ですからきちっと答えてください。
○中曽根国務大臣 おっしゃいますとおり、「ロードマップに記載されていることを再確認し、」となっておりますけれども、第二条におきまして、合衆国政府は、九条2の規定に従って、「グアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる。」、そういうふうに書いてあるわけでございます。
○武正委員 しかも、その九条の2というのは、「第二条に規定する合衆国の措置は、」先ほども近藤委員が言ったように、「移転のための資金が利用可能であること、」「ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展があること及び」「ロードマップに記載された日本国の資金面での貢献があることを条件とする。」という、日本がしっかり金を出さなかったら、第二条でアメリカは出しませんよ、ここまでまた言っているわけですよ。二重の意味で、米国にある面の主導権があるわけですよ。私は、後で触れる第八条も含めて、非常に片務的な条約、協定であると言わざるを得ないわけです。
先ほども触れました、なぜ議会の承認を得ないのか。アメリカ憲法では、第二条第二項でしょうか、上院の三分の二の同意がなければ条約は承認されない。ただし、ベルサイユ条約を承認しなかった過去の例からいって、上下両院が過半数で承認をするという、こうした新たな条約、連邦議会が承認した行政協定、こういった規定を設けてNAFTAなどを承認しているわけですよ。
そうした意味では、今回これは、二分の一の、今ほとんど行われている連邦議会が承認した行政協定にも乗っかってこない。どこでどうやって、日本が予算を負担する、それがアメリカも同じように負担をする、そうした担保を信頼関係とか口頭とかじゃなくてちゃんと得ていないまま、一方的に、さっきの意味で二重の、米国が非常にアドバンテージを持ったような条項が入っているこの協定をなぜ署名したのか。私は、やはり非常に、今回の署名、協定、唐突として出てきたこの協定、そして署名、政府として極めて国民に対する説明責任ができていない今の審議、このことを重ねて外務大臣に再度答弁を求めたいと思います。
○中曽根国務大臣 恐縮でございますが、先ほど申し上げましたけれども、御質問の通告をいただいておりませんので、委員の御質問に十分お答えできない点もあろうかと思います。
先ほどの前文と九条の関係でございますが、委員、第二条をお読みになられました。私が第二条のところを指摘、第二条の中での「九条2の規定に従い、」ということを申し上げましたからだと思いますが、同時に、第九条の第一項、ここに、「第一条1に規定する日本国の資金の提供は、第二条に規定する措置においてアメリカ合衆国政府による資金の拠出があることを条件とする。」ということになっておりまして、そういう意味では一方的ではないということはここに明確に規定してあるところでございます。
また、米国が、先ほどからの議論でございますが、本協定を議会承認条約とするかどうか、行政協定とするかは、これは行政府と立法府との関係を踏まえて米国自身が決定すべき事柄だ、そういうふうに思っております。
○武正委員 そうであれば、ぜひ、過去の日米間の条約、協定で議会承認、これがどうだったのかを資料として御提出いただきたいと思います。
ここで去年の思いやり予算の協定はどうだったですかとか、せめて日米安全保障条約はと言ってお答えはいただけると思うんですが、議会とのかかわりは立法府と行政府の間のものですよということを、日本政府としてお任せということが果たしてどうなんでしょうか。
先ほど言ったように、場合によっては歳出法案に盛り込まれないおそれもある。その場合は協定違反であるということを言われたわけですから、外務大臣は。そういう可能性もある中で、立法府と行政府の関係はお任せですよという中で、ほとんど今、アメリカの条約は、三分の二の上院の承認はないけれども、二分の一の上下両院の承認という、連邦議会が承認した行政協定の体をなしているわけですよ。なぜそれを求めなかったのかということは、極めてやはり政府として、国民に対する説明責任あるいは予算執行の任に当たる者として、私は問題があると言わざるを得ないのでございます。
そこで、まず、今の資料を御提出いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。日米間の条約、協定の議会とのかかわり。
○中曽根国務大臣 委員の御指摘の資料の提出につきましては、委員長、理事の皆さんの御判断によって対応させていただきたいと思います。
○河野委員長 それでは、理事会で協議させていただきたいと思います。
○武正委員 それでは、続いて、前文の二〇〇八会計年度ドルでの二十八億ドルということは、今後、物価水準が上がったりすれば二十八億ドルを超える可能性があるのか、あるいは下がった場合はまたそれが下がるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 この協定での合衆国の二〇〇八会計年度ドルの意味は、これは米国の二〇〇八会計年度におけるドルベースでの主要な建築物価指標を基準といたしまして我が国が提供する資金を換算するとの意味でございまして、我が国政府の真水事業への資金提供は実質価格で行うこととなっております。我が国政府が二十八億ドルを限度とする直接的な財政支援を二〇〇八米会計年度の価格で行うことは、二〇〇六年五月のロードマップにも明記されているところでございます。
いずれにいたしましても、本件のグアム移転事業に伴います日本側負担の具体的な額というものは個々の事業の進展とともに明確になるものでございまして、我が国政府といたしましては、この事業のために平成二十一年度予算として、もう御案内のとおり、約三百四十六億円を計上しておりますけれども、今後の負担額につきましては、厳しい財政事情も踏まえまして精査をしていく考えでございまして、そのための予算につきましては、その都度国会にお諮りをして御審議いただきたいと考えております。
現下の米国の経済情勢にかんがみますれば、将来の物価水準を具体的に予測するということはまた困難なところもあるわけでございまして、特定の物価水準を前提に議論することは困難でございますが、いずれにいたしましても、我が国政府としては、効率的にこの移転事業を実施していく考えでございます。
○武正委員 再度聞きますが、二〇〇八会計年度ドルでの二十八億ドルに比べてそれ以降物価が上昇した場合は、二十八億ドル上限といいながら、二十八億ドルを上回るということはあり得るということで、これはどうですか、防衛省。
○北村副大臣 お答えさせていただきます。
将来の物価水準を具体的に予測するということは困難でございます。特定の物価水準を前提に議論をすることは必ずしも適切ではないと考えておりますけれども、あえてお答えするならば、将来の米国の物価水準が上昇すれば名目価格での日本側の負担は増加をし、下落すれば減少するというふうに考えておるところであります。
○武正委員 いや、だから、二〇〇八会計年度ドルで二十八億ドルというふうに規定しているわけですから、このことは、二〇〇八会計年度ドルの物価というものを規定して二十八億ドルと言っているというふうに私は聞いているんですね。ということは、物価が上がっていけば、二〇〇八会計年度ドルの規定した物価よりも高くなっていけば、当然二十八億ドルよりも額がふえていくということでよろしいんでしょうかということを聞いているんですが、いかがでしょうか。
○北村副大臣 そのような御理解でよろしいと思います。
○武正委員 つまり、二十八億ドル上限といいながら、二十八億ドルを上回る可能性があるということでございます。
特に、今、在沖米海兵隊グアム移転支援整備事業基本構想策定業務報告書、これは株式会社久米設計さんがつくられたものを理事懇談会にもお出しいただいております。ただ、ブラインドが、墨消しの部分が、まだ開示されていない部分が多々ございます。例えば、米軍試算の想定電力需要量と計算式、米側の上水道整備の試算、下水道の費用、オプション、計画地、廃棄物、移転に伴う需要量、こういったものは、まず二十八億ドルの日本が負担をする部分、日本側の負担の部分に係る基本的な数値でありますので、ぜひこれは開示をいただきたいというふうに思います。でなければ、本当にこの二十八億ドルがどうやって積み上がったのか、その根拠がわからないからでございます。
それから、今の、物価上昇率はわからないという副大臣のお話ですが、やはり久米設計の中には、試算の計算式と基準となる物価上昇率ということが明記をされております。これも同じくブラインドがかかっております。既に報告書の中で、二〇〇八会計年度で物価が上昇している、特に去年上昇していること、資材の上昇をこの報告書の中に書いているんですよ。
ですから、こういったこともしっかりとこの場で見せていただかないと審議が前に進まない、審議を深めることができないというふうに考えるんですが、私は防衛省さんにもっとこれをオープンにしていただきたいと思うんですが、副大臣、いかがでしょうか。
○北村副大臣 御指摘の点につきましては、委員長を初め理事会の皆様方の御指示に従って審議に御協力することはやぶさかでないと思います。
○武正委員 ぜひお願いをしたい。来週水曜日が次の委員会ですので、先ほどもありました、火曜日までに御提出をいただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。
そこで、第四条、第七条に書かれております利子についてでございます。
お手元の資料にその抜粋を、二ページ目に設けました。第四条「アメリカ合衆国政府は、日本国が提供した資金及び当該資金から生じた利子を、グアムにおける施設及び基盤を整備する移転のための事業にのみ使用する。」、第七条「日本国が提供した資金及び個別の事業に支払うことが契約上約束された当該資金から生じた利子は、前条に規定する実施当局の間で合意される指数を用いた計算方法に基づき、」云々、「日本国が提供すべき資金の総額に繰り入れられる。」と。そして、その四項で、特に(b)でしょうか、「アメリカ合衆国政府は、日本国が提供した資金から生じた利子を、日本国政府の実施当局の同意を得て、日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる。」と。
利子に関して四条、七条といろいろ書かれているんですけれども、特に七条の四項の(b)の「日本国が提供した資金から生じた利子」、すなわち、この一ページ目にある二十八億ドルから生じた利子を、日本国政府の実施当局の同意を得た場合に、「日本国の提供した資金が拠出された事業」、「拠出された事業」というのは、家族住宅の二十五・五億ドルのことなのかどうか。すなわち、二十八億ドルで提供された資金から生じた利子を家族住宅に関して使うことができるというふうに読み込むのかどうか。
この点は、防衛省、お答えをいただきたいと思います。利子に関してです。
○北村副大臣 お答えいたします。
利子の取り扱い、第四条、第七条及び七条の4等々にかかわるところでありますけれども、これまでの日米協議の結果、米国財務省勘定のうちで日本政府が提供した真水資金から生じた利子については、原則として日本政府に返還されることで日米間の共通の理解が得られております。先般、日米政府間で署名を行った真水事業の実施に係る協定におきましてもその旨を、御承知のとおり、第七条の4に規定しているところであります。
本協定では、アメリカの財務省勘定のうちで日本政府が提供した真水資金から生じた利子については、全事業の契約完了の後、日本政府に返還することとなっております。一方、事業執行プロセスにおける資金不足などの事態に柔軟に対応するために、日本側の同意を条件として、当該利子を使用することを可能といたしております。
なお、アメリカ側が使用した利子については、当然、日本政府の真水拠出額二十八億ドルを上限とする、これの内数として算入される必要があると考えており、この点につきましても本協定に規定されておるというところでありますので、御理解を賜りたいと思います。
○武正委員 その場合、七条四項の(b)が問題でして、七条四項の(b)では、その二十八億ドルから生じた利子を、日本国政府の同意を得た場合に、「日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる。」ということは、住宅事業に充てることができるということでよろしいんでしょうか。
○北村副大臣 お答えいたします。
本協定で締結した真水事業だけに使われるということであります。
○武正委員 この第七条四項の(b)、外務省、いかがでしょうか。
四条で、グアムにおける施設及び移転のための事業のみに使用する、七条の二項で、資金の二十八億ドルに繰り入れられると書いて、四項で戻しますよと言っているんですが、(b)で、日本国政府の同意を得た場合、「日本国の提供した資金が拠出された事業のために使用することができる。」と。「日本国の提供した資金が拠出された事業のため」、「拠出された事業」というと、私は、どうも住宅の新たなこうした枠組みに使うことができるというふうに読めるんですが、そのことはないということで、外務省、よろしいですか、外務大臣。
○中曽根国務大臣 先ほど防衛副大臣から御答弁されましたけれども、全くこの第四条の、(b)での規定というものは、これは我が国が提供した資金が拠出される個別の事業の資金不足に対処するということになっておるわけでございまして、これは、真水部分、二十八億ドルの部分の中で使用することができるということでございます。
○武正委員 いや、ですから、住宅の方の融資事業には使わないということで明言をしていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 ただいま申し上げましたけれども、いわゆる真水部分の財政支出、二十八億ドルの方に使うということです。
○武正委員 以上で終わります。
ありがとうございました。 |
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