2009/04/23
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案に対する修正案

海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案に対する修正案
海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律案の一部を次のように修正する。
第五条の前の見出し中「海上保安庁による」を削り、同条に次の一項を加える。
3 海賊行為への対処については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条の規定は、適用しない。
第七条を次のように改める。
(国土交通大臣の要請)
第七条  国土交通大臣は、海上保安庁による海賊行為への対処のための措置のみによっては海賊行為への対
処が困難であると認めるときは、内閣総理大臣に対し、海賊対処本部(以下「本部」という。)を設置するよう要請することができる。
第十三条を第二十四条とし、第十二条を第二十二条とし、同条の次に次の一条を加える。
(国際協力の推進)
第二十三条 政府は、公海等における海賊行為を抑止し、船舶の航行の安全を確保することが極めて重要であることにかんがみ、国際間における海上警察の連携の促進、関係諸外国の海上警察の能力の向上のための支援等海賊行為に適切かつ効果的に対処するために必要な国際協力の推進に努めるものとする。
 第十一条を第二十一条とする。
第十条中「防衛大臣」を「本部長」に改め、同条を第二十条とする。
第九条を第十九条とする。
第八条の見出し中「海賊対処行動時」を「海賊対処措置実施時」に改め、同条第一項中「海賊対処行動を命ぜられた海上自衛隊」を「第十四条第三項の規定により海賊対処措置の実施を命ぜられた海上自衛隊の部隊」に改め、同条第二項中「海賊対処行動を命ぜられた自衛隊」を「第十四条第三項の規定により海賊対処措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊」に、「同条」を「第六条」に、「第八条第二項」を「第十八条第二項」に改め、同条を第十八条とする。
 第七条の次に次の十条を加える。
 (本部の設置)
第八条 内閣総理大臣は、前条の規定による要請があった場合において、海賊行為に対処するため特別の必要があると認めるときは、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十条第二項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣府に本部を設置することができる。
2 内閣総理大臣は、本部を置いたときは当該本部の名称及び設置の期間を、当該本部が廃止されたときはその旨を、直ちに、告示しなければならない。
(本部の組織)
第九条 本部の長は、海賊対処本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
3 本部に、海賊対処副本部長(以下この条において「副本部長」という。)、海賊対処本部員(以下この条において「本部員」という。)その他の職員を置く。
4 副本部長は、海洋基本法(平成十九年法律第三十三号)第三十三条第一項に規定する海洋政策担当大臣をもって充てる。
5 副本部長は、本部長の職務を助け、本部長に事故があるときは、その職務を代理する。
6 本部員は、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、関係行政機関の長及び内閣府設置法第九条第一項に規定する特命担当大臣のうちから、内閣総理大臣が任命する。
7 本部員は、本部長に対し、本部の事務に関し意見を述べることができる。
8 副本部長及び本部員以外の本部の職員は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
9 本部に、海賊行為への対処のための措置を実施する組織として、海賊対処隊(以下「対処隊」という。)を置くことができる。
10 内閣総理大臣は、対処隊を置いたときは当該対処隊の名称及び設置の期間を、当該対処隊が廃止されたときはその旨を、直ちに、告示しなければならない。
11 前各項に定めるもののほか、本部の組織に関し必要な事項は、政令で定める。
(本部の所掌事務)
第十条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 海賊対処実施計画(以下「実施計画」という。)の案の作成に関すること。
二 海賊対処実施要領(以下「実施要領」という。)の作成又は変更に関すること。
三 対処隊の運用に関すること。
(実施計画)
第十一条 内閣総理大臣は、本部を置いた場合において、対処隊による海賊行為への対処のための措置(以下「海賊対処措置」という。)を実施することが適当であると認めるときは、海賊対処措置を実施すること及び実施計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
2 実施計画に定める事項は、次のとおりとする。
 一 当該海賊対処措置の実施に関する基本方針
 二 対処隊の設置その他当該海賊対処措置の実施に関する次に掲げる事項
イ 実施すべき海賊対処措置の内容
ロ 海賊対処措置を実施する海上の区域及び期間
ハ 対処隊の規模及び構成並びに装備
ニ 海上保安庁がその船舶又は航空機を用いて当該海賊対処措置を実施する場合における次に掲げる事項
(1)海上保安庁がその船舶又は航空機を用いて実施する海賊対処措置の内容
(2)海賊対処措置を実施する海上保安庁の職員の規模及び構成並びに装備
ホ 自衛隊の部隊が当該海賊対処措置を実施する場合における次に掲げる事項
(1)自衛隊の部隊が実施する海賊対処措置の内容
(2)海賊対処措置を実施する自衛隊の部隊の規模及び構成並びに装備
ヘ その他当該海賊対処措置の実施に関する重要事項
3 自衛隊の部隊が実施する海賊対処措置については、内閣総理大臣は、当該海賊対処措置の実施の開始前に、当該海賊対処措置を実施することにつき国会の承認を得なければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、当該自衛隊の部隊による海賊対処措置の実施の開始後最初に召集される国会において、遅滞なく、その承認を求めなければならない。
4 政府は、前項ただし書の場合において不承認の議決があったときは、遅滞なく、同項の海賊対処措置を終了させなければならない。
5 第三項の海賊対処措置については、同項の規定による国会の承認を得た日から二年を経過する日を超えて引き続きこれを実施しようとするときは、内閣総理大臣は、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該海賊対処措置を引き続き実施することにつき国会に付議して、その承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてその承認を求めなければならない。
6 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、遅滞なく、第三項の海賊対処措置を終了させなければならない。
7 前二項の規定は、国会の承認を得て第三項の海賊対処措置を継続した後、更に二年を超えて当該海賊対処措置を引き続き実施しようとする場合について準用する。
8 第一項の規定は、実施計画の変更について準用する。
(国会に対する報告)
第十二条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
一 実施計画の決定又は変更があったとき 当該決定又は変更に係る実施計画の内容
二 実施計画に定める海賊対処措置が終了したとき 当該海賊対処措置の実施の結果
三 実施計画に定める海賊対処措置を実施する期間に係る変更があったとき 当該変更前の期間における当該海賊対処措置の実施の状況
(実施要領)
第十三条 本部長は、実施計画に従い、海賊対処措置を実施するため、当該海賊対処措置の内容及び実施の方法(当該海賊対処措置に使用される装備に関する事項を含む。)並びに当該海賊対処措置に従事すべき者についての具体的内容を定める実施要領を作成し、及び必要に応じこれを変更するものとする。
2 本部長は、必要と認めるときは、その指定する対処隊の隊員に対し、実施要領の作成又は変更に関する権限の一部を委任することができる。
(海賊対処措置の実施)
第十四条 対処隊は、実施計画及び実施要領に従い、海賊対処措置を実施する。
2 海上保安庁長官は、実施計画に定められた海賊対処措置について本部長から要請があった場合には、実施計画及び実施要領に従い、海上保安庁の職員に海賊対処措置を実施させることができる。
3 防衛大臣は、実施計画に定められた海賊対処措置について本部長から要請があった場合には、実施計画及び実施要領に従い、自衛隊の部隊に海賊対処措置を実施させることができる。
4 前二項の規定に基づいて海賊対処措置が実施される場合には、第二項の海上保安庁の職員又は前項の自衛隊の部隊に所属する自衛隊員(自衛隊法第二条第五項に規定する隊員をいう。以下同じ。)は、それぞれ、実施計画及び実施要領に従い、当該海賊対処措置を実施するものとする。
(対処隊の隊員の任免)
第十五条 本部長は、対処隊の隊員(以下「隊員」という。)の任免を行う。
(関係行政機関の職員の対処隊への派遣)
第十六条 本部長は、関係行政機関の長に対し、実施計画に従い、海賊対処措置を実施するため必要な技術、能力等を有する職員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第三項各号(第十六号を除く。)に掲げる者を除く。)を対処隊に派遣するよう要請することができる。
2 関係行政機関の長は、前項の規定による要請があったときは、その所掌事務に支障を生じない限度において、同項の職員に該当する職員を期間を定めて対処隊に派遣するものとする。
3 前項の規定により派遣された職員のうち自衛隊員以外の者は、従前の官職を保有したまま、同項の期間を任期として隊員に任用されるものとする。
4 第二項の規定により派遣された自衛隊員は、同項の期間を任期として隊員に任用されるものとし、隊員の身分及び自衛隊員の身分を併せ有することとなるものとする。
5 第三項の規定により従前の官職を保有したまま隊員に任用される者又は前項の規定により隊員の身分及び自衛隊員の身分を併せ有する者は、本部長の指揮監督の下に海賊対処措置に従事する。
6 本部長は、第二項の規定に基づき防衛大臣により派遣された隊員(以下この条において「自衛隊派遣隊員」という。)についてその派遣の必要がなくなった場合その他政令で定める場合には、当該自衛隊派遣隊員の隊員としての身分を失わせるものとする。この場合には、当該自衛隊員は、自衛隊に復帰するものとする。
7 自衛隊派遣隊員は、自衛隊員の身分を失ったときは、同時に隊員の身分を失うものとする。
8 第四項の規定により隊員の身分及び自衛隊員の身分を併せ有することとなる者に対する給与等(給与、災害補償及び退職手当並びに共済組合の制度をいう。)に関する法令の適用については、その者は、自衛隊のみに所属するものとみなす。
9 第四項から前項までに定めるもののほか、同項に規定する者の身分取扱いに関し必要な事項は、政令で定める。
第十七条 海上保安庁長官は、第十四条第二項の規定に基づき同項の海上保安庁の職員に海賊対処措置を実施させるときは、当該職員を、期間を定めて対処隊に派遣するものとする。この場合において、派遣された海上保安庁の職員は、従前の官職を保有したまま当該期間を任期として隊員に任用されるものとする。
2 防衛大臣は、第十四条第三項の規定に基づき自衛隊の部隊に海賊対処措置を実施させるときは、当該自衛隊の部隊に所属する自衛隊員を、期間を定めて対処隊に派遣するものとする。この場合において、派遣された自衛隊員は、当該期間を任期として隊員に任用され、自衛隊員の身分及び隊員の身分を併せ有することとなるものとする。
3 前項に定めるもののほか、同項の規定により自衛隊員の身分及び隊員の身分を併せ有することとなる者の身分取扱いについては、前条第六項から第九項までの規定を準用する。
 附則第四条中「第七条第一項後段」を「第五条第三項」に改める。
 附則第五条のうち自衛隊法第二十二条第二項の改正規定中「海賊対処行動」を「海賊対処措置」に改める。
附則第五条のうち自衛隊法第八十二条の二を第八十二条の三とし、第八十二条の次に一条を加える改正規定のうち第八十二条の二の見出しを「(海賊対処措置)」に改め、同条中「海賊対処行動を行わせる」を「海賊対処措置を実施させる」に改める。
附則第五条のうち自衛隊法第九十三条の二を第九十三条の三とし、第九十三条の次に一条を加える改正規定のうち第九十三条の二の見出し中「海賊対処行動時」を「海賊対処措置実施時」に改め、同条中「海賊対処行動を命ぜられた自衛隊」を「海賊対処措置の実施を命ぜられた自衛隊の部隊」に改める。
 附則に次の三条を加える。
(内閣府設置法の一部改正)
第七条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。
第四条第三項中第五十二号の二を第五十二号の三とし、第五十二号の次に次の一号を加える。
五十二の二 海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成二十一年法律第   号)第八条第一項に規定する海賊対処本部の設置及び運営並びに同法第十一条第一項に規定する海賊対処措置に関すること。
(海上保安庁の体制の整備)
第八条 政府は、速やかに、海上保安庁が海賊行為に適切かつ効果的に対処するために必要な船舶等の装備の充実その他の海上保安庁の体制の整備の方針について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(見直し)
第九条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。