2009/06/10
【衆院外務委 議事録】 日中ガス田協議について問う

武正委員 民主党の武正でございます。

 四条約について質問させていただきます。

 まずは、日・香港刑事共助条約に関してでありますが、これは既に日中の刑事共助条約が、本委員会でも審議をし、承認、批准ということになったわけでありますので、それに関連してということで、まず中国製のギョーザ事件について、その後の展開、ことしの日中首脳会談でも総理から触れておられますし、その後どのようになっているのか。

 特に、ことしの四月には、これは報道ベースでありますが、北京の政府研究所で殺虫剤混入の裏づけ実験が行われたという報道があり、北京大使館を通じて中国政府に公式に照会をしたということもあるんですが、今の現状、そしてまたこの報道についての事実関係もあわせてお答えをいただきたいと思います。

○橋本副大臣 今御指摘がありました中国のギョーザの事件でありますけれども、中国側は今まだ捜査を継続していると承知しておりますが、いまだ本件の真相というのは究明をされていない状況にあります。

 日本側からは、本件の早期究明に向けた中国側の努力を累次、一貫して要請しておりまして、これに対して中国側からは、日中間の協力を強化し、一日も早く決着させたいという旨が表明されております。

 六月七日の第二回の日中ハイレベル経済対話の場におきましては中曽根外務大臣から、また八日には麻生総理から、それぞれ王岐山副総理に対して本件の早期解決を求めてきております。

 また、日中両国の担当部局間の連携を密にすることというのも大変大切なことだと位置づけしておりまして、在中日本大使館に食品安全担当官を配置しております。これは、各国の、日本と食の輸出入にかかわる深い関係の国の在外の大使館には担当官を置くようにしておりますけれども、中国に関しましては、大変重要であるということで、今六名を配置させていただいております。

 省内におきましても、食の安全問題に関する会合というのを累次開催して中国側との連携を密にとるように努力をしておりますし、また、関係省庁とも国内で連携をとるためにこの会合を累次開催させていただいております。

 また、今後とも、機会をとらえて、中国側に対し真相究明のための努力を求めて、本件の解決に努力を、全力を尽くしていきたいと思います。

 また、先ほど御指摘のありました混入事件、これにつきましては、今まだ捜査を求めているところであります。

武正委員 最後の、報道にある、ことし四月二日、北京大使館を通じて中国政府に公式に照会をしたということの事実はあるんでしょうか。

○橋本副大臣 これにつきましては、またしっかりと捜査といいますか確認をいたしましてから御報告を申し上げたいというふうに思います。

武正委員 この件できょうは質疑ということでありますし、もうこれだけ報じられているんですからきちっと答えていただきたいと思うんですが、警察庁もおいででございますので、警察庁はこの件について御承知をされておりますかどうか、御確認をしたいと思います。

○西村政府参考人 お答え申し上げます。

 今、殺虫剤の件でお尋ねと思いますが、この件、個別の情報については、当方、受けておりません。

武正委員 昨年の十一月十二日に、当外務委員会で、外務大臣に対して、刑事共助条約は遡及適用がないので、もちろん公安当局、公安部、それぞれバイで情報交換ぐらいはしているけれども、これまでの国際令状に基づいた外交当局が窓口に立ってという枠組みでこの中国製のギョーザ事件については引き続き行うということですので、外務大臣には特にその後押しを、警察当局は多分昨年の四月九日以降、情報交換の会議は行っていないと承知をしておりますので、こういった面をやはりバックアップしてほしいとお願いをして、外務大臣からは、今の委員の御指摘も踏まえて、今後の両国の会談等で強く要請していきたいということだったんです。

 今、この事実については承知していないという警察当局なんですが、この件が一年たっても進展していないということで、外務大臣からも引き続き要請をされているように、私はやはり、公安当局のそうした会議あるいは情報交換、これをもっと外務省として後押しすべきだと思うんです。この半年間ほど、そうした要請を外務大臣としてやるというふうにお答えになったんですが、してきていただいているのかどうか、外務大臣からお答えをいただきたいと思います。(橋本副大臣「先によろしいですか。先ほどの件について」と呼ぶ)では、先ほどの。

○橋本副大臣 先ほどの件についてでありますけれども、中国側に問い合わせをしたところ、そういった事実はないという返答が来ておりました。

○中曽根国務大臣 日中の会談があるたびに、外相会談等があるたびにこの件は取り上げて、強く早期の解決を求めているところでありますが、先ほど副大臣からも話がありましたように、さきの六月七日の日中ハイレベル協議におきましても、私の方から、一年経過しているにもかかわらず解決をしていない、そして、この一年間で中国からの食品輸入量は、ちょっと正確でないかもしれません、間違っていたら訂正いたしますが、二〇%以上、中国から日本への輸出、日本の輸入量が減少している、そういう事態をしっかりと踏まえていただきたい、日本の国民は食の安全というものに対して大変強い関心を持っているということを私は申し上げまして、この問題についてのさらなる捜査の促進というものを要請したところでございます。

 このように、ハイレベルの協議においても首脳同士でこの問題について協議をしておりますが、委員からもお話ありますように、警察関係、いろいろなところにおいてしっかりとした対応ができるように外務省としても役割を果たしていきたいと思っています。

武正委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、日中ガス田協議について伺いますが、六月七日の外相会談でも、東シナ海資源開発、一年が経過するが進展得られておらずというふうに外相からも指摘をしております。しかしながら、いわゆる樫という油田の周辺での変色それから単独開発、これについて抗議をしましたら、いわゆる昨年六月十八日の合意事項の対象のエリアではないというような回答が返ってくることが報じられておりますが、こういった事実があるのか、そしてまた日本側としてどのように考えておられるのか。

 また、白樺についても、報道では、出資が三三%以下というふうに報じられ、また、中国の法律にのっとるべしということで、日本もこの三三%以下はのんでいるんだ、こういうような報道もあるんです。

 この一年間、経過が進展得られておらずという外相会談での指摘、その間に樫とか白樺についてこのような報道があるんですが、その事実関係、そして日本側としての考え方、お答えをいただければと思います。

○中曽根国務大臣 東シナ海における日中間の協力に関する昨年の六月の合意というものは、これは日中双方にとりまして、両方にとって利益となるものである、そういう互恵的なものでございますが、まさにいわゆる戦略的互恵関係、これの大きな成果の一つであると私たちは考えております。

 この点につきましては、中国側の認識も一致しているところでありまして、中国側からは、この合意というものを大事にしていきたい、そういう表明はなされているところでございます。これは、胡錦濤国家主席また温家宝国務総理もそのような御発言をされておられます。

 重要なことは、この合意を実施に移すための国際約束、これの締結交渉を早期に開始することであると考えておりますが、今までも中国側との間で随時実務的な協議というものは行ってきておりますが、正式な交渉の開始についてヨウケツチ外交部長に私の方からは強く求めているところでございます。

 先週の日中外相会談におきましても、さっきも申し上げましたけれども、ギョーザと同じように、こちらも昨年の合意から、案件は違いますけれども、一年が経過する、しかし進展が得られていないということで、早期に国際約束、これの締結交渉を開始することが重要である、そういう旨を指摘したところでございます。

 個々の、今委員がお話しになられました点につきましては、質問通告もございませんでしたので、今細かいことをちょっと御答弁できませんが、よろしければ、後ほどまた参考人から答弁いたさせたいと思います。

武正委員 午前中はこれで終わりますので、ぜひ午後の一番のところで外務大臣からお答えいただければと思います。

 終わらせていただきます。

○河野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。武正公一君。

武正委員 武正でございます。

 午前に引き続き質疑を行わせていただきますが、外務大臣でよろしいでしょうか、午前中の樫と白樺の件、お答えいただけますでしょうか。

○中曽根国務大臣 白樺や樫での中国側による資源開発の動きについてのお尋ねだったと思いますが、昨年六月の合意の対象であります白樺におきましては、現在、中国側による資源開発に関する動向は確認はされておりません。

 また、同じく昨年六月にこの共同開発について合意いたしました以外の海域の扱いにつきましては、日中双方の立場が収れんしておらず、継続して協議を行うことになっておりまして、御指摘の樫につきましても、中国側が一方的に資源開発を進めている、そういうふうに疑われる場合には、中国側に対しまして、一方的な開発は認められない旨の抗議の申し入れを行っておるところでございます。

武正委員 白樺の出資が日本が三三%以下であるという報道、それについては日本がそれを認めているという報道、また中国の法律にのっとってという、そうした運営条件等、この報道についての事実確認をお願いしたいと思います。

○中曽根国務大臣 白樺油ガス田開発に参加いたします日本法人及びその出資比率につきましては、今後の協議により決定していく事項でございまして、現段階ではまだ確定はしておりません。

 また、政治的合意があるわけでございますけれども、これは中間線の中国側における開発のみを対象といたしておりまして、また、日中間の海洋境界画定が実現するまでの過渡的期間において双方の法的立場を損なわないことを前提にしたものでありますので、我が国がこの白樺油ガス田に関する中国側の立場を認めたことにはならないところでございます。

武正委員 五月十一日、国連大陸棚限界委員会に境界線を沖縄トラフということも中国側は提出しているというふうに報じられておりますので、引き続き、この中間線の画定の協議、また、今の双方の見解が異なる共同開発の件等、日本側の主張をきちっと主張していただきたいということを求めたいと思います。

 それでは、財務政務官もお見えでございますので、IMFの改正について伺いたいと思います。

 今回、IMFの増資に伴うアジア金融市場への影響というものをどのように見ておられるのか。ASEANプラス3でも、この間もお話し申し上げましたようなチェンマイ・イニシアチブのマルチ化とか、それからアジア債券市場構想を進めていくことなども合意されておりますし、また、総理からは二兆円のODA拠出、金融サミットでされていますので、そういった中でどのように見ておられるのか。また、中国の周中国人民銀行総裁でしょうか、IMFの準備資産である特別引き出し権、SDRを基軸通貨に育てるべきというような発言もあり、いわゆる人民元の国際化ということを中国が今求めようとしている。こういうような状況の中での本協定の持つ意味をどのように理解されているか、お答えをいただきたいと思います。

○三ッ矢大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今回のIMFの増資につきまして、アジア通貨危機を受けて、世界経済の実態をよりよくIMFに反映させるという趣旨で行ったものでございます。特にアジア諸国の発言権を拡大するために、日本が主導して昨年の四月に加盟国間で合意が得られたものだということでございます。

 今回の増資は、実は九・五五%という比較的小規模なものだったものですから、一定の限界はございますけれども、我々としては、アジアを含む新興市場国等の経済実態をIMFの出資比率によりよく反映させるということについて一定の成果があったというふうに考えておるところでございます。

 また、四月二日のロンドン・サミットでは、さらなるIMFの資金基盤強化について合意がされたところでございまして、今後、アジア諸国を含めた新興市場国で金融支援が必要となった場合に、IMFに十分な財源があるという信頼感を高めることが大事だと思っておりまして、これを通じてこうした国々の金融市場の安定化に向けた効果が期待されるものと考えておるところでございます。

 元のお話がございましたが、ここは関係国とも十分協議をしながら、慎重にというと言葉が適切ではないかもしれませんが、適切に対応するべき問題ではないかなというふうに思っております。

 また、先生の方からお話ございましたチェンマイ・イニシアチブのマルチ化等、さらなるアジアの金融市場の安定化に向けて我々としてもさらに努力を続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

武正委員 アジア通貨危機のときに、IMFの対応については、アジア各国でそれについて、いささか厳し過ぎるのではないのか等の、そういったことがIMFに対して寄せられております中で、やはりアジアの各国の声を日本がしっかりと代弁していくということも必要でありますので、さらなる取り組みを、今進めておられますが、チェンマイ・イニシアチブ、アジア債券市場構想等、精力的に進めていただきたいと思います。

 そこで、アジア各国への、今金融危機の中で、今回これが提案をされているということなんですが、JICAによる出融資の再開についてということでお伺いしたいと思います。

 第二十二回の海外経済協力会議で、「JICAの投融資機能については、民間との意見交換を踏まえ、また、開発効果の高い新しい需要に対応するため、再開に向けて検討する。そのために、関係省にて、新しい制度・チェック体制を構築すべく、過去の実施案件の成功例・失敗例や問題点を十分研究・評価する。」ということで、お手元には、JICAさんのペーパーで、海外投融資機能についてというペーパー、二枚目には、特に今回の海外経済協力会議の背景となった二点、一つが、これは外務省でしょうかね、国際協力に関する有識者会議においてのこうした提案、そして日本経団連の四月における提案、これがその背景にあるというような御説明を受けたわけです。

 ただしかし、これまでJICAによる海外投融資機能をストップした、そういう経緯がある中で、ここでこれを検討していく、しかも、報道によると、骨太方針にも入れ込んでいくんだということでありますが、こうしたことについて、外務省としてどのように考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。

○中曽根国務大臣 開発途上国の経済発展には、公的なセクターのみならず、民間セクターの果たす役割が極めて多いということは、もう委員も御承知のことでございますが、この開発課題の重点も、インフラ整備それから民間活動の促進による成長が貧困削減には重要である、そういう認識が高まっているところでございます。

 現下の金融経済危機における経済界からの再開の要望というものもございまして、そういうものも踏まえながら、開発途上国の開発効果を高めるために、政府といたしまして、民間セクターにおける開発に寄与する活動と協働していくということが極めて重要と考えているところでございます。

 このような認識のもとで、開発効果の高い新しい需要に対応するため、関係省庁にて、過去の実施案件の成功例それから失敗例などを十分研究し、また評価し、新たな制度、チェック体制を確立した上でJICAの投融資業務を実施していきたい、そういうふうに考えておるところでございます。

武正委員 この海外経済協力会議には財務大臣も入っておられますが、これは財務大臣も同意をされたことだと思うんですが、ただ、ここには、過去の成功例、失敗例、問題点を十分研究、評価ということも書いてあります。

 財務省として、今回のこのJICAの投融資再開、もうJBICは投融資を既に行っているわけですから、報道でもやはりJBICとJICAのすみ分け等を懸念する声もありますし、いわゆる官製金融温存の懸念ということで、今外務大臣の言われたような効果とともに、懸念もやはり言われているわけですが、財務省としてはどのように認識をされていますでしょうか。

○三ッ矢大臣政務官 基本的には外務大臣のお答えになったとおりでございますが、確かに過去におきまして、先生御承知のとおり、ウナギの案件とか、あるいはホテルの案件とか、必ずしもうまくいかなかった案件がございまして、今回は、もちろんその反省の上に立って、例えば個別の案件ごとに専門家から成る投資委員会、名前は決まっているわけではございませんけれども、きちんとしたチェック体制、こういうものをつくって、過去の実施案件の問題点等も十分研究、評価する必要があるというふうに思っております。

 財務省としては、財政資金の有効かつ効率的な利用の観点から議論に貢献してまいりたいというふうに思っております。また、政策金融改革の趣旨に反することのないように、民業補完の観点や開発の観点等を踏まえて、行革推進本部とも調整しながら、関係省庁間で検討が進められるというふうに考えております。

武正委員 今、専門家というようなお話がありましたし、JICAさんに聞くと、目ききのできる人を新たに採用をというようなお話もあるんです。ただ、過去の失敗例ということで、お手元の方に、三ページ目をごらんいただきたいんですが、国際協力プロジェクト推進機構。JAIDO、これが設立をされ、日本の黒字等の資金管理ということで、過去、経団連を中心に、そしてそこにOECFから出資もしてということで対応をしてきたわけでございます。

 四ページ目にそのJAIDOの経緯が出ておりまして、一九八九年に設立をされ、二〇〇二年に解散ということであります。特に、三番に書いてありますように、今回再開をすると言われておりますJICA海外投融資による出資は、累計六十三億、出資比率が約四割、そして二〇〇七年に清算が完了し、六十三億円の出資金のうち四十六億円が償却された、いわゆる処分されたということであります。

 その財務諸表が五ページに出ておりまして、ここに出資金処分損ということで米印になっておりますが、損失処理が行われ、四十六億円が計上されているわけでございます。

 これの総括というものがどのように行われ、どのような処分が行われたのか、財務省として、わかる範囲、お答えをいただきたいと思います。

○三ッ矢大臣政務官 お答え申し上げます。

 JAIDOについてはいろいろ問題があったんだと思います、正直申し上げまして。OECFも出資しておりますし、経団連が主体でこの組織を立ち上げられた。いろいろな企業の方が参加されて、出資され、そういういろいろな企業の方がまたいろいろな案件をこの組織に持ち込まれて、正直申し上げまして、責任体制といいますか、この部分が必ずしも明確ではなかった。

 それから、もう一つ申し上げますと、政府の関与が、これは個別案件ごとに関与するというようなシステムになっておりませんで、政府としての責任というのも不明確といいますか、関与の度合いが少なかったということが言えようかと思っております。

 その結果、先生おっしゃったように、四十六億円というような債務を処理することになったわけでございます。

 その点については、我々もやはり十分に反省する必要があるというふうに思っておりまして、この点も含めて、今度のJICAの投融資機能の再構築に当たっては十分な検討を行っていく必要があると思っておりますし、今回は政府が関与するわけでございますので、個別案件ごとに、財務省、外務省、また経産省、三省できちんとしたチェック体制を組み込んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

武正委員 外務大臣、後でお配りしたのが、これがそのJAIDOの出資案件すべてでありまして、この合計額が四十六億ほどになっているんでしょうかね、今回の損失ということであります。開発ということで、なかなか民間が乗りにくいところに、政府資金を入れた会社が出融資をしていくということですから。

 今回JICAが示しております現地事業会社への直接の出資、融資と、一方、右側に書いてあります本邦企業への出融資というようなことも既に過去行われておりまして、こういうような失敗例ということで、今指摘がございました。このJAIDOができるときも、プロを入れるんだ、目ききのできる方を入れるんだというようなことがうたわれていたんですが、こういったことが行われ、結局解散をしております。ですから、今回JICAの出融資を再開するに当たっては、この会議でうたわれているような、成功例、失敗例、問題点を十分研究、評価ということがやはり大変大事だと思うんですが、この点について、JICAの所管省庁は、財務、会計に関する事項については、外務大臣、財務大臣、両省庁ということになっておりますので、今、財務省からは両省庁の連携というお話もありましたが、外務省としてどのようにお考えなのか。それから、JAIDOについてきちっと検証をされるお考えがあるのか。お答えをいただきたいと思います。

○橋本副大臣 先ほど中曽根大臣の方からもお話がありましたけれども、このJICAの投融資業務につきましては、やはり、成功例または失敗例というものを十分に研究し、また評価をしながら、新たな制度、チェック体制を確立した上で実施することが必要だというふうに改めて考えております。

 日本国際協力機構、JAIDOは、民間の主体的な活動によりまして、開発途上国への経済協力を行うことを目的として、平成元年に経団連主導で設立された株式会社でありまして、開発途上国への投資を促進するため種々の活動を行ってまいりました。

 しかしながら、JAIDOは多額の累積損失を抱え、確固たる収益源の確保を期待できない状況であったために、平成十四年に臨時総会にて解散が決議をされたというふうに承知をしております。

 政府といたしましては、JAIDOは民間の出融資の先導的役割を果たすなど一定の成果は上げたと評価はしておりますけれども、結果として旧JBICによる出資金の多くが毀損する事態に至ったということは残念で、遺憾であると考えております。

 このJAIDOへの出資の問題点としては、JAIDOにおける体制、また旧JBICの不十分な管理体制にあると考えておりますので、今後、そういったことも踏まえ、新たな制度、チェック体制を構築するに当たっては、こうした反省点も十分に踏まえ、また、財務省とも連携をとりながらやっていきたい、検討していきたいと考えております。

武正委員 資料をお願いしたんですが、例えば、その当時の役員の一覧表なども、わかりません、出せませんというような答え。これは参議院の決算委員会でも民主党の榛葉参議院議員が取り上げて、財務諸表を出してくださいと言ってもそれも出てこなかったというやりとりもありまして、組織がOECFからJBIC、そしてまたJICAというような形で変わっている中かもしれませんけれども、それこそ、やはり過去の事例というものの検証が実はきちっとできていない、それから総括もできていない。

 財務省政務官はきちっとお答えいただいておりますが、今回のやりとりの中でも、外務省さんと財務省さんと経産省さんで何となく責任のなすり合いみたいなところがかいま見られておりますので、ここで、もし骨太方針にも入れていくとすれば、やはりこのJICAの海外投融資の再開については、私は慎重を期していくべきだろうと思いますし、きちっとした検証を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。