1997年12月8日
外部監査人制度の導入及び会計制度について
(1)監査委員制度との関連について
■武正
まず、監査委員制度との関連について伺います。
9月議会前に、 県公費支出等改革本部からは、 平成6年度から3年間の不適正な支出が22億7,500万円に上ることが報告され、 交際費の執行基準を設けることなど、 再発防止策が発表になりました。 一方、 県議会からも、 外部のプロのチェックを受けるべきとの判断から、 外部監査人制度の早期導入についての決議を行いました。
地方分権の要件は、 地方自治体の自主責任の確立であります。 外部監査人制度導入の源は、 平成元年の第二次行革審にあります。 財源を伴う分権が行われるときには、 そのチェック機能を高めるべきというのが導入の主な理由です。 そして、 本年の通常国会では、 全国の自治体で見られた不適正な支出があってはならないとのことで、 地方自治法の改正につながりました。
そこで、本県として、いつから同制度の導入を図るのか、また、県民への周知の方法についてお聞かせください。
第140通常国会の地方自治法の一部を改正する法律案の附帯決議にもある、 現行の監査委員制度についても、 専門性、 独立性を高める観点から見直すことを踏まえ、 これまでの監査委員制度とどう役割分担を図るのでしょうか。 これまでの監査委員制度を内部監査制度へ位置付けることなどの考えはあるのでしょうか。 監査事務局長に御所見を伺います。
■ 鈴木忍監査事務局長
まず、 外部監査制度の導入時期及び県民への周知でございますが、 現在、 国において、
政令、 省令などの整備を進めているところでございますので、 国の動向を見守りますとともに、
9月議会において早期導入についての決議をいただきましたことからも、 政令、
省令が整備され次第直ちに導入できるよう、 準備を進めてまいりたいと存じます。
また、 県民への周知の方法につきましては、 各種の媒体を通じまして積極的に周知を図ってまいりたいと存じます。
次に、 外部監査制度と現行の監査委員制度の役割分担、 監査委員制度の内部監査制度への位置付けなどについてでございますが、 監査委員制度が地方公共団体の適正な運営の確保に果している役割はますます重要になってきております。 今回の地方自治法の改正におきましては、 その監査機能の充実・強化を図るため、 現行の監査委員制度の充実と外部監査制度の創設を柱にしまして改正が行われてございます。
このようなことから、改正法の趣旨にのっとり、現行の監査委員制度の充実強化に努めるとともに、監査機能の専門性、独立性がより強化できるよう、外部監査制度を導入し、現行の監査委員制度と相互補完的な関係を構築してまいりたいと存じます。
また、これまでの監査委員制度を内部監査制度へ位置付けることにつきましては、具体的な役割分担の中で、その可能性について研究を進めてまいりたいと存じます。
(2)財務諸表の作成について
■武正
次に、財務諸表の作成について伺います。
外部監査人が行う監査には財務諸表の監査が有効と考えますが、現在の決算制度はフローの決算で、ストックの決算となっていません。そこで、県民への説明責任を高めるためにも、貸借対照表を作成することは時代の要請でもあると考えますが、いかがでしょうか。
もちろん、財産に関する調書が作成されていますが、一定時点の財産状況を見ることが困難だからです。つまり、予算の年度内消化を前提とした資金の出入りだけの単式簿記では、歳入面で税収と借金、歳出面で職員給与と施設整備費が区別されないまま処理されるため、資産や借金がどのくらいあるかわかりにくいと言われています。
これに対して、企業会計は、費目ごとに貸借関係を分け資産や負債の増減を記入する複式簿記で、長期的な視点から資産負債管理がしやすいとされています。
これについては、神奈川県藤沢市を例に、平成8年度の一般会計、特別会計決算をもとに貸借対照表が作成されるなどの研究が進んでいます。さらに、一般会計、特別会計、公営企業会計、外かく団体の会計はすべて密接な関連を有していますので、全体の状況が把握できるような決算書上の工夫が必要であります。いわゆる連結決算の手法を取り入れることはいかがでしょうか。
また、地方自治法上どういう制約が予想されるのか、そのうえで、外部監査人制度の導入を控え、各自治体で複式簿記の企業会計を官庁会計と併用的に取り入れる動きが広まろうとしている中、本県ではどのような課題があり、それを乗り越えるにはどのような工夫が考えられるでしょうか。
以上、出納長の御所見を伺います。
また、連結決算の手法を取り入れることについて、既に公営企業会計を実施している立場から、公営企業管理者に御所見を伺います。
■ 西島昭三出納長
一般会計及び特別会計の決算につきましては、 地方自治法の定めるところに従い、
同法施行規則に定められた書式により数値をまとめているところでございます。
決算書は、 予算の執行状況が一覧できますよう、 科目ごとに、 予算額及び執行額とそれに伴う執行残額、 収入未済額などを記載した上で、 会計ごとに当該年度の収支を明らかにしているところでございます。
また、 フローが中心の予算決算制度では財産などストックの把握が困難であることから、 昭和38年の地方自治法の改正によりまして、 地方債の現債高や公有財産等の状況を記載した調書などの付属資料の作成が義務付けられ、 各年度末現在の状況を取りまとめているところでございます。
お話にございます貸借対照表につきましては、 資産や負債の状況など、 地方自治体の現況を把握する上で有効な一つの手段であるとは存じますが、 現在行っております地方財政状況調査や都道府県財政指数表などにより他県との比較分析手法がほぼ定着していることや、 公共財産の資産の在り方や減価償却の方法などの様々な課題がございますので、 これを直ちに導入することは難しいと存じております。
しかしながら、 より分かりやすい決算分析を行うことは重要なことと存じますので、 今後、 国の動向などを注視しながら研究を続けてまいる必要があろうかと考えているところでございます。
また、 一般会計、 特別会計、 公営企業会計等に係る連結決算の手法を取り入れることについてでございますが、 連結決算方式や財務診断システムなどについて新しい試みが研究されているところでもございますので、 それらを参考にしながら、 県といたしましても、 全体の収支が把握できるような手法について今後研究してまいりたいと考えております。
■上村知敏公営企業管理者
議員のお話にもございましたように、 企業活動による住民福祉の向上を図ろうとする公営企業におきましては、 企業活動の実績を明らかにするため、 企業会計方式による経理処理が行われているところでございます。 そして、 その決算につきましては、 決算報告書のほか、 貸借対照表、 損益計算書などの財務諸表を作成し、 事業年度の財政状況と経営成績を明示させていただいておるところでございます。
また、 それらの財務諸表には、 一般会計との取引状況や、 それに基づく財産の取得状況なども記録され、
他会計との経理上の関連も明確にされているところでございます。
お尋ねの、 一般会計や特別会計との連結決算の手法を取り入れることにつきましては、 その導入には、 それらの会計との調整が前提となりますので、 今後、 関係部局と密接な連絡を図りながら研究をさせていただきたいと存じます。
(3)前年度決算の9月議会提出について
■武正
次に、前年度決算の9月議会提出について伺います。
本県では12月議会に提出される前年度一般会計、 特別会計決算ですが、 新年度予算を作成するための参考とするには、 9月議会に提出することはできないものでしょうか。
今議会に提出された平成8年度決算書は本年5月末日で出納が閉鎖され、 7月7日に県税決算が総務部長から出納長に提出され、 8月11日に出納長から知事に決算書が提出され、10月6日に監査委員の審査に付され、 11月21日に監査委員の意見が知事に出され、 その後、 県議会に提出されました。 出納閉鎖からおよそ6か月後であります。
全国の都道府県では、千葉、群馬、静岡、京都、広島、佐賀の6県で9月議会に決算書を提出しています。県内92市町村でも、65市町村が9月議会に提出しています。
県庁内も情報化の進展で、 出納局では財務会計オンラインシステムを導入しており、 各部局では日々現金の出し入れを入力し、 それがリアルタイムで集計され、 把握できる状況です。 こうした技術革新により出納局での時間短縮が図れないものでしょうか。
あるいは、 監査事務局はどうでしょうか。 国会の附帯決議でも、 地方公共団体の共同の外部監査機構の設置についての検討がうたわれたこともあり、 新たな制度導入を契機に、 既存の監査にも工夫を加え、 監査事務局としても事務作業のスリム化、 外部委託を通じ、 9月議会の前年度決算提出を可能にできないでしょうか。
さらに、 決算事項別明細書説明調書並びに行政報告書づくりでは、 各部への照会と回答に8月の1か月を使い、 膨大な量の印刷校正に2か月を要しています。 各部局の前年度事業報告は、 事業執行の過程でも順次まとめることが可能であります。 両書類が決算の認定に欠かせない書類となっているのは分かりますが、 その書式、 ボリューム、 内容の分かりやすさという点の改善を進めることで決算事務の流れを短縮することについて、 出納長、 監査事務局長、 総務部長の御所見を伺います。
さらに、 先ほど財務会計オンラインシステムに触れましたが、 庁内LANを含めた行政の情報化推進の取組については、 平成7年5月16日付けの自治大臣官房総務審議官による情報化推進の指針で、 その意義として、 住民サービスの向上と新しいニーズへの対応、 行政事務の高度化、 行政事務の効率化が挙げられましたが、 本県の状況について総務部長にお聞きいたします。
■ 鈴木忍監査事務局長
決算審査は、 地方自治法第233条に基づきまして、 出納長から決算書が知事に提出された後、
知事から監査委員の審査に付すことになっております。 監査委員といたしましては、
おおむね50日をかけて決算審査をいたしているところでございます。
この間、効率的な審査ができるよう最善の努力をいたしますとともに、監査委員制度に対する県民の信頼を確保するために厳正な審査を実施しているところでございますので、審査に要する期間につきまして御理解を賜りますようお願い申し上げます。
■西島昭三出納長
一般会計及び特別会計の決算は、 地方自治法で、 出納閉鎖から3か月以内、 8月31日までに出納長から知事へ提出するよう義務付けられております。 平成2年度決算、 3年度決算につきましては8月下旬に提出していたところでございますが、 平成4年度に、 県庁の各課所に財務端末機を配置し、 全庁的な財務オンラインシステムを開始した結果、 平成4年度決算以降は毎年8月上旬に決算を提出できるようになったところでございます。
現状では、現行の決算調整のための期間は、正確な決算数値を取りまとめるとともに、決算の総括的な分析を行うための必要最小限の期間であると考えております。
また、 決算事項別明細書説明調書の書式等の改善についてでございますが、 決算事項別明細書説明調書は、 決算書などの地方自治法で定められた資料を補足するため、 実施した事業の内容や金額を部局ごとに取りまとめた資料として、 決算審査の際に参考にしていただくため作成しているものでございまして、 今後とも可能な限り作成期間を短縮できるよう努めてまいりたいと存じます。
■酒巻弘英総務部長
まず、 一般会計の決算提出時期を早めることにつきましては、 ただいま出納長及び監査事務局長から御答弁申し上げましたように、
議会におきまして十分御審査いただくためにも、 その正確な決算数値を取りまとめるとともに、
決算に関する全体的な分析を行う期間及び監査委員の審査期間を十分配慮する必要があることから、
日数的には難しい面がございますので、 御理解を賜りたいと存じます。
また、 決算認定に必要な行政報告書につきましては、 その書式、 ボリューム、 量でございます、 量、 内容の分かりやすさなど、 こういった視点での改善につきましては、 大切なことだと思いますので、 今後とも研究をしてまいりたいと存じます。
次に、 本県の行政の情報化推進の取組状況でございますが、 お話にございました住民サービスの向上と新しいニーズへの対応といたしましては、 平成8年10月に情報センター新宿を開設いたしまして、 都内に通勤・通学しております県民の皆様に、 情報通信技術を用いながら様々な情報提供を行っているところでございます。
さらに、 本年9月には、 県営秋ケ瀬公園のスポーツ施設につきまして、 彩の国情報ネットワークの端末や家庭の電話からでも施設の予約や空き状況の確認ができるようなシステムを開発し、 運用を開始いたしたところでございます。
また、行政事務の高度化、効率化といたしましては、庁内LANの整備を平成8年度から着手いたしておりまして、平成10年度には本庁において稼動できる予定となっております。
県といたしましては、情報通信ネットワークなどを活用しながら、行政の情報化を積極的に推進いたしまして、県民サービスの向上を目指してまいりたいと考えております。
■武正
一点だけお伺いをさせていただきます。
外部監査人制度の導入及び会計制度についての、前年度決算の9月議会提出についてでございます。
監査事務局長からは、現行の監査……50日ということですね、これがもう目一杯であるというようなお話もございました。
実際に、 昨年の彩福祉グループ事件のことを受けまして、 今年のいわゆる社会福祉法人の監査もかなり大変だったと伺っておりますし、 住民監査請求が出ますと、 それへの対応が60日かかるという話も伺っております。
ただ、しかし、外部監査人制度が導入されますと、この住民監査請求が外部監査人のほうに振り向けられる可能性もあるわけであります。
また、かなり目一杯だというお話がございましたが、だとすれば、発想の転換なり外部委託なり、思い切ってやらないとですね、やはりこの50日がもう、いつまでたってもなかなか短縮できないということになってくると思うんですね。これは、是非短縮をしていく、そういう発想の転換が必要ではないかというふうに思うわけであります。
そしてまた、 総務部長からですね、 行政事務の効率化に関しましては、 来年度から庁内LANが稼動するというお話がありました。 平成10年度稼動というこの庁内LAN、 これのやっぱり成果を大いに生かすべきではないかなというふうに思うわけですね。 こうした技術革新を利用して、 この前年度決算の九月議会提出が可能になるんだというふうに思うわけです。 そうしたことを伺いたいと思っております。
特にですね、 先ほど御答弁の中で、 行政報告書、 今議会に提出されております、 非常に分厚い懇切な行政報告書でございますが、 例えばこの中でですね、 先ほど私が衛生部長に伺いました基本健康診査の、 今、 受診状況がですね、 この行政報告書に載っております。 ただ、 それは人数が出ているだけで、 例えば基本健康診査、 この率、 パーセントが出ていないんですね。 見る側にとっては、 やっぱり、 どのぐらい普及しているのか、 どのぐらいのパーテンセージで基本健康診査が受けられているのか、 受けられていないのかということ、 見る側に立ったですね、 分かりやすい行政報告書が求められているんだというふうに私は思うわけです。
ということもありまして、 先ほど、 研究、 改善を研究していきたいという御答弁があったわけですので、 この点についてですね、 監査事務局については意見ということにしておきますので、 総務部長にこの一点お伺いをさせていただきます。
■ 酒巻弘英総務部長
私、 先ほどの答弁の中で、 その内容について、 分かりやすさなども十分視点に入れまして今後改善をしてまいりたい、
改善の方向で研究してまいりたいというふうにお答え申し上げたわけでございますが、
ボリュームの点もかなりございますし、 今先生御指摘のとおり、 内容的にも、 精査する部分も必要かと思います。
監査に当たりまして、 委員の先生方からも、 いろいろ御相談をさせてもらいながら、
今後、 そういったボリュームの問題、 それから記載内容の問題等につきましても、
今後十分研究してまいりたいと思いますので、 御了解いただきたいと思います。
(4)使い切り予算の見直しについて
■武正
ここで、いわゆる使い切り予算の見直しについて伺います。
三重県では、 北川知事のもと、 使い切り予算を改め、 うまく節約した部局には、 翌年、 その節約分に応じた予算を配分する制度を平成8年度から導入しました。 平成8年度は1億342万円余りの節約をあげ、 節約した部局に平成9年度5,046万円余りの新規事業を認めたとのことです。 事前に事務事業の見直しを行う事務事業評価システムを平成8年度から導入し、 各課を通じて事務事業の目的の評価を行ったことが特徴的なことです。 各課で議論した事務事業は全庁で2,800に上ったとのことです。
また、 この取組では、 地方自治法上、 年度末に節約分を基金に入れ、 年度当初に基金から取り崩すという苦肉のやり方をとっています。 しかし、 過渡期の試みとしては、 いまだ財源を中央省庁が握っている現状では、 それだけ節約できるのならば補助金はカットしましょうと言われかねず、 同様の試みを行う自治体が増えていくことで、 地方自治法改正により予算節減制度の正式導入を目指すことが望まれます。 全国知事会会長を務める知事の御所見を伺います。
節約できるならば、 予算要求のときにいい加減な予算立てがあったのではないかという指摘ができますが、 実際に予算要求から半年後の年度当初の状況の変化、 事業を進めるについての工夫の積み重ねなどを考えると、 各部局の自主的な努力を期待できる、 この予算の節減を本県でも取り入れるべきと考えます。
本県では既に事業アセスメントの導入ということが伝えられていますが、県の事業をどのようなかたちで評価しようとするのか、どういう手法を設けようとしているのでしょうか。
三重県では、 全庁を挙げて取り組んだ小集団活動の一環として出てきた予算節減運動ですので、 本県としても、 事業アセスメントの導入を財政運営計画に盛り込むについても、 全庁を挙げての周知徹底、 推進の年次別計画などの方針や方策が求められると思いますが、 以上、 中川副知事の御所見を伺います。
奇しくも、 国会の附帯決議では、 公会計原則、 監査基準などの設定を含め、 地方公共団体の会計制度の在り方について幅広い見地から検討することが盛り込まれました。 予算単年度主義に基づく現金主義、 会計年度独立の原則の見直しなど、 年2回とされる本県財政状況の公表時に、 ストックの概念を持つ諸表を加えることについて、 総務部長の御所見を伺います。
■ 土屋義彦知事
議員御案内のとおり、 三重県は、 与えられた予算は年度末までに使い切らなければならないとの意識が様々な弊害をもたらしたことを受けまして、
その是正策として、 予算の節減努力を奨励するために、 基金を活用した仕組みを創設したと伺っております。
私は、 常日ごろから、 公金の財源は県民の皆様方からお預かりした貴重な税金で賄われていること、 また、 国庫支出金にいたしましても、 国民の貴重な税金から賄われていることを念頭に置きまして、 自ら襟を正すことはもとより、 職員に対しましても、 あらゆる機会を通じまして、 無駄遣いすることのないように強く徹底を図っているところでもあります。
事業の執行に当たりましては、 計画的な執行に基づき節減努力を図ることは当然のことであり、 厳しい財政状況の中、 節減された財源を基金に積み立てるなど、 有効に活用すべきであると考えております。
したがいまして、 私は、 まずもって、 国や地方自治体の職員の意識改革が不可欠であると考えておりますので、 本県が率先して、 コスト意識の徹底を図るなど、 職員の意識改革を進めてまいりたいと存じます。
さらにまた、予算の執行に当たって制度の改正が必要でございますれば、他の都道府県の動向を見極め、全国知事会会長として、国に対しましても働きかけてまいりたいと存じます。
■中川浩明副知事
現在、 行財政全般についてあらゆる角度から見直しが強く求められておりますが、 その前提として、 行政の分野におきましても、 いろいろな評価尺度を用いながら、 費用対効果を明らかにするとともに、 従来の事業の手法を問い直し、 事業の意義、 効果を評価した上で優先順位を明確にし、 それに従って施策を展開していくことが求められていると認識をいたしております。
また、各年度の予算について、計画的な執行に基づき節減努力を図ることは当然のことでもございます。今回、公共工事コスト削減対策に関する埼玉県行動計画を定め、土木、建築等の公共工事における予算の節減方式を示したところでございますが、公共工事にとらわれることなく、各事業の執行についても節減が図られるよう努めているところでございます。
経費の節減、 事業の合理化、 効率化を進めるためには、 あしき前例踏襲によらず、 常に創意工夫をこらして見直し改善していこうとする職員の意識改革が重要なポイントとなります。 三重県の例は、 この意識改革には有効と思われますが、 その生み出された節減額を、 県全体の施策事業の整合性を図っていく観点からどのように活用していくかについては、 この厳しい状況下で十分に議論を行う必要があるとも考えられます。
いずれにいたしましても、他の都道府県の動向も参考に、引き続き検討してまいりたいと存じます。
現在、 健全な財政運営のための中期的計画に基づき、 平成10年度の予算編成を行っておりますが、 限られた財源を効率的かつ効果的に活用するため、 予算編成作業と並行して、 投資効果を客観的に評価いたします、 いわゆる事業アセスメントの対象事業の検討を行っております。 今後、 幾つかのモデルケースを設定し、 これらのモデルケースを設定する中で、 評価方法や指標、 職員への周知徹底などを明確にし、 県民の方々に理解しやすい評価の基準を策定してまいりたいと考えております。
■酒巻弘英総務部長
予算単年度主義に基づく現金主義、 会計年度独立の原則の見直しにつきましては、
地方自治法等の法令の改正を待たなければ、 直ちに対応することは困難と考えております。
また、 本県の財政状況の公表時にストックの概念を持つ諸表を加えることにつきましては、
先ほど出納長から御答弁申し上げましたとおり、 資産評価の在り方など、 様々な課題もございますので、
今後の研究課題としてまいりたいと存じます。
|