1998年12月8日



財政危機を前にして県行政の在り方

(1)新行政改革大綱及び新たな組織再編について

武正
 年度末の県債発行残高が2兆1,051億円になろうとしている今、行政の在り方が、その役割の範囲が、民間やNPOとの仕事の分担が、事業の中身の見直しが問われています。
 過去、アメリカ・レーガノミックス、イギリス・サッチャーリズムに見られたような小さな政府が欧米先進国の中の潮流でありました。
 日本は遅れること13年、アジアを中心とする不況の中、米、英の経済が好況を博しているのは、これらの改革を行い、行政を経済をそれぞれ構造から変革させたからです。
 日本は、今や、これら先延ばしにしてきた構造改革とともに、みぞうの不況への対応を同時に迫られる状況に追い込まれております。

 すなわち、土屋知事には、昨年末には財革法を受け、健全な財政運営のための中期的計画を立て、平成10年度予算編成を過去にない低い伸びに抑える緊縮予算としましたが、年度スタートと同時に政府の総合経済対策にこたえ、6月、9月議会に県債発行を行い、総額1,274億円の補正予算を組んだ一方、本年度の歳入不足に応じ、今定例会は470億円の減額補正と、まさに目まぐるしい対応をとられています。過去にない不況下の中で苦渋の選択と考えるところです。
 県債発行残高は、平成4年度末の8,305億円から今年度末には、約2・5倍になろうとしています。国の内需拡大、景気浮揚、雇用創出を目途にした7年間で90兆円近い追加公共投資の大半を地方自治体が担ったためと理解します。地方自治体が国の経済対策の現場の仕事を行ってみても、なかなか効果が表れなかった7年間であったと考えます。

 やはり、痛みを伴っても、日本の官と官にかかわる民間部門の構造を改革しなければ、経済効果に結びつかないことを明らかにしたと考えます。そのため、全国知事会会長として、総額6兆3,000億円の恒久的減税に対しては、地方自治体の負担分を1兆8,000億円に、さらにその裏付けを各種財源に求めるなどの御活躍をされたことは、自立した自治体経営を求める姿勢と深く敬意を表するものであります。

 しかし、本県にあっても、国の財革法凍結や24兆円余りの緊急経済対策等への対応とともに、行財政の新たな考え方の構築、それを受けての具体的な対応が早急に求められるのではないでしょうか。なぜならば、来年度の歳入不足が1,000億円を超えるとの予想があり、特に、市町村の財政が危機的な状況に追い込まれるとの見方もあるからです。
 また、平成8年度、中川副知事を委員長とする組織検討委員会により、当初11部は今年度八部に減るなど、大きな組織改革が行われましたが、更に発想を変え、組織、人事、仕事により突っ込んだ改革が求められると考えます。

 地方分権推進委員会の第5次報告も先月出され、国の省庁再編法案も次期通常国会に提出が予想される中、国と地方の関係が変わる中、県行政及び財政の在り方を組織、人事、仕事に根本から見直す考えについて、新行政改革大綱及び新たな組織再編を行う考えについて、行うとすれば、これまでの考え方の延長線上では限界があると感じ、発想の転換が必要と考えますが、具体的な方向性を土屋知事の御所見をお伺いします。

土屋義彦知事
 過去例を見ない厳しい財政状況のもとで、これまでと発想を変えまして、行財政の在り方を根本から見直すべきとの武正議員の御指摘につきましては、私も全く同感でございます。
 これまで、国も地方もそれなりの行政改革に向けた努力はしてまいりましたが、行政と民間との関係、あるいはまた、国と地方との関係に視点を置いた抜本的な行政改革という点では、いまだ不十分であります。

 民間企業が活力を持ち、地方自治体が自立した行政を行い、国全体の活力を高めていけるよう、いわば構造的な改革を進めてまいりますことが、今こそ求められているのであります。
 本県におきましても、これまで抜本的な組織の改正、外郭団体の整理・統合など、全国に先駆けた取組を行ってまいりましたが、これは改革の第一歩であります。県の仕事の全体について、更に県民の視点に立った見直しを行い、それぞれの事務事業をできる限り客観的に評価をし、効果があるものに財源を重点配分していくといった財政運営をしていかなくてはならないんじゃないかと考えております。

 また、職員には、コスト意識を持って、自らが県民のために何ができるかを責任を持って考え、実行していくことが求められております。また、組織面においては、明確な責任体制の確立とともに徹底した効率化が必要であります。さらに、市町村との関係においても、より市町村が自立して仕事が進められるよう見直さなければなりません。このような改革、県民の視点に立った構造改革を進めますためにも、新たな行政改革大綱を検討するよう、既に事務担当者にも指示をいたしたところでございます。
 私は、この彩の国さいたまにおける改革が、国、地方を通じた改革に、さらに我が国全体の構造改革にもつながるという意気込みを持って、更なる改革に取り組む決意でございますので、議員各位の御支援、御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。



(2)健全な財政運営のための中期的計画について

武正  
財革法凍結法案が国会を通過したときに、健全な財政運営のための中期的計画への対応について、凍結なのか見直しなのか、新たなものを作り直すのか、総務部長に伺います。

古橋光弘総務部長 
 本県が昨年10月に策定いたしました健全な財政運営のための中期的計画は、国の財政構造改革法とは異なり、事業の重点化の徹底、大規模事業の内容や進度の見直し、県債残高の管理、さらには、県単独投資的経費の抑制などを柱とした平成10年度から15年度までの財政運営の基本方針を定めたものでございまして、今後とも収支試算の改定を適宜行いながら、財政中期計画の基本的な考え方に基づきまして、健全な財政運営の確立に努めてまいりたいと考えております。



(3)官民の人事交流及び県庁職員のキャリアアップについて

武正
 人事面では、来年度採用に民間企業の職務経験者採用を始めたことは、高く評価する次第です。定員3人に対し1,260人もの応募があったことは、不景気もありますが、行政の役割や仕事にやりがいを感じているからと考えます。
9月の株式会社さいたまアリーナも定員4人に579人の応募がありました。また、後述する埼玉大学では、社会人の夜間大学院コースを充実させております。

 県庁職員の方にも、このコースを受けられ、さらに新たな発想を、知識を積まれた方がいますが、匿名でいかざるを得ない雰囲気もあるとのこと、理学部、工学部、県研究技術職員の受入れも積極的で、効果も上がる分野と考えます。
 官民の人事交流を今後拡大するためにも、県庁職員には広く経験を積み、キャリアアップを行なえる雰囲気、仕組みを求めるところであります。民間企業の職務経験者採用の更なる拡大について、また、県庁職員のキャリアアップについて、総合政策部長の御所見を伺います。 

青木信之総合政策部長 
 社会経済情勢の大きな変革期に当たりまして、多様化、複雑化する行政課題に的確に対応していくため、また、県民の方々により質の高い行政サービスを提供していくためにも、これまで以上に広い視野を持った人材や経営感覚に優れ、社会経済の変化に敏感に対応できる人材が求められておりまして、知事からも、このような人材の育成、確保を積極的に行うようにとの指示をいただいているところでございます。

 特に、民間企業への職員の派遣は、民間の柔軟な発想や経営感覚を実地に学ぶことができるという点で、また、今年度、人事委員会が新たに導入いたしました民間企業における職務経験者の採用については、民間企業の優れた経営感覚を直接県行政に活用できるだけでなく、他の職員に対する刺激にもなるという点で、重要な意義があると考えておりまして、今後、これらの制度の拡充を図ってまいりたいと考えております。

 また、本県の重要な政策課題を解決する上で必要となる専門知識や理論体系の習得を目的といたしまして、埼玉大学大学院や東京大学大学院などに研修の一環として職員を派遣しておりますが、武正議員御指摘のとおり、職員が仕事をしながら行う自己啓発を促進するため、例えば、夜間大学院コースに通いやすい環境を整えるといったことも大変重要であると考えておりますので、今後、その方法についても検討をしてまいりたいと存じます。



(4)財務諸表の整備について

武正
 ところで、本県の財政状況をどう評価したらよいのでしょうか、2兆1,051億円の県債発行残高が多いのか、少ないのか、ちょうどよいのか、その判断には、県の資産が一体幾らぐらいあり、それとの比較が必要ではないでしょうか。
 ちなみに、三重県では、平成8年度末の資産を普通会計のみですが、3兆8,826億円、負債を8,177億円としています。
 本県にあっては、平成9年度決算のうち、県出捐金50パーセント以上の外郭団体について試算すると、資産が3,915億円余り、負債が3,699億円余り、財産が215億円余りとなりました。  大宮市在住の方の御協力で17団体の合計を試算して見たのですが、それぞれの財務諸表の項目がまちまちでしたので、あくまでも試算であります。

 県有財産についても評価を行おうと思いましたが、作業量が膨大なため次回に譲りました。
 昨年12月議会で、私から求めた本県の財務諸表の整備を行うことは、県民への説明責任という点から、是非とも実行していただきたいと存じますが、それが来年4月スタートする外部監査制度でも求められるからであります。
 決算における貸借対照表の作成及び一般会計、特別会計、公営企業会計などに係る連結決算の手法を取り入れることなど、複式簿記の企業会計を官庁会計と併用的に取り入れることについて、再度、出納長にお伺いします。 

鈴木宮夫出納長 
 複式簿記の企業会計を官庁会計と併用的に取り入れることについてでございますが、御提案の貸借対照表の作成につきましては、三重県ほか一部自治体において、企業経営的視点から財政状況を分析する手法といたしまして、学者などの専門家の協力を得ながら、試行的に実施されているところでございます。
 そうした自治体の実施事例からは、道路や河川といった行政財産の評価をどうするのか、また、減価償却についてはどう取り扱うのかなど、基本的な部分において幾つかの難しい問題があるとお聞きをいたしております。このため、決算分析の手法として活用するためには、なお様々な研究の成果を待たなければならないものと存じております。

 また、一般会計、特別会計、公営企業会計等に係る連結決算の手法を取り入れることについては、一般会計と特別会計は現金主義、公営企業会計は発生主義というように、会計処理の基本に相違する点がございます。こうしたことを考えますと、直ちに企業会計を官庁会計と併用的に取り入れることにつきましては難しいものと存じておりますが、分かりやすい決算を行うことはもとより重要なことでございます。いろいろな事例について、更に研究をしてまいりたいと考えております。



(5)外部監査制度と情報公開条例について

武正
 昨年9月議会の外部監査制度の早期導入を求める決議に基づき、本県でも導入準備を進め、外部監査人の選定を進めていると聞きますが、現在の進ちょく状況と他県の状況を総合政策部長に伺います。
 特に、個別外部監査では、議会、県民からの要求にこたえ、外部監査人が要求テーマ、項目、団体について監査を行うとされています。そのためには、議会、県民がどこに問題を感じるかの判断材料として、県政にかかわる情報、資料の提供が内容、スピードの点を満たす方法で行われるかどうかが問われます。
 情報公開法案が継続審議となっていますが、昭和58年施行の本県の情報公開条例を外部監査制度導入を契機に改正する必要について、総務部長の御所見を伺います。 

青木信之総合政策部長
 まず、外部監査制度の導入に向けての進ちょく状況についてでございますが、現在、資格を有する弁護士や公認会計士などから、外部監査人を選任する準備を進めている段階でございまして、効果的な監査とするため、選任の基準、選任方法について検討を行っているところでございます。
 年内には、具体的な選任の手続に入り、平成11年4月からの導入に向けまして準備を進めてまいりたいと考えております。

 また、外部監査制度には、外部監査人が財務に関して、自ら決定したテーマについて監査を行う包括外部監査、導入に当たっては、任意とされている財政的援助団体に対する包括外部監査、さらには議会や長、県民などの要求により監査を行う個別外部監査がございますが、県行政が県民からの多額な税金をもとに運営されておりますことにかんがみまして、これらすべての制度について、積極的に導入してまいりたいと考えております。

 次に、他の都道府県の状況でございますが、現在まで、北海道と山梨県がそれぞれ10月と11月に導入しておりますが、東京都をはじめ近県におきましては、新年度からの導入に向けて、本県と同様に外部監査人の選任などについて検討を進めているところであると聞いております。

古橋光弘総務部長 
 本県の情報公開条例は、県政の公正な執行と県民の信頼を確保するとともに、県民の県政参加を促進する制度として、大きな役割を果たしてきたところでございます。
 国におきましても現在、情報公開法案が国会で継続審議となっておりますが、この法案が成立した場合、県の条例におきましても、請求者や対象文書の範囲などにつきまして整合を図る必要があるものと認識いたしております。
 県といたしましても、この法案の審議経過を見守りながら、今後、情報公開条例の見直しにつきまして検討し、開かれた県政の推進に努めてまいりたいと存じます。



(6)事務事業評価制度について

武正
 本県にあっては、平成10年度より事務事業の評価制度が始まりました。A4の表に担当者自身の評価と部局上司の評価を記載するものです。もちろん人件費もコストに入れています。
 そして、財政当局には、この表をもって事務事業の見直しに、新年度予算の査定に使おうとしています。さらに事業の上位にある施策評価を試みに始めています。幾つかの課題を指摘します。
 それは、事業の評価が自己評価では、お手盛りにならないか、第三者の評価が必要ではないか、さらに予算査定の基準にすることも、本来の趣旨から外れるのではないかということです。

 問われるべき課題は、行政運営の本質論であります。すなわち、どこまでを行政がやるべきなのか、民間やNPOに任せることなのか、公設民営やPFIの手法をどう積極的に駆使していくのか、その考え方が問われ、実行が求められていると思います。
 行政の評価については、議会をはじめ県民各位が政策の評価から施策の評価、事務事業の評価が行なえるよう、情報公開と情報の提供が求められているのではないかと考えます。そのための事務事業の評価であり、施策の評価であるはずです。

 事務事業評価制度を本県に取り入れた経緯と、そのよって立つ根本的なよりどころについて、武田副知事に伺います。
 事務事業評価制度について、お手盛りの自己評価という批判に対し、さらに議会や県民への公開方法について、あるいはインターネットの活用について、総務部長に伺います。

武田茂夫副知事 
 本県では、これまで様々な視点で事務事業の見直しに取り組み、既存の事業を廃止、縮減いたします一方、県民の新たなニーズにこたえる施策を積極的に打ち出しまして、スクラップ・アンド・ビルドに努めてまいりました。
 この事務事業の見直しを更に徹底いたしますため、平成8年3月に策定した彩の国行政改革大綱におきまして、事業実績に対する評価基準の明確化について検討することを明記し、検討を進めてまいりました結果、平成10年6月、事務事業評価制度の導入に至ったところでございます。
 評価制度のよってたつ基本的な考え方でございますが、2つの問題認識に根ざしておりまして、その1点目が、県民への県行政の公開性を高めることでございます。
 県といたしましても、県民の皆様に行財政活動の内容を説明する責任、いわゆるアカウンタビリティを全うすることが重要な課題と考えたところであります。

 2点目は、厳しさを増す財政状況への対応でございます。
 平成11年度予算編成がかつてない困難な財政環境の中で行われますことから、事業の重点化、効率化を一段と進め、ますます限られてきた貴重な財源を有効に配分することが、今まで以上に問われているところでございます。こうした問題認識のもと、それぞれの事業の成果を数値指標を用いて検証するとともに、県民ニーズ、国、市町村や民間との役割分担、緊急性などを予算編成に反映させるものと考えております。
 もとより、今回は、制度導入の初年度でございますため、予算編成後に公開いたします事務事業評価調書の内容も完全なものとは言えないかと存じますが、議員の御指摘の趣旨や県民の皆様からの御批判を今後の評価制度の改善に生かし、行財政改革の推進に努めてまいりたいと存じます。

古橋光弘総務部長  
 自己評価では、お手盛りの評価にならないかとの批判につきましては、現在、制度を実施あるいは試験導入中の各自治体におきましても、試行錯誤していると伺っております。
 御指摘のありました第三者の評価につきましては、今後検討してまいりますが、評価調書は、公開予定のために、県民の皆様の御意見、御批判をいただきながら、評価の質を向上させてまいりたいと存じます。

 また、自己評価の方式によりましても、数値指標化や必要性、緊急性、公平性などの点検を通じまして、職員の意識改革が図られるものと考えております。
 次に、議会や県民への公開の方法でございますが、県政情報センターなどでの閲覧方式を考えております。インターネットによる評価調書の公開につきましては、調書が2,000枚を超え、書式も複雑であることなど、なお検討すべき課題も多く、その方法につきまして研究してまいりたいと存じます。

武正
 再質問  今、行政に求められているのは、やはり、行政の公開性ということであります。
 財政が厳しい折、やはり本県の行政が何をしようとしているのか、何を目指しているのか、あるいは今、何をしているのかが、やはり県民にオープンになっていく、すべからく開示をしていくということが姿勢として求められていると考えるわけです。

 そうしたとき、先ほど出納長からは、財務諸表の整備について幾つかの難しい問題があると、あるいは研究してまいりたいという御答弁がありましたが、会計複式簿記の企業会計を、これまでの官庁会計と併用的に取り入れるということですので、あくまでも私見でありますので、是非これはですね、研究というよりも検討というか、前向きに取り入れていただきたいということは、これは要望をしておきます。

 同じくですね、武田副知事のほうから、事務事業評価制度について、県民への県行政の公開性を高めるアカウンタビリティという話がありました。
 やはり、この県民への県行政の公開性を高めるために事務事業評価制度を導入したというのであれば、総務部長に再度お尋ねするんですが、この事務事業評価のですね、A四の表を閲覧だけ、あるいは県政情報紙ですか、あるいは県政情報センターですか、そこで公開するということでしたけれども、この間、三重県にいってまいりましたら、三重県もやはりインターネットでも公開するんだという話もありましたし、技術的には、今読込方式とかいろいろありましてね、決して不可能ではないと思うんですね。

 せっかく県庁内部で2,000枚も3,000枚も、それぞれの箇所で事務事業の見直しの表をつくっているんであれば、それを公開するんだったら、インターネットに載せていったっていいと思うんです。そういうところを前向きに取り組むことが、今、埼玉県政に求められているんではないでしょうか。ということで、総務部長に再質問させていただきます。

古橋光弘総務部長 
御質問の趣旨に沿いますように十分検討してまいりたいと存じます。



(7)3市合併、政令指定都市化について

武正
 本県は、700万人に迫る人口を抱え、92市町村、うち43市は日本一の市の数です。それがため、県職員一人当たりの負担が重いことは既に指摘されているところです。県職員は1,300人の神泉村から50万人近い浦和市まで、行政課題が様々な市町村への対応に負われています。そうした中、さいたま新都心の街びらきに併せ、三市合併、そして政令指定都市化を目指すことは、県職員の行政負担を軽減するばかりでなく、県と政令指定都市の切磋琢磨が広く県民サービスの向上に寄与するものと考えます。

 現在の任意の合併協議会の進ちょく状況とともに、三市合併、政令指定都市化にかける意気込みを合併協副会長の武田副知事に伺います。 

武田茂夫副知事 
 昨年12月に設置されました浦和市、大宮市、与野市合併推進協議会におきましては、4つの小委員会を設置し、合併の期日や新市の名称、あるいは新市の事務所の位置など、合併の在り方を定める基本的な事項について協議するとともに、3市の行政サービスの統一を図るため、9つの専門部会、41の分科会、166の事務研究会等において、膨大な量の事務すり合わせ作業を鋭意進めております。

 これまでに合併の方式を合体合併、すなわち対等合併とすることに決定し、また、一部事務組合や公共的団体等の取扱いについて、その調整方針を定めたところでございます。
 今後、残された協議項目について、順次協議を重ねていくこととしておりますが、新市の名称の決定及び新市の将来ビジョンとなる新市建設計画の策定につきましては、市民の皆様の御意見を踏まえて検討を進めるため、3市の市民代表からなる新市建設計画検討委員会及び新市名検討委員会を設置して協議していただいております。

 武正議員御指摘のとおり、690万人の人口を擁する本県に、核となる都市が誕生し、政令指定都市を目指しますことは、東京への過度の依存を是正し、本県のイメージアップや経済的発展などの効果が期待できますとともに、県と新市が密接な連携を図ることにより、更なる住民サービスの向上を図ることができるものと考えております。
 合併協議会の副会長を仰せつかっている私といたしましては、埼玉の新しい都づくりとなるこの合併が成就できますよう、引き続き石原会長を補佐し、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。



(8)NPOについて

武正
 12月2日付け、各紙が伝えるように、施行当日の申請相談件数は、わずか3件、うち受理ゼロ件にすぎませんでした。他県の申請相談件数も、東京都5件、同3件、神奈川2件、同一件、千葉県一件、同ゼロ件でありました。同日、全国で受理されたのは、52件でした。税制上の優遇措置が見送られたのが申請が少ない原因とされています。
 本県の対応は、昨年11月、県内3,179団体のアンケート調査を行い、回答率49パーセント、1,566件の有効回答を得、そのうち法人格取得意向のある団体を139団体としています。
 9月から11月の来庁者は30件、電話は191件、資料請求は45件とのこと、先月県内4地区で説明会を行い、289人の参加を得ております。

 県の努力を多とするものの、例えば、NPO特集が11月彩の国だより16ページのうち、わずか半ページしかないのに、例えば三重県では、9月号16ページのうち、5ページを割いていたのと比較して、また、相談、問い合わせなどの件数を考えるとき、努力の余地はまだまだあると考えます。
 本県の行政の在り方として、このNPO、さらにPFIなど、任せられるべきもの、ゆだねられるものはすべからく民間事業者、NPO、そして県民などに任せ、ゆだねるというように、行政の在り方を転換する必要があると考えますが、土屋知事の御所見を伺います。

 また、阪神大震災を契機に市民団体の横の連絡を図り、それぞれの活動を支援する拠点施設として、市民活動サポートセンターが来年度スタートするところ、その委員会の最終報告で、委員側からセンターは県につくってもらい、運営を民間でという公設民営型を求めたのに対し、県側は、外郭団体に運営を任せたいとしていると報じられています。

 NPO支援、さらに、時代が行政の在り方に民間活力をより強く求める今こそ、チェック機能が働くことを前提に、民間に運営を任せていくべきではないかと考えます。
 今後のNPO申請件数を増やすための財務諸表づくりなどの相談機能の充実、各種広報での紹介、説明会の開催などのNPO支援と合わせ、環境生活部長の御所見を伺います。

土屋義彦知事 
 私は、県民の皆さん方が環境保全や福祉、青少年の健全育成、防災など様々な分野において、ボランティア活動をはじめとするNPO活動に積極的に参加されますことは、県民一人一人が自ら進んで21世紀の彩の国づくりに貢献するという極めて尊い活動であり、愛するふるさと埼玉の将来のためにも、欠かすことのでき得ない大変重要なものであると考えております。

 また、こうした動きを行政として積極的に支援してまいりますことは、いわゆるNPO法の制定に見られますとおり、高齢化社会の到来を控えた時代の大きな流れであると認識をいたしております。
 私といたしましても、県の行政の在り方の方向として、県行政と県民とのパートナーシップによりまして、公共的目的の達成を図ってまいりますことは、大変重要であると考えております。

 今後とも、武正議員御指摘の、いわゆるPFIなどの新たな手法も視野に入れつつ、社会の担い手としてのNPO活動の活性化を側面から支援をし、県民の自主的な活動と連携の取れた県政を全力で推進してまいりたいと存じます。

中野健一環境生活部長 
 市民活動サポートセンター(仮称)につきましては、現在、有識者や活動実践者などで構成する市民活動サポートセンター(仮称)実施計画検討委員会におきまして、その運営や設置の方法など具体的な検討が行われているところでございますが、委託する場合には、活動促進について高い専門性を有するとともに、センターの業務の実施のみならず、委託に伴う各種の事務を行ない得る能力を有することが必要であるとされております。県といたしましては、委託する場合の委託先に関しましては、検討委員会の御意見を踏まえ、民間の状況や他県の類似施設の運営形態を十分勘案して検討してまいりたいと考えております。

 また、特定非営利活動法人設立申請のための相談などにつきましては、お話にございましたように、各地で説明会を開催するとともに、広報紙により周知を図ってきたところでございます。
 特に、各種様式や財務諸表などの記載例を掲載した手引書により、細部にわたって説明するとともに、所轄庁として可能な限り個別の相談にも応じてきたところでございます。
 今後とも、ボランティア通信や生活センターの地域情報紙による広報など、特定非営利活動促進法の周知に更に一層努力するとともに、引き続きボランティア活動をはじめとするNPO活動の促進を図ってまいりたいと存じます。