1998年12月8日



県独自の雇用ビジョンの確立について

(1)雇用確保産業振興プラン(仮称)について

武正
 労働省から本県に地方事務官として51名の方が現在職業安定課と雇用保険課で勤務をされていますが、平成11年度いっぱいで本省に戻られ、公共職業安定所・ハローワークなど、労働省が直轄で取り組むとされています。すなわち、本県独自の雇用ビジョンが雇用施策の確立が求められると考えます。

 平成8年4月に北米行政視察で訪ねたダラス市では、平成七年に日本企業などを含め、60社の企業誘致で20,000人の雇用を生んだと経済局の担当者が語っていたり、姉妹州県のオハイオ州から、本県への来県時には盛んに企業誘致のセールスを行ったりと、本県にも、どれだけ雇用を確保、創出できたかという実績が行政に求められる時代が労働省の地方事務官見直しで生じたばかりでなく、現在の雇用不安から、失業率が7パーセントになることが予想する向きもある中で、雇用対策の重要性が求められていると考えます。

 本年2月の我が会派の代表質問で求めた県独自の雇用ビジョンの確立の必要性に対しては、雇用確保産業振興プラン(仮称)を本年度策定する旨の答弁がありましたが、現在の進ちょく状況を伺います。

島村秀夫労働商工部長 
 現在の進ちょく状況につきましては、若手経営者や学識経験者などの参画をいただいた素案策定委員会におきまして、現在、その取りまとめを行っているところでございます。
 今後、県議会の御意見を十分お伺いいたしますとともに、県民の皆様をはじめ市町村、労働団体、商工団体など各界の御意見をお伺いし、プランを策定してまいりたいと存じます。



(2)中高年者の職業訓練と職業紹介業、人材紹介業の育成について


武正
 さらに、現在の雇用不安が特に40代、50代の中高年者を中心に起きているため、職業移動を促進するために様々な施策が必要と考えます。
 例えば、高等技術専門校の再編強化では、シニアワーク東京都の例を待つまでもなく、中高年者の職業訓練に特化した施設の必要性を、さらに職業紹介では、公共職業安定所以外の民間職業紹介の機能を積極的に利用する必要性を感じます。

 あの人をこちらの会社、あちらの職場へと結び付きを世話してくれる役割は職業移動のために大変重要で、そこには、マンツーマンの信頼とコミュニケーションが欠かせません。
 本県の労政事務所並びに各種人材紹介機能とともに、民間の職業紹介機能、人材との連携、活用が必要と考えます。また、雇用ビジョンに被雇用者側からの視点が欠かせないのは、雇用ビジネスとしての人材紹介業等の発展を生むと考えるからです。
 以上、雇用ビジョン確立の観点から、中高年者の職業訓練と職業紹介業、人材紹介業の育成について、労働商工部長の御所見を伺います。 

島村秀夫労働商工部長 
 中高年者の職業訓練と職業紹介業、人材紹介業の育成についてでございますが、中高年者の職業訓練につきましては、これまで高等技術専門校におきまして、中高年者を対象とした専門コースによる訓練や緊急雇用対策短期職業訓練、女性・中高年キャリアアップ訓練を実施するなど、中高年者の就業支援に努めているところでございます。

 御指摘のございました中高年者の職業訓練に特化した施設の必要性についてでございますが、県といたしましては、現在、中高年者をはじめとする労働者の生涯にわたる職業能力開発の充実を図るため、高等技術専門校の将来の体制整備につきまして、埼玉県職業能力開発審議会に諮問し、御検討をいただいているところでございます。

 次に、職業紹介、人材紹介についてでございますが、産業構造の変化、雇用に対するニーズの多様化が進む中で労働力需給のミスマッチが解消され、労働者の能力が十分に発揮できますよう、労働市場の需給調整機能を強化することが必要でございます。このためには公共職業安定機関の機能を一層向上するとともに、労働者の保護を図りつつ、民間の職業紹介機関の活力や創意工夫を十分生かしていくことが必要と考えております。