1998年12月8日
介護保健導入を前に医療・保健・福祉サービスの充実
(1)介護保険の諸準備について
■武正
介護保険導入を前に医療・保健・福祉サービスの充実について伺います。
第1に、平成11年度末を目標年度とする現行の老人保健福祉計画の達成状況はどうであるのか。
第2に、介護保険事業計画に住民ニーズが織り込まれるように、市町村への指導を行っているかどうか。
第3に、市町村の介護保険制度実施に向けて、どのような財政的措置や人的支援を考えているか。
第4に、本県に設置される要介護認定に関する不服審査会及び国保連合会に設けられる苦情処理の機能充実と市町村の相談窓口との連携強化の方策は。
第5に、介護サービスの充実を図るための民間事業者などの育成、参入を促進するためどのような方策を講じようとしているか。
第6に、特に、NPOについては、環境生活部との連携のもと、医療・保健・福祉の諸団体にNPO申請のサポートとして情報提供、相談機能などが必要と考えます。
以上、介護保険を取り巻く諸問題に、健康福祉部長の御所見を伺います。
■ 遠藤明健康福祉部長
高齢者保健福祉計画の平成九年度末の達成状況についてでございますが、特別養護老人ホームが87パーセント、老人保健施設77パーセント、ショートステイ77パーセント、ホームへルプサービス33パーセント、デイサービス43パーセントという状況にございます。
次に、介護保険事業計画への住民ニーズの反映につきましては、計画策定組織に公募等により選出した住民代表委員を参画させることをはじめ、計画内容についての説明会や広聴集会を開催することなどについて、市町村を指導してきているところでございます。
次に、市町村に対する財政的措置や人的支援についてでございますが、県といたしましては、要介護認定が円滑に実施されますよう全市町村を対象にモデル事業を実施いたしましたほか、介護認定審査会委員や介護認定調査員などに対する研修、さらに介護支援専門員の養成を行うなど、市町村を支援しているところでございます。
また、国におきましても、要介護認定事務や制度施行準備経費に対し補助することとなっておりますが、財政的支援の充実につきまして、引き続き国に要望してまいりたいと存じます。
次に、苦情処理体制の強化についてでございますが、要介護認定に関する不服申立に対する審査や国民健康保険団体連合会が行う苦情処理機能の詳細は、現段階では国から示されておりません。
平成11年3月ごろに示される予定の政省令等を踏まえまして、関係機関とも十分協議の上、適正な不服審査や苦情処理事務を行ってまいりますとともに、市町村相談窓口との連携の在り方について検討してまいりたいと存じます。
次に、民間事業者などの育成・参入促進方策についてでございますが、在宅福祉サービス民間事業者連絡会議を開催し、行政と民間事業者との連携の強化を図っているところでございますが、今後、さらに市町村のサービス基盤の整備方針や民間事業者の県内での活動意向等について調査を行い、必要な情報を市町村及び民間事業者の双方に提供するなどいたしまして、民間事業者の参入を促進してまいりたいと存じます。
次に、NPO申請のサポートについてでございますが、NPOにつきましては、特定非営利活動促進法により法人格を取得し、運営基盤の強化を図り、長期的に安定したサービスを提供されますことが期待されておりますので、関係部局と連携しながら、適宜適切に情報提供や相談などの支援を行ってまいりたいと存じます。
(2)口腔ケアについて
■ 武正
健康は、かむところから始まると言われ、まして、寝たきりのお年寄りの口の中を清潔に保つこと、あるいはかみ合わせ、そして義歯の調節などが本人の回復にとって欠かせないと言われております。
そこで、県内65地区の介護認定審査会に何人の歯科医師か、衛生士がいるのか、お聞きします。
過日、ケアマネージャーの試験には6,501人の受験者があり、歯科医師が71名が受験しましたが、歯科衛生士の受験者は、それを上回る83名でした。
歯科衛生士が介護保険の口腔ケアにより積極的に参加するよう歯科医師会、歯科衛生士会に働きかけることについて、御所見を伺います。
今回、2,888人のケアマネージャーが合格しましたが、今年度始まる実務研修に、県、市町村社会福祉協議会でのホームへルパー養成講座に口腔ケアを積極的に取り入れることについてのお考えを伺います。
■ 遠藤明健康福祉部長
県内65地区の介護認定審査会の委員として346人が委嘱され、このうち歯科医師が43人でございますが、歯科衛生士はおりませんでした。
次に、介護保険における歯科衛生士の口腔ケアへの参加についてでございますが、平成11年度に実施する第2回試験に向けて、歯科衛生士を含む幅広い職種の方々が受験されますよう、介護支援専門員の役割などについての広報や職能団体を通じた情報提供などに努めてまいりたいと存じます。
次に、介護支援専門員実務研修に口腔ケアを取り入れることについてでございますが、ケアプランは、一人一人の高齢者の身体的特性や精神的な特性に配慮して作成する必要がございますので、ケアプラン作成演習の中で、口腔ケアの面も含めました幅広い知識の習得が図られますよう努めてまいりたいと存じます。
また、ホームへルパー養成研修における口腔ケアにつきましては、既に実技講習のカリキュラムに含まれておりますが、今後、講師の選定等に配慮し、研修内容が充実したものとなるよう努めてまいりたいと存じます。
(3)医療法人認可の弾力化について
■武正
県医療審議会では、医療法人の認可に1年間の実績を問うております。医療サービスの提供並びに経営の安定化などを考えるとき、東京都と同じく、開院と同時に医療法人認可申請ができるようにすべきと考えます。もちろん、必要病床数を決めた県地域保健医療計画の適正な実施が前提となることは言うまでもありません。
以上、健康福祉部長の御所見を伺います。
■遠藤明健康福祉部長
医療法人の設立認可申請に対しましては、医療法に基づき、埼玉県医療審議会の意見を聴かなければならないこととされております。
本県におきましては、県医療審議会から医療法人化の主な目的が経営基盤の安定化にあるため、1年程度の経営実績を調査、審議した上で判断したいとの意見をいただいており、これに基づいて指導を行っているところでございます。
県といたしましては、御指摘の点について医療審議会に報告し、その取扱いについて、改めて御検討をお願いしてまいりたいと存じます。
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