1998年12月8日
教育問題について
(1)中途退学者の現状と中途入学について
■武正
昨年末、知人から県立高校への中途入学の可能性を尋ねられました。中途退学者の数が大変多いことに驚くとともに、中途入学は、両親の転勤によるものか、いじめが原因のものしか受け入れないと聞き、やむを得ず断念しました。知人のお子さんは、ちょっとした事件を起こし、私学を退学になったのですが、反省もし、もともと素直でしっかりした子なので、別の私学に転入していきました。
もうちょっと弾力的な対応がとれないものか、矛盾を感じた次第ですが、平成九年度の中退者の総数と在籍者数に対する割合、特に、中退者の多い高校では、学校全体と学年でのそれぞれの割合をお聞かせください。また、中途入学希望者に対する方針と今後の展望を教育長に伺います。
■桐川卓雄教育長
平成9年度の県公立高等学校の中途退学者数は4,365人、在籍者数に対する割合は2・86パーセントとなっております。
特に、中途退学者の多い県立高等学校におきましては、1学年では22・41パーセント、2学年では4・93パーセント、3学年では3・78パーセントでございまして、学校全体では12・02パーセントとなっております。
また、他校からの中途入学、いわゆる転入学でございますが、近年、保護者の転勤だけでなく、いじめ等による学校不適応や家庭の事情などによって、入学後に学校を変わりたいという生徒が増えてきております。
各学校におきましては、このような生徒に対しましても、事情をよく聞き、転入試験を行うなどにより一層柔軟に対応し、受入れに努めるよう引き続き学校を指導してまいりたいと存じます。
(2)専修学校、各種学校の振興について
■武正
過日、浦和市内にある浦和美術専門学校の文化祭に伺いました。不登校の子供たちを受け入れている同校では、美術という切り口から様々な生徒の個性を尊重した教育を行っています。文化祭では、そうした美術作品をはじめとした展示とともに、演劇も発表されていました。長いセリフを暗記し、堂々とそれぞれの役柄を演じる子供たち。大学進学を希望する生徒は大検試験を受け、入試にチャンジしていくとも聞きました。
授業中じっとしていられず、ピョンピョン跳ねる生徒、あるいは九九ができない生徒が残念ながらいることを、ある県立高校の教師の方が話してくれました。基礎学力の不足のまま、とにかく進学をという現状が中途退学者の急増と密接な関係があると思われます。
そうしたとき、こうした専修学校、各種学校の振興について、総務部長に御所見を伺います。
■ 古橋光弘総務部長
専修学校、各種学校の特色は、高等学校などと比較して、社会の変化や教育ニーズに柔軟に対応できること、教育内容が多種多様であること、また、専門技術、技能の修得を重視した教育を行うことなど、実践的な教育を展開できることであります。
埼玉県内には、現在、専修学校、各種学校が149校設置されており、明日の埼玉を担う約3万人の生徒が学んでいるところでございまして、県といたしましても、これらの専修学校、各種学校の一層の充実が図られますよう、引き続きその振興に努めてまいりたいと存じます。
(3)県立高校の再編について
■武正
県立高校の再編について、それぞれの学校の特色を出せるよう、また、学校長のリーダーシップが発揮できるような再編について、教育長の御所見を伺います。
■ 桐川卓雄教育長
これまで時代の要請や社会の変化に対応するため、総合学科や全日制単位制高校を設置するとともに、生物・環境系総合高校や芸術系総合高校など特色ある学校づくりに努めているところでございます。
お話にございました各県立学校の特色化につきましては、本年五月に民間の有識者などからなる県立高校将来構想懇話会を設置し、現在、様々な角度から検討をされているところでございます。
今後、この報告を踏まえ、各学校が特色ある教育活動を展開できますよう、21世紀の高校教育改革に努めてまいる所存でございます。
また、学校長のリーダーシップが発揮できるような再編につきましても、それぞれの学校がそれぞれの特色を出すためには、教職員の意欲を最大限に引き出すような学校運営を行う必要があり、校長のリーダーシップがますます大切であると考えますので、今後、校長の権限強化を図るなど、質的充実に一層努めてまいりたいと存じます。
|