1999年9月29日



1 県政の基本問題について

(1)人口問題について

武正
 本県は、これまで、日本一の人口急増県でありました。人口も間もなく700万人に迫ろうとして います。特に、急増期の昭和45年から50年には年間20万人が増え、高度成長期からバブル 期まで一貫して、人口が増えるのは当たり前。その人口の伸びに、今、変化が生じようとしてお ります。 

 1つが、本県統計では、昭和38年以降初めて社会減、すなわち、転入者よりも転出者が多いこ とを平成7年記録しました。また、昭和62年に83,750人だった転入超過数が、平成4年には 44,849人、7年には22,000人、平成10年には6,077人となりました。このまま推移すれ ば、やがて転出超、すなわち社会減に転じると考えられます。

 日本一の人口増加率も、平成6年、滋賀県、沖縄県に次いで第3位を記録し、増加数では神奈 川県、愛知県に抜かれています。
 このことは、あさひ銀総研の「SAITAMA NOW」7月号の巻頭言でも取り上げられました。す  なわち、「減少続く埼玉県の人口増加数、社会増加数減少の要因を探る」という表題の下、

1 平成8年から東京圏は転入超過に転じている。
2 東京圏の一角を占める埼玉県の転入超過数は減少傾向にある。
3 本県の流入流出数の上位は東京圏の東京、千葉、神奈川であるが、これまで本県の転入超  であったのが、平成9年には神奈川県、千葉県に対して転出超に、東京都に対しては転入超  数の減少傾向がある。
4 本県の転入超の原因であった地価の比較優位が薄れている。土地の値段が安いということの優位性が薄れている。
5 県内での就業者数が減少していることも、本県の社会増加数が減少している要因である。
との分析から、果たして、これまで以上の人口増加が本県に有益か否かという定義と、人口増加が本県の発展の要因であることを否定しないならば、魅力的な雇用の場の創出が転入者増の鍵であると結論付けています。

 私も、初当選の平成7年度の県国土利用審議会で質問を行ったことを思い出しました。すなわち、農地転用による大規模宅地開発やゴルフ場などの地域変更に関して、農地を501ヘクタール、森林を468ヘクタール減少させるとの審議中、果たして埼玉県には、人口の増加あるいは減少など、人口をコントロール、管理しようという考えはあるんだろうかという質問を行いました。議事録をひもとくと、前向きな考えを伺うことはできませんでした。

 東京に東京にと集まった人があふれるように埼玉県に転入してきました。
 私の父もその一人でありまして、昭和46年に浦和市に転入してきました。父は、田んぼを埋め立てたところに建てられた戸建ての建売住宅の一軒を購入し、都内に通勤をしました。
 そのころの埼玉県は年間20万人が増え、浦和市も年間予算の約4割は教育費ということで、学校建設に追われておりました。そういう時を県も県内市町村も経てきましたので、人口は黙っていても増えるのは当たり前という感覚が強いのはやむを得ないと考えます。

 そこで伺います。
 第一に、県の5か年計画、長期ビジョン、第3次県国土利用計画では、2000年の人口を707万人、2010年の人口を768万人としていますが、それぞれ、このままの推移でいっても、来年で10万人、2010年で40万人、当初の予想を下回ると思われます。この人口の伸びが当初の予想を下回っていることに対して、5か年計画、長期ビジョン、国土利用計画の見直しをするべきと考えますが、いかがでしょうか。
 特に、人口の伸びの減少傾向をどのように反映させるのか、減少傾向に対する対策について、また、それを反映した場合の現長期ビジョンとの整合性について、それぞれ総合政策部長にお伺いいたします。

 第二に、両計画とも、人口予測の基を厚生省の人口問題研究所のものを使っていると思われます。しかし、コーホート要因法の採用を行っているのに、なぜこれだけのかい離が生じたのかについての御所見と、コーホート変化率法により市町村の推計人口を出し、その市町村の推計人口を積み上げて県の将来予想の人口を出す、このやり方との比較について御所見をお伺いいたします。
 また、県統計業務の充実の必要性について、総務部長にお伺いをいたします。
 第三に、市町村の振興計画での目標人口、これを合計いたしますと、2000年で約786万人ということになってまいります。

 実際より90万人多くなりまして、各市町村とも、振興計画では、できるだけ人口を増やしたいということで、まあ大目に目標を掲げてきたと思うんですが、このコーホート変化率法の導入により市町村の人口予測を立てるということについて、県からの指導と、そして、県の将来人口が今度下方修正を迫られる中で、市町村振興計画の見直しについての御所見を総合政策部長にお伺いいたします。

青木 信之総合政策部長 
お話にございましたように、本県の人口の伸びはかつてほどの勢いがなく、次第に伸び率が下がる傾向にございますが、それでも、平成10年度の推計人口は、前年に比べ4万人を超える人口増となっているところであります。

 しかしながら、お話の5か年計画をはじめとする各種の計画の基礎となる人口見通しについては、計画策定時において、当時の経済状況を念頭に置き、景気の低迷の長期化や東京圏における地価の面での埼玉の優位性の低下などについて十分予期せず、毎年25,000人程度の社会増を見込んでいたことなどによりまして、実際の推計人口との間に、平成10年度で5万人程度のかい離を生んでいるところでございます。事務担当者として率直に反省しております。
 このように、人口の伸びが計画の見込みを下回っているわけでございますが、長期ビジョンや国土利用計画は、平成22年までの相当長期の計画でありまして、施策展開の長期的な方針として、あるいは土地利用の方向性といった点につきましては、当分の間、維持していくべきものと考えております。

 また、5か年計画につきましても、計画に盛り込まれました施策が人口と連動していないものも多く、また、連動しているものにつきましても、施策の目標に大きな影響を及ぼすものではないことから、大変厳しい財政状況の下ではございますが、各部局と十分連携の上、計画の目標達成に向けて、できる限りの努力をしてまいりたいと考えております。

 さいたま新都心の街びらきや地下鉄7号線の開業等、人口が増える要素も多くありますが、武正議員御指摘のとおり、全体として人口の伸びが緩やかになるという状況を正面から受け止めるべきものと考えておりまして、特に、知事が常々申し上げておりますように、県内各地域において魅力ある就業の場を確保し、県民の方々が豊かな生活を送れるよう、市町村とも連携の上、職・住・遊・学の諸機能を備えた地域整備の推進が図られるよう努力していかなければならないと考えております。

 次に、市町村の振興計画についてでございますが、この振興計画におきましても、それぞれ人口の見込みを掲げております。これは単なる予測値ではなく、基本構想に定められた将来像や、計画しているまちづくりが行われた場合の人口規模を示すなど、様々な要因を加味し推計を行っていることから、現実の数値とは若干の乖離が生じることは否めないところでございます。

 県といたしましては、市町村総合振興計画策定の手引きを作成し、コーホート要因法をはじめとする人口推計方法を紹介してきているところでございますが、武正議員御提案のコーホート変化率法についても、その1つとして紹介し、今後、各市町村の振興計画の改定に当たり、社会的な状況や市町村の諸施策を十分に勘案し、多くの方々が納得できるような数値を掲げるよう助言、指導してまいりたいと存じます。

岡本 捷介総務部長 
まず、5か年計画等県計画の人口推計と現在人口との乖離についてでございますが、5か年計画等の人口推計では、国立社会保障・人口問題研究所がコーホート要因法を使用した県別の将来人口推計のうち、合計特殊出生率及び死亡率等の値を採用いたしますとともに、県で調査いたしました人口移動率など、補完的な数値を当てはめて推計したものでございます。

 しかしながら、合計特殊出生率や人口移動率が、ただ今総合政策部長がお答えしましたとおり、社会経済状況の影響を大きく受けたことから、当時の予測を下回り、推計人口との間にかい離が出てきたものと存じます。

 また、コーホート変化率法により市町村の推計人口を積み上げる法との比較についてでございますが、コーホート要因法は、都道府県の将来人口を推計する場合に使われている方法でございまして、人口、出生率、それから生残率、さらに移動率の要因ごとに仮定値で推計するものでございます。

 一方、変化率法は、平成9年に財団法人東京情報研究開発センターが全国の市町村の将来人口を推計したときに用いた方法でございまして、人口、死亡、転入転出の変化率によりまして推計するものでございまして、2つの方法につきましては、推計に用いる要因の違いはございますが、将来人口の推計を行うにはいずれも有効な統計技法とされております。

 次に、県統計業務の充実の必要性についてでございますが、人口をはじめとする各種の統計は、国や県・市町村の政策立案などの基礎となりますと同時に、県民の方々が様々な場面で活用していただく上におきましても大変重要なものでございます。
 県といたしましても、国勢調査などの国の指定統計業務だけでなく、埼玉県住民移動月報調査や産業連関表を作成するなど、県独自の統計業務を行っているところでございますが、今後とも、正確で迅速な調査結果の提供や県独自の情報収集を積極的に推進いたしまして、県民の皆様にも十分活用していただくことができますよう、統計業務の一層の充実に努めてまいりたいと存じます。



(2)雇用創出について

武正  
 前述したように、本県の魅力を、東京に近いわりに、地価が安いという以外に増やさなければ、社会減がやがて自然増より多くなり、埼玉県の人口が減ってしまうかもしれないという危惧があります。そこで、雇用創出の面から見たいと思います。 

 県内の店頭公開上場企業数は、本年66社、神奈川県の175社、静岡県の71社の後塵を拝しております。ベンチャー企業への取り組みを示す指針としての開業率も、ほぼ全国平均でございます。本年7月に県がまとめた通勤・通学者モニターに行った調査によると、「在宅勤務に興味」が60パーセント超、「県内で働きたい」が64.1パーセントとなっておりまして、よく言われるSOHO、スモールオフィス・ホームオフィスなど、多くの人材が、この住んでいる埼玉県でありますけれども、その活躍の場、あるいは魅力的な職場、働く場がもっともっと、あったらいいのになということが、よく言われるところでありまして、これが本県の課題ではないかなと考えるわけであります。

 ちょうど、今年3月に、5か年の目標であります彩の国労働産業プランがまとめられました。60歳から64歳の有業率を、今の53パーセントを75パーセントに、開業率、先ほど触れましたが、現3.6パーセントを5年後4.6パーセント、店頭公開上場企業数を5年後には100社にしよう、などの数値目標が立てられております。まず、このプランの進ちょく状況と、プランに盛り込まれている緊急アクションプランの取組についてお伺いをいたします。

 また、9月13日には、雇用確保・景気安定埼玉会議から要望書が知事に提出され、
1 環境ビジネスの育成
2 介護保険ビジネスの育成
3 職業能力開発・就業支援
などの要望がまとめられています。

 環境ビジネスの育成については、昨年発表された県の環境白書、200ページのうち、わずか半ページしか環境ビジネスの記載がなかったように、環境生活部と労働商工部の密接な連携が必要であり、来年の県環境基本計画の見直しでの明確な位置付けが必要だと考えます。
 同じく健康福祉部と労働商工部の連携が必要なのが、介護保険ビジネスであります。介護保険ビジネスについては、茨城県の経済効果調査によると、公共事業と比較した場合、例えば1兆円の投資をした場合の経済波及効果は変わりませんが、雇用効果は、公共事業が20万人、福祉の場合は29万人と、経済効果は同じでも雇用効果が福祉の方がまさっているということも聞いております。

 職業能力開発・就業支援については、法律の改正から職業紹介業の原則自由化も打ち出されているなかで、職業関連ビジネスの育成強化が必要と考えます。
 以上のように、魅力的な雇用の場を創出する施策を各部局の縦割行政を乗り越えて、大胆に真剣に、力強く取り組む必要があります。

 彩の国労働産業プランについては、労働商工部長に現状と今後の取り組みについての御所見を伺い、県雇用確保・景気安定埼玉会議の提言については、現状と今後の取組について、それぞれ、環境生活部長、健康福祉部長、労働商工部長に伺います。

 さらに、昨年11月、県国際経済交流懇話会や、今年3月にできた埼玉大学地域共同研究センター支援組織検討会、今年7月に彩の国工場の振興協議会をつくったことなどは、海外に積極的に進出している経営者、産学共同に関心のある経営者と研究者、製造業に力を入れている経営者といった、やる気のある人たちのネットワーク化であり、時宜を得た施策と高く評価したいと思います。

 加えて、県内の49工業団地のうち38工業団地、1,836社には、37の工業会、1,715社が存在します。それぞれの工業団地によって開所時期や入居者の構成には種々のものがあるにしても、工業団地入所者としてのそれぞれ県への要望や、それぞれが抱える問題点など、共通するものもあり、また、売れ行き不振も伝えられる工業団地については、先輩入所者からのアドバイスが売れ行き推進につながったりすることも考えられ、ぜひとも37工業会の横の組織化をお願いしたいと考えますが、御所見をお伺いします。

 さらに、県内に6万人を超える技能士がいらっしゃいますが、技能士の資格を取っても仕事にあまり影響がないという不満を耳にします。この技能職の評価を高める方策の検討について、以上、労働商工部長にお伺いをいたします。
 加えて、県内NPO法人認証件数をお聞きした上で、雇用の場の創出が期待されるNPOの現状と今後の展望を、本年1月検討委員会から提言のあった市民活動サポートセンターづくりの現状の取組も含め、環境生活部長にお伺いいたします。



(3)県の財政問題について

武正  
 昨年、県議会に提出された試算によると、平成12年度予算策定に当たっては1,500億円の財源不足としております。
 平成11年度予算策定に当たっては、当初の収支不足1,400億円のうち、編成過程を通じた収支改善額670億円を除いた730億円を基金の繰り入れでしのいだものの、その結果、基金残高は549億円となりました。

 昨年同様に基金を全額繰り入れても、残り951億円の収支の改善が必要でありまして、平成10年度の経常収支比率99.1パーセント、県債残高は平成11年度当初予算2兆3,203億円となりまして、地方債の格付けが言われ始めてもおります。
 まさに、財政再建団体転落の一歩手前とも言える状態と考えます。任せられるもの、委ねられるものは、すべからく民間や市町村に、原則任せ、委ねるべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、県が進めている中期財政計画の見直しの概要について伺います。
 昨年度から進めている事務事業評価システムと、今年度から始めている施策評価を、それぞれ中期財政計画の見直しにどう反映させるのか、伺います。

 一般質問1日目には、バランスシートの導入について前向きな発言がありました。県の財政状況が一目で分かるバランスシートの導入は、県民の理解を高めるためにも是非とも必要であります。
 特に必要なのが、道路、橋、公共の建築物にかかわる補修費、改修費を、減価償却の観点から費用計上することができないかということについての御所見を伺います。
 また、景気浮揚の立場から、特に道路改修を中心とした公共事業には、せっかくきれいにしたのに何度も掘り返しているなどの批判が強いのが実態であります。また、公共の建築物には、補修費、改修費の積立てという概念が欠如しています。

 そういう意味では、一般質問2日目に、やはり前向きな答弁のあったPFIについては、法案成立を受け、本県でも積極的な対応が必要と思います。
 よく挙げられる例は、横浜アリーナでありますが、東京都では、PFIによる特養ホーム建設、三重県が東紀州地域事業にPFIを、福岡市が空きびん、ペットボトルリサイクル事業を自治体支援一切なしのPFIで行うことをそれぞれ発表しています。

 通産省の今年度予算でも、PFIを活用し、廃棄物発電装置やリサイクル関連施設の整備を行う事業者に対する補助により、環境産業を新しいインフラ整備手法で育成しようとしています。
 PFIのメリットとして、事業主体が民間会社、出資目的が出資に見合う利益、ファイナンスは事業の評価保証、リスク管理は事前管理とされているのに対しまして、第3セクターが、それぞれ、官民共同会社、受注機会の手段、自治体の保証、事後的対処としていることの問題点をカバーするものとされます。
 以上、PFIの導入を含め、武田副知事の御所見を伺います。

武田茂夫副知事 
 任せられるものは民間や市町村に原則任せるべき、についてでございますが、この厳しい財政環境にある今こそ、県民の視点に立った県行政の実現、自立した埼玉の実現に向けての抜本的な改革の好機としてとらえ、知事からの指示を受けまして、現在、県行政の徹底したスリム化による行政コストの削減や、県行政の仕組みの改革の検討を進めているところでございます。

 民間や市町村との関係につきましては、何事につけても県行政が幅広く関与していくという考え方を改め、例えば民間との関係におきましては、民間と競合するサービスからは撤退をし、民間の事業機会を拡大しつつ、行政の簡素化を図る、市町村との関係におきましては、地域に密着したサービスは市町村に任せ、自立を支援する方向に県行政を転換する、さらには、公共的な役割を担うNPOやNGOとの協調、連携による新しい行政の進め方も重要であると考えており、これらの点につきまして、具体的な対応策の検討を急いでいるところでございます。

 次に、中期財政計画の見直しの概要についてでございますが、平成9年に財政中期計画を策定して以降、財政状況が厳しさを増しておりますことから、現在の歳出超過の財政構造を徹底的に見直し、新しい発想による施策展開に向けた全庁的な総点検を実施しているところでございます。
 具体的には、人件費の抑制など自主努力を徹底し、さらには、公共事業や県費補助金などにつきましても、例外なく厳しく見直しを行いますとともに、県税徴収率の向上や使用料・手数料の適正化、県有財産の売却といった歳入確保策につきましても、でき得る限りの方策を検討しているところでございます。

 次に、評価制度を中期財政計画の見直しにどう反映させるのかについてでございますが、評価制度の導入は、職員が事業を原点から見直すきっかけとなり、また、人件費を含めたトータルコストで施策をとらえる意識が定着してきたという点で大きな効果があったものと考えておりまして、昨年から導入しました事務事業評価制度、及び今年度から新たに着手しました施策評価制度ともに、今後、施策の見直しと重点化に生かしてまいりたいと考えております。

 次に、バランスシートについてでございますが、バランスシートを導入し、道路や橋、公共の建築物にかかる補修費、改修費の減価償却の観点から費用計上することは、施設の維持管理費や改修費など、将来の負担となる経費をコストとして意識できる点などから、大変示唆に富んだ御提言であると存じます。
 既存の道路や橋などは、その数量が膨大であり、建設後に相当の補修や改良が加えられているなど、費用計上するに当たっての課題もございますが、国の検討内容も踏まえながら、今後のバランスシート導入に向けての作業の中で検討させていただきたいと存じます。
 次に、PFIの導入についてでございますが、PFIは、行政運営にリスク概念や採算意識の導入を図りつつ、質の高い県民サービスの提供も可能になる優れた手法であると認識いたしており、積極的にその導入の検討を進めてまいりたいと考えております。



(4)市町村合併について

武正  
 県市町村合併市史をひもとくと、昭和30年のいわゆる昭和の大合併の様子をつぶさに見ることができます。昭和28年の町村合併促進法の施行を受け、県合併促進審議会が設立され、県内8郡に地区町村合併推進協議会を設け、町村にも合併推進協議会設置を勧奨しました。
 県合併促進審議会は、昭和29年2月、県内市町村の合併パターンを試案として作成して、ポスターにして、県内の合併運動の盛り上げまで図りました。
 これが、そのときのポスターであります。県内を81の市町村で統合しようと。これが、県が試案としてつくったものを県内に張り巡らし、そしてまた、映画会とか、様々な場面を通じて合併促進を促したのでございます。

 昭和31年に、当初、323市町村を81市町村にしようという試案がですね、昭和31年9月30日には109になりました。政府は、全国1万の市町村を3,000余りにしようという計画が、町村合併促進法失効の昭和31年9月までに、おおむね完遂したことを受けまして、同年6月、新市町村建設促進法が施行され、県でも、今後5か年の新市町村の建設を積極的に推進するとともに、新市町村建設促進審議会が設置され、未合併市町村について町村合併計画を練り直しましたが、適正規模町村ということで、勧告解除をしたものと、北足立郡美笹村、あるいは入間郡元狭山村及び北埼玉郡南川原村については、協議が整わず、勧告を行いませんでした。
 昭和34年4月1日には95になり、その後、今日の92市町村になりました。

 さて、昭和30年の大合併以降は自主的な合併に任せたため、最近10年間の市町村合併は10件にすぎず、全国の3,229市町村になっています。
 昭和30年当時との、交通手段の発達による住民の移動距離の拡大と通信網の発達に加え、全国市町村の半数が1万人以下の自治体で、少子・高齢化の進展と介護保険の導入などへの財政的対応、地方分権の受け皿としての行政基盤の強化の要請などから、各政党からの市町村合併推進の政策発表、今国会での市町村合併特例法の改正等、国主導による合併推進が進められようとしています。

 一方、全国町村会は、地域住民の意思を十分尊重し、合併を強制することのないようにとの要望書を、本年、政府に提出いたしました。
 本県にも、8月6日付けの自治事務次官名での指針が届き、市町村の合併の推進についての指針が示されました。それによると、平成12年中のできるだけ早い時期に市町村の合併についての要綱を作成することとされています。要綱には、市町村合併のパターンや、県による市町村への支援内容も含まれております。

 9月に、県議会地方分権対策特別委員会で視察に行った徳島県では、既に、合併パターンを複数作成し、1冊の冊子にしておりました。
 県内を東部、南部、西部の3圏域に分け、それぞれを、東部圏域は、4市町村、あるいは8市町村というような形で、2つのパターンを東部、南部、西部とつくっておりました。
 一方、都市型サラリーマンの多い本県の県内市町村の財政力指数は全国平均より高く、さいたま新都心建設をきっかけとする3市合併の促進等のように、何かのきっかけがなければ、自主的合併が進みにくいという本県の特徴があります。

 しかし、前述したように県の人口の伸びに変化が生じていること、雇用の場の創出など、思い切った魅力創出が必要なこと、県財政が危機的な状況にあるため、県でなければできない業務に特化するには、市町村へのより以上の権限移譲が必要であり、その受け皿が整備されるべきこと。
 以上を踏まえ、市町村合併を大胆に進める必要があると思いますが、御所見を伺います。
 また、国からの要綱作成への前向きな対応を含め、以上、知事の御所見を伺います。

土屋 義彦知事 
 本県における合併の歴史を踏まえて御質問をいただきましたが、昭和30年代の大合併以来、交通や通信手段の発達に伴う日常生活圏の拡大や、社会経済情勢の大きな変化にもかかわらず、40年代以降、わずか2件の合併が行われただけという状況にございます。
 戦後50年以上が経過した今日、我が国は社会全般にわたって構造的な改革を迫られており、また、少子・高齢化の進行や国・地方を通じた厳しい財政状況など、地方行財政を取り巻く環境も大きく変化し、なお一層効率的な行政体制の整備が求められております。

 地方分権一括法の成立によりまして、国と地方が対等の関係になるという地方分権の時代を迎え、市町村間の協力により広域的な対応だけではなく、地域の一体的な整備や行財政基盤の強化、あるいは、また、行政サービスの充実を図るため、新たな合併の必要性が生じてまいっており、市町村合併は、避けて通れない、私は重要な課題であると考えております。
 国としても、こうした考え方に立ちまして、知事から関係市町村への合併協議会の設置勧告や、合併市町村に対する強力な財政支援等を盛り込んだ合併特例法を改正を行うとともに、都道府県に対しましては、具体的な市町村の組み合わせを示した合併パターンを含む要綱の作成を求めてきており、少しでも合併をしやすい環境を整備し、市町村合併の推進を図ろうとしているところであります。

 私としても、地域住民自らが将来のまちづくりについて真剣に議論をし、多くの地域で市町村合併に向けた取組がなされることを期待しているところでもございます。
 もとより、市町村合併は、住民の日常の生活や地域の将来に多大な影響を与える重要な事項でございます。市町村が地域住民の皆様方の意見を十分尊重して自主的に進めることが極めて大切なことであります。

 県といたしましては、今後、少しでも市町村合併の議論が進められるよう、専門の委員会を設置いたしまして、本県における市町村合併の推進方策や県の役割などについて様々な御意見を幅広くお伺いしながら、市町村合併が一層推進されますよう取り組んでまいりたいと存じます。  



(5)地方交付税について

武正  
 本県の一人当たりの行政投資額は、全国最下位であります。また、一人当たりの投資的経費は、第1位の島根県の約6分の1であります。さらに地方交付税も、平成11年度当初予算額では、全国で7位の2,600億円ですが、一人当たりに直すと43位で、同じく第1位の島根県の県民の7分の1であります。
 地方交付税の役割として、全国の自治体の財政力の格差の解消という役割があるため、これまではやむを得ないと思われてきたものの、地方交付税法の一部改正により、地方公共団体は、地方交付税の算定方法に関して自治大臣に意見を申し出ることができるとされています。

 そこで、前述したような本県の人口とかかわることですが、人口が増えることがどのように交付税に反映するのか、はなはだ分かりにくく、少なくとも、全国一の増加率であった本県ですが、地方交付税額にあまり変化がなかったことも確かであります。

 地方に厚く、都市部に薄いとされる地方交付税額でありますが、その算定方法について、人口要件がより加味されるべきではないかと考えますが、法改正を経ての御所見を伺うとともに、都市部他県とともに自治大臣への意見を申し入れることについて、土屋知事の御所見を伺います。

■土屋義彦知事 
 地方税収入に多くを期待でき得ない現在の厳しい財政環境におきましては、貴重な一般財源であります地方交付税の充実、確保を図ることは、従来にも増して財政運営上非常に重要な課題となっております。
 そのために、私自ら先頭に立って、地方交付税総額の安定的確保に加えまして、本県の実情を踏まえた算定方法への改善につきましても、国に対しまして機会あるごとに要望活動を行ってまいりました。

 その結果、一定の制度改善が実現し、平成11年度におきましても、当初予算額を大幅に上回る地方交付税額を確保したところでございます。
 しかし、人口増加の影響や高い地価水準によりまする財政需要の増大など、大都市周辺地域の財政需要に対しては、現状においては、なお十分には反映されていないものと認識をいたしております。

 今回の地方交付税法改正は、地方公共団体の意見が反映される仕組みを制度化することによりまして、地方税財源の充実確保に向けた1つの制度的保障がなされたものでございます。
 私は、地方交付税の算定方法への改善と併せて、地方消費税の地方への1パーセントから2パーセントの増額について、政府に対しまして強く訴えてまいったところでございます。

 私は、6団体の代表とともに、小渕総理をはじめといたしまして、自治大臣等々、関係大臣に対しまして、地方自治体は、財政的には今、瀕死の状態にあります、今カンフル注射を打たなかったならばもちませんよと、地方自治体は、権限だけ与えられても財源を与えてもらえなかったならば地方の発展はあり得ないということを強く訴えてまいっておる次第でございます。
 私は、本県の財政基盤をより強固なものとし、21世紀に向けた自立した地方自治を確立するために、これを機に、改めて地域の実情に合った交付税の、御指摘のとおり算定方法への改善と併せて、消費税の1パーセントアップに対しましても、国に対しまして、強く要望をしてまいりたいと存じます。  



(6)県税収入減について

武正
 先日発表された本県の7月末時点の課税実績によると、税収の約3割を占める法人2税が、前年同期比14.6パーセント減と大幅に下落、昨年度の所得減税の追加減税の影響により見かけ上税収が伸びている個人県民税を除くと、158億円余り、前年同期比6.2パーセントの減少となり、今年度税収、6,100億円を数百億円下回るのではないかという危惧がされてきました。平成11年度への滞納繰越額とともに、御所見を伺います。

 ここで、県税である自動車税について伺います。社会増の多い本県ゆえに、他都道府県からの転入者には、自動車ナンバーをそのままで済ませている人が多くいると言われています。さらに、一時、若者を中心に、埼玉ナンバーを嫌がり、東京ナンバーや神奈川ナンバーを取得する傾向も見られました。

 ナンバーを変更しない理由として、県内陸運支局、検査登録事務所が月曜から金曜までの8時45分から11時45分まで、午後1時から4時までの、計6時間しか受け付けていないことも指摘され、受付時間の拡大、土日への拡大により、ナンバー登録変更が容易になると思われます。さらに、併設する自動車税事務所での業務代行も含め、運輸省への要望、権限移譲について申し出ることについての御所見を伺います。

 転入者と転出者の比率を、本県ナンバーのうち県内で適正な登録がされていないと期待される72,000台に掛けて、78,000台が本県に転入している県外ナンバーの台数として試算すると、県内ナンバーへの登録変更による税収増は約29億円となり、平成10年度の法人事業税や個人事業税の未済額に匹敵する規模となるとされるからであります。
 以上、武田副知事の御所見を伺います。

武田茂夫副知事 
 7月末時点の課税実績は法人2税が大幅に落ち込んでおりまして、その状況から今年度の県税収入を見込みますと、概ね200億円から300億円の減収が見込まれるところでございます。
 また、平成10年度末の滞納額は350億円余りとなっておりまして、いずれも、極めて憂慮すべき事態であると認識しております。

 県といたしましては、未届け法人の把握など、可能な限り課税の推進に努めますとともに、県税収入の確保に向けて、滞納額の約50パーセントを占める個人県民税の市町村との共同徴収の拡大を図るなど、滞納額を圧縮する方策について検討を進めているところでございます。
 次に、陸運支局での受付時間の拡大等についてでございますが、国の関係省庁で構成する検討会におきまして、去る7月に、自動車保有関係手続の改善に関しての中間報告が出されたところでございます。その報告では、短期的施策として、登録申請の郵送での受け付け、車検証やナンバープレートの郵送による交付、長期的施策として、オンラインによる申請、税金等の電子決済を行えるようにするとしております。

 武正議員御指摘のとおり、本県においては、適正な登録をしていない県外ナンバーの自動車が相当数あると推定されます。これらの改善策が実現されますと、受付時間の問題等も解消し、それに伴い登録変更等が容易となり、自動車税の増収も期待できるものと考えております。
 県といたしましては、この中間報告の早期実現に向け、国に対し必要な協力、働き掛けを行ってまいりますとともに、今後とも、本県ナンバーへの登録について県民へのピーアールに努めてまいります。  

島村秀夫労働商工部長 
 まず、彩の国労働産業プランの進ちょく状況でございますが、現在、「がんばる中高年就業支援事業」の推進による中高年齢者の有業率の向上を図ることなど、プランに掲げたそれぞれの数値目標の達成に向けて積極的に取り組んでいるところであり、緊急アクションプログラムにつきましては、彩の国工場振興協議会の設立や企業誘致キャラバン隊の編成など、緊急的な景気・雇用対策を講じているところでございます。

 彩の国産業労働プランにつきましては、御質問にもございました職業紹介業の原則自由化への対応など、新たな施策も積極的に取り入れまして推進してまいりたいと存じます。
 次に、雇用確保・景気安定埼玉会議の提言の扱いについてでございますが、知事から、御提言の趣旨を全庁を挙げて県政に反映させるようにという指示を受けまして、今後成長が見込まれる環境・福祉分野等の事業や求人・求職情報ネットワークの構築などによる就業促進をはじめ、国の緊急地域雇用特別交付金を活用した事業等、緊急的に対応すべき28事業について今議会に補正予算をお願いしているところでございます。
 また、今後、中・長期的な御提言につきましても、庁内関係部局との緊密な連携の下に取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、工業会の横の組織化についてでございますが、工業会は企業の自主的な組織として設立され、それぞれの活動を行っているものでございまして、こうした工業界の組織化を図るためには、何と申しましても各工業会の積極的な参加意欲が不可欠でございますので、今後、工業会の組織化に対する意向の把握に努めてまいりたいと存じます。
 次に、技能職の評価を高める方策についてでございますが、県では、技能者の地位や技能水準の向上を図るため、彩の国優秀技能者表彰をはじめ、青年マイスター表彰、技能振興関係優良事業所・団体表彰を実施しており、また、昨年度、担当部局との協議の下、県発注の営繕工事現場に一級技能者の常駐を義務付ける一級技能士現場常駐制度の適用範囲を拡大したところでございます。
 今後さらに、技能五輪全国大会の開催や国際技能工芸大学の立地などを通じまして、技能尊重気運の醸成を図るなどいたしまして、優秀な技能職への評価が高まりますよう努めてまいりたいと存じます。

■中野健一環境生活部長 
まず、環境ビジネスの育成を環境基本計画へ位置付けることについてでございますが、環境ビジネスの育成は、環境への負荷の少ない持続可能な社会を実現するために大きく寄与するものと認識をしております。

 今後、関係部局とも連携し、お話にございます環境基本計画での明確な位置付けにつきまして、来年度の見直しの中で検討してまいりたいと存じます。
 次に、県雇用確保・景気安定埼玉会議の提言についての現状と今後の取り組みについてでございますが、従来から県では、中小企業者などの環境に配慮した取り組み、例えば廃プラスチックの再生利用などを支援するための資金の貸し付け、セメント工場での廃棄物資源化などの埼玉ゼロ・エミッションの推進、さらには県庁におけるいわゆるグリーン購入などを通じて、環境ビジネスの育成に結び付く取り組みを行ってきたところでございます。
 今後、環境ビジネスは、21世紀の産業として、また、資源循環型社会の実現のためにもますます重要な産業と認識しておりますので、御提言の趣旨を踏まえ、こうした産業の育成に向けた取り組みを促進してまいりたいと存じます。

 次に、県内NPO法人の認証件数及びNPOの現状と展望についてでございますが、NPO法人設立の認証件数は、現在10件でございます。
 ボランティア団体をはじめとするNPO等は、これからの地方分権社会を支える大きな力となり、また、お話のように雇用創出の場としても期待されておりますが、こうした団体は、人的、財政的に小規模の団体が多いのが実情でございます。
 このため、団体の活動基盤の強化を図ることを目的として、彩の国NPO等人材活用サポート事業の実施にかかる補正予算を知事が御提案申し上げているところでございます。
 今後、こうした人材育成や、経営能力強化のためのセミナーなどを開催することにより、NPO等のそれぞれの活動目的が達成されるとともに、新たな雇用創出の場としても発展していくよう支援してまいりたいと存じます。

 市民活動サポートセンター(仮称)につきましては、活動団体への現実的かつ効果的な支援が行えますよう、既存の県有施設の有効活用なども念頭に置き、その機能、施設内容及び管理運営方法などについて検討を進め、NPO等の活性化のための環境整備に努めてまいりたいと存じます。

■大塚健司健康福祉部長 
 雇用確保・景気安定埼玉会議からは、福祉関連の分野における雇用の創出に関しまして、極めて具体的な御提言を頂戴したところでございます。

 このため、今回の9月補正予算案におきましては、御提言の内容を踏まえ、国の緊急地域雇用特別交付金を活用いたしまして、介護サービス企業者への指導員や介護保険制度に関する相談員の派遣事業、中高年離職者等の福祉関係機関への就労支援事業など、福祉関連分野における雇用の創出に努めたところでございます。

 今後におきましても、少子・高齢社会の進展に伴い、介護サービスをはじめ、保健・医療・福祉分野のサービスに対する社会需要はますます増大することが予想されているところでございます。
 このため、県といたしましては、少子・高齢社会の進展に的確に対応した諸施策を実施することにより、雇用を創出し、安心で且つ活力に満ちた地域社会づくりに鋭意取り組んでまいりたいと考えております。