1999年9月29日



2 環境問題について

(1)埼玉県エネルギービジョンのアクションプランの策定について

武正 
 国連環境計画が概況報告をまとめたところでは、温室効果ガス排出増による地球温暖化防止はおそらく手遅れ、京都議定書の目標の達成は難しいとされています。
 特に、一人当たりCO2排出量を2010年までに90年レベルの20パーセント削減することについては、人口予測が40万人下回ると、更に総排出量を54万トン減らさなければなりません。すなわち、エネルギー問題と環境問題が不即不離の関係にあるという考えに基づき、具体的なアクションプランの作成が必要と考えます。 

 アクションプランに欠かせない視点としては、県内でも今後伸びるであろうエネルギー消費量の安定供給確保を、非常災害時も含め、県として状況の把握、対応策を持つ必要があります。さらに、環境問題を見据えたエネルギー消費のあるべき姿として、省エネルギーの推進、コージェネレーションなどの新エネルギーの導入、ごみ工場の廃熱など都市型未利用エネルギーの活用、LPG、天然ガス、電気など、低環境負荷エネルギーへの燃料転換の施策が必要であります。

 アクションプラン策定に当たっては、エネルギー事業者の活用により、十分ヒヤリングを行い、監督官庁に提出している5か年計画などとの整合性をとることが必要であり、県内最終エネルギーの需給の現状把握と、将来の見通しが立てられると考えられます。
 また、技術開発についても、事業者を活用し、例えば平成9年9月定例会で我が会派の野木議員が質問した蓄熱式空調システムの普及など、アクションプラン策定に取り入れるべきと考えます。

 さて、アクションプランを実効あるものにするには、「環境優先」の具現化の目玉に位置づけてもよいのではないかと考えます。具体的な施策としては、既に進められている低公害車の普及促進に加え、新エネルギーの導入・促進、エネルギーの低環境負荷のベストミックス化、高気密・高断熱住宅の普及促進が挙げられますが、あえて県内通過交通の抑制とディーゼル車に対する何らかの規制にも触れたいと思います。
 お隣の東京都が「ディーゼル車NO作戦」を始め、石原知事は条例策定まで考えていることが報じられたからであります。もし東京都を走れなければ、その車は外縁部の本県を通過せざるを得ず、都内への自動車の流入規制まで検討が始まるとすれば、本県もこの問題に真剣に取り組まざるを得ないからであります。

 もちろん、これについては、例えば事業者である県トラック協会などとの連携が必要であります。同協会では、既に低公害車の導入促進についての利子補給事業や、リース料の補助を行い、アイドリングストップの普及啓発、メタノールスタンドの設置運営を行っていると聞いています。
 以上、埼玉県エネルギービジョンのアクションプランをつくることについて、まずは環境生活部長に、エネルギー事業者を所管する労働商工部長には事業者との連携の観点から、それぞれ御所見を伺います。
 また、エネルギー問題と環境問題は不即不離の関係にあるとの認識と、施策を県環境基本計画の見直しに盛り込むことについて、環境生活部長の御所見を伺います。

中野健一環境生活部長 
まず、アクションプランの策定についてでございますが、エネルギー需給の安定化や地球温暖化を防止することを目的といたしまして、平成10年3月に埼玉県エネルギービジョンを策定したところでございます。
 このビジョンでは、省エネルギーの一層の推進と新エネルギーの積極的導入を図るため、民生部門、産業部門、運輸部門などにおける省エネルギー施策と廃棄物発電、コージェネレーションの推進、低公害車の普及など、新エネルギーの施策の展開方法を明らかにしたところでございます。
 このビジョンの策定を受けて、昨年9月に全庁の関係課で構成する埼玉県地域温暖化・エネルギー対策担当者検討会を設置し、ビジョンの具体化に向けた検討を開始しているところでございますので、今後、エネルギー事業者をはじめ、産業部門、運輸部門などとも十分連携を図りながら、ビジョンの推進に努めてまいります。

 御提案のアクションプランの策定につきましては、このビジョンを推進する過程で、必要性などを含めて検討してまいりたいと存じます。
 また、環境基本計画の見直しに盛り込むことについてでございますが、エネルギービジョンで明らかにされたエネルギー対策と環境対策との融合の必要性の高まりに対応するための基本的考え方や施策の方向などにつきまして、御提言の趣旨も踏まえながら、環境基本計画の見直しの際に位置付けてまいりたいと存じます。

島村秀夫労働商工部長 
 エネルギーにつきましては、武正議員御指摘のとおり、産業会におきましても地球環境に配慮した取組が重要となっております。
 このため、現在、エネルギー関係業界におきましては、地球温暖化対策や資源の有効活用、省エネルギー対策や新エネルギー利用などに関し、活発な研究活動を進められているところでございます。
 県といたしましては、県エネルギービジョンの具体化が庁内関係部局において検討される中で、エネルギー事業者とも十分な連携を図り、実効性のある施策が盛り込まれますよう努めてまいりたいと存じます。




(2)環境改善計画について

武正
自動車NOX削減方策検討委員会が、先頃設置されましたが、その内容と、NOX削減計画の平成12年度末までの目標達成に向けての現状と対策、さらに、浮遊粒子状物質削減計画策定を1年間先延ばしにしましたが、計画策定に向けた現状の取組と今後の方針について、前述のディーゼル車に対する何らかの規制の可能性を含め、環境生活部長に伺います。

中野健一環境生活部長 
 まず、自動車NOx、すなわち窒素酸化物削減方策検討委員会の検討内容といたしましては、一定規模以上の事業者の自主的な管理による窒素酸化物の排出抑制を図ることを目的といたしまして、事業者自らが削減目標を設定し、小型ディーゼル車からガソリン車などへの転換や自動車使用の合理化を盛り込んだ窒素酸化物管理計画の作成に関する指導要綱の骨子と、事業者がこの計画を策定するための手引などでございます。

 また、窒素酸化物削減計画の平成12年度末までの目標達成に向けての現状と対策についてでございますが、自動車走行量の増大やディーゼル化の進展などにより、平成12年度における削減目標の達成は非常に厳しい状況となっております。

 このため、県といたしましては、来年度から、事業者による自動車排出窒素酸化物自主管理制度の導入を図りますとともに、低公害車の普及や公共交通機関への利用促進など、環境にやさしい自動車の利用について、県民や事業者に対する普及啓発に一層努めてまいりたいと存じます。
 また、ディーゼル車に対する何らかの規制の可能性についてでございますが、県といたしましては、この問題は広域的に取り組む必要がありますことから、7都県市と連携してディーゼル車の交通量の抑制など、ディーゼル車対策に積極的に取り組んでまいります。

 さらに、国に対しましても、中央公害審議会から答申されたディーゼル車の排出ガス規制の早期実施や、本県を含む首都圏に流入する貨物自動車などに対する新たな規制の導入などについても強く要望してまいりたいと存じます。
 また、浮遊粒子状物質削減計画策定に向けた現状の取組と今後の方針についてでございますが、平成10年度までに、発生源別の発生量の把握や寄与率の算定、環境濃度の解析などを行い、県全域を対象とした濃度予測シミュレーションモデルを作成したところでございます。

 今年度は、このモデルを利用して、各種発生源ごとの削減対策の効果などについて地域ごとに解析・評価を行っているところでございます。
 今後、これらの解析・評価の結果に基づき、浮遊粒子状物質の環境基準を達成するための発生源別削減目標量について検討を行い、排出規制などの施策化に結び付けられるよう努力してまいります。



3 救命救急制度について

救急救命制度の支援策について

武正 
 最近、よく耳にするのが、救急車が現場に到着してけが人や病人を救急車に乗せても、救急隊員が病院に連絡をとっても受け入れ先がなかなか見つからないということであります。
 家族や近所の方がやきもきしている中で、一刻の猶予も許さないのに、なかなか救急隊員は出発ができないということであります。

 収容所要時間別搬送人員を見ると、平成6年は20分未満が45.79パーセントであったのが、平成10年は30.12パーセントに減少し、20分以上30分未満が36.39パーセントから41.88パーセント、30分以上が17.82パーセントから28パーセントにそれぞれ増えているのであります。
 特に、早朝や夜間が問題であるのは言うまでもありません。当直医の医師の専門が合えばいいのでしょうが、そううまくはいかないということであります。
 特に、小児科の当直医が少ないことが、よく指摘をされています。県南部でも、夜11時以降、小児科の当直医がいるのは1つの病院に過ぎないという話も聞きます。

 そこでお伺いします。
 心肺機能停止状態の傷病者を含め、重症者にとっては一刻を争う状況にあるわけで、救急救命士の責務は、非常に重要となってきますが、救急救命士が十分に機能するためには、救急救命士に対し指示を行う医師が必要です。このような医師の確保は、どのように行われているのか。また、救急隊と救急病院の連携は非常に重要なことだと思いますが、消防機関と医療機関は、日ごろどのような連携を行っているのか、環境生活部長に伺います。

 県内6地区の救命救急医療の体制は、よく県議会でも説明がありますが、以上のような救急医療体制の現状と課題を踏まえて、まず、救急告示医療機関の数が、ここ5年間に254機関から235機関へと減少してきている、その理由はなぜか、伺います。
 次に、県内の救急医療体制の確保のため、特に、県民の生命にかかわる2次、3次の救急医療体制に参加している医療機関にどのような補助を行っているのか。
 また、今後、県は、どの分野を重点に支援を行っていくのか、併せて健康福祉部長に伺います。

中野健一環境生活部長 
 まず、救急救命士に指示を行う医師の確保につきましては、救急現場での適切な応急処置を実施するためには、救急救命士を早期に養成するとともに、いわゆる特定3行為の実施を指示する医師の確保が必要でございます。
 そこで、各消防本部において、地元医師会や地域の救急医療機関と協議をしながら、医師の確保など、救急搬送の体制整備に努めているところでございます。

 また、消防機関と医療機関の日頃の連携については、第2次救急医療圏ごとに、地区医師会、医療機関、市町村、消防本部などで構成される地区救急医療対策協議会が設けられており、地域の救急医療体制の充実・強化、関係機関の連携に努めているところでございます。
 今後とも、救急医療機関の所管部局や県医師会との連携を図り、県内の救急医療体制の充実強化に努めてまいります。 

大塚健司健康福祉部長 
 まず、救急告示医療機関の減少の原因についてでございますが、その主な理由は、病院におきましては、特例許可病院への移行等により救急医療の実施が困難になったこと、また、診療所におきましては、医師の高齢化等により救急患者への対応が困難になったことなどでございます。
 県といたしましては、地域の中で積極的に救急医療を実施されている医療機関に対し、救急告示の申し出を促すことにより、救急医療機関の確保を図ってまいりたいと存じます。

 次に、2次、3次の救急医療体制に参加している医療機関に対する支援策についてでございますが、2次救急医療機関につきましては、病院群輪番制参加病院に対して、3次救急医療機関につきましては、救命救急センターに対して、それぞれ運営費補助制度がございます。さらに、必要に応じて施設及び設備の整備に対しても補助を実施しているところでございます。

 また、御指摘にもございました小児救急医療の確保につきましては、本県におきましても小児科医の不足が指摘されておりますことから、県といたしましては、国の小児救急支援事業制度の活用などにより、小児救急医療体制のより一層の充実に取り組んでまいりたいと存じます。




4 教育問題について

(1)TT(ティームティーチング)の導入と校長のリーダーシップの確立について

武正  
 児童・生徒が授業中に走り回るなど、授業が成り立たない学級崩壊の要因の約7割が教師の指導力不足にあることが、文部省の委嘱を受けた国立教育研究所内外の研究者、学校現場の関係者などで組織された学級経営研究会の中間報告で明らかになりました。
 取組課題としての報告は、
1 早期の実態把握と対応
2 子どもの実態を踏まえた魅力ある学級づくり
3 ティームティーチングなどの協力的な指導体制の確立と校内組織の活用
4 保護者らとの緊密な連携と一体的取組
5 教育委員会や関係機関との積極的な連携
を提案しています。

 明星大学の高橋史朗教授は、同報告に対して、全教員の一致協力が必要とした上で、低学年と高学年の学級崩壊の質の違いについても述べています。
 すなわち、低学年は甘えからきているので、甘やかさないこと。集中力の続かない子どものために、授業時間を短縮したり体験学習中心にしたりするなど、自由をはき違えた幼児教育と小学校低学年の教育との間の断層を埋める努力がほしい。高学年は、集団による教師いじめという特質があるので、教師は挑発に乗らず、厳しさと優しさを使い分ける必要がある。また、校長のリーダーシップの発揮が必要というコメントを新聞に載せています。

 そこで伺います。
 県教育局のティームティーチングの取組状況についてお答えください。
 さらに、校長のリーダーシップの確立が必要と考えますが、県の具体的な取り組みをお聞かせください。

 さらに、都教育委員会が、昨年、管理運営規則を改定し、校長は、校務運営上必要と認めるときには、校務を補助させるため職員会議を置くことができるとしましたが、職員会議について、校長の補助的役割と明文化しているのは、ほかに京都、石川、滋賀、熊本の1府3県といいますが、本県の管理運営規則では、高校については職員会議を諮問機関と位置付けています。
 校長のリーダーシップ確立のため、小・中・高にわたって職員会議の在り方を含めた御所見を伺います。

桐川卓雄教育長 
 まず、ティームティーチングの取組状況についてでございますが、平成11年度におけるティームティーチングによる指導を行っている学校は、小学校が69パーセント、中学校が87パーセントでございます。
 今後とも、ティームティーチングに積極的に取り組み、児童生徒一人ひとりの学習意欲の向上を図るとともに、いわゆる学級崩壊の防止に努めてまいりたいと存じます。
 次に、校長のリーダーシップの確立についてでございますが、いわゆる学級崩壊に対応するためには、学校ぐるみで支援体制を確立することなど、校長の強力なリーダーシップが必要であると認識しております。

 そのため、学校訪問や研修会などにおいて、校長としての資質の向上をさらに図るよう努めてまいります。
 次に、校長のリーダーシップの確立のために、職員会議の在り方についてでございますが、本県では、職員会議を管理規則上では校長の諮問機関としておりまして、学校経営の最終責任者である校長の校務運営を補助するものと位置付けております。
 しかし、中教審の答申に関連して、職員会議の位置付けについて法令上明確になった場合には、その在り方について、さらに検討し、校長のリーダーシップが発揮できるよう適切に対応してまいりたいと存じます。




(2)学区制の弾力化について

武正  
 東京都品川区教育委員会が、区立の小学校を4ブロックに分け、保護者が自由に学校を選べる制度を来春入学の1年生から始める方針を固めたことが発表されました。
 特色ある学校づくりを進めながら、子どもに合った教育を求める声にこたえるのがねらいと、区教育委員会は説明しているとのこと。

 これまでの制度を緩める動きは、規制改革の流れの中で進められ、文部省は、平成9年、緩やかに運用するよう都道府県教育委員会に通知、中教審は昨年、一層の弾力化を提言しました。
 校長のリーダーシップの確立の裏返しとして、学区制の弾力化は、公教育への競争原理の導入を促し、父母、子どもへの選択肢の提供という側面を持ち、学級崩壊にも対応できるものとも考えます。
 以上、教育長の御所見を伺います。

桐川卓雄教育長 
 学区制の弾力化は、保護者が学校を選択できることや、特色ある学校経営により学校が活性化するなどの優れた点もございまして、いわゆる学級崩壊への対応にもつながると考えられるところでございます。

 また、一方では、学級編制や教職員人事の問題、希望が集中した学校の対応など、解決しなければならない様々な課題が予想されるところでございます。
 現在、市町村教育委員会におきましては、保護者の意向に配慮した取組や検討が進められているところでございます。

 議員お話の品川区の例もございますので、県といたしましては、今後とも、地域の実情に応じて弾力的運用を図るよう指導してまいりたいと存じます。




5 地元問題について

(1)さいたま中央卸売市場(仮称)について

武正
 県内野菜の県内流通や食の安全性の確保のためにも、是非とも必要と思われるさいたま中央卸売市場(仮称)の現在の取組状況と、第7次中央卸売市場整備計画への対応を含め、今後の取組を農林部長に伺います。

大橋 達雄農林部長
 さいたま中央卸売市場(仮称)の整備につきましては、平成7年度末に国の第6次中央卸売市場整備計画に位置付けを得て以来、調整を進めてまいりましたが、いまだ関係市や市場関係者の合意を得るに至っておりません。さらに、県や関係市の昨今の財政事情の中で、直ちに市場の開設主体を設立し、施設整備に入る状況にもございません。

 こうした中で、平成12年度末には、国において5年に1度の整備計画の見直しが行われ、第7次計画が策定されることとなっておりますが、さいたま中央卸売市場の将来の実現を期すためには、この第7次計画に再度の位置付けを得ることが必要でございます。
 このため、情報化の進展や物流コストの上昇など、最近の情勢が大きく変化していることも踏まえ、関係市や市場関係者と連携しながら、流通実態の調査や現行計画の見直しを行っているところでありまして、今後とも、再度の位置付けに向け、鋭意努めてまいりたいと存じます。



(2)都市計画道路田島大牧線について

武正 
 都市計画道路田島大牧線の浦和駅周辺475メートルの進ちょく状況と、関連する浦和駅高架化事業の進ちょく状況を伺います。
 特に、浦和駅高架化事業については、駅北口を設けてほしいとの地元住民からの要望がありますが、住宅都市部長の御所見を併せてお伺いをいたします。

嶋田和則住宅都市部長
 本路線は、浦和市の中心市街地における東西交通の円滑化を図る重要な路線でありまして、駅周辺の東西市街地と一体的に整備する必要があると認識しております。
 そのためには、本路線をはじめ、浦和駅周辺で進められております再開発事業や、浦和駅高架化事業と一体となって整備することが不可欠でございます。
 お尋ねの浦和駅東口再開発事業区域より東側の475メートルの区間につきましては、平成6年度から用地買収を進めておりまして、平成10年度末の用地買収率は32パーセントとなっております。

 次に、浦和駅高架化事業につきましては、平成11年3月に都市計画決定を行い、現在、建設省と事業認可取得のための協議を行っておるところでございます。
 駅北口を設けることにつきましては、浦和市の対応状況を見ながら検討してまいりたいと存じます。
 今後とも、市と連携を密にして、さらに事業の推進に努めてまいりたいと思います。