県議会レポート22号

 

雇用政策
 雇用政策は最重要課題の一つです。失業率は、全国では5%に迫るところとなり、埼玉県が含まれる南関東では5%を越えています。今も、構造改革に伴う企業の再構築(リストラクチュアリング)が進行中ですので、「職業の移動」がスムーズに行える仕組をうち立てなければ失業率上昇に歯止めをかけられず、雇用不安の解消ができません。

 まず、第1に、大学・大学院教育の見直しを行います。国立大学の独立行政法人化が進んでいます。表2は国内の国公私立大学、大学院(修士・博士)の入学者にしめる社会人の割合をまとめたものです。働きながら学べる仕組として夜間大学、サテライト教室や、たとえば、3ヶ月を一区切りとして3ヶ月は休職して学び、また復職するような仕組などにより新しい技術や知識を身につけ、企業内での職場の移動、あるいは転職に備えることが出来ます。

 第2に、ハローワーク(職業安定所)以外に職業紹介業、職業能力開発業を育成することです。表3は、国と県のそれぞれ求人求職数と就職件数とその割合(パーセンテージ)です。就職率が全国で6%前後、埼玉県で4%前後では用が足りません。労働省のみ、ハローワークのみの雇用政策の限界を示しています。平成11年通常国会での法改正により職業紹介業の原則自由化もあり、これら職業関連支援ビジネスの育成強化が雇用創出の点から欠かせません。

  第3に、NPO(非営利団体)の育成により雇用を創出することです。現在平成10年12月1日法施行より国内には1087のNPOが認証を受けています。県内では21です。県内のNPOの認証数を増やすには審議会から答申のあった市民活動サポートセンターの設立が急務の課題です。下記の表は、アメリカのNPOの財源構成の内訳です。アメリカでは寄付文化が根付いているといっても政府補助金が30%です。また、日本では個人からの寄付は非常に少ないですが、アメリカでは96年度の寄付総額1507億ドルのうち個人寄付は約9割となり、個人寄付が重要なウエイトを占めています。NPOへの税制上の優遇措置が必要であり、個人の寄付金控除の対象を増やすべきであります。
アメリカのNPOの財源構成(%)
民間寄付 18.9
事業収入 38.6
政 府 31.7
その他 10.8
1996年度 『NPOデータブック』山内直人編より