国会レポート13号

平成13年度第2次補正予算は問題あり!
今回の約2兆5000億円の補正予算に対して、首相は「良いへそくりがあった」と言っています。すなわち、NTT株売却益を国債の償還に当てるための「国債整理基金特別会計」から引き出し一般会計を通し、 「産業投資特別会計」に繰り入れ「各特別会計」を通じて地方自治体などに貸し付けるという仕組みに問題が3つあります。(表1参照)

第1に、本来国債償還に当てるべき財源を流用したことで 首相の30兆円枠堅持は崩れたのではないか、だとすればそれを認めるべきであること。第2に、37ある特別会計のうち3つ以上の特別会計でお金の出し入れを行う複雑さ。 第3に、貸付額と同額を5年後に補助金として交付する仕組みのNTT資金の「B資金」については、90年代いわゆる 「問題3セク」にばら撒かれた経緯を彷彿とさせるもので、94年以降凍結されていたものを解除したことです。

平成14年度予算について
医療制度改革について、与党は医療費の30%個人負担をあげています。国民ひとりひとりに痛みを求めている例といえます。2025年には医療費総額81.4兆円となり、そのうち老人医療費は45.2兆円(55.5%)になると試算されています。こうした事態に対し、医療の質の向上、情報開示と第3者機関評価が必要です。具体的には支払基金の「レセプト審査」ではなく、レセプトを電子化し、複数の機関によるチェック体制を行うべきです。

小泉首相のいう国債30兆円枠というのは、あたかも大幅な減少をさせたかのような印象を与えますが、近年の国債発行額を見ると、実はそれほど思い切った抑制とはいえないのです。30兆円枠がニュースで取り上げられていますが、抜本的見直しが必要です。 (表2参照)

小泉改革のゆくえ
田中真紀子外相更迭に見られるように、自民党内のいわゆる「抵抗勢力」と妥協を重ねていくとすれば、構造改革路線が転換することが危惧されます。それが国債増発につながり、ひいては国債の暴落に繋がりかねません。結局は自民党総裁として自民党を変えられず、「抵抗勢力」との談合を繰り返しながらの政権運営が続いていくことが予想されます。

90年代の総括を!
「経済の展望を拓く」ためにも、「不良債権の処理」はあくまで車の両輪のひとつ、もうひとつのワッカである「産業・通商政策」の充実強化が欠かせません。そして、それは担保する雇用政策の充実と、セーフガードで見られた通商問題と相関関係にある農業政策など、これまでの政策の焼き直しでなく発想の大胆な転換が必要です。 それを可能にするためにも、90年代の政策の厳しい総括を行わなくてはなりません。例えば、「輸入促進政策」はまだ継続されています。「開発輸入」が「国内市場」の首をしめているのにです。「海外での生産は海外での市場開拓を旨とするよう」政策転換が必要です。政策転換は政権交代なくしてはできません。その中心として民主党を生まれ変わらせます。
 

表1 財務省作成資料より

表2  平成13年12月財務省主計局
「我が国の財政事情について(政府案)」より