道路特定財源の見直しについて

2001年8月上梓

1年間、民主党道路公団(JH)改革ワーキングチーム(WT)のメンバーとして活動してきた。その後名称を道路関係特殊法人WTと変え、本四公団、首都高速公団、阪神高速公団を含めヒアリングを重ねてきた。JHは、平成11年度損益計算書では経常収益が2兆3180億円であるがその90%は料金収入によるもの。同年度の貸借対照表では固定負債が26兆2947億円に上る(経常収益の約11倍)。
旧国鉄時代(昭和61年度で約6倍)よりも悪い財務内容であるとして、WTでは「有料高速道路建設の即時停止」「民営化」を結論としてまとめた。また、本四公団は発足10年で、当初の債務3兆円は4兆円に膨れている。

ここまで、財務内容が悪化した原因は、まず、「料金プール制」にある。この制度は、新規路線の債務を既存路線に組み込み一緒に返済を行おうという制度。
このため、既存路線の無料化は一向に進まず、又、新規路線の採算性は既存路線に隠れて見えないという特徴をもつ。
もう一つの原因は「第4次全国総合開発計画(4全総)」をふまえ、昭和62年に、高速道路の予定路線が7600キロが3920キロ追加され、11520キロとなったことにある。

道路特定財源は、平成13年度で国税4兆2933億円、地方税1兆7329億円。
それが、国の道路整備特別会計に3兆5257億円、地方の道路財源に2兆3300億円と振り分けられる。
このうち、JHには同年度3058億円の国費を投じている。
 
道路特定財源の問題点は、第1に財政構造を硬直化させ、資源配分上非効率を生じさせることである。第2に、地方の道路整備について中央省庁に陳情を行い、中央のコントロールを相変わらず受けなければいけない非効率性である。第3は、道路整備5ヵ年計画を含め、16の分野で進められてきた公共投資基本計画の非効率性である。
また、道路整備5ヵ年計画にあわせ暫定的に揮発油税や軽油引き取り税の税率が上乗せされている。
運輸関係者からまず税率引き下げをいわれる所以だ。
 
公共事業には、地方経済の中核としての面と、雇用対策の面と、そして都市基盤整備の面がある。
昨年初当選時から、都市基盤整備の充実を公約としてきたが、やっと、政府の緊急経済対策も都市に対するインフラの整備を行い景気浮揚の原動力にすることを打ち出し始めている。
さらに、「官製談合防止法案」が次期臨時国会に与党案として出される。これへの対案も検討中である。
こうした動きと「道路特定財源の見直し~一般財源化」を連動させることが大事である。そして、地方への財源を伴った権限委譲を徹底して行うことも進めたい。
これらがセットで進められることで構造改革に寄与できるのである。

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