2016年11月4日掲載 読売新聞「衆院憲法審4党に聞く」

衆院憲法審4党に聞く

現在開かれている臨時国会では、衆参両院の憲法審査会を進めるかどうかを巡る与野党の駆け引きの結果、10日に約1年5か月ぶりに衆院憲法審査会の実質的な議論が行われる予定となっている。
国会では、2000年に衆参両院に憲法調査会が設置されて以降、憲法に関する具体的な議論が蓄積されてきた。憲法改正を検討してきた各党の審査会メンバーに審査会をどう運営するかを聞くとともに、参照すべき過去の論議を振り返った。

新しい人権 議論進める

武正公一・野党筆頭幹事 民進

――これまでの議論をどう評価し、今後どう臨むか。
「衆院憲法調査会から16年間の伝統があるが、与野党の合意形成や少数政党の意見が尊重され、改正国民投票法や18歳選挙権が実現したことを高く評価している。この1年半議論が止まったのは、与党側に原因があったと考えている。止まる前に戻って、憲法保障や参政権の保証を巡る問題を議論したい。憲法保障では立憲主義、参政権では解散権のあり方などが、テーマとなる」
――民進党の憲法に対するスタンスは。具体的な改正項目も含めて聞きたい。
「党の綱領は『未来志向の憲法を国民とともに構想する』とうたっていて、新しい人権、統治機構改革などを特出している。その上で、党憲法調査会が具体的な中身について議論を精力的に始めてまとめていこうとしている」
「たとえば新しい人権には、国民の知る権利もある。これには、政府の情報開示、説明責任が含まれる。環境権にも、以前から関心が強い。統治機構改革では、国と地方の関係について、道州制なども含めた地方のあるべき姿の議論があり得るのではないか」
――「憲法への民進党内の意見がバラバラだから議論を避けたがっている」という人もいる。こうした声にどう答えるか。
「春以降、いろいろな政策や法案について、政務調査会の場で意見の一致をみながら対応を決めてきており、何ら問題はない。憲法についても憲法調査会で党としての考えをまとめていくから、やはり問題はない」
「憲法調査会の役員会では、民主党の2005年憲法提言などを議論の土台として精力的に憲法議論を進めていくことを確認している。議論を避けることは決してない。安倍首相は『各党は草案を出して』ということを言われるが、今草案を出さなければ議論できないというのは、いかがなものか。もちろん議論が進む中で草案の話になることは否定はしない。自民党が自らの(12年にまとめた)草案について、何らかの考えを示し、見直すのだとすれば、それを審査会の場で述べる必要があると思う」

紙面掲載2016年11月4日 読売新聞(掲載許可済)