国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2005年4月15日 【外務委員会】

武正委員
おはようございます。民主党の武正公一でございます。旅券法改正について質疑をさせていただきます。
まず、その前に、今首藤委員も指摘をしておりましたが、米陸軍第一軍団司令部の座間移転ということでございます。私もきのう十四日朝、午前六時五十分、NHKのニュースを見ていますと、はっきりと、座間に移転をする米陸軍第一軍団というふうにアナウンサーが言うんですね。これはNHKでたしか一回聞いたことがあったんですね。きのう、確かに午前六時五十分のNHKのニュースで、するという明言をアナウンサーがしているんですね。
 
これは公共放送としてのNHKを初め、やはり放送できちっとそういったことを明言していることが、基地を抱える都道府県知事を初め、あるいは我々国会にしても、何でそうした情報が先に、しかもはっきりとした口調で明言をされるのか。その情報管理、これは日本国政府あるいは米政府にしっかりと求めていくとともに、やはり国会できちっと進捗状況は開示をいただきたい、このことを重ねてお願いしておきたいと思います。
 
旅券法改正でございますが、今回のICチップ導入、これによって、いわゆるデジタル画像、そしてまた個人の名前とか住所とか、そういったものをICチップに書き込むというお話であります。既に外務省の方から、それ以上のバイオメトリックスというんでしょうか、例えば虹彩情報や指紋あるいは静脈情報などをそのICチップにさらに書き込むというか、上書きすることはない、こういうふうに聞いているんですけれども、この点をまずは第一点、確認をさせていただきたいと思います。

■町村国務大臣 
このICAOの規定には、顔画像のほかに指紋と虹彩を各国の裁量により追加的に採用するということは認めているところであります。そして、その仕様については二国間または多国間の協議により定めるものとなっておりまして、国際標準というものを策定しておらないわけであります。
 こうした状況を踏まえて、日本としては、今般の法改正に基づき発給するIC旅券には、顔画像以外の生体情報を追加して記録するということは考えておりません。

武正委員 
再度確認をいたしますが、ICチップに書き込んだものをそれぞれ皆さんに交付されるわけですが、またさらにICチップに上書きをするという、そういったことはないということでよろしいんでしょうか。もう一度、上書きがないということを確認させていただきたいと思います。

■町村国務大臣 
今考えてはおりません。ただ、これからうんと先のことを考えて、国際的にどの国もそういうふうにやるようになるとか、いろいろな状況の変化があった場合には未来永劫絶対ないと私が今ここで断言することは難しゅうございますけれども、いずれにしても、現状、私どもはそういうことを追加することは考えておらないわけでございます。

武正委員 
事前の説明では、書き込みあるいは上書きはできない、こういうような説明を受けていたんですけれども、今の話ですとできるということを言っておられますが、それでよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 
それは、今御審議をいただいている法律の中ではそれはないということでございます。ただ、これから何年後かわかりませんが、国際的にみんなやはりそれは必要なんだというような事態がないかあるかわかりません。だから、余り仮定の議論をしてもそれはしようがないのかもしれませんが、少なくとも今回法案で御審議をいただいている法律の中ではそういうことは一切考えていないということであります。

武正委員 
私は、技術的にできないという説明を受けていたものですから、ちょっと今の御答弁だと食い違うなというふうに思っておるんですけれども、再度お願いいたします。

町村国務大臣 
どうも失礼をいたしました。技術的にできないということのようでございます。

武正委員 
ありがとうございます。
そこで、きょうは法務大臣政務官もお見えでございますが、日本の難民認定の数であります。きょうはお配りをしておりませんが、改めてこうやって表を見ますと、日本は二〇〇三年十人。一けたがずっと九四年から並びまして、ようやく二けた。これに対して、アメリカは二万二千、イギリス二万一千、ドイツ三千百、フランス一万三千、イタリア七百二十六。
 
これから国連の常任理事国を目指す日本として、この難民認定の数がこれだけ少ないというのはいかがなものかというふうに思うわけであります。多分、これまでは、法務省入管当局としても、やはり不法入国を防止する、あるいは不法滞在を厳しく取り締まる、あるいはそうした密入国防止、さまざまな観点から、ある面、難民認定については厳しい対応、すなわち本人が難民であることをきちっと自分でみずから証明しなければならない、こういった手続があったかと思うんですけれども、ここに来て、今回の旅券法改正、そしてまた、この後、外務委員会でも審議をします国際組織犯罪防止条約の二つの議定書、それに伴う刑法改正、入管法改正、また来年予定されていると言われます外国人の入国者に対する指紋押捺の入管法改正というような各般にわたる法改正によってそうした点がなくなるとすれば、私は、やはりここで難民認定を緩和していっていいんではないか、このように考えるんですが、法務省、いかがでしょうか。

富田大臣政務官 
今先生の方からいろいろ御指摘いただきました法律は、不法入国の防止とかテロ対策の強化のために法務省としても考えている法律でございます。
 
我が国の難民認定制度の運用につきましては、これまでも、難民条約に定める難民に該当するか否か、これも今先生御指摘ありましたけれども、これは慎重かつ誠実に判断して難民認定申請を処理しているところでございます。昨年六月には、難民認定申請中の者及び難民と認定された者の法的地位の安定化を早期に図るための新たな制度を導入する改正入管法が成立いたしました。本日、その施行日を本年五月十六日と定める政令を閣議決定しております。
 
具体的には、これまでは難民認定がされても退去強制手続はずっと進んでいたんですが、難民認定がされれば退去強制手続をストップして、難民認定申請中の段階であっても法務大臣の在留特別許可の手続にも入れるというふうになってまいります。こういった運用も含めて、一層適正な難民行政の遂行に努めてまいりたいと考えております。

武正委員 
これはニュージーランドの例でありますが、いわゆる難民控訴、日本の場合ですといわゆる異議申し出手続でありますが、それが異議申し出も法務大臣の決定であるというのはやはり問題であろうということで、ニュージーランドでは難民控訴局というものを設けて、準司法的な機関で不服申し立ては受け付けるようになっている。
 
こういった改善もあるわけでありますので、私はまだまだ難民認定、今、五月から施行して、新たなるそういったお話もございましたが、これらのいろいろな法改正とともに、さらに私は難民認定を緩和していくことが必要ではないかなというふうに思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。
 
今、国連常任理事国入りを日本としては表明しているわけでありますが、やはり、緒方貞子さんに言わせれば、難民をどの程度受け入れることができるかでその国の懐の深さがわかると。UNHCRとしては、ことしの一月にトルコ籍のクルド人親子を強制送還、これについてUNHCRもやはり問題というふうに指摘もしております。
 
今、いろいろな法改正がされておりまして、不法入国や不法滞在や密入国、さまざまな観点から、今回もこうしたICチップに個人情報を入れて、入りと出を、今回の場合は出の方でありますけれども、来年はまた法改正で入りの方もということで、また諸外国もICAOで入り、出ということもやっていくわけであります。
 この難民認定について外務大臣としてはどのように、この二〇〇三年十人という人数についての御認識とともに、やはりこれは緩和をすべきではないか、国連常任理事国入りを控えてということでありますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 
まことに難しい御質問かな、こう思います。
確かに、先進諸国と比べてその認定数が極めて少ないというのは、事実として御指摘のとおりだろうと思います。外務省は直接、この難民認定は法務省の所管でございまして、私どもがあれこれ申し上げる立場にもございませんし、また法務省は法務省で適切に処理をしておられる、こう聞いております。したがって、それについて私の立場であれこれ申し上げることは差し控えたいと思います。
 ただ、国連常任理事国入りとの関係でどうかと言われるとちょっと答弁に窮するわけでございますが、そうした世界的な流れというようなものも、当然、法務省あるいは政府全体としてとらえながら今後適正に対応されるもの、こう考えているところでございます。

武正委員 
そうしましたら、政務官はお引き取りいただいて結構でございます。ありがとうございます。
中国の問題にちょっと移らせていただきます。
 
昨年、川口前外務大臣在任時に、やはり三月、尖閣諸島に中国人活動家七名の不法上陸がありまして、逮捕そして送検見送り、強制送還。そしてまた、大使館前でのデモ、国旗が焼かれる、こういったことがありました。しかも、それは訪中の前でありまして、またくしくも今回も外相訪中の前なんですね。まさかこれは期してやっているとは思えないんですが、これは日本政府からさまざまな指摘があるように、やはり警察当局が規制をしていなかったことや、あるいは外交当局がその責任は日本にあるというような発言もありました。
 
私は、外相の訪中前に二度も立て続けにこうした事件が起きて、しかも今回は、公館不可侵のもとに日本の大使館に危害が直接加えられる、こういったことも起きているわけです。私は、昨年、川口外相には訪中取りやめをこの委員会で求めたんですが、今回、外相は先ほど来、いや訪中をして今のこの日中間の懸案を取り除くんだ、こういった発言をされておりますが、今回も、外相訪中を取りやめるということは選択肢の一つとしてあっていいんではないかと思いますが、外相としてどのようにお考えでしょうか。

町村国務大臣 
訪中を取りやめるという考え、確かにあろうと思います。全く考えなかったと言えばそれはうそになります。ただ、いろいろ考えまして、やはりこういうときこそむしろ積極的な対話を進めるということの方が望ましいのではないか、こう考えた次第であります。
 
ただ、例えば私が行くことによって、そのことがまた大きな何かリアクションを生んで、在留邦人に大変大きな危害が加えられてしまうというおそれが非常にはっきりしてくるとか、先ほど首藤議員から御指摘のような最悪シナリオというものが、かなりの蓋然性で外務大臣が訪中することによってそういう事態が惹起されるということが考えられるならば、それはもうやはり行かない方がいいということもあろうかと思いますが、今の事態で、中国政府も千人以上の警察官を一応配置していたということ、その警備の仕方が私は十分であったとは思っておりませんので、その点についての抗議はしたわけでございます。しかし、全く警備をしていなかったかといえば、それはそうではないわけでありまして、やはり中国政府もそこのところは考えてやっているということは、私は、ある部分は認めなければならないのだろう、こう思っております。
 
したがいまして、現在の状況で、また土曜日にあるいは日曜日にどういうような行為が行われるか、これはなかなか予測するのは難しゅうございますけれども、現状の判断としては、私は、むしろ訪中をして率直な話し合いをした方がいいのではないだろうか、こう判断をいたしまして、一応、ただいま現在は行くことにして準備を進めているわけでございます。

武正委員 
既に御発言されていると思うんですが、当然、大使館に対する危害についての賠償請求をする、謝罪も要求するということでよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 
この点につきましては、過ぐる日曜日のお昼前に王毅大使を外務省に呼びまして、今委員が言われましたこうした破壊活動に対するきちんとした警備をすること、それから、こうした活動に対する中国政府の謝罪、それから、これは在外公館のみならず民間のお店であるとか企業等々にも被害が発生をしておりますから、そうしたものへの損害賠償といったようなものを求めるということ。
 
さらにもう一つ、外報官等の談話が、あたかもこうした過激な活動を容認するかのごとき発言があることは甚だ遺憾であるので、そういう発言は控えるようにといったようなことを申し上げ、さらに翌日、念のために、口上書、文書という形で先方政府にそのことを明確に伝達してあるところであります。

そして、そのことはまだ私は詳しくアジア大洋州局長から、きのうの深夜帰ってこられたものですから報告を受けておりませんけれども、昨日、一昨日の日中韓の事務レベルの話し合いの中でも、そういったことをしっかりと先方に伝え、大分議論をしたということのようでございます。

武正委員 
たしか、けさの新聞では、日中韓局長級会議で反日デモについては触れられずというような新聞をちらっと見た覚えがありますので、今のお話ですと、それも当然議論になったということだというふうに理解をいたしました。

さて、賠償請求も謝罪もということでございますが、ただ、近年の日中間の事件を三つほど挙げますと、それがうやむやになっているようであります。
 
まずは、平成十四年五月の瀋陽総領事館亡命者連行事件、これは謝罪要求についてうやむやになっている。昨年の夏、例のサッカーが終わった後の中国公使の車、これは謝罪はあったんですが補償問題は未決着。それから、昨年十一月の中国原潜、これは、日本政府は謝罪があったと解釈しておりますが、私も十二月に訪中しましたが、あれは技術的なミスだったというような言い方で言っておりまして、謝罪はあいまいということであります。
 
こういうことが、日本の主権侵害に対してきちっと指摘をして謝罪なり賠償なりを求めるということが日中間でどれだけ一つ一つ丁寧にできているのかということは、甚だ疑問であります。ですから、今回それをやられるということであれば、徹底してそれを求めていただき、しっかりとそれを中国側から出していただけるように強く強く迫っていただきたいというふうに思っております。
 実は、三月に、潘基文韓国外交通商部長官の訪日があったわけですけれども、例の竹島の日、日本が県議会で採決をした、そしてまた三・一大統領演説、この後ということで訪日を見送ったわけですね。
 
先ほど、もしかしたら訪中、わかりませんという外務大臣の発言がありましたが、実は、いろいろ調べていくと、外務大臣もそうですけれども、日本の閣僚が外交関係を理由に相手国への訪問を取りやめるというのは極めて少ないんですね。突然のいろいろな事故でやめる、そういうのはありますが、大変少ないというふうに私は拝見をいたしました。
 
今回の潘基文さんが訪日を見送ったことなども含めて、両国間の関係の中で、外相が予定をされていた訪問を取りやめるというのは、きちっと我が国の立場を相手国に伝える大事なメッセージの一つであろう、手法の一つであろうというふうに私は思います。
 そういう意味では、日本の外務省はそうしたことをこれまでやってこなかったのかな、やはり強く主張すべきときには強く主張する、こうした外交があっていいので、私は、外相の訪問を取りやめるということは、今回の中国ということは置いておいて、選択肢の一つだというふうに認識をしておりますが、この点は外務大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

町村国務大臣 
韓国外交通商部長官の訪日の話、確かに事務的には、そういうことの可能性はどうかというような内々のサウンドは確かにございましたが、実は、正式にまだ決定というところまでには至っておりませんでした。したがいまして、もともと正式ではないのだから、もともとなかったんですよねというのが先方の考え方なんだろうと思います。
 
事実関係はそういうことなんでありますけれども、確かに、訪日あるいは外国訪問を取りやめるというのは一つの国家の意思のあらわし方ではあろうと思いますから、そういう選択肢が必要な場合も確かにあるんだろうなと思います。これはなかなか一概に、どういう場合にということをあらかじめ基準を持って示すことはとても難しいんだろうと思います。
 したがいまして、今回の韓国側のそういう判断、いろいろな状況、政治状況等々を総合勘案して、きっと韓国の長官はおやめになったんだろうと思います。
 
そんなこともあったものですから、先週、イスラマバードで日韓外相会談というものをやりまして、そこでかなり率直な意見交換をすることができ、まだこれからどう展開するかわかりませんけれども、一応日韓関係の正常化への足がかりというようなものをつくる第一歩を踏み出せたのかな、そんな思いでおりまして、そういう意味で、常にありとあらゆる可能性を検討しながら外交努力をやっていくことが必要なんだなということを痛切に感じているところでございます。

    〔委員長退席、大谷委員長代理着席〕

武正委員 
選択肢の一つであるということは御認識をいただいたというふうに思います。
ただ、今この時点で訪中を取りやめるのはなかなか難しいのかなという、諸般の事情の変化があればという先ほどの外務大臣のお話でありますが、という理由は、やはり三年半、首脳会談がいわゆる相互訪問という形で行われていない、これが一つ理由にあるのではないかなというふうに私は思っております。
 
やはり首脳間の定期的な行き来、こうした関係があれば、こういった、やはり隣国でありますし、国境を接している国でありますので、領土、領海をめぐって当然言うべきことを言い、主張すべきことを主張する。これまでそれをやってこなかったのが問題であって、当然あっていい姿であり、その摩擦を、フリクションをどうやって解決していくのか、それが外交当局の手腕であろうかというふうに私は思います。その手腕の一つに、外務大臣が訪問するのを取りやめたり、あるいは訪問したりという、そういういろいろなメッセージの出し方で外交はなされていくんだと思います。
 
ただ、その大前提は、やはり両国間の首脳が相互に訪問するという、国交を結んで、しかも日中国交正常化、日中国交回復、あれは一九七二年ですから、三十年を経過して、大変、日本にとって最重要の国の一つである、そういった国との関係がそういう面ではぎくしゃくする理由は、やはり両国間の首脳の相互訪問がないということにあろうかというふうに思っております。このことは、改めて私はやはりここで指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 
さて次に、お手元の方に資料を、これは理事会で委員長あるいは理事の御承認を得て配付させていただいておりますが、その後ろから二枚目、三枚目が、二月の2プラス2、日米安全保障協議委員会の共同発表でございます。後ろから二枚目、ここの十のちょうど真ん中辺に、「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す。」こういった記載があります。
 
そもそも、2プラス2の後に発表されるというのは、大体その概要でありますし、記者会見でありますし、このように詳細に共同発表が文書で行われるというのは、外務省にあっては極めて異例だなというふうに私は思っております。私は、もっともっと外務省は情報公開すべきであるし、例えば日米合同委員会の議事録なども速やかに公開をすべきであるというふうに長年主張させていただいておりますが、ここに関してはこれだけの項目までも事細かに発表している。
 
これはやはり、民主党の外務・防衛部会に来ていただいた外務省の方に確認をしても、この「台湾海峡を巡る問題の対話を通じた平和的解決を促す。」ここまで主体的に外務省の文書として書いたことは今までなかった、こういった説明を受けております。
 この項目が入った働きかけというものは、日本側からの強い働きかけなのか、アメリカ側からの強い働きかけなのか。いや、これは双方の合意ですから双方とも強い働きかけですよと外務大臣は答えられるかもしれませんが、一体どちらからこのような、日本政府にしてはこれまでよりも踏み込んだ表現になっているわけなんですけれども、どちらからの強い働きかけでこのような項目が入ったのか、お答えをいただけますでしょうか。

町村国務大臣 
この平和的解決を促す、台湾海峡をめぐる問題について対話を通じた平和的解決を促す、この内容自身は、かなり長い間、累次にわたって日本国政府が言ってきたことでございまして、別に何か私どもとして新しいことをここで述べたというつもりはございません。これは、もう長い間、中台問題に関する基本的な日本政府の考え方なわけでございます。
 
しかし、では、これをなぜここに載せたのかという御指摘かと思います。やりとりの一項目ずつの詳細についてどういう議論があったかということは、先方もあることですから詳細に申し上げることは難しいわけでありますが、ただ、この点について言うならば、日本側が働きかけた、あるいはアメリカ側が特に強く言ったというようなことではございませんで、一連の議論の、アジアをめぐる、あるいは世界をめぐる安全保障環境をいろいろ議論する中から、ここはお互いに意見が一致したものということで、共通の認識を持ったからここに盛り込んだということで、特にどちらか一方が働きかけたというような事実はなかったと私は記憶をいたしております。

    〔大谷委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 
ちょっと時間も追われております。次に移らせていただきます。
 これは、三月十五日に閣議決定しまして、チェコ大使に熊澤元農水次官を起用したということでございますが、いわゆるBSE発生危険度が高いことを知りつつ、そのことを握りつぶした次官ということで、二〇〇二年の一月に事務次官を辞任している熊澤さんがチェコ大使になる。
 
これは野上さんのときもそうでしたが、外務省改革で、次官ポストが最終というようなことも出ているのに加えて、こうしたBSEでちょうど問題になっているときにこうした人事が行われる。甚だ問題であろうというふうに思っております。
 そういった意味で、私は、大使の任用というものについてやはり国会が関与をしていく、あるいは国会に来てやはり説明をする、こういったことがあっていいんじゃないかなということをこの熊澤次官の大使赴任ということについても思うわけですが、これについては、大臣、いかがでございましょうか。

■町村国務大臣 
熊澤大使御自身の農水省在任時代のBSE問題に関する責任の問題、あるいはそれに対する処理ということについて、これは外務省としてコメントを述べる立場にはございませんけれども、既に農水省においてしかるべき措置がとられている。いろいろな、退職時の俸給月額の一部の自主返納等やっている等々の処分が行われているというようなことで、これは既に農水省内部においてしかるべき措置がとられた、こういうことでございます。
 
では、御本人の適格性ということについて申し上げるならば、余りそういう言葉が適切かどうかわかりませんが、農水省にしては珍しい、最近は余り珍しくないようでありますが、国際畑の方でもございますし、また、ウルグアイ・ラウンド農業交渉とか、あるいは日・シンガポール経済連携協定等の、こうした主要案件の陣頭指揮をとられた方であるということ。
 また、留学もなさっておられたり在米日本国大使館に勤務をされたといったようなことで、いろいろな知識、経験あるいは語学力等々とも十分なものがある。さらに、幹部職員を経験したということで、管理者としての適性も備わっているというようなことを総合勘案いたしまして、大使にふさわしい能力、実績、人格を有している、こういう判断の上で大使に発令をした次第でございます。

武正委員 
もう時間が参りましたのであれですが、今、外務省はコメントする立場にないと言っても、外務大臣がチェコ大使に起用しているわけですから、任命権者というか、やっているわけですからいかがなものかと思います。
 
また、それと、この熊澤さんは、農協共済総合研究所顧問から去年六月に理事長になって、そしてわずか九カ月で大使になっていますので、農協共済総合研究所の理事長としての在任わずか九カ月、この退職金が果たしてどうなのか。先ほどの点についてはいかがなことかなとも思っております。
 ここで私から提案なんですが、委員長にぜひお願いをしたいんですが、実は、財務金融委員会では、日銀の総裁、副総裁について、国会同意人事後、就任前に参考人として財務金融委員会に招致をして、意見陳述、そして委員会の質疑をやったことがございます。参考人招致でございます。
 
同僚委員からも既に、加藤駐米大使についても、今回のBSE輸入牛肉再開に大変重要な実は決定を、いろいろな関与をしているんではないかという指摘もあります。私は、やはり当委員会に大使を参考人として呼べる、あるいは、それこそ皇居で認証を得て現地国に赴任する前に国会で我々が意見を聞くことができる、これはやはり国会として、これだけ外交案件が国内の内政に与える影響の大きい昨今でありますので、当然やはりしていくべきであろうというふうに思っておりますので、これはぜひ委員長においてお取り計らいをお願いしたいと思います。

赤松委員長 
大使の国会承認等の必要性については、旧来から外務委員会理事会等でいろいろと発言のあるところでありますので、その取り扱いについては後日の理事会等で協議をさせていただきたい、このように思います。

武正委員 
時間が参りましたので、例の米軍ヘリのガイドラインが、極めて問題の多いガイドラインが、しかもまた持ち回りの日米合同委員会で認められてしまったことは甚だ遺憾であるということで、質問の時間がちょっとなくなりましたが指摘をして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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