国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2005年5月10日 【安全保障委員会】

武正委員
民主党の武正公一でございます。
きょうは、防衛庁設置法改正案について質疑をさせていただきます。
外務大臣もお見えでございますので、ちょっと質問の順番を変えて、冒頭外務大臣の方にお聞きをして、それでお帰りをいただくということで、順番を変えさせていただきます。

まず、二月の予算委員会で両大臣に質問をさせていただきました、昨年八月十三日の米軍ヘリの墜落事故、あの折に、米軍機体をアメリカのチェリーポイントに戻していた、こういった事実がわかったわけですけれども、予算委員会では両大臣とも、日時についてはわからないといった御答弁だったものですから、この場で、まず外務大臣に、いつ機体は米軍基地チェリーポイント、米本土に戻っていたのかということをお聞きするとともに、二月のときも、三名の乗員の名前あるいは階級、これについて引き続き求めていく、こういったことを言っておられましたが、その後の経過、明らかになったのか、三名の名前やあるいは乗員の階級、この点についてお伺いをしたいと思います。

町村国務大臣 
機体の方の話はちょっと事務当局からお答えをさせていただきますけれども、警察の捜査にできるだけ協力をしなければいけないということで、外務省も、墜落した米軍ヘリの乗員の氏名等に関する情報提供を含めて、アメリカ側と警察当局の間の調整をしてきております。引き続き努力をしているところでございます。

なお、委員、先般これは多分予算委員会等で私も申し上げたような記憶がありますけれども、地位協定上、捜査協力のあり方については特段具体的な定めがあるわけではなく、また、アメリカ側も、正当な理由なく当該協力要請にこたえない場合はともかくとして、日本の要請に直ちに応じないことをもって地位協定との関係で問題となるものでもない。特に氏名の公表については、合衆国法典第五編、これは憲法でございますが、第五百五十二条a(b)項というところで、行政機関の持つプライバシー情報については原則として他の機関に伝達してはならない、こういう規定があるものですから、アメリカ側はそうしたことを理由に、さらには、特に海外の部隊、機密事項を取り扱う部隊または常に展開可能な部隊に配置されている軍要員については、合衆国法典第十編第百三十条b項により、国防長官は、情報公開法の条項にかかわらず、個人を識別する情報を公表させない権限を与えられているというようなことで、米側はその氏名等の情報を公表できないというのが先方側の答えであるということでございました。
あと、機体の話はちょっと事務当局からお答えさせます。

武正委員 
私は、政府参考人は控えるだけということで、ちょっと時間の関係もありますので、日時のみですから大臣からお答えをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。もうこれは予算委員会でもやっている件ですので、日時のみお答えをいただきたいと思います。いつチェリーポイントに機体が帰ったのかということ。
では、防衛庁長官、お願いします。

大野国務大臣 
八月二十六日でございます。

武正委員 
昨年は、当時十三日以降、国会では、各関係委員会の開催を民主党は求めてまいりました。ただ、それが開けないという中で、ようやく九月六日に沖縄北方特別委員会で開かれたわけでありますが、このことが明らかになったのが十二月。つまり、委員会の審議をしているときにはもう既に機体はアメリカ本土に帰っていたということで、大変ゆゆしき問題であるというふうに私は思っております。

また、今大臣が答えられたことは米本土の法律であって、我が国のとる法体系というのは、条約が国内法よりも優先するということでございまして、日米地位協定に基づいてやはりこの事故の原因究明というのはもっともっとやらなければならないというふうに考えておりまして、この間の二回の特別委員会の持ち回りの報告、あれでよしとしてはならないというふうに考えております。

それともう一点、外務大臣にお伺いいたしますが、これはMDに関連することでございますが、昨年の十二月十四日に交換公文を結ばれております。これはベーカー駐日大使と、BMDのシステム導入決定前に包括的交換公文ということで、これまでは一件ごとに交換公文を結んでいたものを、包括的な交換公文でいこう、一件ごとにやらなくていいようにしよう、こういった公文を結ばれた経緯、これをお聞かせいただきたいと思います。

町村国務大臣 
日米相互防衛援助協定、これはもとからありますMDA協定第一条一で、「援助を供与する政府が承認することがある装備、資材、役務その他の援助を、両署名政府の間で行うべき細目取極に従つて、使用に供するものとする。」こう規定をしてあるわけでございまして、この本件交換公文は、ここで言いますところの「両署名政府の間で行うべき細目取極」として締結をした、こういうことでございます。また、この協力は両国の法令に従って行われると第一項に書いてありますし、また、第四項では、憲法及び法律上の規定に従った予算の承認を得たところでやるものであるということで、行政取り決めとして締結をしたという経緯でございます。

武正委員 
それでは、外務大臣、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。
防衛庁長官、ちょっと順番を変えましたので、今の点でございますが、その外務大臣の交換公文を結ばれる前に、十一月二十日、防衛庁長官はアメリカに一泊二日で行かれたわけなんですね。そこでチェイニー副大統領と面会をされておりますが、その内容をお聞かせいただけますでしょうか。

大野国務大臣 
チェイニー副大統領との会談でございますが、第一には、大統領の選挙につきましてお祝いを申し上げました。

第二に、日本の防衛政策、つまり、新しい防衛大綱を作成中でございましたので、どういう方向で今やっているんだ、こういうことを申し上げました。

それから第三には、米軍再配置の問題であります。米軍再配置について、我々はやはり負担の軽減と抑止力の維持、こういうことを重点に考えたい、御理解をいただきたい、こういうことを話をしました。

武正委員 
今外務大臣に聞きました交換公文、いわゆるMDの技術協力、これについては包括的なものに、十二月十四日に結んでいるわけですが、それを前に十一月二十日の時点においてこうしたMDの技術協力についての話というものはなかったんでしょうか。

大野国務大臣 
表敬訪問でございます。そういう話は全くチェイニーとの間にはいたしませんでした。

武正委員 
チェイニー副大統領と面会した後に、大野防衛庁長官が武器輸出三原則については見直す、こういったことを会談で言ったんではないかという報道がありますが、そういったことは事実でしょうか。

大野国務大臣 
武器輸出三原則との関係で私から申し上げましたのは、今後BMDの共同開発、配備への移行を判断する必要があり、武器輸出三原則の見直しについても日米安全保障体制の効果的な運用という観点から検討を進めている、このような発言をいたしております。

武正委員 
それでは、質問の方をまた次に移らせていただきますが、今回MDに関してということで伺っておりますが、この法案の、防衛庁設置法の統合運用について、まず冒頭聞かせていただきます。

これは既に同僚委員からも話が出ておりますが、このたびの統合幕僚長への権限の集中、それがまた中途半端ではないか。運用面と教育面が、集中している運用面と、教育面その他についてはそれぞれ三自衛隊の方にまだ残している、これは中途半端ではないかという指摘もあるんですが、私は、逆に統合幕僚長に権限が集中する分、その集中する権限についての内部の牽制というかチェックがどのように働くのか、それをお聞きしたいというふうに思います。

大野国務大臣 
一言で言いますと、統合運用は、防衛庁長官あるいはその上に内閣総理大臣がおります。防衛庁長官のもとの統合運用、一元化というふうに御理解いただければと思います。

自衛隊の運用の命令権者は、もとより内閣総理大臣または防衛庁長官でございます。統合幕僚長は、いわば自衛隊の運用に関し軍事的、専門的見地から一元的に長官を補佐する、この一元的というところがポイントでありまして、ばらばらにやるのではなくて有機的に連携する、一体的に運用する、これがポイントでございます。

ただ、自衛隊の指揮権限というのは統幕長にはないわけでありまして、それは防衛庁長官、内閣総理大臣、こういうことになるわけでございます。

また、さらに言いますと、そういう意味では統幕長が一元的に長官を補佐しますし、また内局の方も官房長、局長が政策的な見地から自衛隊の運用についても長官を補佐する、こういう形になっております。自衛隊の運用に関しましては、したがいまして、統合幕僚長とそして内局の官房長、関係の局長がやりますし、運用以外に関しましては、それぞれの陸海空幕僚長と官房長、局長が、それぞれ軍事的、専門的な分野での見地と政策的な見地と、それぞれ緊密に連携をしながら長官を補佐していく、こういう形であります。

武正委員 
そうはいっても、統合幕僚長はこれまでの統合幕僚会議議長に比べて絶大な権限を持つというふうに考えるわけですね。それがまた統合運用のねらいだというふうに思うんですね。
まず、統合幕僚長の任命については、これは防衛庁長官ということでよろしいでしょうか。

大野国務大臣 
当然のことでございますけれども、統幕長は、今先生おっしゃったとおり、極めて重要な職でございます。したがいまして、あらゆる面から見てふさわしい資質を持った者を長官が選びまして、内閣の承認を得て任命することでございます。

武正委員 
後でまた話が出ますが、八十二条の二の三項で、これはミサイル司令官というような形が出てくるわけですけれども、こうしたミサイル司令官も、これも長官の任命になるでしょうか。

大野国務大臣 
ミサイルの場合に、例えば海上自衛隊、それから航空自衛隊が一緒になってやっていかなきゃいけない、これはもう説明するまでもないことでございます。しかしながら、その一緒になってやる場合の統合運用、統合任務部隊の組織でございますが、これは常設ではありません。したがいまして、いわばそういう常設ではないBMD統合任務部隊を組織する、こういう言葉を使っております。統合任務部隊を組織する、その場合には、防衛庁長官がその隊長、部隊長を指示する、こういう形になります。任命という言葉は使っておりません。

武正委員 
そうすると、任命ではなくて、あらかじめ決まっている人に指示をするというのは、具体的にはどういうことでしょうか。

大野国務大臣 
司令官といたしましてふさわしい者をその長に指示する、あなた、やりなさいということでやるわけで、新たに辞令が出るわけではない、こういう意味でございます。

武正委員 
新たに辞令が出るわけではないけれども、あなた、やりなさいと言うというのを指示というんですかね。(大野国務大臣「そういうことです」と呼ぶ)ということですが、任命と同じようなことなのかなというふうに思います、指示をするということでありますが。

先ほどの統合幕僚長ですが、例えばこの統合幕僚長の人事を国会の同意人事とするようなことというのはできないんでしょうか。私は、これは各委員会で、例えば大使人事などもそうですけれども、とにかくもっと国会が関与していかないと、なかなか全権大使が、例えばこれは外務委員会マターですが、BSEの輸入牛肉のそうした交渉でも大変な役割をしているとか、あるいは農水次官が今チェコ大使になっているとか、そういったところも含めて、国会がやはり各省庁の人事に、特に大事な人事については関与をしていくべきではないか。あるいは、これは財務金融委員会でありましたように、日銀総裁、副総裁の人事に関しても、国会で同意人事した後、財務金融委員会で就任の前に呼んで話を聞くというような新たな改正もされているわけなんですけれども。

このたび統合幕僚長にかなりの権限を集中する。私は、権限は集中していいと思うんですよ。ただ、そのかわり責任を負ってもらわなきゃいけないので、その責任を負うに、やはり私はシビリアンコントロールの一つとして国会が絡むべきであろうというふうに思うので、国会がその人事に関与を何らかしていくべきだというふうに思います。一つが国会の同意人事かもしれませんし、あと今言った幾つかの例があるのかもしれませんが、この点についてはいかがお考えでしょうか。

大野国務大臣 
一つの考え方であろうかとは思います。しかし、我が国の統合幕僚長人事には私は適しない考え方ではないか。なぜならば、統合幕僚長の上に長官がおるわけでございます。長官は国会承認、同意人事ではありませんという問題が一つあろうかと思います。

自衛隊員の人事については、自衛隊法第三十一条において、防衛庁長官あるいは長官の委任を受けた者が行うというふうに定められておりまして、統合幕僚長職の人事については、その重要な職責及び自衛官の最上位にある、こういうことから、防衛庁長官が選び、さらに内閣の承認を得る、そして防衛庁長官が任命する、政府としてこのような手続を経て責任を持ってこの人事を決めていく、こういう体制でございます。国会同意人事にまではちょっとなじまないのではないか、このように思っております。

武正委員 
防衛庁長官が国会同意人事じゃないから同意人事にすべきでないというのもわかりませんし、あとは、それだけ権限が集中するわけですから、シビリアンコントロールの観点から国会が人事に何らかの形で絡むべきであろう、これは私の意見として再度申し上げさせていただきます。

また、自衛隊員は特別公務員であるということも一つ、他の官庁の公務員とはまた違うといった観点からの国会の関与のあり方もぜひ御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

先ほどの、ミサイル司令官の指示というのはよくわからないものですから、委員長にお願いをして、任命と指示がどう違うのかをぜひ文書で御提出をいただきたいとお願い申し上げます。

小林委員長 
はい、わかりました。理事会で取り扱います。

武正委員 
ありがとうございます。
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