国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2005年11月30日 【沖縄北方特別委員会】

武正委員 
民主党の武正公一でございます。
 大臣が就任されてちょうど一カ月になろうというところでございますが、民主党は、第三次小泉内閣のもと新大臣の所信表明も聞くべしということで、衆議院議長あてに臨時国会の開催要求を既に提出しておりますが、なかなか政府がそれに応ずるところがございません。与党にもそのことを求めておりますが、政府・与党、応ずる気配がないところでございます。
 
そうした中で、きょう、閉会中審査ということで、沖縄北方特別委員会が開かれておりますので、まず、ちょっと質問通告にはないんですが、外務大臣には、新しい外務大臣としての外交哲学というか、これをぜひ、端的にお話しいただければなと。外交とは何ぞや、あるいは、外務大臣として、特に麻生外務大臣としてどんなことに力を入れていきたいのか。麻生カラーというんでしょうか、そういったことも含めて、冒頭、所信表明がまだない段階での質疑になったものですから、簡単にそれを御答弁いただければありがたいと思います。

麻生国務大臣 
外交は、日本の国益をしょっていろいろ対応していくことになりますので、基本として、日本の国益を損なうことのないよう、いろいろな点で配慮して今後とも対応していかねばならぬ問題だと思っております。
 
いろいろな問題があることも事実ですけれども、私どもとして、外交全般が、特に日本にとって、極めて厳しいところもありますけれどもうまくいっているところもありますので、全体として、百九十一カ国今たしかあると思いますが、そういった国々というものの関係を大事にしながら、日米安全保障条約というものにつきましては、これは、日本が自力で日本という国を確実に防衛できる保証がないという前提に立ったときにおいて、日米安全保障条約というのは有効に作動していると思いますので、これを基本としながら、近隣諸国、アジアを含めて、私どもとしては、その関係を大変大事にしていかねばならぬものだというのは基本だと思っております。
 
しかし、一番大事なことは、この日本という国の国威とか国益とかいう点につきましてはきちんとした配慮というものがなされなければならぬというのは大前提だと思っております。

武正委員 
先ほど触れたように、その中で、麻生外交というんでしょうか、麻生外務大臣としてそこにどのような特色を、今のがやはり基本ということだと思いますが、特にここの部分をという、何かそういったものがあればお聞かせをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 
あさってから多分アメリカに行くことになるんだと思いますが、日本という国は、今、東アジア共同体というものが今話題に大きくなりつつあると思っておりますが、こういうような一つの共同体みたいなものがいろいろな形でできていくというのは非常に重要なことだと思っております。APEC、ASEAN、いろいろありますけれども、私どもとしては、バイの関係も大事ですけれども、こういったマルチの関係というのは大事なものであって、特にこの東アジア共同体というのは大いに力を入れていかねばならぬところだ、私自身は基本的にそう思っております。

武正委員 
もうちょっとこの議論は深めたいんですが、沖北ということで、予定された質問もあります。
 
ただ、過日の日米首脳会談でも、これは首相の記者会見でも述べられておりますが、日米関係が良好であるからこそ、中国、韓国、ASEAN等を初め他国とのよい関係が維持されていると。日米同盟と国際協調が両立ということでイラクへの自衛隊派遣もしたときの国会答弁からは、やはりかなり日米同盟に踏み込んだ今のスタンスではないか、こういった危惧が正直ございます。
 
そうした中で、今、麻生外務大臣は、やはりバイも大事、日米安保も基軸、これは私も同じでありますが、やはりマルチあるいは東アジア外交、こういったことに力を入れていきたいということでございますので、ぜひその点に御配慮をいただきたいというふうに思います。
 
さて、過日の日ロ外相会談あるいは日ロ首脳会談でございますが、新聞報道で、四島の共同開発を外相が提案した、こういうような報道がございまして、それに対して十八日の記者会見では、両方で見合ったまま何もしないのではなくて、何かを一緒にやるというのが大事なのだと思うのです、新しいアプローチとしてそういったことを考えることの一つとして、経済というものは大きいのではないのかな、社会資本の充実でもいいです、こういうような記者会見をして、両会談ではそのことは直接は提起はしていないんだ、こういうような答えがあるわけです。
 
もう一度、事実確認として、両会談で四島の共同開発を提起したことがありやなしや、そしてまた、その後の記者会見で触れている、そうはいっても現実を打開するには経済、社会資本の充実というこの記者会見の内容、これについて御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 
十六日の日ロ外相会談、これは昼食を挟んでの外相会談だったんですが、私どもの方からロシアに対して、公式にも非公式にも、北方領土における共同開発等々の提案、打診を行ったという事実はありません。これがまず最初の御質問に対するお答えです。
 
二つ目の話は、戦後六十年を経ました今日に至っても、ずっとおれのものだ、おれのものだと両方で言い合ったまま、六十年間、平行線をたどってきておるわけなので、こうした現状をずっと永遠に続けるというのもこれは双方の国益には合致しないと思っております。
 
したがって、こういった認識に立って、双方で立場が隔たっているという現状は確かなんですが、少なくとも双方で信頼関係というのを構築するということは大事なんだと思っておりますので、私どもとして、何か一緒にやるというのを考えてみるというのは一つの方法と思います。それは記者会見で申し上げた話でありまして、それを正式に向こうに打診したということでもありませんし、今、省内でそういった共同開発についてプランを練っているということでもございません。

武正委員 
小池北方大臣にちょっとお聞きしたいんですが、今の外務大臣の、共同開発は提起していないんだと。私はそれはもう至極当たり前だというふうに思っております。東京宣言の九三年、四島の帰属を確認して平和条約の締結、これを最優先、日本の対ロ外交あるいは北方四島交渉の柱としてやっているわけですから、そこに、それを邪魔するというか阻害する四島共同開発論というのがあってはならないというふうに思うんですが、沖北大臣にこの点についての御所見。
 
特に、今回、日ロ首脳会談、先ほど来のやりとりで、五六年、九三年、〇三年、これらの諸合意について首相が確認を求めても、それに対して明確なプーチン大統領の答えはないわけですよ。それについて答えずに、別なことを言っている、すれ違いですね。今回はそういう首脳会談になった、大変残念な結果だと思うんですが、そのもとは、私は、日ロ行動計画にあったのではないかというふうに思っております。

 この日ロ行動計画、ほぼ三年前になりますが、領土よりも経済優先という誤ったメッセージを与えかねないということで、中曽根元首相初め二十四名の方が、代表佐瀬昌盛さん、その意見書というかメッセージを官邸あるいはロシア大使館に届けておられます。

 私は、やはり三年前にその遠因があって今回の日ロ首脳会談になっているというふうに思っておるんですけれども、四島共同開発、あるいは、領土よりも経済という誤ったメッセージをこの三年間訴え続けているのではないか、それが今回の日ロ首脳会談に結びついているのではないかというこの考え方についての御所見を伺います。

小池国務大臣 
共同開発についての言及があったのかどうかということについては、たった今外務大臣の方から直接の御答弁があったと思います。私も確認をいたしましたけれども、その点については交渉の中では一切語られていないという報告を受けております。

 また、この間における日本からのメッセージが誤ったかどうかということについては先方に聞いてみなければなりませんが、いずれにいたしましても、今回この北方領土問題についての解決が見られなかったということは至極残念でありますし、また、島民の皆さんの気持ちがより近くわかるだけに、非常に私自身は残念を超えているような思いでございます。
 領土問題、難しいことは重々承知をいたしておりますけれども、より外交当局の皆さんも真剣にこの問題に取り組んでほしいし、時間的なことについてもしっかり、そういう感覚というか、一言で言えば緊張感を持って当たってほしい、国民運動を担当する者としてそのように思う次第でございます。

武正委員 
小池大臣には、北方四島にも既に渡られて、また、特に択捉島でしょうか、日本の家屋二軒の視察、あるいはそれに基づく議員連盟の活動にも大変サポートをいただいていることに深く敬意を表する次第でございます。ぜひ国民運動として、この北方四島返還、引き続きその先頭に立って取り組んでいただきたいとお願い申し上げます。

 先ほど触れた二十五名のメッセージ、改めてその一部を読みますと、「ロシア側では、領土問題を解決しなくても両国関係の発展は可能だとの判断が生まれ、平和条約問題に真剣に取り組む意欲が減殺されるおそれもある」と。こういったことも含めて、領土よりも経済を、こういった誤ったメッセージを与えているのではないのか、こういう指摘があるんですけれども、麻生外務大臣、こうした二十五名の指摘が日ロ行動計画発表後にあって、そして、今回の日ロ首脳会談で、先ほどの九三年の東京宣言を初めとする確認を首相が大統領に求めても、それに対する返事はなし。誤ったメッセージを日本外交は与えているのではないか、こういう指摘。もちろん、先ほど共同開発論は否定をされましたが、ましてやそういう報道が外相から出されたということがさらに誤ったメッセージをロシアに与えているのではないかということを危惧するわけでございます。

 あくまでも領土についての、六十年たって解決しないからああだこうだではなくて、やはりこれは、先ほど私が日本外交の基本は何ですかというときに、国益を守るというふうにおっしゃられました。私は、領土、領海を守る、国民の生命財産を守る、これがやはり基本だというふうに思っておりますので、この領土交渉というものは大原則である、それが誤ったメッセージを与えてはいけないというふうに考えるんですが、こういった領土よりも経済をという誤ったメッセージを与えているという指摘に対しては、言下にそういうことはないというふうにお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
二〇〇三年のいわゆる日ロ行動計画の話が向こうに間違ったメッセージを与えたのではないかという御指摘というのが今問題になっている観点なんだと思うんですが、そんな間違ったメッセージを与えたという感じはありませんし、また、事実、今回の日ロの首脳会談等々、私どもの日ロ外相のレベルにおきましても、同様にこの領土問題というのはきちんと従来と同じことを言い続けてきておりますので、私どもとしては、間違ったメッセージを与えて、経済さえうまくいけば領土問題はおのずと解決するというようなニュアンスが向こうに伝わっているとは考えられないと思っております。

武正委員 
事実、先ほども触れておりますように、大統領が、首相がそうした三つの両国の文書についての確認を求めてもそれに対する返事がないということがその証左というふうに、私は重ねて指摘をさせていただきます。

 さて、沖縄の問題に移らせていただきます。
 防衛副長官もお見えでございますので、今回の普天間基地返還後、キャンプ・シュワブ沖について、両国の中間報告での合意でございますが、滑走路を従来よりも三百メートル延ばしたり、あるいは滑走路の北側に大変広大な埋立地をつくろうとしている。そういう計画で合意をされているんですが、これはなぜ三百メートル延ばしたのか、また、その北側の場所には何をつくろうという話になっているのか、これが一点。

 それと、先ほど同僚委員からも指摘があった、公有水面埋立法特別措置法、予定海域の使用権限を知事から国に移す、こういうことが喧伝をされているわけですが、こうしたことを考えておられるのかどうか、あるいはそういう協議がされているのかどうか、政府内でのそういう御検討があるのかどうか。
 この二点をお答えいただきたいと思います。

木村副長官 
SACOの最終報告には、代替施設につきまして、普天間飛行場に所在しますヘリコプターだけではなくて、短距離で離発着のできる航空機の運用ということも記されているわけであります。そこで、具体的に考えられる小型機、輸送機というのを考えますと、例えば人員輸送用のC12小型プロペラ機やC35、C21という小型機の離発着というもののニーズがあることが考えられます。そこで、先般の2プラス2の共同文書で、今御指摘あった千八百メートルというふうになったわけであります。例えば、C21という人員輸送用の小型機でありますが、最大の積載量で、離陸時で約千五百十五メートルぐらいは距離的には必要だというふうになっているそうでありまして、そういうことで今回、千八百メートルというふうになったわけであります。

 それから、北側のエリアにというお話でありますが、この北側には、大浦湾内に建設予定の区域というものには、例えば格納庫あるいは整備施設、燃料補給用の関連施設などが考えられますので、一般に、飛行場というか、それに必要不可欠な施設がそこに配置されていくものと考えております。

 それから二つ目の、公有水面の埋め立てにかかわる御質問でありますが、御指摘のような特措法の検討などを行っている事実は全くございませんで、これからも地元の自治体また地域の皆さんに誠心誠意御理解と御説明をしてまいりたい、こう思っております。

武正委員 
一番目については、V22オスプレーというような指摘はあったんですけれども、固定翼機が、今言った三種類などを含めて、そこで考えているというのは初めて聞くところでありまして、北部への基地の集中、あるいは普天間での施設よりもさらに機能が拡大するという地元の懸念というのはぬぐえない、長さ三百メートル延ばすということはやはり問題があるというふうに考えております。

 あわせて、北部地域、貯蔵というようなお話がありましたが、後でちょっと、もう一つ後の質問になりますが、那覇の港湾施設、牧港補給地区北側移設見直しについて、シュワブ沿岸に移設というような報道もあるわけですけれども、まずは、ここに港湾施設、この北部地区ですね、先ほど貯蔵施設と言いましたが、これは、例えば那覇港湾施設は五十七ヘクタールあって百五十メートル埠頭が八つあるんですが、こういった港湾施設も、あるいは埠頭も含まれているのかどうか。いかがでしょうか。

木村副長官 
SACOの最終報告におきましては、牧港の補給地区につきましては、国道五十八号線に隣接します土地約三ヘクタールを返還し、また、今お話があった那覇港湾の施設におきましては、浦添の埠頭地区約三十五ヘクタールへの移設と関連して、同港湾施設約五十七ヘクタールの返還を加速化するため最大限の努力を共同で継続していくということになっております。

 また一方で、今回のこの共同文書におきましては、嘉手納の飛行場以南の人口が集中している相当規模の土地の返還の可能性について御提示しているわけであります。
 これらに伴いまして、どの米軍施設あるいは区域がいつどのような条件のもとで返還可能かということにつきましては、来年三月の計画策定に向けて、日米間の協議の中で加速化を図っていきたい、こう考えております。

武正委員 
今お聞きした中に、キャンプ・シュワブ沖の移転施設の北側地域にそうした港湾施設あるいは埠頭、こうしたものも建設をするのか、それも含まれているのかお聞きしたんですが、いかがでしょうか。

木村副長官 
先般のこの共同文書におきましては、大浦湾内に建設される予定の区域において、普天間の代替施設の格納庫、先ほど言った飛行場として必要とされるそういった施設を考えておりまして、今御指摘の点はないというふうに思っております。

武正委員
思っておりますじゃなくて、あるんですか、ないんですか、お答えください。

木村副長官 
移設されることはありません。

武正委員 
移設ではなくて、埠頭など港湾施設を建設することはないということでよろしいですか。

木村副長官 
ありません。

武正委員 
このキャンプ・シュワブ沖の普天間代替施設について、既に外務委員会でも前外務大臣にお聞きをいたしましたが、いわゆる知事、市長から出され、そして日米の協議の中でしっかりとそのことを明確に主張していこうという閣議決定もされておりますいわゆる十五年使用期限、これについて、今回、中間報告ではこれが盛り込まれているということでよろしいでしょうか、外務大臣。

麻生国務大臣 
使用期限の問題につきましては、沖縄県知事等々、地元から御要請がなされておるということについては重く受けとめております。私どもとしては、今回の2プラス2におきましてこの問題は取り上げられておりません。

 それで、今回の代替施設案では軍専用施設の建設が想定されるということに至っておりますので、いわゆる使用期限問題の扱いにつきましては、沖縄県知事と、この問題につきましては、別によく相談をしていかねばならぬ問題だと思っております。

武正委員 
2プラス2では話をしていないということで、今回中間報告には盛り込まれていないということでありますが、やはりこれは、これまで沖縄の県民の皆さんに対して説明をしてきた、普天間の代替施設、キャンプ・シュワブ沖の施設を建設しても、十五年で日本に返還というか、あるいは地元の施設として返還をする、米軍から返還ですよ、こういったことでSACO合意に基づいて既に九年交渉してきた、この土台の交渉の前提を県民に対して崩すということになるのではないかというふうに考えますので、やはりこれは、最終報告に向けて、改めてこの十五年使用期限については日米間の交渉でしっかりとそのことを求め、そして、これまでどおり沖縄県民に対しても説明を果たしていく必要があるというふうに考えております。

 沖北大臣にもお聞きをしたかったんですが、時間の関係でこの点はちょっと飛ばさせていただきます。御容赦ください。
 さて、今回、グアムへの海兵の七千人の移転ということでございますが、キャンプ・コートニーでしょうか、司令部あるいはまた後方要員というようなことでありまして、果たしてこれが本当に県民の望む沖縄のそれこそ負担の軽減につながるのかどうかということは、やはり議論が分かれるところだと思います。
 さて、その移転費用ですが、移転費用あるいはそれに関連する費用、移転費用が四千億だとか関連費用を含めると一兆だとか、こういった数字が飛び交うわけですが、一体、実際幾らかかるのか、そしてまた、それについて日本側の負担をどのように考えているのか、そしてまた、そのためには当然予算をしていかなければなりませんが、新規立法の必要性があるかないか、それを通常国会に提出という報道もありますが、この点について、外務大臣に御所見を伺います。

麻生国務大臣 
今御指摘のありました点の一番の問題は、沖縄にとりましていわゆる大きな負担の軽減となりますこの沖縄海兵隊の移転という話で、家族を含めてグアムへ移転をさせるというのが早く実現するということは、これは沖縄にとりまして非常に大きな問題であろうと思っております。したがって、グアムにしかるべき代替施設というのが早期に整備されることが必要ということになろうと存じます。

 日本としては、資金的な問題も含めまして、そのための措置というものにつきましては、これは検討していきたいと考えてはおります。ただし、現時点で、どういうことを具体的にやるかということに関しては、全く向こうから提案もあっておりませんので、今の段階で申し上げることはありません。
 また、現時点において、今新規立法を考えているかというお話でございましたけれども、今の段階で考えていることは全くございません。

武正委員 
向こうから提案がないから考えていないということでよろしいんでしょうか。来年の三月には最終報告をまとめるんですが、提案がないから考えていないということなんでしょうか。やはりこちらの側で、両国で七千人の移転を合意した中間報告、それを最終報告に向けて作業を進めていくわけですから、当然それについて、どのように諸費用を負担するのか、その捻出あるいはその負担割合、その価格が本当に適切な価格なのかどうかの検証、こういったものは当然御担当者としてもう既に進めておられるというふうに思うんですが、やはり説明責任として重ねてお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 
御指摘の点は今後出てくる問題であることは確かだと存じますが、今の段階で、具体的に幾ら、どういうことをやるということに関しましては、まだ全く出てきておらないというのが現状だ、私どもはそのように理解をいたしております。

武正委員 
この点は、地位協定の二条で、不要となった米軍施設の返還義務などがありながらも、これまで横浜市根岸区住宅地区、遊休四施設返還については、かわりに住宅建設の交換条件が出てきたり、相模総合補給廠の返還についても今回合意ができていなかったり、これは前原代表も指摘をしている横田の航空管制権、こうした返還も未合意であるなどの中で、七千人移転だ、沖縄の負担軽減だよ、そのかわり四千億、一兆円ちゃんと負担してくださいよなどというのを言われるがままに認めるようなことは、やはり決してあってはならないことだというふうに思います。
 
ましてや、国外の米軍施設について、その費用を日本国の国民の税金で負担をするということはこれまでないし、各国でもそういうことはあり得ないことなので、もしその点を踏み込もうとするのであれば、やはり事前に国会あるいは国民に向けてのきっちりとした説明責任が図られてしかるべきで、もう最終合意まで四カ月もないこの時期に、今もってそのような答弁というのは決して容認できないということをあえて申させていただきます。
 
そこで、先ほど来、地位協定の改定について御議論があります。私は、例えばここで特別な新規立法や推進法をつくるよりも、やはり地位協定の改定で何かそういったものが補完できないのか。あるいは、あわせて地位協定の改定を、これは沖縄、神奈川の両知事が既に提案をまとめておりますし、来月シンポジウムを開くようでありますが、これだけの大きな米軍再編に関しての日米両国の最終合意がこの三月に予定をされておりますので、やはり地位協定の改定ということがここでしっかりと盛り込まれていくべきだというふうに私は考えております。
 
外相は先ほど来、運用改善運用改善というふうにおっしゃいますが、既に、昨年の米軍ヘリ墜落事故の際も、SACO最終合意における運用改善で事故の報告を速やかに日本政府に行うという事故報告の義務が運用改善では果たし得なかったという、やはりそうした事実があるわけですので、私は、ここは地位協定の改定をやはり政府として、これだけ大きな、これから費用負担も伴う最終報告をまとめるに当たってぜひとも必要だと考えますが、外務大臣の御所見を伺います。

麻生国務大臣 
先ほども御答弁を申し上げましたとおりなんですが、基本的には運用改善というもので、私どもとしては、しかるべき実はそれなりに上げてきたと思っております。
 今御指摘のありました点等々、個別に挙げますと、いろいろ出てきているところはよく承知しておるところではありましょうけれども、地位協定という全体をもとから動かすというような話よりは運用改善の方が私どもとしては現実的ではないか、基本的にそのように考えております。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。
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