国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年3月10日 【外務委員会】

武正委員 
 おはようございます。思いやり予算二日目の質疑ということで行わせていただきます。

 まず、水曜日、八日のときに、ちょうど日中の局長級協議が終わった後でございましたので、外務大臣にその内容、そして伝えられるところの中間線両側での共同開発は拒否、そして新提案、尖閣諸島周辺での開発提案、これに対する所見を伺ったんですが、佐々江さんは午後帰ってくる、まだようわからぬということでの答弁でございましたので、再度、この内容、そしてそれに対する所見を伺いたいと思います。

■麻生国務大臣 
御指摘のありましたように、六日及び七日に北京で行われました東シナ海等に関する日中協議におきまして、中国側から、東シナ海の北及び南の二地点に関して共同開発の提案というものが行われております。

 中国側との申し合わせもありまして、交渉中のことでもありますから、中身を詳細に申し上げることは差し控えさせていただきますが、日本としては、中国側の提案につきましては、その中身は吟味していく必要はあるとは思いますが、これまで我が国が主張した話とは相入れられないものだと思っております。

 また、中国側から、日本側の提案は問題があるということを向こうも言っておりましたけれども、いずれにしても、日中双方が提案を引き続き検討するということで、次回協議においてお互い考え方を示すということになっております。

 いずれにしても、日本としては、主権の確保というのは大事なところだと思いますので、東シナ海というところで、双方話し合いの上できちんとした形での協力の海というものにしていく方向で努力をしていきたいと思っております。

武正委員 
双方内容についてはということですが、きのうの報道では、中国の報道官が尖閣諸島周辺での開発について認めた、こういうような報道もあるわけであります。今外務大臣、明言はなかったんですけれども、相入れない提案だったということでありますが、再度、中国の報道官も認めているこの尖閣諸島周辺での開発という提案があったのかなかったのか、お答えいただけますでしょうか。

■麻生国務大臣 
中国側の提案の詳細についてはお答えできないと先ほど申し上げたんですが、尖閣諸島が日本の固有の領土であるなんということは、これはもう歴史的にも国際法上的にも全く疑いの入れないところでありますので、日本もこれを有効に支配しておると思っております。したがって、中国との問題で解決すべき領有権の話とかいうものの問題はそもそも存在していないと思っております。

 一般論として、これが我が国の立場でもありますので、いわゆるそういうものと相入れられない共同開発については、私どもは応じる考えはございません。

武正委員 
きょうは委員会に官房長官の御出席を再度求めておりましたが、残念ながら理事会で、官房長官は出席ができないということでございました。

 長勢官房副長官がお見えでございます。

 これは質問通告にないんですが、先般来この話を外務大臣ともやりとりしておりまして、実は外務委員会は一月に沖縄に視察をいたしまして、海上自衛隊機で上空から、それこそ日中中間線の春暁、天外天を確認し、そして尖閣諸島も上空から私は確認をいたしましたが、そういうときに、石垣市長から、ぜひ課税対象の尖閣諸島に上陸をしたいんだ、こういう要請を我々外務委員会一同受けたんですね。

 今のような、そもそも領土問題はないという外務大臣の、まさに私はそのとおりだというふうに思いますが、さりとて地元の市長が上陸をしたいというのに、政府、とりわけその課税については、地方税ですから担当は総務省なんでしょうか、前総務大臣ですから麻生大臣の方が詳しいかもしれませんが、拒否をされている、こういうような話なんです。

 きょうはせっかく官房副長官においでいただいていますので、どうでしょうか、私はやはり、石垣市長の上陸したい、当然領土問題もないという外務大臣の話ですから、上陸して当然だと思うんですが、いかがでしょうか。

■長勢内閣官房副長官 
今の問題、私も、通告もなかったものですから十分勉強いたしていない部分がございますが、尖閣諸島四島はもともと私有地であり、平成九年四月、当該四島の所有者から、国の機関を除き上陸等を認めない、また、第三者による権利侵害行為に対し厳重な対処を求める旨の要請が行われております。

 また、平成十四年四月には、政府が尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持を図ることを目的として、尖閣諸島について当該所有者から賃借を開始いたしましたが、この所有者の意向を踏まえ、かつ、賃借の目的に照らして、原則として上陸を認めないとの方針をとってきているところでございます。

 したがって、上陸を認めるかどうかについては、土地所有者の意向、政府の賃貸目的などを十分に踏まえて検討していく必要がある、このように考えておるというのが現在の方針でございます。

武正委員 
地方自治体の首長として、課税対象のその市の面積でありますので、対象でありますので、私はやはり、地元自治体の首長としての上陸をして、しっかりと課税がいかにあるべきか、このことを認めていく、これは当然の政府としてやるべきことであるということを再度申し上げておきます。

 そこで、先ほど来、この思いやり予算に絡めて今進行中の日米審議官級協議の内容について、再三同僚委員から質疑がございます。

 先ほど河相北米局長からは、当初、最初の二日間はグアムへの移転経費についてはまだ協議していない、こういうことがあって、再度山口委員から聞きましたら、いや、実は最初からちょっと始めているんだ。答弁の変更もあったような、大変あいまいな答弁が続いておりますが、二日前にも外務大臣に聞きました、審議官級協議の内容はどうですか。先ほど来のやりとりでは、いや、まだ協議中ですということでありますが、当然対処方針はある。

 そして、先ほどは、日本が負担するグアムへの移転経費、その中で、いわゆるこれまで見てきたクラブなどの設備等、こういったものを日本ではもう平成十二年以来認めないということでやっているんだから、当然そのことは認めませんね、こういったことも求めているわけでございますが、今の審議官級協議の二日も経て、この二日間のやりとり、そしてまた対処方針、どのような対処方針で特にグアムへの移転経費の負担について指示をし、今協議が進んでいるのか、お答えをいただけますでしょうか。

■麻生国務大臣 
ちょっと長くなりますけれども、日米間におきまして、いわゆる日本時間の八日から外務、防衛当局の協議が行われております。

 協議の具体的な詳細につきましては、ちょっと米軍の関係もありまして、お答えは控えさせていただきますが、五点。

 まず、沖縄につきましては、普天間飛行場代替施設の具体的なあり方、在沖縄海兵隊の削減やグアムへの移転及びそれに伴う嘉手納飛行場以南の土地の返還に関する計画の具体化などにつき協議。

 二、在日米軍司令部の改編などについては、これに伴うキャンプ座間及び相模総合補給廠の効果的かつ効率的な使用のあり方について検討。

 三、横田飛行場につきましては、航空自衛隊の航空総隊司令部、府中にあります司令部の移駐に関する詳細な検討を行っております。また、横田空域のあり方、横田飛行場の軍民共用化にかかわる検討を行っております。

 四、空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐、それに伴います関連措置につきましては、滑走路の沖合移設後の岩国飛行場のあり方をも念頭に意見交換を進める。

 五、そのほかにも、普天間飛行場の空中給油機KC130の移駐やXバンド、Xバンドというのはウルトラ・ハイ・フリークエンシーです、Xバンドのレーダーの配備などについても取り上げております。また、飛行場にかかわる案件につきましては、飛行経路やその他の騒音にかかわります影響などにつきましても議論をしてきております。

 これらについて、日米の共通の理解に達した論点につきましては、地元からの質問に答える形などで地元にも今後説明をしていきたいというように考えております。

 以上です。

武正委員 
グアムへの移転経費の負担額あるいは割合、そして、先ほども話がありましたその対処方針についてはいかがでしょうか。

■麻生国務大臣 
今御質問のありました中で、海兵隊のグアム移転に関し、資金的な措置を含めて検討はされております。これは、正直言って、ほかのものが最初に出ましたものですから、そんな最初からやったわけではありません。協議はいまだ継続中ということでもありますので、ちょっとこれに対して詳細はまだお答えできるようなところまで詰まってはいないというのが正直なところです。

武正委員 
昨年の十月の2プラス2合意以来、協議をしてきております。そのことはもう既に外務省はお認めでございます、防衛庁も。ですから、詰まっていないということで、もう三月末の最終合意、これは昨年の2プラス2でも合意をされているわけです。三月末までにこれをまとめる、双方努力する、これを双方で確認しているわけですが、今もって、もう二週間もないのに今のような御答弁しかできない、そういう協議状況ということでよろしいでしょうか。

■麻生国務大臣
 かなり厳しいことになっているのは事実です。

 まず、払う払わないの話に始まり、真水でやるかローンでやるか等々を含めて、正直申し上げて、ゼロか一〇〇か五〇にするか、もうとにかくごちゃごちゃいろいろ、かなり激しい応酬が続いているということが事実として申し上げられるところだと存じます。

武正委員 
激しい応酬と言われますけれども、もう既に、巷間、四月一日、二日、2プラス2、この協議をやるんだ、外務大臣、防衛庁長官も訪米をするんだ、こういうような報道がありますが、そうすると、もうあと二週間でその最終報告、合意、2プラス2ですけれども、間に合うんですか。

■麻生国務大臣 
間に合わせたいと思っております。この三月の十八日に、私、シドニーで、ライスそれからオーストラリアのダウナー等々と日米豪の会議をすることにいたしておりますけれども、その席で、アメリカの方から、日米バイの会談を申し込まれてきておりますので多分この件にも、避けて通れない話題の一つだと思っておりますが、ぜひ三月末にまとめる。

 先生、これは一日おくれたからどうのこうのという話じゃありませんけれども、できないとやはり、期日はある程度切っておきませんとなかなか前に事は進みませんので、私どもとしては、ぜひ三月までにまとめたいという方向で取り組んでおります。

武正委員 
そこで、本来は官房長官、お見えいただけなかったのが大変残念ですけれども、今週月曜日の記者会見、再度副長官にもお見えいただいておりますが、今、外務大臣は、まとめたい、まとめなければいけないと。確かにそうなんですね。去年の十月二十九日の2プラス2合意では、再編に関する勧告でこのように書いております。

 「閣僚は、地元との調整を完了することを確約するとともに、事務当局に対して、これらの個別的かつ相互に関連する具体案を最終的に取りまとめ、具体的な実施日程を含めた計画を二〇〇六年三月までに作成するよう指示した。」ここで、地元との調整を完了することを確約することという文脈がこの2プラス2で双方合意をしております。

 地元との調整を完了できるんですか、二週間で。まず外務大臣、いかがですか。

■麻生国務大臣 
これは、まとめる、誠心誠意努力をして、基本的にはなるべく地元負担も軽減することなんですからということで、私どもとしては、ぜひ地元の了解を得るべく、今いろいろな形でお願いをさせていただいたり話し合いをさせていただいたりしておりますので、ぜひ三月いっぱいまでにまとめたい、私どももそう思っております。

武正委員 
長勢副長官、再度聞きますが、月曜日、安倍官房長官はこのように述べている。「(三月末の日米の最終報告と地元との合意と)どちらが先か、一日も早く地元との合意が得られればいいが、他方で最終合意は日米が協議していることであり、日米で協議が整い次第、それが最終合意になる。」日米で協議が整い次第、それが最終合意になる、これが月曜日からの政府の政策転換ではないんですか。

 先日、おとといですか、こういう協議の三月末という締め切りを控えて、外務大臣も焦っている、そういうことで、今週月曜から、官邸、官房長官は、地元との合意よりも日米間の合意、これを優先というふうに転換をしたんではないですか。官房副長官、いかがでしょうか。

■長勢内閣官房副長官 
昨年の2プラス2の合意において、本年三月までに最終的な取りまとめを行うという旨事務当局に対して指示をしたということでありまして、それを踏まえて、現在、精力的に検討して、協議を続けておる状況でございます。

 当然、この内容について関係府県においていろいろ厳しい御意見があることは承知をしておるわけでありますけれども、この再編について、地元地方公共団体を含めて、国民の理解がなければ大変実行が難しいということは当然でございまして、政府としてはもう誠心誠意、昨年来、防衛庁長官あるいは外務大臣も含めて、何度も地元に足も運び、御協力をいただく、また説明をするという努力をずっと続けておって、これをしっかりやっていこうというのが変わらない政府の一貫した方針でございます。

 御指摘の官房長官の記者会見での発言についてでございますが、当然、安倍長官も政府の方針を踏まえてお話しになっておられますし、それをきちんといつも申しておられるわけで、今お話しになった記者会見の発言、読みようにもよるんでしょうけれども、当然、協議が整わなければ最終合意にならないのは当たり前のことでありますし、むしろ、協議をする過程において地元との調整、理解を得るということをきちんとやるということは繰り返し申し上げておられるわけですから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。

 そういう意味では、新聞の記事等で見出し等が、何というんですかね、相当何か、今おっしゃったような、転換をしたのではないかということを強調した見出しになっているのもどうかなと。毎日新聞では、「地元合意なしでも」というような見出しがつけられたようでありますし、朝日新聞でも、「地元の納得なくとも」という見出しで報道がされておるようでありますが、そういう趣旨でおっしゃったんではないと私どもは思っております。

 ちなみに、昨日、官房長官の記者会見では、報道側から、今後、政府として地元の合意を得ないまま最終報告をまとめるというお考えもあるのでしょうかという御質問があったようであります。

 それに対して、官房長官からは、中間報告が出た後、地元に対して防衛庁を中心に説明を行ってきたところでありますが、今後とも、政府案についてよく御理解をいただけるよう、誠意を持って説明を続けていかなければいけないと考えています、もちろん、地元の住民の方々にもいろいろなお気持ちもあると思いますので、こうしたお気持ちを酌みながら、しっかりと説明、説得の努力を重ねていきたいと思っておりますというふうに昨日の記者会見で述べておられるわけでありますし、こういう考え方を、累次、今までもずっとおっしゃってきておられるわけで、おっしゃったように、方針が変わったというふうに考える必要はないというか、そういうことではないというふうに申し上げたいと思います。

武正委員 
そうすると、昨年の2プラス2、十月の合意に基づいて、地元との合意、これを確約、そして、それで三月までに最終的取りまとめということでよろしいと理解をいたしました。

 さて、そうはいっても、稲嶺知事は今の沿岸案も反対であると副知事に続いて表明をされておりますが、防衛庁、きょう副長官お見えですが、どうやって、知事の、あるいは沖縄県、あるいは地元名護市、説得を進めるんですか。担当としていかがでしょうか。

■木村副長官 
先般もお答えしましたが、2プラス2の共同文書発表以降、額賀長官初め私ども手分けをして、沖縄県を初め各関係自治体等に御説明、あるいはまた、日米間の協議が進む中で、お伝えしながら、また御意見をいただきながらという姿勢を大事にしてきたわけでありますから、その姿勢は額賀長官もこれまで何度も国会等で述べておるとおり、その方針で努力を続けていきたいと思っております。

武正委員 
ただ、地元は沿岸案はだめだと言って、そして首相は日米合意のもとにやってくれと山崎衆議院議員に頼んだ、こういう報道になっているんですね。

 もう、首相も知事とトップ会談というような報道がきのう流れていますが、副長官、知事と首相は、会って、知事の説得を首相みずからやるということなんでしょうか。日程も決まったんでしょうか。

■長勢内閣官房副長官 
私自身は承知をいたしておりません。

武正委員 
外務大臣は、先般、やはり地元が、結局合意をとれなかったら、また後で大変なことになる、こういうふうに答えておられます。たしか金田副大臣が沖縄に行く、こういう報道もあるんですが、外務大臣みずから沖縄に行って、外務大臣としてもしっかり説得をする。今、日米間で、最終合意、ぎりぎりのところで大変な協議をしているけれども、でも、とにかく地元の気持ち、考え、それを十分酌み取ってやるんだよ、こういったことをするお考えはございますでしょうか。

■麻生国務大臣 
以前にも行ったことありますし、外務大臣に就任してからも行ったことありますし、稲嶺知事、こっちに上がってきたり、市長さん上がってこられたり、いろいろしておられますので、合意を何らかの形で得たいと思っておりますけれども、私ども、行く必要があるというように判断すれば、行くことになろうと存じます。

武正委員 先ほど確認をしたように、あくまでも、地元の合意、これを確約という昨年の2プラス2、十月のこの文書に基づき、政府として、それこそ首相そしてまた外務大臣、防衛庁長官、先頭になって、とにかく地元との合意、これを取りつけるために、もう三月末まであと二週間足らずでありますので、最大限御努力をいただくということをお願いしておきます。

 そこで、本協定でございますが、いわゆる平成三年から、光熱水料費、この負担が始まっております。

 また、お手元の理事会のお許しを得ての資料、これも比較していただきますと、これはパーセンテージ、手書きで大変恐縮なんですが、全世界における米軍に対するホストネーションのサポート、トータルに対して日本の割合はどうかということで、九七年五〇・六%、九八年五三・二%、そして九九年六〇・九%、そして二〇〇〇年六一・八%、これが一番新しい数字でありますが、年々全世界における日本の負担割合というものもふえている。

 こういったこともおわかりいただけるわけなんですが、そのユーティリティーについてということで、委員会配付資料にもありますように、ギリシャ、ノルウェー、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、しかし、最大のサウジアラビア百六十三万ドルに対して、日本の二億一千七百三十四万ドルは約百四十倍。光熱水料、なぜ五年前から同じ水料が負担なのか、こういったことについて、一体この五年間、協定にあるような節約努力をしてきたのか。

 そしてまた、書簡にある二のcですね。内容の通知は一体どうやっているのか。領収書を渡しているのか。そしてまた、契約変更。過去、では、そうした契約変更があったとして、ちゃんと通知しているのか。

 あるいは、書簡の三にあるように、見積もり、これはお手元の資料には防衛庁から単価も示されておりますが、一体この単価は競争原理が働いているのか。こういった見積もりをどういうふうに提出しているのか。

 以上、副大臣、お答えいただけますでしょうか。これは副長官かな。どちらでしょうか。

■木村副長官 
まず、御指摘ありました書簡の二のcに関してで、例えば契約の変更があったときという御指摘がありましたが、これにつきましては、在日米軍の方から私ども防衛施設庁に対しまして事前に通知をなされることになっております。また、在日米軍と業者との間で契約の変更等が行われた後に、在日米軍司令部の方から私どもの方に契約書の写しをいただいているところであります。

 それから、領収書のお話もありました。これにつきましても、毎月、在日米軍司令部の方から私ども施設庁の方に提出をいただいているところであります。

 それから、経費の見積もりについても御指摘がありましたが、私ども、米側の経費見積もりにつきましては、概算要求前に在日米軍司令部の方から施設庁に対して提出をしていただいております。

 我が国は、書簡の三ということでありますが、この特別協定の三条に関しての移転訓練にかかわる部分において、この実施手続を定めた往復書簡に基づきまして、訓練の移転に伴って追加的に必要になる経費の全部または一部を負担してきているところであり、具体的に申せば、硫黄島におきますNLP、あるいは本土の五演習場で実施されております沖縄県道一○四号線を越えての実弾射撃訓練、あるいは伊江島補助飛行場におけるパラシュート落下訓練、こういったものが対象とされ、かかる訓練につきまして米側の見積もりは、毎年、概算要求前に私どもに対して文書で提出させていただき、これを我々としてももちろん精査した上で、財政当局とやりとりしているということであります。

武正委員 
この国内の訓練移転費の経費見積もりを協定に入れた平成八年の変更のときの、平成七年の外務委員会議事録でも、政府委員からは、各会計年度ごとに我が国が負担することとする額は、アメリカ側から提供された経費項目、見積もり等の情報を踏まえて日本政府の側で決定する、つまり、額は米国政府からこういう額ですよということがされて、日本政府としてそれにこたえる。すべてこういったスキームで行われているがゆえに、今回のグアムについても、精査ということを言っておりますが、とにかく言い値で日本は払う、こういったスキームがずっと続いているんですね。

 これもそろそろ本当に変えないと、いつまでたっても、日本の税金が投じられる、本当にそれが競争原理が働いて適正な価格なのか、こういったところが絶えず言われなきゃいけないということでございますので、私は、やはりこの仕組み自体を変えていく必要があるというふうに思うわけでございます。

 副長官、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。

 官房副長官も、ありがとうございます。

 そこで、もう時間となりましたのでこれで終わらせていただきますが、今の協議にあって、地位協定の改定、これは地元の渉外知事会からも要望があります。地位協定の改定は協議の中で含まれているのかどうか、この点について、外務大臣、お答えいただけますでしょうか。

■塩崎副大臣 
この点については、武正議員御承知のとおりでございますが、これまで、地位協定については運用の改善ということで臨んでまいりました。刑事手続や環境等々で運用の改善を図っているところでございますので、引き続きこのラインでいきたいと思っております。

武正委員 
外務大臣、いかがですか。地位協定の改定を、ここの三月末の最終合意に向けて、やはりこのことをしっかり入れていくべきだと私は思うんですよ。地元の説得、地元の合意を得るためにも、私はこれは欠かせないと思いますよ。そして、2プラス2に臨む。やはり、本当に地元は地位協定の改定ですよ。地元自治体、本当にその合意を得るために、これは私は欠かせないと思うんですが、外務大臣、いかがでしょうか。

■麻生国務大臣 
今、副大臣の方からも答弁をしましたが、基本的には、これまで運用の改定ということでやってきて、事実、刑事訴訟やら何やら、日本がとにかく犯人の起訴前の身柄引き渡し等々、この間起きた事件もそうでしたけれども、世界じゅうで、起訴前の身柄引き渡しができているのはたしか日本だけだと思いますので、いろいろな意味で運用改善という方が、私どもから見ますと現実的には合っておるんじゃないかなという感じが率直なところです。

 ただ、地位協定ということになりますと、これはちょっと、世界じゅうやらないかぬことになるのかなという感じがしますので、私どもとしては、いろいろ貢献をしていることもこれあり、この種の話や問題が起きたときの条件は、我々が一番有利な条件にさせてもらって当然じゃないかという話等々がやれて、運用協定でここまで来たんだと思っておりますので、直ちに、地位協定を今回の段階に一緒にあわせてやるという考えは、今現在ではございません。

武正委員 
ボン協定なども改定していますし、例えば、低空飛行訓練の禁止などもボンでも改定をしております。日本が改定、これまでできていない、日本が改定したら諸外国に影響を与えるということはありません。やはり日本の地位協定の改定というのが地元の悲願である。米軍ヘリ墜落のときの事故通報、これも運用の改善ではうまくいかなかったということですから、地元合意のためには、私は地位協定の改定が欠かせないと思います。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
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