国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年04月03日 
【衆院行革特】武正・渡辺議員、税金の無駄遣い廃止を訴え

 3日午後の衆議院行政改革特別委員会で、武正公一議員は独立行政法人の問題を、渡辺周議員は非常勤国家公務員の問題を取り上げ、徹底して税金を無駄遣いをなくすことが必要であると訴えた。

 武正議員はまず、国の行政機関の定員の推移に関する資料などを提示し、独立行政法人は国家公務員の総定数を削減するために使われる一方、人件費は相変わらず税金から出ているという指摘があると述べた。その上で、行革推進法案は、国家公務員の非公務員化をはかり、独立行政法人を生む制度設計ではないかとして、関係大臣に見解を質した。「形を変えただけというには当たらない」という中馬行政改革担当大臣の答弁に対し、民間の力を必要とする部分と国がやるべき部分の検証が必要であるとした。

 続いて武正議員は、独立行政法人の役員の構成に関する調査に言及。4人に3人が、出身省庁を含めた公的な団体から役員に就任しているという結果を紹介した。また、その役員の4分の1が有給兼職であるほか、職員に各省庁からの出向者が含まれることなどを指摘し、専門性や業務の継続性から止むを得ない措置であるかと強い疑問を呈した。

 さらに武正議員は、国有財産の売却にも触れ、国民の資産が安く売却されることはあってはならず、引き続き監視と追及を行う考えを示した。(民主党ホームページより転載)
 

行政改革に関する特別委員会議事録


武正委員 
 民主党の武正公一でございます。

 行政改革関連法案、質疑を行わせていただきますが、今、菅委員の質疑の中でも出ました官製談合防止法案、これは、ちょっと私も、質問通告にはないんですが、引き続いてぜひ総理にお願いをしたい件がございます。

 二〇〇二年、民主党も官製談合防止法案を提出いたしました。それに先立って、当時は与党が、特に公明党の久保哲司議員、残念ながらもう亡くなられましたが、大変熱心に官製談合防止法成立を目指していた。なかなか与党の調整がつかずに民主党が先に出した経緯があり、そして両案を衆議院でそれぞれ審議した経緯がございます。審議の結果、官製談合防止法、与党案が採決をされ可決をいたしましたが、それが終わった後に、法案提出者、私も法案提出者として答弁席に立ちましたが、やはり今のこの官製談合防止法、まだまだ不完全だな、早くさらに強化、改良しなきゃいけないね、そういうことを、法案可決後、与野党の法案提出者で話したことを今も覚えております。

 民主党は既に二度目の法案提出を今国会いたしました。与党もようやく出されたようでございますので、私は、やはり両案をそれぞれ、どちらの案がまさっているのか、よいのか、あるいはどこが足らないのか、両案をちゃんと並べて審議すべきだというふうに改めて思います。

 総理、自民党の総裁として、この法案提出に当たって、今の私の考え方、どのようにお考えでございましょうか。

小泉内閣総理大臣 
私は、昨年十二月でしたか、党の政調会長に、党としても、官製談合防止法、改善策を検討してほしいという指示を出しております。今国会において、与党、自民党、公明党、それぞれ協議して、国会に提出していると聞いております。民主党も出されたと聞いております。よく国会等において協議を進めて、効果的な法改正を実現していきたい、また、していただきたいと期待しております。

武正委員
きょう、私のこの法案での担当が、先ほど来話が出ております独立行政法人でございます。

 独立行政法人、この言葉、なかなかかたい言葉で、国民の皆様もちょっとなじみがないのではないかなというふうに思うわけでございます。今、百十三ある独立行政法人のうち、なじみのある言葉、昔、特殊法人、この特殊法人が独立行政法人に生まれ変わったものが三十六、約三分の一。そのほかは、今から五年前、この独立行政法人、独法がスタートしたときは、研究所が中心でありました。そして、先ほどお話がありました、高速道路民営化に伴って、日本高速道路保有・債務返済機構、あるいは年金・健康保険福祉施設整理機構、そして郵政民営化に伴って来年秋誕生する郵便貯金・簡易生命保険管理機構、これらはいずれも独立行政法人でございます。次から次に独立行政法人が生まれている。そして、この法案でもそういった制度設計がなされているのでございます。

 そこで、お手元に資料を配付させていただいておりますが、その一ページ、二ページをごらんいただきたいと思います。

 まず一ページでございますが、国の行政機関の定員の推移。ここに、特に「郵政公社化、独法化による制度的な減」というのが右に書いてあります。次の二ページをまたごらんいただきたいと思いますが、それこそ、この五年間に国家公務員がこれだけ減ったよ、このような表でございます。今や三十三万三千人。しかし、例えば独立行政法人十二万二千人、もちろん郵政公社二十六万二千人も含めてでありますが、この独立行政法人をとってみると、次の三ページをごらんいただくように、平成十六年度で約三兆円、そして平成十七年度で三兆三千億円の補助金が、運営費交付金など交付をされております。

 すなわち、国家公務員の定数外になった、あるいは、特に今国会でたくさん出されてきた法案、国家公務員の身分を非国家公務員化しましたよといっても、相変わらず人件費のもとである運営費交付金の額は変わらない。ということは、単なる総定数を削減するためにこの独立行政法人は使われたのではないのか、こういう指摘があるわけでございます。

 ましてや、非国家公務員化いたしますと、人事院の天下り対象外になる、こういったことも指摘をされておりまして、この法案で、国家公務員である独立行政法人の、その国家公務員を非国家公務員化するんだ、こういった条文もありますが、一体これは何のためにこうした非国家公務員化をするのか。しかし、相変わらず人件費は税金からと。

 こういった指摘を踏まえて、この五年間の独立行政法人の評価を総理としてどのようにお考えでございましょうか。

中馬国務大臣 
委員はもう既に御承知のことと思いますが、今まで役所がやっていた仕事を、もう少し自由度を増して、そして場合によっては民間との連携もしながら、給料もかなり自由に決めていける、それが独立行政法人でございます。そういう形でこれが離れていっていること、そして、それに対して一時的には国から人件費相当額を支給している、交付していることもこれまた事実ではございます。

 しかし、だんだんと自由度を増していくにつれまして、これが効率的にもっと運営されることになるでしょうし、もちろん予算管理も含めまして、人件費等も減らしていかざるを得ない状況に追い込まれるわけでございますから、そういうことを期待しながら、これがもうそういうふうに形を変えただけだとおっしゃるのは当たらないと思います。

武正委員 
今報道では、例えば気象庁なども独法化しろ、しかし、それについて抵抗している。総理は、最初は抵抗はあるけれども、必ず過去こうした改革は実現できたんだと言われておりますが、例えば気象庁さん、本当に官から民へで、そうした独立行政法人にしていく必要があるんだろうか。台風、地震、地球温暖化、ヒートアイランド化、こういったことにとって本当に民間のそうした力を必要とするんだろうか。やはりこれは国がやるべきことではないのだろうか。こういったところが本当に検証されて独法化を進めているんでしょうか。総理、いかがでしょうか。

小泉内閣総理大臣 
今言ったような抵抗もあります。必ず、特殊法人等においても国の機関においても、独立行政法人化するあるいは非公務員化すると、いや、国家公務員でやるのが筋だとか、これは民間でやる必要はないと、今武正議員が言ったような抵抗、反対があるわけです。

 そういう中でもよく見きわめて、それは公務員でやる必要がないんだったら民間に任せてもいいじゃないか、よくそういう点の点検は必要だと思っております。

武正委員 
そこで、先ほど来話題になっております天下りということで、独立行政法人の役員、これが一体どういう出身になっているのか。

 お手元資料五ページをごらんいただきたいと思います。これは、昨年十月十四日、民主党にとっては三度目の独立行政法人に対する予備的調査を、衆議院総務委員長名で、衆議院調査局で各独法にお願いをして、出た回答でございます。各省庁からそれぞれ独法に役員としていわゆる天下り、どうなのかということでございます。

 これは、文部科学省が多いわけですが、国立大学のそうした学長、教授などもここに加えておりますので、ここはちょっと解釈が政府と分かれるようであります。しかし、独立行政法人、六百五十七人のうち約五割、半分が、その役員は所管省庁から来ている、他省庁と公的な団体、法人を含めると四人に三人、独立行政法人の役員はいわゆる天下りであるというのがこの表でございます。

 過日、国土交通委員会で独立行政法人の統合という話をしましたときに、北側大臣に、そのときは土木研究所と北海道土木研究所の統合について聞きまして、それぞれ四人に三人が建設省あるいは北海道開発庁出身、独立行政法人に統合するについて、こうした四人に三人も所管省庁天下り、どうですかと尋ねましたら、国土交通大臣は、業務の適切な執行という意味ではこうした本省並びに北海道開発庁からの出身であることをもっておかしいとは私は考えていないと容認をする考え。あるいは、今後どうですか、統合して人事はと。今後の人事は、やはり本省の業務との連携は密にしていかなければならないと。こういうような、引き続きやはり天下りやむを得ないというような認識を国土交通大臣は示されたわけでございます。

 総理大臣、この認識、閣内不一致ということはないでしょうから、総理も同じ認識ということでよろしいでしょうか。

北側国務大臣 
前の国土交通委員会でもお答えさせていただきましたが、連携は必要だと思います。やっている業務自身が非常に国土交通省そのものの業務と関連があるわけでございます。連携は必要だと思います。

 ただ、当然効率化も必要でございまして、ちょっと今数字を持っておりませんが、統合されることによって役員の数は減らしているということだというふうに思います。

武正委員 
総理、今国土交通大臣が答えられましたが、連携が必要なんだ、本省とで。ですから、お手元の表のように、四人に三人、独法の役員がその出身省庁を含めた公的な団体から就任している、これは必要なんだ、こういうお話ですが、総理も同じ考えでしょうか。

 できれば民間のトップをリーダーにとか、あるいはエージェンシーですから、国でやらなきゃいけないけれども、民間がやらないおそれもあるけれども、やはり何とか民間の力を、それが独立行政法人、本省からのある面独立性みたいなものもあったんじゃないでしょうか。

 この点、総理も同じ考えで、四分の三、やむを得ないとお考えですか。

小泉内閣総理大臣 
これは、すべて民間じゃなきゃいけないとかあるいは役所から天下りを全部禁止しろということではなくて、できるだけ自律性を保たせるように、民間の優秀な者を起用するようにした方がいいと。どうしても民間からもいないという場合には、適材適所で役所出身の人も選んでもいい。しかし、総体的には、今の機構が役所別に分かれている、この役所の固定したポストにとるのはいけないということであります。

武正委員 
そこで、この独立行政法人で、これは役員数なんですが、百九の長を調べました。トップがどうなのか。そうしますと、トップ百九人の内訳、所管省庁出身が七十一人、六五%。他省庁を含めると九十二人、八二%。これもやはり政府と解釈が分かれるんですよ。それは、文科省のところの所管省庁に国立大学を含めないという解釈で分かれるんですが、ただ、予備的調査、答えをいただきますと、皆さん、文部省東京大学、入省というんですかね、そういうような形で文部省と必ず頭にも書きますし、私はやはり、ここも含めていくと、この八割のトップが所管省庁もしくは他省庁。八割ですよ、総理、八割。独法の八割のトップが所管省庁もしくは他省庁。この数字もやむを得ない、今適時適切とおっしゃいましたが、やはりこれを見直すお考えはありませんか。

伊吹委員長 
ちょっと総理、待ってください。今のところは、解釈が違うと言っておられるわけですから、文部科学大臣小坂憲次君、まず説明をしてください。

小坂国務大臣 
国立大学が独立行政法人化されたときに国立大学は国立大学法人となりましたけれども、その際、それまでは、すべて国立大学の職員というのは文部科学省本省の職員というふうにされております。それが国立大学法人になりまして、そのままこの長が再度学長として選任をされるような場合に、理事が選任をされる場合に、出身省庁は文部科学省、こういうふうになることについて、私どもとしては、専門的な分野で大学に所属をしておった方が大学経営の専門家として国立大学法人の方に移行されることが天下りというふうにとられることは、やはりほかの部門のいわゆる天下りとして次の人生をそこで過ごされることとは若干違うのではないか。

 しかし、いずれにいたしましても、国立大学法人にいたしましても、その後のいろいろな推移の中で、できる限り外部の皆さんの理事就任等も図っているということも事実でございまして、そういった独立行政法人の移行と、大学が国立大学法人化したことを同一にとらえるのはいかがなものかというふうに私どもは考えているところでございます。

小泉内閣総理大臣 
独立行政法人の類型によっても違うと思いますが、現に、独立行政法人のトップあるいは役員に対しては、国家公務員出身の割合は二分の一以下にする、できるだけ国家公務員以外の者を採用するようにという指示を出して、そのとおりこれからは進めていくつもりでございます。

武正委員
さっき文科大臣が言われたのは、国立大学法人へ文科省で採用された大学教授なんかが行く場合のことを言われたわけですが、先ほど来私が言っているのは、独立行政法人、いろいろたくさん研究所とかありますが、そこに文科省出身の方以外に国立大学出身の方が行っている、そのことを数に含め入れているということを言ったわけでございます。

 そこで、先を急がせていただきますが、六ページをごらんいただきますと、今回、非国家公務員化するといろいろな仕事を兼職ができるんだ、こういうふうなことを言われるんですけれども、実際、今六百五十七人の役員のうち、四分の一、百七十四人が有給兼職をしているんですね。つまり、役員がほかの仕事を有給で兼職しているんですね。

 実際に兼職できるほどそんなに暇なんだろうか。独立行政法人、会社でいえば役員あるいはトップが、いろいろな会社の、それこそ名前だけなら別にせよ、有給でそんなにできるんだろうか。ある独法の理事長は、六十三の兼職があって、そのうちの十一は有給でございます。これから非国家公務員化すると、この有給の兼職がふえていく。本当にいいんだろうか、本当にそんな暇なんだろうかということでございます。

 次は、パネルがあるんでしょうか、出向者なんですね。七ページをごらんいただきたいと思います。

 これはちょっと数字が若干訂正がございましたので、これは所管省庁等からの出向者ですが、内閣府は同じですが、総務省は二百六十人、財務省は二百人、文部科学省は千六百六十九人、厚生労働省は七百三十七人、経済産業省千三百四十五人、国土交通省二千百二十九人、合計七千三百九十四人ですか。この中で、常勤で五万人弱が国立病院ですので、国立病院の分を除きますと、この七千三百九十四人から国立病院の分を除いて七千百人出向している。全体は七万人になりますので、一割が出向ということなんですね。

 出向ということは、定数外だけれども、またその本省に戻りますよと。特に、その下、三つ見ていただきますと、自動車検査、航空大学校、工業所有権情報・研修館は全員が本省からの出向。その独立というものが、官から民へといいながら、本省の縛り、あるいは全職員が本省から出向。一体何のための独立行政法人だったのかというところでございます。

 次のページは、この独立行政法人の制度設計で大事な評価委員、第三者として独立行政法人の役員の給与まで決める、そして独法通則法で言うと八つの条文にまたがる大変大事な評価委員。その評価委員数合計六百三十七人のうち、半分近く、四五%が同じ所管省庁の審議会の委員を兼ねて、その所管省庁からやはり報酬を受け取っている。これで果たして独法に対して適正な評価ができるんだろうかというものでございます。

 そこで、次に質疑をさせていただきたいんですが、九ページをごらんいただきたいと思います。

 貸借対照表、高齢・障害者雇用支援機構。昨年、労働保険特別会計、雇用・労災保険料から六十九団体に三千八百億円が流れていると言われましたが、そのうちの三番目に多い額がこの独立行政法人に出されております。

 ここで、四角で囲ったこの金銭の信託二百億円、このお金について、厚生労働大臣、どういうお金なのか御説明をいただきたいと思います。特にこれは、やはり障害者の雇用ということに関するお金がもとの勘定だと思いますので、どういう勘定なのか。

 あわせて、現在の実雇用率、障害者をある程度の規模以上の企業は雇用が義務になっておりますが、その目標と実際、これがどうなのか、これもあわせてお答えをいただけますでしょうか。

川崎国務大臣 
一・八%に対して何%になっているか、ちょっと御質問になかったものですから、後で御回答申し上げます。

 御承知のように、高齢・障害者雇用支援機構がやっておりますのは、障害者雇用の促進、未達成企業から納付金を一人に当たり月五万円ちょうだいいたしております。この資金をもちまして、障害者雇用を達成している企業に対して、調整金、報奨金、二万七千円、二万一千円を支給することによって、納付金と調整金、両方の性格のものを持ち合わせて運営をするという事業でございます。

 一方で、御下問の趣旨にあるかもしれないが、未達成企業が多い、したがって納付金が正直言って多い、黒字じゃないか。今、四百四十億の黒字になっております。そのうち二百四十億については手元資金として預貯金をいたしております。残りの二百億につきましては、独法通則法、余裕金の運用というものに基づきまして、信託業務を営む金融機関へ金銭信託を行う、二百億を金銭信託。すなわち、余剰資金としては四百四十億、十八年度資金として持っている。これはもう委員会で、予算委員会でも二、三回御質問いただきました。

 一つは、未達成の三百人以下の中小企業にもこの制度を適用すべきではないかというのが一つ。もう一つは、もう少し前向きにこの四百億のお金を使え、こういう御下問をいただきました。後者の御下問に対しましては、昨年、障害者雇用促進法を改正していただきました。したがって、この五年間ぐらいで二百億ぐらいの余裕資金に戻るというような計画をかかせていただいておりますので、目的に合うようにしっかり、正直言って前向きに使ってまいりたい、こう考えております。

武正委員 
資料四ページに戻っていただきたいと思うんですけれども、今のお話でございます。

 独法、これは財務諸表、全部合計いたしますと、現預金が今、独立行政法人には二兆二千億、財政融資預託金七千億、有価証券一兆七千億、投資有価証券七兆二千億、つまり、これだけ、資産が十二兆円、土地もやはり十二兆円あるわけでございます。

 今、厚生労働大臣から、二百億を信託預金していると。独法の方に聞きますと、高利で運用するためにということでございますが、その障害者の、先ほどのお話でありますが、今、一・五、目標一・八、やはりこの乖離を埋めるということに、本来はこの独法は目的を果たさなきゃいけない。しかし、それができない。

 しかし、そもそもこの独法を考えてみると、このお金があって初めてその運用というか経営が成り立つような仕組みに制度設計がされている。ということは、障害者の雇用率を上げるというモチベーションがわかないような仕組みになっているのではないか、このことを指摘させていただきたいと思います。

 そうしましたら、次に移らせていただきますが、資料の十一ページをごらんいただきたいと思います。本来であれば、十ページの海員学校の沖縄校が、四億円の不動産鑑定であったのが、五年たって、閉校に伴って売却しようとした再鑑定額が一億に達せず、しかも、売却額が五百万円ということで、三億九千万円の繰越欠損金が出たこと、改めて統合前に鑑定が必要なことを指摘させていただきたいと思います。

 そこで、この十一ページでございますが、日本芸術文化振興会。文科大臣にお聞きをしたいんですが、これは、新国立劇場に伴って、総理にもぜひ見ていただきたいのですが、十一ページのところにありますように、移行前、土地の値段が三千億、発足時、独法は時価評価になりますので九百九十億、その差額二千億。新国立劇場というのは、初台にある東京オペラシティの横にあるわけですが、要は、評価したら土地が二千億円下がっているということなんですね。

 これは時間もかなり限りがあるので、本来であれば文科大臣にお聞きをしたかったのですけれども、総理、私の方からちょっと説明させていただきますと、新国立劇場の土地は、独法発足前には二千八百四十七億円の簿価評価、簿価だったんですね。独法は、時価評価しますと二百億円、その差額二千六百四十七億ということでございます。バブル期に買っているから値段が下がってしまったんだというのかもしれませんが、これは税金であります。税金で二千八百億で買った新国立劇場の土地が、時価評価したら二百億と。このことを、まず総理としてどのようにお考えになりますか。

伊吹委員長 
文部科学大臣小坂憲次君、では、事実関係だけ簡潔に。時間が押しておりますから。

小坂国務大臣 
簡潔に説明させていただきます。

 これは、特殊法人日本芸術文化振興会に国有地を現物出資したものでございまして、当時の評価額が二千八百二十一億でございます。そして、独立行政法人に移行しました十五年十月一日の簿価は当時の二千八百二十一億でございましたけれども、独立行政法人に移行したときに時価評価を再鑑定いたしまして、そのときの地価が暴落をいたしておりますから二百億四千六百万円ということになって、その差額の二千六百億円が下落をしているわけでございます。

 同様に、近隣の土地を見ますと、渋谷区本町で一平米当たり平成二年の価格が九百八十九万円、平成十五年には六十九万円となっておりまして、これも九三%の下落をしているように、このように簿価そのものが地価の下落による評価でございまして、税金とおっしゃいますが、これは現物出資した国有地の評価の変動でございます。

武正委員 
私が言いたいのは、これから国有財産を売却されていくと思うんです。総理も自民党に対して指示をされたようでありますし、自民党内にもプロジェクトチームがあるというふうに聞いておりますが、要は、国民の財産が、資産が安く売却されたり、あるいはこれまでそこの土地や建物に対してお金をつぎ込んだ分が、見返りというか、それが評価されないで、ただ売りさばかれる、こういったことがあってはならないということで、その事例として出させていただいたわけでございます。

 このことを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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