国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年4月11日 【行政改革に関する特別委員会】

武正委員 
 民主党の武正公一でございます。それぞれ大臣、御出席をいただきまして、ありがとうございます。

 先般、官房長官に、環境省の契約、総契約の九三%が随意契約である、こういう報道に接しまして、これについて資料をぜひ委員会の方に提出をということでありましたが、すぐさまお取り計らいをいただき、また委員長を初め理事のお力もいただいて、即日資料を提出いただいたこと、心から感謝を申し上げる次第です。

 このように大部な、五年間にわたる、一件五百万円以上の全契約、これを御提出いただきました。これは聞いてみると、昨年秋にNHKが情報公開で要求をした資料ということでございますので、各省でこうした資料もお出しいただければこの審議もより深まるなという思いを強くしたところでございます。

 そこで、きょうは、環境大臣、今入院中ということでお見えいただいておりませんので、二階環境大臣臨時代理にお見えいただいております。ありがとうございます。

 そこでまず、この九三%の随契について、詳細は、副大臣もお見えですからこの後伺うとして、まず臨時代理として、この九三%、もうお聞きになったり報道を見聞きされたりしておると思うんですが、私、正直、非常に驚きました。全契約の九三%が随契かということでありますが、臨時代理として、率直な御感想をお聞かせいただけますでしょうか。

○二階国務大臣 
お答えいたします。

 環境省の契約の九三%が随意契約であること、予算決算及び会計令第九十九条の六に基づく見積もりを徴取していないとの報道がなされております。しかし、これらは、専門性の高い調査研究であるなどの理由で、その執行上随意契約としたもので、会計法令に反するものではないというのが現在、環境省の見解であります。

 しかし、今議員も質問でお述べになられたとおり、この九三%というのは、環境省契約のすべての中の九三%ではなくて、そういう専門的な分野における契約が随意契約に偏したということでありますが、いずれにしましても、透明性、効率性の見地から、私は見直す必要があると考えております。

 昨日も環境省へ参りまして幹部の皆さんにもお目にかかってまいりましたが、けさほど来もいろいろな意見を交換する機会がありましたから、これはできるだけ透明性、効率性をしっかり踏まえて対応するべきだという私の考えを申し述べてまいりました。

 なお、本日、閣議におきまして、内閣総理大臣及び安倍官房長官からも、各大臣がこの随意契約の見直しに積極的に取り組むようにという御指示があったところでありますが、私は当然のことだと思っております。

 環境省としては、今指摘されている問題を含めて、随意契約の見直しの中で詳細に点検をし、効率的で信頼性のある契約体制を確保するということが大事だと考えております。

 ただ、言いわけではありませんが、環境省の仕事の中で、特殊な、しかも、その会社でなければ、その団体でなければ調査が十分やれないという部分もあるようでありますが、そうしたことなどはできるだけ公表して、そして、他に参入をしたい希望の人たちがおればどんどんと参加をいただいて、やがて透明性のある入札にしっかりと移行していくということをやっていくことは当然のことだと思っております。

 よく御趣旨を踏まえて、今後に対処したいと思っております。

武正委員
今臨時代理からお話がございましたが、この資料は五百万円以上の全契約なんですね。ですから、細かいところは随意契約があるのかもしれないけれども、やはり五百万円以上、これは会計法あるいは予決令にのっとっても一般競争入札原則というものの全契約でございます。その九三%が随契という、それが今言った専門性があるからというのは、私はやはりとても説明にならないというふうに言わざるを得ないのでございます。

 そこで、今の御指摘の中で、副大臣に伺おうと思いますが、その全二千七百六十四件の随契、報道によると、これは全部相みつをとっていない、単独の見積もりである、こういう報道に接しているんですが、これは企業でいっても、どこの会社でも、五百万円以上の支出で相みつをとらないでいいという会社なんてないですよ。必ず企業内で相みつをとる、これは当然のことであって、五百万円以上どころか、それこそ五万円以上とか十万円以上とか、そのぐらいから、みんな企業はできるだけ安いそうした契約を交わそうと、内部での牽制、チェックが、会計に関して、支出に関して働いている。これについての報道の真偽。

 それと、今お話がございましたが、実は既に我が党の近藤委員からのこの委員会での資料でも、随契から、さらに公益法人への再発注というんですか、丸投げ、これが二〇〇五年度五百十一億円に上るということでありますが、そのうち最多が経済産業省と法務省ということで、実は独法から、さらに公益法人、この丸投げ、この指摘もあるわけなんです。

 実は、環境省のこの五百万円以上の資料を見ると、これも報道に出てくるんですが、天下りの公益法人が四十九団体、そのうち三十四団体が随意契約で受注をしていると。その天下り公益法人のうちで、五年間で一番多いのが二十七億円、自然環境研究センター。この財団法人は、事務次官と局長が天下りをして、江東区のビル全体を借り切っていて、天下り法人でも最も多い受注額であるということでありますが、この財団法人自然環境研究センター、ここにまた最大の額が環境省から流れている。

 こうした公益法人への再発注、これについては、改めてやはり、随契で九三%、そしてその先が公益法人。先ほどの分類、十六年度の分類だけしても、全体で五百八十七件の件数、うち五百四十二件が随契。そのうち、今言った財団法人、社団法人が二百四十七件、独立行政法人四十四件、そして株式会社二百五十一件ということで、随契の中でも半分以上が公益法人、独立行政法人でございます。

 この二点について、この財団法人とはいかなるものなのかも含めて、副大臣からお答えをいただけますでしょうか。

○江田副大臣 
先生からの御質問にお答えさせていただきます。

 まず、予算決算会計法令九十九条の六に基づく見積書の徴取に関係する御質問だったと思います。

 この法令によりますれば、「契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。」とされておるとおりでございます。しかしながら、報道で指摘されております調査研究費等につきましては、その専門性のために、相手が一人しかいない場合、ほかの者と契約することができないことから随意契約としているものでありまして、その性質上、他者から見積書を徴することは困難と考えてきたところでございます。このことは会計規定上も許容される範囲であると考えております。

 しかしながら、先生の御指摘にもありますとおり、契約の透明性、効率性を確保していくということは、我が省においても非常に重要な点でございます。随意契約の見直しを求められていることにもかんがみまして、このような随意契約にありましては、極力、何らかの方法、工夫によりまして、複数の見積もりをとる等の方策を検討していくことが重要と考えております。

 ともかく、六月までに見直し計画を行っていくわけでございますけれども、その中におきましても、見直すべきものは見直すという方向でしっかりと取り組んでまいる所存でございますし、そのように行政にも指示をしているところでございます。

 それと、先生の後の質問でございますけれども、自然環境研究センターの件でございます。

 まず、自然環境研究センターというのはいかなるものかといいますと、このセンターにおきましては、非常に高度な、専門的な仕事をやっておられるところでございまして、人間社会と自然との共存関係の構築等について科学的、政策的に研究する機関として設立されたものでございます。

 この事業内容というのは、自然環境の保全に関する調査研究、また情報の収集整理、提供、そして自然環境保全に対する技術的な支援ということでございますので、私も科学技術の専門家でもございますけれども、そういう非常に専門性が必要とされる仕事をやっているところでございます。

 その自然環境研究センターに対しましては、環境省は今回、野生生物の保護管理に関する調査とか自然環境情報の解析等に、平成十六年度には三十四件、五億円の業務を環境省から発注したところでございます。

 先生御指摘の天下りについてでございますけれども、現状はどうなっておるかと申しますと、この財団法人自然環境研究センターの環境省出身理事というのは、理事数は全部で十二名でございますけれども、そのうち常勤理事に一名、元自然局長、そして非常勤理事に一名、ここは無給でございますけれども、元環境省の職員であった者が行っているという状況でございます。天下りの数的にも少ないものではございますけれども、決してそのことに影響してそのような発注が行われているというようなことはないものということでございます。

 以上です。

武正委員 
先ほど指摘をした二千七百件すべてが相みつをとっていないということでよろしいんでしょうか。

○江田副大臣 
そのとおりでございます。

武正委員 
臨時代理、今のお話を伺って、さっき専門性と言いましたけれども、自然環境保全調査費とか、これも財団法人ですね。自然公園の管理費とか、あとは研究費ですね、公害防止等調査研究費、これも財団法人が随意契約で受注をしております。決して専門性、専門性と言っても、さっき言った調査だけじゃない、いろいろな名目がある。その随契二千七百件以上、全契約五百万円以上、見積もりを一切とっていない、このことを聞かれて、担当大臣としてどのように思われますか。

○二階国務大臣
 私も新聞等で最初拝見したときに大変奇異に感じたものでありますが、その後、環境省からいろいろ事情を聞いておりまして、一応、今お話にありましたように、専門性とか、あるいは特殊な技術を必要とする、またその会社でなければ、その団体でなければ発注に応じられない、そういうことの説明といいますか、そういう実情であるということは伺っておりますが、やはり透明性という面におきましては、もう一度洗い直してみるということが大事であると思いますので、早速環境省にも、よく御質問の趣旨、あるいは、きょうたまたま閣議におきまして総理及び官房長官から御指摘のあった点を踏まえて、徹底的に調査をし、改善に努力をするという方針で臨みたいと思っております。

武正委員 
官房長官もお見えでございます。

 先日は、資料を出していただきたいということで、このように、環境省、五年間の五百万円以上の全契約の資料を出していただきました。今の、随契九三%、全契約にわたって五百万円以上です、五百万円以上の契約で相みつをとっていない、このことを聞かれて、官房長官として率直な御感想をお聞かせいただけますでしょうか。

○安倍国務大臣 
随意契約の適正化につきましては、二月の二十四日に「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」を取りまとめたところでございまして、現在、緊急点検を行っているところであります。六月にはその見直しについての取りまとめを予定いたしております。

 さらに、先ほど来、臨時代理から御説明を申し上げておりますように、本日の閣僚懇談会におきまして、国民の納得を得られるように、これらの点検、見直しに各大臣が積極的に取り組み、十八年度予算の執行に反映をしていただくように、私からも、また総理からもお願いをしたわけであります。環境省においても、これを踏まえて、積極的に随意契約の問題について点検、見直しに取り組んでいってもらいたい、このように思うわけであります。

 いずれにいたしましても、政府としては、簡素で効率的な政府をつくっていくために、出すべきうみはしっかりと出していく、襟を正すべきはしっかりと正していくという気持ちで努めていきたい、このように思っております。

武正委員 
まず、六月であるというのは、この法案の審議ももう終わってしまうわけでありますので、私は、速やかにそれぞれの再点検をしていただきたい、この審議中にぜひ出していただきたいというふうに思っております。

 これは改めて委員長にお願いをしたいというふうに思いますが、具体的な要求といたしましては、環境省でこのように五百万円以上の五年間の全契約が出てきたわけですから、私は他省庁でも出せるというふうに思いますので、改めてこれを他省庁にもお願いしたい。委員長には資料要求をお願いしたいと思います。

○伊吹委員長 
今の御要求については、後刻理事会で協議をいたします。

武正委員 
そこで、経産大臣でもある臨時代理にお伺いをしたいと思うんですが、今、官房長官は環境省だけというようなお話だったんですけれども、五百十一億円丸投げ、随契は、二〇〇五年度で、再委託が五百十一億円、トップは経産省ということで百二十億円、このように相みつをとらないで随契をやっているというケースは環境省だけじゃないんじゃないか、そういうことなんですね。ですから、私は資料要求をしたわけです。

 経産大臣でもある臨時代理、経産省ではこういったことはないということでよろしいでしょうか。

○二階国務大臣 
経済産業省及び当省所管の独立行政法人や公益法人との間で平成十七年度に契約を行った件数は、いわゆる少数の契約を除きましても六百七十二件、一千三十九億円であります。少数契約というのは、二百五十万円以下の印刷あるいは百六十万円以下の物品調達等は、会計法上、事務合理化の観点から、随意契約によるということが認められているわけであります。

 このうち、件数ベースで約三割は、契約を行う旨ホームページで公表し、調査企画等を公募して、競争していただいて契約相手方を選定する企画競争という方式によっております。残りの約七割は随意契約によるものとなっております。当省では、平成十七年度から企画競争の積極的な導入を進めるなど、経済産業省の契約について競争を広げてきているところであります。

 現在、政府全体で随意契約の緊急点検を行っており、六月に取りまとめを行うという方針になっておりますが、経済産業省としましては、けさほど来の閣議におきましての総理及び官房長官の指示に基づき、随意契約の積極的な見直しを行ってまいりたいと思っております。

武正委員 
ちょっと順番が逆になってしまいましたが、官房長官、先ほど資料要求を委員長にしましたが、政府から出していただかなければこれは何ともできないことでございますので、先般も出していただきました、ぜひ他省庁も含めてこの五年間の全契約を出していただくことを改めてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○安倍国務大臣 
先ほど委員長から、理事会で協議をされるということでございますので、理事会から要求されれば政府としてもこたえていきたい、こう思っております。

武正委員
そこで、ちょっと時間も押しておりますので、独立行政法人の役員への天下りについて伺いたいと思います。

 総務大臣、独法通則法では二十二条で、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」こういう規定がありながら、平成十三年の公務員制度改革大綱で、役員への出向は例外とするということで、過日申し上げましたように、長にあっては、八割を超える長が役員に出向しているというか、国家公務員、退職公務員である。全役員では五割ということであります。私は、やはり独立行政法人の性格からして、この役員出向はやめるべきだというふうに思うんですが、これについての御所見。

 並びに、一体、出向した役員はどのぐらいで帰ってくるのか。二年なのか三年なのか、これもよくわからぬということでありますから、私はこのことを明らかにすべきだと思うので、やはりこれについては資料も提出していただきたいというふうに思うんです。

 以上二点、総務大臣、御所見並びに御回答をいただきたいと思います。

○竹中国務大臣 
独法の役員でございますけれども、まず、政府の職員、これは国家公務員法が適用されますから、それによりまして、職務に専念するということが義務づけられております。そういうような意味で、これは通則法において、そういう人が役員になるというのは適格性を欠いているという、欠格条項に規定しているわけでございます。

 しかしながら、政府から独立行政法人へ役員出向者、これは政府職員ではない、つまり退職して行っているということでございますので、またこれは国家公務員法が適用されないということでありますので、法人の業務に専念をしていただけるという可能性があることから、これは欠格条項にはなっていない。仕組みはそのとおりでございます。

 委員のお尋ねは、その上で、これはやはりやめるべきではないかという御指摘でございますが、仕組みとしては今申し上げたような仕組みで、これは、平成十三年の公務員制度改革大綱及びその後その制度化が行われた平成十五年の国家公務員退職手当法の改正により国会でも制度化をしていただいたものだと思っております。

 もう一つの、この中身を明らかにすべきだということでございますが、ちょっとこれは今急に御指摘いただいた点でございますけれども、これも委員会の御指摘に従いまして、委員会の御決定に従いまして、調べられて出せるものは、当然のことながら出させていただきます。

武正委員 
独立行政法人についての議論がきのうもありました。イギリスのエージェンシーでは、やはり国会に対する説明責任、そしてあくまでも独法の責任者はその主任担当大臣である。しかしながら、独法に対しては独立性を持たせたいということで、さまざまな権限を、お金、財源も含めて付与している。しかしながら、身分は国家公務員である。今やイギリスは国家公務員の八割近くがエージェンシーである。

 こういったことが、もともとお手本にした独法、エージェンシーとは随分日本の独法は制度設計が変わっている。その最たるものが、役員の大方を国家公務員の出向者で占めている、そして何年かでまた戻っていく、こんなおかしなことがあるというのはやはりこの際やめるべきであるということを重ねて申し上げまして、委員長には、今総務大臣は委員会から御指摘があればということでありましたので、ぜひ、どのぐらいで出向者が独法から本省に戻っているのか、その年数なり、これをつぶさに委員会に資料として御提出いただかなければ、やはり独法のこの出向者の是非、議論ができませんので、資料要求をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○伊吹委員長 
それらの扱いは、先ほど申し上げたとおりでございます。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。
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