国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年4月12日 【外務委員会】

武正委員 
おはようございます。民主党の武正でございます。

 きょうは、一般質疑ということでございますが、まず、官房副長官にもお見えをいただいておりますので、昨日、読売新聞の一面で出ました、「内調「機密流出の恐れ」 報告、首相に届かず 官房副長官は把握 上海領事館員の自殺 二か月後、現地調査」、この記事について伺わせていただきたいと思います。

 この記事によりますと、二〇〇四年五月、上海領事館員の自殺、二カ月後に内閣情報調査室が現地に調査に入りまして、そのきっかけも、報道によれば、外務省の職員から政府関係者に、どうも口頭で中国側に文句を言っただけで不問に付すようだ、これはとんでもないことだということで、そういった連絡があり、内調が現地に調査に入り、やはり機密情報が漏れたおそれがあるという報告を二橋正弘副長官に上げた。

 しかしながら、この一年半、首相にもそしてまた当時の官房長官にも伝わっていない。このことが昨年暮れに明らかになって、そして、ようやく官房長官は、官邸にはこの間報告がなかったということでありますが、この報道の真偽について、本来であれば当事者の二橋正弘副長官にお見えいただくのが筋だと思うんですが、今まで国会では事務次官級の政府参考人は余り例がない。例がないことはないということでありますので、私は、当外務委員会へぜひ出席をいただかなければなりませんが、まず官房副長官からこの記事の真偽についてお答えをいただきたいと思います。

長勢内閣官房副長官 
おはようございます。

 今御指摘のような報道があったことは承知をいたしております。ただ、内閣情報調査室は、御案内のとおり、内閣の重要政策に関する情報の調査、分析を所掌しておるわけで、その対象は、外交、安全保障関係を中心に広範にわたっております。

 そういう仕事でありますので、個別の調査内容とかあるいはどういう事実があったといったようなことを明らかにするということになりますと、我が国がどういうところの情報に関心を持っているか、また、どういうところに重点を持って情報収集に当たっているかということが明らかになるわけで、そうしますと、国の安全にもかかわりますし、他国との信頼関係にも支障を来す、以後の情報調査活動ができなくなるというおそれがありますので、この情報調査室にかかわります個別の調査事実の有無については、その内容いかんにかかわらず、一切お答えをしないということでやっておりますので、今の点についてどうかと言われました場合には、申しわけありませんが、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 
以前、中国の潜水艦の領海侵犯事案、あのときも、私ども、この国会、与野党議員は官邸の危機管理についてただしたんですね。

 あのときの官房副長官は今法務大臣になられておりますが、午前九時十分でしたでしょうか、たしか四時半にもう領海侵犯始まっていたんでしょうか、その事案を官邸に行って初めて政務担当の官房副長官は知ったと聞いて驚きまして、いかに官邸の危機管理が今の仕組みでも内閣危機管理監あるいは内閣官房副長官補、ここがグリップをする仕組みになっていて、総理大臣や官房長官あるいは政務担当官房副長官に、その第一報が行きながら、実際に報告が行っていなかった、あるいは遅かった。官房副長官に至っては、官邸に出勤して初めて知った。やはり、その官邸の危機管理のずさんさ、これを指摘して、それについては改めますということが、この委員会でもあるいは安保委員会でもそうしたやりとりがあったばかりでございます。

 そうしましたら、今回の事案、個別事案には答えられないということですが、結局この一年半、首相や官房長官あるいは官房副長官に報告がなかった、官邸に報告がなかったと安倍官房長官が言っていますが、官房副長官にも当然報告がなかったということだと思います。

 こうしたこと、また同じことを繰り返しているということなんですが、改めてやはり個別事案には答えられないということでしょうか。国会で、官邸の危機管理を改めますとこの潜水艦の領海侵犯事案をもってお答えになられた官房副長官、当時も御出席いただきましたが、個別事案には答えられないということでしょうか。

長勢内閣官房副長官 
情報が的確にしかるべき方に伝達されて、国が正確な判断をしていくということが大変大事でありますので、その伝達のあり方については、きちんとやれるように随時見直しをして問題のないようにしていかなきゃならぬということはおっしゃるとおりでありまして、その努力をやっておるわけで、そういう形で危機管理体制はきちんと進めておると思っております。

 ただ、個別の事案につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 
外務大臣、鹿取報道官は、昨年の報道に接して、官邸には報告しなかったということを記者会見で述べておられますが、官邸は官邸でこうやってちゃんと調査をしていたという報道、しかしながら、それが政治家には報告が上がっていなかったということでありまして、やはり国会としては、政治家がきちっと国の安全保障、危機管理をグリップしなきゃいけないということを改めて今回のこの報道が、個別事案に答えられないといっても、その真偽、私は、やはりこれが事実だとすれば大変ゆゆしきことであり、国会での政府の答弁、結局は変わっていなかったんじゃないのかというふうに思うわけです。

 政治家として、日本の危機管理に関して、これは外務省も大変今回の事案については反省をしなければならないことが多々あると思うんですが、この政府の危機管理のあり方ということでも今回これは警鐘を鳴らしていると思うんです。この報道に接して、今のやりとりもお聞きになって、外相としての御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 
今、官房副長官から答弁もあっておりましたけれども、少なくとも、この個別の事案の調査には、内調、内閣情報調査室によります調査事実の有無、個別の話の有無については、その内容のいかんにかかわらずお答えすることは差し控えさせていただくということになろうと思います。

 今言われましたように、全体として、この種の話、そうしょっちゅう起きる話ではありませんけれども、そういう話が起きたときに、直ちに最終決断をおろされる立場にある総理なり官房長官なりに情報が速やかに上がるというシステムというものにどこか遺漏があるのではないか、どこか漏れがあるのではないか、何となくベクトルがかかるのではないかというような心配をされておられるんだと思いますけれども、その種のことについては、これはシステムの問題なんだと思いますので、いろいろな意味でこの数年間、確かに昔に比べて随分また変わってきたとは、私自身もそう思いますけれども、さらにスピードなりその精度なりというものを上げていく努力というのは、今後ともされてしかるべきだと存じます。

武正委員 
個別事案には答えられないというお答えでありましたが、やはり、中国の潜水艦の領海侵犯の事案での政府から危機管理体制を改めると、今外相が言われたように、きちっと首相、官房長官あるいは官房副長官に上がる仕組みをとりますよ、こういうふうに言われたにもかかわらず、もしこれがなされていないとすれば、相変わらず日本の危機管理が大変ゆゆしき事態にあるということになります。

 個別事案については答えられないということでありますが、やはり当事者の二橋さんに来ていただかないと何とも詳細はわかりませんので、改めて、当委員会として、二橋官房副長官に参考人として本委員会に御出席いただくことをお願いしたいと思います。

原田委員長 
本件につきましては、別途、理事会でも協議させていただきます。

武正委員 
続いて、日米審議官級協議について伺います。

 官房副長官、どうぞお引き取りください。

 四日、五日の両日、日米審議官級協議が行われましたが、この中で、特に米軍施設移転経費、日本側負担割合などがどのような形で協議をされたのか、あるいは、日米審議官級協議、四日、五日の内容全般を含めて、外務大臣からお答えいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 
御存じのように、昨年の十月に行われました2プラス2以降、協議が断続的に行われております。その一環として、三月の四日、五日、日米外務、防衛担当者の間において審議官レベルの協議が行われておりますが、引き続き、十三、十四、今度は東京で行う予定にされております。したがいまして、今、協議の最中でありますので、細目はお答えを差し控えさせていただきます。

 いずれにいたしましても、沖縄の海兵隊の司令部の要員及びその軍属を含めまして、グアムへの移転ということにつきましては、この委員会でも何回もお話があっておりましたように、沖縄にとりましては大きな負担の軽減ということになりますので、これをなるべく早く実現するために、資金的な措置を含めていろいろ今検討させていただいておるというのが実情であります。

 三月四日じゃない、四月の四日、済みません、月を間違えました。四月の四日、五日、話をさせていただいておるというのが現状です。

武正委員 
私は、四日、五日の内容もつまびらかにできるところをしていただきたいというふうに申し上げたわけですので、なかなか一番肝のところはお話しになれないのかもしれませんが、累次審議官級協議をやってこられているわけですから、四日、五日で、こういった点が合意を得たとかこういった点について協議をしたということで、明らかにしていただけるところをお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 
よく言われておりますように、いわゆるグアムに移転するに当たりましての資金的な話等々、いずれもまだ協議中であって、その問題の中で、普天間の移転というものが、一応辺野古、いわゆるキャンプ・シュワブというところが合意をされましたので、これで大きく前に進む可能性が出てまいりました。すなわち、嘉手納以南のところやら何やらをどうするかこうするかという話が現実にできるような形になりつつあるというのは確かです。しかし、今、では具体的にといったところまではまだ進んでいないのが事実。

 キャンプ座間の総合補給廠の話につきましても、これは今、返還をするというところまで来ておりますが、どれぐらい、何ヘクタール返ってくるのかにつきましては、我々はさらに要求をしておるところでもありますので、向こう側との最終的な詰めはまだできておりません。

 横田の飛行場につきましても、これは羽田の空域との話もありますので、うちは第四滑走路ができるまでにこれはどうしてもしてもらわないと困るというところでこれも継続させていただいておりますけれども、最終的にこれは何とか間に合わせないと、現実問題、えらいことになりますので、そこのところはやりますということになってはおりますけれども、ではどこまでかというところの詰めはまだ最終的なところはでき上がっておりません。

 空母の艦載機の厚木の話につきましても、岩国への移駐につきまして、これは今、岩国以外、鹿屋、岩国、いろいろ話が出ておりますので、ここのところもまだ詰めが最終的にでき上がっておりませんので、押したり引いたりしながらやっておるという途中経過だけが申し上げられるところであって、これで決まりましたというものは、完全に固まったというものがこの段階であるわけではございません。

武正委員 
まだ四日、五日の段階では辺野古案が合意をしたという段階ではなかったわけでありますので、ちょっと今そごがあったというふうに思います。

 そうすると、今、審議は、十三、十四、行うわけですが、どういう段階に来ているというふうに外務大臣として認識されていますか。

 それこそ、頂上が合意点だとすれば、今、何合目ぐらいまで来ているのか。まだ一合目なんでしょうか、二合目なんでしょうか。今のお話ですと、これもあれもすべて協議中でつぶさにできない。新聞はとにかくグアムへの移転経費が最大の関心ですが、そのほか、いろいろなことがこの米軍再編に伴い費用負担も発生するわけですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
何合目かと言われると、なかなかちょっと難しい。武正先生、なかなか答弁の仕方が難しいんですけれども、横田の空域の話が一番頂上に近いかなと思わないでもありません。

 その他のことに関しましては、今おっしゃいましたように、確かに、これ、十三、十四のときになりますと、いわゆる二本の滑走路のおかげで、問題はあの点が解決するという、これは、埋め立て等々、知事の話がありますので、武正先生、そこのところはまだちょっと何とも言えないところではありますけれども、一応、島袋市長と防衛庁長官との間の合意がそのままいくという前提に立って、初めて、その他の嘉手納以南の話やら何やらが動き始めることになります。

 そういたしますと、これ、調査に数年かかって、建設に何年かかかってという話になるんだと思いますけれども、最終的なところで、金額の話やら何やらがまた、そこの段階で別な問題として検討しなくちゃいかぬところだと思っていますが、今の段階でいけば、横田のところが一番、何合目、八合目、まあ、とにかくそれぐらいのところまで、横田の空域の話が一番進んでいるかなという感じがしますけれども、その他のところはちょっとそれ以下だと思っておいていただいた方がよろしいんだと思います。

 ただ、最終的なところでは、やはりどこかで決断を、両方で譲り合って決断をおろさなきゃどうしようもありませんし、なるべく早く決断をおろさないと、このままずっと引っ張っておいても何の意味もありませんから、私どもとしては、どこかで決断をして、すぱっといかなければいかぬところだと思っております。

 そこのところは、防衛庁長官とよくこの話をするところですけれども、段階として、今申し上げた四つ、五つのところでどれが何合目かと、なかなかちょっと表現は難しいとは思いますが、横田が一番進んでいるかなという感じがいたします。

武正委員 
報道では、十日、政府がグアム移転経費の負担問題について、税金を財源とする一般会計からのいわゆる拠出そして融資、これを合わせて七割弱を日本側として負担するんだ、こういうような報道が出ておりますけれども、こういった方針を既に政府として固め、そして、十三、十四日に臨むとすれば、今の外相の発言から、横田は八合目だけれどもということでありますが、かなり、十三、十四で大方決着になってくる。

 そして、あとは、当初、五月訪米を予定していた外相、防衛庁長官と一緒に2プラス2で決着、これが、今言ったいつまでも引っ張れないという外相の真意ではないかなというふうにおもんぱかるわけでございますが、この七割弱、政府方針決定という報道、これについては、外務省としてお答えをいただけますでしょうか。

塩崎副大臣 
そういった報道があったことは我々ももちろん承知しているわけでありますけれども、先ほど来お話がありましたように、争点はかなり絞られつつあって、言ってみれば最後の詰めをやっているというところでありますが、その最後の詰めが極めて大事であります。

 この問題につきましては、資金的にどう負担するのかというのは、目的である抑止力の維持と、それから沖縄の皆さん方の負担の軽減ということで、それをなるべく早くやろうということで資金の負担をやろうということで、さまざまな議論が出ておりますけれども、こういった問題について、まだ具体的な決定はなされていないということで、議論が続いているというところでございます。当然、各省庁と相談をしながら検討をさらに深めていかなければならない、こう思っております。

武正委員 
そうすると、各省庁と検討した中の案の一つとしてこれが今あるということでよろしいですか。

塩崎副大臣 
協議をしているところでありますので、内容については差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 
いや、案の一つとしてあるのかどうかでありますから、それはお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎副大臣 
それは、相手のあることでありますし、協議を続けておりますので、具体的な内容については差し控えさせていただきたいと思います。

武正委員 
かなり煮詰まってきているという認識を得るわけでありますので、私は、外務、安保、そして財務金融、合同での連合審査、これを改めて求めていきたいと思いますし、あるいは予算委員会の開催も必要ではないかとも思いますし、そして何よりも、予算措置だけでこれを済ませようということは、私は、説明責任として、小泉内閣としてあってはならない。

 なぜならば、グアムへの移転経費だけではない。これから高木政務官にお伺いをする普天間の整備、それこそ滑走路を二つつくるわけですし、今までよりも余計経費もふえるわけですし、そしてまた、外務大臣が言ったように、普天間移設はいいけれども、移設した後の普天間はどうするんだ、これについても多額のお金。あるいは、国内での移転経費、訓練移転も含めて多額のお金が予想されますので、これは法案できちっと内閣の姿勢を国会に示し、そして国会での議論を通じて国民に対しての説明責任を果たすということが私はやはり改めて必要だと思います。

 以前、外務大臣は、検討したいというふうに言いましたが、もう煮詰まってきているようでありますので、私は、急ぎ、国会に対して政府の説明責任、国民に対して果たすべきだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
これは武正さん、たびたび答弁を申し上げているとおり、相手のある話なので何とも言えないんですが、多額の税金を使う話でもありますので、これで決まりました、はい、お願いしますという種類のものではなくて、もう少しきちんと説明をすべきではないかという御意見というのは、私どももよくわかっておるところでもあろうと思います。

 ただ、最終的にどうなるかというのはちょっとよくわからぬ。先ほどおっしゃいましたように、確かに一本が二本にふえたら、そこでどれぐらい違うのかというのは、陸上の中だけでやると随分違うんだそうですけれども、ちょっとまだ、今、新たに計算をし直すということになっておりますので、そこらのところを詰めまして、もう少し詰めた上での答弁ということになろうかと存じます。

武正委員 
ぜひ内閣の各閣僚での御協議をいただいて、やはり大変多額のお金を派生する、しかしながら、日米同盟の重要性、こうした両面。しかも、今、行革委員会で、いかに政府の支出を減らす、あるいは、それこそ国家公務員の純減、こういったものに切り込んでいる内閣でありますので、片や外交、安全保障で無原則にお金が出ていくということがあってはならない。国民の誤解を招かないように説明責任を果たしていただきたい。お願いしたいと思います。

 そこで、政務官お見えでございますので、今回名護市と合意をした普天間飛行場シュワブ移転施設、この合意案、これについて、XがV字になったとか、いろいろな報道もあるわけですが、その内容について御説明をいただけますでしょうか。

高木長官政務官 
先ほど来話も出ておりますし、今、武正委員の方からも御指摘いただいたところでございますけれども、四月七日に、防衛庁長官と名護市長、そして宜野座村長との間で、いわゆる普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書を交わしたところでございます。

 その内容につきましては、いわゆる昨年十月の2プラス2の基本案、これをベースにいたしまして、一つには、住民の安全を図るために、あるいはまた環境の保全、そしてまた実行可能性に留意をするという観点から、名護市及び宜野座村の要請を受けて、メーン、いわゆるこれまでの案に似たようなものでございますが、その滑走路と、もう一本、離陸専用のサブ滑走路を設置する、いわゆるV字型で滑走路を建設するというものでございます。

武正委員 
それに伴って費用はどのぐらい増額をすると防衛庁、防衛施設庁としては見込んでおられますか。

高木長官政務官 
今も麻生大臣からお話もあったかと思いますが、今御指摘の見積もりにつきましては、今後具体的な計画を練っていくということでございますので、現時点でどれぐらいということは申し上げられる状態ではないというふうに考えております。

武正委員 
これから計画を練っていくから額がわからないのか、詳細については申し上げられないのか、いずれでしょうか。

高木長官政務官 
これから練っていくということでございまして、現段階では申し上げることはできないということでございます。

武正委員 
そうすると、現段階ではわからないということだと思うんですが、よろしいですか、現段階ではその額がわからないというお答えで。政務官。

高木長官政務官 
これはまさに四月七日に合意したばかりのものでもございますので、詳細にはそれは現時点ではわからないというふうに認識をいたしております。

武正委員 
これが本当なのか。幾ら名護市の地元の皆さんを何としても説得しなきゃいけないということで、いろいろな案を出されて、もしかして、その場で思いついて出されたんだとすればそういったこともあるかもしれませんが、事前からさまざまなことを考えて、想定して交渉されているわけですから、当然、それこそコストパフォーマンスを考えて政府は事に当たっているというふうに私は認識いたしますので、もし額がわからずに交渉している、額についてはこれからということであるならば、これはやはり政府として、国民に対して本当に説明責任を果たし得ないなというふうに思わざるを得ないわけであります。

 そこで、実はこのV字案でありますが、これは報道でありますけれども、三月十三日、切り札がある、絶対に口外しないでくれ、額賀長官は、都内でひそかに集まった安倍晋三官房長官、麻生太郎外相に、滑走路をX字に交差させる構想を初めて披露した。ただ、滑走路の増設で、工期や建設費の増大は確実。このため、三月十六日に小池百合子沖縄担当相、谷垣財務相も交えた五閣僚で協議。その上で、額賀長官が休日の二十一日、首相はこの二十一日は一日休みであった、珍しいなというような話もありましたけれども、この二十一日、首相公邸に訪ねて内諾を得た。

 こういった報道でありますけれども、この報道からすると、実は、このX字あるいはV字、もう事前事前から政府内、閣僚内では協議をしていた、そしてこれを切り札に名護市を説得しよう、こういったことを実ははかっていたんだ。

 こういった報道で、外務大臣の名前も二回出てくるわけですが、こういった事実の有無について、外務大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 
この話がここまで漏れなかったのはほかに人がいなかったからだというぐあいに御理解いただけるのは、そこの推測までは合っていると思います、全然、最後の島袋さんの交渉まで一切出ませんでしたから。

 だから、話し合われた人数は極めて限られていたというように御理解をいただかないと、大体この種の話は、下手なことをすると翌日はもう既に出るなんということになりますから、これはもうきちんと最後まで出なかったというのは、話をされた人数は極めて限られていたということが一点。

 もう一点は、それで、では計算してみろというようなことになったらまた外に出ますから、そういった意味では、先ほど高木政務官のお話のように、まだそこの段階が詰めていないというように御理解をいただければよろしいのではないかと存じます。

武正委員
ということは、三月十三日からこのX字案ということで協議をしていたということだというふうに理解をいたします。

 そこで、最後、もう時間になりますので、イラクの話に移らせていただきます。

 外務大臣が、既に報道で伝えられるように、イラク自衛隊撤退は秋以降、こういうふうに発言をされておりますが、当初、この外務委員会では、イラクの夏の暑さを考えると、もう六月でも三十度を超えていくから、その前ですね、この撤退をというようなことを前提に、防衛庁ともここでやりとりがあったというふうに記憶をしております。

 ここで外相が秋以降というふうに発言をした真意、あるいは政府として自衛隊の撤退についての方針の何らかの変更があったのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 
武正先生御存じのように、選挙が終わりましたのは昨年十二月。普通、日本ですと大体ひとつきぐらいで組閣ということになるんですが、一月もない、二月もない、三月もない。

 もういいかげんにしてもらいたいと思って、二度ほど、イラクの外務大臣に日本に来てもらい、電話を三度ぐらいしたかな、いろいろ話をさせていただいて、そのたびごとにずれてくるものですから、私どもとしては、基本的には、ここの場合は、いわゆる政治のプロセス、選挙が終わった、政権に移転されますその政治のプロセスの話と、それといわゆる治安状況というので、これは治安部隊が確かに十三万人から二十四万人ぐらいにふえているんですけれども、治安状況というものが必ず、統制がきちんといっているようにとても思えないようなところもあります。

 また、多国籍軍というのは、豪州軍、英国軍との連携やら何やら考えて、これは常識的には三月にはできるだろうかというので当時予想しておりましたのに比べて、今、四月になりましても、いつ政権が新しく発足するかが不明という段階が今の状況です。

 したがって、豪州、アメリカとの外務大臣協議をさせてもらったときにも、まあ三月だろうと、その当時は三月に交渉した真っ最中だったんですけれども、三月いっぱいぐらいにはと言っていたんですけれども、それもだめになりましたので、正直に申し上げて、これでいきますと、なかなか四月にできるという保証もないので、そこで、五月、六月ということになって、だんだんちょっとおくれてくるというのが今の正直な現状です。

 したがって、御存じのように、あそこはむちゃくちゃ六月から暑くなりますので、その意味で、撤退というのはこの種の作戦をやる上で最も難しい作戦でありますので、不慮の事故とかいろいろなことを考えて、私どもは慎重の上にも慎重にやらないかぬ。

 ここまで事故なしで来たんだから、事故なしでうまいこといきたいなと思っておりますので、私どもとしてはさまざまな可能性というのを調査しているというように御理解いただいて、秋以降と、別にそれまでに決着がつけば夏でも、ことしはそれほどでもないぞというのであれば夏でいくこともありますし、そこのところは柔軟に考えて、きちんとしたスケジュールを固めているというわけではございません。

武正委員 
これで終わらせていただきますが、イギリスも夏には七千人に減らすという防衛大臣の発言もありましたが、あくまでイギリス、オーストラリア、アメリカと足並みをそろえて日本は撤退の時期を選ぶのか、あるいは、やはり日本が主体的に選ぶのか、これはいずれでございましょうか。

麻生国務大臣 
これはいろいろな連係プレーでここまで来ておりますので、日本が、はい抜けたというわけにはなかなか、今度はディフェンスの話も考えなければいけませんので、そういった意味では、日本は、ほかの国とよく詰めた上で、最終的に日本が主体的に決めます。主体的に決めますが、自分たちの状況をよく考えて主体的に決めないといかぬというところだと存じます。

武正委員 
以上で終わります。ありがとうございました。
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