国会議事録 衆議院本会議及び委員会での質問記録

2006年04月19日 
【衆院行革特】武正・渡辺議員、天下りや随意契約を追及

 19日午後、衆院行政改革特別委員会の締めくくり総括質疑において、武正公一衆院議員、渡辺周衆院議員(『次の内閣』ネクスト総務大臣)が質問に立ち、小泉首相をはじめとする閣僚を天下りや随意契約などの問題について追及した。

 武正議員は、国家公務員の定員削減の内12万1000人は独立行政法人に移行しただけであり、そこには3兆3000億円の税金が投入されていることを指摘し、独立行政法人の長は公募すべきであり、その行う契約は入札にすべきであると主張した。そして、文部科学省所管の独立行政法人の役員に占める文部科学省出身者数が、民主党の調査では82人であるのに、文部科学省の調査では36人であるのは、国立大学出身者を含めていないからだとあらためて指摘し、国民には理解し難い分類だと追及した。これに対して小泉首相は、学問的知見に着目して、民間有識者と同じ扱いにしており、適材適所のためだと答弁した。武正議員は、国立大学と中央省庁の間には人事交流もあり、国立大学の教職員を民間と同様に扱うのは詭弁だと述べるとともに、多くの政府職員が独立行政法人に出向している事実を指摘し、この点にこそ官製談合の根っ子があると断じた。

 武正議員は随意契約にテーマを移し、主要各省の大臣に質してその実態を明らかにしつつ、契約の8割が随意契約であることを指摘し、さらに予算決算および会計令(政令)の99条において随意契約を認めている範囲が広すぎることを問題とし、その改正を求めた。これに対して、谷垣財務大臣はこの政令には現在でも合理性があると答弁し、小泉首相はどうしても必要なもの以外は競争にする必要があると答弁した。 (民主党ホームページより転載)
 

議事録

武正委員 
民主党の武正公一でございます。

 質疑に移らせていただきますが、午前中、民主党案の答弁のときに私が例に出しました独立行政法人、これはまずパネルを使って国民の皆様に改めて説明をさせていただきたいと思います。これは四月三日のときにお配りしたので、ちょっとお手元には資料はございません。お許しをいただきたいと思います。

 要は、八十万人の行政職員が平成十七年三月には三十三万人に減った、こういうグラフでございます。このうち十二万一千人が独立行政法人の職員ということで、定数からこの十二万一千人は外れたんですよ、このように政府は説明をされるわけでございますが、先ほど触れたように、平成十六年度でも三兆三千億円の交付金が税金も含めて独立行政法人には投ぜられているのでございます。

 そこで、やはり政府提案の五本柱の一つの独立行政法人から、まず話を進めたいと思います。

 民主党案は、独立行政法人の長は、トップは公募をすべしという対案を出しております。また、独立行政法人の支出に当たっては、先ほども答弁で申しましたように、一般競争入札を原則、こういったことも打ち出しているわけでございますが、お手元に資料を配らせていただきました。

 この委員会では、文部科学大臣からも、そして官房長官からもお話を伺っております。独立行政法人の役員出身内訳、特に文科省の認識が政府と違う、ここを、締めくくり総括質疑に当たって、総理に御所見を伺いたいというふうに思います。もう文科大臣、官房長官からはお話を伺っておりますので、総理にお話を伺いたいと思います。

 この私どもの予備的調査での分析は、文科省出身の、独立行政法人の役員数百四十九名のうち、所管省庁、文科省出身者は八十二名だという私どもは仕分けをしておりますが、政府は、三十六名だと。なぜ、八十二引く三十六、四十六名が民間人なんだという仕分けになるかというと、以下二ページ目をごらんいただきたいと思います。

 この方は独立行政法人国立特殊教育総合研究所の理事長でございます。滋賀大学に講師として採用された、国立大学でございます。そして、平成五年から十年間、文部科学省で勤務をされ、そして退職をされました。政府はこの方を、文部省出身の退職公務員という形で、この独立行政法人の長、いわゆる退職公務員出身には扱われません、民間出身だと言われます。

 三ページ目をごらんください。独立行政法人物質・材料研究機構でございます。この方は、昭和四十四年、文部省東京大学採用でございます。それから、先端科学技術研究センターの長、通商産業省の工業技術院産業技術融合領域研究所長、経済産業省産業技術総合研究所産業技術融合領域研究所長、こうしたところを歴任され、退職されております。文科大臣、官房長官にお伺いしても、この方は、この私どもが分けた文科省出身の退職公務員、文科省のところの八十二名には入れるべきでない、民間人なんだ、このようにおっしゃられます。

 総理は、独立行政法人のトップは五割を目標とすると。昨年十二月、政府の発表では、百十三人中五十七人、退職公務員の割合は五割でございます。しかし、その五割には、今申し上げましたように、滋賀大学で採用されて文科省で十年勤務をされた方も退職公務員ではない、あるいは、東京大学で採用されて政府の幾つかの研究所の所長をされた方も退職公務員ではない。こういう仕分けはやはり国民から見て理解できない、このように思うわけですが、既に文科大臣、官房長官、お話を伺っております。締めくくり総括質疑でございますので、テレビも、そして国民の皆さんも注視をしております、総理の率直な御感想、やはりこの人たちは民間人なんだ、だからこの中央省庁の文科省の八十二名に含める必要ないよ、既に発言があるように三十六名なんだよ、四十六名おかしいんじゃないの、こういうような御答弁なのか、御所見を伺います。(小泉内閣総理大臣「文科大臣じゃだめか」と呼ぶ)いえ、もう何度も伺っておりますので、きょう時間がございませんので、締めくくり総括質疑で、総理の御所見を伺います。

小泉内閣総理大臣 
文科省所管の国立特殊教育総合研究所や物質・材料研究機構の理事長について、こういう方々は、学問的な知見に着目して登用しておりまして、民間の学識経験者と同等なものと位置づけていると承知しております。要は、適材適所ではないかと思っております。

武正委員 
その適材適所が、いわゆる中央省庁と独立行政法人、そして独立行政法人から公益法人へというお金の流れと天下りを生んでいるのでございます。

 総理は、退職公務員は五割に抑えるというふうに言っておられます。一昨日も、財団法人の、公益法人の理事長さん、名古屋大学の野依先生などを挙げられて、野依先生が独立行政法人の研究所の所長になったときに、文科省の天下りと言うのはおかしいだろう、こういうふうに言っておられました。私もそのことは理解できます。

 ただ、やはり国民の皆様からして、国立大学に入られて、そして政府の研究所を歴任されたり文科省にまた行ったり、こういう人事交流があります、国立大学の教授には。そういった方々を退職公務員でないというふうな扱いをする、これは私は無理があるというふうに思うんです。

 五割というふうに言っているんですから、五割の中でそういった方々もカウントすればいい。そうでない方を五割、民間にはたくさんいますよ、なぜ民間の人をもっともっと独法のトップにあるいは公益法人のトップに自信を持って選ばないんですか。なぜそうした中央省庁の退職公務員ばかりを、あるいは国立大学の教授の、そのことをわざわざ解釈で民間人だなんてやって、五割を達していますと言うんですか。到底理解できないんですが、再度、総理の御所見を伺います。

伊吹委員長
 武正君に申し上げますが、これは認識の問題だと思います。総理の答弁は、認識は既に示されておりますので、文部科学大臣からまず答えさせましょう。

武正委員 
いや、今聞いているんですから。文科大臣はもう聞いていますので。

伊吹委員長 
委員長の議事整理に従ってください。文部科学大臣。

小坂国務大臣 
委員長の御指名によりまして……(武正委員「今総理とやっているんです」と呼ぶ)

伊吹委員長 
総理は今、認識と所見を述べているんです。(武正委員「だから、再度お聞きしたんです」と呼ぶ)

小泉内閣総理大臣 
再度の答弁ですが、国立特殊教育総合研究所や物質・材料研究機構の理事長について、これは学問的な知見に着目しているわけです。要は、適材適所が大事じゃないでしょうか。

武正委員 
認識が違うんですね。

 やはり国立大学の教授でも文科省と人事交流をされているんですよ、そして政府の各種研究所の所長をやっているんですよ。つまり、退職公務員なんですよ。この方々を退職公務員に入れないで、適材適所と言って、目標の五割を、独立行政法人のトップ五割を達していると言うのは、やはり私は詭弁だというふうに言わざるを得ないのでございます。

 既に御提出をいただいた資料、平成十七年度、独立行政法人に中央省庁から出向して戻ってこられた公務員、出向ですね、この方々、千五百六十二名の資料も出していただきました。平均を見ますと二十二カ月、千五百六十二名の方が平成十七年度、独立行政法人から中央省庁に戻ってきています。さっきの表を見ていただきますと、定数の枠外にこうした出向者という者がいます。そして、中央省庁の定数の枠外で独立行政法人に行って、二十二カ月たって戻ってくるんです。

 先ほど総理は、官民の人事交流、いいじゃないかというふうにおっしゃられましたが、こうした出向など、実は、この官民の人事交流に伴って、政府のお金が独立行政法人にあるいは特殊法人にということで、お金が人と一緒にくっついている、あるいはまた随意契約も同じようにくっついていっているということですので、この官民人事交流、いいじゃないか、出向、特に独立行政法人の役員出向もいいじゃないか、政府の法律はそういう法律です、独立行政法人の通則法。こういったところに、実は先ほど来話をしている随意契約や官製談合の根っこがあるということを指摘させていただきます。

 それでは、資料四ページをお開きいただきたいと思います。昨日提出をいただいた全省庁の随意契約、これを平成十六年度に限って分析いたしましたのが四ページの資料でございます。

 先ほど答弁でお話を申し上げましたように、ほとんどの、一部除いておりますが、省庁を網羅いたしますと、五千九十件総計に対して四千六十件の随意契約率、約八割でございます。そのうち公益法人の比率が三六%、独立行政法人を加えると四一%ということになってまいります。この随意契約の率が、環境省の九二・三%を筆頭に、平均で約八割、随意契約の比率である。しかも、そのうちの四割が独立行政法人と公益法人である。環境省だけでなかったというところがこの表でございます。

 そこで、きょう、それぞれの大臣にお伺いをしたいんですが、平成十二年度からの五年間、五百万円以上の本省庁発注全契約に占める随契の比率、そしてまた相見積もりをとっていない比率を、財務大臣、この間お答えいただけませんでしたので、お答えをいただき、あわせて国土交通大臣にお答えをいただきたいと思います。

 なおかつ、両大臣に加えまして、先日お答えをいただいた農水大臣、厚労大臣、四大臣には、この平成十二年度からの五年間の随意契約において契約書を作成している割合、それは、全随意契約と、そのうち特に公益法人との随意契約、それぞれでの割合を四大臣にはお答えいただきたいと思います。財務大臣、国土交通大臣には一緒に御答弁をお願いしたいと思います。

谷垣国務大臣 
平成十二年度から十六年度の五年間、五百万円以上の本省発注分全契約に占める随意契約の割合は約七〇%でございます。

 それから、御指摘の五百万円以上の随意契約のうち相見積もりをとっていない割合、これは一〇〇%でございます。仮に相手方が二者以上あり得る場合には入札を行っているところでございます。

 それから、契約書は、五年間、五百万円以上の本省発注随意契約、契約書を作成している割合は一〇〇%でございます。

 以上でございます。

北側国務大臣 
国土交通省の本省における平成十二年度からの五年間における随意契約の割合でございますが、件数でいいますと八七・四%でございます。金額でいいますと七六・七%でございます。

 それから、相見積もりにつきましては、これは複数の者から見積もりをとるということでございますけれども、これにつきましては、契約相手方が一事業者しかない随意契約でございますので、複数の者から見積もりをとることはできないということでございます。

 それから、随意契約における契約書の作成率ですが、一〇〇%でございます。

 さらに、公益法人の比率でございますが、公益法人の比率は、件数で五六・八%というふうに聞いております。

川崎国務大臣 
厚生労働省の場合は、十二年から十六年まで、本省発注五百万円以上の随意契約、契約書、一〇〇%作成いたしております。公益法人も同じように一〇〇%でございます。

 予算決算及び会計令第百条の二により、契約金額が百五十万円を超えない場合などを除き、契約書の作成を要することとされております。したがって、この法に従ってやらせていただいております。

中川国務大臣 
平成十二年度からの五年間、五百万円以上、本省発注分の随意契約において、契約書を作成していないものが、電気事業者、ガス事業者、水道事業者との長期契約分、それから造幣局との契約八件がございまして、これは二十件でございます。千百三十二件中千百十二件、九八%が契約書の作成を行っております。

 また、公益法人との随意契約につきましては、百七十七件であり、一〇〇%契約書を作成しております。

武正委員 
そこで、総理にお伺いをしたいんですが、この随意契約、先ほど来やりとりをしております。随意契約でなければ一般競争入札なんだということも言われておりますが、改めて全省庁の数字が出てまいりました。八割が随意契約である、この数字を見られて、総理としての御所見、感想、環境省だけじゃなくて、これだけ高い平均の随意契約である、御感想をお聞かせいただけますでしょうか。

小泉内閣総理大臣 
どうしても随意契約が必要であるというもの以外は競争入札にすべきだと思っております。

武正委員 
そこで、どうしても随意契約でなければというお話でございましたが、予算決算令、予決令、これの九十九条では、随意契約によることができるというものが幾つかございます。例えば、外国での契約とか、あるいは公益法人からの買い入れ、借り入れ、あるいは公共団体への売り払い、特別の縁故のある者に売り払いなどでございます。

 私は、やはりこの予決令も改正の必要があるんじゃないかなというふうに思うんですね。先ほど、随意契約でなくていいものは一般競争入札にということなんですが、予決令でたくさんただし書き、例外規定が設けられているんですよ。ですから、この例外規定を改めないと、やはり随意契約が続いていく。幾ら閣議で随契を改めろと言っても、政令を改めなければいけないんだというふうに思うんですが、これはまず担当の財務大臣に御所見を伺います。

谷垣国務大臣 
確かに、予決令九十九条は一定のものについて随意契約によることができる旨を規定しておりまして、今委員が問題にされました関連のものを申し上げますと、第十五号は「外国で契約をするとき。」これは随意契約によることができるとしておりますが、これは、外国の場合は法制度が日本と異なりまして、競争入札によることが困難な場合があるということがございます。

 それから十六号、「都道府県及び市町村その他の公法人、公益法人、農業協同組合、農業協同組合連合会又は慈善のため設立した救済施設から直接に物件を買い入れ又は借り入れるとき。」これは、公益性がある法人から物件を買い入れる場合には、他の営利法人から買い入れる場合に比べまして同等またはそれ以下の価格であることができる場合には随意契約によることができるとしたものでございますので、そういう場合は、私は随意契約でもよいのではないかと思います。

 それから二十一号、「公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り払い、貸し付け又は信託するとき。」これは、例えば国有地を道路用地等に使用するため地方公共団体に売り払う場合には、公益性が認められることなどから随意契約によれる。

 それから、もう一つは二十二号で、「土地、建物又は林野若しくはその産物を特別の縁故がある者に売り払い又は貸し付けるとき。」は、例えば袋地や単独利用が困難な不整形地、こういう場合は国有地を隣地の所有者に売り払うというようなことがございまして、これは、必ずしも競争入札によることが適切なのではなくて、随意契約によることができるものとしたわけでございます。

 委員のおっしゃるように、例外等々を見直していくということは、これは時代に応じて検討しなければならないと思いますが、私どもは今、六月までに緊急点検をすることにしております。その中で、一番使われておりますのは、実は一番最初の、いろいろな競争によることができない場合というようなことでございまして、本当にそれ以外に注文することができないのか、ほかに業者がいないのか、ここのところは私は十分点検する必要があると思っておりますが、先ほど御説明申し上げたようなところは、今後十分社会の推移によって考えますが、私は現在でも合理性があるのではないかと考えております。

武正委員 
今の四点、申しますと、外国での契約、これは随意契約でと。実はこれがODAに関して随契が多い根拠になっているんではないかという指摘もございます。

 それから、公益法人からの買い入れ、借り入れ、これが随意契約でいい。先ほどは公益法人であれば安い価格であろうということを言われましたが、それは仮定でありまして、そういった仮定に伴って、だから公益法人との随意契約が多い理由になっているのではないかという指摘があります。

 それから、公共団体への売り払いを公共のためと称して随意契約で、あるいは特別の縁故のある者に売り払いも随意契約で、観念的でございます。これがあるがために、例えばグリーンピアの三千七百三十億円かけた資産を四十八億円で売り払ったり、雇用促進事業団、四千四百六億円でつくった建物を百二十七億円で売り払ったり、その根拠がそれぞれこの予決令にあるという指摘もあるんです。

 ですから、こういった予決令は速やかに改める必要がある。随意契約を、こういったことで免れるようになっているということでありますので、総理、この政令を改正すればできるんです、ぜひ前向きな御答弁をお願いします。

小泉内閣総理大臣 
グリーンピアがどういう形で売却されたのか知りませんが、これは随意契約だからとかどうか、私は承知しておりません。恐らく買い手がいなかったんじゃないですか。それをよく確認していただきたい。質問が本当かどうか、私はわかりません。

 それと、要するに、随意契約の必要がなかったら一般競争入札、こうすべきだと思っております。これは意識の改革でできることじゃないでしょうか。

武正委員 
私は、予決令を改正すればいいということを言っているのであります。

 もう時間がありませんので、これで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
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